
ゆめのなかの元人間
「いやぁー、俺実は最近個人Vtuber引退して家の主夫やってるんですよね。結構商談とか苦手で。大手になるにはやっぱグッズとか企画の規模とかでかくしなきゃいけなくて。色んなお仕事のお話とかいただくけどただ趣味のゲームを配信で楽しんでるだけの一個人だったもんだし、無理やりテンション高くして数字のために頑張るぞ!みたいな空気に疲れてきちゃって。今は奥さんと娘のために家事育児全力でやってます。もちろん就職できるよう職は探してますよ。今の目標は、ゲームの上手な頼れるお父さんになることです。」
「ああ、実は私離婚したんです。ええ、やっと。前々からずっと溜まっていってたイライラとか日々の言い合いが積もり積もってようやくです。最近流行の熟年離婚?ってやつですかね。これで老後の幸せをちゃんと味わえる準備ができたという感じで、すごく爽快感ありますねえ。共働きでこうなったのもありますけど、今となっては貯金は全部私の老後の幸せに使えてラッキー、みたいな。」
「私、最近保育士をやめたんです。元々子どもが好きで大学受験も迷わず保育学科がある大学を選んだくらいだったんですけど。でも保育園にくるバリキャリのお母さんがお子さんの腕が折れるんじゃないかってくらい強く引っ張って遊具から無理やり下ろして帰らせようとしてるのとか、お母さんの代わりにがりがりなおばあちゃんがよろよろしながら園児さんを迎えに来てるのとか、ほんと見てられなくて。今はベビーシッターをしながら幼稚園教諭免許の資格の勉強してます。通信の大学にも通ってて。学生の時貯金頑張っててよかったです。」
『そうなんですね!今までよく頑張りましたね。本当、お疲れさまです。今後の活躍を祈っていますよ。
あーそれと実は、ぼくも四年前くらいかな、人間やめたんです。世の中に蔓延る憎悪や穢れに耐えられなくて。頑張って溶け込もうとしたけど、生きても生きても駄目でした。ぼくは人にはなるべきではなかったんです。だから今こうして天使をやれていて、すごくすごく幸福ですよ。ぼくが降り立つところにいるあなたのような人はみな、光を浴びて。幸せになっていくんです。紛れもないあなたが生きる現世の中で。ぼくは知っています。あなたの未来を。だから大丈夫。
さあ、目が覚めたらカーテンを開けて、背伸びをして。今日も一日、沢山生きてくださいね。』