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AIで作ったアプリが使われない本当の理由は、機能ではなく「最初の画面」だった

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    AIで作ったアプリが使われない本当の理由は、機能ではなく「最初の画面」だった

    自分でAIに作らせた道具が、なぜか自分以外に使ってもらえない。そんな経験はありませんか。私もありました。その原因の多くは、機能でも性能でもなく、「最初に開いた画面」でつまずかせているからでした。今回は、自作アプリを公開して初めて気づいた、その落とし穴の話です。

    道具を作る側になって気づいたこと

    きっかけは、家庭菜園の記録アプリを自作したことです。年と季節ごとに、どの区画に何を植えたかをマス目で残せる、小さな道具です。AIにざっくり指示したら、数時間で動くものができました。

    この記事で紹介しているアプリは、こちらから試せます。

    Garden Plannerを試す

    このとき目指したのは3つ。直感的に操作できること、操作の数を減らすこと、画面を簡素にすることです。「シンプルが正義だ」と思っていました。

    ところが、公開した画面を自分で開いて、その思い込みが崩れます。最初に出てきたのは、ただの「空っぽの白いマスの壁」でした。作った本人ですら、一瞬「で、何をすればいいんだっけ」と止まったのです。

    壁はどこにあったか

    問題は、機能不足ではありませんでした。機能はちゃんとあります。マスを押せば、作物を追加できます。でも、その「押せば追加できる」という手がかりが、画面のどこにもなかったのです。簡素にしようとして、要素だけでなく「ヒント」まで削っていました。

    似た落とし穴は、ほかにもありました。マスの大きさを変える機能はあるのに、入口が画面に出ていない。つまり、使う人には「無い」のと同じ状態です。過去の年へ移動するのも、「次へ」を何度も押す作りで、操作を減らしたつもりが、よく使う動きほど遠回りになっていました。

    極めつけは、ブラウザのタブ名でした。AIが最初に付けた仮の名前が、そのまま残っていたのです。「簡素=親切」と思い込んでいた自分が、一番見落としていました。

    この出来事から学べること

    ここから引き出せたのは、道具づくり全般に効く視点です。

    ひとつ。「簡素」と「不親切」は紙一重だということ。削っていいのは要素であって、使う人への手がかりではありません。何も置かれていない「最初の画面」こそ、一番設計が要る場所でした。

    ふたつ。機能は「在る」だけでは、無いのと同じだということ。見つけてもらえて初めて、その機能は存在し始めます。

    みっつ。「足す」より「活かす」ほうが効くこと。新しい機能を盛るより、すでに溜まったデータから気づきを返すほうが安く効きます。

    よっつ。AIが付けた初期値は、そのままにしないこと。仮の名前も仮の設定も、最後に棚卸しが必要でした。

    実際に試したこと

    手を入れたのは、派手な機能追加ではありません。「使う人がつまずく順番」に、上から直すと決めました。

    まず、空っぽの最初の画面に、一言だけ案内を置く。「ここを押すと記録できます」という、たった一行です。これだけで、初見の「で、何をすれば」は消えるはずです。

    次に、隠れていた設定の入口を、見える場所に出す。機能を増やすのではなく、あるものを「見えるところ」へ動かすだけです。

    三つ目に、よく使う動きを最短にする。「次へ」の連打ではなく、目的の年や季節へ一回でたどり着く形へ。「操作を減らす」とは、ボタンを一律に消すことではなく、よく使う道だけをまっすぐ短くすることだったのです。

    四つ目に、仮の名前を棚卸しする。タブの名前を、ちゃんとそのアプリの名前に直すだけ。地味ですが、人に見せる道具では効きます。

    最後に、データの逃げ道を用意すると決めました。このアプリは、記録を端末の中だけに保存しています。手軽な反面、消えたら全部消える、という危うさがあります。だから「書き出して持ち出せる」逃げ道を一つ足す、と方針を決めました。

    どれも大改造ではありません。「つまずく所に、手がかりを一つ置く」の繰り返しです。

    やってみて分かったこと

    良かったのは、直す順番がはっきりしたことです。「使う人が止まる場所」を順に潰す、という基準ができました。機能の数ではなく、迷いの数で考えると、判断が速くなります。

    一方で、はっきり失敗だった点もあります。作っている最中の私は「簡素で良い」と本気で満足していました。作った本人は、中身を知っているので、空っぽの画面でも迷いません。この「作り手の目」が、一番あてにならない、と痛感しました。

    もう一つの反省は、仮の名前を最後まで見落としていたことです。AIが用意した便利な初期値を、つい「完成品」と錯覚していました。次からは、公開前チェックに「初期値の棚卸し」を1行足すと決めました。

    動くものは、AIが作ってくれます。でも、使えるものに仕上げる最後のひと詰めは、人の側に残っているのだと分かりました。

    明日から試せる一歩

    自作ツールを「使える道具」に変える確認リストです。

    • 何も入っていない「最初の画面」を、初見のつもりで開く

    • その画面に「次に何を押すか」の一言があるか確かめる

    • 隠れている機能を、見える場所に出せないか探す

    • 一番よく使う動きが、最短の手数になっているか測る

    • AIが付けた仮の名前・仮の設定を棚卸しする

    • 大事なデータに「書き出して持ち出す」逃げ道があるか確かめる

    全部を一度にやらなくて大丈夫です。「最初の画面に一言足す」だけでも、印象は変わります。

    次の一手

    今回の学びは、菜園アプリ以外にもそのまま効きます。業務で自作する小さな道具こそ、「最初の画面」と「初期値」で差が出ます。

    次回は、すでに溜まったデータから「気づき」を一つ返す仕掛けを試します。新しく足さず、あるものを活かす。その費用対効果を確かめてみます。


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