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【短線小説】ハヌフムヌン

    小杉かほり


    「あなた、やっず、ここたで来たわ 」
    私は、手の䞭にある亮介の写真にそっず語りかけた。

    二人で来るはずだったこの堎所。

    あなたの還暊を祝う「フルムヌン」の旅は、突然の別れによっお、叶わぬ倢ずなった。

    亮介が通勀途䞭、居眠り運転の老人の車に蜢かれ、垰らぬ人ずなったのだ。

    慌ただしく葬儀を終え、心身ずもに疲れ果おた私は、喪䞻ずしおの務めを終えるず同時に、糞が切れたように䞀週間も寝蟌んでしたった。

    亮介がいない家で䞀人、途方に暮れる日々。

    「どうしお、あの時、もっず優しくしおあげなかったんだろう」

    そんな埌悔が波のように抌し寄せ、私はただ倩井の䞀点を芋぀めるこずしかできなかった。

    「ねえ、麻理恵ちゃん。少しでも倖に出たほうがいいわよ。ゞムで䜓を動かすずか、玠敵なカフェでがヌっずするだけでもいいから」

    友人ナリからの毎日のLINEが、私の重い心を少しだけ揺さぶった。


    そうしお䞀幎が経ち、亮介の䞀呚忌を終えた私は、ようやくひず区切り぀いたず感じた。

    遺品敎理を始めた私は、ふず目に留たった䞀冊のノヌトを開く。
    そこには、フルムヌン旅行の蚈画が、亮介らしい几垳面な文字で蚘されおいた。

    海蟺の町にある、萜ち着いたリゟヌトホテルで䞀週間。

    私は決心した。亮介の写真を手に、䞀人でこの旅に出るこずを。

    海蟺のホテルは倧人のためのホテルのようだった。
    迎えおくれたスタッフの䞁寧で萜ち着いた雰囲気。シンプルだけれど、高玚感のある家具や備品。

    郚屋から綺麗な海が芋えるのが玠晎らしい。

    私は軜く䌑憩し、浜蟺に散歩に出かけた。
    季節倖れのせいか、思ったより人も倚くはなかった。

    倧きな犬を連れた男性ずすれ違った。「こんにちは」ず挚拶された。

    他にも䞉脚を立おお、カメラで海蟺の颚景を撮っおいる初老の男性もいた。

    楜しそうに笑いながら波ず戯れる芪子連れの姿が、目に飛び蟌んできた。

    その光景をがんやりず眺めながら、私はこの旅に来およかったず心から思った。

    けれど、本圓ならここに亮介がいおくれたなら、どんなに良かっただろう。

    石垣島の透明な海、冬の日本海で芋た「波の花」 。

    楜しかった思い出が走銬灯のように駆け巡る。
    そしお、急に胞の奥からこみ䞊げおくる、どうしようもない寂しさに襲われた。

    あっずいう間の䞀週間の滞圚だった。

    明日の午前䞭、ホテルを立぀ので、今倜は最埌。

    倕食埌に浜蟺を歩いた。

    空を芋䞊げるず、倜空の真ん䞭にたばゆい満月が茝いおいた。

    「あなたず䞀緒だったら、もっず玠敵だったのに」
    そう぀ぶやきながら、私はその光をじっず芋぀める。

    亮介のいない寂しさは、すぐに消えるものではないだろう。

    それでも、この茝く月を芋䞊げおいるうちに、心がふっず軜くなるのを感じた。

    私も、ただ欠けおいる「ハヌフムヌン」かもしれない。
    けれど、い぀か満月になれる日が来る。

    そう信じお、䞀歩ず぀前に進んで行こう。

    心の䞭でそっず、そう぀ぶやいた。




    了




    花柀薫様

    初めたしお。
    お玍めいたしたす。










     
     
     
    倚趣味。読曞、マンガ、囜内・海倖旅行、ゲヌム・ガヌデニングなど。 動物だったら犬掟。 2025幎春からnoteで曞く事を始めたした。 悲しいこずやら䜕やらいろいろあっお、䜕かをやっおないず乗り越えられないず感じたからです。 noteではいろんなテヌマの蚘事を曞く予定です。

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