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統合失調症から始まる新しい暮らし―積み重ねる小さな工夫―

    1はじめに

    統合失調症から始まる新しい暮らし

    統合失調症の暮らし方を教えてほしい。
    これは以前の私の正直な気持ちです。
    多岐にわたる症状が仕事の問題、経済的な問題、人間関係の問題をより困難なものにするように感じて困っていました。しかし誰かがひとつひとつ解決策を教えてくれることはありません。
    本を読んだりネット検索をするのは良いですが、私はなかなかピンとこず疲弊してしまうことがありました。
    そんな私が統合失調症の経験を踏まえ考えた、私の暮らし方について書きました。
    タイトルに統合失調症と書いていますが、統合失調症の人はもちろん不調を経験した全ての人、休職中の人、自宅療養中の人、暮らしにくさを感じている人に届くといいなと思っています。

    私は統合失調症

    私は学生時代に統合失調症になりました。
    様々な症状があり、10代後半〜20代はほぼ寝込んでいました。動けるようになったのは最近のことです。
    症状がひどかった頃は奇声を上げて錯乱していました。体重が32kgになったり、または54kgになったりしました。自分の髪の毛をめちゃくちゃに切ったこともあります。沸かしていないお風呂に入っていたこともあります。家の近所で行われていた選挙演説の大きな音に耐えられず、何日もお風呂に入っていないボサボサの髪でパジャマ姿のまま大泣きしながらやめてくださいと言いに行ったこともあります。
    主治医の治療方針で入院はせず、長い間自宅療養の日々でした。いまはそれだけ長い療養が必要なほど状態が悪かったと思えますが、当時は一度しかない若い時間を布団の中で苦しみながら過ごすことをつらく感じていました。
    30代半ばに就労移行支援施設に通い、就職し障害者雇用で勤務。その仕事を2年ほど続けましたが体調を崩し退職。いまはA型事業所で働いています。

    三歩進んで二歩下がり、ゆっくり自分の暮らしを探す


    やっと動けるようになったかと思ってもしばらくするとたちまち体調を崩し寝込む生活に戻る。何をしても結局は病気のせいで台無しになる。何もできない、何をしても続かない、何をするのも怖い。でも、何かしたい。
    そんなことを延々と考え、繰り返していました。失敗と言えるエピソードは数知れず、周囲に迷惑をかけることもたくさんありました。あの時は誠に申し訳ございませんでしたと反省することしかできませんが、数多くの失敗から少しずつヒントを得てゆっくり自分の暮らしを探してきました。
    私の暮らしとは、私の手で暮らしを紡ぐこと。
    具体的に言うとスーパーに行くこと、ゆっくり料理すること、お肌のお手入れをすることなどです。
    発病から長い時間が経ちました。自分で探したからこんなに時間がかかりました。探すことをやめたこともありました。でも自分でたくさん考えてたくさん試したから、誰かの成功体験によるものじゃない私の暮らしを見つけられたと思っています。

    平常心の私の新しい暮らしが始まる


    私は幼い頃から体力がありませんでした。
    学校生活が体力的につらく、クラス全員で校庭で遊ばなくてはいけない休み時間のときも私は座って見ていていいというルールが作られたほどでした。欠席日数は多かったですが、問題なく進級していました。
    しかし統合失調症になり、それまで努力や勘で補完しなんとなくクリアしていたことが完全にできなくなりました。
    大学では試験前に体力が限界になり、その学期の単位を全て落としました。その後休学を繰り返し退学を決意しました。
    それから長い長い療養を経て様々なことを学び、少しでもストレス軽減、体力の安定のために体調や暮らしを整えているなかでいま感じることがあります。
    それは発病以前の暮らしに戻るのではなく、いまの私に合った新しい暮らしを始めようということです。
    回復という言葉は使いません。なぜなら回復はなかなかできないこともあることを私は知っています。ですから私が目指すのは平常心の私です。症状がひどいときも軽いときも状況に振り回されず、自分のためになるべく平常心の私でいたいです。
    平常心の私とは、
    不安があってもなんとかなると思えるしなやかな心があること。
    不安に対してどう準備すればいいかを考えられる柔らかな思考力があること。
    自分の暮らしを自分で紡ぐための家事を気軽にやろうと思える意欲があること。
    そして「今日はしんどいから、ゆっくり休もう」と症状を受け入れること。
    またさまざまな刺激があっても自分の安心を最優先にして暮らすことも平常心の私です。

    私はいまでも大学を退学したことを残念に思っています。その気持ちはそのまま置いておいて、いまの体力、いまの気持ち、いまの状況に合った新しい暮らしを少しずつ始めてみました。

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    2安心について

    新しい暮らしについてお話する前に、つらい療養生活をずっと助けてくれた犬のぬいぐるみ、わんちゃんを紹介します。統合失調症の症状が出始めた頃に私のもとに来てくれた、犬のぬいぐるみのわんちゃん。目をつむって、静かに眠っている白い犬です。このわんちゃんは私に安心をくれました。体調が悪いときも良いときも、悲しいときも嬉しいときも、どんな状態の私も、ただそこにいて受け止めてくれました。休むことに強い自責感があった私ですが目をつむって眠っているわんちゃんの姿を見ていると自然とリラックスして一緒に休むことができました。わんちゃんについて詳しくはこちらの記事をどうぞ。

    いまは二代目の犬のぬいぐるみがいて、その子も好きです。いまはいまそばにいる二代目の子から安心をもらっています。
    でもやはり18年間一緒にいたわんちゃんは特別です。今でもわんちゃんのことを考えるとほわ〜っと安心を感じ、心の支えとなっています。
    この安心を感じることが、新しい暮らしを始めるには大切だと考えています。
    なぜなら私は暮らしの中心は安心だと考えているからです。
    安心した心で暮らしのあれこれを考え手を動かし行動すると、いつの間にか健やかな暮らしになっている。不安が強い心ではその不安が暮らしに表れます。その不安に気がつけるので不安が暮らしに表れることは良いことですが、より健やかな暮らしのためにはやはり安心した心を育み続けることが大切かと思います。健やかな暮らしはより健康的な自分を呼びます。
    私は小さい頃から体力的にヘトヘト、心理的に不安定な環境に居ることが多く、いつもずっと不安な気持ちだったのだと思います。
    そして発病するとその症状は恐ろしいものでしたし、少し動けるようになっても日常生活は難しく、将来への絶望などさらに強い不安を抱えるようになりました。
    そんな中、安心をくれたわんちゃん。
    しかし私はそれが大切な安心だとは長らく気がついていませんでした。自分の手にあるものが自分にどのような影響を与えているか、自分ではなかなかわからないものです。
    実はすぐそばに安心を感じられるものがあるかもしれません。強い不安を感じたら、意識的に安心できる身近なものを探してみてはいかがでしょう。
    安心は作ることができます。手触りの良いものを触る、ぬくもりを感じる、信頼を積み重ねるコミュニケーションを続ける。そうして持つことができた自分の安心を大切に持ち続けましょう。
    安心はどれだけあってもいいです。安心を感じる練習をしましょう。
    「迷ったらワクワクする方へ行け」という言葉を聞いたことがあります。
    私なら「迷ったら安心する方を選ぶ」だなと思いました。私にはそれほど安心が大切なようです。
    だから私は安心を中心に新しい暮らしを始めました。

    3私を知る


    あるとき、自分がどんな状態のときに体調を崩すかを言葉にしました。それは二度目の就職活動のときでした。私は障害があるので、いつどんなときにどのような症状が出るのか、できる業務内容は、と自分のことをはっきりと口頭で伝えなければなりません。そのために自分の症状を整理していくうちにぼんやりと感覚でわかっていたことが、だんだんと言葉で理解できるようになりました。その気づきは普段の暮らしにも影響していき、やがて私の暮らしの型を作ってくれました。
    すべては自分を知ることから始まります。

    疲れやすいポイントを知る

    特に最初に取り組みやすいのは、何が自分を疲れさせるかを知ることでしょう。
    例えば私の場合だと、

    ・10分以上立っていること
    ・人が多い空間
    ・大音量、ザワザワなど音刺激が強い空間
    ・たくさんのカラフルな物など視覚刺激が強い空間

    例えば10分以上立っていると、私は低血圧症状が出てきて最悪の場合失神します。その疲れやすい行動をすると、どうなるのかも具体的に言えるとなお良いです。
    そして疲れさせるポイントが整理できたら、それを避けます。一生避けられたらいいのに、もちろん避けられないことが多くあるので対策を考えます。
    この対策については、4私を守る工夫で書きます。

    苦手を言葉にする

    通勤、立ち仕事、長時間労働、体を動かす仕事、ザワザワした場所での言葉の聞き取り、すぐにトイレに行けない環境。

    できるを言葉にする

    在宅、短時間勤務、PC作業(初級のWord・Excel)、コミュニケーション、何事も調べて取り組んでみること、手を動かしながら考えること。

    具体的に考える

    苦手とできるを言葉にして、じゃあこのキーワードに合った仕事は?と具体的に考えました。そして探し見つけたのがいまのA型事業所です。はじめは前職と似たような内容の通勤ありの仕事をしたいと考えていました。なぜならその仕事内容には興味があるし、ある程度できるとわかっているから。しかし体力的に現実的にできるかという観点で見直し、結果的にA型事業所を選び応募することを決めました。
    余談ですが、疲れやすいポイント、苦手、できるの他に、好き、得意などを理解しておくことも自分を知るために有意義です。
    ドミニック・ローホーさんの「シンプルリスト」という本はたくさんの自分を知れる質問リストがあり、おすすめの一冊です。

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    4私を守る工夫

    私はいわゆる刺激に弱いので、そんな刺激は工夫でシャットアウトして私を守っていきます。

    サングラス

    眩しいと疲れを感じる私は一年中サングラスをしています。太陽の下ではレンズの色が濃くなり、室内では透明になるサングラスはとても便利。目に入る光を緩和してくれるので助かっています。

    耳栓

    私は外出用と就寝用を持っています。
    外出用は電車内で人の話し声にモヤがかかったようになり、少し刺激を抑えられます。
    ただ話しかけられた時は外して対応しないと、話が聞き取れません。
    就寝用は外の騒音や家族の生活音にモヤがかかったようになり、少し刺激を抑えられます。
    とても調子の良いときや自分が嫌だと感じる大きな音が気になるときはイヤホンで好きな音楽を聴くこともあります。

    夏の長袖

    数年前の夏から太陽の日差しに当たると腕や脚に湿疹が出るようになりました。それを防ぐために夏でも長袖生活を開始しましたが、これが心地よいです。日差しが直接皮膚に当たらないので、日焼けに体力を奪われる感覚と皮膚ダメージを抑えられます。

    年中保湿

    元アトピーの経験から肌が乾燥しているとストレスを感じます。かゆいになる前に保湿。
    毎年冬は手の爪が割れていましたが、ハンドクリームをこまめに塗るようになってからは割れなくなりました。爪が割れると、その割れが広がらないようにそっと慎重に手を動かすようになるけれどふとした瞬間に引っかかったり、危うくベリっといってしまいそうになったり…という小さいけれど確かなストレスを軽減することに成功しました。

    聞きたくない話

    ストレスを感じる態度や言葉をかけられることがあります。決めつけ、思い込み、想像からかけられる言葉。その言葉をつらく感じてきました。そのことについて人に愚痴るように相談することが何度もありました。しかしあるときまた同じことを、まだ言っていると気がつきました。同じ愚痴を言い続けている。そんな自分は嫌だなと思いました。そこで私はストレスを感じる態度や言葉をかけられても、受け取らないことにしました。
    また言ってるとスルーするような感じです。根本的な解決ではありませんし良くない態度だとは思います。ただ何度挑戦しても解決できないとき、受け取らないと決めるだけでも自分への影響を小さくすることはできます。

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    5私を助けてくれた小さな習慣

    もともと気がつけば行っていた習慣で、私は特にこの三つに助けられたと感じています。
    この三つの習慣で語学以外はいまの暮らしのなかでも大きな割合を占めています。

    日記を書く時間

    病気になってから服薬や今日の体調をときどきノートに記録していましたが、いつからか日記を書くようになりました。最初はノートにペンで書いていました。しかしiPadを使うようになってからはiPadのノートアプリで書くようになりました。間違えても消せる、書いた文字を移動できる、写真も簡単に貼れたり、とにかく便利です。
    昔もいまも、いわゆる今日の出来事を振り返る日記を書いています。特にルールのない普通の日記です。
    私は字を書くことが好きです。だから日記を書くと癒しや満足の感覚を得られるのかもしれません。

    静かに横たわる時間

    ベッドで静かに横たわる時間は、なるべく平常心の私でいるための大きなポイントです。
    日中ふと時間ができたとき、または疲れを感じたときに横たわります。
    時間は10分くらいのときもあれば、2時間くらい休むこともあります。時間は決めていないのでそのまま眠ってしまい、10時間以上寝ることもあります。
    どれくらい休むかは、その日の体調や気分によって違います。
    休めたら、よし休めたぞと思い、起き上がり活動を再開することもあります。
    自分の体と心に聞きながらマイペースに休んでいます。いつも横たわらせてくれるふかふかの布団は私のサンクチュアリです。

    語学を勉強する時間

    自宅療養中でもゆるく時間を決めて勉強することで生活リズムが改善され、決まった時間活動するという練習になりました。
    コロナ禍のときは参加費無料のオンライン留学に参加しており、時間割が決まっていたことが良かったと思っています。その後就労移行支援施設に通うことになりますが、通所のための体力をつけるリハビリになったように思います。
    いまは正直に言うと語学にそれほど興味がなくなり、過去に勉強したこともどんどん忘れています。でもあのとき勉強したことは、あのときの私に必要だったと感じるのでよかったなと思っています。

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    6私に合うを選ぶ

    私に合うを考える

    私に合う一日の過ごし方ってどんなのだろう。
    朝ごはんはみそ汁、ごはん、卵、納豆、またはヨーグルト、パン。
    カフェイン一日ニ杯まで。
    あると食べちゃうのでスナック菓子やアイスは買わない。ないと食べなくても平気。
    ときどき消化不良を起こすので食べすぎ注意。
    食欲がないときは無理に食べない。
    ストレスなくスムーズに暮らせるよう部屋を整える。
    できるときはスーパーに行き、ごはんを作る。
    土日のどちらかは家で休む。
    ドラマや映画、編み物を楽しみたい。

    私に合うを決めておく

    22:00までには布団に入ってゆっくりするようにしており、0:30までに眠れなければ睡眠薬を飲むと決めています。決めた方が「飲もうかな〜飲まないでおこうかな〜どうしようかな〜」の選択の迷いをなくせるからです。ただ気分や翌日が予定のない休日などの状況により睡眠薬を飲まず起き上がって活動することもあります。
    一度決めたからといって変えてはいけないものではありません。もちろんその時の気分で変えていいのですが、決めておくと少しラクかもしれません。
    決めたところで、最近はすぐによく眠れているので睡眠薬はほとんど飲んでいません。
    料理も定番のものを繰り返し作ることが多いです。このレシピを作りたいなと思ったら作っていますが、普段は食材の買い物も工程もそれほど考えなくて済む定番おかずです。にんじんラペは私の定番中の定番です。

    私に合う選択の結果

    このように私に合うをブラッシュアップしていくと、ある程度の暮らしの型ができてきます。ひとつひとつの行動が私に合っているからか、なんだか平常心の私でいられる。自分にぴったりの暮らしプログラムの出来上がりです。そうなればもう新しい暮らしは始まっています。

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    7平常心の私へのステップ

    時間

    私のために平常心の私でいようという考えが浮かぶには長い時間が必要でした。
    私の場合は発病からいまの暮らしに落ち着くまで23年かかっています。時間がかかりすぎだと絶望しますか?私はそうだね23年かかったね、と思っています。
    気がついたらもういわゆる中年です。若年時代はごっそり空白と思いがち。でも全くの空白でもないんです。苦しい経験がたっぷりありますしその中で嬉しい経験もあります。一般的な年相応の経験はないけれど、私はそれを経験しなかったという経験があると解釈しています。私は一度病気になったこの道を歩いていきます。

    心には波がある

    いまの私は毎日平常心の私でいるわけではありません。
    イライラすることはありますし、良くない態度をすることも、間違えることもあります。
    完璧な感情のコントロールは、できたらいいのにとも思いません。人に八つ当たりをしなければ、心には波があっていいじゃないと思います。

    自分のペースで歩む

    ついつい出てしまう、焦りや比較する感情。
    私は焦って行動をしてたくさん失敗したので、時間を置く練習をしています。すぐに決めないで時間を置いて考える。そうしているうちにどうでもよくなることもありますし思考の段階を経た分、納得度が上がるように思います。
    またあの人はあれもこれもしているのに私は何一つできていないというような比較の感情が出てきたら、自分が実行できることに集中します。
    自分の人生だから誰かのペースを基準にするよりかは自分のペースでいきたいですね。

    平常心の私の一日

    私の一日は朝8時に起きます。
    9時から14時30分までは仕事の時間。短時間だけれど私にはちょうどよい働き方です。
    仕事が終わると、小さめの音で音楽を流しながら常備菜やおかずを作ります。時間的に言うと晩にはおかずが冷めてしまいますが晩には体力が残っていないかもしれないので、私はできるときにできることを済ませます。
    料理をすると達成感があり満足した気持ちになり、今日も暮らせたなと思えます。
    スーパーや図書館に行く日もありますし、掃除をする日もあります。横になる日もあります。
    夜は静かな部屋で過ごします。
    iPadで日記を書いたり、やることをメモにまとめたりします。
    たまに本も読みます。私はもともと本好きですが、統合失調症になって目が散ってしまい本を読めない時期がありました。最近その症状はあまり無いので図書館で借りた本を読んでいます。
    テレビも見ますが刺激が強くて疲れやすいのでたまに見るくらいにしています。
    そしてただ布団で静かに横たわる時間。
    穏やかな一日を過ごした晩、布団の中には満足そうな笑みをうかべた私がいるでしょう。
    こういう一日があると、私は平常心の私でいられます。
    朝起きること、仕事をすること、家事をすること。どれも症状がひどかった頃にできなかったこと、したかったことです。
    いま私は理想の暮らしをしています。
    やりたいことと体調を気遣うことの均衡がとれた暮らしです。
    これこそ統合失調症から始まる新しい暮らしそのものです。

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    8体調が悪いとき

    不安があってもなんとかなると思える心

    誰しも不安はつきものです。不安はなくなることがなく、体調が悪いときはさらに強くなるものです。
    舟木彩乃さんの「『なんとかなる』と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる」という本を読んでから、私は不安を感じたとき「なんとかなるなる」と心の中で唱えています。これだけで一旦少し落ち着くことができます。

    不安を小さくする準備

    準備をすると不安を小さくすることができます。
    出かけるときは水筒を持って行く。急に気分が悪くなってもすぐに水を飲むことができます。
    ただ荷物が重くなりますし実際に飲むことはそんなにないなと思って、最近は毎度水筒を持って出なくなりました。飲むときだけ持って行く。こんなふうに準備をして小さくした不安が、そんなに気にならなくなるくらい軽くなることもあります。

    自分を追い詰めない

    どうして私はいつも体調が悪いの?みんなに迷惑をかけて、こんな私がすごく嫌。
    そんなことをぐるぐる考えていました。きっと私の一生懸命さからくる言葉だったと思います。特に連帯責任の学生時代は私一人が休むと周りに影響することで苦しみが大きくなっていたように思います。
    でも自分で自分を刺すようなその言葉がさらに私を追い詰めていったのかもしれません。
    学生時代を終えるとそれぞれの道へ進んでいく周囲に比べ、寝込んでばかりで何もできない自分に絶望し孤独感を深めていきました。
    あの頃の私のことを思うと悲しいです。
    いまの私なら、せめて私は私を否定せず追い詰めるような言葉はかけないでおこうと思います。

    よりよい自分になるためのレッスン

    いまこのような暮らしのスタイルなのは、よりよい自分になるためのレッスンです。
    きちんと休む時間を取りながら、できることを少しずつ行う。
    そんな暮らしを続けた先には体調が良い悪いに関わらず、その経験を重ねた分、より魅力的な自分がいるはずです。

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    9私の暮らしを作り続ける

    暮らしを考える

    仕事のあとごはんを作れる、休みの日は遊びに行ける、掃除や洗濯もできる余裕のある暮らし。
    私はそんな暮らしが理想でした。
    でもそんな暮らしをしたいと考えていた頃は、時短勤務なのに毎日ヘトヘト。仕事から帰り家族が用意してくれた食事を済ませるとバタンキュー。お風呂も入らず翌朝また仕事へ行く、休みの日は寝てばかりという日々でした。
    その仕事を辞めたことが大きいとは思います。しかし仕事を辞めたときは無職になるわけですから、また理想の暮らしから遠のくと思いました。でも私に合わない仕事を辞めることで近づいたのかもしれません。
    暮らしは日々考えていること、日々の行動、そのひとつひとつの積み重ね。自分が思っていることすべてを表したものが暮らし。暮らしはある意味思っている通りになるんだと、なんだかそう思う今日この頃です。

    小さな工夫の積み重ね

    「規則正しい生活をして再発に気をつけていれば社会復帰も可能」
    どんな生活が規則正しくて、どうすれば再発に気をつけられるのかは、本当に人それぞれだと思います。
    私は刺激に弱いのでそれに対する工夫をしていますが、刺激が平気な人にはそんな工夫は不要です。
    具体的な暮らし方を検索してパッと出てこないのは、暮らし方は人それぞれ違い自分で探して自分で見つけるものだからでしょう。
    自分に合うかどうかは自分でもよくわからないけれど、この世でいちばんわかるのは自分。
    試して試してさらに工夫を積み重ね微調整。
    これだと思っても違うこともあります。
    とても大変ですし時間もかかります。
    だけど自分で磨き上げたその暮らし方は、誰でもない自分だけの宝物になるはずです。

    私の暮らしは変化する

    こんなふうにして始めた暮らしも日々変化していきます。
    環境の変化もあると思いますし、心境の変化もありますね。そんな変化を受け入れて、また暮らしを作っていく。
    統合失調症から始まった新しい暮らしは、そうやって続いていきます。

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    10おわりに

    私の暮らしが少しでも誰かの暮らしのヒントになれたら幸いです。
    不調を経験していない人にもこういう暮らしがあるんだと思っていただけたら、嬉しいです。
    暮らしを考えるとキリがないけれど、考え続けることが暮らしなのかなと思います。
    さて散歩がてらスーパーにお買い物に行って、今日もにんじんラペを作ろうかな。


    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     
    統合失調症と向き合い続けています👩🏻‍💻   リラックスしてたのしく過ごす🏝️

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