
授業実践第11回|企業は、なぜ「利益にならなそうなこと」をするのか|公共・経済⑪
CSR、企業の社会的責任を扱いました。
教科書的には、企業は利益を追求するだけでなく、消費者・従業員・地域社会・取引先・環境に責任を持つ、という話です。これをそのまま説明しても、たぶん残らないんですよね。「企業の社会的責任とは、企業が社会全体に対して責任を果たすことである」。はい、覚えてください。で、終わってしまう。
なので最初に、こう聞いてみました。
「企業は、なんで"利益にならなそうな活動"をするんだろう?」
題材はユニクロの「届けよう、服のチカラ」プロジェクトです。
ユニクロとジーユーが、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と組んでやっている取り組みで、社員が小・中・高校に出張授業に行きます。難民問題や服の役割について生徒が学んで、そのあと校内や地域で着なくなった子ども服を集める。集まった服はファーストリテイリングが仕分けて、UNHCR経由で難民キャンプに届く。そんなプロジェクトです。10年以上続いていて、参加校はもう全国で何百校という規模になっています。
授業では、まず生徒に同じように考えさせてみました。
もし自分が国際紛争で住む場所を失った難民になったら、何が必要になるか。水、食料、お金、衣服、スマホ、薬、家族の写真。この中で優先順位をつけさせます。生徒は意外と考えます。正解を当てる活動ではなく、「自分ならどうするか」を考える時間になるからだと思います。
そのあと、綾瀬はるかさんが出ているウクライナ支援の動画を見せました。モルドバに避難した人たちの話です。
そこで改めて聞きます。
「服を売る会社なのに、なんで難民支援するんだろう?」
発表させると、けっこう的を射ていました。信頼、知名度、イメージ、人材。こちらが解説する前に、生徒の方から言葉が出てきます。3年生のクラスでは、ユニクロの動画が刺さったのか、就職を目の前にしているせいか、その後の解説をすごく真剣に聞いていました。
このあたりが、CSRの授業のおもしろいところです。
「企業は社会貢献をしていて偉いですね」で終わらせる必要はありません。そこで止まると、ちょっと浅い。
企業は利益を出さなければ続きません。赤字が続けば、従業員を雇うことも、地域に貢献することもできなくなる。だからCSRは単なるボランティアではなくて、社会にとっていいことをする、信頼が高まる、人もお金も集まる、長い目で見れば企業自身の利益にもつながる、という話なんですよね。
この流れを、生徒はわりとすんなり受け止めていました。
特に3年生は就職が近いので、「働く会社」という視点が入ると反応が変わります。
ステークホルダーという言葉も出しました。横文字です。眠くなるやつです。
でも、「自分がそこで働くかもしれない」と考えると、急に現実味が出てきます。給料、休み、人間関係。それに加えて、その会社が地域でどう見られているか、社員をどう扱っているか。働く側にとっても、実は大事なところです。
毎年生徒が就職している企業のホームページも、少し見せました。代表者の挨拶、企業理念、地域貢献、環境方針。普段、たぶん見ないページです。
ホームページに書いてあることが全部本当か、と言われればそうではありません。きれいな言葉はいくらでも書けます。それでも、「この会社は何を社会に向けて言っているのか」を見る練習にはなる。
企業を見る目を、少しだけ増やす。
今回やりたかったのは、たぶんそこです。
求人票の条件だけでなく、その会社が社会とどう関わっているか。給料、休み、知名度、安定。どれも大事ですが、その奥にあるものも、少しだけ見えるようになってほしい。
利益だけでは続かない。利益がなければ続けられない。
その間にあるものを考える時間が、今回の授業でした。
授業プリント
ChatGPTとClaudeを活用。実業高校用に整理しました。
〇スライド
授業プリントをClaudeにかける→スライド原本→notebookLMで整形という段取りで作っています。必要なところだけ使ってください。
〇教師用原稿
詰まったときの保険です。授業プリントとスライドをClaudeもしくはChatGPTにかけて、作成しています。しっくりこないところは自分で書いています。
手直しするときは、データをAIにかけて使ってください。