
碓氷峠百話#028~恩賀という道路標識
第二十八話 恩賀へ行くには金がかかる?
国道18号線碓氷バイパス(以下、碓氷バイパス)を走っていると、「恩賀」という地名が出てくる。
私はこの地名を、道路標識で覚えた。
以前、碓氷バイパスは有料道路だった。
軽井沢に料金所があり、峠に入る、あるいは、横川から峠を越えた後に料金を払っていた。
その有料道路の途中に「恩賀」と書かれた標識がある。
当時の私は、それを見るたびに少し不思議に思っていた。
「恩賀の人は、家へ帰るのに有料道路を使うのか?」
有料道路の途中に地名があるのだから、何となくそんなふうに考えていたのである。
もちろん、そんなことはない。
今になって調べれば、恩賀は現在の安中市松井田町西野牧に残る地域名で、一般道からも行くことができる。群馬県の道路資料にも、今なお「西野牧恩賀」という地名が記されている。
碓氷バイパスも2001年に30年間の料金徴収を終え、無料になった。
それでも私の中で「恩賀」と聞けば、最初に浮かぶのは今も昔の道路標識だ。
行ったこともない場所なのに、何十年も名前だけ知っている。
道路を走っていると、そんな地名が一つくらいある。
本宮椿