
”察してほしい彼女”の事情【漫画xユル社会学】第9話


















愛着アタッチメント理論
「他者とどのような距離感で接すると安心するか」という理論。
第二次世界大戦後、精神分析家・ジョン・ボウルビィが「人間には、特定の相手(養育者)と親密な絆を結ぼうとする本能がある」と提唱。その後発達心理学者のメアリー・エインスワースが実験を通して「安定型」「回避型」「不安型」の3つに分類しました。
近年ではこの傾向が大人の恋愛にも当てはめることが発見されています。
愛着スタイルの特徴
近年では主にこの4つのスタイルに分類されています。
安定型
自己肯定感も他者信頼感も高く適度な距離感で付き合える。頼ることも頼られることも自然にできる。
不安型
見捨てられる不安が強く、相手の顔色を過度に伺う。試し行動や束縛などで愛情確認をする傾向がある。
回避型
親密さや干渉を嫌う。距離が近くなると逃げたくなり突然音信不通になることも。弱みを見せるのが苦手で、一人の時間を守ろうとする。
恐れ・回避型
不安と回避の両方を持つ。「近づきたいけれど傷つくのが怖い」という葛藤が強く、情緒が不安定になりやすい。
アタッチメントタイプは親との関係で形成されますが、成長の過程で変化することがわかっています。さらに、接している相手によって変化する場合もあるそうです。
日本人の愛着スタイル
一部の研究では、日本では不安型の割合が比較的高い可能性が指摘されています。
「言葉にすること」をよしとしない文化
日本では自分の欲求をストレートに口にすることは「慎みがない」「自己中心的」とネガティブに捉えられがち。
「言わなくても相手の気持ちを考えなさい」と教育されることで、逆に「自分の気持ちも、言わなくても分かってもらえるはず」という期待が生じていると考えられています。
社会がいわゆる「察してちゃん」を産みやすい構造となっています。
「見捨てられ不安」を増幅させる現代社会
現代は核家族化や地域コミュニティの希薄化により、特定のパートナーへの心理的依存度が極めて高くなっています。
要求をストレートに言いにくい社会でで相手の反応を観察しなくてはならない状況が「不安型」を助長している可能性があります。
「自立」のプレッシャーが生む「回避」との衝突
現代人には「自立」が強く求められますが、それが「弱音を吐いてはいけない」という刷り込みに変わると、人は「回避型」の傾向を強めます。
親と子の密着度
早いうちから自分の部屋で寝ることを教育される欧米と異なり、日本の親子はより密着して過ごすことが多く、子供はより庇護者を求める「不安型」傾向を強めている可能性があります。
※米国の基準で測定した場合、日本人は他者との協調を優先するため『不安型』と判定されやすいという文化的バイアスも指摘されています。
参考文献
岡田尊司(2011)『愛着障害』: 現代日本における愛着の不安定化について
土居健郎(1971)『「甘え」の構造』: 日本人特有の「察し」と「甘え」について