メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

第5章出雲は、消されたのではなく祀られたのか —— 倧囜䞻ず囜譲りの蚘憶

    前回はこちらです。

    前回は、倩照ずスサノオを、倪陜の神ず海の神ずしお読んでみた。

    倩照だけでは、䞖界は固たりすぎる。

    スサノオだけでは、䞖界は荒れすぎる。

    その間で、物語が揺れおいる。

    そう曞いた。

    では、スサノオの先には䜕があるのか。

    そこに芋えおくるのが、出雲だ。

    そしお、倧囜䞻。

    囜を䜜った神。

    そしお、囜を譲る神。

    今回は、囜譲りの物語を、敗北の話ずしおではなく、叀い力がどのように残されたのかずいう芖点から読んでみたい。


    1. スサノオの先に、出雲が芋えおくる


    前回、スサノオは海を任されながら、海に収たらない神ずしお動き出した。

    海原を治めるように呜じられる。

    けれど、泣く。

    荒ぶる。

    高倩原ぞ向かう。

    倩照ず向き合う。

    そしお、やがお高倩原から離れおいく。

    スサノオは、䞎えられた堎所におずなしく収たる神ではなかった。

    そこに、私は匷く惹かれる。

    圹割を䞎えられながら、圹割からはみ出しおいく神。

    䞭心に向かいながら、䞭心には残らない神。

    そしお、その先に出雲がある。

    出雲ずいう名前には、どこか䞍思議な響きがある。

    高倩原ずは違う。

    倧和ずも違う。

    海に近く、神話に近く、少し圱が濃い。

    出雲は、神話の䞭で「䞭心ずは別の堎所」にあるようで、でも決しお小さくない。

    むしろ、䞭心ずは別の重さを持っおいる。

    スサノオの物語を远っおいくず、その先で倧囜䞻に出䌚う。

    倧囜䞻。

    囜を䜜った神。

    そしお、囜を譲る神。

    この順番が倧事なのだず思う。

    譲ったから重芁なのではない。

    その前に、䜜っおいた。

    だから、囜譲りは単なる敗北の物語では終わらない。


    2. 倧囜䞻は、囜を譲る前に囜を䜜っおいた


    倧囜䞻ずいう神は、最初から「囜を譲る神」ずしおだけ芋おしたうず、少しもったいない。

    倧囜䞻は、囜䜜りの神ずしお語られおいる。

    少名毘叀那神ずずもに囜を䜜る。

    倧物䞻神ずも関わる。

    地䞊の囜を敎えおいく。

    もちろん、ここでいう「囜」を、珟代の囜家のように考えるずずれる。

    叀事蚘や日本曞玀に出おくる囜は、珟代の囜境線で区切られた囜家ずは違う。

    土地
    人々の暮らし
    祈り
    祭り

    芋える䞖界ず芋えない䞖界。

    そうしたものが重なった堎所ずしおの囜だったのだず思う。

    倧囜䞻は、その地䞊の囜を䜜った神ずしお語られる。

    ここで、私は少し立ち止たっおしたう。

    囜を䜜った神が、最埌には囜を譲る。

    これは、かなり重い物語だ。

    䜕も持っおいない神が譲るのではない。

    自分が䜜ったものを譲る。

    自分が敎えおきた堎所を手攟す。

    そこには、ただの服埓では片づけられない感情がある気がする。

    囜譲りずいう蚀葉は、静かに聞こえる。

    でも、その䞭にはたぶん、もっず耇雑なものが入っおいる。

    䜜ったものを手攟す痛み。

    䞭心が移る重さ。

    それでも消えずに残る気配。

    倧囜䞻を芋るず、私はそこが気になる。


    3. 囜譲りは、戊争よりも亀枉の物語に芋える


    囜譲りの物語では、高倩原の神々が地䞊の囜を求める。

    倧囜䞻が䜜った囜を、倩照の埡子ぞ譲る流れが語られる。

    ここだけを芋るず、䞭心の亀代の物語に芋える。

    高倩原の秩序が、地䞊の囜を組み蟌んでいく物語。

    そう読むこずもできる。

    ただ、面癜いのは、いきなりすべおを力で奪う話ずしおは描かれおいないこずだ。

    䜿者が来る
    問いかけがある
    返答がある
    事代䞻が答える
    建埡名方は抵抗する
    力の堎面もある

    でも、それだけではない。

    蚀葉があり、確認があり、段階がある。

    私はここに、日本神話らしい静けさを感じる。

    もちろん、神話の裏に歎史的な政暩亀代や勢力の統合の蚘憶が重なっおいる可胜性はある。

    でも、それをそのたた「出雲埁服の蚘録」ずだけ断定したいわけではない。

    このシリヌズで芋たいのは、神話が叀い力をどう扱ったのかずいうこずだ。

    囜譲りは、ただ奪う物語なのか。

    それずも、叀い力を別の堎所ぞ移す物語なのか。

    そこを芋おいきたい。


    4. 囜を譲った神は、本圓に敗れたのか


    囜を譲る。

    この蚀葉だけを芋るず、負けたように芋える。

    自分の堎所を手攟す。

    䞭心から退く。

    新しい秩序を受け入れる。

    だから、囜譲りは敗北の物語ずしお読むこずもできる。

    実際、そういう読み方も自然だず思う。

    けれど、本圓にそれだけなのだろうか。

    倧囜䞻もたた、物語から消えない。

    出雲も、消えない。

    むしろ、匷い存圚感を持っお残る。

    ここが䞍思議だ。

    もし単なる敗北の物語なら、負けた神はもっず小さく扱われおもよさそうだ。

    でも、倧囜䞻はそうならない。

    出雲もそうならない。

    䞭心から倖れたように芋えるのに、別の重さを䞎えられおいる。

    私はここに、囜譲りの面癜さがあるず思う。

    負けたから消えるのではない。

    䞭心に残れなかったから、無意味になるのでもない。

    芋える政治の䞭心から退くこずで、別の堎所に残る。

    そういう残り方がある。

    囜を譲った神は、本圓に敗れたのか。

    それずも、別の圹割ぞ移ったのか。

    この問いが、第5章の䞭心にある。


    5. 祀られるこずで、残された力


    倧囜䞻は、囜を譲ったあず、消えるわけではない。

    出雲に祀られる。

    ここが、ずおも倧きい。

    祀られるずいうこずは、忘れられるこずではない。

    むしろ、忘れないために堎所を䞎えられるこずだず思う。

    䞭心から倖された力。

    叀い土地の力。

    目に芋えない䞖界の力。

    そうしたものが、祀られるこずで残される。

    私は、ここで少し考えおしたう。

    これは、神話だけの話ではない気がする。

    衚の圹割から退いたものが、完党に消えるわけではない。

    䞭心から離れたからこそ、別の重さを持぀こずがある。

    倧囜䞻にも、少しそれに近いものを感じる。

    高倩原の秩序に囜を譲る。

    でも、芋えない䞖界の偎に残る。

    政治の䞭心からは退く。

    でも、祀られるこずで残る。

    この構図は、ただの敗北ではない。

    少なくずも、そう読んでみたくなる。

    出雲は、消されたのではなく、祀られるこずで残されたのかもしれない。

    画像

    囜を譲るこずは、消えるこずではなく、別の堎所ぞ移るこずだったのかもしれない。


    6. 囜譲りは、叀い力に別の堎所を䞎える物語だったのかもしれない


    もちろん、囜譲りを矎しく読みすぎるのも危ない。

    譲るずいう蚀葉の䞭には、痛みがある。

    䞭心が倉わる。

    力の向きが倉わる。

    それたでの秩序が、別の秩序に組み蟌たれる。

    そこには、倱われたものもあったはずだ。

    だから、囜譲りをただ「平和な統合の物語」ずしお読むのも違うず思う。

    でも、単なる埁服の物語ずしお読むのも、少し足りない気がする。

    倧囜䞻は消えない
    出雲も消えない
    祀られる
    残される
    別の圹割を䞎えられる

    そう芋るず、囜譲りは、叀い力に別の堎所を䞎える物語にも芋えおくる。

    芋える䞖界の䞭心は、高倩原の秩序ぞ移っおいく。

    䞀方で、倧囜䞻は芋えない䞖界の偎に残る。

    衚の䞭心ず、奥の䞭心。

    政治の秩序ず、祈りの秩序。

    それらが、分けられながらも重なっおいる。

    ここが、日本神話らしい気がする。

    叀いものを完党に消すのではない。

    ただ、そのたた䞭心に眮き続けるわけでもない。

    別の堎所を䞎える。

    祀る。

    残す。

    そうやっお、物語の䞭に組み蟌む。

    出雲は、その蚘憶を持぀堎所なのかもしれない。


    7. それでも、静かな痛みは残る


    ただし、ここで終わるず、少しきれいにたずめすぎおしたう。

    囜譲りには、静かな痛みもあるず思う。

    譲るずいうこずは、手攟すこずでもある。

    䜜ったものを枡すこずでもある。

    自分が䞭心ではなくなるこずでもある。

    事代䞻は承諟する。

    でも、建埡名方は抵抗する。

    この違いが残っおいるこずも倧事だず思う。

    すべおが穏やかに進んだわけではない。

    受け入れる神がいる。

    抗う神がいる。

    力を瀺される堎面もある。

    そこには、痛みがある。

    だから、囜譲りを「祀られたからよかった」ずだけ読むのは違う。

    叀い力は残された。

    でも、䞭心からは倖された。

    祀られるこずで残った。

    でも、譲ったずいう事実は消えない。

    この二぀を䞡方芋る必芁があるのだず思う。

    出雲は、消されたのではない。

    でも、䜕も倱わなかったわけでもない。

    そこに、この物語の深さがある。


    8. 次は、月の神ぞ


    ここたで、神々の物語を少しず぀芋おきた。

    倪陜の神、倩照。

    海に収たらない神、スサノオ。

    囜を䜜り、囜を譲った神、倧囜䞻。

    出雲は、䞭心から倖されたあず、祀られるこずで残されたのかもしれない。

    叀い力は、消えるのではなく、別の堎所を䞎えられた。

    そう読んでみた。

    では、もう䞀柱の神はどうなのか。

    䞉貎子の䞭で、ずっず静かに圱だけを芋せおいた神。

    月読呜
    ツクペミ
    倪陜でもない
    海でもない
    出雲でもない

    倜の食囜を任された神。

    けれど、物語の䞭では䞍思議なくらい静かな神。

    月の神は、䜕を背負っおいるのか。

    なぜ、こんなにも語られにくいのか。

    次は、その静かな神の圱を远っおみたい。

    人類の移動から日本神話たでをたどるこのシリヌズは、こちらのマガゞンにたずめおいたす。

    参考にしたもの

    神瀟本庁「囜譲り」

    國孞院倧孞 叀兞文化孊事業「倧囜䞻神」

    出雲倧瀟「埡祭神 倧囜䞻倧神」


    #叀代史
    #日本神話
    #叀事蚘
    #出雲
    #倧囜䞻
    #囜譲り
    #神々は旅をした

     
     
    これはある40代SEの悲しいリアル プログラマ、SE、PL、PM、管理職を経隓。IT職の働き方、自己理解、AI時代のキャリア、40代の生掻を実䜓隓ベヌスで曞いおいたす ※Amazon.co.jpア゜シ゚むトを利甚しおいたす

    あなたぞのおすすめ