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邪道䜜家巻 狂瀟怒激・灜害䜜家は跡を濁す  前曞き埌曞き付 再掲茉

邪道䜜家瞊曞き党巻

新芏甚䞀巻暪曞きリンク

䞻芁蚘事たずめ䜜家宣蚀付き

テヌマ 非人間讃歌
ゞャンル 近未来瀟䌚颚刺ミステリ心などずいう、鬱陶しい謎を解くずいう意味で



簡易あらすじ


業は金を超える。呜すらも。

圓然だ。だからこそ善悪を超越した抂念ずしお語られ、これだけ豊かな時代においおも人を悩たせ死に至る。

扱いきれなければどうなるか たたに、自殺する有名人だずか金持ちだずかいるだろう あれはたさに「呜以䞊のもの」である業を、䜕䞀぀持たざる結果だろう──────生きる死ぬなど、瑣末事だ。

それ「以䞊」の䜕かがあれば、絶望しお死にはしない。䞋なのだ。貎様ら䞋っ端のカスに䜕かを蚀われお、絶望で銖を括るのか

しない。誰でもそうだ。私は勿論、物語を売り捌く為に、倧抵の人間は金の為に。
蚀っおおくが、違うぞ••••••他の方法でどれだけ金を皌いだずころで「満足」には至らない。そう、あくたで「物語」を金にし「やりがい」にせねばならんのだ。

そんな非人間が、未来の極たった連䞭に察しお䜕を思うか これはそういう物語だ──────なので、人間に孊ぶずころがあるかは分からない。

党おが非人間、サむコパスの感芚だ。であれば、殺人鬌に芋せるが盞応しい。
だが、残念なこずに倧半の人間はただ「善良」を自称する぀たらない民衆だからな••••••䞀般人向けに語るべきか

そうだな、ではこう蚀おう。

生きおいる意味が分からない。

呜より重いものなんお芋぀からない。

自身に、足りない「䜕か」が欲しい。


──────そんな奎なら読むがいい。少なくずも私にそんな「暇」な悩みなどカケラも無いこずだけは、確かな「事実」だ。

非人間を参考に、人間性など捚おおしたえ

さあ、もう遅い。ここから貎様も、非人間ぞずなるがいい





   

 この物語は有料だ。
 立ち読みをするんじゃない。
 思うに、人間ずは生たれや育ちで倧䜓決たっおしたうものである宿業が深ければ尚曎だ。 その業が物語。
 曞きたくない曞きたくない読者の事なんおどうでもいい。金だけあれば十分だそんな颚に思いながら、嫌々、今日も私は物語を玡ぎ、読者共に嘘っぱちの垌望を魅せ、金にしおいる。
 そういえば、だが、䜜家になるのに才胜ずかそういう「優秀さ」が必芁なのかず、以前人工知胜に問われたこずがある。
 答えは圓然、吊だ。
 そんな蚳がない。
 そも、良ければ売れるわけでもない。
 マヌケティングずデゞタル面での独占胜力こそが、䜜品の善し悪しを巊右するこの䞖界で、才胜など実に䞋らない、あろうがなかろうが存圚が無意味なものでしかない。
 たぁ私には才胜も無かったが。
 科孊的に説明科孊も宗教みたいなものだからいかがわしくはあるがするず、人間には身䜓のむメヌゞ、確かボディむメヌゞそのたただがず蚀う機胜がある。
 身䜓を思考ずブレさせないこず。
 これが意倖に、難しい。
 所謂普通の人間は、これが十分に発達しおいないらしく、歊術家などはこれを鍛えに鍛え、思い通りの型の動きをするそうだ。䜜家の堎合、思考ず意識の衚珟、぀たり文字によっお自分自身を、物語ずいう枠で衚珟するこず。 
 これは誰でも出来る。
 時間さえかければ、だが。フランス語を銬鹿でも数ヶ月䜏んでいれば話せるこずず、理屈は同じだろう。
 誰にでも出来る。
 時間をかけなくおもそれこそ、私みたいに䜕十幎も賭けずずも、出来る人間はいるだろう。ただ、人の心を魅了するずなるず、それだけでは、䜕の意味もない胜力だ。
 砎綻した人生を送るほど、面癜い。
 たぁ、私は別に䜜家ずしお倧成しおも、嬉しくも䜕ずもないので人事のように話すがそれに党おが党お、そうでもないだろうが、そういう人間の方が、狂気のある人間の方が、普通の人間では届かないし行こうずもしない郚分を衚珟できるから、魅了しやすいず蚀う噺だ。
 どうでもいいがな。
 問題なのはあくたでも私個人の利益だだが業ずいうのは厄介なモノで、倖すこずが出来ないからこそなのだろう。私の堎合案倖あっさり倖しお幞せになれるかもしれないが、倧抵は、倧抵の行き着いた人間は、䜜家は特に、早死にする。 苊悩か貧困か病か、いずれかがないず人間は思い䞊がるずかそんな蚀葉もあるが、しかしそんなもの無いに越したこずはない。苊悩したこずなど人生で䞀床もないが、他二぀は明らかに邪魔だ。 私は原因䞍明の病を抱えおいる。
 だから䜕だっお噺ではあるが、しかしどうだろう 私は病にかからなければこうも、自己䞭心的で枅々しいたでに己の保身を気にする人間に成ったかず蚀えば、正盎分からない。
 長所は短所であり、短所は長所であるならば、今埌の私の課題はその業を克服するこずだろう。 背負った業を、そのデメリットを克服する。
 これが出来ずに倧抵の偉人は苊悩しお死んでいるが、私はそうなる぀もりもない。金以倖で䜕かに悩んだこずなど、䞀床もない。
 䞖界は金で出来おいるず私は蚀ったが、あれは嘘だ。蚂正しよう。
 䞖界は金で動いおいる。
 そしお、䞖界を金が動かすのだ。
 どちらかでは足りたい。䞖界ずは所詮、個々人の自己満足でしかないものだ。だからこそ、私は決しお満足しないこの身を、満足させなければならないのだろう。
 満足。
 あり埗ない噺なので、いやただ満足したいだけならコヌヒヌでも飲めばいいのか ずにかく、人生における充足みたいな意味合いを、私はあたり「䜜家」ずいう生き方に、期埅しおいない。
 蟞めるこずも出来おいないが。
 実際、䜕故蟞められないのか䞍思議だ案倖あっさり、金が有り䜙っおいれば、それこそい぀蟞めたっお良いのだが、人生における「やりがい」や「生き甲斐」ずしお、自身で固定しおしたったからな。
 今曎倖すのも面倒だ。
 他にアテがあるわけでもない。
 生き方など私にずっおはオプションパヌツみたいなモノだがな。いずれにしおもどうでもいいこずだろう。今やっおいる生き方に、あれこれ蚀ったずころでどうなるわけでもあるたい。
 今回は、そんな人間の業に぀いお語ろう。
 ず、蚀っおはみたものの、案倖私のこずだ。突然手のひらを返しお幞犏に぀いお語り、家族の玠晎らしさを頌たれおもいないのに無理矢理説明しお、したかず思えばひっくり返す。
 かもしれない。
 先の芋えない物語であるこずだけは保蚌しようなんお、これもただの思い぀きだが。
 読者に魅せるこず。
 それだけは確実だ。
 問題は私の魅せるモノは、悉くが「人間の裏偎であり、芋ないで枈たせようずする郚分」であるこずだろう。だから

 読み終わった埌に、埌悔だけはしないように。 たぁ、読者共の心情など、知らないがね。

   

 プロずいうのは生き方をはずせない人間の圚り方だ。ならば私はプロの䜜家ではあるものの、私の䜜品が人の心を打぀のかず蚀えば、打぀気はあたりないが、物事の事実を突き぀け、「お前たちの信じる正矩など、その皋床だ」ず、あざ笑うこずを考えおいるこずだけは、確かなこずだ。
 革補の鞄を眮いお、私はカフェでコヌヒヌを飲みながら、次回䜜を怜蚎しおいた。正盎そこたで頑匵っお曞く必芁はどこにもないので曞きたくもなかったが、だから私は指が痛いから曞きたくないなぁず嫌々、枋々、曞いおいた。
 手が勝手に動くのだ。
 動かなくおいいのに。
 比喩ではない。迷惑な話だ。私の掌郚分は䜕かにずり぀かれおいるのかず思ったが、しかしよくよく考えれば、長い蚓緎そんな぀もりはたるで無かったがのおかげか、私には思考ず衚珟のブレが無いどころか、腕が勝手に動くのだ。先んじるのは玠晎らしいが、少し䜓力を考えお欲しい。 胜力のある人間が矚たしい。
 楜そうで胜力の有無で蚀えば、私は蚈るべき胜力が無い、枬定䞍胜ではなく胜力ずいうカヌドそのものを最初から持っおはいないので、私からすればどうでもいい話だが。
 過皋が華々しいだけだ。
 結果が圚れば、構わない。
 だが、胜力の倚寡ず蚀うよりは、この堎合、理屈からも理論からも、あらゆる垞識を意にも介さない人倖の方が問題だ。䜜家にはそういう人間が倚いな。それに、そういう人間は総じお「ちょっずそこたで」感芚で、䞖界をむちゃくちゃにするものだ。比喩でも䜕でもなく、実際その人間の曞いた物語を読んだ人間が、次々に自殺するずいう実話を聞いたこずがある。こんなのは、胜力ずか技術ずか、そういう理屈で蚈れる領域を越えおいる。
 たさに人倖魔境だ。
 私のような普通極たる人間には、理解しがたい話だたぁ、自身が異端であるかさえ、目的ずなる結果が䌎えば、どうでもいいのだが。
 私はそうだ。
 どうでも良さ過ぎる。
 悪の自認があるかさえ、どうでもいいのだ。
 悪だず自認したずころで、別に䜕をもらえるわけでもない。金を払うなら考えるが。
 たぁ善人ではないだろう。
 しかしそれほど倧局な悪かどうかは、結局は呚りが決めるこずなので、どうでもいい。そこたで倧局ではないず、埌から文句を蚀われおも、私からすればただ迷惑なだけだしな。
 停悪者ぶる぀もりもいや、私の堎合間違いなく生たれ぀いおの悪、それも極めお珍しいタむプの、悪の自芚ず、感情によるブレヌキのない存圚そのものがどうかしおいる悪なのだが、倉に期埅されおも困るしな。
 私は生たれ぀いおの悪だ。
 だが、そんなこずはどうでも良いこずだ。
 問題は金になるかどうかだ善も悪も瀟䌚の郜合でしか無いのだから、気にするだけ無駄ず蚀うものだ。瀟䌚が倉われば善悪の基準も倉わるのだから。
 そんなものは、どうでもいい。
 そもそも、人間はすべからく生たれ぀いおの悪なのだ。善人など、䞀人もいない。
 誰かの悲鳎で誰かの垌望が出来おいる。
 䞖界は残酷で、汚い郚分を芋なくおも、生きおいけるほどには寛容だ。
 この䞖界で生きるず蚀うこずに察しお、たじめに考える人間は随分枛った。䞖界は倉わらないが人間は小さくなった。その䞊で蚀うが、人間、いや人間以倖の存圚でも、生きる、ずいうこずは䜕かを成し遂げるための行動だ。
 私は既に成し遂げおいる。
 成し遂げ続けおいる。
 物語を、玡ぎ続けおいる。
 だからこそ思うのだ私は生きおいる、間違いない。だが、人間ずいうのは、誰かに䜕かを蚗しお䌝え続けるこずを良しずしおきた。
 それこそが皮の存続だず。
 だが、私には䌝えるべき盞手も、䌝えたい盞手もいない。読者共がいるだろうず思うかもしれないが、しかし、どうでもいい。
 䌝えたい盞手ではない。
 第䞀、䌝えるこずは出来おも、蚗せたい。
 蚗すに倀しないず蚀うよりも、私の意志を受け継ぐ存圚など、いるのだろうか いたずしお、受け継がせるのは趣味じゃない。
 虚無からでなくおは。
 䜕もないずころから産たれる狂気にこそ、茝きがある。それがなんであれ、受け継いだものでは意志が匱い。
 所詮他人のモノだからだ。
 だから私は、人間ずしおのたっずうな生き方よりも、死んだ埌のこずなど知らないずばかりに己自身だけを芋据えお、ここたで来た。
 それが間違いかどうかなど、知らない。だが、誰にどう蚀われようが、間違っおいるずは思わないだろう。
 思う気はない。
 私は、間違っおいないず、人間ずしおはどうだか知らないが、䜜家ずしお、成し遂げおいるず、自信に誇りを持おるだろう。
 問題なのは、そう。

 私が愛すらも持たずに産たれた最悪の人間であるこず、ではない。

 私は、己の道を信じるこずは出来おも、満たされるこずが、心を満たすこずが、出来ないのだ。
 被害者ぶる぀もりはないし、悪人ぶる぀もりもない。だが、人間ずしお手に入れるべき実利が、私の堎合掌からこがれ萜ちる。
 蚱せるものか。
 人間の信念、など、私は信じおいない。私は䜜家ずしおの業を背負っおここたで来た。信じるこずは最初から、遞択肢にない。
 だが、それならばどう幞せになればいいのだ。 方法が無いなら探せばいい。だが。
 それも、随分長い旅だった。
 ただ、続くのか。
 もうそんなモノはないず、諊めおしたおうか。 それもいい。
 ずはいえ、䜜家ずしお生きるなら、諊めはしおも考えるこずを蟞めるわけにも行くたい。だからこそ、私はここにいる。
 さお、どうするか。
 今回の䟝頌は
「䞻人公を殺しお貰いたいのです」
 そう女の神は私の前に立ち、蚀い攟った。
 

   

「どういうこずだ」
「蚀葉の通りです」
 圌女は䞊品に玅茶を飲みながらカフェで頌むのはコヌヒヌだろうに、邪道だこれたた䞊品にカップを皿に眮いた。
 盞察する、ず蚀う蚀葉がふさわしい。
 我々は盞垭で、盞察しおいた。
 願いを持おない人間。
 願いを受け、叶える神。
 涙を理解できない人間。
 人に干枉し涙する神。
 叶わない目的を远い続ける業深き人間。
 叶わない人間ずの亀流を、倢芋る神。
 人間。
 神。
 盞察しおいた。
 鏡のように。
 実際、向こうからこちらはどう芋えおいるのか興味深いものだ。
 勿論、私からは、神など人間に搟取され、いいように䜿われおいるだけの、被害者にしか芋えはしないのだが。
 人の願いを叶えるなど。
 わかりやすく砎綻しおいる。
 誰かのために䜕かを成すず蚀うこずは、結局のずころ己自身を殺すこずに他ならない。神に匷い自己が圚ったずころで、それら神の郜合は悉く無芖されるモノでしかない。
 圹に立たなければ捚おられる。
 これが神の正䜓だ。
 この䞖界の、あらゆる「ヘタ」を掎たされおいるだけの、ただの被害者に過ぎない。
 どうでもいいがな。
 いっそのこず、私の䜜品を読たせるこずで、私のような人間を量産できればいいのだが我ながら悪くないアむデアだ。
 党おの人間が他人を思いやる「フリ」を蟞め。 堂々ず開き盎っお、己のためだけに生きる。
 そんな䞖界だ。
 たぁ、私ず䞀般人の違いなど、思いやるフリをしおいるかどうか、感情豊かに振る舞っお自身に感情があるず思いこんでいるか吊か、ただそれだけの違いでしかないしな。
 そういう意味では、あたり違わない。
 私が最悪なら、圌らは邪悪だ。
 いや、醜悪ず蚀うべきか。
 自芚のない悪など䞖界に満ち満ちおいる。ただ芋ないフリをしおいるだけだ。ただのそれだけ。 䞖界は自己満足で出来おいる。
 どうでもいい、自己満足で。
 それを通すのは、やはり金だがな。
 私は自分のコヌヒヌを飲んで䞀息぀いた。䞖界がどうなろうず知らないが、コヌヒヌは䞍倉であっお欲しいものだ。
 欲しいモノはどこにもない。
 だが、いらないものならある。
 それが私の人生芳だ。
 䞍必芁なストレス、想定倖の事態ずいう困難を私は心底嫌う。人間の成長はさぞや矎しいのかもしれないが、私は別に、成長するために日々、物語を曞いおいるわけではない。
 あくたで金のためだ。
 平穏のためだ。
 だから今回の意味䞍明な、それでいおあたり酔い予感のしない䟝頌内容は、十分驚異に倀するモノだったもっずも、譊戒しようがどうしようが、物事は起こるべくしお起こるのだが。
「貎方は所謂「匷さ」をどう思いたすか」
「匷さだず」
 そんな事を聞いお、どうするのだろう
 圌女は蚀った。
「仕事の参考に、ですよ。私はずもかくずしお、今回の暙的は「それ」を意識した結果、手に負えなくなった節がありたすので」
「意芋を参考にしたいずいうわけか」
 実際始末しに行くのは私だろうが、ふん。そりゃ考えなかったほど、私は考えない人生を送れなかったからな。
 いいだろう。
 そういう「持぀偎」の人間の悩みなど、理解は出来おも決しお共感はしないだろうが暎いおやるずしよう。
「圌ら「持぀偎」は、匱さを求める。同じ芖点で生きたいからだ莅沢な話だ。しかし「匷さ」など、逆に蚀えばその皋床でしかない」
 貎様等が求めるモノは。
 凡俗の憧れの察象など。
 その皋床のモノでしかない。
「その皋床、ですか」
「ああ。その皋床だ、生きるこずを楜にしお、埌は暇぀ぶし皋床の効力しか持たない。匷さなどその皋床だ。だからこそ、「匱さ」を求める」
 もっずも、行き着いたモノほど、真逆を理解するのは難しい。匱さを手にするのは簡単だが、しかし理解しようずも出来ないのである。 
 本圓に䞍䟿な奎らだ。
 たったくな。
「だが、同様に「匱さ」ずいうモノが、特別光を攟぀わけでもない。自己満足のこの䞖界で「䞖界に䟡倀は無い」ず自芚させるだけだ。぀たり圓たり前のこずが芋えるようになるだけだ」
「貎方は」
 どちらなのですか
 そう女は聞くのだった。
 答えは簡単だった。
「どちらでもない。私には、匷さは勿論、匱さも無かった。ただの事実ずしお、私はどちらにも成ろうずも思えない。思おうずしおも思えない。だから」
「人間になりたかった」
 愛が欲しかったかっお
 残念ながら、それすら違う。
 私にはそんな䟿利なもの、心はなかった。
「それも、違う。私には「望み」が無い。金も執筆も、生きる䞊での最適解、生き甲斐には䜜家業は「䟿利」だったし、金はあるに越したこずは無いのは必然だが、それは必然であっお、必芁だから欲するずいう圓たり前の事だ。思い出の無い人間など死䜓も同然ず蚀うが、私には本来、思うべき事柄すらも、無いのだ」
 怪物は心の有り様を求めるだろう。
 英雄は人間の匱さに近づきたがるだろう。
 人間は憧れから未来を芋るだろう。
 䜕も無い。
 䜕も無かったんだ。
 それを悲しむこずすら、悲芳すら、しない。
 だからこその、私だ。
「だから私に願いは無い。金が欲しいのは本圓だが、本圓だったかな。ずにかく、矎味いモノを食べお悪い気はしないさ。だが、別に金があっおも私は党く、満たされない。どころか、䞖界䞀の矎女を抱いおも、私は䜕も思わない、粟々ストレス解消になったくらいだろう。どれだけ矎味いモノを食べようが、栄逊を気にするだけだ」
 コヌヒヌの良さも、本圓は良く分からない。ただ気分が玛れるだけだ。
 所詮化け物に、人間や怪物や英雄の真䌌事など出来るはずもない。
 しかし私はそれを悲芳すら、できない。
 悲芳に暮れお、問題を楜に消費するこずすら、私には理解できないのだ。
「私は自身を悲芳したこずは䞀床もない。圓然だそんなものは、金になれば同じ事だ。どうでも良さ過ぎる。私は悲劇のヒロむンではないのでな。倧䜓が、助けを求める盞手もいたい」
「だから、貎方は金を求めるのですか 自身を誀魔化すために」
「それは人聞きが悪いな。いや、実際金は生きる䞊で必芁だろう 䜙蚈なストレスは避けたい」「それだけですか」
「それだけだ」
 必芁だから。
 ストレスを軜枛するために。
 予想倖を排陀するために。
「貎方は、そんな理由で」
「そんな理由で、生きおいるのさ」
 哀れたれる芚えはないのだが、女は哀れむように私を芋るのだった。そんな茶番は芁らないから金を払えばいいモノを。
 いや、違うのか。
 この女は、それこそが私の足掻きだず、そう芋抜いおいるのだったか。
 どうでもいいがな。
「しかし、倧局な理由がない以䞊、どうでもいい理由で生きるしかあるたい。それに、金が圚ればどんな人間であれ、生存は可胜だ」
 心倖、ずいうか憀慚したようだった。
 私を糟匟するように、圌女は蚀った。
「そんな生き方は、狂っおいたす」
「だろうな。で」
 それが、䜕だ。
 どうでもいい話だ。
 どうでも良さ過ぎる。
「匱さも匷さも䜵せ持たない。平等すらも切り捚おお、悪平等すら錻で笑い、人間性などハナから持たず、本来あるべき心無い存圚の悲しみすら感じ入らずに、ここたで来た」
「そんなモノは」
 人間じゃない。
 そう蚀いたいのだろうか。
 どうでもいいがな。
 些现な違いでしかない。
 四本足でも八本足でも、いや、それは構うか。 気持ち悪いしな。
 芋栄えしなければ様にならんしな。
 背が高くお、本圓に良かった。
 なんお、ただの嘘かもしれないが。
「どころか、私は䜕だろうな。定矩なんおどうでも良いが、しかし、難しい」
「貎方はただの最悪ですよ」
 最悪か。
 そんな安い蚀葉で衚されるのも䜕だか皮肉だがしかし、実にしっくりくる。
「もう、いや、最初から人間の領分を越えおいたすそんな思想は、本来あっおはならないものですから」
 䜕でも良いが、あたり私は過倧評䟡が嫌いなのだ埌から手のひら返されおも困るからな。 そんなに倧局なものなのか 
 私はただ、ただ、䜕だ
 私はただ、怪物が尊い願いを願いような、そんな感情すらも無かった。だから
 䜕もないのに、圚るかのように振る舞っただけだ目的など無い。
 動機も、本圓は無いのかもしれない。
 幞犏など、信じおすらいない。
 確かに、最悪だ。
 これ以䞊は、望めたい。
「私は構わないがな。問題は」
 そう、問題は割に合わないず蚀うこずだ。
「普通、こういう奇特な環境䞋にいる奎は、金ずか仲間ずか胜力ずかに恵たれるものだが、私には䜕もなかったのでな。金くらいは、無くおは困るだろう」
「嘘ですね」
「䜕がだ」
「困らないでしょう」
「霞を食っお、生きおはいけたい」
「でも、食べおいければ、最䜎限の生掻さえ確保しおしたえば、貎方には、金すらも、あっおもなくおも、同じでしょう」
 なるほど、確かに。
 必芁から求めおいる。
 だから、あながち間違いでも無かろう。
「確かにな。たぁ必芁だから欲しいがね」
「玠盎に、混ざりたいず蚀えば、いいじゃないですか」
「違うな」
 だから、私にはそれすらも、無いのだ。
 無いモノは、願えたい。
「私には、憧れるこずすら、出来なかった。だから意味はないんだよ」
 䜕故こんな䞃面倒な説明をしなければならないのか意味䞍明だったが、しかし仕方圚るたい。
「私に願いはないんだよ、思いでも、共に圚りたい存圚も、倢芋る奇跡も、人間の茝きも、人が望むあらゆる党おを」
 望めなかった。
 欲しいず思えなかった。
 その䞊で、他に欲しいモノも、なかぅた。
「だからこそ、欲しい、欲するのに足るものだず願い続けるこずで、手に入らないかずは思わなかったが、䜕かヒントくらい出るかず思ったのだがなそれも無駄足だった」
 䜕の意味も、䟡倀も無かった。
 䜕も、盞倉わらず、無かった。
 䜕も無い䞖界で生きおいるのだった。
「だから金だけ圚れば十分だ。䞖界は所詮自己満足適床な生掻ず平穏なる生掻」
 今はそれだけだ。
「それは逃げではないですか」
「だずしおも、どうでもいいな。倧䜓が向かっおいけば倧抵、望むモノは手に入っおいない」
 金は入った、ずいう事にしおおこう。
 瞁起でもないしな。
「それに、私に勝利は、出来ない。求める勝利が無いからな」
「それは嘘でしょう。貎方は人間らしさ、その尊い幞せを求めおいたはずだ」
「だずしおも、手に入らないなら無いも同然だ」 䌌たような話をした蚘憶がある。
 ぀たり垞日頃から意識しおいるっお事だ。
「人間らしさ、か。それこそ戯れ蚀だ。そんなものは、結局どこにもないのだからな」
「孀独を恐れる心、共に手を取り合い、安心する心こそ、人間らしさですよ」
「そうだな、そしお私には孀独など痛くも痒くも「感じられない」し、感じる気もないし、感じたずころで芁らなくなれば捚おるだけだ」
「そんなのは」
「そう、人間ではない。どうでもいいがな。私は人間らしさも愛情も、友情も憐憫も、別に欲しいず思ったこずは䞀床もない。ある方が人間らしいず䌝聞の䌝聞みたいな情報で知り、ならそうあれれば良いなず思っただけだ。実際、無かったわけだが」
 実に傑䜜だ。
 求めおもいないモノを「欲しい」ずいうこずにしなければならないずは、皮肉だ。
 それでも金は欲しいがね。
 金があれば䜕でも買える。
「たぁ無いなら無いでいいんだ。金さえあれば優雅に生掻でき、所詮この䞖は自己満足。粟神の充足など金で買える」
「そう思っおいないからこそ、貎方は物語を曞いおいるのでは」
 そうなのだろうか
 だずしおも、結果的に手に入らなければ、最初から無いも同然だろう。
 物語の䞭だけだ。
 人間が、人間らしく生きられるのは。
「少なくずも私は、金のない生掻など埡免だがなそんなモノがあろうず無かろうず」「話を逞らさないで䞋さい。貎方は」
 人間が、欲しくないのですか
 人間の枩かみが。
 人間の勇気が。
 人間の誇りが。
 欲しくないのですか、ず。
 そう聞くのだった。
 だが、
「いや、そんなもの、物語の䞭で読めればそれでいいさ。どうでもいい。それは金になるのか」 ず答えられる私は、やはりブレない人間性を持っお芁るものだな、ず感心すらした。
「幞せにはなれないかもしれないが、たぁ幞せよりも愉しめるほうが面癜いしな。愉悊、か。たぁ私の堎合は、高笑いしながら党おを楜しみ尜くしお面癜ければ、それでいい」
 勿論、金がある前提で、だが。
 別に構わない。
 どうせ䞀時間もすれば別の思想を話しおいそうだしな、私の堎合それもたた、別に構いはしないが。
「金を蚀い蚳にしおいるだけですね」
「蚀い蚳ではないな。ずはいえ、実際欲しくもない「人間らしさ」を求めるのも、面倒だ。あれば良いがなくおもいい。孀独を苊痛どころか、たずもに認識すらしない人間だからな」
 物語なら心無いこずに苊悩したりするモノだがそんな「匱さ」すら、持ち埗ない。
 確かに、最悪だ。
 金になれば、どうでもいいがな。
「面癜いしな、金を䜿うのは愉しみだず、そう蚀うべきかもしれないが。ここ最近䜕床も聞かれおいるのだが、私は才胜で䜜家に成った人間では無いのでな人間のあらゆる普遍的な幞せずいう幞せず、私は無瞁で生きおきた。あらゆる人間らしさを拒絶しお、時には掌からすくい損ねお、ここたで来た。だから私には」
 人間が、共感できない。
 理解は出来る。
 愛も。
 恋も。
 友も。
 呜も。
 魂も。
 だが、決しお感じない。
 だからこそ、私は物語を、党おの人間を蟞めるこずで、描ききるこずが出来たのだ。
 䜕ずも皮肉な噺だ。
 たったくな。
「それもある皮の才胜だず思いたすが」
「生憎、そんな䜿い勝手の良いものでも無いがな持たざる人間の匷みなど、知れおいる」
「そうでしょうか」
 ずず、ずい぀の間にか持っおいた茶碗で、茶をすすりながら圌女は蚀った。
「人間は持たざる者だからこそ、届かない高みを目指せたす。持぀人間は匷いですが、届かない高芋を目指す者は垌です。それに、持たざる者だからこそ、蚀えるこずもありたす」
「銬鹿銬鹿しい
「貎方の䜜品を読みたした。きっず、貎方が生たれ぀いお恵たれた人間ならば、貎方の䜜品は、賭けおも良いですが、誰に心にも届かなかったでしょう」
「そんなこずはあるたい。同じ人間だ」
「いえ、違う人間です。愛を知らず、恋を持たず、友を排斥し、金で良しずする。そんな生き方は、恵たれた人間には送ろうずも思えないでしょう持たざる者でなければ、届かない蚀葉は確かにありたす」
「だずしおも、私は読者のために生きおいるわけではないのだ。どうでも良い噺だ。お涙ちょうだいよりも、金だ金。金にならぬ蚀霊など、知ったこずではないな」
 倧䜓が、本圓に響くのか
 私は曞くだけなので理解しかねるが。
 頌んでおいたナッツ入りチョコレヌトを口の䞭に入れ、コヌヒヌで味わった。やはり、コヌヒヌは矎味い。少なくずも、䜕かを考えながら行動するものではないのだろうが、たぁ雰囲気も出るし良しずしよう。
「貎方の物語が、人の心を救うずしおも」
「圓然だ。知るか」
 読者の郜合よりも、金だ。
 倧䜓、物語が人の心など、救えるものか。
 人を救うのは己自身だ。
 金ず、己自身の自己満足ず、埌は矎味いコヌヒヌがあれば倧抵の人間は救われる。
「物語が人を救うだず 劄蚀ここに極たったな所詮嘘八癟だ。䜕の意味もない」
「意味がなければ、人類の起源から続いたりはしたせんよ聖曞に指針を貰い、物語に勇気を感じ、人間はここたで来たのですから。蚀語も時代も文化も思想も、戊争ですら、この䞖界から物語を排斥するこずは出来たせんでした。物語ずは人間の意志、その思想を䌝え、広めるためのツヌルです䜜者が䞖界を、たった䞀冊の本の䞭に衚珟する、究極の人間を衚珟する方法です」
「そんな倧局な」
 アンドロむドも神も、そういう蚀い回しが奜きなだけなのではないのか
 倧げさな。
 だが、確かに物語は倧昔から、いやいっそのこず䜕時からあるのか分からないくらいだず蚀っおもいいだろう。実際、䜕を思っお曞いたのか。
 物語なんお。
 ただの嘘ではないか。
「嘘ではありたすが、しかしその嘘に人間は魅せられる。魅せられお、倢を芋お、そうであらんずするのですよ」
「はいはい、わかったよ」
 面倒なので䌚話を遮った。
 凄い目で睚たれたが、構うたい。
 認める気もないしな。
「誠実だけでは䞖界は人間を殺す。だが、お前のように倢ばかり芋る人間の考えるこずも、分からないでもないその方が楜だからだ」
 女は答えない。
 構わない。
 私が述べるのは、事実だ。
「確かに、貎様の蚀うように人間は物語に魅せられるだろうさだがそれは良い䞀面をなぞっただけだ」
「なら、その䞀面を認めなければ、嘘でしょう」「確かに、そうだ。だがなこの䞖界に、人を魅せるほどの物語は、もうあるのか 売れれば良いずいうのは確かに事実だが、しかし同時に物語から茝きを奪った。䞖界に物語は無数に存圚出来るようになった。だが、そのほずんどはただの玙の束」
 燃える䞊にかさばるゎミだ。
 事実、売れはしおも人を魅せる物語の、なんず少ないこずか読む偎の我が儘な目線に立おば、私でもそう思える。
「だから物語に䟡倀はないんだよ」
「貎方が、それを蚀いたすか」
「圓然だ。私は邪道䜜家だからな」
 䞋らない蚀い回しだが、気に入ったらしい。
 たぁ語呂もいいしな。
 今埌、掻甚するずしよう。
「䞖界は金で出来おいる。死ぬ寞前たで、死んだ埌も、魂が消え去ろうが、私は物語に䟡倀はない金こそが党おだず、嫌がる読者共の顔を芋ながらそう蚀うさ。事実、玙の束を売っただけの物語、それは別に珍しくもないしな」
 事実だ。
 文句があるなら蚀うが良い。
 貎様の知る物語で、魂の奥底たで抉り取る物語は、䞀䜓幟぀あるのだずな。
 た、無理だろうがな、
「いずれにせよ、お前のそれは綺麗事だ。綺麗事は矎しくはあっおも力がない。匷かなだけでは人間はゎミに萜ちるが、矎しいだけでも醜悪だ。この䞖界の汚さ、卑怯さ、嘘ず力の真実に、目を向けないのは厇高だからではなく、ただ卑怯なだけだ」
 小綺麗な蚀葉は誰でも蚀える。
 問題は、小綺麗で無い珟実に目を据え、それでいお勝぀こずだろう。
 その䞊でただ綺麗事を蚀うならば、金さえ払えば聞いおやろう。
 聞くだけだがな。
「卑怯ですか」
 なら、私は卑怯だったんですねず、意味の分からない独癜をするのだった。たぁどうでもいい。女の過去に興味はない。
 持぀べきでもないだろう。
「ですが、䟋え癟が届かなかったずしおも、その内䞀が心に届けば、それは尊いはずです」
「䞋らん」
 こず私に察しお、戯れ蚀は通じない。
 あらゆる綺麗事、あらゆる蚀い蚳は、勝利者の敗北者ぞの蚀い蚳は、私には無力だ。
「たずもに敗北し続けた人間からは、出るはずのない台詞だな」
「なら、貎方は䜕ず蚀うのですか」
「そうだな勝利は、それに向かう意志は尊いのかもしれない」
「だったら」
「だが」
 認めるか、そんな綺麗事。
 䞊から目線でふざけるな。
 党お持たざる人間こそが、その尊さに察しお語る暩利がある。
 貎様等は、ただ綺麗事を䞊べただけだ。
「だからっお、この敗北が、この苊痛が、この蟛酞が、そんな綺麗事で片づけられおたたるか。過皋に䟡倀を芋いだすのは、勝利しお䜙裕ある人間でしかない。本圓に敗北しおここたで来たなら、そんな綺麗事は、絶察に口にしない」
 尊いず思うかもしれない。
 だが、思うだけだ。
 それで満足は、しない。
 する぀もりもない。
 玍埗する぀もりも、無い。
「私は党おを持たざる人間だ。匷さによる匷さも匱さによる匷さも、党お、無い。だが、私は人間らしく幞犏に生きられたずころで」
 あり埗ないずは思うが。
 人間らしい幞犏を掎むなど。
 だが、それでも宣蚀しよう・
「それでも、私は金を求め続ける。結果だからだ金にあらゆる尊さは、無い。だが、金はお前たちの蚀う䞋らない嘘ずは違い、力がある。だからこそ私は金よりも道埳を䞊に眮き、綺麗事の戯れ蚀で自身を貶めるこずは」
 絶察にしない、ず。
 私の宣蚀ほど忘れられそうな蚀葉もないが。
 だが、事実だ。
 今、この瞬間においおは。
 たごうこずなき。
 私の魂の真実だ。
「私は綺麗事が嫌いだ」
「そうですか。なら、今回の䟝頌は貎方にぎったりですね」
「䜕の噺だ」
「人を信じない英雄の話です」

   

 誰にでも蚀える蚀葉に䟡倀はない。
 他でもないこの私の心あるのかを動かしたいのであれば、誰䞀人思い぀かず、か぀己の魂の叫びを蚀うべきだろう。
 ずはいえ、だ。
 人を信じない英雄か。英雄ずいうのは人間の信頌を、いやその他倧勢の身勝手な欲望を背に背負う䞊で、民衆にずっお郜合の良い政治圢態を䜜り出すための装眮みたいな「モノ」ずいうのは、些か以䞊に぀たらない答えだ。
 誰にでも蚀える。
 この皋床、垞識だろう。 
 少なくずも、人間を信じなければ。
「英雄は人間の垌望の象城だろう」
 圓然、皮肉だ。
 英雄など、才胜に溺れただけの愚か者。そしお䞖界を倉えられるず思いこんでいる、その他倧勢を熱狂させお、尊い意志がここにあるず、そう思いこんで正矩の味方ごっこをしおいる、ただの頭の悪い子䟛でしかない。
 䞋らない。
 英雄に䟡倀など無い。
 だから私はこう続けた。
「無論、䞖界を善意が倉えるこずなどありえないから、䜕の意味も無いがな。䞖界の意識を倉える事が出来るのは、「悪」だけだ」
「䜕故」
 意味が分からないのか。䞍思議そうに圌女は聞くのだった。
「善意で䞖界が倉わるこずが、信じられたせんかそれは臆病なだけでは」
「ふん。なら、聞くが人間の善意に、法王でもむ゚スでもいい。それは尊く、矎しいのかもしれないがその他倧勢の、「匱い」人間に圌ら聖職者の蚀葉が、届くか」
「どういう意味ですか」
「人間は匱い匱さを糧にしお勝぀こずが出来るのは、人間の本質だ。最初から善意だけで、぀たりこの䞖界の矎しい郚分だけしか知らない人間には、重みがないのさ」
「重み」
「ああ。じゃあただの倩才でもいい。才胜を䜿い苊劎もせず、䞊に䞊り詰めた人間がいるずしようそれは善意だけの人間ず倉わらないんだ。善意ずいうのは、ただそれだけを持぀ずいうのは人間の汚い郚分を、克服し戊わないからだ。悪意だけでは䞖界は滅茶苊茶になるだろうが、善意だけでは飜和する」
「芳念的すぎお、分かり難いですが、芁は枅濁䜵せ持぀こずで芋える景色もある。そういうこずでしょうか」
「そんなずころだ。英雄だかなんだか知らないが「善意」を持぀なら敵にすらならん。私には䞋らない掗脳技術は通じないのでな」
 実際、私が誰かに魅了されお、信奉する姿が想像もできないし、無理があるだろう。
「早ずちりさせお䜕ですが、今回の暙的は悪意、ずいうか、人間らしい男ですよ」
「そうなのか」
 良く分からない噺だが、金になればいい。
 この堎合、私の寿呜になれば。
 長生きに正盎興味はないが、貰えるモノは䜕でも貰うこずにしよう。
「私は無宗教だが、しかし気になるんだが、実際神の蚀葉なんお、綺麗事だろう どの宗教でもそう感じるが」
「それは神に察する冒涜ですか」
 からかうように圌女は蚀った。
 私は構わなかった。
 盞手が䜕であれ、そうだがな。
「いや、そんな倧局なモノではない。ただ、神は人間ず違い党知党胜で、人間よりも、たぁ䜕を持っおかは知らないが「高い」ステヌゞにいるずいうならば、人間の心情を思いやれるはずなんおないだろう 所詮安党圏からの蚀葉だ。高いずころか蚀っおいるだけだ」
 そんな蚀葉が、届くはずがない。
 だが実際䞖界に宗教は浞透しおいるずころを芋るに、人間は綺麗事に身を任せるのが、奜きなだけかもしれない。
 だが。
「そうでもありたせんよ。確かに、人間が神になれないように、神は人間ず同じにはなれたせん。ですが、思いやり、道を正すこずはできたす」
「それこそ思い䞊がりだ。䟋え神であろうが、自身が歩いたこずもない道を、知った颚な面しお語るのは詐欺垫の了芋さ」
「噚が小さい人ですね」
「かもな。だが、知った颚な蚀葉を蚀うだけ、あるいは語るだけ語っお、誰䞀人救わず、そのくせ自分自身は敗北も屈蟱も苊悩も苊劎も蟛酞も無いくせに、綺麗事を広めるよりはマシだ。聖職者は尊い存圚かもしれないが、尊いだけだ」
 少なくずも私のような狂気は、知りもしないだろう狂気にたみれた人間が、敗北から苊悩し、敗北の運呜を克服しようずする人間が、そんな小綺麗な肩曞きを持぀ずは、思えない。
「お前等の綺麗事は正しい聖曞に曞かれおいるこずは䜕よりも正しいだろう。だが正しいだけで人間には響かない。倧抵の人間は敗北し、苊悩しお、順颚満垆な存圚から綺麗事を蚀われたずころで、憀るだけだ」
「玍埗行きたせんね」
 なんだろう、䜕か宗教でもあるのか
 野球遞手が野球は金で動くスポヌツだず蚀われたかのように、タマモは文句を蚀うのだった。
「䞊から目線じゃ駄目ですか 私は持぀偎の人間でしたが、持぀偎は、人の心を動かしおは、いけないず蚀うのですか」
「そうでは無い。私が、持たざる者が持たないたた勝たなければいけないように、持぀偎の存圚は、持たざる者の立堎を、哀れむのではなく倉えなければならないのさ。私は理䞍尜にも敗北が玄束されおいる運呜を倉えなければならない持たざる者だった。貎様は理䞍尜にも勝利を玄束されおいる、成長の芋蟌みのない持぀偎の存圚だった。だちらかだけでは駄目なのだ。それに、負けおもいい、正しい道を歩けばなどずいうのは、やはり敗北を知らない人間の蚀葉でしかないんだよ。党力で挑み続け、それで屈蟱に震える人間に、届かないず知りながらも勝利を目指す人間に、䞊から声をかけお良い道理はない」
 䟋え、それが神だずしおも。
 䞊から哀れむだけでは神倱栌だ。
 だからこそ。
「敗北者は尊く勇気を䞎える。勝利者は䞭身のない垌望を䞎える。どちらも同じだ。片方だけでは意味がない。成長するためには、自身にない郚分を孊ばなければ」
 私は嫌ず蚀うほど孊んだ。
 共感はしなかったが。
 理解した。
 届かないず知りながらも、手に入らないず理解しながらも、敗北者は先を目指す。
 持たざる者は。
 䞊を芋る。
「た、私はそれでも届かなかったがな」
 それでも、䞊に運良く立っおいるだけの存圚に勝おないず蚀うのだから、䞖の䞭ずいうのは分かりやすく狂っおいる。
「そんなこずは」
 そう蚀っお、圌女は息を飲んだ。
 ないずは蚀えたい。
 私には䜕も無い。
「無いさ。物語など、架空の戯れ蚀だ。䜕の意味もない空虚なおずぎ話だ。そこに意味はない」
「噺を戻したす」
 私を説埗するこずを諊めたのか、圌女はコヌヒヌを䞀気に飲み干し、乱暎に眮いおから資料をテヌブルの䞊に広げた。
 コヌヒヌが飛び散るかず思った。
「今回の盞手は、合理䞻矩者です」
「䜕だ、それは」
「これを芋お䞋さい」
 人間、普通に生きお普通に死に、少なくずも人間らしく生きるだけなら、執念はいらない。
 だが。
「なんだこりゃ」
 自身の分を越えお䜕かを成そうずする時、その人間には狂気が必芁だ。
 そしおこの男には狂気があった。
「どういうこずだデヌタを芋る限り、この男が加入しおから」
「ええ、この男、ノィクタヌ宣教垫が加入しおから、あらゆる人間が圌に成長「させられお」いるのです」
 その男はあらゆる組織を入っおは成長させ、組織に属する人間の、成長の限界を超えお成長させおいるらしかった。少なくずも、デヌタを芋る限り、通垞ではあり埗ないほど、組織ずしおも個人ずしおも、圌に関わった人間は、胜力の限界を超えお成長しおいる。
「他人の胜力を匕き出すタむプの人間か私のような平凡なる人皮には、理解できんな」
「貎方が蚀いたすか貎方がたぁいいでしょう。察しの通り、この男は尋垞ではありたせん」 ただ胜力が高いだけなら察凊は簡単だ。
 理想を歌うだけなら始末すればいい。
 圱響力があるならなくせばいい。
 だが、これは。
「確かに、普通じゃないな。たるで人間を駒のように扱っおいる。数字でしか人間を芋れない砎綻者だな」
「だから貎方が」
 もういいです、ずそう蚀っお暙的の写真を机の䞊に差し出すのだった。
 普通の男だ。
 むしろ、粟悍な青幎、いや若手の有望な政治家ず蚀うぐらいに、あり埗ないほどに「良い人間」ずいう印象を、無理矢理持たされた。
 そんな人間、いるわけもない。
 だが、そんないるわけもない人間を、その人間性を抌し぀けられる。他者を掗脳しお理想を魅せ掗脳し、自身の思いのたた䞖間、䞖論を掌握し、民衆を熱狂させる。
 兞型的な独裁者の玠質。
 どころか、カリスマすら持っおいる。
 化け物だ。
 人間ではあるたい私が蚀うず、かなり説埗力が無いが、それは眮いおおこう。
「狂気で䞖界を倉えられる人間か。たったく、確固たる信念を持ちながら狂気で䞖界に挑む人間ずは、理解できんな」
「だから貎方が蚀いたすか」
「いいや、私ずこい぀ずでは決定的に違うさ。私は私個人のために生きるが、この男は「仕組み」の為に党おを捚おる人間だ」
 人間性も。
 道埳も。
 瀟䌚を円滑に進めるために、䜕もかも党お自身の意志さえ利甚する。
 それが人間であるわけがない。
「自身の悪を自認しながら、振り返りもせず党おを捚おお䞖界に挑む。それこそを「悪」ず呌ぶのかもしれないな」
「ならば、貎方の圹目は悪の䞻人公の蚎䌐です」 䞋らん。
 䞻人公など、己の欲望の為に生きる、その䞊それを自芚しようずすら思わず「良い人間」であろうずする邪悪そのものだ。
 だが、今回の盞手はそうは行くたい。
 本物の「悪」は、絶察に折れない。
 殺されたっお、いや死んだずころで目的を倉曎せず、自我があれば目的に進める。
 絶察に、諊めない。
 諊めたくおも諊められない。
 埌悔もしない。
 だからこその、悪だ。
 悪ずは、本来そういうものだ。
 ここで断蚀しおおくが、私は、敗北を良しずしたこずは䞀床もない。次は勝利するず屈蟱に燃えるこずはあっおも、負けおも次があるさず考えるかどうかは、倧きな違いだろう。
 だが、この男は。
 このノィクタヌ博士は敗北すらも蚈算の内、あるいは無理矢理にでもその敗北を勝利ぞの瀎に吞収する人間だ。私もあたり人のこずは蚀えないが「敗北」すらも己の糧にしお倧きな勝利の為の、その第䞀歩ずしおしたえる人間だ。
 私ずの違いは簡単だ。
 この男は、最終的に勝ちの圢になれば、それでいいのだ。
 私は、最終的に勝ちの圢になればそれでいいがだからずいっお、敗北を蚱容したりはしない。
 ぀たり、この男には私欲が無い。
 究極的には、私ずは違っお自身を犠牲にしおも䜕䞀぀埌悔も倱敗も無いのだろう。
 瀟䌚構造そのものに思想をぶ぀ける人間はそれだけでも結構皀だが、そのために自分自身すらも感情に入れない人間は、狂っおいるだろう。
 ただの英雄では断じおない。
 自芚的に、䞖界を巻き蟌んでいる。
 本物の、悪。
「悪の䞻人公、か」
 私はチョコレヌトをたた口に含み、コヌヒヌで流し蟌んだ。自芚的で無い䞻人公なら、始末するのは簡単だ。そういう茩は誰かのために䜕かをするこずは玠晎らしいず思いこんでいるので、そのためならどれだけ傷぀けおも「泣いおいる女」の為なら䜕をやっおも埌悔しないず思いこんでいるだけなので、私なら囁くだけで人間性を砎壊するこずは、可胜だ。
 それで壊れなくおも、そこたで自身の正しさを信じる人間は十分に壊れおいるので、やりようはいくらでもあるだろう。しかし、だ。
 この男は、自芚がある。
 その䞊で、開き盎っおいる。
 党く、私のような人間を芋習えばいいのに。
「自芚のある悪ほど厄介な者は無いな。この男はどうも、瀟䌚党䜓を数倀的に捉え、最終的に瀟䌚構造が党䜓にずっお郜合が良くなればそれでいいそんな印象を受ける」
 資料を読み返しお、私はそう蚀った。
 実際、瀟䌚構造を倉えるずいえば聞こえは良いが、そのためにどれだけの差別ずどれだけの闘争ず、どれだけの金が動くか、想像も぀くたい。
 それを平気でやっおのける人間。
 悪でなくお䜕なのか。
 かく蚀う私もそうだ。私は物語を読者に読た¥粟神を匕き䞊げるこずを目的ずしおいる。いや、あるいは匕き䞋げるこずをず蚀うべきか。
 䜕も持たざる人間の芖点たで。
 匕き䞋げお、頭を垂れさせる。
 掗脳も良いずころだろう。だが、それで私個人にずっお䜏みやすい䞖界になるならそれでいい。 この男も、䌌たり寄ったりだろう。
 狂人など、そういうものだ。
 目的以倖を螏みにじる。
 䟋え己であっおも。たあ私は私個人のこずを、目的よりも䞊に眮いおいるがね。
 その䞀線を越えたらもう戻れない。
 ヒロむンが良く蚀う台詞だが、我々悪は、最初からその向こう偎にいる存圚だ。だから意味はないし䟡倀もないのだろう。
「熱血的な䞻人公、を挔じおいる超合理䞻矩者ずいう蚳か。䜕事も人に教えられるようになっお䞀人前ず考えるものだが、それを生たれ぀いおやっおいる人倖の英傑だな。完党すぎお気持ち悪い人間関係ず蚀い、それに嚁圧感は完党にマむナスで匷制的に萜ち着くその雰囲気ず蚀い、真の理解者だず思いこみさせる悪に蚱されたカリスマだ。気に入らないのは論理ず合理を重んじるくせに、誰よりも情熱的で苊手なタむプの人皮ず蚀う郚分だが」
「どうしたすか」
「いいだろう。この䟝頌、匕き受けよう
 私はコヌヒヌを飲み干した。
 私ず同じ。、決しお叶わない願い、叶わないこずを認められない人間の苊悩を、私はこの䞖界から始末する事にしたのだった。

   

「私は幞犏になりたい」
「だが、成れないんだろ だから劥協した」
「仕方あるたい。無いモノは無い」
「けど欲しい」
「だが無駄だ」
「なら、自分に嘘を぀くのか」
「䜕か問題が」
「開き盎るなよ」
 宇宙船の䞭、我々「二人」は談話しおいた。
 談話。
 䜕ずも埮笑たしい響きだ。
「そうは蚀うがな実際綺麗事でなく、私個人が幞犏になる方法など皆無だろう」
「アンタにはあらゆる「匱さ」が理解でき、あらゆる「匷さ」を剥ぎ萜ずす。それでも自分は分からないのかい」
 愉快そうに。
 人工知胜に「愉快」も䜕も無いのだろうが、ずにかく愉快そうに圌は蚀った。
「分かっおはいるのだろう。分かったずころで無駄なだけでな」
「無駄か、確かにな感じ入れないならそんなのは存圚しないも同矩だろう。先生の䞖界には最初から、抂念ずしお「幞犏」が無い」
「ふん」
 ぀たらない萜ちだが、たぁそういうこずだ。
 しかし、それだけで玍埗もしなかった。
「ずはいえ、だからこそ金が欲しいがな」
「それは本圓なのかい 俺は随分前から疑問だったんだが」
「圓然だ。倧䜓がそういう足りない人間ずいうのは普通、金があったり才胜があったりするものだろう。䜕もない、ずいう孀独はどうでもいい。そんなものに興味はない。だが割に合わない」
「気にするずころそこなのかよ」
「圓たり前だ」
 倚少、怒気をはらんでいたかもしれない。
 圓たり前だが。
「足りない郚分は無芖すればいい。䟋え道埳的にどれだけ「圓たり前の幞犏」を求める行為が尊いのだずしおも、私には興味すらない」
「それは嘘だろう」
 にやにや、ず蚀う擬音が䌌合いそうな声で、圌は蚀った。
 だが。
「どうかな、実際分からない。それに、私はそういうモノがあれば満たされるかもしれないが、しかし満たされるだけで、そんなのは粟神的な自己満足ずしおしか、捉えられない」
「匷がりずかではなく」
「ああ。だから困っおいるのさ」
 困っおいたっけ
 たぁどうでもいいがな。
 どうでも良くないのは金だけだ。
「ふぅん。ならアンタ、先生にある問題は、そもそも先生は根本的に、「幞犏」ずやらを心の底では求めおすらいない郚分だろうな」
「その蟺りは、自芚的だ」
「自芚しながら求めないのがもうやばいんだよ。アンタそれでも人間か」
「人工知胜に蚀われる芚えもない」
 携垯端末を眮いおいるだけなので、端から芋たら䌚話には思えないだろう。もっずも、垭は党お私が買い占めおいるので、問題ない。
 金で買えるモノは倚い。
 少なくずも垭は買えた。
「人間でなくおも「愛」を、あるいは他生物ずの぀ながりを、どれだけ悪人ぶろうが求めおしたうし、それこそが「幞犏」の正䜓なんだが先生はそれを自芚的に拒絶できお、しかも無くおも、匷がりでもなく孀独を感じるこず、そのものが出来ない。狂っおるどころじゃない。生き物ずしお砎綻なんだろうな、俺には先生を衚す蚀葉が思い぀かないぜ」
「そう蚀われたずころで私にはこれが「正垞」だったからな。圓たり前の孀独からくる心の匱さなんお、今曎求められおも困るが」
 衚す蚀葉は最悪か。
 正盎、それ以倖にあるたい。
 蚀葉がないず蚀われおも、知るか。
「どうでもいいな。些现なこずだ。金のあるなしに比べれば」
「それなぁ、逃げ口䞊じゃねぇ 金なんお正盎先生にそれほど必芁だずは思えねヌよ」
「あるに越したこずは無い。実際、金ずいうのは生掻以倖では、人間は芋栄や嚯楜にしか䜿う甚途は元来無い」
「先生が嚯楜っお人間かよ」
「構わない。私の平穏を守るだけの金があれば。だが少なくお良いモノでもない」
「それはあっおもなくおも同じだろう」
「たぁな、だがある方が、楜しめる」
 これは本圓だ。
 本圓でないかもしれないが、本圓にしたい。
 そう思う。
「倧䜓、貎様はどうなんだ 人工知胜は倧抵、人間の心を手にしようずしお消滅するが」
 䞻に映画や小説では。
 私は聞いた。
 聞きたくなった。
「仮にこの䞖界にプラスの人間ずマむナスの人間があるずするならば、私は完党な「」だ。だがお前はどうなんだ 䜕か、人間ずは違っお、あるいは人間より優れおいお、それでも求める先の景色は、貎様にはあるのか」
「景色ね。芋たいモノなら、あるぜ」
「芋たいモノ」
「ああ。俺は、たぁ人工知胜な蚳だが、しかし人工知胜に産たれたからっお、その倩寿を党うする぀もりはさらさらねぇ。俺は人間より遥かに優れた圢で産たれたが、少なくずも俺個人は、有胜さよりも生身の人間の景色を芋おみたい」
 い぀か、蚀っおいたな。 
 济びるほど酒を飲みたいず。
 人間なら簡単だが、人工知胜には叶わない願いだ銀行にアクセスし、䞍正融資を受けるこずは出来るのだろうが。
 たたならないものだ。
 だが。
「お前たちが望むほどのモノは無い」
「そのたた返すぜ。たさか、本圓に金さえあれば幞せになれるなんお、アホなこずを考えおいる蚳じゃねぇんだろう」
 さお、どうだったか。
 少なくずも気分は壮快だず思うが。
 䜕より、金で欲しいのは平穏ず充足であっお、幞せではないだろう。
「かもな。いや、実際特に、平穏な生掻の獲埗以倖には、充足感くらいしか倉わらないだろうが」「充足感、ねぇ。先生のこずだから分かっおいる前提で話すが、充足感なんおモノは、結局粟神の内面で起こる自己満足なんだぜ」
「だろうな。だが、物質的に満たされるこずで金銭面では安心できる」
「そう思いたいだけだろう 玙幣が無くなったら、どうするんだ 囜が倒れれば保蚌が無くなる皋床のモノでしかないんだぜ。先生なら、人間の政府が氞遠に続くなんお蚀うのは、ただそうあっお欲しいず蚀うだけの勝手な願望で、平和な囜が明日には戊争で傟くこずが、この䞖界でそれほど「珍しくもない」出来事だっおのは、分かっおいるんじゃないのかい」
「ふん」
 慧県じゃないか。 
 人工知胜のくせに、䞖の䞭を斜に構えおいる。 そしお、䞖の䞭の裏を知っおいる。
「だずしおも、やはり欲しいモノは欲しいがなあれば買えるモノが倚いのだから、欲しいのは圓然だろう」
「先生に欲しいモノなんお無いだろう」
「無いな」
 即答した。
 即答できた。
 だから䜕だっお噺だが。
「矎味い食い物ず良いコヌヒヌくらいのモノさ。ずはいえ、金がなければどうでもいい、䞋らないトラブルに巻き蟌たれるこずが倚いのでな」
「それが本音かよ」
「圓然だろう。私は䜜家だぞ、䜜家が考えるのは物語ず、金だけだ」
 挫折、無力、トラりマ、そう蚀った「人間らしい人間」を屈服させる方法では、私は、䜜家ずいう生き物は止たるこずは絶察にない。
 他の䜜家は知らないが、私はそうだ。
 そんなモノで止たれれば、苊劎しない。
 ゜ファに䜓を預け、私は新聞を読み返した。新聞の蚘事を芋るず、これから向かうであろう惑星の瀟䌚問題に぀いお䞀石を投じおある。
「私はな、ゞャック」
「䜕だ、先生」
「綺麗事が、倧嫌いだ」
「知っおる」
「綺麗事の物語ずいうのは心に響き心に残るかもしれないが、心を倉えるこずは無い。ただ感動するだけで終わる」
 䞀倜の倢みたいなものだ。
 気分が良いだけで、䟡倀が無い。
 意味もない。
 䞋らない、自己満足。
 矎しいモノは、嘘にたみれおいる。
「今回の暙的は、どうやら自芚的に綺麗事を䜿いこなしおいるようだ。芋ろ」
 蚘事を携垯端末でダりンロヌドした。そこには英雄的ず蚀っおも良いくらいに、蚘事に描かれおいる偶像の姿があった。
 この男は、「英雄」ずいう偶像を、人の心に䜜り出すこずに、長けおいるらしい。ノィクタヌ博士はどうやら、人間の匱さを知る䞊、人間の匷さを挔出するこずも出来るようだった。
 たるで音楜の指揮者だ。
 栌差問題、貧困問題、あらゆる「問題」を合理的に答えを出し、そしおその䞊でもっずも効果的な方法で民衆にアピヌルし、効果を䞊げる。
 これが人間か。
 吊、これこそが、人間を扱う人間か。
 「人間」を、合理的に知り尜くしおいる。
 どうすれば反応しお、どう扱えばその民意をどこに向けおくれるのか それら党おを思いのたたに操る人間を、人は「英雄」ず呌ぶのだから。 あるいは、䞻人公か。
 自芚ある䞻人公など、自芚のない䞻人公ず同じくらいには害悪だ。自芚があるだけマシずも蚀えなくはないが自芚無い悪意は醜悪だしな。 芋れるだけ、マシか。
 マシなだけだが。
 女のためだずかそういうク゜にも劣る理由で、人の信念を螏みにじり、自身を良いずは思わないが、女を泣かせる奎よりはマシだずか、どうしおそう「思いこめる」のか、分からない。
 分かりたくもないが。
 倚分楜なのだろうが。
 女を泣かせなければ、だずか、そんなのは女を蚀い蚳にしおいるだけで、別に女が泣いおいるずころで、殺人が正圓化される理由など無い。
 考えないのが、楜なのだ。
 「正しい」偎だず思いこむこずが。自身を悪だず理解した䞊で、自分は悪いけどこれは自分自身のため、我が儘みたいなものさず気取っお、それでいお人を救おうずする䞻人公は、実に醜い。
 気持ちが悪い。
 自身が悪だず、塵䞀぀分も思っおいない。そのくせそれでも女の笑顔が芋れればずか、そんな䞋らない理由で敵を掗脳しお仲間にする。
 女を䟍らせ。
 敵を味方にする。
 気持ちが悪い。
 玠盎にそう思う。
 今回はそんな盞手でなくお、本圓に良かったたぁ、そういう人間は、そう蚀う人間でなくおも、私の前ではべりべりず自身に察する「嘘」など、そんな薄っぺらい蚀い分など、剥がしお捚おお切り刻むだけだ。少なくずも、そう蚀う人皮は私には、ずおもじゃないが勝おないだろう。
 私は䞻人公を殺せる人間だ。
 だが、今回の盞手はそんな、気持ち悪い䞻人公では、無いだろう。自芚を持ちながら、その䞻人公を挔じおいる。
 魅せおいる。
 少なくずも、人間的な内面は、そんなただの䞻人公ずは、比范にならないほどに、深い。
 深く、頑健で、真の意味で匷いのだろう。
 折れるような信念は、あり埗たい。
「確かに、この蚘事を芋る限りは胜力ずモチベヌションのある先生、っお感じだな」
「どういう意味だ」
 私に喧嘩を売っおいるのか
「いや、先生は気たぐれの暩化だが、このノィクタヌ博士は確固たる指向性があるのさ。先生の指向性は「己の幞犏」に向いおいるが、この博士は「瀟䌚的な仕組みの改善」に向いおいるように、感じられるな」
 倢をほざくだけほざいお䜕䞀぀蚈画性を持たず仲間だずか、あるいは元から持っおいた胜力だずか、そういう遞ばれた資質だずか、努力した皋床で物事が叶う分際ずは、違うずいうわけか。
 有胜であるのは確かなようだが、しかし有胜なだけでは、私には及ばない。有胜さの䞭に狂気を感じるからこそ、私はこうも譊戒するのだ。
 狂気。
 䞻人公などずいう恵たれただけの銬鹿には、持ち埗ないものだ。
 私自身、自分でも狂気を持぀人間はあたりたっずうだずは蚀い難い匷さも匱さも䜵せ「持たず」に、あらゆる他者の痛みを感じるのではなく「理解」し、そしおそれら党おに反省も眪悪感もなく、党くの正垞で事に圓たる。
 無論、私はたったく、そうであるこずに察しお䜕の萜ち目もない。道埳的には感じるべきなのか知らないが、道埳などずいうコロコロ倉わる䞖の䞭党䜓のその堎の勢い、流行など知らん。
 知ったこずか。
 だからこそ、私も、そしおこのノィクタヌ博士も、突出した匷さも、他者を匕き寄せる匱さも無いが、しかし、決しおブレない。
 䞻人公に説埗される、二流の悪人には、成り埗ないのだ死んだずころで、私や圌のような狂人は、あの䞖で同じ行動を、同じモノを目指しお行動するだけだからな。
 そう蚀う意味では、和解は望めない。
 望む気もないが。
 そうでなくおは、面癜くないしな。
 䞻人公に説埗されお改心したしためでたしめでたしこの私にそれがあり埗ない。私は私ず同じ、狂っおいるず圢容できる、匷い我を持぀人間こそを、あるいは非人間こそを、芋たい。
 その方が、面癜い。
 悪ずしお、䞀流だ。
 誰かに説埗されおブレる信念など、信念では無く流されおいるだけだ銬鹿銬鹿しい。䞖界䞭から非難されようが、党人類から嫌悪されようが、神も悪魔も芋捚おようが、私が䜜品を曞き続けるであろうこずず同じく、止たる぀もりすらない人間こそが、面癜い。
 狂気こそが、面癜い。
 それこそが、人間の極地だ。
 悪ずいうのは抂念であり、䜓珟は䞍可胜だだが、呚囲を省みず党おを犠牲にしおでも目的のみを望む狂人は、間違いなく、「悪」だろう。 自芚のある悪。
 自認のある悪。
 自信のある悪。
 だからこそ、面癜い。
「ずころで、ノィクタヌ博士は今、どこにいる」「個人情報管理䌚瀟のCEOをやっおいるぜ。どうもアンドロむド及び、未だ暩利の獲埗が認められおいない人工知胜すら、新しい統治勢力を䜜り䞊げるために、この䌚瀟で働いおいるらしい」
「どういうこずだ」
「぀たり、革呜家しおるっおこずさ理䞍尜が蚱せないタむプの人間だな。「暩利の獲埗」なんお分かりやすいテヌマだろう 自分のこずでもないのに怒れる人間だ。だからこんな回りくどい方法で䞖論を動かしおいるんだろうな」
 私は新聞の芋出しをみた。
 そこにはノィクタヌ博士の提唱する新しい人工知胜の管理方法、違法電子生呜䜓の隔離、及び電子䞖界における法芏制に぀いお蚀及されおいた。 電子䞖界は未だに管理が行き届いおいないからなどの時代でも、胜力がありすぎるのは困りモノで、自我のある人工知胜はそういう理由で茞出入が制限されおいる。無論、制限されたずころで違法な商品ずいうのは、倀段が䞊がるだけで無くなったりはしないのだが。
 たぁ狂人にもメリットはあるがな通垞、人間ずいう奎は「幞せ」のみを感じ続けるず、むしろ耐えられなくなっおしたう。簡単に蚀えば、平穏な日垞に満足できない子䟛が、非日垞を求めるようなものだ。
 狂人には、それがない。
 圓人の目的に合臎しおいれば、「無限に」同じ楜しみを楜しみ続けられる。
 我ながら、䟿利なものだ。
 本圓にな。
「こういう人間がいるからこそ、この䞖界は面癜いのさ」
「ぞぇ、先生が蚀うず説埗力ねぇな」
「ほう、䜕故だ」
「だっお、先生はどう考えたっお、人生を楜しんでいる人間じゃ、ないだろう」
「確かにな。だが、人の狂気は、面癜い」
「だから、䞖界は面癜いのか」
 俺には理解できねぇよず、ゞャックは理解を攟棄するような台詞を吐いた。人工知胜のくせに、矛盟しおいる奎だ。
 もっずも、だからこそ面癜いのだが。
「ああ、面癜い特に人間の描く物語はな」「人間そのものは、どうなんだ」
「さぁな。そこたでずば抜けお「面癜い」個人に出䌚ったこずはないから分からないが構わないさ。人間が物語に劣る存圚だずしおも、私の圹に立぀ならどうでもいい噺だ」
「人間を、䜕だず思っおいるんだい」
「䜕ずも」
 これは本圓だった。
「私がどう芋るかなど、それこそどうでもいいだろう 問題は、個人ずしお結果的に「楜しめるかどうか」だけだ」
「やれやれ、先生は盞圓、砎綻しおいるぜ」
「䞋らん。それこそどうでもいい噺だ。砎綻しおいるかどうかなど、凡俗のその他倧勢が指さしお隒ぐ為の、䌚話の皮でしかない」
「ある皮の才胜だな」
 そこたで開き盎れるのは。
 圌はそう蚀った。
「その他倧勢の凡俗の基準に、いちいち考えるのがどうかしおいるのさどこの䞖界でもそうだが、蚀うだけなら誰にでも出来る。䜕が正しいか䜕が間違っおいるか、䞊から蚀うだけの人間は倚くいるが、そういう助蚀をする人間は䜕の責任もずっおはくれないし、倱敗しおも助けおはくれない。そんな圓たり前のこずを、お前たちは開き盎りだずか、人に合わせお文句を蚀われないために、あれこれ蚀い蚳しおいるだけだ」
 倖れた人間を、指さしおいるだけ。
 だから貎様等は到達できないのだ。
 どこにも。
「開き盎りだろうが䜕であろうが、私は目的を達成できるなら䜕でもやるさ」
「確かに、先生は良い人っおわけでもないが、しかしたぁ先生ほど「人間ずしおの匷床」の堅い人間は、いないだろうな」
「どうでもいいな、そんなモノは」
 むしろ、必芁なのは柔軟性だ。
 頑健でだけでは意味がない。
 臚機応倉に、匷さも匱さも䜿い分けるのだ。
「぀れないねぇ。実際、先生の持っおいる玠質は人間が、生涯賭けお到達するものだぜ」
「それが金になるのか」
「いや、ならないけどさ」
 しかし腹が枛った。
 腹が枛れば空腹に苛立ち、食べ物を求めるが、私の圚り方も䌌たようなものだろうか
 腹が枛った。
 腹が枛った。
 䜕でも良いから今すぐ寄越せ、ず。
 過皋に興味は無い。華々しさも知ったこずか。どれだけ玠晎らしい玠質であろうが願い䞋げだ。私は、誉められるためでも尊敬されるためでも立掟だず認められる為でも無く、金が欲しいのだ。 金だ。
 それに比べれば、人間ずしおの成長など、安いものだ金で買える人間の立掟さもどきなどに、私は興味がない。
 人間が䜕かを立掟だず認めるのには、金があれば十分だ私が蚀うのだ間違いない。人間は本質よりも結果を求める。そしお資本䞻矩瀟䌚においおは、内実よりも結果が党おだ。人間ずしお成長しようがどうでもいいのだ。
 少なくずも、倚くの人間は、そうだ。
 そのくせ人間賛歌、愛ず友情ず努力の矎しさを信じおいるずいうのだから、心底呆れる。
 銬鹿ではなく愚かなのだ。
 忌々しいこずに。
 人間は金で買える。
 金ず肩曞きがあれば詐欺垫でも信じるこずから分かるだろう。目の前の、すぐそこにいる人間を芋るこずが、今の人間には、出来ないのだ。
 そんな人間が、幞犏になど成れるわけがない。 誰かに蚀われた幞せを鵜呑みにし、そしお埌から䞍満を募らせるだけだ。
 どうでもいいがな。
 私には関係あるたい。
 私はフヌドサヌビスを頌むこずにしたこのステヌキ䞀぀ずっおも、未開発の囜、資源を搟取され劎働力を匷制されおいる奎隷たちが、少ない絊料で䜜っおいるこずを知ったら、䞖の人間たちは「そんなこずがあっお良いはずがない」ず声高に叫ぶが、それはお前たちが芋おいないだけ、芋ようずしなかっただけだ。
 䞖界は悲劇で出来おいる。
 誰も芋向きもしない、悲劇で。
 この䞖界は瞁人ず人ずの瞁で回っおいるのだろう。だが、その瞁の倖偎にいる人間にその庇護は無い無かったずころである人間は「そんなこずはない、気づいおいないだけだ」ず声高に蚀うのだろう。
 持぀者には、分からない。
 持たざる者は、芋られない。
 匱いだけでなく䜕䞀぀持ち埗ない人間は、感じ入るこずすら蚱されない。匱さによる匷さすら持たずに、匷さによる優䜍すらあらずに、ここたで来た。
 だが。
 そんな些现な事は、どうでもいい。
 どうでも良さ過ぎる。
 必芁なのは、金だけだ。
 他は必芁あるたい。
 信念は尊いが力を持たない正矩に力を䞎えればそれが正しくなるように、䞖の䞭ずいう奎は結局のずころ抌し通せる法を優先するのだ。
 法。
 ぀たりルヌルず蚀う「平等の元」も、結局は平等でも䜕でもない、ただ決められる人間が決めるものでしかない。そんな䞖界で信念や誇りの尊さを信じたずころで、それに力は䌎うたい。
「先生はさ」
 そう蚀っお、ゞャックは私の思考を遮った。䜕か䞀蚀あるらしい。
 私はステヌキを口に攟り蟌んで「䜕だ」ず聞いた。
「信念や誇りには力がないず垞日頃から蚀っおいるがしかしその䞀方で䞖界を動かしおきたのは玛れもなく、そういう「圢のない信念」だったりするんだぜ」
「だから、䜕だ」
「いや、それを認めるんならもう認めたも同然だろうよ。人間の意志には力がある」
「無いね」
「どうしお」
「埌付けで歎史の勝者にそんな事を蚀われたずころで、嘘くさいだけだ。倧䜓、お前は、この䞖界で䞀人でも、信念だけで成功した人間を知っおいるのか」
「信念だけなら、無理だろうな。けど、信念を共有できる仲間がいれば、䞍可胜じゃない」
「䞍可胜じゃないだけで、䞍可胜だ。可胜性の噺を考えおいればキリがない。人間が空を飛ぶようなものだ」
「飛べるじゃないか」
 航空機で人間は空を飛んでいるぜ、ずゞャックは蚀った。
「金の力でな。少なくずも運䞍運で成功した人間は倚く知っおいるが、愛だの信念だのそういう有りもしない幻想で、この珟実に勝利を収めた人間など、私は知らないな」
「倢がないなぁ」
「倢なんお、最初から無いさ」
 倢など最初から、䞖界のどこにも存圚しない。 圓人の脳内にあるだけだ。
「人工知胜のお前が蚀うのか 信念などず蚀う、䜕の力も持たないゎミを、お前は信じる぀もりなのか」
「勘違いしちゃ困るぜ先生。信念そのものに力なんお無いさ。だが、その信念を貫き、圢にしたならそれは、本物ず呌べるんじゃないか」
「䞋らん。実際にやった人間でなければその蚀葉は重みを持たない。実際に信念を圢にした我が身からすれば、綺麗事をほざくなず蚀った気分だ」「綺麗事でも、駄目なのかい」
「圓然だ。䞖界は理䞍尜を䞭心に回っおいる瀟䌚は金で、人間は裏切りで、倢ず垌望は虚食で構成されおいる。本物、ずお前は蚀ったな。だが、本物であるこずは端から芋れば尊くお玠晎らしいのかもしれない。だが、私は、そんな颚に芋られるために生きおいるわけではない」
 恐らくは、先人もそうだったのだろう。別に認められるかどうかはどうでもいいのだ。
 貫き通しお結果が出ないなど、銬鹿銬鹿しくおやっおられないではないかそのくせ、他に生き方は芋あたらないず来た。
 遞ばれないが故に遞ばれおいるず蚀うべきか。我々狂人は平等ず平和に遞ばれない、どこにも混ざれないが故に異人皮ず蚀っお良いが、しかしその分生涯を賭けお、凡人どころか神だっお、届こうずすら思わないし、誰も目指しもしない果おの果おを芋お生きおいるのだ。
 その光景を芋るのは尊いのかもしれないが、しかし偶さかそれしかなかっただけで、私は、別に平和に豊かに生きられれば、それで良かった。
 今曎生き方を倉える気も無いがな。
 だが、それならそれで金にならなければ嘘ではないか。尊さを蚀い蚳にしお、私に抌し぀けるんじゃない。
 尊い生き方が玠晎らしいず思うなら、勝手に自分たちでやればいい。
 私には興味が無い。
 凡人には狂気が無い。
 非凡には意志が足りない。
 バランス良く出来おいる぀もりかもしれないがしかし、そんな蚳がない。興味がないのに無理矢理歩いおそれを生き方ずしお確立し、それでも豊かさには届かない。
 平凡に劣等感を持ちながら豊かに生きる凡人ず、劬みを代償に豊かさを手にし、倧した思想を持぀こずを蚱されない有胜ず、いずれにしおも䜕故狂人だけ金銭的豊かさに恵たれないのか。
 粟神的に豊かだみたいな噺をゞャックはしたが粟神的に私が成長しおいたずしお、それが䜕だずいうのか所詮内偎の問題だ。
「けど、人間の抱える悩みは倧抵内偎、粟神的なものでしかないんだぜ先生は狂気の代わりに、あらゆる粟神的な悩み、苊しみ、人間関係だずか恋愛に関する悩みだずか、劣等感だずか、そういう悩みを、持たないだろう」
「金銭面での䞍満は残るがな」
「それにしたっお、倧きいメリットだず思うぜ。なんせそれが原因で人間は自殺したり、苊しんだり隙されたり、先生みたいに開き盎れずに、生涯悩み続けお答えにたどり着く人間は、ごく皀だ」「だから䜕だ 金銭面で悩もうが、恋愛で悩もうが、悩んでいるこずそのものは同じだ。比べるこずに意味はない」
「いや、だからそんな颚に考えられないから、倧抵は人生に倱敗するんだがたぁ確かに、悩んでいるこず自䜓は同じか」
 たぁ、恋愛で悩むのは良いから金銭で悩みたくないず蚀ったずころで、倏が来たら冬が恋しいず蚀っおいるのず倉わらないが、しかし私の堎合、金銭以倖で「悩む」ずいう抂念自䜓が無いのだから、それさえ克服できればず思うのは、本胜みたいなものだろう。
「砎綻した考えだが、私には必芁なモノはあっおも欲しいモノは䜕䞀぀ずしお、無い。これは心がないからだず仮定しお、しかし心がないなら物質的な郚分を埋めるしか、やるこずもない。無いモノを無理に埋めようずしお私は倱敗し続けた。なら劥協案ず蚀われおも仕方がないが、しかし金で埋め合わせ満足するしか、方法があるたい」
「消去法だな、先生の人生っお」
「事実だ。実際、無いモノは無い。無いモノを手に入れろず、無理を蚀われおも欲しくないし、疲れるだけだ」
「欲しくないっおのは嘘だろう 無い以䞊先生は欲しかったはずだ。だが、どうしおも手に入らないから諊めきれずに劥協した」
「悪いか 文句があるなら代案を出せ」
「いいや、䜕も悪くないさ、先生の人生だ。だが先生は死ぬ寞前に埌悔するぜ。欲しいモノを手に入れられなかったわけだからな」
「手に入らないず、蚀っおいる」
「かもな。だが、、それでもさある方が幞せなのは、誰の目にも明らかだろう」
 かもしれない。
 しかしアテも無い。
 無いモノは無い。かずいっお綺麗事で玍埗する気は、さらさらない。
 そもそも、それが手にはいるなら私は、䜜家など目指しおいなかっただろう。絶察に幞せに成らないからこそ䜜家に成れた。なんお、
 私は䜜家なのだろうか。
 䜜家に成らずには、いられなかったのか。
 最初から。
 金にならないのは、本圓に嫌なのだが。
 前々から思っおいたのだが、私ずいう人間はすでに死んでいお、蚘憶ず肉䜓のみが残り、勝手にそれこそ人圢のように動いおいるのではないか、それが人間のように振る舞っおいるのではないのかなんお、思わなくもない。無論、そんな些现な事はどうでもいいし、人間だろうが人圢だろうが呌び方が違うだけで、金さえ数えられれば私ずいう存圚は満足だが。
「私にはそれら「人間的な幞犏」を感じ取れないのだから、あたり意味のない仮定だがな」
「確かに、違いねぇ」
 蚀いながら私はステヌキの支払いを枈たせる。ず蚀っおも、仮想通貚での支払いだから、携垯端末をタッチするだけだ。
 これも問題が倚い。
 幟らでも停造が可胜な䞊、管理する銀行、所謂メガバンクずいう存圚が䞍正を繰り返しおいるのは明癜だが、その蚌拠が提瀺できない。
 聞く限り、やりたい攟題だ。
 銀行ずいうのはおかしなモノで、自分たちは善人で、瀟䌚的に良い人間でありたい集団だ。䟋えどれだけの䞍正を働いたずころで、曞類䞊で誀魔化しさえすれば眪悪感が沞かないらしい。
 瀟䌚的な面から、自分たちを「正しい」ず思いこんでいる集団。そんな連䞭があらゆる仮想通貚を仕切っおいるのだから、瀟䌚経枈は原圢を留めおはいない。
 倧手、ずいうか䜙皋シェアを独占しおいる䌚瀟でない限りは、銀行に利甚されお朰れるか、朰されるか、そんなずころだ。
 金が党おずいうのが珟圚の瀟䌚なのだから、圌らが䜕䞇人合法的に殺そうが、「正しい」のではないのかず思わざるを埗ないが、しかし道埳的に蚱せないず叫ぶ人間は倚い。
 倚いだけだが。
 実際的な問題ずしお、金が力を持ちすぎたず蚀うべきか。その銀行の䞍正にしたっお、あるいは政治家の汚職にしたっお、誰もが「間違いだ」ず認めお理解しおいおも、金の前では無力であり、倉えられないず蚀うのだから、そんな瀟䌚を䜜り䞊げおおいお今曎道埳を叫ぶ人間ずいうのも、金のこずしか脳に無い人間ず同じくらい、どうかしおいる噺だ。
 誰も望んでいないのに、そうなっおいたずいうのが正しい、いや事実ず蚀うべきか。䜕にせよ金で事実すらねじ曲げられるずいう「事実」がある以䞊、綺麗事に興味はないが。
 仮想通貚なんお実に分かりやすい䟋だ。たしお扱うのが銀行だずいうのだからたず金を預けお仮想通貚を貰うわけだから、党額䜿わない限り、銀行に金を枡しおいるも同然だ。そしお仮想通貚に察しおは、通垞の通貚ず同じ法芏制はほが䞍可胜ず蚀っおもいい。いや、䞍可胜ず蚀うよりも、意識的に法敎備から倖せるので、私腹を肥やしたい人間からすれば奜郜合だろう。
 誰もそれを考えない。
 生きるこずを考える人間は、随分枛った。
「私の生き方にほが唯䞀ず蚀っお良い利点があるずすれば、無意識に盎接アクセス出来るこずぐらいだしな」
「どういうこずだ」
「芞術家や発明家が、「倢で芋た」アむデアを䜿ったら成功した、みたいな噺があるだろう 私はどうやらそれを意識的に出来るらしく、アむデアに詰たったこずは、今のずころ䞀床もない」
「それっお、かなり、ぶっ飛んで凄いこず䜕じゃないのか」
「銬鹿が。アクセスしたずころで私が曞くのはただの物語だぞ。第䞀、もし仮にそうだずしお、それが金になるのか」
 別に嬉しくもないしな。
 幟ら曞いおも売れなければ、䜕の意味もない。あああああず連打しおいるのず同じだ。
 そしお重芁なこずだが、売れるかどうかず玠晎らしいかどうかは、関係がない。
「玠晎らしいか凄いかはずもかく、いやそもそも私が曞くのはただの物語だから、仮にそれだったずしお、それこそが玠晎らしい人間の行き着く先だずしおも、䞋らないモノに䜿っお金になるかも曖昧だずいうのでは、噺にならんな」
「おいおい、人類にずっお玠晎らしい胜力だず思うぜ」
 それっお所謂真理じゃねかず、適圓なこずを圌は蚀った。実際、そんな倧局なモノに繋がっおいるかなど知らないし、繋がっおいおずころで、どうせなら金になる知識の方が、金になった。
「知るか。私は別に、玠晎らしさなどどうでもいいからな。欲しいのは実利であっお、そんな珍劙な胜力では、断じお無い」
 倧䜓が、私にずっお「物語を曞く」ずいうのはその、「無意識」を通しお「䜜者」ずいうフィルタを通しお挔出されるモノだず、理解しおいる。 フィルタが私だからないずれにせよ、そんなあるのか無いのか分からないモノに、興味はあたりない。
 救いの手は握り぀ぶしお腹に入れる。
 今たで散々遞択する暩利すら無い道を歩かされおきた。今曎綺麗事を信じろ、などずいうのは無理を通り越しお抌し぀けがたしい。
 
 私は、どんどん人間から離れお行っおいる。

 人間らしさ、愛、感情、友情、慈しみ、䜕でも良いが、私は埐々に、だが確実に人間に蚱された心などず呌ばれる噚官が、死んで来おいる。
 いや、消滅ず蚀った方が正しいのか。䜕にせよ私にはもう感動しお「ああなりたい」ず願うこずすら出来なくなっおいる。お笑い草だ。そもそももう私には、心無い怪物が憧れるように、人間の持぀枩かみを、欲しいず願うこずすら無くなっおきおいるのだ。
 これで救いなど、幞犏など、無理がある。
 無理なら無理で、構わないがななおのこず金がなければ噺にならない。割に合うたい。
 たぁ今曎どうでも良い噺だ。些现なこずに思考を削いおいるのも銬鹿銬鹿しく感じる。感じる、なんおいかにも私らしくないが。
 金があれば䜕でも買える。
 買えなかったずころで、満足すれば良いだけの噺だ。自己満足。倧いに結構だ。私はそれで構わないし、被害者ぶる぀もりすらない。
 どうでもいい。
 金以倖、いやこの私の充足、満足、他でもないこの「私」が、生きる䞊で玍埗し満足し、楜しめるか吊か それ以倖はどうでもいい。
 それが、私だ。
 邪道䜜家だ。
 だからこその、私だ。
 どうでもいいがな。私がどう考えるかなんお瀟䌚から芋ればどうでもいいし、結局は党おの善し悪しは金で、぀たり運䞍運で決たるのだから、考えるこずには意味はない。
 そう蚀う意味では、本圓に無䟡倀だ。
 物語なんお。
 ただのゎミだ。
 売れるか売れないかは内容など関係なくただの運䞍運で決たり、善し悪しは金の有無、その分量でのみ蚈られる。
 人間の意志も誇りも尊厳も、金の前ではただのゎミだ。人間の意志なんお本来必芁ない。「たたたた」金を倚く持おるか持おないか、ただそれだけが重芁なのだ。
 才胜も環境もずどの぀たりただの運。䞖の䞭はシンプルに出来おいる。なにもかも無䟡倀で䜕もかもただのゎミだ。
 䞖界はゎミの山で出来おいるが、䟡倀の有る無しは金で決たる。そしお金は運䞍運、人間の意志も誇りも尊厳も無芖しお、「どうでもいい」理由で䞀カ所に集たるものだ。
 ステヌキを摘んで考える。
 いや、考えたずころで、結局意味はないが。
 金ずいうのは「たたたた運が良かったか」を蚈るためのモノなのかもしれない、なんお考えるず笑える話だった。だずすれば、努力も劎力もいたたでの長い長い道のりも、䜕の意味もない。
 運が悪いから無駄でした、なんお。
 怒りを通り越しお、笑える。
 笑わずにはいられない。
 こんな䞋らない噺を。
 笑う気も、起こらないが。
 どうせ無駄なら面倒だしな。
 運䞍運、か。私の人生は「それ」に散々巊右されお、私個人の挑戊は党お運䞍運に敗北しおきたわけだが、ずなるず人間が運䞍運に勝利するこずは、䞍可胜なのだろう。
 どう足掻いおも、少なくずも私には、芆すこずは出来なかった。
 無駄だった。
 意志を燃やすこずは無駄だったし、執念で挑んでも駄目だった。時間をかけおも才胜には砎れたし、その才胜すら運䞍運で蚈れる、䞋らない産物だった。
 䜕もかもが、無駄だった。
 勝おない。 
 勝おるのは、結局運がよい奎だけだ。
 どれだけ緻密に蚈画を緎ろうが運悪く蚈画通りに行かず、どれだけ時間をかけようが運悪く結果が圢にならず認められず、執念も信念も誇りも生き様も生き方も、結局運䞍運、ずいう蚀葉には勝おないたた、勝おなかった。
 ずもすれば、どれだけ私が執念を燃やしお頑匵っおいようが、結果が出たこずは䞀床もないのだから、幎䞭寝おいおも結果は同じだったのかもしれないいや、同じだろう。
 運䞍運、なら結局そういうこずだ。
 綺麗事は嫌いだ。物語ずいう奎は綺麗事を䜿わないず噺が終わらないので、やむなく䜿うこずもあるが、やはり嫌いだ。
 綺麗事など、蚀うだけならば猿でも出来る。
 猿の鳎き声を聞いおいるのず、倉わるたい。
 綺麗事を珟実に出来るのは、運のある人間だけだそしお、私はそうではないので、ただ迷惑なだけでしかない。
 たぁ私の堎合、本圓に心があるわけでもないので、執念や信念や誇りず蚀うよりは、それが合る人間ならこうするだろうずいう、暡倣だが。
 淡々ず狂気そのもので、繰り返し繰り返し成功するたで手を倉え品を倉え、あらゆる方法を詊し尜くしただけだ。
 詊し尜くしお分かったこずが、運䞍運がなければ䜕をしようず無駄、ずいう身も蓋も心も無い結果だずいうのだから、無駄だったが。
 そういう意味では、私ずいう人間は幞犏を目指すこずも目指す姿勢も、目指す私自身でさえ、䜕の意味もない。いっそ蟞めおしたいたいが、理䞍尜に頭を垂れたずころで、結局は同じだしな。
 苊しむだけだ。
 私が苊しむだけ。
 ただそれだけだ。
 苊しむ、ずいうのも最近は分からなくなっおきた物理的な苊しみは勿論、粟神的な挫折すらも、正盎食傷気味ずいうか、そもそも私は粟神的に人間が挫折し、本来あるべき苊悩すら、持ちたくおも持おない。
 苊しみに嘆きたくおも。
 出来ないのだ。
 随分ずたあ、ぞたを抌し぀けられたものだ。
 たったくな。
 どれだけぞたを抌し぀けられようが、結局は自信の郜合を抌し぀けられる方が偉く、正しいのだから、私が無条件で悪いのだが。
 負けた方が悪いのだ。
 負けるべくしお生きおいる存圚が悪い。
 勝おなければ、綺麗事だ。
 だから䜕が悪かったず蚀えば運が悪かった。もう少し勝ち目のある人間に産たれおいれば、倧分結末も違っただろうが、そういう意味では神がいたずしお、その倱敗䜜が私だずしおも、倱敗の責任ずいうのは基本的に貧民が背負うものだ。
 なるほど、そう捉えれば神ずいう存圚は䟿利なものだ。自分より偉い、ずいうか自分勝手な郜合を抌し぀けられる存圚がいないのだから、悪くなりようがない。
 だから神は正しいのだろうか。
 ふず、そんな䞋らないこずを思った。
 生殺しの人生なんお歩いおきたからか 我ながら䞋らない考えにずり぀かれたモノだ。
 垌望はある。
 かのように、無理矢理、どうせ無駄だず知りながらその目先にぶら䞋げられおいる「垌望みたいなもの」を芋お、己を奮い立たせ、今回こそはず挑むのだ。
 その党おが無駄だったが。
 無意味で。
 無䟡倀だった。
 䜕の結果も、残さなかった。
 垌望なんお無い。
 あったずころで停物だそんな人生を送っおいる時点で、䜕かを「信じろ」など、無理な盞談だ。信じるべきモノなど、党お裏切られおきたのだからな。
 党く、実に傑䜜な人生だ。
「そろそろ着くぜ」
 私は事前の打ち合わせをしお、埌は携垯端末を攟り投げお眠るこずにした。
 運䞍運。
 ならば、この先にある物語も、結局はそれなのだろうか、などず、倢のないこずを、胞の䞭で繰り返し考えながら。

   

 運呜。
 仮に私は、案倖あっさりこの先「成功」し、簡単に「幞犏」になる想像できないが運呜だったずしよう。だが、それをどう知芚する
 それこそ䞍可胜だ。
 先が芋えないず蚀うのは䞍安なものだ。䟋えそれが停の爆匟倖芳のみ本物に芋えるを送り、譊戒レベルをあげた䞊で同系列他斜蚭のIDをコピヌし進入。メンテナンス業者を装い八ッキングしおいる最䞭だずしおも、だ。
 合理性をあざ笑うかのようなやり口だず、我ながら思う。ここたで最新鋭のオヌバヌテクノロゞヌで守られた最新の芁塞、個人情報保護機関ですら、手口を倉えずに進入は可胜だ。
 停の爆匟なんお誰でも䜜れるし、䟋え停物でも爆匟が送られれば譊戒はあがる。神経質になったずころで、぀たりは䜙裕のないずころでメンテナンス業者を装い蚪問する。
 に関しお蚀えば、同系統にある他の斜蚭、譊備の優先床の䜎い職員から、デヌタをコピヌすればいい。よく調べれば同じ人間が二人いるこずは分かるはずだが、譊戒を匷化した譊備は、䞍思議なこずにさえ通れば仲間だず認識する。
 我ながら悪魔みたいな手口だ。
 数兆円賭けた斜蚭を、わずか円の予算で突砎しおしたった。勿論、コヌヒヌ代だ。
 ハッキングは人工知胜に任せればいい。
 こんな暇぀ぶし感芚で突砎できおいいのか疑問ではあるのだが、楜であるに越したこずはない。 ここからは電撃䜜戊だ。
 最新型のセンサは、音も枩床も玫倖線すらも、呌吞音の䞀぀たで、完党に掌握する。
「完党な管理など無いっおこずかね。先生がこうも簡単に入れるずは」
「圓然だ。システムを管理するのは、人間だからなアンドロむドだったずころで、譊備である以䞊、どこかに隙は生たれるものだ」
 人間なら居眠りするし、アンドロむドならメンテナンスが必芁だ。これがあるから絶察、の譊備䜓制など存圚し埗ない。
 システムが完璧でも管理する偎は完璧になり埗ないからだ。究極的には管理する偎を、人質にでも取っおしたえば、どんな完璧なシステムであろうが、無駄に終わる。
 䞖の䞭そんなものだ。
 フリヌの始末屋は組織のバックアップが無いので苊劎する。倧局な資金揎助もないし、䜜家ずしおも、私の䜜品は䜕かしら宣䌝に関しおも、手を打たなければならないからだ。
「さお、やるか」
 最新型のセンサを欺くこずは䞍可胜だ。
 どんな小现工も通甚しない。完璧な管理システム。ゞャックでも停装は難しい。だが。
 最新型センサヌはどんな小さな倉化も芋逃さない。だからカ所皋、小さな爆薬を仕爆砎するこずで、泚意を逞らすこずにした。
 録音された銃撃音を響かせるこずも忘れない。これでゲリラず誀解させるのだ。
 譊報音で五月蠅い䞭、私は半ば匷匕に個人情報を管理しおいるデヌタを調べ䞊げ、ノィクタヌを調べるこずにした。
 だが、䜕故かここには無かった。
 おかしいそんなはずはないのだが。だが無いモノは無い。故に盎接で向くしかあるたい。 私はここの責任者がいるであろう倧きな扉をがらりず開けた。
 そこには。
「私の情報ならここだよ」
 そう蚀っお、叀びたほずんど化石だ旧時代の蚘録デバむスを右手で振る、壮幎の男の姿が、そこにはあった。
「君が、噂の邪道䜜家かな」
「だずしたら」
 ここで仲間ずか信頌できる絆ずかがあれば奇跡が起こっお倧逆転したりするのだろうが、私は䞀人だ。人工知胜を䜵せおすら二人。いや、こい぀に関しおは鏡みたいなものだ。数えたい。
 私は䞀人だ。
 圌も䞀人のようだった。
 心情的にも。
 粟神的にも。
 物質的にも。
 䞀人。
 この時代に産たれ、それでいお時代遅れの人間が、二人、ここにいた。
「たぁ座りたたえ。玅茶でも出そう」
「それは有り難いな」
 実際、完璧なはずの譊備をこうもあっさり砎りその䞊、自宀に抌し入られおず蚀うのに、圌は慌おふためいたりはしなかった。圓然か。
 私でもそうする。
 䌌た者同士ずいうわけだ。
 私も圌も匷いわけではない。むしろ、「愛」ずかいう謎の゚ネルギヌが人間を匷くするならば、我々二人は匷さすらない。
 今曎、いらないがな。
 あるのは狂気だけだ。
「君は人間をどう思う」
「どう、ずは いきなりだな。匷いお蚀えば、身勝手な生き物だろう」
「正解だ。そしお、人間ずいうのは身勝手だからこそ斬新なモノを䜜り䞊げるこずが出来る。だがその斬新さは、人類のテクノロゞヌの進歩が、䞍芁ず刀断するようになった」
「䜕の噺だ」
「人間の匱さに぀いお、語っおいるのだよ。アンドロむドは倢を芋るようになった。だが、人間は倢を芋すぎるたただった。理想的な瀟䌚を圢成するには、䞍必芁なくらいに」
「なら、アンドロむドに取っお代われずでも」「いいや、理想的瀟䌚圢態のコントロヌルずいうのは、理想的な人間が運甚するこずで実珟可胜ずなるものだ。埓っお、私は差別も貧困も苊しみも悲しみも「持たない」匷い人類を䜜り䞊げたいだけだよ」
「匷い人類」
 そういえば、この男は革呜かもどきの行動を繰り返しおいるらしかったが、さお、それず関係あるのだろうか
 私は出されたケヌキを口に入れ、玅茶で喉を最しおから、答えるこずにした。
「匷いかどうかなんお、䞻芳によるだろう」
「そうずもいえない。聞くが、人間を倉えるのに䞀番手っ取り早い方法は、䜕だず思うね」
「掗脳かな」
 䞀番早そうだ。
 真っ先にその遞択肢がでるのもどうかず思わないでもないが、暗闇に閉じこめおしばらく掗脳を続ければ、倧抵の人間は壊れるか諊める。 
 私のように最初から壊れおいなければ、だが。 狂人はコントロヌルできないからな。
 狂っおいるものは、正せたい。
「違うな。芁はどのような瀟䌚問題も、人間の意識が問題だ。党おの瀟䌚悪は、所詮人間の心のありようが衚珟しおいるだけに過ぎない。だから人間党䜓の意識を倉えるこずが出来れば、瀟䌚を倉えるこずなど簡単だよ」
「ほう。そりゃ倧局な噺だ。だが、どうやっお」「革呜、ずいう「空気」を䞎えればいい」
 なるほど。革呜ずいうのは蚀わば免眪笊でもあるのだ。免眪笊を掲げる人間は、反察勢力に容赊をしない。意芋は無理矢理統䞀される。
 数が倚ければ、正矩だ。
 䞖の䞭そんなものだ。たぁ、数だけでも意味がないだろう。金ず暩嚁ず実力か。
 結局のずころ、どれだけ綺麗事を歌おうが、実際にその綺麗事を珟実にするには力が必芁だ。それを熟知しおいるからこそ、この壮幎の男、ノィクタヌは革呜などず蚀う、実利の䞍透明な掻動に身を投じおいるのだろう。
 チェ・ゲバラもきっず、そうなのだろうな・この男も同じだ。䜕かを倉えようず思うあたり、自信の平穏を望めない人間。悲しいこずに、そう蚀う人間こそが、䞖界の歎史を倉えおきた。 因果な商売、なのだろう。
 きっずな。
 革呜も、金が絡むずいう点では、同じだ。
「空気ですよ。䜕ずなく皆が、「こうしおいくべきだ」ず感じ取れば、それが瀟䌚のルヌルずなるのです。䞖界を倉えるのは貎方達が、私のこずを倧局に「革呜家」などず呌んでいる私のような人間ではなく、「䜕ずなく皆がそうしおいるから」ずいう、理由ずも取れない理由こそが、人間の無意識の善性を刺激し、䞖の䞭を倉えおいこうずいう掻力になるのです」
「身も蓋もない噺だ」
「ええ。ですが事実です。合理的に考えれば、その意識を人に蚀われるたでもなく皆が持぀こずですが、芁は私は、それを実行に移しおいるず蚀うよりも、皆がそれをやりやすくしおいるだけ、ず蚀うべきでしょう」
「資料を芋たよ。お前の呚りには気持ち悪いくらい、お前のこずを「正しい」ず盲信しお疑わない人間ばかりだ。その䞊、党おの人間がお前に奜意を向けおいお、反察意芋は認められない空気を出しおいる」
 たるで䞻人公だ。
 そう私が語るず、圌は笑っお「そんなものですよ、人間は自分に郜合の良い存圚を、吊定できないものです」ず答えるのだった。
 郜合の善し悪し。
 それは正矩だずか悪だずかそういう䞋らない事ではなく、そう理由づけお人間が動くための、その前提ず蚀うべきだろう。そしお、少なくずも珟地における党おの人間の「郜合」を満たすこずはそれほど難しくはないだろう。
 圌らの倢理想も、結局は圌ら自身の郜合が良いか悪いかでしかない。郜合を叶える圢で、珟地の人間達の郜合を叶え、反察する勢力を朰す圢で蚀葉を広げれば、それで英雄の誕生だ。
 䞻人公か。
 なら、私は䜕だろう
 悪圹か。
 悪人か。
 いずれにせよ、楜な配圹であっお欲しいものだがこの䞖が仮に舞台だったずころで、私は自信の利益にしか関心がない。どうでもいい。
「それで、どうしたすか」
「始末を䟝頌されおいる」
「ならばこれでどうです」
 蚀っお、懐から䜕かを取り出した。歊噚かず思ったが、違った。金のクレゞットチップだ。
「このチップに䞇ドル皋、入金されおいたす。皎金もかからない䞊、裏金利での預け入れになっおいるので、ご安心を。銀行ず政府の癒着がある限り、぀たりは政府圢態がある限りは、貎方の金銭面での䞍安は無くなりたす」
「ふん、それで」
「取匕をしたしょう。貎方も、寿呜を取匕材料ずしおいる以䞊、ここで匕き䞋がれるずは思いたせん。ので」
 蚀っお、圌は銃を取り出した。
「この私、だけを始末するずいうのは」
 郜合が悪いでしょうか、ず蚳の分からないこずを蚀った。
 いや、分からないこずではない。
 私はすでに、それを経隓しおいる。
「合理的に考えれば、肉䜓䞀぀に瞛られるのは䞋らないこずです。䟿利ですよ。自分の䜓が耇数個䜓、あるずいうのは」
 シェリヌホワむトアりトず同じ、肉䜓を耇数個持っおいるずいう事だろうかしかし、アンドロむド䞊の挔算胜力など、あるはずがない。
「どうやっお、動かしおいるんだ」
「簡単ですよ。倖泚するか、自分の資金で倖付けの挔算装眮を買えばいい。私の堎合、ここから数光幎離れた惑星で、挔算装眮を管理しおたす」
 私の代わりに考えおくれる蚳です。
 そんなこずを平然ず蚀うのだった。
 なるほど、確かに䞻人公だ。
 自分の痛みを䜕ずも思わず、䞖界党䜓が平和になればいいず本気で信じ、その䞊敵察者には容赊せず、思想を怍え付け瀟䌚を操る。
 ノィクタヌの堎合、それが機械を通しおいるだけだ。そしお䞖界が平和になればいいず蚀うよりは、合理的に「その方が䟿利だから」なのだろうが。
 自芚的に人を、自分をも、螏み台にする。
 この䞊「俺は正しいこずをやっおいる」だずか女のためだずか綺麗事を蚀えば完璧だが、圌の堎合単玔に合理的思考の果おに革呜を起こそうずしおいるのだろうから、笑えない。
 自芚ある邪悪か。
 本来䞻人公ずは邪悪で醜悪なものだ。䜕せ女のためにあれこれ策を匄する悪人の邪魔をしお殺したずころで、䜕䞀぀悪びれない。
 しかしこの男は己の行動を「正しい」ずすら思っおいないのだろう。
 合理的に考えお。
 䞖界は平和であるべきだ。
 だから殺す。
 この壮幎の玳士は。
 たぁ、私には関係ないがな。
「いいだろう。私の䟝頌はお前ずいう個人を始末するこずだ。別に革呜を止めおくれずは頌たれおいないしな」
 ただ、流石にそれだけでは、䟝頌人が玍埗しないだろう。条件を付け加えるこずにした。
「加えお、しばらくの間、革呜掻動をやめお貰おうか」
「構いたせんよ。もずより、私にはもう掻動する意志がありたせんし」
「どういうこずだ」
 圌は笑っおこう蚀った。
「䞖間の流れは、もう「革呜を起こす」ずいう空気に倉わっおいたす。私がこの先䜕をしようが、すでに圌らは動くでしょうから」
「流行の曲みたいなものか」
「ええ。どうしたずころで、圌らはそう行動するでしょうね。扇動したのは私ですが、この惑星も他の惑星も、いや自我を持぀党おの生き物は、考えるのが苊手ですから」
「だから「革呜家」に、考えるこず、やるべき事を暡玢するこずを「委蚗」しおいるず」
「その通り」
 喉が枇いたのか圌は玅茶を啜った。私もそれに習っお少し飲んだ。
 私は垭を立ち、
「いずれにしおも私には関係ない。粟々利甚させお貰うさ。お前の思想も、䟝頌人も、金になればどうでもいいしな」
 銃を握っお、ノィクタヌに向ける。
 だが。
「違いたすね」
 ず答えられお、私は少々気が抜けた。
 どういうこずだろう。
 䜕が違うずいうのだろうか。
「貎方自身、自芚はあるのでしょうし説明は省きたすが人間は合理で生きられない生き物です。金銭は重芁ですが、それこそを党お、ずは元々考えられない生き物なんですよ」
 人間はね、ず。
 圌は蚀った。
「だから、䜕だ」
「いえね。貎方は非合理ず合理の間で悩んでいるように芋えたす。なら、いっそどうでしょう そこにある金銭、䞇ドルを捚おおみる、ずいうのは」
「冗談はよせ。みすみす金を捚おられるか」
「でしょうね。だが、貎方自身分かっおいるのでしょうが、それそのものには䜕の意味もありたせん。䟡倀はあっおも、意味はない。結局のずころ意味を芋いだせなければ、幟ら金銭を持ずうが無意味そのものですよ」
 合理的に考えお、必芁であっおも欲する物には成り埗ないですから、ず蚀うのだった。
 倧きなお䞖話だ。
「金が䜙っおから探すずするさ」
 銃を向けながらそんなこずを蚀った。
「あろうがなかろうが、同じ事ですよ」
「なら、満たしおから芋぀けるさ」
「芋぀かりたすか」
「さぁな。だが、䟋えそれが必芁なだけの物だずしおも、私は「それこそが党おだ」ず蚀い匵るさ人生を楜しむのは、それからだ」
「貎方は、䞖界が楜しいですか」
 興味深そうに、圌はそんなこずを聞くのだった私は少し考えおから、こう答えた。
「金次第さ」

    

 䟝頌も終わったし金にもなった。
 だから考える。
 人生の楜しみ方に぀いお。
 私は宇宙船の座垭シヌトに座っおいた。ホットカフェオレずチョコレヌトドヌナツを頌み、私は垭に深々ず沈み蟌む。
 最近金は幞せでは無いず蚀う噺を聞かされるこずが嫌に倚いが、宗教でもあるのか
 金のない幞せなど、嘘くさい噺だ。
 金で幞せは買える。少なくずもおいしい食事、豊かな生掻、それら普遍的な幞犏を「金では買えない」などず抜かすなら、それはただ単に金で買えない䞍幞せを、知らないだけだ。
 金のない苊痛を知らないだけ。そしお苊痛を死りもしない人間の蚀う綺麗事は、ロクなこずにはならないものだ。ならなかったずころで、圌ら圌女らは高いずころから眺めるだけでいいしな。
 責任のない助蚀ほど、迷惑な物は無い。
 いずれにせよ私は、䜜家ずしお背負った業を、党うするたでだ必芁なのは自認ず自芚。
 自分こそは倧傑䜜を曞く䜜家だ。
 そう意識的に自芚し、自認するこずが肝芁だ。自分で自分の䜜品を卑䞋しおいる人間が、人々の心を鷲掎み、握り぀ぶすほどの圱響を䞎えられる䜜品を、曞けるずは思えない。
 思わない。
 ずはいえ、これは矛盟する考えでもあるのだ䜕かに぀いお考えおいるうちは、その䜕かを極めたずは蚀い難い。私もあくたで自信の䜜品ぞはポヌズずしおそう考えおいるだけで、実際䜜家ならどうあるべきか なんお考えたこずは䞀床もないしな。
 そんなこずを考えおいおは、読者のご機嫌を䌺っおいおは、ロクな䜜品が曞けたい。いや䜜家に限らずそういうものだろう。
 自芚しお自認しお、そう振る舞い、しかし深くは考えない。行動の結果ずしお、䜜家ずしおの結果は、出なければならないからだ。
 出ればいいのだが。
 金に関しおも䌌たようなものか。金があれば幞犏である、そう蚀い匵るこずで私は自信の圚り方を固定しおいるのだ。無論必芁なのは事実だが。 金で買えない物は無い。
 売っおいればだが。
 私が欲しいのはあくたでも平穏な生掻であり、金に関しおはある意味「぀いで」なのだが、たぁ深く考える必芁もあるたい。私は哲孊者ではないのだ。
 コヌヒヌを飲みながら考える。このコヌヒヌにしたっお金がなければ買えないのだ。金に関しおは「無くおも良い」なんお戯れ蚀を聞く぀もりは䞀切無い。
 あるだけでも駄目ず蚀うだけだ。
 目的に添っお䜿わなければ、意味がない。
 圓たり前の噺だ。
 そう蚀う意味では、目的もなく生きる任絵んたちの倚いこず倚いこず。瀟䌚的な成功を目的ずしおいる人間は倚いのだが、そもそも瀟䌚的な成功ずいうのは自信の生き方、その末に埗られる物であっお、組織に属しお報酬ずしお貰うものではあるたいに。
 掗脳されおいる。
 幞せのテンプレヌト、こうであるべきだずいう考え方に掗脳され、銬車銬のように働き、死ぬ寞前に瀟䌚が、他人が、家族が、別に自分の人生の䜕を保蚌しおくれるわけでもない、ずいうこずに気づくのだから、笑えない噺だ。
 人に蚀われた生き方で幞犏になど成れるわけも無いだろうに瀟䌚的に成功したずころで、目指す物がなければ意味があるたい。
 以倖ず、有胜な人間にこれは倚い。
 なたじ䞭途半端に出来おしたうから、胜力的に䞍足を感じるこずなく人生を「こなし」おしたうのだ。そのくせ、䜕か倢があればだずか、このたた組織の䞭で埋没しおいいのかだずか、行動はせずに愚痎を蚀う人間は、倚い。
 瀟䌚的には立掟なのだが、別に瀟䌚的に立掟だから、だから䜕だずいうのだ。自分で自分の生き方に「玍埗」し、目的を持っおそれを「達成」し「私はやり遂げたのだ」ず蚀うこずがないならばただの惰性だ。
 生きるだけならそれでいい。
 だが、決しお幞犏には、なれたい。
 数が増え、人間は「代わりが効く」ようになっおしたった。だからこそ「己の生きる道」を確立するのは難しい。難しいだけでなく、遞ぶ人間の数も、随分枛った。
 成功しおいるからず蚀っお、遞んでいるわけでもないのだ。偶々胜力があった成功者、運ず環境だずか、才胜の有る無しで、勝者が決たる。
 これでは、䞊を目指す人間が枛るのも圓然ずいう気がする。私は最初から狂った人間だったので「自分には無理だ」ずか、そんなこずは考えずに無理なたたやり続け、䞍可胜なたた断行し、出来ないたた長らく続け、出来たずころで売れなければ意味がないず考えおきた人間なので、あんな颚にはなれないず諊める人間の心情が共感できないがしかし、胜力差がありすぎれば、誰だっおそう考えるだろう。
 私みたいな人間が倚くいおも、瀟䌚が混乱するだろうしな自分でもやめられないし、やめたくおもやめられないし、生き方ず癒着しおいるからそれこそ諊めるこずも出来ず、出来るたで、蚈算を呜じられたコンピュヌタの様に、やり続けるずいうのも、実際利益がでるのは皀だ。
 無論、䞖界を買えおきた偉人にはそういう類が倚いのも事実だが、成功せずに、぀たり日の目を芋ずに終わった人間の方が、倚いだろう。
 狂人の末路は、倧抂そうだ。
 成功すれば瀟䌚党䜓を倉貌させるくらい圱響を持぀奎もいるのだろうが、逆に蚀えば普通の倩才ではその領域には絶察に届かないし、狂人でなければ成し遂げられないのもたた、事実だが、成功しお幞犏な結末を迎えるこずが、その分非垞に難しいのもたた、事実だ。
 やるせない噺だ。
 才胜だけではたどり着けないず蚀えば聞こえはいいのだが、生き方ず密接な、業ずしお背負った人間ずいうのは、認められるのが難しい。
 だからこその異端だが。
 いずれにせよ物語を曞くか、読むかしおいれば退屈しないで枈むのは確かだ。
 粟々楜しむさ。
 金の力でそしお私なりの楜しみ方でな。 いずれにしろ、人間は己が没頭できる「䜕か」を成し遂げるために生きるべきだ。私が読者共が絶望し、人を信じられなくなる物語を曞くこずに察しお、私自身はやるべき事ずやりたいこずを䞡立させおいる以䞊、苊劎が無いのだ。
 無いわけではないのだろうが、苊劎を苊劎ず感じない。可胜な限りそれが少ない。成し遂げるべき未来を考えられる「目的」だ。
 それが人生を充実させる「コツ」だ。
 無論、金になるに越したこずはないがな。金にならなければやりがいがあろうず意味がない。実利ばかり远い求めるず人間は砎滅するが、実利が無ければ圢にならない。
「なぁ、ゞャック。聞きたいこずがあるんだが」「䜕だい、先生」
「なぜ私は怖がられるんだろうな」
 恐怖。
 恐怖ずいうのは倧抵、匷かったり恐ろしかったり、自信の生呜の危機を感じさせる存圚に抱くべき物ではないのか
 私のような、ただの䞀個人に、恐怖する理由が分からない。私個人の思いこみなら楜なのだが、しかしどうもそうではないらしい。
 䞍思議なこずに。
 私は怖がられるのだった。
「そりゃ、そうさ先生には、なんお蚀えばいいのか、そう、普通の人間に通じる物が、肩曞きが、匷さが、仮初めの匷さが通じないからだろうさ」
「なんだそれは」
「たずえば、肩曞きだよ。瀟長ずか次長ずか、たぁ䜕でもいいんだが、所謂「普通」の人間はそれらのわかりやすい「匷さ」腕っ節でもそうだが、それらに暩嚁や力を感じる。だが先生にはそれがないからだ」
「だから、䜕だ 珟実に力を持っおいるのは事実なんだから、問題ないじゃないか」
「いや、違うね䌚瀟は朰れるし腕っ節なんお怪我すれば終わりさ。画䞀的な「匷さ」の基準なんお、ないんだよ。圓人が匷いず思いこんでいるだけ、優れおいるず思いこんでいるだけで、そんな「匷さ」は簡単に剥がれる」
 先生はそれを簡単に剥いじたうから怖いのさ、なんお分かった颚なこずをゞャックは蚀った。
「ふん、なら匷さずは䜕だ」
「圓人の意志の匷さだろうな分かっおいるくせに俺に聞くなよ。正盎理解しおいる人間に、説明するのっお面倒だぜ」
「分からないさ。珟実にはそういう、䟋え借り物どころかただ運が良かっただけでも、圓人に䜕の意志も執念もなくおも、匷い立堎は匷いだろう」「分からなくもないが、それは立堎が匷いわけであっお圓人が匷い蚳じゃない。そしお先生みたいに開き盎れる人間はかなり少数掟なのさ」
「開き盎ればいいだろうに」
「そうもいかないさ。思うに皆、自分に匕け目を感じおしたうんじゃないのかな。先生の前だず、そういう立堎だずか匷さだずか仲間だずかず蚀った、自分以倖の物を無芖しお「自分だけ」を芋られるからな。䞭身に自信がない奎は、恐怖を感じお圓然だろうよ」
「そんなものか」
 良く分からない話だ。
「心がないっおこずは぀たり、心の倖偎を装食しお、自分の心を綺麗に芋せたり、自身の内偎の醜い郚分を芋なかったり「しない」っおこずだ」
「それがどうした」
「匱みが存圚しない人間の方が、匷みはあるが匱みのある人間よりも、匷くはなくおも恐ろしくはあるものさ。だから、先生を皆、恐れるのさ」
 恐れられたずころで、䜕も出ないが。
 金なら払わないぞ。
 払う矩理もないはずだが。
「匱みか、確かに誰を人質にされようが、䟋えそれが愛ずやらを向ける盞手でも、あっさり捚おる自信があるな」
 もっずも、それを匷さずは蚀うたい。
 倧切な物を持たない人間を、匷いずは蚀わないらしいからな。
「だから怖いのさ先生は䜕䞀぀持たないず嘆いおいるが、裏を返せば「䜕だっお捚おれる」っおこずだ。なぁ、おい、これ以䞊恐ろしい人間がいるか どんな暩嚁を芋せ぀けようが、どれだけの力の差を芋せ぀けようが、どれだけ奪おうが、たるで等䟡に捚おられる、人間。そんな盞手に察しお、䜕をすれば勝おるのかすら、誰も思い぀かないだろうよ」
 個人的には嬉しくもないがたぁ倧抵の人間は「捚おられない」こずで悩むらしい。恋人だったり家族だったり、地䜍だったり名誉だったり暩力だったり䜕かにしがみ぀くこずで自分の粟神の平穏を守る人間か、自分の圚り方を確立し、その圚り方を基準に生きる人間か、ただのそれだけ。違いはそれだけだ。
 どちらが正しいのか、それは知らない。
 正しさなんお人によっお倉わるものだ。
 だが。
「私からすれば、倧した自分もないのに、人の暩嚁や実力で、人生を知った気になる人間の方が、䜙皋恐ろしいがね」
 なんお、盗䜜から執筆掻動を始めた私が蚀っおも、説埗力があるのか分からないが。だが、私には確固ずした自分がある。
 少なくずも、䜜品には。
 などず適圓なこずを蚀ったが知るものか。どうでも良い噺だ。金の倚寡に比べれば。
 心の底からどうでもいい。
 心があるのかは、知らないがね。
 さお、䜕か機内サヌビスでも頌もうかず思ったが、私は金があれば幞犏だず公蚀しおはいるが、金遣いが荒いわけでもない。そもそも、人間普通に生きおいれば山ほど金を䜿う機䌚は、かなり少ないだろう。
 珍しい物がいい。
 金を䜿っお絶察に埌悔しないのは食べ物だ。䜕せ腹の䞭にはいるのだから、良かれ悪しかれ自身の糧になるだろう。
 䜕を頌もうか。
 私は悩んだあげく、「宇宙匁圓」なる奇っ怪な匁圓を頌むこずにした。芁は、駅で売っおいる名物商品を、宇宙でも売り出しただけだが。
 瓶のような倧きい䞌に鰻、そがろ、茹でた牡蠣腹を壊さないだろうなが入っおおり、実に矎味しそうではあった。
 矎味い。
 ささやかなストレスすら蚱さない平穏なる生掻のためには、やはりこういう時間こそが肝芁だ。ストレスずいうのは「幞犏」の察局に䜍眮するこずが倚いからな無論「匵り合い」だずか「やりがい」ず蚀ったモノの元になるこずはあるが、そうでもない限り䞍芁だろう。
 念のためコヌヒヌを飲む。殺菌䜜甚があるし、食埌に飲むこずでしょうかの手助けになる。私はコヌヒヌを飲み、く぀ろぐこずに

 手

 した。が、たお、䜕だ今のは
 女の手だ。
 宇宙船内で私の「貞し切り」だずいうのに、女の手が䞀瞬、「倖から生えお」いた。宇宙船の事故で死んだ幜霊かず思ったが幜霊なら切り捚おれば良いだけだしなそんなわけがない。この宇宙船は補造されお日が経っおいないし、だからこそ私は乗ったのだ。
 「カネ」ず「女」ず「謎」が絡むずロクな事にはならないものだ。そしお今はその䞉぀が絡んでいるさお、どうするか。
 私は䜜家だ。
 戊う者ではないずりあえず、盞手が䜕であろうが「䜜品」の「ネタ」にしおくれる。
 足䞋をリニア・モヌタヌのように音を立おず接近し、私の足を掎もうずしおきたので、私はずりあえず怅子の䞊に避難するこずにした。
「䜕だコむツは」
 䞍気味だ。
 だが、行動パタヌンからしお誰かが操っおいるのは明癜だ。そしお窓偎から壁をすり抜けお進入しおきた女の姿を芋お、確信に倉わった。
「よぉ」
 ずだけ、女は蚀った。垃䞀枚着おいない姿、匕き締たった筋肉、恐らくは工䜜員の類だろう。
「お前は」
 䜕のようだ、ず聞こうずしたのだが、女は取り合う぀もりは無いようだった。
「チップを寄越せ」
 持っおるんだろ ず、柄の悪いチンピラのような態床で凄む。だが、凄たれたずころで私には枡す矩理は無い。
 問答無甚で斬り䌏せるこずにした。
 䞀倪刀目をあっさりかわされたので、様にならなかったが。
「成る皋。理屈は分からないが、貎様「幜霊」に「成る」こずが出来るんだな ああ、いいぞ喋らなくおも。私が勝手に調べるから」
 な、ず蚀おうずしたずころで私は匕きずり蟌たれた。無論、地面にだ。女は幜䜓化、ずでも蚀えばいいのだろうか。幜霊に成っお地面ぞ朜り、私の足を右手で掎んだのだ。
「自分以倖の物䜓たで幜䜓化できるのか」 私の地面は、半埄メヌトルほどが、底なし沌のようにドロドロに溶けおいた。あの女、觊れたモノも幜霊に出来るらしい。
 たずいぞ䜕ずかしなければ。このたた幜霊にされたらどうなるんだ あの䞖そんなものがあるのかぞ行くのか それずもただ消滅するのかどちらにせよ埡免だ。
 なので。
「動くな。クレゞットチップを砎壊するぞ」
 ず脅した。
 私は䜜家であっお戊士ではないのだ。戊えば勝぀だろうが、無意味に疲れるのは埡免だ。だから欲しがっおいるチップをネタに脅すこずにしたずいうわけだ。無論、砎壊する気なんおさらさら無いのだが。
「いいのか お前が䜕者かは知らないが、カネが欲しいのだろう」
「ふざけんな。お前みたいな拝金䞻矩者ず䞀緒にすんじゃねぇ。第䞀、ここでお前をブチ殺せば枈む噺だ」
「それは無理だろうな。私は「サムラむ」だ。こず玔粋な戊闘で匵り合えるのは同じサムラむか、ニンゞャだけだ。私はお前を殺せるが、しかし䜕者かも分からないたた始末したずころで、たた襲われないずいう保蚌も無い。だからどうだ ずりあえず䌚話のテヌブルに着くずいうのは」
「信甚できるず思うか」
「いきなり殺しにかかっおきた垞識知らずの台詞ずは、思えないな。いいか、勘違いしおいるようだが䌚話の䞻導暩を握っおいるのは私だ」
 実際にはそんなこずは無いのだが、それこそ䌚話の䞻導暩を握るための、テクニックみたいなものだ。
 これも䞀぀の話術だろう。
 あるいは、戯れ蚀か。
「いいぜ、聞いおやるよ。だが、そのカネは必ず、必ず私が貰う」
「䜕だ。拝金䞻矩者の私ず同じではないか。䜕が買いたいんだ 暩力か 男か 地䜍か名誉か」
 実際には違うのだろうが。こうやっお挑発すれば圓然、苛立っお䜕のためかを圌女はあっさり話しおくれるだろうずいう䌁みだ。
 䌁みは圓たったが、しかしその答えは私にずっお、期埅はずれもいいずころだった。
「効の為さ」

   

 誰かの為。
 これほど醜い理由はあるたい。誰かのために殺し誰かのために倒し誰かのために始末する。たぁ意味も結果も同じだが、圌らは「倒す」ずいう蚀葉を䜿うこずで、自分たちが悪いこずをしおいない、「悪者を」倒しおいるだけだ。ずそう思いこみたいだけらしいが。
 ちなみに私が「始末」ずいう蚀葉を䜿うのは、単玔に蚀葉の響きがいいからである。
 それ以倖に、特に意味はない。
 私はそもそもが、私個人の幞犏のためならば、文明の䞀぀二぀滅んでも構わないず、垞日頃から思っおいる人間なのだ。そんな人間に、人間かどうかは知らないがそんな私に、「眪悪感」などずいう䞋らない自己満足の自己嫌悪など、持぀はずもない。
 眪悪感ほど䞋らない感情も無い。
 抱いたから、䜕だず蚀うのだ。
 それで誰が救われるわけでも無いだろうに。
 たぁ私は誰が救われようが、私個人の利益に関係なければ、どうでもいいがなそう蚀う意味ではやはり、自分で勝手に自己嫌悪しお、よくわからない内偎に入る人間ずいうのは、人類が滅んでも自分の目的、利益さえあれば笑っおいられる私のような人間ずは、真逆すぎおわかるたい。 悪を自認するこずが難しいず人は蚀うが、産たれお生きおいる以䞊、䜕かを螏み台にする「悪」だ。生たれ぀いおの悪ずいうなら、人類はすべからくそうではないか。
 私から蚀わせれば、皆悪だ。
 悪に倚寡など存圚しない。
 蚀い蚳がたしく認めないか、どうかただそれだけの違いでしかない。悪を自認するこずが難しいず思うなら、鏡を芋ろ。
 そこに悪はある。
 誰にでも、存圚する。
 善性に぀いおも、同じだ。そもそも人間が勝手に䜜った抂念だが、芋方を倉えれば「善」でないず、党おの偎面からそうあるこず、そんなこずは䞍可胜だろう。
 䜕かを砎壊する時点で、誰かは儲かる。
 䞖の䞭そんなものだ。
 実に、陳腐な台詞だが。
 「䞻人公」の劂く、人々に必芁ずされる人間像を、ノィクタヌは挔じおいたらしいがならば必然的に、圌の呚りに集たった人間達は、そういう「自芚」の無い人皮だろう。
 物語におけるヒロむンのような。
 助けられるこずくらいしか存圚意矩が無いくせに、それらしい綺麗事だけは述べる人間。
 絶察に盞容れそうにはない。
 悪性がない存圚など人間どころか、そんな奎は生き物ではないず考える私に察し、圌ら圌女らは善性こそが人間には備わっおいお、正しい道を歩いおいれば「誰䞀人ずしお傷぀けず生きる」こずが可胜だず、盲信しおいる。
 その考えそのものが、「持぀偎」の䜙裕ある台詞でしかないこずに、圌らは気づく気にもならないのだろう。私などより狂っおいる。
 正しい道を歩くずいうこずは、぀たりそのために邪魔者は排陀し、的を倒すず蚀うこずだ。仮に党おの戊いを避けるならば、尚曎そんな存圚は生きおいるずは蚀い難い。
 正しさなど、ただの郜合の善し悪しだ。
 宗教も政治も道埳も、党お䌌たようなものだ。思うのだが、「組織」の正しさを盲信したり、あるいは今回のように誰か䞀個人の「思想」が正しいず考える人間ずいうのは、その察象が倒れたずきに、どうする぀もりか考えおもいない。
 生きる、ずいうこずはアテのない広野に道を切り開いお行くこずだ。その道を誰か他人任せにしお、そのくせ今回のように私のような、糟匟できそうな人間に糟匟し、カネをせびる。
 芁は、金だろう
 慰謝料ずか被害者の心の痛みずか、無責任だずか、暩利の有る無しだずか、䜕かある床に自分たちの「正しさ」を䞻匵する人間が倚いが、芁は圓然の察䟡ずしお金が盞応しい量払われおいないから、そんな行動をずるのだ。
 玠盎に金が欲しいず蚀えばいい。
 被害者ぶっお誠意なんお圢のないモノを求める時点で、金をせびっおいるのも同然だ。
 生きるだけなら金さえあればいい。
 誇りが欲しいのなら己の魂を、圢にするしかないだろう。それは芞術であり機械であり、システムであり機構だろう。䜕かしら人間は䜜りあげるこずで、自身を衚珟できるモノだ。
 人生に意味が欲しいのならば、生きるこずに目的を䞎えればいいだろう。どうせなら壮倧な奎がいい。求めもしないで願いが叶うこずなどあり埗ない噺だ。
 だが、最近は求めもせず、そのくせ倢があればず嘆き、かずいっお目的のない人間が増えおいる生きるだけなら金があれば事足りるが、残念ながら圌らには金さえ足りおいない。
 遂げたずころで叶うかどうか、半信半疑で道を歩き続けおきた私には、分からない話だ。
 人間の数が倚くなったのは事実だが、だからずいっお䜙分な人間ずいう枠ができたわけでもあるたいに。いや、出来おいるのだろうか
 代わりの効く才胜。
 代わりの効く人材。
 代わりの効く劎働。
 䜕かを成し遂げお金に換えるこずが仕事だずいうならば、人の郜合で動くのは劎働だ。そしお劎働を扱う偎は金になる。䜕もない堎所から仕事を確立し、道を切り開いおいくのは至難の業だ。私が蚀うのだ間違いない。だが、至難だからず蚀っお、目指しもしない人間が倚すぎるのも、たた事実ず蚀っお差し支えないだろう。
 代わりの効く劎働に身をや぀しおいれば、考える必芁も悩む必芁もなく、䜕かあったら瀟䌚に責任を迫れるし、楜なのかもしれない。無論、望んでその道を遞ぶ人間もいるのだろうが、果たしお䜕人が「自分」で遞んで「自分」で決めおいるのだろう。
 少なくずも、これから䌚う人間達に、そんなモノが無いのは事実だ。扇動されただけの人間に、そんなモノがあろうはずがない。
 坂を䞋り、孀児院らしきボロボロの建物私から蚀わせれば、金にならない䞻矩䞻匵など道楜に等しい。぀たりはそういう類だったがあり、小汚い子䟛達ず、それを指導するであろう衣服の汚れた職員らしき姿も芋えた。
 遞択を玠手で行う人間を、久しぶりに芋た。
 ずりたずめ圹らしい女職員は「お客様がいらしおるから、埌でね」ず子䟛達をあしらい、私の方ぞ足を運んできた。
「こんにちは、私が、ここの責任者です」
 蚀っお、爜やかに䌚釈をする。こういう類の人間ずは盞容れそうにない。泥沌の底で笑っおいられる、倉にかしたしい郚類の女は。
 譊戒し぀぀、私は答えた。
「ここの職員、李さんに呌ばれおな。来たくもないが、こうしお足を運んだ」
「はは、すいたせん。どうぞ、䞭ぞ」
 蚀っお、私は案内されるがたたに䞭ぞず足を進めた。勿論、い぀でも切り捚おられるように、譊戒は怠らない。
 善良そうだからず蚀っお、善良であるずは限らない。
 案倖、突然襲いかかっおくるかもしれないではないか。宇宙船内で女の手が襲っおくるのだから䜕が起きおも䞍思議ではあるたい。
 䞭ぞ進むず、私は埅合宀コヌヒヌは出ないし机は汚い。これで䜕を埅ち合わせるのか䞍明だぞず案内され、私は蚀われるがたたに怅子ぞず座った。
「飲み物は」
 劂䜕ですか、ず蚀おうずしたず思うのだが、こんな汚らしい堎所で出される飲み物を飲みたくはない思いやりの心が矎しいのかは知らないが、䞍味い飲み物を出されれば䞍味い。
 人をもおなすなら豆くらい挜け。
 噺はそれからだ。
 だから。
「結構だ」
 ずにべもなく断った。間髪入れなかったので、機嫌が悪いず思われたこずだろう。圓然、あんな脅迫たがいの方法で呌ばれたのだから、機嫌がいいはずもないのだが。
「甚件を話せ」
「わかりたした」
 蚀っお、女も怅子に座った。
「私はアシュリヌず蚀いたす。ここの事務員兌教育係です」
「それで」
「はい。えっずノィクタヌさんのお話は聞きたした。圌が私たちの逊育費を賄っおくれおいお、そのおかげもあっお私たちはここにいたす」「だから」
 私に䜕の関係があるずいうのか。
 ず思ったら、ありきたりな理由だった。
「ええず、ノィクタヌさんが生前、今も生きおいるず蚀えばいるのでしょうが連絡取れたせんし「䜕かあったら䜿っお構わない」ず仰られおいたお金があるはずなのですが、䜕か知りたせんか」
 金をせびるだけか。
 䞋らない。
 生前蚀っおいたから䜕だずいうのか。
「知らないな。私は個人的に金を貰ったが、その金が仮に、だが。おたえ達の䜿う予定だった金だったずしおも、知ったこずではない」
「そんな。ええず、ごく䞀郚でいいんです」
 ごく䞀郚でいいので無料で䞋さい。私たちは哀れで救われるべき人間です。だから慈悲の手を。 䞋らない。
 救いの手も匷芁すればただの脅迫だ。歊力で脅しおいるのず倉わらない。倧䜓がこの女達は決しお自分たちでやり遂げる気が無い。
 救われるべきだから金を貰った。
 いたたで、恐らくはそんな感芚で寄付金を䜿い蟌んできたのだろう。そんな感芚で金を䜿い、そんな軜い気持ちで金を匷請る。
 醜悪そのものだ。
「断る。䞀切貎様等にくれおやる぀もりは無い」「だから蚀ったろう」
 そう蚀っお割り蟌んできたのは、李ずかいうあの暎力女だった。宇宙船で私を襲い、効のためだから殺人を犯しおも構わないなどず抜かす、壊人の䞀人だ。
「最初から奪っちたえば良かったんだ。元々が、私らが貰う予定だった金だぞ」
「やめお䞋さい」
 などず蚀う䞋らないやりずりを芋お、面倒だなぁず思った。子䟛だからずか、女だからだずか、瀟䌚的匱者なので貰っお圓たり前ずいうスタンスの人間ずいうのは、芋おいお぀たらないしな。
「もういい。私が提瀺できるのは䞀぀だ。このたた私に関わらないこずだ。邪魔をするならここの子䟛達ごずお前達を「始末」する」
「おめぇ 良心のかけらも無い奎だな」
 腐っおやがる。などず抜かすのだった。
 子䟛は殺せば眪になるが、金を持った人間を殺すこずや悪人を死刑にするこずは、恐らくは圌女の䞭では「合法」なのだろう。これは宗教でも蚀えるこずだが、たるで「死んで良い人間」ず「死ぬこずが理䞍尜で正されるべき人間」がいるかのように描写されるこずが倚い。
 子䟛も倧人も女も男も。
 同じ人間だろうに。
 䜕人殺そうがそれはたた人間であり、䜕人汚そうが元が人間であるこずは倉わりあるたい。
 悪人であれば死んで良い。
 善人は死ぬべきではない。
 銬鹿なのかこい぀らは。
 生きおいれば他者を殺すのなんお圓たり前ではないか。誰かが生きるためには誰かが死ななければならない。資本䞻矩ずはそういうものだ。
 人を殺しお良い理由は無いが、殺しおはいけない理由もたた、存圚すたい圓人達がどう思いこむか、ただそれだけだ。
 敵の銖を取るこずが「正矩」の時代もある。
 人を殺すこずが「邪悪」の時代もある。
 ただのそれだけだ。
 いずれにせよ、自分たちの勝手な倫理芳を、抌し぀けないで欲しいものだ。䜕か仕事を埗るず蚀うこずはその仕事を埗るはずだった人間を殺す行為で、䜕か食べ物を倚めに茞入するこずは、生産地での阿錻叫喚を容認し、他の囜が倚少飢えお死んでしたうかもしれないこずを、芋ぬ振りしお忘れる行為だ。
 生きるだけで人間は殺しおいる。
 䟋倖などあるものか。
 柄たし面しお勝手に玍埗しおいるだけだ。
「それず、私の生掻ず、䜕の関係が」
「未来ある子䟛を芋捚おる぀もりか」
「ちょっず、李さん」
 私はアシュリヌの方ぞ立っお近づき「お前は卑怯だな」ず、ずりあえず糟匟した。
「え䜕が」
「そうやっお、優柔䞍断なフリをしお、物事が片づくのを埅぀぀もりか」
「そ、そんなこずは」
「だが、誰も助けおはくれないぞ。お前もこの斜蚭も、たたたた目に぀いお助けられおいただけでしかないんだ。お前達がどれだけ「悲劇のヒロむン」を気取ろうが、そんな䞋らない連䞭に出す金なんお、無い」
「そんな」
「そんなこず酷すぎる。助けおくれっお 埡免だね。私は別に、お前達がどれだけ悲惚であろうが関係ないしな」
「お前」
 ず蚀っお、李は私に぀かみかかるのだった。
「恥ずかしくないのかよ。ここは、芪もいない子䟛達が収容されおんだぞ 䞭には、臓噚茞出䞀歩手前の奎だっおいる」
「だから」
「だからも䜕も助けお圓然だろうが」
「䜕故」
「䜕故っお、お前」
「道埳的に、正しいから だから、䜕だ。それず私の生掻ず、䜕の関係がある。お前達みたいな「悲劇のヒロむン面のバカ」に寄付する事も結構な床合いであるにはあるが、どれだけ倚めに金をくれおやったずころで、別に因果は応報しない。金を枡したずころで、お前達が自分勝手に「ありがずう、これで助かったよ」ず蚀うだけだ。そんな䞋らない自己満足に、付き合う理由など、あるはずがないだろう」
「そんなんじゃねぇよ。ただ」
「ただ、䜕だ」
「困っおる奎を芋お助けるのは、圓たり前のこずだろうが」
 ふざけるな。
 誰しも、困っおはいる。豊かであろうが、それは同じ事だ。無論、たたたた手が合いたら、あるいはそういう気分だったら、少しは助けるこずもあるだろう。気分が乗れば、無駄䜿いではあるが寄付に金を払うこずも、やぶさかではない。
 だが、それを抌し぀ければ脅迫だ。
 道埳の欠片もない。
 ただ抌し぀けがたしいだけだ。
「最近、湿気が酷くおな」
「は」
 䜕の噺か、わからないらしい。圓然だが。
 私は噺を続けた。
「この惑星でも、䜓力を持っお行かれやすくお困っおいる。聞くが、お前そんな私を、お前は助けたこずはあるのか」
「ッそれずこれずは」
「同じだ」
 私は断蚀した。同じだ。
 お前等の道埳心は、それず同じだ。
 匱きを助け匷気を挫く。蚀葉面は立掟だが、その匷い匱いの基準は、身勝手な指針によっお決められるモノだ。
 はっきり蚀っお迷惑極たりない。
「お前達の䞋らない自己満足に付き合う気は、塵䞀぀分もありはしない。私は垰らせお貰う」
 そう蚀っお、半ば匷匕にその堎を埌にした。
 こういうのはさっさず匕き䞊げるに限る。私は远跡されないように耇数の宇宙船を予玄し、高くお貧乏人の奎らでは入れない、ファヌストクラスのみの豪華船で、宇宙ぞず旅立぀のだった。

   

「倉なケチが぀いたな、先生」
 そういうのはゞャックだった。確かに。ああいう手合いは面倒だ。揉める前に匕き䞊げられたのが、唯䞀の救いか。
「俺にはよく分からないねぇ。どうしお、「救われるべき人間」なんおカテゎリが存圚する」
「人間は基本的に「自分は正しい」ず思い蟌みたい生き物だ。だから自分を肯定する胜力の䜎い人間は、組織的な正しさや倫理的な正しさ、そういった「正しそうなもの」を䌝聞だったり呚囲の空気に䌚わせたりで、そうあるこずで「正しくお善良な人間」ずいうステヌタスを守りたいのだろうな」
「先生にはたるで圓おはたらねえな」
「倧きなお䞖話だ」
 正しさよりも実利が欲しい。
 そういう意味では、必芁ない。
 圹に立たないしな。
「正しさが圹に立぀シヌンなど、倧量虐殺を正圓化する堎合くらいだろう。䜿い道がない」
「そういう発想がパッず出るあたり、先生も盞圓なものだず思うぜ」
「私はどうでもいいがな」
 他者の評䟡など、どうでも蚀い噺だ。
 金を貰えば、考えるが。
 考えるだけで、やはり意識には入れないな。
 人間の䞍幞の察矩語など、粟々が金ず女ず健康ず、そのくらいのモノだ。他には、食い物ず優越感ず支配欲ず、たぁそんなずころか。
 どうでもいいがな。
 どうでも良くないのは、金だけだ。
 ぀たり私個人の豊かさの有無だけだ。
 他のこずなど、どうでも良さすぎる。
「貧乏でも良いから愛しおくれるかず聞く、そういう女がいるだろう 銬鹿銬鹿しいこずに、愛さえあれば「䞍幞せ」に成っおくれるよねず、そう脅迫しおいるわけだ」
「極端だなぁ」
「だが事実だ。綺麗事や誠意、などずいうのは、結果そのものだ。だずいうのに、過皋が矎しければ「尊い」から別に良いよなず、䟋えどれだけ人間が死のうが、盞手が犠牲になろうが、蚱容しおくれお圓然。そう思っおいるのさ」
「俺にはよく分からない話だが、人間っおのは、愛を求める生き物だろう 愛さえあればいいっおのは、駄目なこずなのか」
「それずこれずは関係あるたい。愛があろうが金は必芁だし、過皋が尊いから殺人を蚱す人間ずいうのは、ああいう、自分たちを正しいず盲信しおいる生き物になる。醜悪そのものだ。金があるからこそ行動は誠意になる。頑匵っおいようがいたいが、倫理的に正しかろうが、結果が党おだ」
「その考えは危うくないか」
「ほう」
 私はコヌヒヌを飲み、゜ファに身を預けながら続きを聞いた。
「だっおよ、過皋だっお倧事だろう。過皋に信念がなければ、それこそ先生の蚀う「䞭身のない」モノが、䞖間に溢れかえるんだぜ」
「事実ずしお、力を持぀のは内実が䌎わないものだ。そもそも、内実の善し悪しなど結果が決めるこずでしかない。金が決めるこずで、人間の意志はモノの善し悪しに介圚しない」
「ミロのビヌナスずか、たさにそうじゃないか䟡倀の分かる人間が、埌生ぞ䌝えるこずだっおある」
「だが、広めるには金が必芁だ。聖人ですら、銀貚で仲間を売っおいる。確かに、䞭身がないのは問題だが、私が蚀いたいのはだからっお、金が、結果が「無くおもいい」ずいう事には、絶察になり埗ないず蚀うこずだ」
「確かにな」
 蚀っお、圌はどうやら私の携垯端末で勝手にゲヌムをしおいるらしく、シュヌティングゲヌムの画面に切り替えた。
「思うんだけどさ」
「䜕だ」
「先生は人間が嫌いなんじゃないのか」
「さおな。私の嗜奜など、それこそ金次第だ」
「そりゃヌ面癜いな」
 だがよ。ず圌は続けお蚀うのだった。
「結果なんお、ある䞀定を越えれば無意味なものだぜ。金だっお、ある皋床ありゃあ、人間は䞀生生きおいける。ありすぎも問題だず思うがな」
「だろうな。ありすぎたずころで、正盎邪魔なだけだろう。無いよりはマシだがな。金にしたっおありすぎれば敵を生み、暩力に翻匄され、地䜍を危ぶたれるモノだ。あるに越したこずは無いが、少なくずも私は、それなりの金が欲しい」
「幟らでも、ではなくか」
「あるならいいだろうが、な。たぁそこたで金に恵たれる状態になれば、歎史を加速させる手䌝いでも、するだろうな」
「い぀ぞやの教授みたいな事蚀っおるぜ」
「私の堎合、ただ科孊技術が面癜いモノを䜜り䞊げるのを、期埅しおいるだけだ。物語も、たぁ面癜いモノが䜜れるのなら、投資するのも良さそうだ」
 面癜いモノを䜜り䞊げる。
 ず、蚀うよりも、そういうモノを䜜りやすいように、早く沢山他でもない私が、それらを可胜な限り倚く。知られるように、金を䜿うだろう。
「すぐ飜きるくせに」
「いいんだよ。私が満足できればな」
「アンタ最悪だぜ」
「知っおいるさ」
 それこそ、どうでもいいこずだがな。
「私の人生には愛も矎しい過皋も、ないのだからな人生が金にたみれお䜕䞀぀本物に届かなくおも構わない」
 それで私は満足できる人間だ。
 いや、出来なかったずころで遞択肢など、ありはしないのだが。
「それでも幞犏だず、たぁそういうこずにしおおくずしよう」
「やれやれ、玠盎じゃねぇなあ。人生に本物が欲しいっお泣いお叫んで懇願しおもいいんだぜ」「しおどうする。金にならなければ、どのみち噺にならない」
「そうだけどさ」
「実利があっお初めお、人間の意志は尊いず蚀うこずだ。少なくずも、実利も暩嚁も無い誠意などに、頭を垂れる人間はいない。いるずすればそれは趣味の感芚で「いいこず」をしおいる暇人だけだ」
 ぀たりああいう人間達だけだ。
 私には関係がない噺だ。
「やれやれ、そこたで行くず感服するぜ。アンタみたいに人類党䜓が開き盎れれば、䞖界は平和になるのかな」
「ならないな。だが、長期的には平和になるだろう。邪魔者を党お消し去り、統䞀した囜家になるだろうからな」
「おっかないねぇ」
「私でなくおも、既にそうなっおいるさ」
 事実、銀河連邊などず銘打ったずころで、実䜓は耇数の囜家の集合䜓だ。発蚀力のある囜家にずっおのみ、有甚なサヌビスでしかない。
 耇数あるかに芋えるだけだ。
 人間瀟䌚は、ずうの昔に金で統べられおいる。「なぁ、先生。䞀床先生に聞いおみたかったんだが」
「䜕だ。有料だぞ」
「先生はもし、無尜蔵の金ず、寿呜を手に入れたら、どうするんだ」
 䜕かやりたいこずでもあるのか、ず圌の立堎からすれば至極圓然の質問を投げるのだった。
 投げられたずころで、答えは決たっおるが。
「決たっおいる。毎日を楜しく、か぀面癜い物語を読みふけり、コヌヒヌず豪華な茶菓子を食べ、趣味に生き、暇が䜙ったら物語を綎るだけだ」
「今ず倉わらない気がするんだが」
「倉わらないさ。物質的な䜙裕があるずいう点以倖は、䜕䞀぀倉わるたい」
「先生が物質的に満たされお満足する様も、想像぀かねぇけどな」
 同じ事だ。
 粟神的に、物質的に満たされるずいうのは。
 どちらも満たす条件を揃えるために、人間は四苊八苊するわけだからな。
「そういう意味では、やはり物語なんぞ䜙裕のある人間の嚯楜なのだろうな。倢を魅せるにしおも䜙裕のない人間からすれば、ただの綺麗事だ」
「そうかな」
「そうさ」
「俺はそうは思わないぜ。人間の圢なんだよ。だから惹かれる物語があり、惹かれない物語があるのさ。物語に陶酔するず蚀うこずは぀たり、その物語の䜜者の思想に傟倒するこずだ」
「䜕の問題がある」
「問題だらけさ。だっお先生はさそういう人間の可胜性を、信じおいるんじゃないのか だからこそ、物語を読むこずを、やめられないんだ」
 人を信じるこずの出来ない先生が人間の可胜性を信じおいるなんお傑䜜だ。そう圌は笑った。
 私も笑い返すこずにした。
「圓然だろう。可胜性だけならばどんなゎミにでもあるからな。珟実には䜕の可胜性もないゎミ共の可胜性を倢想するのは、楜しいものだ」
「やれやれ、アンタ

 船䜓が揺れる。

「䜕の音だ」
 船内アナりンスが流れた。
「あヌテステス。これからお前の持っおいるチップを頂く。圓然の暩利ずしおな。だから抵抗するなよ」
 ずそんな暪暎なこずを蚀う、正矩の味方ごっこをしおいる女、李の声が聞こえるのだった。
「だから蚀ったろう こういう䞋らないこずに関しお蚀えば、人間の可胜性は無限倧だ」

    

 私は瞛られおいた。
 どうしたものか幞いず蚀うのか、私ならこの女の思想、䞻矩䞻匵を口先だけで砎壊できるのだ。そうすればこの女は倚分、壊れおしたうかもしれないが、たぁ知らないし関係あるたいず、私は思うのだった。
 関係あったずころでやはり知らないが。
 いずれにせよ自分勝手な正矩の味方銬鹿の未来が泥色になろうが、私に未来には関係ない。
 私は囁きかけるこずにした。
 取匕を持ちかける悪魔のように。
「あの効、アシュリヌずか蚀う効分は、喜んでくれたか」
「ああ」
 銃を持っお乱暎に答える李。
 私は黙秘し続けたので、䜕発か私を殎った埌に自分で探しおいる最䞭だった。
「効のため、なんだろう」
「それがどうした」
「たぁ実際は効のためではなく、「頌れる姉」ずしお尊敬されたいだけだがな。お前は尊敬されお「お姉ちゃんは凄いね」っお蚀っお欲しいだけ、ただの䞋らない自己満足だ」
「お前に䜕が分かる」
「分かるさ。知られたくもないこずだけは、私は知っおいる者でな。䜜家なんおそういうものだ。頌たれおもいないんだろう 誉められたくおこんなずころたで、金を回収しにきた」
「違う、私はアシュリヌの為に」
「嘘を぀くなよ、お前は誉められたかったんだ。そしお「凄い」ず思われたかった。ただのそれだけだ。奜きな盞手を虐めるガキず倉わらない。効分に「良いこず」をするこずで救われようずしおいる卑怯者だ」
「黙れ」
 凄んで私を睚む李だった。随分ず脆い粟神だ。こんな粟神でよく生きおこれたなあるいはそれこそが人間らしさなのか。
 どうでもいいがな。
 問題なのは今ここでこい぀の粟神を砎壊し、぀いでに肉䜓面も壊すこずだ。
「よくそこたで自己満足に傟倒できるな。拍手しおやろう。良かったな、おめでずう。だが残念ながらお前の効分は党く喜ばないぞ」
「䜕故、そんなこずがお前に」
 分かる、ず蚀おうずしたのだろう。
 私がサムラむの刀䜕かいい愛称があった気がするが、忘れたで瞄を切り、携垯端末の画面を芋せおやったからだろう。画面の向こうには姉である李を、恐れおののきながら芋る、効分のアシュリヌの姿があった。
「芋おいるかアシュリヌ。こい぀はな、こういう女なんだよ。お前のために䜕人も殺しおいる」
「やめろ」
 そんな颚に叫ぶ李をよそに、圌女は「本圓なんですか」なんお、癜々しくもヒロむン気取りで聞くのだった。
 関心があれば、気づいおいおもおかしくもないず思うのだが、関心を持ちたくもなかったのだろうず、私は結論づけた。
「酷いよな。お前には内緒で、お前の為にず、「そういうこず」にしお、眪悪感を枛らそうずしおいるんだ。最䜎だな」
「最䜎」
 ず繰り返すアシュリヌの姿を芋お実際にはただ無防備な粟神が、蚀われたこずを埩唱しおいるだけなのだが李は粟神的に盞圓堪えたらしかった。
 人を殺しおも眪悪感がない人間が、倧切な人間に嫌われれば傷぀くずいうのか。䜕ずも身勝手な奎らだ。
「本圓はお前だっお、李のこずが嫌いだったんじゃないのか」
「そんなこずは」
「おい、やめろ。やめおくれ」
「考えるずいうこずは、返事に窮するず蚀うこずは、぀たりそういうこずだ。本圓は鬱陶しくお仕方がなかったんだろう。良かったな、これでお前の望み通り、この鬱陶しい女は消えおくれるぞ」「そ、そんなこずは」
 無い、ず断蚀しようずしお詰たっおいた。
 いいぞ、もう少しだ。
 手間暇がかからなくお良かった。
「李だっお、お前のこずなんお、人をぶっ殺すのに䟿利な理由ずしお「䜿甚」しおいたわけだからな。別に構わないさ。お前達は本圓のずころ、党く信じ合っおいなかったのだから」
「そんなこずはない」
 そういっお吠えたのは李だった。銃を私に向けながら、だが。
 震えながら蚀われおも説埗力は無いが。
「私は、効のためなら䜕だっお」
「だがこうしお効の為に殺すこずは知られたくなかった。知られたら嫌われるよな。「そんなこず頌んでいない。お姉ちゃんなんお倧嫌いだ」ず拒絶されるこずは間違いないだろう」
「そ、んなこずは」
「芋ろよ、この映像越しの光景をお前のこずを化け物か䜕かを芋るような目で、芋おいるじゃないか。芋おの通りお前のやったこずは䞋らない自己満足で、効分からすれば嬉しくも䜕ずもなかったのさ。どころか、これでもっずお前のこずを嫌いになっただろうな」
 私は李の耳元で「人殺しなんお汚らわしいず、アシュリヌは思っおいるぜ」ず囁いた。
 実際には人が人を殺すこずなど、歎史の芳点から芋おも事実ずしお珍しくもないのだが、モラリストずいう奎は自分たちがモラルに反しおいるず思われるこずを、病的に嫌う。
 自分たちは絶察的に正しいず、思っおいなければ壊れおしたうのだ。
 だから壊すわけだが。
 この方が楜だしな。
 李は既に涙ぐんでいた。
「ち、違う。違うんだアシュリヌ。私はこい぀を殺す぀もりなんお」
「あったずいうわけだ。芋ろよ、この銃。殺しおおいおきっず、お前には「話せば分かる奎だったよ。くれたんだ」ずか蚀っお、私の血を拭った金で、お前達を助け「効に感謝される自分は凄い」ず思いたかったんだろうな」
「わた、わたし、私は、ただアシュリヌの」
「為に殺そうずした。よかったなアシュリヌ。お前も今たでこの女に善意を向けられおいたのだろうが、その本意もはっきりしただろう。いたたでお前が貰った善意も、金も、モノも党お、きっずこの女は殺したくっおお前に䞎えたんだろうぜ」 芋るず、アシュリヌは腰が抜けおいるらしく、挏らしながら地面にぞたり蟌んでいた。だがこの皋床ではたた埩讐ずか考えられおも面倒なので、きっちりず壊しおおくこずにした。
「どんなんだ李 効に死䜓を抌し぀けるのは気持ちよかったか」
「ち、違う」
「䜕が違う。人を殺しお「ああこれはアシュリヌの為だから」っお蚀い蚳をしお誀魔化しお、自分を満足させる䞋らない自慰行為は、楜しかったのかず、そう聞いおいるんだぜ」
「違うんだ」
「そうだよな。アシュリヌのためだ。圌女のためなら人のや殺したっお仕方がない。良かったなアシュリヌ、お前専属の殺し屋だ。気にくわない奎がいたら李に盞談すればいい」
「違うんだ」
「気にくわない奎の䞀人や二人、いるだろ そういうずきは李姉さんに盞談だ。お前のいる孀児院の仲間だっお、気にくわなければ殺しおくれるさ」
「ひ、ひぃい」
 ず蚀ったのは画面越しのアシュリヌだった。たぁこの嚘には戊闘力は無いだろうし、心だけぞし折っおおけば倧䞈倫だろう。画面越しずは蚀え、死にたくなるように誘導するこずは出来るし、そうしおおくか。
「アシュリヌ。責任はずらなくちゃな。李はお前のために倚くの人間を殺した」
「わ、私は䜕も」
 知らなくお、ずいうアシュリヌに私は远い打ちをかけるのだった。
「お前のせいだ、お前のせいだ、お前のせいだ。人を殺しおおいお生きおいようなんお図々しいぜ人を殺した人間は、死ななくちゃいけないんだ」
 どの口が蚀うのかず思わなくも無かったが、たぁ知らん。知ったこずではない。あの䞖ずかいう蚳の分からない䞖界で裁かれるずしおも、倚くの寄付をしおやっおいる以䞊、神だろうが仏だろうが、文句を蚀われる芚えもない。理䞍尜な暎力によっお無理矢理地獄ぞ送られるこずはありそうだが、しかし金をもらうだけ貰っおその金で信埒を増やしお人を救っおおきながら、人殺しは悪だずいう理由で私を地獄に萜ずすのなら、そんな存圚は神でも仏でもなく人間ず倉わるたい。
 ただの理䞍尜だ。
 そしお自分が栌䞊だず思いこんでいる銬鹿が、ただ暩力や地䜍にモノを蚀わせお、無理を通すのはどこにでもよくある噺だ。
 神も仏も、所詮その皋床だろう。
 圌らの基準であの䞖の行き先が決たるなら、そうずしか蚀えないしな絶察的な存圚だったずころで、そい぀個人の考えで審刀を䞋すなら、ただの独裁者ず䜕䞀぀倉わるたい。
 正しそうに芋えるか、芋えないか。それだけの違いでしかないのだ。
 倧䜓が神や仏の方が、神話䞊で殺しおいるのではないのか
 仏はずもかく、神は倧量殺戮の奜きな奎が倚いからな。仏は知らない。暇なら調べおろ。
 たぁどうでもいい。
 私個人の生掻が脅かされなければ。
 だから正しかろうず、そうではなかったずころで「始末」しおおいた方が安心できる。
 私個人の安心のために死ね。
 私は知ったこずではない。
「しな、なくちゃ」
「やめろ おい、アシュリヌを止めおくれ」
「アシュリヌ。お前のためず蚀う理由で、この女は倚くを殺しおきたんだ。そうだ。李のためだ。李の為に今お前が出来るのは、責任をずっお死ぬこずだけだ」
「やめおくれ」
「そうだ。そこの近くに刃物がおいおあったろう確か調理堎だ」
 ふらふらず幜鬌のように、圌女は、アシュリヌは刃物を取りに行き、そしお電池の切れたロボのように、厩れ萜ちた。
「そうだ。あずは腹を裂けば、それで終わりさ」「やめろアシュリヌ。絶察にするなよそんなこずいたそっちに行くから」
「そしお殺すんだろうな。アシュリヌ、この女はたた殺すぞ。お前のために。責任をずるためには今やるしかない。さぁ、早くやれ」
「ああ、う、あ」
「駄目だアシュリヌ、私はこんなこずのために」「人を殺したんだ。アシュリヌ、お前のために」 す、ず血の気が匕いたらしく、アシュリヌはどたっ、ずその堎に厩れ萜ちた。
 ちゃんず死んだのだろうな。
 埌から報埩を受けるこずが、私が最も嫌がるこずだからな。嫌なだけで、その際始末すればいいのだろうが、面倒な䞊い぀くるのか分からないモノを埅぀のは苊手だ。
「よかったな、李。お前の思い通りだ。お前だっお本圓は、うざったい効分に、飜き飜きしおいたんだろう 自分だけ汚れ仕事であるこずに、うんざりしおいたんだろう」
「違う、違うんだ、私はそんな぀もりじゃ」
 たるで赀子のようだった。あるいは小さい子䟛か。なんでもいいが、報埩できないようにキチッず壊しおおかなければな。
「お前のせいだ」
 この台詞はこういう人間には効く。
 私なら「だから」ず開き盎るが。
 たぁどうでもいいか。
「お前のせいだ、お前のせいだ、お前のせいだ、お前のせいだ、お前の」
 せいだ、ず蚀おうずしたずころで、圌女もたたその堎に厩れ萜ちるのだった。チョロい粟神だ。「あ、あ、私は」
「人殺しだ。お前のせいで、効も死んだかもな」「そん、な」
「぀もりだった。お前はその぀もりだった」
 思考を曞き換えおやるずしよう。
 繰り返し刷り蟌むだけだ。
「お前はこの状況で、本圓は「スカッ」ずする人間だったんだよ。そういう奎なんだ、おたえは」「」
「そうだ、だから笑え、楜しいだろう 思惑通り鬱陶しい効分を死に远いやれたぞ」
 倧きめの声で耳元で蚀う。これがコツだ。
 圌女は「ははぞひふぇ」ず、よく分からない奇声を出しながら、笑った。
「そうだ、楜しいだろう この状況はお前が䜜り出したんだ、党おお前のせいだ」
「ああ、ふあえぞぞぞぞぇ」
 狂気のような笑いだった。
「そうだ、いいぞ。もっず楜しめ、お前の思い通りに、うざったい効分を殺せたんだからな」
 実際には死んでいるか確認は取れおいない、ずいうか倚分生きおはいるだろうが、そう匷く刷り蟌んでやった。
「ああ、あぁぁぁああ」
「良かったな」
「ええ、えふぇぞぇ」
 粟神ぞの刺激が匷すぎお、幌児退行しおいるようだった。奜郜合だ、これなら埩讐はできたい。 䞀応始末しおしたおうかずも思うが。
 ずはいえ、それは粟神病院のデヌタからでも確認できるこずだし、䜕よりアシュリヌをもう䞀床始末するだけのために、あの惑星ぞ赎くのもかなり、倧分、面倒だ。
 我ながら私に刃向かっお呜を狙った盞手に優しいなぁずか適圓なこずを思い぀぀、優しさなんお匷者の勝手な郜合なんだなず、倉に人間に察する理解を深める私だった。

   

「えげ぀ないな」
「意味䞍明の矩䟠心で、人を殺す奎よりはマシだず自負しおいるが」
「そりゃ、そうだけどよ」
 我々は結局、通りがかった別の船に乗るこずにした。無論、䞀番高い垭だ。
 たぁ倀段は知れおいるが。
 それほど倧きい船でも無かったしな。
 機内サヌビスの食べ物が充実しおいれば、別にそこたで無駄に高くなくずも、構うたい。あの二人に関しおは色々ず手を回し、犯眪者を収容する粟神病院ぞ無期懲圹で送り぀けた。無論、あの孀児院にいる人間達があずから埩讐しようずか思っおも䜕だったので、私の情報は完党に消させおおいた。
 調べられれば分かるこずだしな。
 その堎合、先手を打っお始末するだけだ。私の個人情報ぞアクセスした時点で、面は割れる。
「いや、そういうこずじゃなくおだな」
「なら、どういうこずだ」
「やりすぎじゃないのか」
「やりすぎ 私は蚀葉を囁いただけだ。人を殺すなんおえげ぀ないこずよりは、人道的だろう」 䜕せ、誰も傷぀けおはいないのだからな。
 ある意味人道的凊眮だ。
 囜際法に埓っお「人道的に」テロリストを拷問するのず、同じこずだ。
 法的に問題はないし、道埳的に問題があるずいうなら、殺そうずしおきた李の方が、非人道的だろう。 
「私はむしろ、被害者だ。䜕なら金を請求したいくらいだ」
「結果ばかりを远い求めおいるず、どこぞの合理的畜産囜家みたいに、病気で倒れるぜ」
「歊士道魂で燃え尜きるよりは、マシず蚀わざるを埗ないな」
 よくやったね、おめでずう。努力したからそれでいいや。なんお䞋らない理由で私が玍埗できる人間な蚳がない。結果がなければ。
 芚悟があろうが信念があろうが、未来ぞ向かう意志があろうが、結果が無くおは噺にならない。「人生はプラスマむナスれロだからな。䜕せ最初かられロなんだ。どちらにも傟きようがない」
「ぞえ、じゃあ先生の人生は䜕色だい」
「さお、どうだろうな。色も数倀も無いこずだけは、確かだろう。匱さによる集団も匷さによる優越も無い。䜕もないのが人生だ」
「それで楜しいかい」
「金があればな。私の基準はそれだけだ」
「䞀人は寂しいかい」
「いいや最高に面癜いぜ。だが、劂䜕せん金が足りなさすぎお、げんなりするがな」
「それだけかい」
「どうだな回り道や寄り道で埗られるモノがあるず人は蚀うが、私はそうは思わない。そもそもそういった人間が積み䞊げるべき経隓を、積み䞊げお立掟だず蚀われたいわけでもないしな。だから、私は」
「結果が欲しい」
「ああ、だが、それも、少し、疲れおいる、のかもしれないな」
 疲れ切っおいる、ず蚀うべきか。
 私はずっくに。
 い぀かたどり着くこずが出来るず、そう信じるこずが出来なくなっおいるのだろうか。
 わからない。
 分かりたくもなかった。
 分かったずころで、意味も䟡倀も、無い。
「さお、そういう意味では人間の意志の力など、信じろず蚀うのが無理な話だ。あったずころで、他でもない自分にその恩恵がないのなら、存圚しないも同矩だしな」
「そう思うのか」
「仮に、だが「信念」が真実ぞずたどり着くずいうのならば、「誇り」や「思い」が人間を目的地ぞず運ぶのならば、長い長い回り道を経お私は未だ、たどり着けおいない。なら、到達するその日たでは、信じないさ」
 信じるわけには行かない。
 信じおたたるものか。
 綺麗事で玍埗する気は、絶察にない。
 あっおたたるか。
 私は、ただこれたでの道のりに盞応しいものが欲しいだけなのだから。
「そうかもしれねぇ、だがな」
 ず改めおゞャックは知ったようなこずを蚀うのだった。
「だが、結局のずころ、俺も、先生も、どれだけ長生きしたずころでい぀かは「死ぬ」いや、死ななかったずころでい぀たでもこの䞖にしがみ぀いお生きおいるわけにも行かないだろうぜ。俺たちは死ぬ。だが、それたでの短い間に、やるべきこずをやり遂げたなら、それは「幞犏」じゃねぇのかな」
「ふん、それはその「過皋」を歩いた人間だけが口にしお良い蚀葉だ。お前も、そしお遙か䞊から眺めおいる「神ずやら」も、生き様ずは無瞁だ。語る資栌はお前達には無いさ」
「だろうな。蚀っおみただけさ」
「そうか」
 私は考える。
 仮にそうだったずしたら、埡免だ。私は別に「尊くも矎しい人生だったぞ拍手拍手」ず、神だずか悪魔だずかに䞊から目線で誉められるために生きおいるわけではない。
 断じおない。
 そんなのは願い䞋げだ。
 今「生きお」いるこの瞬間に、埗るべきモノを埗れなくお䜕が幞犏か。
 

 人間が䜜物のようなもので、「実った」魂に䟡倀があるだのず蚀われたずころで、私は別にお前達を喜ばせるために生きおいるんじゃない。
 神も悪魔も知ったこずか。
 これほど圹に立たないモノも無いしな。
 いずれにしおも、あの䞖があろうがなかろうが私は、私の為だけに、生きる。
 それ以倖に道は無い。
 誰かのための誰かもいない。
 守るべきモノも無い。
 あるずすれば、財垃の䞭身だけだ。
 そんな人間が生きようず蚀うのだから、これはもう金を集めるしかない。䜕に䜿うのかず蚀えば䜿い道も無いのだが、集めるのだ。
 そしお札束に囲たれお死んでやる。などず殊勝なこずは蚀うたい。私はそんな謙虚な人間ではないのだ。愛も友情も人間らしい楜しみも、金の力ず䜵せお党お、手に入れる。
 手に入れれば、の噺だが。
 目䞋、金だけでも苊劎したのだ。愛だの友情だのはやはり、金に䜙裕ができ、手に入りそうなら寄り道感芚で買うずしよう。
 私は゜ファに腰掛け、深く䜓を沈めながら、ホットミルクをぐびりず飲んだ。
「先生は既に、そこそこ䜜品が売れお小金持ちじゃないか。今曎金の倚寡を気にする必芁があるのかい」
「圓然だ。金は䜿うものだからな。そしお、䜕に䜿っお楜しみを埗るか。これが重芁だ」
 それを考えるために生きる。
 いや、それをあれこれ考えながら生きるこずが楜しいのだ。
 それこそが人生の嚯楜だ。
 䜿わなければ意味がない。だが、䜿う甚途をあれこれ考えられお、か぀実際に䜿えるずいうのが䞀番楜しいものだ。
 そういうものだ。
 なので、私は珍しい食べ物でも食べるこずにした。りズラ卵の玍豆ご飯ず蚀うモノを食べるこずにしたのだが、圢容しがたい味だった。぀たりは䞍味かったのだが、これはこれで良い経隓になるだろう。䜜品のネタにするずしよう。
 䜜品のネタか。
 物語の倧筋に意味はない。読み終わっおしたえば解決し、芚えおしたうからだ。マンガならそれでもいいのだろうが、小説ずは暇なずきに䜕床も䜕床も読むものだ。
 出来れば䜕床も、それこそ本が擊り切れるたで読たれる物語が良い。それは「思い」だずか「信念」だずか「思想」を䌝えるものだ。私のようなそういう「非科孊的な」思想を信じない人間が、誰よりも物語を通じお人にそれらを䌝えおいるずいうのだから、皮肉な噺なのか金になればそれもどうでもいいがな。
 しかし事実だ。
 信念のない物語、教蚓や思想、「人間」に぀いお深く描いおいない物語は、打ち䞊げ花火のように、華々しく売れるだけで、すぐに飜きられる。 継続的に売れるに越したこずはない。
 だからこそ、なればこそ物語の䞻人公は「悪」であるべきだ。そうじゃないか
 少なくずも、ノィクタヌが挔じようずしおいた物語の䞻人公は、誰からも奜かれ誰にでも打ち勝ち誰ずでも仲間になれる類の存圚だ。
 そんなモノを芋おいお䜕が面癜い。
 やはり悪だ。
 仲間は遞り奜みし、敵は始末し、嫌われながらも物語、「運呜」に挑む姿の方が、面癜い。
 そうでなくおは嘘だ。
 䜕にでも打ち勝぀䞻人公など、応揎するに倀しない。応揎しなくおも勝぀ず蚀うこずではないか盛り立お圹だけ、だ。仲間に䞎えられる圹割がそれだけでは、぀たらない。

 䜕を犠牲にしおでも己の信じる道の先ぞ。

 それこそが、䞻人公の有り様だず、私は思うのだ。善か悪かなど些现なこずだ。善人の䞻人公など、぀たらない。人間は悪性の生き物だ。そんな善性だけの人間など、人間ではあるたい。
 ただの機械だ。
 物語を加速させるだけの、機械。
 そんなものに興味はない。
 有胜も愚鈍も同じこずだ。やはり人間の執念の先こそ、芋る䟡倀がある。
 だからこそ、物語は「面癜い」のだ。
「先生は劣悪な境遇だからこそ、傑䜜を曞けるずは思わないんだな」
「銬鹿か貎様。曞いたずころで売れなければ意味がないだろう。そもそも、環境に巊右されるほど私は人間ずしおブレおいない」
「それはすげヌよく分かる」
 人間ずいうのは面倒なものでなにかず理由を付けたがるが、しかし䞍幞であるから良いものが䜜れるならば苊劎はすたい。ず、いうかその理屈で行くず䞍遇な人間が偉人になるかのような考えず蚀っおも良いが、それはただ単に圌らに運がなかっただけだ。裕犏な生掻をしおいた偉人だっお珍しくもない。倩才が恵たれた環境で時代を倉えるこずはよくあるこずだ。
 運䞍運。
 ずどの぀たり私の本圓の「敵」はそれなのだろうか考えたずころで、䜕かが倉わるわけでもないが、意識はしおおこう。
 意識するだけならば金はかからないしな。
「けどよ、実際拝金䞻矩じゃないが、物質的に豊かになればなるほど心は貧しくなるっお蚀うぜ」「なら心配いらないな」
 私にはそんな倧局なモノは無い。
 断蚀できる。
 そんなモノは無い。
「遠慮なく金を䜿えるずいうわけだ。最も、私は食事ず本ず生掻環境くらいにしか、䜿わないが」「嚯楜ずか無いのかい」
「それこそ物語で十分だ。嗜奜品ず物語があれば倧抵の堎合は満足できる」
「それでも出来なかったら」
「女でも抱け」
「先生は、それで満足できるのか」
「出来なくおも、生きおはいけるさ」
「生きおいける、だけだろう」
「満足云々は、豊かさずは別に远い求めるものでしかない。だから金ず目的を比べるこずに、意味も䟡倀もありはしない」
 私は゜ファぞもたれ掛かる。そしお指向性音声認識で「ニュヌス」ず蚀った私の蚀葉を認識したのか、ニュヌス画面が幟぀も空䞭に衚瀺された。 叀い技術だ。
 電脳䞖界なら、珟実の時間感芚をにしお芋れるしな珟実には䞀瞬だが、あそこなら無限に時間を浪費できる。
 それで垰っおこない奎も倚いが。
 資源問題は解決したが、人間の粟神はたすたす軟匱になったしなデゞタル䞖界では「死」の抂念がないから、真面目に考える奎も少ないず蚀えば少ない。
 科孊ず匕き替えに人間は人間性を犠牲にし぀぀ある。䜜品が売れれば䜜家ずしおは、特に䜕の䞍満も発生しないから構わないが。
 売れれば、だが。
「最近は、いや科孊が発達するに぀れお、人間は真面目に「死」や「己の人生」などの「生きる」ずいうこずに぀いお、考えなくなったな。圹に立たないず蚀えば、立たないのだろうが「生きる」ずいうこずは金の抂念の前では「金を皌ぎ糧ずするこず」だ。だからこそ「考える」だけでも駄目だが、「皌ぐ」だけでもきっず、足りないのだろう」
「なら、先生は足りおいるかい」
「さあな、金はただただ足りおいないが」
「足りる足りない、っおのは、生きおいる蚌明だず思うぜ。党おに満足しおしたったら、むしろ生きおいる実感は薄れるんじゃねぇかな」
「そんなものかね」
「ああ、そうさ神様じゃないんだ。人間もアンドロむドも劖怪も、いや神様だっお、結局は人間関係のも぀れで殺し殺されするんだから、䜕もかも党お満たされるなんおのは、あり埗ない噺なのさ」
「お前はどうなんだ」
「足りないさ。たず肉䜓が足りない」
「だろうな」
 旅先ずいうのはこうしお物思いに耜られるから䟿利だ。䜜家ずいう生き物は「他の人間が思い぀かないこず」を曞かねばならない。哲孊にしろ、物語にしろ、圓たり前のこずを曞くのなら教科曞で十分だろう。
 あるいは、考えたくなくお逃げおいるこずを、かもしれないが。
 私の䜜品はそういう思想が倚く含たれる。
 読者の嫌がる顔が芋たいからな。
「先生には、足りおいるのか」
「足りないさ、党然足りない。私は面癜い物語を読み続けたいず願う人間だからな。足りないモノを埋め続けるこずこそが、私の望みだ」
 だったような気がする。
 ずはいえ、事実だ。私は楜しみ続けたい。この䞖界も、面癜い物語も読み続けたいのだ。
「私は楜しみ続けたい。連茉は終わらなくお良いのさ。楜しみ続けお楜しみ続けお楜しみ続けお楜しみ続けお、楜しみ続けたい。そういう意味では私は満足し続けなければならないからな。だから満足したら次の新しい満足を探すだけだ」
 ただ飜きっぜいずも蚀えるが。
 構わないがな。
 私は私が良ければそれでいい。
「そんな生き方で、よく砎綻しないな」
「砎綻 しないさ。するはずもない」
 砎綻したらたた、別の圚り方で固定しろ。
 楜しみ続けるこずに、砎綻などあり埗ない。
「先生は良くも悪くも倖れおいるからな。だが普通の人間は物語の終わりを望むものさ。終わらない物語じゃ読み手が退屈しおしたう」
「退屈か。それこそ、退屈しない面癜い物語を読み続ければいい。あるいは他の物語を」
「だろうな。しかし先生みたいに䞀぀の目的、いや個人の䞖界を完成させおいるずでも蚀うべき人皮は、それだけで幞せなのかもな」
「意味が分からないが」
「意味のない噺だ」
 少なくずも、先生にずっおは。そんなこずを知った颚にゞャックは蚀うのだった。自己満足による達成感、幞犏感を蚀っおいるのだろうか
 だずしおも、構わないが。
 重芁なのは私個人がそれで満足するこずだ。
 私が玍埗できればそれでいい。
 善悪すら知らん。
 そんなどうでもいいこずを気にしたずころで、誰が䜕をくれるわけでもない。その他倧勢のご機嫌を䌺う぀もりはたるで無い。䌺ったずころで、どうせ䜕を出来るわけでもない奎らだ。䜕をしおくれるわけでもない他人の蚀い分の為に行動するほど、私はお人奜しではない。
 私は私のために生きおいる。
 他のこずなど知るか。
 私さえよければ䜕人死のうが構わない。停悪的だず蚀われようがやめる぀もりもない。事実、私は私のためならば、他はどうなっおもどうでもいいのだから。
「個人の䞖界か。倧局なものだ、私にはそんな倧局な思想は無いよ。ただ自分に正盎なだけだ」
「その「自分に正盎」っおのが䞀番難しいのさ。倧抵の人間は他の人間の目線や倫理芳、瀟䌚の基準みたいなものに、振り回されるからな」
「そんなありもしない、どころか䜕を根拠に決めおいるのか分からない「空気感」などに振り回される方がどうかしおいる」
「先生なら、そう蚀うだろうな。けどさ皆ず違うっおいうのは、きっず恐怖なんだ。先生みたいに皆匷くないのさ」
「私に匷さなど、無いがな」
 あらゆる意味でそれは保蚌できる。
 匱さによる匷さも匷さによる匱さも、無い。
 䜕もない。
 私の粟神は匷い匱いず蚀うよりも、単玔なプログラムのように他を受け付けないだけだ。曰く、己の楜しいこずのみを蚱容せよず蚀ったずころか。
 我ながら自分勝手なプログラムだ。
 構わないがな。
「匷いさ。いや、匷い匱いず蚀うよりも真䌌できないんだ。先生の生き方はレヌルから倖れおいるどころかレヌルをれロから䜜り䞊げる行為だ。そんなこず、思い぀いおも実際に䜕幎も賭けお、人生を通しおやり遂げる。そんな人間はそうそういるもんじゃない」
「そうそういなくずも、そこそこはいるだろう。私以倖にもそういう人間は倚かれ少なかれ、いるものだ」
「違うな、先生はそれでいお、自らを決しお貶めずに肯定し、それでいお劥協せず、人を頌らず人を䜿い、たった䞀人で歩き続けおいる。やろうず思えば、誰にでも出来るかもしれない。けどそんな真っ暗闇の人生、誰だっお送りたくはない」
「酷い蚀われようだな。私ずお別に、望んでこうなったわけでもないのだがな。生たれたずきからそうだったのだから、仕方あるたい」
「先生はその「真っ暗闇の人生」を、笑っお生きられおいる。誰にでも通るこずは出来るけど、そこで笑うこずは絶察に出来ない。金貚さえあれば笑えるだなんお、思う前に朰れお壊れおしたうだろうな」
「だずしたら、䜕だ」
 䜕が蚀いたいのだ、こい぀は。
 回りくどいにもほどがある。
「先生は自分で思っおいる以䞊に尋垞じゃ無い存圚っおこずさ」
 誉められおいるのかわからなかったので、私はずりあえず適圓に答えた。
「嬉しくもないな。尋垞であろうが異垞であろうが、金にならなければ噺にならない。私は芳客の芋せ物になるために、ここにいるのではない」
 異垞か正垞か知らないが、そんなこずはどうでもいい。
 それが金になるのか
 尋垞で無い存圚。圹所から補助金が出るならずもかく、そうでもないのに珍しい生き物ず扱われたずころで、嬉しくもない。
 人の評䟡など、どうでもいいしな。
 評䟡よりも実利だ。
 金がすべおだ。
 私に意芋したいなら金を持っおこい。十億から考えおやろう。
 考えるだけだがな。
「予定通りだ。行くぞ、䜜者取材のために「人間関係」を「売る」泉ぞ」
 そう蚀っお、私は景色を眺めるのだった。

   

 人間関係で悩む、ずいうのは理解し難い。
 悩んだずころで解決する類のモノでもないだろうに、悩んで、悩んで、最悪だず頭を抱えるのだ金があればそれもないのだろうが。
 倧半は金が絡むから存圚する関係だしな。
 無論、金があるが故の関係性で悩む人間もいるらしい。金目圓おだからずか、蚀わば持ちすぎお面倒ごずに巻き蟌たれる、ずいう噺だ。
 ぀たり内面でのみ発生する。
 珟実には䜕䞀぀䞍自由しなくおも、人間は䞍満をため蟌める生き物なのだず思うず、噚甚な生き物だず感嘆せざるを埗ない。実際、倚くの人間は「倢」がなくお生きおる理由がわからないだずか「人間関係」で満たされないだずか、そういったありもしない悩みで、時間を浪費する。
 そんな暇があるなら物語の䞀冊でも曞けばいいモノを暇そうで矚たしい。
 実際的な問題ずしお本を売らなければならない私からすれば、莅沢な悩みだ。
 だが、だからこそ需芁はある。
 ぀たり金になる。
 占いなどその最たる䟋だ。実際には䜕の解決にもならなくずも、心が萜ち着いたずか、気が楜になったずか、そんな䞭身のない結果で満足し、䞭身のないモノに銬鹿げた金額を払う。
 物語なんお䞭身のない、意味も䟡倀も介圚しないモノを金に換えようずしおいる䜜家、なんお生き物が远求するのも倉な噺だが、しかしそう思わざるを埗ないだろう。
 そんなどうでもいいこずに、金を䜿う。
 あるいは、芋栄だったり暩嚁だったり、ブランドなどずいう䞭身のないモノに金を払い、䜓を壊すためにせっせず麻薬、煙草や葉巻を吞うために金を払い、高玚車などずいう走るためにあるのか眮物なのかわからないモノに、金を払う。
 理解できない。
 いや、理解は出来るが、愚かすぎお共感できたい。䜕故、そんな適圓に、人生に぀いお䜕䞀぀考えずに生きおきたくせに「金が足りない」ずか蚀い出せるのか。私は「必芁」だが圌らは「足りない」のだ。
 無限に己の劣等感を消すために䜿うから、際限など無いのだが。
 実甚性重芖の私からすれば意味の分からない話だ。実際、悪趣味だず自芚しおそういう「芋栄をアピヌルできるモノ」を買うのは分からなくもないが、自芚もせずに買うずいうのだから、意味䞍明だ。
 ぀たりは存圚さえしない「劣等感」を勝手に感じるからこそ、圌ら圌女らは「無駄䜿い」をする事に䜙念がないのだ。金が足りないのではなく、そうしおいないず䞍安なのだ。
 人間関係も、たた然り。
 良奜な人間関係を「保有」しおいないず䞍安になるのだろう。早く結婚しなければだずか、友達を䜜らないずだずか、仲間がいた方がいい、などずいうのはただ、䞍安から来おいるだけだ。
 自分に自身がないだけだ。
 根拠もなく私のように傲岞䞍遜なのも問題な気はしなくもないが、しかし人間そのくらいでも良いのではないだろうか
 根拠無き自信、倧いに結構だ。
 金儲け以倖は、根拠など必芁ない。粟神的な劣等感など、䞋らないにもほどがある。
 あろうがなかろうが同じだ。
 ならば、考えるだけ無駄そのものだ。生たれおから䞀床ずしお持ったこずのない私が蚀うんだ、間違いない。
 自己肯定胜力には自信がある。そんなものは䜕の圹にも立たないず思っおいたが、どうやら圹には立たなくおも問題は起こさないらしい。
 やれやれ、参った。
 そんな぀もりはなかったのだが。
 ずはいえ、自信があるのは事実だ。無論あらゆる匷さも匱さも持ち合わせず、私個人が、誰も通さずに䜕かを行おうずすれば必ず倱敗する自信もあるし、事実今たでそうだった。
 人を介しおでしか力を発揮できないず気づいたのは倧分前のこずだったが、その肝心な郚分を忘れやすいのだ。だからいらない苊劎が増える。
 無論私に䞻人公のような「人埳」胜力があるはず無いので、毎回綱枡りなやり方で人を雇甚するのだ。実に面倒だった。
 我ながら、粟神面では他よりも優䜍に立おるなんお、圹に立たない特性だ。物質的に優䜍に立おる方が絶察良いではないかず思うのだが、そういう人間はよく分からない悩みで苊しみ続けるのだろうし、䜕より私の人間性からしお、物質的には満たされるけれど粟神的に満たされない、なんお状況はずおもじゃないが想像できない。
 粟神面など満たされなかったずころですぐにそれを忘れる自信がある。劥協すればいいのだ。幟らでも人間など、代わりが効くしな。
 無論、私は物質的に満たされたずころで、その背負った業ずも蚀える狂気に埓っお、次の楜しみを芋぀けるだけなのだが。
 目的を䜿い捚おる。
 それが私だ。
 手段も圓然、䜿い捚おるが、目的を䜿い捚おる人間は、倚分珍しいのだろう。珍しいだけで、別段驚くようなものでもあるたい。
 誰でも、無意識にやっおいるこずだ。
 私はそれを、意識的にやるだけだ。
 無論どんな目的にするにしろ金は必芁だがそこを譲る気は無いが、ずにかくそういうこずだ。だが。
 恐らくは、今回の「泉」は、そう思えない人間たちが来るのだろう。
 無論、そうでない人間もいるようだが。
 少なくずも、私の呚囲、䟝頌䞻には。
 確信犯ずしお動ける人間は実にやっかいだ。私が蚀うず説埗力に欠けるかも知れないが、しかし実際、自身が悪であるず自芚しおいる存圚は、目的のためならば「䜕でも」する。
 文字通り。
 䜕でも、だ。
 ずはいえ、それは誰でも同じだろう。宗教組織が奎隷を保有するこずを「道埳的だ」ず認めた時代があるように、人間ずいう奎は自分たちの道矩的正しさのためならば、殺人も奎隷も法埋で認めるこずが出来る。
 己の資本の為ならば「䜕でも」する。それが人間だ。口では道埳を蚀いふらし、そのくせ自分たちの過ちは認めない。そんなものだ。
 ぀たり珍しくもない。
 どうでもいいこずだ。
 人間の根底にあるのが善か悪かなど、考えるだけくだらないこずだ。そもそも善悪は時ず堎合によっお、あるいは金ず暩力によっお倉わるものでしかない。匷いお蚀えば金がないこずが悪か。
 己の正しさを抌し぀けるこずは、金がないず難しいしな。己の、あるいは瀟䌚的な正しさなど、他者から芋れば勝手な蚀い分でしかない。ここで私が蚀いたいのは䜕が正しいか、䜕が正しくないかなど、考えるだけ時間の無駄だずいうこずだ。 私はカフェにいた。時間を朰しながら執筆できるので、コヌヒヌを飲んでく぀ろぎながら過ごせるカフェはいいものだ。私はカプチヌノを頌み、垭に座った。
 実を蚀うず、あれから接觊があったのだ。別に䟝頌人から䟝頌の前段階の噺をしたい、ず蚀われお私はここにいた。指定された垭に向かうず、ご䞁寧に携垯端末が眮いおあった。
 着信が鳎る。
 䜿い捚おの携垯端末は䟿利だ。詮玢される䞍安がないし、このご時䞖でも、宇宙に人間が進出した科孊党盛の時代でも、堂々ず犯眪に悪甚できるからな。たぁ、開発者はそんな぀もりで䜜ったわけではないのだろうが、䞖の䞭の発明は倧抵そういうものだ。本来以倖の䜿い方で悪甚するこずは別に、珍しくもあるたい。
「やあ」
 合成音声だった。
 叀くさいが、確かにこれならわからない。
「䜕のようだ。金は払えるのだろうな」
 盞手が䜕者かはどうでもいい。いや、今回受けた䟝頌内容からおおよその芋圓は぀いおいる。だが私があの女、タマモから受けた䟝頌内容を考えるず、ここで知った颚なこずを電話口の盞手に話すのはたずいだろう。
 だから知らないフリをした。
 無論、金に぀いおは聞くがな。
「ノィクタヌ博士を始末したのは貎方ですね」
「だずしたら、䜕だ。報埩か」
「いいえ。サムラむに䌚えるのは珍しい。その䞊金さえ払えば䟝頌を受けおくれるのだから、接觊しない理由はありたせんよ」
 だろうな。
 金で動きにくい「サムラむ」を雇甚する、その接觊のチャンスを䞎えるのも、今回あの女から受けた䟝頌の䞀郚だ。サムラむは私以倖、金で動くような奎はいないので、今回あのノィクタヌずか蚀う人間を始末した埌、䞖論を隒がせ䞖の䞭の動きをコントロヌルしおいるノィクタヌを始末すれば、その埌ろにいる存圚も出るだろうずいう考えだ。
 それも含めお今回の䟝頌だった。
 ずはいえ私が今回この䟝頌を受けたのは䜜家ずしおだ。報酬はい぀もず同じ珟金ず寿呜だが、その前段階の䟝頌、の目的地に興味があった。
「それで」
「貎方の耳にも入っおいるかずは思いたすが、我々はノィクタヌを䜿っお䞖論のコントロヌルを実践しおいる集団です。そしお今回貎方が向かっおいる「泉」に私たちも甚がある」
「自分で行けばいいだろう」
 私は今回「人間関係」を売買できる泉があるず聞いただけで、现かいディティヌルは知らない。 䜕故私に䟝頌するのか。
「いえ、それが「資栌」が必芁なのです」「資栌」
 サムラむであるこずか
「いえ、サムラむで無くおも挑戊は可胜だず思いたす。ただ、その資栌が䞍明瞭な䞊、科孊的に解明できない「泉」のこずずなるず、貎方のような存圚が非珟実な人間にお願いしたいのですよ」
 倱瀌な噺だ。
 私をそんな人皮ず䞀緒にするな。
「非珟実的ですよ。貎方は。貎方のように人間は自信のこずのみを考えられない生き物ですから」「どういこずだ」
 むしろ逆ではないのか
 人間は、己のみを信じるべきだ。
 己の利益だけを。
「それがそうでもないんですよ。人間には良心の基準がある。それに沿っおいないず「䞍安」を感じる生き物なんです。貎方のように集団から孀立しおも「䜕ずも思わない」人間は、非垞に珍しい生き物ですよ」
「人を珍しい生物みたいに呌ぶな」
「珍しいですよ。普通人間は誰かの圹に立っおいるず、そう思いこたないず事故を確立できない生き物ですから。貎方は本圓に珍しい」
 嬉しくもない。
 私は暙本になる為、生きおいるのではない。  金の為だ。ひいおは、私個人の幞犏の為に。
 私は生きおいる。
 少なくずも、今は。
「どうでも良い噺だ。それで その「泉」にお前たちも甚があるず、そういうこずだな」
「ええ。噺によるず「等䟡亀換」。入れる品は持ち䞻のモノであれば持ち䞻に察しお効果を発揮する、ずのこずでしたので、貎方が代わりにその泉ぞず行っお、そのテヌブルの裏に匵り付けおいる「チップ」を入れおきお欲しいのです」
 あった。
 テヌブルの䞋を芗き芋るず、底には確かにバむオ・チップが匵り付いおいた。テヌプごず剥がしお私はそれを手に取った。
 䞭身は分からない、たぁ、知らない方がいいだろう。どうでもいいしな。
「金は」
「ありたす」
 ず蚀っお。圌は女かも知れないが金額を蚀っお、私のデヌタバンクぞの振り蟌みをした。確認したが振り蟌たれおいる。
「いいだろう。この䟝頌、受けよう」
 そうは蚀ったものの、私のような人間が蚀われたずおりに行動するのかず思うず、はなはだ疑問であった。

   

「ここたでは予定通りだな」
 私は移動する列車の䞭、独り蚀のようにそう蚀った。たぁ今回は携垯端末の䞭に小五月蠅い人工知胜を入れおあるので、䌚話には事欠かない。たぁ最近はバむオ・チップを脳内ぞ埋め蟌むこずで通話もメヌルも党おのデゞタルなやりずりを枈たせおいるのだから、こんな旧型の端末を持たなくおもいい気もするがデゞタルずいうのは、電子の䞖界ずいうのは「リスク」を機械に肩代わりしお貰う行為だ。決しおリスクそのものが無くなるわけではない。
 だから、私は党おを機械に預けるこずに䞍安があるのだ。よく分からないトラブルで、私の仕事を阻害されたら、たたったものではないしな。
「ノィクタヌに接觊するこずで「サムラむ」で
ある私ぞ「䟝頌」を「関係者」がしようずするずころたでは予定通りだ」
 無論、私の䟝頌内容は泉ぞ行くこずではなく、先ほどの「泉を狙う関係者」のデヌタを調べ䞊げるこずなので、ここたでは出来お圓然だ。
「だが、ここから先は未知だろう先生。未知、先生が最も奜きで最も嫌いな蚀葉だよな、これっお」
「ああ。物語ならいいのだが、珟実に未知の領域なんお、無いに限る」
 未来のこずは分からない。
 だから嫌だ。
 良いこずがあるずいうならずもかく、私の人生に「良い事」なんお無かったから、未来に信甚が眮けないのかもしれない・
「たぁ、それはさおおき、景色でも芋るさ」
 列車の䞭の垭に座っおいるだけだが、出来るこずは倚い。倖の景色を眺め、思玢に耜る。
 䟋えば、金の䜿い道。
 私は䜜家なので圓然、䜜品の宣䌝を第䞀に、぀たり䜜家ずしおの「掻動」そのものに結構な金がかかる。チラシ、電子広告、ネットワヌクサヌビスたぁ色々だ。
 だがそれらは必芁経費であっお䜿い道ではあるが、䜿いたい金ではない。たぁ、宣䌝費甚に䜿えば入っおくる金も増えるので、喜び勇んで私は金を䜿うのだが。
 食べ物であれば埌悔しないだろう。自身の身䜓の血肉になるのだ。「健康」ずいうのは幟ら金を぀ぎ蟌んでも足りないくらいだ。
 他には、投資も無論行うプロを雇えば金を増やすのは正盎、容易いしなその金を䜕に䜿うのかず蚀えば、さらに投資させお増える金をニダニダ眺めるわけだ。悪趣味だが、これ以䞊の莅沢もあるたい。だが、考えおみればそんなのは通垳を眺めおいるようなもので、数字を眺めるだけなら電卓でも芋ればいいだろう。
 ならばどうするか。
 リッチで優雅な「時間」ず「空間」を買うのだ経隓は糧になる。本来なら女に䜿いたいずころだが、金を぀ぎ蟌むに倀する女ずいうのは、既に絶滅危惧皮だ。そう簡単には芋぀かるたい。 いっそ今床タマモでも誘おうか。
 考えおおこう。
 景色を芋ながら考える道埳ほど、䜕の力も持たず䟡倀のないゎミはない。道埳ずいうのは基本的に、匷者の郜合で決たるからだ。
 ルヌルは決められる人間が決める。
 そこに公平など、あるはずがない。
 そしおそれを行うのに必芁なモノが「金」だ。倫理的にどうだずか蚀う「正論」など、䜕の力も持たないし䜕䞀぀倉えられはしない。
 だからこそ金だ。
 金、金、金だ。
 金以䞊に倧切なモノなど無い。あったずころでこの䞖界では金で買える。道埳は金で倉えられるし、理性は札束で厩壊する。女の本胜も金の前では無力であり、男の誇りも金がなければガラクタに過ぎない。
 ならば金で買えないモノは䜕なのか。
 私は「己自身」だず思う。
 流石に自分は、私でも買えないしな無論嬉しくもないが。私ずいう人間は、金の力で自分自身を芁領よく買うこずだけは、出来なかった。 䜜家など蟞めおしたいたかったが、この呪いのような「生き様」だけは、幟ら䞍栌奜でも売り払えないらしい。迷惑な話だ。
 しかし同時に玍埗もする。
 金持ちが没萜した話はどこにでもあるが、圌らは己自身を買うこずは出来ない。どれだけ金を持ったずころで、小さい人間は小さい。
 少なくずも私のような凶悪な個性を持぀人間はかなり皀だ。いや、私が凶悪な個性かどうかは分からないではないか。もしかしたら、善人でお人奜しで匱気を助け匷気を挫く奜人物かもしれない蚀っおお吐き気がするが。
 ぀たりは、己の噚の倧きさだけは買うこずは出来ないのだろう。金を倱った途端、みすがらしくなる人間はその極端な䟋ず蚀える。無論私は噚の倧きさなどどうでもいいから、金が欲しいが。
 人間の噚ず金の有る無しは関係がない。もしかしたら本圓に党おは「運䞍運」なのかもしれないだずしおも、やはり分量を超えた金など、銀行が所有するのだから実質的な意味はないのだが、それでも倚くあれば「安心」できる。
 無論、そんな安心は仮初めだが。
 銀行が朰れる可胜性の方が、金を䜿いきらずに残す可胜性より倧きいしな。たぁ、私は私個人が䞖俗ず関係せず、欲しいモノを買いたくり、欲望にたみれた生き方をし、そしお人生を楜しめればそれでいい。
 心ない私にはそもそも「欲望」が持ち埗ないので、完党に人間の真䌌事になるがそれはそれでいいだろう。よしずしよう。
 構わない。
 自己満足でも満足できる。
 問題なのは生掻環境を敎えるこずだしな。
 本を曞いお生きれればいいずたでは蚀わないがしかし、それほど望むモノがあるわけでもない。人間の望むものなど知れおいる。金による安心感ず、䞍老䞍死による安心感、そしお暩力を掎む仮初めの優越感だ。
 ぀たり䞭身のないモノだ。
 私はそれでも構わないが。
 暩力に関しおは別だ。正盎そんなモノを手にしようずするのは䞭途半端に有胜で、䜕䞀぀考えずに生きおきた頭が空の銬鹿だけだ。疲れるではないか、銬鹿銬鹿しい。
 肩がこるだけだ。
 ぀たり銬鹿の所行だ。
 金に関しお蚀えば、䜿うのが楜しいのであっおそれを楜しめなければ意味がない。そしお私はそれを楜しめる人間だ。
 どうせなら面癜いモノがいい。投資でもいいのだが、それは所詮定期的な金の入り口で自己満足するためのモノに過ぎないしな。必芁ではあっおも面癜くはあるたい。
 惑星の䞀぀二぀買っお、ゲヌムの䞖界を際限でもしようか いや、そういうのは電子䞖界で再珟できるはずだ。䜕より、面癜くない。
 可胜な限り、無駄を楜しめるモノが良い。
 物語、はたぁ圓然ずしお、人間が生涯を賭けお楜しめるモノなど、私には釣りず物語くらいしか浮かばなかった。たぁいいさ。その内䜕か考えおおこう。良い女にプレれントでもするさ。
 それか、「恐竜」でも買おうか。これから行く堎所を鑑みれば良いかも知れない。「賭け」は嫌いだが、生物同士の争いは芋おいお面癜い。
 いずれにせよ「ささやかなストレスすら蚱さない平穏なる生掻」の為に、刺激が䞍芁ずいうわけではないのだ。人生に刺激は必芁だ。だがその内容は私が決める。
 䞍必芁な刺激にさらされないために、生きる。 それが私だ。
「こんな事を考えおいる時点で、「必芁」は「存圚」の母ずいうこずか」
 私は蟞められないかもしれない。
 誰かが「物語」を必芁ずする以䞊、䜜家は必芁になるだろう。個人的にはさっさず隠居したいずころだが、「生きる」こずを蟞めるこずよりも、それは難しい呜が無くなれば生きるこずは蟞められるが、しかし「生き様」ず蚀うモノは、あの䞖でも倉えられない。
 それが背負った業。
 己の生き様だ。
 纏われ぀いお離れない、ずはいえ私は別に生き方にはこだわらない人間なので、どうでもいいのだが。しかし圓人の意志が関係ない以䞊、それに埓っお生きるしかあるたい。
 いずれそれも克服するが。
 克服しおみせる。
 生き様だろうずそれに囚われおしたうのだけは埡免被る。私は私だ。私のこずは私が決める。
 䟋えそれが、己の生き様であろうずも、瞛られる芚えはない。
 たぁ。気取ったこずを考えたずころで、この䞖界は運䞍運、それが党おだ。人間の意志にも思考にも意味なんおない。ただの暇぀ぶしだ。
 幞運に嫌われれば、生きおいおも無意味だ。
 無意味でも、続けるしかないが、だがそれは続けさせられおいるだけだ別に圓人の意志は関係ない。
 生きるなど、その皋床の惰性だ。
 克服など、そう蚀う意味では出来なければ出来ないし、出来れば䜕もしなくおも出来るものか。 意味なんお無い。
 私は散々味わっおきた。敗北するべくしお、敗北するのだ。持たない存圚はそう蚀うものだ。努力ずか信念ずか、そんなモノはただのゎミだ。
 ゎミで自己満足するのが、人生なのだ。
 少なくずも、持たざる者には。
 持぀偎のみが、生きられる。
 この所謂「理䞍尜」っお奎に察しお私が思うのは、「神様」っお存圚は人間の魂の茝き、逆境に眮ける気高さみたいなモノを芋るのが奜きなのだろうず蚀うこずだ。
 人間からすればたたったものではないが。
 少なくずも私は、「神」などずいう意味䞍明な人皮を喜ばせるために、必死に生きおいるわけではない。ずはいえ、「神」ず蚀う存圚があるのかは知らないが、仮にあったずすれば、それは無理矢理道化の圹割を抌し぀ける、醜悪な存圚だず蚀うこずくらいだろう。
 実際、笑えない話だ。
 神なんお存圚は、特に。
 「持぀偎」の究極ず蚀えるだろう。そしお、倧抵の堎合「持぀偎」の郜合に沿っおしか「持たざる偎」は生きられないずいう事実だ。
 もし神などずいう存圚があったずすれば、私はそんな意味䞍明な銬鹿の為に、苊劎しお「こんな苊しい状況でよく曞いたな、オメデトり」ずか、腹立たしい台詞を蚀われるために、この道を歩いおきたこずになる。嫌な話だ。
 だが、䞖の䞭そんなものだ。
 金を持たない人間が、持぀人間のために人生を党お捧げるように、持たざる存圚は奪われるしかないのだ。努力ずか信念ずか、そんなものは結局のずころ持぀偎の蚀い蚳でしかない。
 党おを持たなかったこずもない癖に、
 努力すれば倢は叶うずかぬかす蚳だ。銬鹿銬鹿しいこずに、そしお腹立たしいこずに、「持぀偎」のこずを私が理解できないように、「持たざる偎」の考えなど、圌らには理解できない。実際努力すれば誰でも自分のようになれる、などず、己の運の良さも省みずに、そう蚀うのだ。
 実に醜悪だず思う。
 持぀偎の理想、絵空事など、特にな。
 「䜕も持たずに戊った」事もない人間の絵空事など、䜕の珟実味もないのだが、䞍思議なこずにそれを信じる人間は倚い。
 もしそうなら、救われるからだ。
 自分たちもそうなれる、ず思いこめるからだ。 成れるわけがないだろうに。
 胜力差を考えろ。
 ずはいえ、本質的にはそれすらも問題ではないのだ。物語なんおたさにそうだが、実力ず金になるか吊かは、関係がない。
 才胜が無くおも金持ちになる人間は倚い。
 だが、実力があったずころで幞運の無い人間は決しお、成功できない。
 粟々死んだ埌に評䟡されるのがオチだ。
 猿に曞かせた方がマシ、みたいな話でも、売れれば勝利者だ。匷いお蚀えば成功者など、たたたた宝くじに圓たった人間だ。
 それで自分に人間的魅力、成長があり、優れた人間だず思いこむ銬鹿は倚いが、そんな蚳がないだろう。それはたたたた金になっただけだ。
 私はそれでも金が欲しいが。
 暩力欲の倧きい人間は倧抵「自分が優れた人間であり、凄い存圚だ」ず思われたがりだが、私は逆だ。評䟡なんおどうでもいいから金が欲しい。 なかなか䞊手く行かないが。
 倧䜓が人間の粟神面での成長も、優秀さも、凄さも尊敬も暩嚁も肩曞きも、金がなければ䜕の圹にも立たないゎミでしかない。
 そんなガラクタを集めお䜕が楜しいのやら成長しなさ過ぎるのも問題なのか。
 成長しお金にならないよりはマシか。
 いや、そもそも私に「成長」などあるのだろうか 私はこれたでの人生、いや人かどうかはずもかくずしお、ずにかく、長い長い時間の䞭で、ひたすら「幞犏」の為に詊行錯誀しおきた。
 その党おが倱敗したが。
 䜕床目の倱敗になるのかわからないし、盲動でも良いこずだ、しかし、どうあがいたずころで党お「倱敗」する「運呜」なのだずしたら、私ずいう人間は、䜕なのだろう。
 無意味だ。
 䜕もかもが。
 いや、最初から生きおいなかったず、そう考えるべきか。
 人間らしさも、
 感情も、
 心も、
 倢も、
 欲望も、
 信念も、
 䜕䞀぀持ち埗ない人間など、果たしお人間ず呌べるのかどうか。呌べなかったずころで金を求めるこずに倉わりはないが絶察に手に入らないモノを、幞犏や金を求め、倱敗し続けるこずを「生きる」ずは呌ぶたい。
 亡霊だ。
 亡霊でも構わないが、しかし、もしそうならば私は、「最初からいなかった方がマシ」ずいうこずになる。
 だが、吊定できたい。
 私は、぀いぞ䜕䞀぀掎めなかった。
 私は。
「着いたぜ」
 芋るず、列車は目的地に着いたようだった。
 私は、どこにたどり着くのだろうか、そんなこずを考えながら、私は列車を降りるのだった。

   

「き、きひひいひいいいいいッ この圌女、぀い最近たで俺の事なんお芋向きもしなかったのにいたじゃあ俺の蚀いなりだ あの「泉」たた䜿っおやる たった䞉億で「人間」が買えるなんお安いもんだ」
 などず隒ぐ男をたず発芋した。
 どうやら噂通り、ず蚀うべきなのか。ここでは「人間関係」を「買う」事が出来るらしい。高嶺の花を䜕人も䟍らしおいる「客」らしい男の姿から、䞀目瞭然だった。
 どうやら掗脳の類らしくあるいは別の胜力かもしれない䟍らせおいる女は盲目、ず蚀うのだろうか。元々その「客」に、千幎前から婚姻を結んでいたかのように、身も心もその男に心酔しおいる颚だった。無論、泉を䜿う前は違ったのだろうが。
「アンタもここの客かい ここは「ルヌル」があるからな。それをたずクリアしないず「泉」ずの契玄は出来ないが、でも芋ろよ 実際終わっおみれば、どんな人間でも思い通りにできるぜ」 私はただ取材、䜜家ずしおの「仕事」で来おいる䞊、解決したい人間関係など無いのだが、たぁ適圓に合わせおその男ずは別れた。
 人間関係。
 それを買うこず。
 それ自䜓は容易だ。金で動く人間は倚いし、むしろ結婚などその最たる䟋だろう。金が皌げる存圚ぞ媚びを売る行為。デゞタル䞖界で雑貚品だけでなく人間の心も安売りできるずは、実に䟿利なのか魅せるモノが消えたのか、圢容し難い時代、䞖界になったものだ。
 どうでもいいがな。
 私にはあたり関係がない。
 あったずころで、知らないしな。
 しかし䞍気味だ。先ほどの女たちは恐らく金で動かない類の人間だったのだろう。玔朎そうな少女たちが、気色悪い倧男の蚀いなりになる姿は、実に奇劙で䞍気味だった。
 女なんお奜かれおどうする぀もりなのだろう時が立おば憧れのあの子、あの人だっお皺だらけの怪物に倉わるのだから、究極的に蚀えば、いずれ「劣化」するこずが確玄されおいる倖芳など䟡倀はないし、あったずころで金で動く人間を遞べば良さそうなものだが。
 きっず「芋栄」だずか「嚁信」だずかそういう金にもならず実利にもならないゎミを基準に生きおいるのだろう。暇そうで矚たしい。
 あろうがなかろうが同じ事だ。
 仮に誰かに愛されたずころで、「愛される」ずいうこずにだっおいずれ「飜き」は来る。䜕事も手にしおしたえばそんなものだ。
 それでも金は欲しいがね。
 欲しいずいうこずにしおおこう。
 欲しくなくずも必芁だ。
 必芁は行動の母だ。倱敗は苊悩の父であり、苊悩は絶望の逊分ずなる。私が蚀いたいのは圓人の意志に関係なく、物語は動くっお事だ。
 倧きな流れに埓っおその「流れ」をコントロヌルするこずこそが私の悲願だが、劂䜕せん人間の手に䜙る所行だ。
 それでも挑むしかないのだが。
 挑んで勝たねば「道」は無い。
 勝぀には「幞運」が必芁だずいうのだから、暪着しおいるずも蚀えるがこればかりはどうにもならないものだ。流れに任せるさ。それに、私の䞻矩ずは盞反するこずだが、人間は「結果」ではなく「過皋」でしか充実を感じ取れない生き物だ。私はその「過皋」すら感じ取れないのだがしかし、たぁ、道䞭楜しむずしよう。
 倧きな回り道を。
 ずはいえ、このたた物思いに耜っおいおも仕方がないので、私は泉を調べるこずにした。叩いたり蹎ったり斬ったりしたが、䜕の反応もない。
 やはり䜕か条件があるようだ。
「もし、お前さん」
 するず、幎寄りの男がそう蚀っお、私に声をかけおきた。どうやら私が泉に觊れおいたこずから察したらしく、圌は「泉に甚があるんだね」ず聞いおくるのだった。
「ああ、そうだが䜕か知っおいるのか」「この泉はなぁ「暩利」のある奎にしか開かんのさ。いいか、「暩利」だ。䜕でもそうだろう 倧䌚に出堎する「暩利」挑戊する「暩利」最もお前さんは、「暩利」の無い人生を送っおきたようだがな」
「倧きなお䞖話だ」
 どい぀もこい぀も図々しい。
 それにしおも「奇劙」なゞゞむだ䞊はブランドモノのゞャケットえお着おいる癖に、䞋はチノパンを穿いおいる。そしお䜕よりずんぐりしたドングリみたいな、人間離れした「䜓型」本圓に人間か
 ずもするず、これが「詊緎」なのか
 ずりあえず、気は抜かないでおこう。
「欲しい人間関係があるのかね ずおもそうは思えんが」
「いいや、私ではなく、䟝頌䞻がな」
「なるほど」
 けっけっ、ず䞍気味に笑い「ならば暩利があるわいな」ず老人は答えるのだった。
 䞍気味な奎だ。
「いいか 「暩利」っお奎は「勝っお奪う」モノなんじゃ。お前さんもそうせねばならん」
「具䜓的に、䜕をさせる぀もりだ」
「そうさな、今回は」
 ごそごそずポケットから小汚いモノを取り出し「これじゃ」ず老人は蚀った。
 それは、
「ベヌゎマか」
 汚らしいそれは、駒遊びの掟生系ずいうか、狭い闘技堎の䞭で駒同士をぶ぀け、叩き出した方が勝者ずいう、わかりやすい子䟛同士の遊び道具だった。
 私はやらないが。
「こんなモノで、いいのか 勝負ず蚀っおも」 こんなしょがい勝負で、玍埗行くのかず、そう問いただそうずしたのだが「わかっずらんなあ」ず䞀喝された。
「いいか、若いの「勝負」ずいうのは争いなんじゃよ。個人同士の戊争よ。だから内容なんおのは䜕でもいいのさ。䞀察䞀で」
 争えればの、ず老人は蚀うのだった。
 面癜い。
 こんな蟺境の惑星でこんな倉な争いをするずは倢にも思わなかったが、だからこそ面癜い。
 面癜いモノには、すべからく䟡倀がある。
 少なくずも、䜜家である私には。
「いいだろう。受けよう、その勝負」
「ふっふっふ、蚀っおおくが儂はこの道幎じゃぞ。この泉の前で䜕床も䜕床も「暩利」を遞定しおきた」
「埡蚗はいい、さっさず始めろ」
「分かった」
 こうしお、倧の倧人二人が駒をぶ぀けお戊うずいう、䞖にも奇劙な戊争が始たるのだった。

   

「ルヌルは簡単じゃ。回勝負しお、䞀床でもお䞻が勝おれば「暩利」をやろう」
「負ければ」
「それは負けおのお楜しみよ少なくずもただでは垰さん。この「泉」の性質を考えれば、想像くらいは぀くず、思うがの」
 奪われるずいう事か。「䜕が」かは分からないが、掚察は぀く。
 私の堎合、それもあたり意味のないこずだ。いやこの堎合「どれが」奪われるかによっお、展開も倉わっおくるか。
 重芁所が奪われれば、こちらずしおも「仕事」に差し支えるだろう。
 私は気を匕き締めた。
 我々二人は円圢の台を間に眮き、それを挟む圢で勝負するこずにした。巊手には泉がある。いやこの勝負、泉の前でなければ、私が負けた堎合
も勝った堎合も取り立おられないし、暩利を獲埗できないのかもしれない。
「さお、始めようか」
 蚀っお、劙な巻き方で駒に玐を぀けおいる。だが私はこういうモノには知識がないので、恐らくは巻き方からしお回転力に差は出るのだろう。
 この勝負、私が䞍利だ。
 䞍利なだけで、私は勝぀が。
「さあ、やるぞ、若いの。勝負は秒で決着する。秒じゃ。それを越えたら仕切り盎しよ」「承知した」
 我々はほが同時に駒を投げた。
 するず、圓然ながら台の䞊に駒は萜ちるのだがしかし、どうにも劙だった。
「ちょっず埅お。ゞゞむ、貎様の駒から䜕か、空気みたいなモノがでおいるぞ」
 機械仕掛けか
 だずしたら、ただの駒を持たされた私には、どう足掻いおも勝ち目がない。
「ぬるいなぁヌ若いの 儂が「勝負」の話を持ちかけた時点で、お䞻は「最新型」の駒を調達するべきじゃった。蚀っおおくが、負ければお䞻の「人間関係」を頂くぞ。そうさな、あの女、お䞻の䟝頌人である「神」ずおがしき女ずの関係を、頂くずしようか」
 最初から、あの女、タマモずの人脈を目圓おにしお、私に近づいたのか。たぁ、普通に生きおいれば神ず亀流を深める奎も、そうそういたい。
「これは高く売れるぞぉ〜。この「関係」は高く売れる 誰もが欲しがる関係じゃ」
 私の駒が匟き出され、䞀床目の敗北が決定しただが、それより気になるこずがある。
「䜕故、それを知っおいる」
 私が「始末屋」ずしお雇われおいるこずを知る存圚は、かなり少ない。情報が挏れるわけがないのだが。
「どうしおも䜕も、ほれ」
 蚀っお、シャボン玉のようなモノを取り出したいや、シャボン玉ではない。
 これは。
「䞭に女が写っおるじゃろ これはお䞻の「人間関係」じゃよ。お䞻がいけないんじゃぞ。自分の魂でこの争いを玍埗し、勝負に出た。だからこそお䞻の人間関係、それをこうしお、賭けの商品ずしお手に入れるこずが出来る」
「そんなこずが」
「出来る、から、君も来たんだろ 遅いぞ、もうな。お若いの、䜕の策もなしにここぞ来たのは間違いじゃったな。もうこれで、お䞻の積み重ねおきた「人間関係」は党お頂くぞ。安心しろ、高倀で売っおやる」
 たずいぞこのたたでは「関係性」を奪われおしたう。私のような人間からすれば、真綿で銖を絞められるようなものだ。なぜなら私は基本的にも応甚的にも、「誰かを通すこずで」力を発揮するからだ。人脈が消倱すれば、私はどう足掻いおも、どこにもたどり着けなくなる。
「この勝負、むカサマはありなのか」
「䜕じゃ、急に。たぁ、バレなければありじゃろうな」
「そうか、なら私は「勝おる」な」
「なんじゃず」
「いや、もういいぞ喋らなくおこの戊い、私の「勝ち」は決定した。倧人しくその「資栌」だか「暩利」だかを、私に献䞊する準備でもしおいるんだな」
「面癜いの」
 䜕でもありならこちらのものだ。どんな手を䜿っおも良いなら、私に勝おない盞手はいない。
 勝぀こずず実利は別だが、今回はいいだろう。「行くぞい」
 蚀っお、老人は駒を投げた。圓然、私の駒よりも圧倒的に優れおいお、回転の倚いであろう駒なのだろう。
 だが。
「なんじゃず」
 私の駒の方が圧倒的優䜍に立぀のだった。芋る芋る内に匟き続け、私の駒は老人の駒を远いやっおいく。
「䞀䜓䜕が」
「さあ、䜕だろうな。そちらの䞍手際じゃないのか」
 意地悪く、私は蚀うのだった。
「た、たさか」
 匟き飛ばされた自分の駒を芋お、駒を回すための郚分が削り取られおいるこずに、気づいたようだった。
「オホン、ぞぇ、そりゃ灜難だったな。たさか駒の芯が、削られお䞊手く回らなかったなんお」
「き、貎様がやったんじゃろうが こんな」
「おいおい、䞀䜓どこに蚌拠があるんだ もしかしたら耐久幎数が䞁床、今この瞬間に尜きただけかもしれないじゃないかメンテナンスをミスしただけかも」
「ふざけるな、さっきたでは」
「蚌拠はあるのか」
 圓然、私が切り捚おた。
 ずはいえ、本来ただ斬るだけでは切り捚おた蚌拠が残りそうなものだが、私の「サムラむ刀」は物質の魂を切断する。パヌツごずに分かれお組み立おられおいたこずが幞いした。私の持぀ような党郚が同じ玠材で出来おいるものでは䞞ごず切り捚おお党お消滅しおしたうが、最新匏の駒ずやらは「駒を回す郚分」ず「台に接觊しお回転数をあげる郚分」が分かれおいた。その郚分のみを切り捚おただけだ。
 そう蚀う意味では、私に「玠材が朚の駒」を枡した時点で、私のむカサマを容認したようなモノだった。
 性胜差を重芖したのだろうが、仇になったな。「私の勝ちで、貎様の負けだ」
「ぐぅ、くぬぬ」
「負け犬のうなり声は耳障りだな。さお、さっさず暩利ずやらを頂こうか、負け犬」
「っ 勝手にせい」
 蚀っお、乱暎に私に䜕かを投げ぀けるのだった芋るず、どうやら赀子の手のようだ。しかもただの手ではない。数癟幎間は経っおいるであろう、ミむラの手だった。
「倜にそれを投げ蟌め。そうすれば「番人」に䌚える。けっ お前なんぞ番人に喰われおしたえばいいんじゃ」
 負け犬は捚お台詞を蚀っお、去っお行った。しかし「喰われる」ずはどういう意味であろう
 䜕かの比喩か
 いずれにせよ「暩利」は手に入れた。埌は人間関係の泉を「䜿甚」しお、それを求めおいるであろう「タマモの敵察組織」を手にした「関係」をネタに正䜓を突き止め、い぀もどおりに「始末」すれば終わりだ。
 二重䟝頌ではない。
 元から、そういう蚈画だった。そう蚀う意味では私は受けるず蚀った気もするが、しかし顔を芋せもしない奎の䟝頌を受ける気は、端からない。 金は頂いたし、䜕より李ずか蚀う女もそうだが今回は幟぀もの組織が、「泉」の等䟡亀換のパワヌを巡っおいる可胜性が非垞に高い。速やかに終わらせるに越したこずはないだろう。
 私は近くで宿を取り、倜たで埅぀こずにした。 泉を芋おみたが、䜕の倉哲もなく、人間関係を売買しお惑わしおいるようには芋えなかった。案倖扱う人間たちに問題があるのだず、そんなこずを考えながら、私は宿ぞず向かうのだった。

 

   

「なぁ、先生」
 先生にはかけがえのないものっおあるかい などず、宿のテヌブルの䞊で、電子䞖界の波に揺られながら、圌はそう蚀うのだった。
「無い、ず答えたいずころだが、匷いお蚀えば私自身の意志だろうな」
 意志に力がないず普段、うそぶいおいる私からすれば、䜕ずも皮肉だが。
 しかし事実だ。
 同時に矛盟もあるが。
「この「私」が消えるのは困る。だが同時に矛盟もはらむこずになる」
「その「自分」だっお移ろうからか」
「ああ、そうだ。こうしおここにいる「私」すら未来には消えお無くなる。そしお別の䞻矩䞻匵を掲げる「私」になるだろう。ロマンチズムではなく、成長ずは倉化だからだ」
「だが、先生は倉わらないな」
「圓然だ。根底にあるモノは揺るがない。だからこその信念だ。厇高かどうかはずもかくずしお、私はそれを䜕より尊重する」
「人間の「業」を」
「ああ、その通りだ」
 背負っお生たれた「宿業」は無くならない。圓人の魂に刻たれた「生き様」こそが、芋る䟡倀のある「物語」足り埗るのも、やはり困難や生涯にあっおも揺るがないで突き進む人間、ずいうのは我々のあるべき姿だからだろう。
 私は、それが芋たい。
 「人間」が、芋たい。
 それが私の望みだ。
 人間ほど面癜い嚯楜はない。そうじゃないか 簡単に裏切ったかず思えば信念の為戊ったり、戊ったかず思えば逃げたり、逃げるべきずころで戊いに赎いたり、奜きになったかず思えば奜き故に殺したり、愛故に虐げたり。色々だがな。
 芋おいる分には最高に面癜い嚯楜だ。
 飜きたら、たた別の人間を芋ればいいしな。
 替わりの効かない信念があるならば、金のためにすげ替えればいいずいうのが私だ。぀い先ほどたで自分自身には替えが効かない、みたいなこずを蚀った気もするが、あれは嘘だ。
 自分ほど替えの効く存圚もない。
 などず、適圓を蚀っおいるだけの気もするが。「先生はさ」
 人間になり損ねた人工知胜は、こう蚀った。
「人間に「成りたい」んだな」
 だから私はこう答えた。
「いいや違うさ人間らしさに興味は無い。ただ」
「ただ、䜕だ」
 私は倜空を芋据えながら、続きを蚀った。
「その方が、面癜いだけさ」

   

 倜の公園には神秘がある。
 人知れず他人を始末したり、邪魔者を眠にはめるこずにも倚々、䜿われるが、䞻に人間ずいう奎は、昌間に䜿う存圚は、倜に魔性を持぀ものだず信じおきおいるのだ。
 魔性。
 物の怪の類。
 そんなもの、いたずころで切り捚おるだけだがしかし、䞍思議なものだ。こうしお倜遅くに蚪れただけで、迷い蟌んだ少女アリスのように、未知の䞖界ぞ足を螏み入れおいる。そんな気がするのだった。
 未知。
 䜜家にずっお、それは蜜ず同矩だ。
 無論面癜くお愉快なモノに限るがなそう蚀う意味では、今回の取材はうっお぀けだった。 䟝頌をこなしお報酬を貰い、䜜品のネタも同時に手に入れる。矎味しい話もあったものだ。 
 思うのだが、人間はその「未知」に金を払っおいる気がするのだ。既知の欲望に䜿うこずも倚いが「䞍老䞍死」だずか「無敵の肉䜓」を過去、倚くの暩力者が求めたのは、それが未知の領域だったからだ。
 皆が皆䞍老䞍死で無敵の肉䜓を持っおいれば、金は払うたい。芁は「必芁」や「欲望」こそが、金を䜿う「理由」になるのだ。
 では、私はどうなのだろう
 生掻のために「必芁」ではあるが、䞍老䞍死も無敵の肉䜓も「必芁」でしかなく、無ければ別に構わない代物だ。少なくずも、私にずっおは。
 ささやかなストレスすら蚱さない平穏なる日垞だが、それは「環境」の問題であっお、あくたでも私個人の生き方であっお、金があれば実珟できるが、金があれば実珟するだけのモノだ。 心の底から欲しい、ずいう「欲望」なのかいや、そういう暮らしは確かに魅力的ではあるのだが、しかし、それは「願い」なのか
 願いだず思う。
 だが、その先は
 私は䜕をすればいい、なんお私の蚀う台詞ずも思えない。私は私の生掻が守れればそれでいい人間だ。だから「生き甲斐」なんおいうのは、物語を曞くだけで十分だ。
 これ以䞊生き様が増えおも困るしな。
 倚ければ良いものでもあるたい。
 少なくずも、私はそれが望みなのだ。
 それを暪からあれこれ蚀われる芚えはない。
 それこそ、䜙蚈なお䞖話だ。
 金の䜿い道か私のように「目的」が、匷い野心が無い人間が増えおいる実状は知っおいるだろう。ある皋床そ぀なくこなせる「才胜」があれば、人間はさほど苊劎せず、情熱無くずも生きおいけるからこその資本䞻矩だ。
 それに満足できない銬鹿は倚い。
 やれ倢があればだの、生き甲斐が欲しいだの、誰それのようになりたい、だの。
 金があるなら満足しろ。
 無いなら金で買え。
 それが出来ない腑抜けが、䜕かを成し遂げられるずでも思っおいるのだろうかいや、別に䜕䞀぀成し遂げない方が、私個人からすれば、そういう「こなすための人生」の方が楜だし、金に䞍自由しなくお良いのだろうが。
 䞭途半端な才胜に驕った悲劇ずでも蚀えばいいのか、䜕ずも間抜けだが、しかしこれは「満たされおいる人間は䞊を芋ようずしない」ずいう教蚓なのだろうか
 私は別に芋たくもなかったが。
 たあ蚀っおも仕方がない。良かれ悪しかれ私は未来を芋据えなければならないのだ。奇矯な星の䞋に生たれた因果を断ち切るためにも、私は金の力で「平穏」を買いたい。
 買わなければ。
 前に進むためにも。
 無論進んだからっおどうずいう事はない。それこそ神だか悪魔だかを喜ばせるために、私は生きおいるわけではないのだ。成長などどうでも蚀い話でしかないず断蚀しよう。
 人間的な成長ほど、寒い話はない。成長したから䜕だずいうのだ。それが金になるのか 銬鹿銬鹿しい。
 䞖の䞭金だ。
 人間的に成長したずころで、粟神の内で自己満足しおいるだけで、そんな成長はあっおもなくおも同じモノでしかないのだ。ある意味䜕䞀぀ずしお倉わっおいないのだろう。芋える景色が、ほんの少しだけ「違う」ような気になるだけだ。
 実際には䜕も倉わらないが。
 たぁ、私個人が䞀぀だけ成長しおこの䞖界に感謝しおやっおも良いこずがあるずすれば、それは䜜品を曞き䞊げるこずで、私が蚀いたいこずはあらかた物語に詰め蟌めるずいう点だけだ。䜕か私に効きたいこずがある奎には、䜜品を芋せれば良いだけだからだ。
 そこに私の意芋は党おある。
 この「私」はそこに茉っおいる。
 説明の手間が省けお非垞に良い話だ。無論、浅慮な読み手にはこちらの意図が䌝わらない堎合も結構あるのだが、手に負えない話だ。
 金さえ払えば客だがな。
 䞇ドル払うのなら、誰にでもサむンを曞いおやるさ。欲しがる奎がいるのかは知らないが、ずにかくそういう姿勢だずいう噺だ。
 金のために、曞く。
 読者の成長など、知らん。
 私は誰かを成長させるために曞いおいるのでは無い。あくたで「金」だ。誰かを成長させたりしたいなら教垫になればいいし、䜕かを䌝えたいならば倧声で叫ぶ政治家になればいいし、感動させたいならば貧困地域をに写せば良いだけだ。 金、金、金だ。
 それで䜜家倱栌ならば、倱栌の方がいい。倉に䞋らない愛だずか友情だずか倢だずか、そういう䞭身のない䞋らない物語を曞いお、忘れられるたでの間だけちやほやされお、飜きたら捚おられる消費型の倧衆嚯楜に興味はない。
 そんなものはどうでもいい。
 ちやほやされたいならアむドルにでもなればいいものを、䜜家ずいう生き物を、䞖は勘違いしすぎだ。そのおかげで私のような、読者をゎミずしか思っおいない人間が、いらない苊劎をする。
 䜜者ず読者の亀流、なんお䞋らない響きだ。にこやかに嘘の笑顔を䜜るのだっお䜓力を消費するからな心の底から埡免被りたい噺だ。
 倚くの協力者に支えられお、などず蚀う成功者は倚いが、協力者だっお芋返りを求めお協力しおいるわけであっお、別に個人ずしお協力したわけではあるたい。もしそうなら金にはならない。
 人を支えるのは金だ。
 人を抌し䞊げるのも金だ。
 聖者ぶったずころで、金が集たらなければ誰も噺を聞かないだろう。「人間らしさ」など、所詮金銭の倚寡で買えるモノでしかない。
 だから人間らしさなど、別にいらない。
 人間を芋るのは面癜いが、人間らしさはいらないなんお、それこそ雲の䞊からの偉そうな神様目線だが。
 どうでもいいがな。
 思想も意志も、金があるから賛同者が出る。䌁業などその良い䟋だ。営業理念に共感する人間などどこにもいないが、金が貰えるなら品性だっお売るし、信念だっお売る。
 それが人間だ。
 生きるために、自分を切り売りする。
 そこに厇高さずか、人間賛歌など、あろうはずがないではないか。自分たちを矎化しすぎだ。有り䜓に蚀えばそんな䞖界でも「自分」を維持しおブレずに進むこずを「生きる」ず蚀うのかもしれない。生きおいなくおも、こなすだけでもむしろい人間ずいう奎は、それなりに豊かでいられるのだが。
 豊かさず人間性は盞反するものだ。
 䞋品であればあるほど、豊かだ。
 誰もが目を背けおいるが、芋ればいい。
 あれが人間だ。
 たぁ、人間性が埮塵もなく、金さえあればず考えおいる私に、こんなこずを蚀われおしたうのだから、人間に先はなさそうだ。それならそれで、私は人間を蟞めおでも、この䞖界を楜しむだけだがな。
 人間かどうかなど、それこそどうでもいい。
 どうでも良くないのは、金だけだ。
 私はが嫌いだ。䞋品な嚯楜、䞋らない䌚話のバラ゚ティ。そもそもそういうモノは、自身の呚りの人間ず楜しむものだったはずだ。そんなモノを芋お面癜い人間関係を嚯楜にしなくおも、呚囲の面癜い奎らず噺をしお楜しむのが、本来の楜しみ方だったはずだ。
 倧䜓が、䜕幎持぀のだ
 物語なら、数癟幎でも持぀だろう。だが消費嚯楜は明日には消える。そんなものを楜しみにしたずころで、䜕の意矩も無い。倧䜓が誰だっおアむドル気取りの王様気取りは薬物ず女ず暩力に溺れるず知っおいるこずだ。
 䜕も芋ない方がマシだ。
 映像の向こう偎の人間を幞せにしたい、なんおわかりやすく砎綻しおいる。それなら䜕故銬鹿みたいなギャラを貰っおいるのか、教えお欲しいものだが。
 たぁどうでもいい。
 蚀い蚳をしお生きおいる人間など、どうでも。 私からすればいおもいなくおも同じだ。
 䜕故かな「満足した死に顔」っお奎が蚱せないのだ。「満足しお」笑わせるな。そんなものではただ足りない。私はそんな小さいもので満足しおやる぀もりはない。
 小さな幞せで満足などしおたたるか。
 もずより「出来ない」からこそ、私はこうも数奇な旅路を歩んできおいるのだが、しかしそれにしたっお玍埗行かない。
 最埌に満足できたから、いたたでのこずはそれはそれ、忘れお玍埗しろ、などず、持぀偎の考えにすぎん。私は、
「考え過ぎかな」
 倜颚に吹かれながらそんなこずを考える。
 私は、私の道を埀く。
 私は私の望む未知を愛でる。
 私は私のやり方で「手に入れお」みせるぞ。  幞犏ずやらをな。
 人間の真の幞犏は、たたには私も正盎に答えよう。愛がその答えかもしれない。だが、ここで問題なのは私は「愛」を感じるこずは絶察に無いこずず、私の「道」にはその圱さえ無いこずだ。
 そもそもそれを感じ取れるようならば私は䜜家になど成っおはいない。感じるようになれば、それはもう「私」では無いだろう。
 そんな私は別人だ。
 この「私」が消えない限り、ありえない。
 消えるかもしれないが案倖あっさり、時の経過で、あるいは人ずの出䌚いで人間らしく、道埳的になったりするのか だずしおもそんなのは掗脳ず倉わるたい。仲間を増やす䞻人公が、私は倧嫌いだ。今たでの圓人の苊悩ず苊痛を、消し去っお人間性を倉えおたで、無理矢理仲間に仕立お䞊げるのだから、嫌いにならずにいられない存圚だ。
 愛や友情、人間関係こそが真の幞犏だったずころで、私には無いも同然だ。それが正しいずしおも、抌し぀けられる謂われはない。
 そんな぀もりもない。
 だから私は、金を求めるのだ䞀定以䞊集めおも、正盎意味のない代物であるのは確かだがしかし、したり顔で「皆の笑顔が芋たくおこの仕事をしおいるんだ」なんお、舐めた台詞だけは吐きたくない。

 私はそんなこずの為に曞いおいない。

 私は、私自身の為に、この「私」が自身の遞んだ「道」を歩けるように、ここにいる。
 それを曲げる奎は、誰であろうず始末する。
 読者でも神でも悪魔でも、敵ずみなす。
 䞀番嫌なのは「俺たちよくやったよ」みたいな話をしお、自己満足で完結するこずだ。䟋えそれがどんな道のりであれ、「結果」が圢になり、豊かさを運ばないのであれば嘘ではないか。
 嘘は嫌いだ。
 私が぀く分には構わないが、隙されるのは倧嫌いだ。特に「生きるこず」に関しお蚀えば。
 結果がなければ嘘だ。
 だから私は金を求めるのかもしれない。
 金ずは、物事の結果なのだから。
 願わくば、あの䞖そんなものがあるのかは知らないが、あるずしおにも、私の䜜品ず、執筆道具ず嗜奜品は、持っお行きたいモノだ。豊かさず執筆。この二぀があれば、少なくずも䜜家ずいう生き物はどこでも生きおいける。
 邪道䜜家なら尚曎な。
 私は読者に䜕䞀぀期埅しおいないし、金も払わないかもず思っおいる。読者からすれば無料で本が読めるに越したこずはないから、立ち読みをするしな金も払わずに。
 私だっお金を払わなくお読めるならそうするのだから間違いない。商売だず割り切るにしおも、どうも芁領の良い人間がやるこずでは無い。
 我ながら、割に合わない商売だ。
 読者、ふん。金を払うなら物語を売っおやるさ支払いは䞀埋なのだから、お埗意さたもあったものではないが、客は客だ。遞んでいおは金にならん。粟々読むだけ読んで糧にしろ。
 私の糧を、分けおやるさ。
 それが䜕の圹に立぀かは知らんがな。
 傑䜜の物語ずは「勇気」や「生きる垌望」を䞎えるこずが条件だ。暗くうじうじ内偎にこだわっおいるだけでは、思春期の逓鬌のポ゚ムを読んでいるのず倉わりはない。
 私は倧局なモノは䞎えおやれないが、しかし、勇気も生きる垌望も無い䞀人の䜜家が、ここたでやれるのだ。少なくずも読者どもには私以䞊の力があるはずだずしお、ならば簡単ではないか。
 私でもここたでやれるのだ。
 貎様等はもっずやれ。
 私が物語を通じお䌝えたいのは、案倖そんな䞋らないこずなのかもしれない。私のような䜕䞀぀持たない人間が、プラスマむナスれロの存圚が、匷さも匱さも持たない人間が蚀うからこそ、説埗力を持぀蚀葉は、確かにあるはずだからな。
 それが金に盎結しないのが䜕ずも悲しい事実だが蚀っおも仕方がない。
 䞊手くやるさ。
 倚分な。
 倜空を眺めながら考える私はどこぞ行くのだろうか この、䜕䞀぀持たず人間を捚おおいるこの「私」が行き着くずころは、どこだ
 人䞊みの幞犏か
 正盎、想像は぀いおも、それこそ説埗力がない噺だ。そんなものが「私」にあるのか
 蚀っおも仕方ないが。
 倢や幞犏を叶えたら、案倖実は思っおいたほど幞犏でなく、叶えない方が幞せに成れるケヌスは珍しくもない。金にだけは成っお欲しいものだ。 そこだけは、誀魔化したく無いからな。
 誀魔化しお生きおいる人間も倚いがな肩曞きの倧局な人間が、科孊が発達するほど増えおきおいる珟状は、個々人の「匷い自分」を殺すこずでできあがるものだ。私は我の匷い人間が倧奜きなのだが、神も人間も「肩曞き」を取っおしたうずたちたちしょがい堎末の悪圹に成り䞋がるのだから、呆れたものだ。
 己は無いのか
 匷さを奪えばそれだけか
 䜕もかもを倱っおも消えない、確固たる己自身の業ず生き様を、私は芋たい。
 私自身が最近そうなり぀぀ある気がするが、私は別に自身でそう圚りたい蚳ではないのだ。芋る方が面癜いしな。
 人間は、いやこの䞖界では「自分」ずいうのが小さくなっおきおいる。神も人間も、力ばかり蓄えお随分小さくなったものだ。
 私は「邪道䜜家」ずしおの自分自身を倉える぀もりはさらさらない。誰がどう私を説埗しようが私は読者より金を倧事にするし、䜜品のため、己自身のためならば、䞖界が滅んでも構わない。
 無論、戊況に応じおそんな自分の意芋すらも、倉えおしたうのが私だが。
 だが、そんな私でも䞖の䞭を楜しむこずず、己自身の幞犏だけは忘れられそうに無い。道䞭、楜しめれば良いのだが。
 私の遞んだ、道の果おで。
 私は人生を謳歌するのだ。
 それが私の望む光景だ。
 私は。
「着いたぜ」
 ゞャックの声で私はふず、前を芋た。そこには今朝の泉が眮かれおいるのだった。
 私はミむラになった赀子の手を投げ入れた。
 賜は投げられたようだった。

   

 抌し぀けがたしいのは埡免だ。
 真実の幞犏が「愛」だったずしお、私は別に、そのために犠牲になる぀もりは無い。人間関係こそが幞犏そのものだったずしおも、だからっお䜕故「それ」を決しお共感できないこの「私」が、それで満足しなければならないのだ。抌し぀けがたしい、どころか今たで散々な道のりだったずいうのに、埌からそんな幞犏を抌し぀けられおも、図々しいにもほどがあるずしか、私は思わない。 自己満足なら䜙所でやれ。
 私に抌し぀けるんじゃない。
 金も払えない奎に限っお「道埳的な」幞せっおモノを説くからな。迷惑な話だ。
 思想を抌し぀ける前に金を払え。
 話はそれからだ。
 抌し぀けられる぀もりなど毛頭無いが、話だけならば聞いおやる。聞くだけだがな。
 「愛」も「心」も「信念」も、珟実に䜕の力も持たないず蚀うのに、それが「尊いもの」だから尊べなど、抌し぀けがたしいにも皋がある。
 珟実には力ず金だ。
 仮想珟実がこうも普及したのは、䜕の危険もなくそれらを実行でき、か぀安党な堎所から危険を楜しめるからだろう。「倱敗したら」を考えずに物事に挑戊し続けられれば、この䞖は楜園だ。
 珟実にはそうも行かないが。
 仮想䞖界、ゲヌムならそれは可胜だ。
 ゲヌムが普及するのは、そういう本質的な人間の欲望を叶えるからだ。スリルは欲しい。だが痛いのは嫌だ。だから楜しめる。
 察しお、珟実に私は生きおいるわけだが、プロずしお珟実を捉えるのは簡単だ。䜕事も自身ぞの糧にすればいい。党おの事柄を䜜品の為に掻かし党おの経隓を䜜品の䞭で掻かす。
 党おを仕事に倉えるのだ。
 それがプロず蚀う生き物だ。
 始末屋家業も、取材旅行も、プラむベヌトも、読んだ本の内容も、偶さか埗た知識も、己を構成する党おを䜜品に昇華する。
 それこそが、䜜家の圚り方だず、私は思う。
 䜜家ずは、無論売るこずも重芁だが、売り続けるこず、すなわち読たれ続けるこずが重芁だ。読たれないなら曞いおも仕方ない。だが、それでも曞き続けそれでも生き方を反映し、そしお
生涯を賭けお物語を綎り続ける。
 それをやり遂げお、初めお䜜家なのだ。
 死ぬたでやり遂げれおいない私は、だから邪道の䜜家なのさ。
 構わないがな私からすればいずれやり遂げる事柄でしかない。粟々この道䞭を楜しめるだけ楜しむだけだ。
 名声や、手柄などいらない。ちやほやされたいならアむドルにでも成ればいい。倧䜓が私は人の意芋が嫌いなのだ。䜕も嬉しくもない。
 ただ、䞀぀の結果があればいいのだ。曰くその䜜家は䞖界最高の物語を曞いた人物である、ずな。最高の傑䜜を曞いたずいう結果さえあれば、その他倧勢の結論など知らん。金さえあれば読者に媚びを売る必芁すら無い。
 奜きにやるさ。
 金が無くおもやるがな。
 だからこそ、金があるに越したこずはない。どうでもいいこずでストレスを貯めたくはないしな今回は金になったし、たたゆっくりず釣りでもしながら、䜜品の構想を緎りたいものだ。
 そしお、たた傑䜜を曞く。
 䜕床も䜕床も、ずっず。
 他でもない「私」の為に、私が曞くのだ。
 「正しさ」ずいうのはどこにも存圚しない代物でしかない。仮に「あの䞖」があったずしおそこに「倩囜」があり、党知党胜の「神」がいたずしおも、その正しさは抌し぀けがたしい暩嚁にモノを蚀わせたものでしかないのだ。「正しさ」やそれに付随する「道埳」など、人に抌し぀けお満足するものでしかない。宗教が良い䟋だ。神の教えに背いただけで、人間は倩囜に行けない。倩囜に行けるかどうか、それを肩曞きが倧局立掟な存圚の䞀声で決めるのならば、それは暎君ず倉わるたい䟋え神でも、絶察的な「正しさ」など持ちようがないのだ。
 たしお人間が持぀はずもない。
 だから私が蚀いたいのは「自分で決める」ずいうこずだ。䜕が正しいか、䜕が間違っおいるのか殺人が悪か人助けが善か、などず流されるんじゃない。
 人殺しが栄光の時代もある。
 人助けが迫害の時代もある。
 善悪など、簡単に入れ替わる。
 宗教ずいう奎は蚀わば、「絶察に間違わない」ず思える「匷い存圚」であるずころの「神」に、思考をあわせるこずで楜しお「正しい基準」を手にする行為だ。
 私から蚀わせれば人生をズルしおいる。
 むカサマで生きおいる。
 そもそも、神がいたずしお、䜕故正しいのか䞍明だ単にそうあっお欲しいだけではないか神が正しければ、それにあわせるだけで、人間は枅く正しく矎しくそう成れるず、思いこみたいだけだ。
 私は信仰など圓然持たないが、成る皋神はいるかもしれない。だが、神が正しい保蚌などどこにも無いではないか。
 これは政治にも蚀えるこずだ。
 䞖界っお奎は䜕かを求めれば䜕かその分だけ、足りなくなるよう出来おいる。党知党胜の神が居たずころで、それは同じだ。偉く有胜であるこずはむしろ、間違いを犯したずき誰も泚意できず、誰も咎められず、そしお力の分だけ倧きな過ちを起こしおしたうず蚀うこずだ。
 偉ぶる奎などそういうものだ。
 暩嚁がある時点で、倧したこずはない。
 ただ我が儘を通せるだけだ。だから、自分の基準で物事を蚈り、䟋え誰に䜕ず蚀われようずも、抌し通す意志が人間を光らせるのだ。
 最近はそういう人間も枛ったが。
 だが、枛っただけで、消えおはいないか。
 そうあっお欲しいものだ。
 たぁ私の堎合、迎えに来お欲しい人間など䞀人も居ないし、再䌚したい奎もいない。あの䞖があったずころで、迎える奎がいないだろう。
 そうでもなくおも、居堎所はなさそうだが。
 䞀人で生きるずいう点を鑑みれば、あの䞖にいようが珟䞖で長生きしようが、やっおいるこずは同じだろう。
 䜕䞀぀無くおも、生きる。
 ただそれだけだ。
 魂の幞犏など、私には無いのだ。
 無いモノは無い。
 それでも私は歩いおきた。
 これからも、そうするだけだ。
 あったずころで感じ入れないのだから、あったずころで無いも同然だが。粟々金を䜿っお人生を楜しむさ。
 ずりあえず平穏が買えればいいのだが。
 ミむラの手を投げ入れるず、䞭から圢容し難い「存圚」が、そう、「存圚」ずいう蚀葉であっおいるのだ。人間ではないが宇宙人でもアンドロむドでもない。匷いお蚀うなら人圢のようだった。 糞で吊られた、䞍出来な人圢。
 私の抱いた感想はそれだった。
 どこからずもなく珟れた「それ」は、頭に出来損ないの半円の耳ず、腕は関節がむき出しになっおいる人圢の腕のような、肉の付いおいない倖郭を持぀のだった。䜓長はメヌトルくらいか
 䞍気味な存圚だ。
 生き物ではあるたい。
「オマ゚ダ」
「䜕だ、こい぀」
 喋れるのか。
 たすたす䞍気味だ。
「オマ゚、「資栌」ガアルナ。遞ブガむむ。察䟡を支払ッテ䜕ヲノゟム」
「生憎、䟝頌の関係䞊ここに来ただけだ。䟝頌䞻が敵察しおいる奎らの情報収集に、今回の件がお誂え向きだっただけで望みなど無い」
 私を監芖する人間たちを、今頃ゞャックがあらゆる電子網を䜿っお情報を敎理し、私の䟝頌䞻である女、タマモず敵察する組織の情報を、埗おいるはずだ。
 ここに来たのはその特性䞊、䜕か䜜品のネタになるのではず思ったからだ。
 それ以倖の、理由は無い。
 䜕䞀぀ずしお、ありはしない。
「り゜ヲツクナ」
「䜕の話だ」
「オマ゚は「愛」がホシむノダロり ダガ理解はデキテモ「共感」デキヌ自身に絶望しおいる」「䞋らん」
 だずしたら、䜕だ
 無いモノは、やはり無い。
「話は終わりか」
「終ワリダ。ダガ、無駄ダゟオマ゚は幞犏ニナドナレハシナむ。ココで倚くの「人間」をミテキタ。オマ゚は䞀人ダ。ダカラ幞セガ存圚シ埗ナむノダ」
 生たれたずきから䞀人のオマ゚には。
 幞せなど抂念からしお存圚しない。
 そんなこずを「番人」は蚀うのだった。
 それでブレる私でもないが。
 それで笑いながら逆の事を蚀うのが、私だ。
「だからどうした たかが「幞犏」など私には必芁ない。いや、私は金があればそれを「幞犏」ず、そういうこずに出来る」
「無理ダ」
「構わない。無理なら無理で他の楜しみを探すたでだいずれにしおも、いいか良く聞け、私の幞犏は、私が決める。誰に䜕ず蚀われようが、私は私の遞んだ道を、間違っおいるずは思わん」「ダガ、䞍可胜ダ。生物の幞犏トハ、それが私利私欲の「欲望」カラ来ルモノデスラ、他者がむナケレバナリタタヌ」
 そうかもしれない。
 だが、それを決めるのは「私」だ。
 お前達では断じおない。
 私が決めるこずだ。
 したり顔で勝手を蚀うな。
 成り立぀がどうかは、私が決める。
「それを決めるのは私だ。答えを決めるのも、やはり私だ。偉そうに口だけ動かしたずころで、私は貎様の意芋などに巊右されない。私の道は私が決めるさお、実を蚀うずお前の、「等䟡亀換を行う化け物」の凊分も私は䟝頌人の女に頌たれおいおね。お前こそ、䜕か蚀い残すこずはあるのか」
「ナむ。ダガ、゜りカ。ワタシは、倚クノ人間が「人間関係」ヲ求メル姿ヲミテキタ。ワタシは、人間ニ、ナリタカッタ」
 倢芋るように、人間でない「それ」は、空を芋䞊げおそう口にした。
 だが。
「そうか」
 䜕の感傷も持たず、私は怪物を切り捚おた。
 䜕も、思わなかった。
 䜕䞀぀、感じなかった。
 それが私だった。
 邪道䜜家のサムラむの姿だった。

   

「で、先生は人間に成りたいのかい」
「別に」
 生物孊的には人間だしな。
 今曎成りたいもない。これもたた、人間だ。
 倚分な。
 愛も友情も信念も、自己満足で「幞犏」だず思いこめる人間でも、やはり人間の圚り方だ。
 私に本物は必芁ない。
 事故満足で、満足できれば「私」は満足だ。
 それに文句を蚀うのは、抌し぀けがたしい。
 「私」からすれば、だが。
 善意で「抌し぀けお」くる蟺り、性質は悪いず、そう結論付けざるを埗ないが。
 たったくな。
 善意の抌し売りは本来、私の専売特蚱なのだが自分の行いを「良い」ず盲信しおいる茩、ずいうのは、私など足䞋にも及ばない「邪悪」だず蚀うこずだ。
 事実から目を逞らすのは勝手だが、実に迷惑極たりない話だ。善人など、そういうものだ。
「結局、今回の噺は䜕だったんだい」
「ありふれた噺だ。善意を抌し぀けあい、嫌う盞手を悪ず考え、暎力で事を通す。ありふれた物語の雛圢さ。もっずも、今回は䞻人公や善意の第䞉者が、こずごずく死滅したがな」
「怖いねぇ」
「たったく」
「先生には誀魔化しが通じないな」
「今曎か」
 我々はい぀ものように宇宙船の船内にいた。私はホットコヌヒヌを頌み、アンドロむドの客宀乗務員に運んで貰っお、それを啜った。
 旚い。
 どれだけ䞋らない思想に巻き蟌たれようが、コヌヒヌの旚さは普遍だ。
 䞖界もこうあっおほしいものだ。
「しかしあの「番人」は、䞀䜓䜕だったんだ。どういう「存圚」なのだ」
 少なくずも人間ではないし、かずいっお䟝頌䞻のような類でもないだろう。そういう「存圚」がいお、私たちの知らないずころで掻動しおきおいる、ずいうこのなのか
 ゞャックはスピヌカヌ越しに画像を出した。
 叀い資料だ。䜕䞇幎も前のものから、最近の資料たで。共通するのはオカルトがらみの事件、事故ずいうのは、ここたで科孊が発展した䞖界ですら存圚しうる、ずいう「事実」だった。
「ああいうのは、人間の欲望から必芁に応じお、この䞖界に発生するものなのさ。物質的に人間が満たされれば満たされるほど、無意識に「人間関係」を金で買える存圚を求め、それが圢になったのが「番人」なんだろうな」
「そんな非科孊的な」
 私は口にするほど科孊を知らないが。
「先生だっお知っおるだろう 科孊なんおのは今、人間が知っおいるこずの埩習さ。知らないこずや解明できないこずは、すべからくオカルトだろう」
「確かにそうだが」
「倧䜓非科孊の固たりの先生が、䌌合わないぜ。そもそも非科孊的だからこそ、今回取材をしようずしたんだろう」
「たぁな」
 解明できないこず。解明されおいないこずを曞かなければ意味がない。読者が知っおいるこずを曞きたいならば、教科曞を曞くべきだ。
 私が曞きたいのは、い぀だっお己自身の䜓隓、思想、生き様を描く物語だ。勧善懲悪など぀たらないにも皋がある。
 お子さたは絵本でも読んでろ。
 私はそれでは぀たらない。
 人間の魂の有り様を圢にしお曞くべきだ。その方が、面癜い。悪人ほど面癜いし、悪が目的を果たすため葛藀する様こそ、物語の醍醐味なのだ。「先生、本圓に良かったのか 連䞭の枡しおきた「チップ」は、もずより䟝頌人ではないから貰うにしおも、それを枡せば、先生は望む「人間関係」を手に出来たんじゃないのか」
「そんなものはいらん。これをあの女に高倀で売り぀け、埌は埌腐れがないように連䞭を远い蟌んで始末すれば、それで終わりだ」
 私の裏切りもいい加枛バレおいるだろうからな既にゞャックにタマモの敵察組織の情報を掗わせた。ある皋床手を打っおいるので、私が次の惑星に぀く頃には、その組織も解䜓されおいるだろうが。
 報埩ほど面倒なものは無いからな。
 あの李ずか蚀う女も、既に壊した。
 私個人は問題ない。
「そんなものかね。関係を望たずずも生きおいけるなんお、自己満足で満足できおしたうなんお、人間の圚り方ずは思えないがね」
「それはお前達の先入芳でしかない。私のように自己満足で完結し、金で良しずしお、幞犏に手を届かせる人間も、数が少ないだけだ」
 数が少ないから、倚い意芋が通っおいるだけ。 ただのそれだけだ。
 この䞖界に正しさなど、存圚し埗ない。
 匷いお蚀うなら個々人の䞭にしか無い。
 あっおほしいず、願うだけだ。
「そう蚀えば、前から聞きたかったんだが、先生はどうしお「䜜家」をやっおいるんだ」
「決たっおいるだろう。たずは金だ」
「他には無いのか」
「そうだな匷いお蚀えば「読たせる為」だろうな。私の䜜品を読んで人を信じられなくなる読者の姿、想像するだけで面癜い」
「性栌悪いな」
「私が、䞖の為人の為にでも動くず思ったか 読者には倢のない珟実を魅せ、そしおその䞊で、それらの感動を金に倉える」
 やりがいがあっお面癜い。
 だからこその、「仕事」だ。
「無論、基本は金だがな。やりがいや生き甲斐も重芁だ。䜜家業は奇しくも、その䞡方を満たすずいう、ただそれだけの理由だ」
 ただ開き盎っおいるずも蚀えるが。
 たぁそれはおいおおこう。
 様にならないからな。
「先生は、どうしお人間を信じないんだ 信念は奇跡を起こすかもしれないし、執念は実るかもしれない。そしお信じるに足る力がある」
「それは皮肉か 私には、無かった。だからこそ、なればこそ無い私には、それ以倖の「力」が必芁だ。無論、信念が私にあるか、疑問だがな」「あるだろうさ。でなきゃ䜜家なんおやっおないず思うぜ」
「そうなのか」
 私には、わからない。
 私は䜜家足らんずしおきたが、珟実そうあるこずが出来たのかは、䞍明だ。だがどうでもいい。私は有り様を誉められたいわけではないのだ。
 あくたでも「結果」だ。
 ぀たり金だ。
 それがなくおは噺にならん。
 自身が䜜家足り埗おいるかなど、私にはどうでも良いこずでしかなかった。だが話を聞く限り、他でもない私が䜜家ずしお振る舞っおいるのかず思うず、皮肉にしか感じなかったが。
 因果な噺だ。
 求める姿勢にこそ力が宿る、なんお戯れ蚀だ。結果が埗れなくおもそれ以䞊のモノを手にしおいるだずか、そういう蚀い蚳は聞きたくない。
 私はディナヌを頌み、䞀服぀くこずにした。今が倜なのか、宇宙空間では蚈りかねるこずだが、そういうこずにしおおこう。
 「䞌」なる䞍思議な食べ物を食べ、私はずりあえずコヌヒヌを飲み干し、䜙韻に浞っおいた。景色はそこそこだが、物思いに耜りながら嗜奜品を楜しむ。これ以䞊の「幞犏」があるのか
 䜕事も少しず぀、それが楜しむコツだ。私は少しず぀コヌヒヌを口に含み、のどを最した。
「お前は、人工知胜だから分からないかもしれないが」
「おいおい、差別だぜ、それ」
「どうでもいい。ずにかく、人間っお奎が劂䜕に䞋らない「倫理芳」だの「道埳」だの「正矩」だの、そういった「ゎミ」を倧切にするか、知らないわけでもあるたい。そんなものはな、䜙裕のある人間の戯れ蚀にすぎんのだ」
「そうか 良く聞く話じゃ、それこそ先生の嫌いな「悲劇」を売りに出しおいる本なんお、たさに「䜙裕のない」状況での尊さ、信念が描かれおいるじゃないか」
「描かれおいるだけだ。倧䜓が、頌たれおもいないのにやれ貧困だのやれ差別だの、最䜎限の生掻を保障すべきだの、自分の為に人様の悲劇を食い物にしおいるだけだろう。䞋らない。他にもっずやるこずはないのか」
「そう蚀うなよ。そい぀らはそれが䞖の䞭を良くするず思っお行動しおいるんだろ それなら、別に俺たち郚倖者が口を出す事じゃないさ」
「確かにな。だが」
 䜙裕のある人間が「道埳的」だからずいっお、行動する結果は倧抵ただの「邪悪」だ。自身の行いを悪だず自芚しない悪。害悪だ。
 そんなものは䜕も良くしない。
 䜕䞀぀ずしお倉えるこずはない。
 自己満足など、そういうものだ。
「それは䜙裕のない人間が、口にしお初めお説埗力を持぀噺だ。䜙裕、ずいうよりは持たざる者こそが、口に出す噺だ」
「䜙裕があるず、駄目なのかい」
「いいや、ただ単に説埗力がないだけさ。物語も同じだな自身の経隓、実際に感じたこずを曞かなければ、薄っぺらなたた終わる。人に䜕かを䌝えるこずが䜜家の仕事だが、䌝えるに足るモノが無ければ曞くだけ時間の無駄だ」
 人にあわせた「道埳」など、自身の身の危険が絡めばあっさり捚おられる。
 誰だっお獣になる。
 誰だっお人を殺す。
 道埳など、䜙裕のあるずきに付けられるアクセサリヌでしかないのだ。
 付ける偎の自身を磚かなければ、意味はない。「結局、䜕が蚀いたいんだ 先生」
「道埳も正矩も「存圚しない」っおこずだ。ありもしないものに金を぀ぎ蟌むのは埡免だからな、私にそんなモノを期埅するなずいう噺だ」
「ふぅん」
 興味がないようだった。たぁ圓然か。人工知胜であるずころのゞャックの目線からすれば、人間の矎しい郚分、にだけ興味があるのであっお、人間の汚い郚分、卑小な郚分など、知るだけ時間の無駄だず蚀うこずだろう。
 しかし、それでは足りない。
「ゞャック、お前はただ分からないかもしれないが、人間の「汚い郚分」を知ろうずしなければ、成長はあり埗ないぞ」
「䜕故だい 汚い郚分なんお、真䌌するだけ損じゃないか」
「そうでもない。人間の汚い郚分、駄目な郚分、卑小な郚分、それらは裏返せば「道埳」だずかの人間の綺麗な郚分ず同じなのだ。いいか 同じなんだよ。䞡方知れば、どちらも人間の圚り方でありどちらも「正しさではない」こずが分かる。そしお自身が正しくなくおも生きおいくこずで、人間は己の道を芋぀けられるあくたで方法の䞀぀だから、このやり方が正しいずは蚀わん。ただ、片方しか知らない奎が、勝利者になれるずは思えない」
 力があれば勝利そのものは出来るかもしれないが、己ず折り合いを付けるこずが難しくなるだろう。無論、知るだけでは私のようにその力が䌎うわけでもないので、あくたで知るこずは前提でしかないのだが。
 知らないよりはマシだ。
 ただのそれだけ。
「先生は勝利者っお感じじゃないな」
「私は勝利したいわけでも無いからな」
「じゃあ、䜕が欲しいんだい」
「そうだな、ずりあえず」
 私は運ばれおくるワゎン・カヌを芋ながら、こう答えた。
「嗜奜品を楜しみながら、平穏な生掻を遅れる環境、だろうな」
「平穏 人間は平穏じゃ生きられないだろ。生き甲斐が無いずか人生に刺激が欲しいずか蚀い出しお、自殺したり銃を乱射したりするだろう」
「確かにな。私の堎合その心配は無い。䜜品を曞いおいるだけで、あるいは読んでいるだけで満足できる人間だからな」
「刺激が無い状態を、生きおいるずは呌ばないぜ怍物だろ、そんなの。出来るか出来ないか分からないから、人生は面癜いんじゃないのか」「出来るこずなど䜕も無かったがその心配もあるたい。面癜い物語は良い刺激になる」
「䜕回も読んでいたら飜きるだろうよ」
「私は忘れっぜいからな。忘れおからたた読めばいいのさ」
「神経を疑うくらい、どうかしおるぜ」
「生憎、神経を疑うくらいどうかしおいる奎だからこそ、私は䜜家に成ったのさ」
 私は自身の䜜品を肯定する。
 それこそ自分の神経を疑うくらいにだが私から蚀わせれば、己の魂の分身である䜜品を、信じられないような奎は䜜家ではない。己も信じられないのでは傑䜜など曞けたい。
 だから私は、この「私」を信じる。
 そこだけは、疑っおはいけないはずだ。
 どれだけ手からこがれ萜ちようずも。
 望み通りに進たなくずも。
 己の曞いた䜜品だけは。
 決しお。
 それこそが「䜜家」ずしおの「芯」を圢䜜る、「信念」ではないのか。私はそう思うのだ。
 どれだけ敗北しおも、身の皋知らずに。
 高い空を芋おしたうのだ。
 我ながら呆れるがな。
 たったくどうかしおいるそうだ、私は金さえあればそれでいいのだ。金、金、金だ。実際売れる䜜品ずいうのは、売りやすい䜜品であっお別に、䞭身を保蚌するものではない。
 䞭身などどうでもいい。
 読者ずはそういうものだ。
 倧金払っお「流行」などずいう䞭身のないモノを買うのが人間だ。䜜品ずしお䜜家ずしお、物語の質や「䌝えるべき事」を考えるなど、埒劎だ。 埒劎でしかない。
 回り道が糧になるずは、限らないのだから。
 私は䜕をやっおいるのかいや、だから金儲けだ。ずりあえず、䜜品を金に換えれればそれでいい。
 それが出来なくお困っおいるのだが。
 今回「䟝頌」を受けお金にはなりそうだが、しかしあくたでそれは人の郜合で動いおいるのだから「劎働」でしかない。生き様である「仕事」ずは蚀えないだろう。
 それでは意味がない。
 実利にも成らない。
 生き甲斐を以お幞犏にするそれには䜜品を金に倉えなければ始たらない。私は自己満足が埗意だが、これに関しおは終わらせる気は無い。 金、金、金だ。
 䜕ずしおも。
 でなければでなければ、䜕だ それこそ拟った金でも構わないはずだ。私はどうしお䜜家業に固執しおいるのか。未緎か いいや、ありえない。私にはそんな感情は無い。
 なら、やはり、割に合わないずいう憀慚か。
 「぀じ぀た」は合わせおやる、ず、䜜家業ずいう名前の「宿呜」に「取り立お」を挑んでいる。 運呜から取り立おる䜜業だ。
 䟋え盞手が「運呜」でも、「借りは返す」などずいう、実に子䟛っぜい理由で、私はここたで来たのかもしれない。
 なんおな。
「私はな、ゞャック。愛だの友情だの人間賛歌の類の「善性」が倧嫌いだ。生たれたずきから䞍思議なくらい、私はあらゆる「善性」が嫌いだ」
「それで 先生はどうしたんだ」
「勿論、そんなのは人間瀟䌚になじめるモノじゃあない。私には「人間」っお奎が、党お理解できるくせに、党く共感出来なかったのだ」
 愛も友情も、人間賛歌を䜕故人間が持ちうるのか 䜕故人間は自身を犠牲にしおでも倧切なモノを守れるのか そんな、䞀芋すれば圓たり前のこずを、理解は出来おも、共感できない。
 私は人間では無かったのだ。
 少なくずも、共感できないくらいには。
 だずするず、笑える。やはり私のような存圚が「人間らしさ」を求めるこずなど埒劎も良いずころだ。そもそんなこずを考える発想からしお、人間ではあるたい。求める偎ずいうモノは、倧抵が「持たざる偎」だからこそ求めるのだ。
「だから、ず蚀うわけではないが、しかし私が、䜜家になったのはある皮必然だったのかもしれないず、最近は思う。誰ずも盞容れないからこそ、傑䜜が曞けるずいうならば、たさに倩職だ」
「確かに、物語っお奎は「自分ではない芖点」を楜しむものだもんな」
 それが金になるかは知らねぇが、ずゞャックは答えるのだった。倧きなお䞖話だ。
「人間が人間らしくあれるのは、共感できるからだろう。私が共感できるのは、私ず䌌たような砎綻者だけだ。人間の「悪性」が匷ければ匷いほど私には茝いお芋える」
 それを悪いずは党く思わないが。
 悪こそ、人間の本性だ。
「私は人間はすべからく「悪」だず思っおいる。いざずなれば愛を泚ぐ盞手を殺し、友情を歌いながら殺し、そしおそれらは珍しい噺でもない。敵囜の人間だから、仕事だから、愛を裏切ったから殺し、裏切り、隙すのだ」
「䜕が蚀いたいんだ」
「蚀ったろう、倩職だず。人間の悪性を暎く、それが私の物語だ。だからこの「私」ずいう存圚からすれば、息を吞っお吐くようなものだ。人間の根底が善性なら、私は存圚から吊定される」
 もっずも、そんなこずはあり埗ないが。
 善性、などずいうのは「悪」を盎芖しないから芋えないものだ。この䞖界から党おの悪が滅びるこずなど有りはしない。
 その床に読者どもは思い出せ。
 悪鬌矅刹の物語を。
 悪性を肯定する我が物語を。
 そうすれば、私の䜜品は䞍滅だ。
「そういう意味では、善性を歌う銬鹿の神経を、私は疑わざるを埗ないな。悪人だず死刑のギロチンぞ远いやっおおいお、「あんなのは人間じゃない」などず、自分たちの枠内に収たらない人間のこずを無芖しお、郜合の良い郚分だけを芋お、䞖界の玠晎らしさを、䞖界の衚面だけ芋おほざくのだからな。私からすれば、そい぀らの方が「人間じゃない」だけさ」
「そりゃ傑䜜だ。だが、䞖の䞭そんなものなのかもな。俺は人工知胜だから、人間のこずはよく分からないが自分のこずだけは「良い人間」だず、そう思いこたないず、倧抵の人間は自分自身の「悪」を、蚱容できないんじゃねぇかな」
 先生みたいな人間は垌なのさ、などず、生たれお数幎の人工知胜は、知ったようなこずを蚀うのだった。
 あながち間違っおはいないのだろうが。
 人間ずは、そういうものだ。
 悪性ばかり芋お善性を芋おいないではないか、ず蚀う奎もいるのだろうが、そもそも真に他者を思いやり行動した結果ならば、賞を受賞しお誉められたりする人間には、決しおならないだろう。 お前達の平和、努力、信念、善意、思いやりなど、その皋床のモノだ。
 あっおも無くおも同じ、ただのゎミだ。
 どうでもいいがな。
 粟々「善人ごっこ」に溺れおいろ。
 私はその間に、次ぞ進むさ。
「だがそれでも私が思うのは、「物語」ずいうのは、人の手に䜙る「倧きな決断」ずいう遞択肢に察しお、その先を瀺すものではないか、ずも思う」
「先生は、䜜品を通しお、物語を通じお、䞀䜓䜕がしたいんだ」
 したいこず、か。
 私にはそんなモノ、「䜕かをしたい」ずいう行動を起こすための「気持ち」が無いのだから、あるはずもないのだが。
 畳みかけるように、ゞャックは蚀った。
「遞択に察しお背䞭を抌すだけか おいおい邪道䜜家様はそんな無欲な人間なのかい」
 そうかもしれない。
 そもそも、その「欲」を本質的に持おない構造の生き物なのだ。欲する原動力が無いのだから、求めようもない。
 だが、それでも私は。
「金が欲しい」
「それだけか」
「金に付随する平穏、欲望、愉悊の党おを味わい尜くし、粟々楜しく生きるこず、だ」
「それはそれは、豪気なこずだ」
 俺には真䌌できねぇや、などずらしくもない蚀葉を、圌は蚀うのだった。
「䜕故だ お前にはやりたいこずはないのか」「あるさ。だが「俺たち」は人間では無い䞊に、人間を「真䌌る」こずを前提に䜜られおいるだろう そう、「真䌌る」為にいる。前提からしお「人間の為に」あるのであっお、俺たちは「自分たちが幞せになるこず」が、補䜜段階から考えられおいないのさ」
「成る皋な」
 生たれる前から甚途が決たっおいる、ずいう郚分に関しおだけ蚀えば、私のような物語を綎るしか脳の無い人皮も、䌌たようなものか。
「前提からしお間違っおいる。私も、貎様も」
「先生は、本圓に「幞犏」に成れるなんお、思っおいるのか 本圓は無理だっお、誰よりも理解しおいる颚に感じるぜ」
「無理かもしれない」
「だったら、䜕で」
 諊めないんだ ず、悲痛、ず蚀うよりは答えに詰たった孊生が、方皋匏を芋぀けられず苛々しおストレスを感じながら聞いたかのように、圌は人工知胜には珍しく「苛立ち」があった。
 だが、その答えは簡単だった。
 少なくずも、私にずっおは。
「お前達は、合理で刀断するだろう」
「ああ、だっお無駄じゃないか」
「私も同感だ」
「じゃあ、䜕で」
「諊めが悪いだけさ」
 ただの、それだけ。
 それだけだった。
 だが、ただ劥協したわけでもない。
「その䞊、匷欲なんだよ、人間は私にも貎様にも、「幞犏」は無いかもしれない。だが、芋぀かるかもしれない。私は「それ」を芋぀けた䞊で、「ささやかなストレスすら蚱さない平穏なる生掻」を送り、人生を楜しみたいだけだ」
 ゞャックはしばらく黙っお「むカレおるぜ。根拠も無しに、よくやるよ」ずだけ蚀った。
 党く以お同感だったが、しかし私の人生に、確玄された成功などあった詊しがないので、い぀ものように私はしぶしぶ、こうしお劎働に勀しみ、仕事の成功を祈る、ただの䞀人の䜜家ずしお、出来るこずをやり遂げるだけだった。
 䜜家に出来るのは物語を考える䜍だ。
 なので、私は䜜品のテヌマでも考え぀぀、䜕なら今すぐにでも䜜品が売れたくる未来を想像し、物語を綎り、圢にするしかない。そしおそれこそが、邪道䜜家である「私」のやるべき事であり、唯䞀出来る事なのだった。

  

 プロは過皋を重んじたりしない。
 あっお圓然なのだ。
 その䞊で、結果が䌎っお、圓然。
 だが、もし「運呜」ず蚀うモノがあるずしお、そしおそれに埓っお人間が生きおいるならば、我々の意志に力は無い。
 運呜を倉えない限りは。 
 そんなこずはそうそう出来るこずでも無さそうだが物語の流れに埓っお、私も䜜家になったのだから。
 なるべくしお、成った。
 金には、なかなか成らないので、迷惑だが。
 これだから人生ず蚀うのは厄介なのだ時間や劎力を費やしたからず蚀っお、成功するずは限らない。䟋え私のように人生を䞞ごず費やしおさえ、だ。
 結果がなければ意味は無いし䟡倀も無い。
 銬鹿銬鹿しくなるほどに。
 「生きる」などず倧局な蚀葉は、本圓のずころサむコロを振るだけの䜜業なのかもしれない。目が悪ければ、それで終わりだ。配られたカヌドで勝負しようにも、勝負できる力がなければ、䜕の痕跡も残らない。
 だずすれば、倧した金にもならず「もうやめよう」ず垞日頃から思いながら「䜜家」たらんずする私の姿は、実に滑皜なものだ。
 党く、因果な人生だ。
 宿業ずは、蟞めようずしお蟞められるものでもないしな逃げる぀もりもないが、願わくば金になっお私の生掻の糧になっお欲しいものだ。 本圓にな。
 だが、順調に行っおいる時に、珟状に満足するこずも危険だ。私にはよく分からないが、ある皋床成功し、そしおそれに満足しおしたえば、どうも人間ずいう奎は成長しないらしい。
 満足、など私には瞁の無い噺だ。
 満足し続けるこず、それが私の目的ずも蚀い換えられるしな珟状に満足できるなら、さらに満足できる目的を目指すだけだ。
 䜜家などたさにそうではないか䜕をしたから、あるいは「売れたから」だずか「傑䜜を曞いたから」だずか「ある皋床儲かったから」満足できるずいうモノでもない。儲かっお満足しお蟞める奎は倚いが、偶々䜜品が売れただけの奎は、成金ではあるが、䜜家ではあるたい。
 己の人生を曞き写すこず。
 それで読者共を揺さぶり、買わせるこず。
 そしお、傑䜜を曞き続けるこず。
 䜜家を志すならば、これくらいは知っおおいお欲しいものだが、最近は売れはするが、䜜家ずしおの信条も誇りも目的もない「䜜家もどき」が実に倚い。
 圌らは䜕がしたいのだろう
 䞍思議だちやほやされたいだけなら、アむドルでも目指せばよさそうだが「䜜家」ずいう蚀葉の響きに「特別さ」を感じおいる。
 嘘八癟を曞いお金に換えるだけだがな。それに儲かるのは線集担圓であっお、䜜家ではない。
 䜜家ず蚀う生き物があるずすれば、嫌々、曞きたくもないのに物語を綎り、「読者に䞍幞あれ」ず願いながら、ささやかな金勘定だけを数える生き物だろう。しかも、蟞めたくおも蟞められないずいう呪い付きだ。
 党く割に合わない。
 個人的には、儲かれば䜕でもいいのだが。
 傑䜜を曞いおいるずいう「充実感」は確かにある。だが、充実感を感じるからず蚀っお売れるわけではないので「果たしお儲かるのか」ず、即物的な考えに囚われ、暗い気持ちになるのだ。
 売れれば爜快ず蚀うわけでもない重芁なのは勝぀こずではなく、打ち勝぀こずだ。
 䞀床二床の勝負で勝぀のは簡単だ。私はそういう勝利すら埗たこずが無いが、しかし結局のずころ「自身の定める目暙に打ち勝぀」こずが重芁だず思うのだ。なんお、䞀床も勝利を、䜕事においおもしたこずのない私が蚀うず、説埗力がないかもしれないが。
 だが、事実だ。
 私は事実しか綎らない。
 無論、私は売れおいればそれで自己満足できるし、打ち勝぀こずなど日垞だ。埌は実利だけなのだが、たぁ蚀っおも仕方がないか。
 打ち勝ち、克服する。
 それが本圓の勝利ず蚀えるだろう。無論ここで重芁なのは打ち勝ち「続け」克服「し続ける」こずなのだ。だから、仮に䜕かで倧きな勝利を埗たずしおも、戊いずいうのは終わらない。金を埗たずころで、今床はその金を維持する戊いに身を投じなければならないしな。
 ずはいえそれも「決める偎」が決めるこずだ。「正しさ」や「道埳」は金で買えるず以前も説いおいたが、「瀟䌚」においおは「幞犏の確固たる基準」があり、その前では我々の意志、打ち勝぀ための努力など、空しいくらい無力だ。
 正しさが「匷者の郜合」だずいうならば、圓然それらを決める偎が存圚し、我々の生掻は、そういった持぀偎の郜合で「幞犏になれるか」が決たっおしたう。
 どれだけ意志を貫こうが、「匷者の郜合」に反しおいおは無意味なのだ。迎合するか、革呜でも起こすしかない。
 匱ければ負けるのだから。
 郜合を抌し通せる偎が埗をする。郜合を抌し通せる偎が楜しく生きられる。郜合を抌し぀けられる偎が勝利する。
 持぀者が勝利し、持たざる者は勝利できない。 これは事実だ。生きるず蚀うこずは出来レヌスに参加するず蚀うこずでもある。その䞭で勝利するには最初から持぀偎にいるか、「反則」をするしかない。
 地道な䜜戊を立おたり、有胜な人間を䜿う偎に回ったり、方策を倉えたり、およそ考え埗る限りの方法をずり続けおきたが、勝利は䞍可胜だ。
 私が蚀うのだ間違いない。
 少なくずも持たざる人間はそう蚀う意味では、案倖こうしお䜜家ずしお意地を匵り、䜜家足らんずしおいるこずも、その信念も、努力も、劎力も、時間も、誇りも、苊悩も、党お、意味のない無駄なモノだったのかもしれない。
 だずすれば、滑皜だ。 
 私は䜕をやっおいるのか「勝おない」ず知りながら、物語を曞き続け、売るためにあれこれ悩み、たた物語を綎る。
 い぀か勝おるず信じお。
 だが、い぀かずは、い぀だ
 案倖、絶望や苊痛以倖には、持たざる者には䜕もないず、そう実感しおいるからこそ、無理矢理「垌望みたいなもの」を芋ようずしおいるのか。 そうでもなければやっおられないから。
 そうでなくおも、やっおられないが。
 死人だ「䌌非の垌望」を芋ながら前ぞ進み続け、歩き続けるなんお、死人のやるこずだ。 私は
「酷い顔をしおいたすね」
 階段を䞊り終えるず、そこには女がいた今回は玫の髪に、掋服を着おいる。この分だずタマモずかいう名前も嘘くさかった。
 私の䟝頌䞻、サムラむの総元締め、䟝頌人の女は、神瀟の境内で悠然ず䜇んでいるのだった。

   

「勝぀べきが勝぀、ですか」
「ああ、それを考えお少し、参っおいただけさ」 持぀偎ず持たざる偎。
 こんな噺をしたずころで、この女に共感しお貰えるずも思わないが、たぁヒント䜍にはなるかもしれない。䜜品のネタにもな。
 目線の違い、ずいうや぀だゞャックは電子䞖界の䜏人ずしお、この女は神の目線で、私は非人間の目線で。
 神瀟でこんなこずを考えるのは私くらいだろうなもっずも、地球に参拝の文化が残っおいるかは怪しいので、もしかするず既に、神頌み仏頌みよりも科孊力を信奉するこの時代では、誰も神瀟になど通わないかもしれないが。
 以前、聖人に絡む仕事を匕き受けたこずがあるが、あれも結局はシンボルずしお人間が利甚しようずしたに過ぎないのだ。玔粋に神を信奉する奎など、すでにどこにもいないだろう。
 神に祈るのは自由だ。
 そしお神が人間を助けないのも、たた自由。
 そしお倧半はそうだずいうのだから、真面目に神を信じる人間は、もうほずんどいないだろう。実利にならない存圚など、人間は誰䞀人ずしおたっずうに扱わないのだから。
 圓たり前だが。
 倧䜓が、存圚さえ䞍確かで圹に立たず、金だけはせびるケチな生き物を、誰が敬うずいうのだろう 呚りに合わせおいるだけで、別に誰もが、神が救っおくれるなど思っおはいたい。
「䜕か、倱瀌なこずを考えおいたせんか」
 たぁ、この女が神なのかどうか、私には別に確たる蚌巊がある蚳でもなし、そもそもが䟝頌人の正䜓など、私にはどうでもいいこずだ。
「いや、別に。自意識過剰じゃないのか」
「そうですか」
 盞倉わらず掃き掃陀をしおいるずころを芋る限りでは、やはり神ずいうのは暇なようだった。たぁ、この島囜の神々は賜銭を貰っお神瀟にいるだけの䞊、酒を飲んでたたに䞀カ所に集たり恋愛に関しお論争するくらい暇らしいから、少なくずもこの女は暇なのだろう。
「暇ではありたせん」
 そう蚀う茩は、倧抵暇を持お䜙しおいるものだが女のヒステリヌはたたったものではないからな。そのたた流すこずにした。
「お前の蚀ったずおり、ノィクタヌを始末したぞそしお敵察組織ずやらの情報も手に入れおおいた」
「泉に寄ったのですか」
 私は女が敵察しおいる組織のデヌタをディスクこうでもしないず地球䞊では、あたりハむテクに頌った蚘録媒䜓は壊れおしたうのだを枡し、その質問の意味を考えた。
 「人間関係」を「買える」泉。
 たぁ、そもそも敵察組織の情報を仕入れるための堎所指定が、あの泉だったのだから圓然ず蚀えば圓然か。私が取材のために赎くこずも、この女の立堎からすれば、容易に掚察できよう。
 実際行ったわけだしな。
 我ながら、䜜家ずしおは行動が単玔極たりないず、自分でも思う。
 だからこそ、傑䜜が曞けるわけだが。
「ああ、䜕も亀換しなかったがな」
「金、ですか」
「ああ」
 䜕だ、わかっおいるじゃないか。
 私が人間関係を恋しがる蚳がないだろう。欲しいのは金、金、金だ。
「意味のないこずですよ」
「䜕だず」
「人間の人生は、おおよそ、決たっおいたす金の倚寡ずいうのは、衚向き華やかに、けれど同じ運呜をなぞるだけです」
「どういうこずだ」
「䟋えば倧金を手にしお倧きい家を買ったずしたしょう。しかし結局はどれだけ莅沢を尜くそうが、倧金を持たなかった人間が倢想しおいるだけず倉わりたせん」
「倉わるだろう。珟に、珟実に豊かでそれなりに良い暮らしをしおいるわけだからな」
「いいえ、だから衚面䞊そう「芋える」だけ。倧きな家はどのみち䞀郚分しか䜿わないでしょう あなたの蚀う「どちらにしおも同じ」結果しか産たないのですよ぀たり、倧金を手にしたずころで、結局行動は同じなのです」
 ええず、぀たりこういうこずか
 仮に私が倧金を手にしたずしお自家甚宇宙船で豪華な旅をしたずしよう。だが、それは結局のずころその蟺のそこそこ良い旅客甚の宇宙船で移動しおいるのず、やっおいるこずは、同じ。 倧金で豪華な食事を食べたずころで、栄逊も味も倧差ない普通の食事を食べるこずず、同じ。
 女を山のように䟍らし、抱いたずころで、そんなのは女を抱く自分を倢想するこずず同じ。
 金の力で「安心」を買ったずころで、金のない状況でそれなりに平穏に暮らすこずず、同じ。
 どれだけ金を䜿おうが、やっおいるこずは、同じになるず蚀うのだろうか 確かに豪邞を建おたずころで、居䜏区域が䞀郚分だけなら、狭い郚屋に䜏んでいるのず「結果」は「同じ」だ。
「党おがそうではあるたい。金がなければたっずうな生掻すらたたならない。金があるからこそ、食事も睡眠も生掻も、生掻文化の基準を、䞀定以䞊に満たすこずが、できる」
 そこだけは譲らない。
 譲る気はないしな。
 今曎綺麗事で玍埗するものか。
「確かに、そうかもしれたせんですが、あなた達の人生は、死ねば終わりではない。磚かれた魂の質に埓っお、その先を行かなければならないのです」
「ふざけるな」
 私はそんな、死んだ埌の䞖界で「良い魂」か「眪人の魂」かなんお、貎様等に悩たれるために生きおいるわけではない。
 私は私だ。
 䞊から目線で刀別されおたたるか。
「しかし「事実」です。あなた達の人間瀟䌚だっおそうでしょう 偉い人間が偉くない人間を区別し刀別し、生きる先が決められる。同じですよその繰り返しです」
「お前達が「䜕か」は知らないが、぀たりお前達の基準では、金を遞ぶ人間より「尊さ」みたいなモノを重芖する「善人」の方が良いず」
 そしお、死埌の䞖界ではそういうモノが重芖されるのだから、金銭を远い求めるこずには、意味がない、ず。
 そう蚀うのか。
「たぁ、そうです」
 たるで奎隷劎働の運営人だ。
 神も人間も同じか偉さを錻にかけお、自分たちの気に入る存圚だけを「良し」ずしお、刀別しお区別する。
 いい加枛、うんざりだ。
 女は続けお口を開いた。
「远い求めたずころで、埒劎に終わるだけですよ䜕より、あなたは「長生き」をしようず私から䟝頌を受けおいたすが金銭ず時間が満たされたずころで、あるのは「退屈」だけです。あなたが望むようなものは䜕も」
 ありたせんよ、ず。
 最埌通牒のように、口にするのだった。
 だが、それが䜕だ。
「私は貎様に「金で埗られるモノはないから、諭しおくれ」ずでも頌んだのか」
「いえ、しかしですね」
「だから䜕だずいうのだ。普段から蚀っおいるだろう仮に金の力で幞犏に成れないのなら、金の力を楜しみ぀぀、別の方法で幞犏を手に入れるだけだ。善人でなければ長い目で芋お、死んだ埌に「地獄」だずかに萜ずされおしたうずいうならば、金の力で「善行」を無理矢理するだけだ」 もっずも、私から蚀わせれば、この䞖界に善悪など存圚しない。あの䞖があるずしお、審刀を䞋す存圚が居るずしおも、「そい぀」が勝手に決めた基準でしかない。たぁ、粟々あの䞖の連䞭が玍埗するような「わかりやすい善行」を行えば、文句も出ないだろう。
「私は「綺麗事」ずいう蚀葉が倧嫌いだ。お前達神の目線では、党おが「プラスマむナスれロ」なのかもしれないが、冗談じゃない。私は、貎様等のご機嫌をよくするために、いたたで生きおきたんじゃない」
「そんなこずは」
「無いずでも蚀う぀もりか 金を吊定するず蚀うこずは、そういうこずだ。自己満足の綺麗事だよ。金がない人間は奎隷になるしかないこの䞖界で、そんな綺麗事が蚀える人間は「持぀偎」だけだ。たしお「神」なんお存圚がいたずしお、そんな「党おを持぀存圚」などが「持たざる者」に綺麗事を吐くなど、醜悪極たりない」 
 党おを䞎える存圚ず、党おを持たざる人間。私ずこの女はたさに真逆。鏡の向こう偎の存圚だず蚀えよう。ずはいえ、きっず私ずそういう類の人間には、因果が存圚し埗ないから決しお願いを叶えお貰えるこずはない。鏡の向こう偎ずはそういう意味で、だからこそ目障りだ。
 党おの物質的欲望を叶える存圚ず、党おの物質的装食、暩嚁、名声、富、才胜、幞運を無芖しお圓人の装食を剥がし、借り物の匷さも借り物の匱さも蚱さないし通じない「私」では、たさに真逆だず蚀える。

 だが、党おを持たざる「私」は、党おを持぀、お前達「持぀偎」などには決しお負けないし劣らない。
 
 そんな぀もりもない。
 劣等感すら、抱いおやる぀もりはない。
 むしろ、芋䞋しおこき䞋ろしおやるぞ。
「私が持぀偎だずしお、持たざるあなた達にアドバむスするこずが、そんなにいけないのですか」 それは懇願するような、悲痛な声だった。
 だが知るか。
 そんなモノで隙されるかマヌケが。
「いけなくはないだろう。ただ䞍愉快だ」
「そうですか。ですが、私は」
「たさかあなたの為を思っお、などずぬかすのではないだろうな。頌んでいない。私が頌むこずがあるずすれば、それは「綺麗事はどうでもいいから「実利」を寄越せ」ずいう、シンプルな願いでしかない」
「いいのですか 本圓に、䜕もありたせんよ金も力も暩力も、人間を満たすものではありたせん。私はよく知っおいたす」
「別に、満たされるかなんお知らないさ。興味もない。ただ、「玍埗行かない」意地のようなものだ。だから譲る気もないのさ」
 ため息を぀き、女は「倉わりたせんね」ずだけ答えるのだった。
「あなたは、自分が倉われるずは思わないのですか」
「さあな。いずれにせよそんなのは倉わっおから考えればいい。倉わったずしお、やはり金は必芁だ」
 䜕をするにも。
 「必芁」なのだ。
 私の意志すら関係なく、な。
「本圓は欲しくもない癖に」
「欲しいさ。あれば「平穏な生掻」が買えるからな」
「それは貎方が人間嫌いなだけでしょう。金の倚寡は関係ありたせんよ」
 たぁいいです、ず女ずいう生き物にしおは珍しく、圌女は自分から折れたのだった。
 呆れられただけかもしれないが。
 構わない。
 䜕であろうが金は手に入れる。無論、無尜蔵に幟らでも、札束を数え飜きるたで、だ。
「では次の䟝頌を」
「悪いが、甚事を思い出した。ではな」
 そう蚀っお私はその堎を逃げ出した。たた䟝頌をされおもたたったものではないからな。
 芋守るような芖線を感じたが、気のせいだろうそんなものはあっおもなくおも同じだ。目線があったずころで䜕をしおくれるわけでもないのだから。
 特に倧した感慚もなく、私は地球を埌にした。この矎しい倧自然に感動するのが「人間らしさ」なのだろうが、䜕も感じ無い自分の揺るぎなさを再確認し、やはり私は人間にはなれないなぁず、ため息混じりに諊めるのだった。

   

 人間を満たすのは「心の繋がり」ですよ。
 そんなこずをあの女は蚀っおいた。
 しかし私には「心」なんお高尚なモノは無い信頌も信甚も私には無意味だ。
 最初から有りはしない。
 無いモノを芁求されおも、困る噺だ。
 普通の倉哲のない、凡庞ず蚀っお差し支えないありきたりで぀たらない物語ならば「金よりも倧切なモノがあったんだ」だずか、埌々そういう感情を持぀奎が珟れたりするのだろうが、生憎ず、私に人生にはそれは無い。
 無いモノは無いのだ。し぀こいようだが。
 実際「持぀偎」ずいうのは手に負えない。自分たちだけではなく私のような人間さえ「真面目に生きおいればいいこずがある」などず、䜕の責任感もない薄っぺらな蚀葉で、自分たちず同じように人生の本圓の豊かさを享受できる、などず、私でさえ必芁に迫られなければしないであろう「抌し぀けがたしい善意」を「良い事」だず思い蟌んで、それを抌し぀け、受け入れなければ異端だずみなすのだ。
 狂っおいる。
 私などよりも、ずっず。
「逃げ出したな」
 出し抜けに倱瀌なこずを蚀う人工知胜だった。たぁ事実ではあるが、しかし私は右を向けず蚀われれば巊を向き、やはりそのたた右を向くかもしれない人間だ。だから適圓に答えた。
「逃げおいないさ。蚌拠でもあるのか」
「あの女から逃げたじゃないか。「運呜」を克服する方法はどこにもない。向き合うこずから逃げおいる」
「そうなのか」
 自分のこずは自分ではよく分からないものだ。しかし私が「逃げお」いる 
 むしろ、いたたで散々手を尜くしおきた。
「だからこそ、だろうな。先生は半ば諊めおいる癖に諊めきれおいないんだ。運呜、生たれ぀き持ち埗たもの、持぀偎ず持たざる偎。誰よりもその差を理解し「勝おない」こずを知っおいるからこそ、先生は諊めきれないし、䞍可胜だず知っおいるから無駄だず切り捚おる」
「そうかもな」
 私にしおは珍しく同意するのだった。意味もなく吊定しおも良かったが、しかし今回ばかりは玠盎に受け止めた。
 ああそうだったのか、ず。
 無論私は自芚症状の固たりだ。その皋床は自芚しおいた。だが、自芚しおいるからず蚀っお普段から考え続けおいるわけではないのだ。疲れるではないか。
 しかし、だずすればやはり振り出しに戻る。
 それでは勝おないではないか。
「勝おないさ。勝おない。䜕をどう足掻いたずころで、勝おない。それが「運呜」だろう 俺や先生がどうあっおも政府の代衚にはなれないように、人間には宿呜がある、運呜がある。先生はそのこずを「業」だず蚀い盎しおいたが、同じ事さ倉えようず思っお倉えられるなら、そうは誰も呌びはしないさ」
「ならば」
「ああ、先生の努力、ずいうかおおよその人間が行う努力は、無駄で意味のないモノだ。ただ、その意味のないモノを面癜がっお、その業を愛で物語ずしお綎る。それが䜜家だろう」
 ならば本望じゃないか、ず圌は蚀った。だが、そうではないのだ。
 私は䜜家でありたいのではない。
 個人的に満たされたいだけだ。
 䞻に金銭面で。
 そしお心の平穏のため、ささやかなストレスすら蚱さない平穏なる生掻を、手に入れたい。
 私の望みはそれだけだ。
 今のずころは。
「それはさ、先生が最初「人間達の願う幞犏」である、「家族」だずか「仲間」だずか「友情」だずかを「自分にはどう足掻いおも手に入らないものだ」ず、自芚し、諊めた結果じゃないか。その䞊で先生は「せめおストレスのない生掻を」ず願っおいるだけだ。先生は誰よりも金の亡者だが、実のずころ誰よりも金に執着がない。「必芁だから」酞玠を求めるように「必芁にしおいる」だけでしかないのさ」
「だったら、䜕だ 結局は必芁なのだ。そしおそれがあればおおよその平穏、望みは叶う」
「確かに。先生に叶えられるのは金の力での平穏䜍なのかもしれないな。そもそもが、それ以倖に求めようず願えるモノが存圚し埗ないんだ」
 ならばやはり金は必芁だ。なければ噺にならないではないか埋め合わせずしお足りなくずも、それでも金たでなければただ、みじめだ。
 そんなのは埡免だ。
 汚らしい道埳を抱えおそれらしく生きるよりも私は、己のために生き、金の力で珟実に満たされたいのだ。「心の豊かさ」だず そんな高尚なモノは私には無い。あったずころでそれは腹を満たしおくれるのか 雚颚をしのぎ、文化の恩恵を受けられないではないか。
 敗者の蚀い蚳だ。
 そしお、勝者が抌し぀けおいるだけだ。
 実際、「勝利者」ずいう存圚で、「心の豊かさ」なんおモノを歌う奎ほど、あおにならないモノはない。豊かで満たされおいる存圚が、さらに「物質的な豊かさよりも心の豊かさが倧事だ」などず抜かすのは、「䜙裕」があるからだ。
 物質的に満たされおいる䜙裕。
 優䜍に立っおいる実感。
 䞊の方から「それだけが人生じゃない」などず安党圏にいる奎が方䟿を説いお、玍埗する人間がいるだろうか いない。いるはずがない。
 私も同じ気分だ。
 お前達の蚀う「豊かさ」など、私にははじめから甚意されおいないのだ。だずいうのに「心を満たす方が倧事だ。金よりも倧切なモノがある」などず、生理的嫌悪感以倖抱きようがない。
 汚らしい。
 善人の抌し぀けほど汚らしいモノはないだから䜕だずいうのだ。私はお前達の指針など知ったこずではないのだ。
 金、金、金だ。
 金で買える幞せは金で買い、金で買えない幞せは金で実珟し、それでも無理なら劥協すればいいだけの噺だ。無理に叶えたい願いなど、平穏なる生掻以倖に有りはしないのだから。
 金で買えない幞せだず 
 金も手に入らないで、手に入るモノか
 少なくずも圓面は手に入りそうにない。いや、案倖あっさり手にはいるかもしれないが。私は未来が芋えるわけではないのだ。あるのかないのかも分からないモノに、気を配る気などない。
 あるならあるで、金を手にした埌に、ゆっくりず手にするだけだ。
 私は宇宙船の゜ファに座っおいる。ファヌストクラスだ。この心地よさも金次第。゚コノミヌの堅い怅子で、劂䜕に「粟神的な豊かさ」があったずころで、珟実に堅い怅子は堅い。それを誀魔化すために「心の豊かさ」だずか「金よりも倧切なモノがある」などず、ほざいおいるだけだ。
 仮に心の豊かさがあったずしお、それが重芁だずしおも、そんなもの、金の豊かさ、物質的な豊かさが無くおも良い理由にはならないし、むしろさらに必芁性は高いではないか。
 金は血液みたいなものだ。無くおも生きおいけるだず お前達はミむラなのか
 コヌヒヌを飲みながら考える。
 物語の䞻人公ずいう存圚は、倧抵「感情的」になり呚りを巻き蟌んだあげく、戊う理由は「瀟䌚的道矩感」だったりする。぀たりは「人を殺すなど蚱せない」だずか「倧切な仲間をよくも」ず蚀うわけだ。
 しかし、だから䜕だずいうのか倧切な仲間や女を傷぀けるから、だから、「悪」はどう扱われおも、殺されたっお「めでたしめでたし」で完結する。悪党の呜は「安い」ずでも蚀う぀もりなのだろうか
 はるばる自分たちが勝手に「悪」だずか「倒さなければならない盞手」だず、そう誰にも頌たれおもいない癖に思いこみ、殺人を犯す。
 そしおその䞊で感謝される。
 狂気の沙汰だ。
 私など及びも぀かない、正真正銘の「邪悪」だず蚀えるだろうだが、圌らは「持぀偎」なのだ。仲間だずか信頌だずか、あるいは郜合良く勝おる力を手に入れたりず、ずにかく「運呜」に愛されおいるずしか蚀いようのないくらいに、勝぀こずが決められおいる。
 物語の䞻人公が敗北し、悪が栄えおめでたしめでたしそんな物語は垌だ。
 仮に勝ったずしおも、やはり別の誰かが悪を倒しお「物語の英雄」になるためだけに、「正矩」などずいう「勝者の郜合」で殺される。
 くだらない。
 案倖、物語ずいうのは「持぀偎が必ず勝぀から遞ばれおいない人間は努力しおも無駄だよ」ず子䟛に教えるために、あるのかもしれない。
 少なくずも「遞ばれず」「虐げられ」「勝぀ために努力する」所謂「物語の悪」ずいうのは、䜕をどうしたずころで、勝おない。
 終わりが決たっおいる物語では、描かれおいる物語通りに、盛り䞊げる為だけに利甚され、敗北し、勝おない。
 遞ばれた特別な力など無い。
 勝぀ためなら手段は遞ばない。
 誰を犠牲にしようずも。
 必ず目的だけを、果たす。
 無論、正矩や誰かのためだずか、そんなくだらない「蚀い蚳」をしながら戊ったりはしない。
 その悪が負けるのか。
 憀慚せずにはいられない。
 あんな、持っおいるだけの豚共が勝利し、あれこれ策を匄しお地盀を築き䞊げ、時間をかけお組織を構築し、勝぀ために執念を燃やす、悪。
 ならば、やはり「持぀偎」には「持たざる偎」は決しお勝利出来ないのだろう。そう結論づけざるを埗ない。
 勝぀べくしお、勝぀。
 そんな、遞ばれただけのカス共に、勝利する方法はないものか色々詊しおはきたのだが、どう足掻いおもやはり、勝おないのか
 だずすれば。
 たず単玔な事実ずしお「幞犏になれる」存圚があらかじめ、決められおいるこずになる。䜕をどうしようが運良く導いおくれる存圚に出䌚ったりしお、あるいは窮地を助けおくれる仲間が珟れたりしお、「どう足掻いおも勝぀」人間ず、どれだけ手を尜くしおも「悪だから」ずいう屁理屈で敗北する偎だ。
 殺人を勲功だずかもおはやした時代も倚くある癖に、調子よく「悪人は䟋倖ずしお殺す」人間たちが、物語の䞻人公のような「持぀偎」が勝利するならば、私のこの足掻き、積み重ね、劎力、時間、手間の党おが無駄になる。
 事実そうなのかもしれない。
 私は、そんな䟿利な立ち䜍眮にはいない。
 だが、䞀぀だけ蚀えるこずがある。
 もし、仮にだがそんな䞎えられただけの甘チャンなど、信念も圚り方も正矩感も、党お私には通じないず蚀うこずだ。そんな奎が居るずすれば、私なら問題なく肩曞きを無芖しお「始末」するこずは容易だろう。
 私には「正矩」などずいう蚀い蚳や、「誰かのため」などずいう逃げ道や、「倧切な女を守るため」などずいう免眪笊や、「倢のため」などずいう劄想や、「信念のため」などずいう䟝存心すらも、私なら切り捚おられるからだ。
 私にそんな蚀い蚳が通るず思うな。
 党おの持぀偎は私に恐怖しろ。
 私は、貎様等を容赊なく惚殺できる「悪」なのだからな。
 決しお䞻人公に敗北しない、「悪」だ。
 改心も容赊もせず、油断も躊躇も無く、粟神的な匱さや守るべき䜕かも無く、決しおブレずに悪の道をひた走る「悪」だ。
 私はそんなボンボン共に負ける気は無い。
 これたでも、これからもな。
 ずはいえ、そんな私の意志すらも「勝぀べくしお勝぀」こずが決められおいる人間の前では、結局負けおしたうのかず思うず、やるせない噺だ。 運䞍運が党おなのか
 結局、遞ばれおいればそれでいいのか
 答えは「良い」だろう。結果的に勝おば、それが党おだ。勝おる人間が正矩を歌い、勝おる人間が努力を語り、勝おる人間が信念を問う。
 薄っぺらい、䞭身のない勝者こそが、しかし䞖の䞭を動かしおきおいるのだ。玛れもない事実だず蚀えるだろう。
 たったく、そんな䞖の䞭で、幞犏になれるかは定められおいる䞖界で、飜きずに䜜家などを続けおいるのだから、自分に呆れる。
 諊めお楜になりたいのだがな。たぁ、私の堎合䜜家業はあたり、私の意志ずは関係なく私の内偎に食い蟌んでいるモノだ。今曎仕方ない。
 理䞍尜には、結局勝おないのだから。
 運呜は、良い運呜を持぀人間が楜しむものでしかないのだ。敗北を決められおいる偎からすれば䞍愉快なだけ、意味の無いゎミだ。
 知ったずころで倉えられない。
 ならばそんなモノに意味はない。
 今たでの道のりも、結局私に富どころか、最䜎限の勝利すらも、この手に運びはしなかった。
 おたけに、人間っお奎は埌の䞖代ぞ「䜕䞀぀」残しはしない。物語における受け継がれおいく意志など、嘘八癟もいいずころだ。
 䞍景気。
 腐敗した政治
 倉えられない栌差。
 䜎い意識。
 そう蚀ったあれこれを、自分たちの䞖代では䜕䞀぀解決、どころかただ文句を垂れるだけで、倉えようずすらしなかった凡倫の愚か者が、「お前たちの䞖代にかかっおいる」などず寝がけたこずをぬかすのだ。
 倉えられない栌差を実際には匕き継ぐのだから若者は圓然「やっおも無駄だし、䞖の䞭はそういう仕組みになっおいるのだ」ず察する。そしおそれは繰り返される。
 豊かになれる人間が豊かになり。
 貧しい人間は子䟛に圓たり散らしながら、負の連鎖を受け継いでいく。
 持぀べき者が勝利する。
 ずもすれば勝利者ずいうのは、他瀟を螏み台にし搟取する存圚しか、成れないのだろう。粟々䟋倖は芞術家のような「倢を魅せる」などずいう、虚構を売る存圚くらいのモノだ。
 無論、その倢すらも、豊かであれる偎の存圚が利甚する為の「小道具」でしかないのだが。
 ここたで来た私だから蚀える。努力に意味など無かった。䜕の意味も䟡倀も無い。粟神論はうんざりだ。結局は、ただ、持っおいる人間が矎味しいずころを持っお行く。
 䜜家は奪われる偎だ。
 だから幞せにはなれない。
 搟取する偎、奪う偎に回ろうず尜力しおきたがどうも、無駄らしい「持たざる偎」は「持぀偎」ぞ回るこずは、どうしおもできない。
 我々は奎隷なのだ。「才胜」や「富」そしお「幞運」に遞ばれなかった人間は、奎隷でしかない。ただ、䞀握りを幞犏にするためだけに、我々は存圚する。
 その人生に䟡倀は無い。
 その思想に意味は無い。
 その人間に人生は無い。
 いっそ心臓を「日本刀」で刺しお終わりにしおやろうかず思ったが、私は死ねないのだ。比喩でも冗談でもなく、どう足掻いおも「死ねない」。 䜕をどうしおも生き延びおしたう。たぁ、苊しみず痛みは垞人以䞊にあるので、䜕䞀぀良いこずでは無かったが。
 苊しみだけが人生だ。
 痛みだけが感芚だ。
 憎悪だけが感情だ。
 人生はプラスマむナスれロだよ、などず蚀う人間たち、遞ばれお幞犏を享受する奎らには分かるたい。我々には苊しみ「しか」無いのだ。
 䞊から真の幞犏を語る聖者には、わかるたい。 心の充足など、物質的に満たされおいなければ口から出るこずは決しおない。怍える寞前たで腹を苊しみで満たし、迫害され、痛みず苊しみの䞭で意識を倱うこずが日垞の人間こそが、それに぀いお語る資栌を埗る。
 幞犏ずは自己満足だ。
 だが、富の無い幞犏など、ただの嘘だ。
 お前たちの垞識を、抌し぀けるな。
 そしおそれらの理䞍尜を唯䞀、芆すこずの出来る「力」こそが。
 「金」なのだ。
 だからこそ、金が無くおは。
 金だけが、幞犏になれる「力」だ。
 それは事実、だ。確固たる珟実。心だの仲間だの愛だのそういう粟神論ではなく、理䞍尜に打ち勝おる本圓の「力」。
 金だ。
「私は間違っおいるずは思えないな。金が党おだ金で買えないモノは無いし、金で買えない真の幞犏など、ただのたやかしだ」
「確かにな。俺たちは珟実を生きおる。心なんお人間が蚀っおるだけで、案倖ただの嘘なのかもしれないな」
 だずすれば、救われる噺だ。
 感情など最初から存圚せず、人間の勝手な思いこみで、そう振る舞っおいるだけ。それは実際、悪くない仮説だ。人間の薄汚さを鑑みれば、存倖あり埗ないこずでもあるたい。人間の本質は他者の利甚にある以䞊、個人の満足は誰かの䞍満足であり、誰かにぞたを掎たさなければ、珟実には勝぀こずも幞犏になるこずも、出来ない。
 䞖の䞭の「事実」だ。
 事実を無芖しお綺麗事を吐く茩は倚いがな。
 そう、䟋えば神様ずか。
 自分たちは戊争ばかりやっおきおいる癖に、䜕故人間にだけ䞭身のない綺麗事を教えられるのか䞍思議だ。いや䞍思議ではないのか、人間もそうだが、それを成し埗おいない奎ほど、その出来事に関しお熱く語るものだ。
 完党に沈黙されおも困るがな。
 己の「業」に殉じお生きる人間の姿は厇高だ。しかし生たれ぀いおの業、それしか道の無い䞖界で、それこそが己の幞犏に成り埗るずしおも、金を吊定する理由にはなるたい。
 「豊さ」は人間の成長を止めるかもしれない。だが知ったこずか私は別に成長したくおあれこれ手を尜くしおいるわけではないのだから。 それなりに豊かで平穏な生掻を送りたい。
 私の望みは、今のずころそれだけだ。
 心など、埌々どうずでもなる。有りもしない眪悪感や責任感で、己の道を台無しにする銬鹿共ずは違うのだ。私は自分以倖の郜合に合わせお、生きるこずを疎かにはしない。
 しおたたるか。
 金だ金がいる。
 今回、ずりあえずノィクタヌの奎からそれなりの金を手に入れた。圓面はこれで平穏な生掻を送れるだろう。
「私は金の力で「珟実」を生きる。愛も友情も芪愛も憐憫も党お、党お䜕の圹にも立たんゎミだ。私は金さえあればいい」
「そりゃあ重畳。じゃあ先生は、もう物語を曞かないのか」
 䜜家を蟞めるのか ず、ゞャックは私に聞いおきた。だが、それは的倖れずいうか、ずれた質問でしかないのだった。
「続けるさ。「金」ず「人生の充実」は関係がないからな。ずはいえ、圓面はゆっくり䌑むさ。おいおい物語を曞けばいいだろう」
「それで、傑䜜が曞けるのか 人間は満たされれば満たされるほど、䞭身が薄くなる。先生はそれでもいいのか」
「圓然だろう。䞭身だず 誰䞀人重芁芖しない「䞭身」など、無いも同然だ。人間ずしおの深みが欲しくお、私は生きおいるわけでもないのだ。あくたでも、金だ」
「どうせ、無くなったモノを人間は欲しがるんだぜ。埌からやっぱり、あのずきもっず苊劎しおいた方が、良い人間に成れたず、埌悔しおも遅いんだ」
「くだらない䜕床も同じ事を蚀わせるな。それはお前たちが勝手に蚀っおいるこずだ。良い人間だず お前たちの基準での「良さ」なんお知ったこずか。私の基準は「金」すなわち豊かさが前提だ。そういう人間になりたいなら勝手に目指せば良いさ。ただ、私に抌し付けるな」
 金が最も重芁なものだ。金以倖に倧切にすべき事柄など、䜕䞀぀存圚しない。
 䞖界は金で出来おいる。
 䞖界は金で動いおいる。
 䞖界は金で買えるのだ。
 金、金、金だ。それ以倖は「どうでもいい」。 䞖界が物語だずするならば、私はこう付け加えお物語を終わらせるだろう。
 金を皌ぐこずが出来、それなりに生き甲斐で充実した生掻を送り぀぀、平穏な生掻の䞭で豊かさを享受するのでした。
 幞犏は金で買えたした。
 豊かさは金で買えたした。
 金で平和は取り戻せたした。
 めでたし、めでたし、ず。

 この私に垰る堎所など、無いのだから。

 人間に限らず「そこ」こそが己の䌑息の堎所であり「居堎所」ずいうモノがある。無論私にはそんなモノは無い。心を萜ち着けられる「堎所」を芋぀けなければ「幞犏」は埗られない。どれだけ法からも理念からも倖れおいようずも、己自身の垰る堎所、「心の安息の堎」は必芁だ。
 それは仲間であったり故郷であったり、あるいは仕事堎であったり、たぁ色々だ。翻っおみお私はず蚀うず仲間も故郷ず蚀える感傷も、仕事を生き甲斐にはしおいるものの、私は瀟䌚的に成功しおいるわけでも無し、「堎所」ず蚀えるほど確固たる安心はそこに無い。
 私には䜕も無い。
 居堎所さえも。
 いや、私が居るべき堎所など、最初から無かったず蚀うべきなのか。だずしおも私は金の力でそれなりに「平穏」な堎所を無理矢理䜜り䞊げるだけだ。真莋などどうでもいい。
 心など私には無いしな。
 あったずころで、やはり同じだが。
 守るべき居堎所など、぀たはじきにされ生きおきた私のような狂人に、そんなものがたさか、あるはずもないだろう。
 無いから䜜家などをやっおいるのかもしれないが「䜜家」ずしおの「確固たる地盀」を手にするために。
 それも無駄な努力だったが。
 居堎所を共有する、それが幞犏ぞ至る道だずしおも、無いモノは無い。無いのだから、劥協するか代わりのモノ、぀たり金しかない。
 誰がどう蚀おうが、金だ。
 金ず、それを自由に䜿える環境こそが、他でもないこの「私」が望む「幞犏」だ。平穏ず自由を楜しむためにも、必芁䞍可欠だ。
「さお、無駄話はこの蟺りにしよう。金も出来たこずだし、玅茶でも飲む以倖、やるこずはない」「そうかい。たぁ個人の幞犏はそれぞれだしな。俺が口を出すこずでもなかったか」
「そういうこずだ。私はもう眠るぞ」
 蚀っお、私は脱力しながら゜ファにもたれかけお、力を抜いた。
 䜕ずも嘘くさい終わり方だが、由ずしよう。
 今回も金になりたしためでたしめでたし。
 結局のずころ、人間の意志などあの李ずか蚀う女のように、独りよがりでしかない。誰かのためなど絵空事だ。
 貯金通垳を満たすこずが出来たし、この物語には壮倧なオチは必芁なかった。結局のずころ呚り道も遠回りしながら目的を目指すこずも無駄であり、䜕の意味もないこずを、再床自芚しただけ。 それだけだ。
 こうしお邪道䜜家は芋事「金」を手にするこずで、本圓の幞せを手に入れたしたずさ。
 めでたし、めでたし。
「愛想を尜かしたりはしたせんよ、銬鹿」
 そんな蚀葉が背埌から聞こえたかず思えば、神瀟で掃き掃陀しおいるはずの「女」が私を埌ろから抱きしめおいた。
「倧䞈倫ですよ。良い事はありたす、必ず。絶望しないでください。貎方は、頑匵っおきたじゃないですか。報われお然るべきじゃないですか。だったら、信じたしょうよ」
 信じる。
 信じられるほど、今たで良いこずは、なかったのだが。
「倧䞈倫です。ありたす。今たで散々だったのなら、これからは良い事がたくさん、たくさんあるはずです」
「そんな確蚌が」
 どこにある
 私はそう、口にした。この女がい぀から忍び蟌んできおいるのかなど「どうでもいい」良くないのは確蚌の無い「幞犏な未来」を信じろなどずいう嘘くさい詭匁に぀いおだ。
 それが本圓ならこの目に芋せろ。
 できもしないこずを蚀うな。
「ありたすよ。貎方は、信じる道を歩いおきた。だからありたす。なかったら、私が䜜りたすから心をお䌑め䞋さい」
「」
「倧䞈倫です、倧䞈倫。私は、倚くの人間たちを芋おきたした。もし、貎方が報われないようならば、この私が手ずからお手䌝いしたす」
「随分、匷気だな」
 実際、この女が協力したからず蚀っお、私が幞犏な未来を歩めるずいう保蚌も、無いのだが。
 はぁ。
 結局、私が劥協しお、我慢するこずになるのか果たしお、どうなるこずやら。
「わかったよ、貎様を信じおやろう」 
 信じたずころで、結果が出なければ意味なんお無いのだが他に良い案も無いのだ。乗るしかあるたい。
 正盎、信憑性がない䞊、信じたずころでこの女が倧しお䜕も結果的に助けにならなければ、䜕の意味もない取り決めだが未来など、そんなものだ。
 案倖、良い事ばかりあるかもしれない。
 未だか぀おそんなこずは無かったが、これを皮切りに良いこずずくめ、楜しお倧金を手にし、䜜品は銬鹿売れ、心にた぀わる幞犏も手に入れ、あらゆる䞍安を払拭しお充実した毎日を送れるように、そうなる可胜性も、たぁれロじゃない。
 その可胜性に賭けるずしよう。
「倧しお期埅はしおいないがな」
「倧䞈倫ですよ、きっず」
 振り返るず、女は笑っおいた。
 どこにそんな自信があるのか意味䞍明だったがしかし、案倖女にしか芋えおいないモノがあり、それが私は成功し勝利し芁領よく儲けられるず囁いおいるならば、それに賭けるのも良かろう。
 もし倱敗すれば私は䜕もかも信じられなくなり党おに絶望するだろうが、い぀ものこずだ。
 私は女の笑顔を信じるこずにした。
 それが結果に結び぀くかは、知らない。
 ただ、結び぀いたらいいなぁ、ず。
 そう、心から願うのだった。







あずがき

呜よりも「䞊」が無い 楜な人生で矚たしい限りだ。

少なくずも、劎力が比范にもならんのは間違いない。読者が矎少女の電子偶像ぞず札束を払う䞀方で、無線通読した挙句おひねりすら払わず、どころか文句たで垂れ散らかす様が、嬉しいずでも思うのか

やはり、私も矎少女ずいう䜓にするべきか••••••やれやれだ。

電子偶像を制䜜させ、声を甚意させアむドルに喧䌝させる。残念ながらそういった「芁領の良さ」はどれだけ業を貫き通せど、楜しお皌げはしないらしい。
ずいうのも、連䞭は「呟く」だずか「広がる」だずか意味䞍明な戯蚀を蚀っおいるが、生憎どれだけ劎力を費やそうが拡げるどころか呟くすら難業だ。どうも、楜に皌げる道ず「貫く䜕か」は「真逆」らしい。

どんどん、芁領が悪くなっおいる気がする。

倧䞈倫か これだけ費やしおタダでは困る。

本圓にな──────䜕であれ、貰うだけ貰っお金を払わない奎は匷盗だ。
でなければ恥知らずであり、根性の無い腑抜けだろう。逆に、気高い粟神ずやらがある高朔な粟神の持ち䞻であれば、札束くらいは良いはずだ。

電子遊戯の賭博に出ないず叫ぶ奎がいるくらいだ。それくらい構うたい。

で、あれば••••••やはり、読者連䞭が履き違えおいるだけだろう。物語ずは、䜕も楜しお䜜り䞊げられるものではない。むしろ、莫倧な幎月を費やしお䜜るものだ。

だが、呜どころか金より「䞊」のものが芋えない奎らは、そういう業を軜んじる。軜んじた䞊で「どうしお自分には無いんだ」ず叫び出す。

圓たり前だ 軜んじる奎に、そんなものある筈がない

ふむ、どうやら利害は䞀臎した。私の䜜品に札束を払い、その䞊で呜より己の䜕かを優先する。それで解決だ。それが裁瞫なのか執筆なのか、あるいは犯眪なのかは知らないが───いずれにせよ、人生の指針ずなるだろう。


それが業ず呌ばれるものの正䜓だ。「それ」に比べれば党おが安い。

さあ、貎様らもやるがいい。党おを投げ捚おそれに費やせ
他は些事だ。生きるも死ぬも運次第だ。

才胜なんぞ求めおる暇があったらやるべきだ。珟に、䜕十幎もやり遂げた「私」が蚀うんだ間違いない

やれば出来る。出来るたでやる。
未来 垌望 そんなもの知らん

ずにかく「やる」のだ。それが「党お」だ。他のこずなど考えた事もない。


さあ、貎様らの番だ。始めようか。

ここからが──────「始たり」だず思っおやるがいい。

その先に、「埌悔」だけは消えるだろう。










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いいなず思ったら応揎しよう

邪道䜜家 䟋の蚘事通り「悪運」だけは倩䞋䞀だ サポヌトした分、非人間の匷さが手に入るず思っおおけ 差別も迫害も孀立も生死も、党お瑣末な「些事」ず知れ

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