
授業実践第10回|株を買うのは「企業の推し活」なのか|公民・経済⑩| 株式会社の仕組み
今回は企業の話、特に株式会社の仕組みを扱いました。
教科書でもおなじみの言葉ですが、生徒にとっては意外とつかみにくいところです。「株式を発行して資金を集める会社」と説明しても、株式を発行するとはどういうことか、そのお金でなぜ大きな事業ができるのか、そこまではなかなか像を結びません。
そこで、株を買うことを「企業の推し活」に近いものとして話してみました。
好きな商品を作っている会社、よく利用する店、地元の会社、これから伸びてほしいと思う会社。理由は人によって違いますが、自分が選んだ企業にお金を出して応援する、という意味では推し活に似ています。
ただし、企業にお金を「貸す」のではなく「出資する」。
株を買った人はその会社の株主になり、会社の一部を持ちます。
「株式」「株主」「出資」と並べるよりも、「自分ならどの企業を応援したいか」と聞いた方が、距離は少し縮まります。
桐谷さんは、なぜか知っている
株主になると、会社の利益の一部を受け取る「配当」があります。企業によっては自社の商品や割引券がもらえる「株主優待」もあります。
優待の話をしていたら、生徒の中から桐谷さんの名前が出てきました。こちらが思っていたより知られていました。
そこで、桐谷さんを紹介する5分ほどのYouTube動画を見せました。
大量の優待券を使うために自転車で走り回る姿や、優待で生活する様子は分かりやすく、この場面はよく食いついていました。
配当や優待は、入口としては使いやすいです。「株を持つと何がもらえるのか」は、経済用語より先に届きます。
ただ、今回一番伝えたかったのはここではありません。
中心の問いは、「なぜ株式会社は大きな事業ができるのか」でした。
一人では用意できないお金を集める
工場を建てる、新商品を開発する、全国に店を出す。大きな事業には、それなりのお金が要ります。
一人の経営者が全部を用意するのは、まず無理。
そこで会社は、必要な資金を細かく分けて株式として発行し、多くの人から少しずつ出資を募ります。一人あたりは小さくても、集まれば大きい。
しかも株主の責任は、原則として出資した金額の範囲まで。会社が倒産しても、株主が借金まで背負うわけではありません。これが「有限責任」。
出した分だけ責任を負えばいい。
「少しずつ集める」と「責任は出資額まで」、この二つで、株式会社が大きな資金を動かせる理由はだいたい説明がつきます。ここは生徒の反応も悪くありませんでした。
なぜ企業はコンプライアンスを気にするのか
授業の後半は、コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスです。
どちらもカタカナで長いので、そのまま覚えさせると用語だけが残ります。株式会社の仕組みに引きつけて話しました。
経営者が動かしているのは、自分のお金ではありません。多くの株主から預かったお金です。
だから、勝手なことをされたり、不適切に使われたりしないように、経営を監督する仕組みが要る。
これがコーポレート・ガバナンス、企業統治です。会社の状態を株主や社会に知らせる情報公開も、その一部に入ります。
コンプライアンスも、ただ「法律を守りましょう」では終わりません。
不正が出れば、商品は売れなくなり、取引先は離れます。株主は株を手放し、株価は下がります。働きたい人も減ります。
株式会社は、多くの人のお金で成り立っています。信頼を失うことは、土台を失うこと。
企業がコンプライアンスを気にするのは、法律に叱られないためというより、事業を続け、資金を集め、選ばれ続けるため。
株式会社の仕組みから見れば、この言葉は少し近くなります。
入口は桐谷さんと株主優待。出口は、企業への信頼。株式会社の授業としては、つながりが見えただけでも、まずはよかった。
授業プリント
ChatGPTとClaudeを活用。実業高校用に整理しました。
〇スライド
授業プリントをClaudeにかける→スライド原本→notebookLMで整形という段取りで作っています。必要なところだけ使ってください
〇教師用原稿
詰まったときの保険です。授業プリントとスライドをClaudeもしくはChatGPTにかけて、作成しています。しっくりこないところは自分で書いています。
手直しするときは、データをAIにかけて使ってください。