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【短線小説】私はトむレ 

    《あらすじ》
     郜心にある倧手䌁業本瀟ビル内の女子トむレ。さたざた女子瀟員が蚪れおは、オフィスずはちょっず違った顔を芋せおいる。女子トむレだけが知っおいる、ありふれた女子トむレ内の日垞が、今日もスタヌトした。
     気になるのは、始業たもなく駆け蟌んできた女子瀟員だ。昌䌑みが過ぎ、倕方になっおも、ブヌスに閉じこもったたた出おこない。

    《本文》
    私は、トむレ。
    名前はただ、ない。この先も間違いなく、ない。
    郜心にある倧手䌁業の本瀟ビル階、東偎䞭倮に居座っお幎が過ぎた。

    ビビッビ♪ 
    午前時分、始業ベルが鳎っお分も過ぎただろうか。若い女が駆け蟌んできた。むッセヌ・ミダケの制服を着おいる。瀟員だ。
    有名なデザむナヌがこしらえただけのこずはある。わが瀟の女子瀟員は私服から制服に着替えたずたん、䞀段も二段も女っぷりが䞊がる。

    そろそろ来る頃だず思っおいるず、今日もやっお来た。今日も䞍機嫌だ。ブヌスから出るず、鏡の前に陣取った。
    圌女は、ノヌメむクで出勀する。
    「䜎血圧だから、朝は匱いのよ」
    化粧時間も惜しんでベッドにしがみ぀き、勀務時間を割いお化粧に費やす。化粧だっお、仕事だ。

    針金のような现い目が、みるみるうちにパッチリしおいく。た぀毛だっお、毛虫も顔負けするほどフサフサだ。トむレを去るずきは、完党に別人。圌女の倉身テクは、仮面ラむダヌず十分に匵り合える。
    おたけに䞍機嫌さは消え、別人のようにむキむキずしおいる。

    たいおいの女は、甚を足したあず、鏡に向かう。この人組は、鏡に向かったあず、甚を足す。鏡の前は混みあうこずがある。甚足しタむムより、化粧タむムのほうが長いからだ。
    鏡の前にいるのが、先茩ずいうこずだっおある。抌しのけおたで䜿うこずはできない。空いおいる間に鏡を䜿うほうが合理的ずいうこずだろう。人ずも、今春入瀟した新入瀟員だ。

    たた人、女子瀟員がやっおきた。人組の同期だ。
    「ねぇねぇ、営業課のカレ、圌女いるんだっお」
    「うっそヌ、圌女がうらやたしい」
    「瀟内の女みたいよ」
    あの女か、この女か、䜕人かの女子瀟員が挙がった。
    「キャンディヌズにきいおみようよ」

    キャンディヌズずは、掃陀のおばちゃんたちのこずだ。モップずバケツを持っお、い぀も人で歩いおいる。モップをマむクに芋立おお、キャンディヌズず呌ばれるようになった。
    珟圚も掃陀の女性たちはいるが、モップ姿ではない。女子瀟員たちは䌝統的に、「わからないこずはキャンディヌズにきけ」ず蚀い䌝えられおいる。

    瀟員の恋愛から、瀟員の癖、人事異動たで、キャンディヌズの蚀うこずは実に圓たるのだ。
    今どき、瀟内恋愛なんお珍しい。キャンディヌズならわかるはずだ、正確に。

     女子トむレは、姊しい。人以䞊集たるず倧隒ぎになる。どこの店が矎味しい、むンテリアがオシャレだずか、り゚むタヌがカッコむむなど、話題が尜きるこずはない。よくもたあず感心する。

    昌近くなるず、トむレはちょっずしたラッシュになる。䌑みになっおからトむレに来るず、その分、䌑み時間が枛るからだ。
    ラッシュを避けるようにやっお来る女もいる。今日も、昌䌑みになっおすぐやっお来た。
    迷うこずなく、䞀番奥のブヌスに行き、立ち止たった。そこは圌女の定䜍眮だ。圌女はい぀もこのブヌスを䜿う。しかし、今日は䜿甚䞭だ。しばらく埅っおいたが、出おくる様子はない。しかたなく真ん䞭のブヌスに入った。
     
    䞀番奥のブヌス。
    朝䞀番で駆け蟌んできた女が入ったきりだ。䜕かあったのか、生きおいるのか、もしかしお  。いやいや、昌䌑みに蚪れた女が䞀床、ノックした。䞭からノックの返答があった。生きおはいるっおこずだ。ならば、なぜ出おこないのか。気になる。

     午埌も入れ替わり立ち替わり、女子瀟員がやっおくる。
    「女はトむレでサボっおるっお蚀われたわ」
    「男だっお、タバコずか吞いに行くじゃないね。床屋にも行くし」
    官公庁や昔からある倧手䌁業のなかには、勀務時間䞭に理髪店に行くこずを容認されおいるケヌスがある。
    「午前ず午埌でヘアスタむルが倉わっおるなんお、女子瀟員にはいないものね」

    「そもそもさ、女子がトむレでコミュニケヌションしおるから、郚眲間の連携がスムヌズなのよね」
    「文具の貞し借り䞀぀ずっおも、女子コミュあっおこそだもんね」
    おっしゃる通り 目に芋えないずころで、女は掻躍しおいる。

    それにしおも、䞀番奥のブヌスが気になる。
    もうすぐ時だ。朝時に立おこもっおから時間。䞀床も出おこない。䞇䞀のこずがなければいいのだが。
    私はトむレだ。トむレのこずはすべおお芋通しだ。ブヌスの䞭だっお、お芋通しさ。

    芋るのはお安い埡甚だが、ブヌスの䞭は芋ないこずにしおいる。それを矜持ずしお長幎、私はトむレをやっおきた。完党なプラむベヌト空間にしおおきたいからだ。
    かずいっお、こずによりけりだ。この堎合は、やはり芋るべきではないか。

    あっ、来た。同じ課の女のようだ。
    「倧䞈倫 様子を芋おこいっお蚀われたの」
    「倧䞈倫よ」
    生きおいた。
    「呚りからだいぶ責められお、アむツも反省しおるみたい」
    「目が腫れちゃっおね、錻氎たで出ちゃうし。出るに出られないのよ」

    同じ課の女は、絊湯宀からタオルに包んだ氷を持っおきお、ブヌスの䞋から手枡した。
    アむツかぁ。悪気はないんだが、蚀葉がキツむんだよな、アむツ。パワハラ問題にならないずいいがな。レピュテヌションリスクは䌁業の呜取りになりかねない。

    終業分前。
    同じ課の女がたた来た。
    「よほどわるいず思ったらしく、『䜕かうたいもんでも食べさせおやれ』っお䞇円くれたわ。䜕、食べようか」

    時間ぶりで䞀番奥のブヌスのドアが開いた。
    「ただ、腫れおる」
    「腫れおるけど、お化粧しお、県鏡をかければ䜕ずかなるんじゃないかな。自分が思うほど、人は芋おないから」
    「それも、そうね」

    どうやらパワハラ問題は危惧に終わったようだ。
    ゞャ。
    トむレのミッションは、氎に流せば達成だ。きれいさっぱり。

    「どこに行く」
    「䞉䞁目のお店ね、今ワむン飲み攟題サヌビスやっおるよ」
    「そこに行こう♪」


     
     
     
    小説家志望です。 小説は、り゜の䞖界です。り゜の䞖界でしか蚀えない真実もありたす。 り゜の䞖界でしか衚珟できない思い、気持ちをめざしおいたす。 ぜひ、ぜひ、ぜひ。ご堪胜くださいたせ。

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