メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bynaruphotonote

短編小説|十二月のてのひら/シロクマ文芸部/詩のような物語

    紫葉柚月(しば ゆづき)

    十二月は、息をひそめてやってくる。
    街の灯りはオレンジに滲み、
    冷たい風の中で、白い吐息がゆらめいた。

    カフェの窓辺で交わした「また来年ね」の言葉。
    叶わなかった約束は、まだマグカップの底で温もりを残している。

    机の上には、開きかけの手帳。
    そこに書きかけた「来年こそ小説を完成させる」
    その夢だけは、今も胸の奥で静かに息をしている。

    十二月一日、街路樹のライトが点る。
    二十四日、人々は急ぎ足で笑い、
    三十一日、鐘の音が遠くで鳴る。
    時間は、雪の粒のように指の間をすり抜けていく。

    手袋の中の手をぎゅっと握る。
    それは、過ぎていく日々をつなぎとめるような仕草。
    ──さよならと、はじまりを、
     同じ手で抱きしめながら。



    シロクマ文芸部に参加させていただいています。
    小牧部長さま、いつもありがとうございます!
    今回のお題
    「十二月」から始まる文芸作品です。



    【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
    もし、今日の物語が、あなたの心にふれていたら
    ──それだけで、うれしいです。ありがとうございます。
    これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
    🌸【詩のような物語】🌸
    → 詩のような物語マガジンはこちら


    小説に限らず、「書くこと」についてのマガジンを始めました。
    ✍️ このマガジンでは、書くことにまつわる小さな出来事や、創作の裏側を綴っていきます。
    あなたの「もう一度、書いてみたい」に、そっと寄り添えたらうれしいです。
    📘マガジンはこちら



    ハッピーライティングマラソン#5、#14で
    本田健さんにオススメ記事にあげていただきました!
    ありがとうございます!!


     
     
     
    会社員として働きながら小説を書いています。 地方文学賞で3度受賞。某文学賞最終選考通過 著書『詩のような物語 十二か月』Kindle・紙書籍で発売中📖 日常の小さな光や、言葉にならない想いを物語に。 本・映画・文房具(特にロルバーン)が好き。 心にそっと灯がともる物語を届けたい🌿

    あなたへのおすすめ