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父の日来たる

     2026年6月21日、今年も父の日がやってきた。
     今日一日は、私のものである。多少の調子ノリも大目に見られ、日中は自由時間を与えられるとともに、夜にはサプライズプレゼントがあるはずなのだ。

     少し寝坊してリビングに入ると、妻と娘が仲良く朝食をとっていたので、「今日の主役の登場だ〜」と自分で言いながら、喜びの舞を披露した。

     二人は、視界には何も映っていないかのごとく、無視を決め込み朝食を続けていた。

     私は感動した。

     本来であれば、「パパ、邪魔」、「埃がたつから、おどらないで」などの、謂いわれのない誹謗中傷が飛んでくるところだからである。

     こうして、今年の父の日はスタートしたのである。

     私は、近所のコメダ珈琲へと出かけることとした。モーニングサービスのつく11時ギリギリに店に飛び込み、そのモーニングを頼んだのである。コーヒーは、もちろんたっぷりサイズである。

     しかし、小倉あんトーストを食べ終わったところで、早速やることがなくなってしまった。

     こういうときは、noteを書くのに限るのである。書き始めてから、もう1ヶ月近くになったが、文書を書くという行為は、こんな駄文であったとしても頭がすっきりしてよいのである。

     この日書いていたのは、特に頭を使っていない「令和女児のキャラクター偏愛史」という記事であった。何が「キラヤバ〜っ☆」だよ、と自分で思いながらも筆を進めた。

     しばらくすると、モーニングだけでは小腹が空いてきたので、ホットドッグを追加注文することにした。

     コメダ珈琲のホットドッグは、ケチャップではなく、バーベキューソースの味付けである。このバーベキューソースにより、コメダ珈琲のホットドッグは大人の食べ物へと昇華されているのだ。
     まあ、私も今回初めて食べたのであるが。

     ホットドッグを口に詰め込みながら、コメダ珈琲のWi-Fiを使ってヤフーニュースを見ていると、どうやら世間はワールドカップ中であるということに気づいた。どうりで、いつもは満席のコメダ珈琲に空席があるはずである。

     ニュースによると、日本が2点のリードをしているようであったので、私は、「よしっ」とガッツポーズを決めた。
     とりあえず、勝ち馬には乗っておくタイプなのである。

     段々と残りのコーヒーも少なくなってきたので、私はコメダ珈琲を出ることにした。かといって、特に行くあてもなかったので、近所の図書館へと避難したのである。

     そこには、熱心に勉強に取り組む多くの学生たちがいたのである。私は、先日逝去された岸田秀(哲学者)の「ものぐさ精神分析」を読んでいたのだが、内容が難しかったので、すぐに「ちびまる子ちゃん」に切り替えることとした。

     「ちびまる子ちゃん」は大変わかりやすく、ニヤニヤしながらページをめくっていたのであるが、何となく、学生の邪魔になっているような気がしたので、少し早いが自宅へ帰ることとしたのである。

     家に戻ると、妻から、「お風呂が湧いているので入って良い」とのお言葉をいただいた。夕方だと言うのに入るお風呂は、大変な贅沢であった。特に意味はないが、普段、朝しか剃らないヒゲも再度剃りなおし、心ゆくまで湯船に浸かったのである。

     夕食は、私の好きな豚肉のレモンバター焼きである。薄い豚ロース肉を、バターで味付けし、レモンの輪切りを上に乗せるというシンプルなものであるのだが、これが実にうまいのである。対立候補であったトンカツに比べ、遥かに手間がかからないということで、妻からも歓迎された。

     そして、食事の後には、妻と娘からサプライズプレゼントとして、リカバリーウェアを贈られたのだ。

     私は、一刻も早くその性能を試したくなり、9時前だというのにもう寝ることとした。本当に良い一日であった。

     さて、ここまで父の日を堪能しておいて何なのだが、私は自分の父親のことをすっかり失念していた。よく考えれば、私は父であるとともに、息子でもあったのだ。

     慌てて、父の好きなカニをアマゾンで発注し、娘を巻き込んでのライン電話をして、父の日を終えたのである。

     
     
     
    40歳前後の国家公務員。小役人の日常や子どもの頃の出来事など、実話をもとにしたエッセイを書いています。

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