KJourney | 言語とナショナリズム@メキシコ プラヤ・デル・カルメン 🇲🇽
エクアドル以来となるスペイン語留学。メキシコにはたくさんのスペイン語学校がある。国内旅行の拠点にもなりやすいメキシコ・シティ、ディープなメキシコ文化を味わえるオアハカ、アートな雰囲気のグアナファトなど魅力的な候補地が多い中、プラヤ・デル・カルメンという、ユカタン半島のビーチリゾートにある学校にした。
決め手は、学校と同じ建物内に学生寮があるのと、生徒の国籍と年齢が多様なこと。(決して「パラダイス留学」という謳い文句に惹かれたわけではない)
到着した日の夜、寮の食堂に行くと、男2人がフランス語で話してる。フランス人?と聞くと、1人はそうで、もう1人はベルギー人だった。色々話してたら、ふとベルギーについての疑問が湧いた。
「ベルギーって、フランス語とドイツ語とオランダ語の地域に分かれてるよね。結構みんな話せるものなの?」
「いや、俺はフランス語しか話せないよ」
「じゃあ言葉が通じないベルギー人と通じるフランス人とでは、どっちに仲間意識を感じるの?」
「断然フランス人だよ。ベルギーでも言語圏によって文化も価値観も違うんだ」
「ひょっとしてベルギーにはナショナリズムとか薄かったりするの?愛国心も?」
「俺にはないね」
「へー、そういうもんなのか。単一民族の日本人には理解しにくいな」
ここで、大の日本フリークというフランス人が日本のアニメを語り始めた。まあ、嬉しいんだけど、今はベルギーの話がしたいからスルーw
「ベルギーの他の言語圏の人たちのことをどう思ってるの?」
「ドイツ語圏もオランダ語圏も閉鎖的で堅苦しいから好きじゃない。だから俺は自分の国を好きになれない。」
なんかそれって悲しいな。
しんみりしてきたので、少し話の路線を変えてみる。
「ヨーロッパで自国の言語を持たない国って珍しくない?他にある?」
「んー、、、スイスがそうだね」
「確かに。ルクセンブルクは?」
「ルクセンブルク語があるんだよ!」
「あんなちっこいくせに?人口何人だよ笑」
「そうなんだよー笑」
(そう言えばLAの宿では初めてルクセンブルク人と会った。みんな興奮してた^ ^)
ビールからウイスキーに移った頃、女子3人組が合流した。
みんなで話す時は英語だけど、女子だけで話す時にはドイツ語になる。
みんなドイツから?と聞くと、1人はドイツで2人はスイス、チューリッヒ。
スイスのドイツ語圏きたー!
ウイスキーも空になったので、みんなで街に繰り出しクラブへ移動。
初日から友達もできてすっかり楽しい夜になった。
翌日。
ベルギー人のアグノフと。
「スイスの子たち、凄くオープンだね」
「そうだね」
「ドイツ語圏だよ?笑」
「ん、まあ、こうして留学とか旅とかしてるのはオープンな人が多いよ」
こいつ。認めない気か?
「言語が違う隣国同士が仲悪いのはありがちだよね。日本と韓国、ブラジルとアルゼンチン、イギリスとフランスとか。色々あるんだろうけど、言語が違うから理解し合えないという偏見とか、何を考えてるのか分からないから勝手に恐れてるとか、自分が閉じたのに相手が閉じたと思ってるとか、そんなのが大きいと思うんだよね。ベルギーはそれが国の中であるだけなんじゃないの?」
「んー、確かにそうなのかも、、」(苦ーーーい顔^ ^)
次の日。
通常のクラスとは別に、火曜日は任意参加のクッキングクラスがある。メキシコ料理を作りながらスペイン語を学ぶ。

こんな貴重なクラスなのにあまり人気はないのか、その日は先生2人に生徒は俺ともう女の子1人だけ。
その子とはまだ話したことがない。他のメンバーと話してるのもほとんど見たことがない。なんか無口でつっけんどんなイメージ。
スイスのベルンから来たと言う。またもやドイツ語圏。でもチューリッヒの2人とは交わらない。
あれ?こういうことか?
彼女はスペイン語が凄くうまい。
「ここへ来てどのくらい経つの?」
「9週間」
「9週間!それでそんなにスペイン語がうまくなったの?凄いなー」
「スペイン語しか話さないようにしてるの」
いや、そういうことだったのか。
彼女は料理をしながら他の先生たちとよくしゃべる。全然無口なんかじゃない。最初は俺が英語で話しかけても一言返事する程度だったのが、スペイン語だと普通に話をしてくれる。
閉鎖的なんかじゃなく、スペイン語を学ぶために敢えて他のメンバー、特に同じ言語圏の人たちと距離を置いていたんだ。
それってなかなかだ。母国語で話すと楽だからつい固まりがちなのに。楽な方に流れがちなのに。リスペクト。
彼女にもアグノフと同じ質問をしてみた。
「確かにフランス語圏やイタリア語圏に行くと違う国みたいな感覚があるわ」
「ドイツ語圏内ではどうなの?」
「チューリッヒの人たちはスノッブだから好きじゃない」(ピシャリッ)
「あ、そうなんだ、あはは、、」
俺がチューリッヒの子たちと仲良くしてるのを知っているかは分からないけど、、なかなか厳しいね^ ^
この話にはメキシコ人の先生たちも興味津々。メキシコは真逆のパターンだ。
「私たちには、ブラジル以外の中南米で、国を超えて同じスペイン語圏のラテンアメリカという概念があるのよ」
「やっぱり仲間意識はあるんですか?」
「もちろん」
確かラテンアメリカの定義にはブラジルも入っているはずだけど、当人たちは言語で括っているみたいだった。
じゃあ英語圏のベリーズは近所なのに仲間外れ?
「ラテンアメリカでもカリブ海の国々はどうですか?」
「んー、ちょっと違うかなー」
カリブの場合、スペインの後にやってきた他の欧州列強が奪い合って様々な国による統治になったけど、スペインが守り抜いたキューバ、プエルトリコ、ドミニカ共和国もある。スペイン語圏だ。
でもカリブの場合は他の国々同様プランテーション経営のためにアフリカから連れてこられた黒人系が多い。
仲間意識には人種構成も大きいのは心理的にも理解できる。
かと言ってスペインと近い印象はない。それはやはり征服と被征服という歴史的な関係性も影響してるのか。
とても興味深い。
来週のクッキングクラスでもっと掘り下げて聞いてみよう。
※ラテンアメリカ(Latin America)とは、地理的には中南米カリブ全域を指し、文化・言語的にはラテン系言語のアメリカ諸国を意味する。だからいずれの場合もブラジルはラテンアメリカ。スペイン語圏に絞るなら、イスパノアメリカ(Hispanoamerica)という表現がある。これにポルトガル語圏のブラジルを加えるなら、イベロアメリカ。
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