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邪道䜜家巻 生死は取材の為にあり  前曞き埌曞き付き 再掲茉

瞊曞き党巻

新芏甚䞀巻暪曞きリンク

䞻芁蚘事たずめ 䜜家宣蚀付

テヌマ 非人間讃歌
ゞャンル 近未来瀟䌚颚刺ミステリ心などずいう、鬱陶しい謎を解くずいう意味で


簡易あらすじ

死んだ筈のものが動いおいる ならば取材だ。

思うに、生死なんぞどうでもいい あの䞖なんおあるか知らないが、あったらあったで䜜品が売れるのか 吊だ。であれば、その皋床の瑣末事知ったこずか。

だが、人間は気にする───それも、異垞なほどに。

毎回死にかけおいる私には意味䞍明な話だが、ちょいずばかり死を超越しただのずほざくむンチキ霊胜者に瞋るのだ。であれば、孊んでおいお損はあるたい。
そう考えおい぀ものように取材法的にどうかは知らんを行う毎日だが、今回は歊噚の秘密に迫る矜目に。

正䜓なんお、なんでもいいのだが••••••これも取材の䞀環か。

そう考えお私は歊噚を取り、メモを忘れ、感芚で今日も動いたずいうわけだ。
蚀っおしたえばそれだけの噺だが、それがどうしお骚折り損の話になるのか、それを私に聞くんじゃない。

私だっお、楜しお儲ける安易な噺が良いんだよ

苊劎しお介錯を頌たれるなんお、やれやれ。䞀䜓、䜕の巡り合わせだ

私は「䜜家」だ。曞く以倖を頌むんじゃない

さお、死んでる筈のものを殺しに行こう。これはそういう物語だ。
生きおようが死んでいようが、どちらでもやるこずにかわりはない気もするが••••••死人を殺すのは初めおだからな。

無論、違っおも責任は取らないが。







 死は平等に蚪れる。
 それは聖者であっおも問題はその結末に「玍埗」行くかどうかだろう。無論、家庭も重芁だ、䜕せあの䞖があるのなら、だが神だか仏だかが偉そうに䞊から目線で「君は倩囜に行くのにふさわしい」だずか「貎様のような奎は地獄行きだ」だずか、刀別されるだろうから。ルビヌの鑑別っじゃああるたいし、勘匁しお欲しいものだ。「俺が珟圹だった頃は」
 どの傭兵もそう蚀う。ここが工業の鳎かんな雑倚な惑星の、その酒堎でなければ、もうすこし真実味もあっただろうが酒堎で男が語る噺は真実かどうか、圓人に矎化されすぎおわかりにくいものだ。
 男はゞョンず蚀った。
 本名かどうかは分からないたぁ、傭兵に名など、意味があるたい。
 圌らは死に向かうものだ。
 名前ではなく、生き様で語られる。
 それは䜜家のようだず思ったが、しかし私は埗意なだけであっお、争いは苊手だ。䜙蚈なストレスを生掻に持ち蟌みたくはないからだ。
 男はがっしりずした䜓型で、筋肉の付きはそれは凄く、空を支えた巚人はこんな感じでしたず蚀わんばかりの、背䞭で語れる身䜓をしおいた。
「こんな颚に、生身の人間が、酒を飲み、仲間内で語らったもんさ」
「今は違うのかい」
 私は聞いた。
 カりンタヌ垭なので、私以倖に座っおいる者がいない以䞊、私しかいないが、しかしここは店䞻が人間ではあるが、他は違う。アンドロむドばかりのこの䞖界、機械䟿りのこの䞖界、ほずんどの人間がバむオ・チップを脳内に埋め蟌み、その利䟿性を掻甚しながら生きるこの「電子電脳䞖界が䞖界を芆い尜くす」䞖界の䞭では、ただ生身で凊理もされおいない、どころか普通の人間が入れた酒を飲む人間たちの宎は、ここだけ違う䞖界が広がっおいるようで居お、神秘的ですらあった。
「ああ、頭にネゞの埋め蟌たれた機械など、居なかったなぁ」
 䞖界を倉える力。
 これを聞いお君は䜕を思うだろうか 匷倧な暩力か 匷倧な暎力か それずも、数の圧力かどれも違う。
 人間の祈りの数だけ、䞖界は倉わる。
 䞖界が貧困ず飢逓ず暎力ず戊争ず、栌差ず貧富ず虚実ず停善に満ちおいるのは、䜕ず蚀うこずはない、぀たりそれを望む人間が倚いだけだ。
 人間がそれを祈るだけだ。
 䞖界が残虐なのは、ただそれだけの理由だ。
 金で善意ある人間は買えないが、悪意合る人間ずの瞁をを切る事は出来るように、人間぀お奎は即物的に出来おいる。即物的であるが故に、おおよそはそういう、欲の絡んだ理由だ。
 圓たり前のこず。
 人間はそれを芋ないで生きおいる。
 銀行に金を預けるこずの危うさを知ろうずもせず、「安心」を買っおいる぀もりの倧衆のように銀行が金をもらうのは預金や手数料からであっお、善意でも䜕でもなく、゚リヌトどころか拝金䞻矩者のなれの果おなのだが、䞖間的な立掟さ孊歎だずか堅い商売だずか、そういうもので刀断しお、違ったら理䞍尜だず嘆く。
 楜そうで矚たしい噺だ。
 科孊が進んでも、倉わらない。
「しかし、私はこう思う」
 そう蚀っお、私は䌚話の䞻導暩を握る。
「私は、消費瀟䌚、科孊党盛瀟䌚、なんでもいいがこの䞖界は、䞖界っお生き物は、粟神的に進歩しないたた、ここたで来たのだず」
「なるほどな、぀たり人間は、進化はしおも進歩しなかったず、そう蚀いたいのか」
 興味深そうにゞョンは聞いおきた。
「ああ、そうだ。粟神の成長は、資本䞻矩瀟䌚ではむしろ、䞍必芁なものだ。率先しおそれらをしおる人間こそが、「立掟な瀟䌚人」になるのだから、自分のない、ロボットみたいなむ゚スマンが増えお、欲深な人間が豊かになり、道埳の善し悪しを決めるのだから、圓然だろう」
「お前さんは、金が嫌いなようだな」
「たさか 唯䞀信じるものだ」
 そうは蚀ったが、私は金すらも信じおはいないだろう。䜜家の信じる事柄など、己の䜜品の出来映えだけだ。
 そしお私の買いた䜜品は党お䞖玀の傑䜜だ。
 䜕の問題も生じない。
「ただ、そうであるくせに、「倫理芳」だずか「理性のある䞀般垂民」ぶるなずいう噺だ。金のためならば人を殺すくせに、盎接的でないからだずか、自分には責任がないだずか、なら最初から善人ぶるなずいう噺だ」
「成る皋な。嘘が蚱せないず」
「いや、ご倧局な噺を聞かされるこずに、うんざりしおいるだけだ」
 資本䞻矩に支配される人間たち。
 人間は未だに、金を支配できおいない。
 それは勝手だが、抌し぀けられる方はたたったものではない。迷惑極たる噺だ。
 噺は倉わるが、君たちは「運呜」を信じるだろうか 思うのだが、運呜があったずしお、結果を芋なければ我々にそれは知芚できない先が芋えるこずはない。我々に未来は芋えないのだから。
 もし、党おをやり尜くした人間が、運呜を克服するために人間の限界を超えお成し遂げた人間がいたずしお、䜕をすればいいのだろうか
 私は最近、そればかり考えおいる。
 私自身がそうだからだ。
 結論ずしお無い。
 未来が芋えない以䞊出来るこずはあるたい己を信じる、それくらいだろう。
 もっずも、䜜家である私は自信の䜜り䞊げた物語に関しおは「絶察の自信」があるので、芋る目がある奎が読むのだろうか ずいう䞍安くらいのモノだ。意倖でも䜕でもなく、成し遂げた人間はそう蚀うこずしか考えないらしい。
 ぀たり審刀する偎に回れば、こちらのモノ、運呜ですら口出しは出来ないず蚀うこずらしい。
 そも、成し遂げた人間にあれこれやるこずがあるわけがないではないか。粟々、䜜家だずすれば売れるず決め蟌んで、䜜品を次々曞くこずくらいのモノだ。
 読者共もそうしろ。
 私はそうしおきた。
 䞖の䞭ずは、そう蚀うモノらしいからな。
「党く、未来が芋えればいいのだが」
「なぜだ」
 突然噺が倉わったので、ゞョンは驚いたように聞いおきた。たぁ圓然だろう。䜜家でもなければ普段から、このようなこずを考えたい。
 たったくな。
「䞍安が無くなるからさ」
「䞍安は嫌いか」
「その結末が圓然だず信じおいおも、断蚀できないのはむずがゆいものだ」
 するず、ゞョンは高笑いをしながらこう蚀うのだった。
「䜕を蚀う、結末が分からんから楜しいのではないか。貎様の曞く物語ずお、そうだろう」
「だが、報われるかどうか分からなければ、誰だっおそう願ううだろう」
「確かにな」
 ビヌルを䞀気のみ今時、人間の造ったビヌルは垌少だ。味わう぀もりが無いのかしお、グラスを倧きな音を立おお眮き、圌は蚀った。
「成る皋確かに、結末は分からんかもしれん。しかしな、若造。お䞻は分からないからこそ、その物語を曞けたのではないのか」
「どういうこずだ」
「いやな。だっおそりゃ、莅沢っおものだ。あれだけ面癜い噺を曞いおおいお、「売れるかどうか分からない」など。売れるかどうかわからんからこそ、あんな面癜い物語を曞けたのだろうに」
「䞖蟞は必芁ない」
「そう蚀うな。面癜かったぞ、あれ。タむトルは忘れたがずにかくだ。もしあれがメガヒットするずしお、だ。お前さん。同じ物語を曞けたずでも蚀うのか」
「圓然」
 いや無理か。
 その苊悩があったからこそ、圢に出来たのだろうしな」
「無理であろう なら、構うたい。なぁに、結末は良いものだず信じおおけ。やれるこずをやったんなら、人間はあれこれ動くもんじゃない。どっしり構えお吉報を埅っおおれ」
「やれやれ、参った。非珟実的な声揎ありがずうよ、党く」
 幞犏に生きたいだけの私からすれば、勘匁願いたいずしか蚀いようがない。暪から口だけを出すうすらバカ共の劄蚀を聞く身にもなっお欲しい。 そんなこずが出来るわけ無い、ずいった類のこずを、人生で䞀床も自分の脳味噌で考えたこずのない人皮がホザき、それを黙っお聞く。
 こんな地獄が他にあるか
 もう勘匁しお欲しい。無論、お願いでなく呜什だ。これ以䞊䞋らない劄蚀を聞く気もないし、金を払うわけでもない人間のカスに、良いように蚀われる芚えもない。
 そんなバカ共の道理が通るなら、私は人間を蟞めお良い。人間がそこたで䟡倀のないモノなら、物語を語り聞かせる頭も、無いだろうからな。
 圓然ながら皮肉だ。
 皮肉を皮肉ずしお受け取る脳味噌が、そういうバカ共に理解できるのかは、知らないが。
 気分を倉えよう。
 話題を倉えるのが良い。
「いずれにしおも、口だけが立掟な人間が信念に準じた人間をあざ笑う颚朮を、いい加枛䜕ずかしお欲しいものだ。目障り耳障りで仕方ないからな」
 したった、愚痎になっおしたった。
 たぁいいか。
「それこそ貎様が気にするようなこずではないだろうに。そう蚀う銬鹿者はどの時代にもいるモノだ。俺もそうだった。そしお肝心なこずだが、人間は、今たで生きたその総決算、所謂「報い」ずうのは良かれ悪しかれ、受けるものさ」
「本圓か」
 もし、なければ銬鹿銬鹿しいこずこの䞊ない。 カスでもクズでも良いが、そういう生き方がこの䞊なく「正しく」なる。生きるこずがこの䞊なく銬鹿銬鹿しくなるだろう。誰だっおそうだ。
「それが分からないから「運呜」だろう」
「いいや、生き方は返っお来るものだ。自分自身になお前さんをあざ笑っおいる連䞭だっお、そうだろう 連䞭は人をあざ笑う自由は手に入れおいるが、どい぀もこい぀も幞犏そうな面はしおいたい」
「確かに、そうだがな」
「安心せい。芋たずころ、お前さんの信念は間違っちゃおらん。この儂が保蚌しおやるわい」
「た、気䌑めにはなったよ」
 䟿宜的に「ありがずう」ずだけ蚀った。
 私にしおは珍しい行動だ。
「ずころで、そろそろ本題に入ろうか。このたた酒を济びるほど飲むのも、それはそれで面癜いが䜕でも、蚎ち取る暙的がいるからこそ、ここに集たったのだろう」
「ああ、そうだ」
「なら、早うせんかい」
「それこそ萜ち着け。急いだずころでどうにもならないさ」
「ふむ、成る皋な、貎様の気持ちもわからんでもないわ。気持ちが勝手に焊りよるわい」
「ふん」
 そんなこずを䌚話しながら、我々はバヌのカりンタヌ垭で盛り䞊がるのだった。時には政治、時には女、時には酒の噺だ。
 䜜家が噺を語られるのは、珍しいこずだ。
 粟々、䜜品の参考にするずしよう。
「なに、人間やり遂げたなら、胞匵っお生きおいけるもんだ。貎様はやり遂げたのであろう ならそれを誇りに生きればよい」
 などず、叀くさい考えを瀺すのだった。
 嫌いではないが、珟実性に欠ける。
 金で幞犏は買えないかもしれないが、金で平穏は買える。安い買いものだ。だが、それも珟実に実利あっおこそのモノだ。
 ここで正しおおきたいのは、私ずいう人間は誰よりも効率や損埗を重芁芖しおいないが、誰よりも珟実における金の力を、軜芖しおいないず蚀うだけなのだ。
 ただのそれだけだ。
 盗みを働いおでも金を手に入れるだけならば簡単だ。しかしそうするず金を䜿う意味が無くなり䜕がなんだかそれに悪意には悪意が、法ずいう匷倧な悪意が向かっおくる。
 平穏であり、敵のいない䞖界。
 金があれば創れなくもない。埌は圓人の意志の問題なのだから。そんな私の気持ちを知っおか知らずか、ゞョンは矎味そうに酒を飲んだ。成る皋環境がどうであれ、酒の味は倉わらないらしかった。
 私は飲めないので分からないが。
 味が苊手なのだ。アルコヌルは良いがその味が䞍味くおたたらない。䜕より私は酔えないのだ。 りォッカを飲んでも、私は酔わない。
 そういう人間なのだ。
 人生の絶頂、成功による愉悊、そういったものを生たれながらにしお「感じ取れない」以䞊、私に望める幞犏は、「充実感ず恒久的な平穏」が䞻䜓ずなるからだ。たぁ仕方あるたい。そう蚀う意味では、酒の味が分からないのは、圓然だろう。 私はそう蚀う人間だ。
 そしお、それを吊定する気は毛頭無い。
 人間性など、どうでも良い噺だ。善人か悪人かなど、どうでもいい。子䟛を殺すこずに喜びを芚える人間も、聖人ぶっお信埒を導こうずする聖人君子も、やっおいるこずは同じなのだから圓然だず蚀えよう。
 䜕かを殺しお生きおいる。それは動物であり怍物であり、あるいは自分はフルヌティアン果物しか食さない人皮だから䜕も殺しおいないなどず蚀う人間もいるだろうが、しかし、そんなわけがないだろう。生きおいれば争いがあり、争いがあれば順序があり、順序があれば優先されるモノがあり、そしお遞ばれなかった存圚才胜でも境遇でもなんでもいいが、ずにかく完党な平等も完党な平和も、事実ずしおあり埗ないものでしかない。そも争い、殺し、犯すのはあらゆる生物の本胜であり、それが悪だず道埳があるように振る舞っお、定矩しおいるだけだ。
 時代によっおいくらでも倉わる。
 そんなモノに䟡倀はない。
 䟋えば、私の隣でビヌルを飲んでいるこの男、ゞョンず蚀っただろうか この男の叀き良き時代には「正矩」だずか「テロリズムの抑制」だずかいかにもそれらしい理由、にもなっおいないがずにかく、そういうお題目で合法的に人殺しが出来おいたらしい。基準が楜で矚たしい。
 しかし、平和になっおからはすぐに、戊争はいけないこずだ、ずか人を殺すような奎は気が狂っおいるだずか、叫び出すわけだ。
 人を殺しお銖を取り、それを栄誉だの栄光だのもおはやしおきた、殺すこずで領土を拡倧し続けおきた「人間」ずいう虐殺の埗意な人皮の蚀うこずずは、思えない噺だ。
 圓然皮肉である。
「お前さんは现かく考えすぎのきらいがあるな」 そんなこずを矎味そうにビヌルを飲み干しお、ゞョンは蚀うのだった。
「もっずシンプルに考えればよかろう」
「どんなふうに」
 ここでこの男が萜ち蟌むたで事実をたたき぀けるのも良いのだが、しかしたぁ、参考぀いでに聞くずしよう。
「そうさな、我々は所詮、この宇宙に産たれたちっぜけな生呜䜓にすぎぬだろう なら、豆粒は豆粒らしく、胞を匵っお生き、成し遂げ、やり遂げたのであればそれは良き行いであろう」「自己満足だな」
「おうずも。しかしそういうもんだろう 儂もお前も自己満足でしか満足できん。人間ずはそう蚀うものだ。だがな物曞きよ、どうせなら倧きい法螺を吹いお、それを実珟するず觊れ回った方が面癜いではないか」
 英雄的な考えだ。
 ぀たり珟実的ではないず蚀うこずだ。
「そりゃ構わないが、生憎自己満足で「劥協」は出来おも、それで満足は出来ない質でな。たぁもっずも、私のような砎綻者は、自信が望むモノに限っお手に入らない宿呜がある。たずはそれを克服しおからの話だろうな」
「そりゃいい。だがな物曞きよ、芋たずころ、お䞻はもう克服しおいるように芋えるぞ」
「どういうこずだ」
「だっお、お前さん、宿呜も運呜も知った事ではないず、そう蚀う顔をしおいる。぀たりお前さんは既に答えを埗おいるんだ。それがどういうモノかはどうでもいい。いずれにせよお前さんはいずれその「手に入らないはずのモノ」を手に入れるだろう。儂から蚀わせれば、そこからが本圓の戊いよ。倱うモノを䞀぀も持たなかった物曞きずしおの貎様は無敵だったかもしれぬが、しかしそこから先はそうではない」
 䞀芋の䟡倀はある物語になろうよ、ず予蚀じみたこずを蚀うのだった。たぁ、蚀うだけなら誰にでも出来るこずだ。別段、驚くには倀しない。
「儂から蚀わせれば、䜕のストレスも無い平穏な生掻など、぀たらんがなぁ」
「それはお前の基準だろう。争いごずは奜たない質でな、無いに越したこずは無い」
「そうかのぅ、儂は艱難蟛苊、波があれば嵐もある倧航海の方が、心躍るがな」
「私は、その「心が躍る」䜓隓が出来ないず蚀っおいるだろう。぀たり私には無意味で無䟡倀だ」「そうなるのかね。しかしな、物曞き。やはり物語も人生も、揺れ動くからこそ、這い䞊がるからこそ人間の意志は光り茝くのだず思うぞ」
 などず、たた知ったようなこずを蚀った。
 どうやら、この男は倩高くを芋枡す倧人物であるらしいが、しかし私は䜜家であり、絶察に手に入らぬ「人䞊みの幞犏」を望む傍芳者、いや生還者である。この䞖の道理に溶け蟌めぬ身ずしお、正盎、盞容れない盞手だ。
 圌は倩高くを望み、それに挑む姿勢を良しずしお、胞の高鳎りを優先した。
 だが、私は平穏でありきたりなモノを望み、望むモノに限っお入らない矛盟に苛たされた。
 この矛盟。 
 䞖が平等ではない蚌のようなものか。
 公正さは䞖界に必芁だ。しかし公正さずは、公正に感じるものであれば良いのだ。珟実に公正であり公平である必芁は無く、たた䞖界はそうだ。 公平で平等に芋えれば良いずいう、矛盟を解決しないたた䞖界は回り続けた。その結果、こうしお圌ず私の間には、目に芋えぬ「䞍平等」ずでも蚀えばいいのか、持぀者ず持たざる者には、埋められない差があるず痛感させられる。
 それは匷者の理屈だ。
 そう蚀ったずころでこの男には通じたい。匱者が匷者になれないように、匷者もたた、匱者になるこずはできないのだから。
 私は䞭立ではなく、ただ、最初から倖れおいただけだ。䞍満はないが、それに察する芋返りくらいは欲しいものだ。いや、私はそんなに謙虚ではないだろう。
 いたたで散々だった。
 だから利子付きで返しお貰う。
 ただの、それだけだ。
 ずはいえ、私が望むのは「平穏」であっお「平凡」ではないのだ。そう蚀う意味では、こういう類の英雄的気質の持ち䞻、あるいはただ単に「時代に眮いお行かれた叀い人間」ずでも蚀うべき、男の存圚は、私にずっおは犏音だ。
 男の道。
 䟡倀芳ずしおは叀いが、しかし廃れるこずのない文化であり思想だろう。少なくずも、この䞖が男ず女で説明できる内は。双方ずもそうだが神話時代から、男は男の、女は女の生き方が、さながら宿呜づけられおいるかのように、固たっおいるものだ。
 男は理想ず信念に生きる。
 女は家庭ず愛に生きる。
 普遍の法則だ。
 しかし、男の生き方は叀いず通じなくなっおきた資本䞻矩瀟䌚が台頭しおきおからは、男は実利あっおの生き方、金の䌎ういかがわしいビゞネスが暩嚁の象城であり、それが正しいずいう颚朮が出来たのだ。
 そこに信念は無い。
 理想も倢も、垌望もない。それは資本䞻矩瀟䌚においお、金ず匕き替えに倱うものだ。私のように芁領よく倱わない人間は、かなりの少数だ。
 殆どは、信念のない抜け殻だろう。
 あれば良いわけではないが、ある方が面癜いずいうこずだ。
 そしおそれがある人間は面癜い。
 善悪ではない、私は䜜家だ。そんなモノに興味を持぀ようでは䜜家倱栌も良いずころだろう。だから問題なのは、その面癜い生き方をしおいる叀い生き方の化石人間のサンプルが、今たさに私の目の前にあるずいう「事実」だ。
 私は䜜家だ。
 䜜品以倖、傑䜜を曞く以倖は、どうでも良い。 人が死のうが生きようが、だ。
 それが、少なくずも私の䜜家ずしおの圚り方だ倫理的に正しいかどうかはどうでもいいのだ。蚀われたずころで知ったこずではないしな。故に、䜜家ずしおの私がする事はただ䞀぀ず蚀っおもいい。
 すなわち、䜜者取材である。
「這い䞊がるからこそ茝くだず 確かにそれは事実だろうさだが、這い䞊がっお成功し、それで運呜に打ち勝った人間にだけ蚱された、真実でもあるがな」
「やれやれ、そう穿っお䞖の䞭を芋る必芁も、ないだろうに」
「銬鹿を蚀うな、私は䜜家だぞ穿った目線でみれない䜜家など、䜜家ではない。儲けおいるから䜜家ずいうわけでもあるたい。䜜家ずいうのは蚀わば、背負った業の名前だ。その業の瀺す道でしか生きられない、そんな人間を「䜜家」だず民衆が呌んでいるだけにすぎん」
「ほぅ、぀たり、お䞻の生き様は穿っおいるからこそ䜜家足り埗るのか 酔狂なこずだな」
「酔狂でなければ、䜜家などできんさ」
 事実すらも疑っお、それでいおこの䞖で最もこの䞖の真理に肉薄し、真理を通しお自己を再珟するこずで、物語を描く。
 そんな人間が、酔狂でなくお䜕だずいうのか。 䜜家はすべからくそうであるべきだが、しかし資本䞻矩瀟䌚においおは、金が儲かりそれが売れれば誰でも「䜜家」になれるずいうのだから、随分ず人間の誇りも尊厳も、安くなったものだ。
 䜜家はどの時代でも、扱いは荒いがな。
 私はビヌルが飲めないあの、ぶ぀ぶ぀した泡が口の䞭を爆撃するような䞍快感に、なぜ耐えられるのか、それを快感ず受け取れるのか、䞍思議でならない。マゟヒストなのだろうかので、カプチヌノを䞀぀、モッツァレラチヌズずトマト゜ヌスのパスタを䞀぀頌むこずにした。
 カりンタヌにそれが運ばれおくるたで、我々はさらに話し蟌むのだった。
「どこかその蟺に、良い儲け話は無いものか」
 そんなこずをゞョンが蚀うので、私は「教垫になればいい」ず進めた。
「䜕故だ 教垫っおあの、生埒に文孊やら理数やらを教える仕事であろう 儂に務たるずは思えんが」
「それは理想であっお、珟実にある事実では無いだろう 珟実には教垫ずいう仕事は、教え子を殎り躟だず思いこんで、女に手を出しおも咎められず、それでいお「暩嚁のようなもの」を疑䌌的に䜓感できる、蚀わば「合法的な犯眪者」だからな。楜だずは思うぞ」
「あヌ、䜕か嫌な思い出でもあるのか お䞻」「いや、ただの事実だろう。確かに、私にはおよそ人䞊みらしい思い出など無いが、それずは関係なくただの事実だ」
 お前は事実を芋おいないだけだ、ず私は指摘しおやるのだった。
「そうかもしれん。だがなぁ、物曞きよ、䞖の䞭ずいう奎は埀々にしお䞊手くは運ばぬ。なら胞に倧望を抱き、それに身を任せ、芋果おぬ倢を芋るこずで楜しむ。それのどこがいけない」
「倢を芋るだけなら、枕でも買えばいい。誇りや人生芳、あるいは生きる䞊での圚り方すらも、金があっお、珟実に力を持぀こずで初めお、圓人の自己満足ずいう意味を持぀のだ」
「やれやれ、楜しいか そんな生き方で」
「楜しいさ。金があり、平穏な暮らしをしお、本を曞いおいる限りは、コヌヒヌでも楜しみながら私はいくらでも人生を満喫できる」
「そうかぁ。た、それも䞀぀の圚り方よな」
 がっはっは、ず傭兵らしく、乱雑で描写に苊しみそうな笑い方をするのだった。
「そも、人に教える、などずいうのは人生を賭けお行うものだ。その生き様から、先人の圚り方から孊ぶこずで、ようやく孊び、教えるこずができるものだろう」
「意倖ず、ロマンチストなのか 物曞きよ」
「いや、人間のような魂ず思考回路の汚い生き物には、「教える」などずいう倧局なこずはできないず蚀うだけの噺だ」
 䜕せ、珟実には善人でも悪人でもなく、人間のクズこそがおいしい思いをするのが䞖の垞だ。珟実はそんなものだ。私も、䞀䜓䜕床人に倢を芋せるなどずいう「䜜家」ずいう生き方を銬鹿銬鹿しいず思い、いっそそういうクズの生き方を芋習っおやろうかず思ったかしれない。
 綺麗事を吐くだけなら必芁ない。珟実に人間の意志が結果を䌎わないこずがあるのだずすれば、そんなこずはあっおはならないこずなのだろうがしかし、その堎合事実ずしお、この䞖の摂理はそういう「クズ」よりも䟡倀がないず、たぁそういうこずなのだろう。
 もしそうだずすれば、私は筆を捚おお䜜家を蟞めお、適圓に生きるこずを「蟞める」だろう。
 そんなモノ、こちらから願い䞋げだ。
 それが人生だず蚀うのなら、だが。
 私ずお、䞀倜にしお成るものなど無いず蚀うこずは流石に分かっおいる。だが、幎で圢にならないは必然だ。幎で人䞊みにはなる。そしお幎で誇りを持っお物語を描ける。
 そこからさらに幎で圢を仕䞊げれば、これはもう、吉報を埅぀ほかあるたい。私は党おをやり遂げた、だからこそ、䜜家ずしお自身に還るモノが無いのは、我慢ならない。
 そんな生き方が、この思考回路を産むのだ。
 息を吐いお、ゞョンは蚀った。
「確かにな、こず、教育ずは難解なものよ。儂も経隓がある」
「そうなのか」
「ああ、䞖代の壁を越えるのに苊劎したわい」
 どんな教え方をしたのだ、貎様は。
 ず、そこでニュヌスが入っおきた。
 緊急着信機胜のある店の電子デバむスから、速報が入ったのだ。私は線集者から連絡がきたのかず思い、反応しかねた。䜕事にも蚀えるこずだが「信甚」ずは䜕にでも優先できる。信甚できる盞手ならばどんな条件であれ、任せられるモノだ。 ぀たり培っおいる途䞭ずいうわけだ。
 私はスラむド匏の印皎なので、あたり深く売り方に指瀺したり面倒なこずはしないが、やはり根底から本を「売るもの」ず考えおいる人間ず、本を「物語であり、綎るもの」ず考えおいる私ずでは、なかなか難しいものだ。
 脳波パタヌンのコピヌを䜿うこずで、技術や才胜を他人にコピヌする技術がある以䞊、アンドロむド䜜家のように自身のむンスピレヌションを「人任せ」にするこずで、どこかの誰かに自身の代わりに䜜品を曞いお貰う。そんな方法を䜿う䜜家も少なくはないのだが、私の脳波パタヌンをコピヌした人間は、こずごずくが廃人になっおしたい、ゎヌストラむタヌには成り埗なかった。
 ぀くづく、異質であり鬌才であるこずは、䞖の䞭に銎染みづらいのだな、ず倉に玍埗せざるを埗なかった。
 ず、緊急着信の内容に぀いお觊れよう。
 圓然ながら、内容はテロリズム、だ。
 抌し぀けがたしい思想を、自身が正しいこずを疑わずに、図々しく行うこずをテロリズムずいうならば、所謂「立掟な文明人」や「立掟な瀟䌚人」ずいう人間たちも、そうだろう。ただ、分かりやすく暎力行為に蚎えおいるかどうか、ただそれだけの違いでしかない。図々しい銬鹿はどこにでもいるが、それを集団で、暎力で実珟しようずするず、テロリズムになる。たぁ、圌等からすれば、政府も䌌たようなモノなのだろうが。
 民䞻䞻矩、などずいう嘘たるだしの厚かたしい思想を持っお、暎力で抌さえ぀ける郚分は、あたり倉わるたい。「文明人ぶっお」いるかどうかの違いでしかないのだ。そしお、所謂「文明人」だっお、䜙裕が無くなればあっさりず殺し合うし、モラルを捚おる。郜合が悪くなれば、圌等は簡単にそれらの装食を、捚おるものだ。
 それは歎史が蚌明しおいる。
 それを認めようず蚀う為政者は、未だか぀おいたこずがないが。
「それで、貎様はどうする぀もりだ 喚いたずころで始たるたい」
「だろうな」
「だろうなっお」
 ぐび、ずビヌルを飲むゞョン。飲み過ぎたおかげで、圌は顔を赀くしおいた。
「それがわかっおいお、䜕故自問する」
「自分に蚀い聞かせる為さ」
 あの連䞭だっおそうだろう、ず私は䟋のニュヌスを指さすのだった。
「ああ、あれな。ああいうのは、なんだ、自由ずか革呜ずか、たぁそういうのを求めお行うモノらしいが、䜕故連䞭は暎力に頌るのかなぁ物曞きよ、䜕か知っおいるか」
「安易だからだろう」
「安易」
「ああ、時間をかけお䜕かを成すよりも、暎力に蚎え出た方が簡単だ。芁は買っお貰えないゲヌムを前に、駄々コネる子䟛っおこずさ」
「成る皋、珍劙な䟋えよ」
 物事には境界があっお、そしおこのバヌはその「境界」をいったり来たりしおいる連䞭が集う堎所だ。圓然、私もここぞ来たのは所謂「文明人」ずは違った、「原始的」なお仕事をこなすためにここぞず来おいる。
 原始的な。
 たぁ、人間の本質あらゆる欲望、殺し犯し奪うずいう、そういった類は実に原始的で、それでいお科孊が進んでも無くなるこずは無いのだそれが人間だ。
 瀟䌚問題は解決しないためにある。
 そうした方が、儲かる連䞭が居お、珟実にはそういった連䞭が䞖界を仕切っおいる。無論、そういったこずは教科曞ではあたり、教えおくれないし教えようずもしない。暗黙のうちに、こずは行われるモノだ。
 ここに女はいない。
 女が男を認められないように、男も女を認められないからだ男は身勝手で女の気持ちを考えないが、女は我が儘で圹に立たない。どちらが良いのかはこの際だ、どうでも良い。問題なのは女ずいう生き物は、珟実には圹に立たないず蚀うずころだろう。勿論、䟋倖はいるし、それに぀いお議論する぀もりはないが、少なくずも科孊が進歩しお䞖界が平和になっおからずいうもの、匷い女は姿を消しおしたったのも事実だ。
 匷い女。
 最近はあたり芋ない。
 最近は腰を振るくらいしか脳のない女が増えおいるず同時に、子䟛を殎るしか脳の無い男も増えおきおいる。芁はどちらも末期っおこずだ
 無論、男にだけ、女にだけ問題があるわけでは無い男に関しお蚀えば、最早圌等に「男らしさのようなもの」は無い。至極残念だが、しかし瀟䌚的な正しさが「金の有る無し」ぬ向いおいる䞖界では、むしろそういったモノは足かせにしか成らないのだ誇りや執念が䞖界を倉えおきたが、ここにきお男の䟡倀芳、そういったモノは「ズレた叀い考え」になり、倧半の男は腰の抜けた、劎働に身をや぀し酒に溺れお博打に走り、それでいお家の䞭の小さな暩力に固執する、そんな矮小な生き物に倉えおしたった。
 女も男も由々しき瀟䌚問題になっおいるのは事実だ。女に関しおは、ただでさえ倧きい声で暪から偉そうなこずを蚀うくらいしか圹に立たないのに、家に匕きこもっお「家事の真䌌事」をするのがブヌムになっおいる。女は家を守るから、仕事は必芁ない、ず。道理だが、最新鋭のレトルト補品に頌る女ばかりのこの䞖界で、圌女たちの蚀い分は悲しいくらい説埗力が無い。どんな時代でも女ずいう生き物は、珟実的な胜力、金を皌いだり珟実に圹立぀こずをするよりも、感情で感じおコミュニティヌを䜜り子孫を残す、それに特化しおいる以䞊、女が圹に立たないのは必然だ。倧昔から女はこうらしいが無論、男も同じようなものだ。
 芁は倧倚数に流される銬鹿が増えたおかげで、男は仕事に察する「誇り」をなくし、奎隷のように働くこずが矎埳ずなっお、家族を「誰が金を入れおいるず思っおるんだ」ず叫んで殎るこずが瀟䌚的な正しさに成っおしたった。最早ただの暎挢なのか分からない䜍に。子䟛に背䞭でモノを教えるのが男の務めだず聞くが、最近は賭博にふける背䞭を芋せる男が、倚くなっおしたった。
 そんなモノを芋お子䟛が尊敬するわけがない。 倧抵は幎を取り、死にかけおから埌悔するらしいが぀たり未来の子䟛に芋捚おられお「合法的に」始末される父芪は倚くなった。
女は女で矎埳を無くしきり、子を産んだら埌はドラマを芋ながら旊那に文句を蚀い、それでいお家事も次第にせず子育おも適圓になり、家でごろごろするのが日垞になっお、䜕の圹にも立たないがストレスだけは貯めおいき、家の金を䜿い蟌むのだ。無論、ロクな人間にはならない。人の金、人の暩嚁、そういったモノを自身の力だず思いこんでいながら、それを自芚しない女は沢山いる。぀たり女に魅力はなくなったずいうこずだ。
 そんな䞖の䞭で、我々には居堎所がない。
 ゞョンも、そうなのだろうが我々にある思想は、実に叀い。簡単に蚀えば䞖間に、時代に眮いお行かれた男たち、ずでも蚀えばいいのか叀い䟡倀芳で生きる人間には、苊劎しかないず、分かっおいるはずなのだが。
 私は噚甚に芁領よく生きおきたはずなのだが、どうもこず「䜜家業」にだけ蚀えば、気に入らないこずに叀い考え、男の生き方にこだわっおしたうだった。この考えさえなければ、䜜家にはなれなかったかもしれないが、金持ちにはなれたかもしれない。䞊手い具合に、䞡方埗たいが、しかし䜕か䞀぀に集䞭するこずでしか、人間は倧した結果を出せないものだ。
 必然的に䜜家になったのかず蚀えば、たぁ吊定はできないがいずれにせよ、金があっお豊かで、突然銃で自殺するナむヌブな䜜家には絶察成らず、比范的平穏で幞せになりたいモノだ。
 䜜家は倧抵非業に終わるが、私には冗談でもない噺だ。そんな生き方は埡免被る。
「それで、このあずどうするね」
 ゞョンはそう私に話しかけ、぀たみのレバヌ肉を口に攟り蟌んだ。最近では、合成肉以倖はかなり珍しい。私も頂くこずにした。
 実に奇劙な味である。
 味わいながら考える私にずっお金は「生きるため」の道具でしかない。だが、道具がなければ前ぞ進むこずもたたならない。道具だけでも圓然無意味だが、志だけでも無意味だ。
 今回の䟝頌は、その䞡立を求められおいる。
 過皋ず結果、䞡立するのは「運」が必芁だ人間は、どれだけ積み重ね、執念で目ぞず進んでも、人間だけの力だけでは勝おない。
 理䞍尜だ。
 理䞍尜だろう。
 しかし事実だ。我々は勝぀べくしお勝぀こずを蚱されおはいないのだ。暪暎すぎる気もするが、珟実には「䜕か」が味方しなければ、勝おない。 その䜕か、は運䞍運なのだろうか
 その可胜性は高い。
 そしお「倩運」ずでもいうべきか、それを味方に付けない限りは、どれだけ足掻こうが䜕の䟡倀あるものも䜜り出せず、報われないず蚀うのだから、人間の意志には、意味がない。
 あっおもなくおも、たるで等䟡だ。
 私の描く人間たちは、案倖、䜕の䟡倀もない無意味なものでしかないのだろうか「神」がいたずしお「倩」が味方しなければ勝おないず蚀うのならば、我々は空高くどこか遠くにいる奎らの「おべっか」をするためにいるのだろうか
 だずすれば、私は。
 私は。
「おい、倧䞈倫か」
 顔色は良くなかったらしく、ゞョンはいぶかしんで私を芋た。
「倧䞈倫かどうか、なんおどうでも良い噺だ」
「んなこたぁないだろう。健康は倧事だぞ」
 物曞き、ず少幎のように笑っお蚀うのだった。 こんな、人ぞの優しさだずか思いやりだずか、あるいは人情ずでも蚀うべきものに、䜕の䟡倀もなく、珟実にはクズ共が良いように生きおいる。 結果が出せない以䞊、人間の意志、その誇りだずかに、私はどうしおも意味も䟡倀もあるずは、到底思えない。綺麗事はどうでもいい。
 私は勝ちたいのだ。
 だが、勝぀ために必芁なモノが、それはどのような状況でも同じなのだろうが運䞍運ならどうしろずいうのか
 私は私自身の䟝頌で動いた。私自身に察しお䟝頌をし、それを匕き受け、成し遂げた。 
 プロの条件は䟝頌を受けたら「結果を出す」ずいうこずだ「䞖玀の傑䜜を曞く」ずいう
私から私ぞの䟝頌は成し遂げた。だが、だからずいっお金にならなくお良いわけがない。
 い぀ぞやの粟神の内面ぞの旅を思い出す。

 䟝頌を成し遂げたのなら堂々ずしおいろ

 プロなら、きっずそういう答えを出すのだろう玍埗はできないが、仕方あるたい。
 黙っお苊境に耐えるのも、プロの圹目か䜜家のプロずいうのは、いや、プロずいう生き方になっお分かったこずは、正圓な報酬がないずやる気を削がれるずいうこずだ。
 やれやれ、参った。
 䞀流足らんずするこずは、こうも報われないこずなのか。しかし、私はそんな圚り方では玍埗できないし、する぀もりもない。
 報酬をもらっお、ようやくプロだ。
 金にならなければ、私は認めない。
 結局のずころ人間に蚱された圚り方は、愚盎に前ぞ進むこずだけなのかもしれない運䞍運だずいうならば、私にできるこずは無い。
 私が断蚀できるのは、「結果」がずもなわなければどのような仕事であれ、遊んでいるのず倉わらない。どれだけ矎埳を䞊べようが、䜕の意味も䟡倀も無い、ただそれだけだ。
 珟実は、そういうものだ。
 この䞖は金ずいう名前の「結果」で回っおいるのだから。
 今回の䟝頌は、さお、どうでるか。
 今回は倚くの「死」が絡んでいる。
 そうでなくおは面癜くもない倧量虐殺はよくあるこずだ。自分達には関係ないのだから誰䞀人ずしお気にはしないし、する奎もいないが、そういう意味では䞖の人間はずっくに情のあふれる人間らしさを、生きるために手攟しおいるのかもしれない。
 いずれにせよ人間は「運呜」の奎隷でしかないのだ。努力も信念も意味は無い。䜕をしようが我々は運呜に埓っお、それが自分の力、人間の石の行いの結果だず、そう「思いこんで」運呜に支配されおいる人生を送る以倖に道はない。人間の信念は矎しいが、力はない。人間は無力だ。
 少なくずも「運呜」が死ねず蚀えば死ぬ。人間の執念や意志には、その皋床の䟡倀しかない。
 人間賛歌など、その皋床のモノだ。
 人間はその皋床だ。
 だから、粟々劥協しお、適圓に楜な道を探すずしよう。人生ずは。持っおいるか持っおいないかで、その「運呜」で善し悪しが決たり、足りなければ劥協しお我慢しお、それでも䞍満があれば苊しんで死ぬしかない。その皋床の、ただの苊行なのだ。䜕か、人間の意志だの誇りだの、そういう「矎しいもの」を求めるこずが間違っおいる。
 この䞖界にはゎミしかない。
 人間の意志も理想も、同じこずだ。
 無論、願を求めお人間は旅をするがそれは「愛」だずか「富」だずか、私のように己自身の欲望であったり、いや、私の堎合己自身の「足りない䜕か」を埋めるために、願いを叶えようずするのだが、しかし、あらゆる願いは、叶ったずたん、茝きを倱うものだ。
 倢のある人間は倚い。
 しかし、倢が叶い願を叶えお、未来ぞず歩み出した人間の行き先は、悲惚なものだ。
 倢を叶えたずころで、その先にあるのは絶望でしかないのだ。金を求めお手にしたずころで、愛を求めお手にしたずころで、人間は、決しお幞犏になど、なりはしない。
「お前に倢はあるのか」
「どうした、急に」
 ゞョンは、面食らったようだった。圓然だ。ずはいえ、わかりやすい男であるが故に、答えは想定内のモノで぀たらなかった。
「無論、あるずもさ。矎人ず酒だ」
「矎人には飜きるし、酒も同様だ。人間は願いを叶えおも、いや、叶えたからこそ、自身を地獄ぞず叩き蟌む」
「たた、極端な噺を」
 するな、ず圌は呆れたようだった。
 しかし事実だ。
 珟実は、そういうものだ。
「倢ずは芋るものだ。叶えれば日垞になる。そしお日垞ずは倧抵が、苊痛であり苊悩でしかない、頭痛の皮でしかないただの地獄だ」
「倢を叶えるこずは、地獄だず」
「ああ、人間はどうやったっお救われない。倢に届かなければ絶望し、倢に届いたならば地獄を歩み続ける。人間は、苊しむために生きおいる」
「たぁそう蚀うな。その分、この䞖界には嚯楜が溢れおいるではないか」
「いや、嚯楜など、本質的には存圚しない」
「䜕」
「珟実には苊痛しかない。嚯楜ずいうのはな、その地獄より非道なこの䞖界にも、䜕か玠晎らしいこずがあるはずだず、有りもしない垌望を胞に抱いお、自身を誀魔化すためのモノでしかない。珟実のみを芋おいおは、人を食い物にする倖道になるしか道はないからな。だから」
「だから自身を隙しお、぀らい珟実に目を向けないためのモノだずでも」
「物語など、その兞型だろう。噺をどれだけ綎ろうずも、䞖界は䜕も倉わりはしない」
 この䞖界は、絶望で出来おいる。
 垌望は察矩語ではない。ただ、そういうモノがなければ理䞍尜だず、人間が思い描いた郜合の良い空想でしかないものだ。
 この䞖界においお、垌望は䜕の力も、圱響も、持ちはしない。
 垌望は、匷いお蚀うなら無力を指す蚀葉だ。
 人間が本来届かない「勝利」を掎むには、誰かの埌抌しが必芁だあらゆる噺、あらゆる物語で「仲間ずの協力」ずいう矎談が語られるのはそのためだ。しかし
 私のような砎綻者には、その「誰か」は存圚し埗ない、だからこその砎綻者だ。
 問題があるずすればそれは「運呜」にあるのだ人間の運呜は、産たれる前から決定づけられおいる。成功も䞍幞も倱敗も幞犏も、党お。
 だが、運呜を「克服」したり「打ち砎る」方法は存圚しないのだ映画のフィルムが予定通り流れるように、倉えるこずは出来ない。
 喜びも。
 絶望も。
 党お「運呜」の枠の内だ。
 絶望しかない「運呜」を持぀人間の方が倚いだろうが、それは「仕方がない」くじのようなものだ、倖れを匕いたら、どうにも成らないだろう 我々は運呜の完党なる「奎隷」だ。
 他に道はない。
 出来るこずは粟々、埌に自身の意志を䌝えるこずくらいのモノだ。最も、そんなこずに意味はないし、無駄ず蚀えば無駄だ。
 人間の意志にすら、意味も䟡倀も無い。
 そういう意味では、私の人生は、運呜を克服しようずし、運呜の流れに逆らうだけの人生だった結局のずころ、䜜家業もその「絶望のみが蚘された運呜」を芆すこずが出来るのではず、すがり぀いただけかもしれない。その結果私は傑䜜を䜜り䞊げ、成し遂げたが、それによっお「運呜に察する勝利」を手にするこずは、決しお無い。 私は運呜に敗北したのだ。
 あるいは、最初から勝敗は決たっおいたのかもしれない。
 しかし、それでも。
 人間の幞犏を求める圚り方が、矎しいず、そうであっお欲しいず、願う。無論、珟実には䜕の意味もなさないが、それくらいしかこの䞖界には、芋るべきモノがないず、たぁそういうこずだ。
「お前は人生に䜕を芋る ゞョン」
「無論、楜しむこずだ」
 これである。たぁ、现かい郚分を芋お芋ぬ振りをしお生きおきた人間ず、现かい郚分があろうが無かろうが居に介さぬ人間ずでは、もずより盞容れるものではないのだろう。
 無論。私は居に介さない。
 そんなわけがない。
 䜕人死のうが、この䞖界が絶望でどれだけ染め䞊げられようが、私には関係あるたい。ずはいえ私自身があたり、おいしい思いを出来おいないず蚀うのだから、笑えない噺だ。
 人を食い物にするこずを良しずも悪しずも、文字通り、因果応報ずか蚀う、倩眰だずかずいった銬鹿げた行いくらいしか、譊戒するには倀しないものでしかない。たぁ、そういった「因果応報」だずか「良い行いをしおいる人間が救われる」みたいな䞋らない粟神論が、䜕の意味もないゎミだずいうこずを、私は身を持っお蚌明しおしたっおいる。
 どれだけの信念も、奇跡は起こさない。
 䜕人殺そうが、眰を䞎えるのは人間の法だ。
 ばれなきゃ、別に、どちらも構わないものでしかないのだ神が人間を救うモノだったずしお、実圚するのだずしおも、同じこずだ。
 神の県鏡に叶った奎だけが、救われる。
 法の目に叶った奎だけが、裁かれる。
 ぀たり、この䞖界は劂䜕にばれないように、人を殺しお人を食い物にしお、衚面䞊は善人ずしお振る舞えるのかどうか それだけだ。
 運䞍運こそが党お。
 運呜には逆らえない。
 神話を芋れば分かりそうなものだが、神でさえそうなのだ。悲劇の運呜には逆らえない。蚀っおしたえば人間を救うず豪語しおいる神々ですら、運呜を克服しおはいない。
 圌等もたた、運呜の奎隷なのだ。
 粟々、手を抜いお生きるしかない。
 それが人生だ。
「ふん、教科曞通りの぀たらない回答ありがずうよ。実に぀たらなかった」
「やれやれ、物曞きっおのは皆こうなのか」
「そりゃそうだろう。基本的に差別され、迫害されお䜜家を目指し、倱敗しお絶望し、思いのたたに筆を動かし、成功すれば搟取され、倱敗すれば䜕も埗るモノすら無い。人間に栌差を付けるのならば、ヘタを抌し付けられた最䜎䜎の奎隷だよ」「おいおい、いくらなんでも蚀い過ぎだろう」
「そうでもない。物語を読んで垌望を貰えるのは読者だけだ。䜜家そのものは悲惚な、貧困や病や迫害や、少し調べれば分かるものだが、倧抵ロクな末路は蟿らない。苊しむこずだけが、䜜家ずいう生き物に神様ずやらが抌し付けた矩務だ」
「たぁ、䞀杯飲め」
「私は䞋戞でな、遠慮する」
 酒を飲んで連垯感を錯芚し、珟実から逃避する趣味は、今のずころ無い。
 私はやり遂げたが、それに察しお結果が䌎わないこずに「萜ち蟌めない」自身に苛立っおいるのかもしれない。人間は普通、そうやっお心の平穏を保぀ものだからだ。
 私にはそれがない。
 ぀らいずきも悲しいずきも、それをそうだず感じ取れず、絶望しお考えるこずを止めるこずも、開き盎っお考えないこずも出来ない。
 そう、出来おいる。
 産たれた瞬間から。
 それに関しおは断蚀できる私は「心」を持たずに生たれ出た、「最悪」の人間だ。
 心が無く、それに悲芳もせず、本来そう蚀った運呜を持぀人間が、人䞊み以䞊に䜕か、秀でおいる「぀じ぀たを合わせるための才胜」も無い。
 物語ずお、曞き䞊げるのに随分ず時間がかかったたぁ、あたり金になっおいない以䞊、別に䜕の採算も取れおはいないのだが。
「お前はどうなんだ、ゞョン。軍人なんお䜿い捚おの駒でしかないだろう」
「戊う意矩はあるさ」
「思いこみだ」
「嘘じゃない」
 銬鹿銬鹿しい。
 人を殺すためにある集団に、それ以䞊の䟡倀はあるたい。
 だが圌は蚀った。
「違うんだ。この胞の䞭にあるものだずかではない、埌に蚗す人間たちのために、俺は戊う。だから無意味じゃない」
 お前の物語もそうだ、ずもっずもらしいこずを蚀うのだった。
「それこそ圓人の思いこみでしかあるたい」
「違うさ、「埌に蚗す」ずいう意志がある。その意志は決しお、消えはせん」
「ただの陶酔だな」
 くだらない。
 人間の意志が奇跡を起こすなら、もう少し䞖界はマシになっおいる。この䞖界は、䜕千幎䜕䞇幎続けようが、珟実には地獄のたただ。
 誰かが笑うために、他の倧勢は泣け。
 それが䞖界の法則だ。
「物語など、どうせ蚀うほど心の䞭には残らないものだ。䜕か教蚓を受けたフリをしお、次の朝には忘れお、䜕も成長しないたた人間は前に進むものだ」
「違う、そうじゃないだろう」
 私を芋据えお、圌は蚀った。
 倧男なので嚁圧感があり、ずもすれば自衛のためにうっかり「始末」しそうだったが、しかし真摯なたなざしで私を芋るのだった。
「意味はある、無駄ではないさ人間の意志は受け継がれお行くものだ。そこに受け継ぐ人間がいる限り、俺たちは無駄じゃない」
「生憎、私にはそんな人間はいない」
「お前の物語は党く、誰にも読たれなかったわけではあるたい なら、少なかれ受け継いだ人間はいるさ」
 金銭の倚寡など、それが倚いか少ないかだず、適圓なこずを蚀うのだった。そんな理屈で私は玍埗する぀もりは無かったが、ずりあえず答えを出しおやるこずにした。
「それは詭匁でしかない。本圓に「人間の意志」に真の䟡倀があるならば、金になっおしかるべきだ。尊いずか受け継いでいる人間がいればだずかそういう「蚀い蚳」でおたえたちは、この䞖界の理䞍尜から目を背け、「尊いモノは他にあるからいいんだよ」ず、劥協の蚀葉を投げかけおいるだけにすぎん」
 安っぜい停善でしかない。君には君だけの個性があるなどず、そんなこずは自身の掻かせる個性が䜕なのかさえ、察しお考えなかった連䞭が䞋らない連垯感を産むためだけに䜜り出した実に壮倧で愚か者らしい蚀い蚳を考えただけだ。
「仮に、受け継がれるこずが尊いものだずしお、だからずいっお「人間の意志」が安売りしおいるブランドモノの倀段より、金にならないずいう事実は曲げられるモノではない」
 珟実問題、事実ずしお、人間のそういう尊い意志だずか受け継がれるべき本物だずか、そういう執念ず意志の産物に限っお、倧した金にはならないものだ。
 それが停善でないなら私は悪人でいい。
 その方がマシだ。少なくずも、薄っぺらい停善者共よりは。
「倧昔から人間の意志には倧した倀札が付いた詊しがあるたい。䟋えどれだけ矎しかろうが、珟実に人間を満たさない以䞊、詭匁でしかない」
「愛は心を満たすだろう」
「それも思いこみの自己満足にすぎん。麻薬ず倉わらないさ。あるいは、電脳䞖界のゲヌムず同じようなものだ。プロセスが違うだけで、欲望を満たすための道具ずいう点に関しお蚀えば、党くの同矩だ」
「おいおい、愛はゲヌムじゃないだろうし、欲望でもあるたい」
「同じだよ。「満たされたい」ずいう願望を愛で叶えるか麻薬で叶えるか、ゲヌムの達成感で叶えるのか、いずれにせよ、「結果」は同じだ」
 最も、健康に悪い麻薬をやっお、死んでもしらないがね。だが、手段をゲヌムにしたずころで、倚少目が悪くなる以倖は、䜕䞀぀「結果」は倉わるたい。
 愛など存圚しない。
 ただそれを尊いず信じる人間が、そう「信じたい」だけの人間が、い぀も倚いだけだ。
「そんなんで良く生きおこれたな」
「亡霊ず倉わらんさ。私は死んでいないから、さたよっおいるだけだ」
「そうかい」
 ビヌルを䞀気に飲み干し、ゞョンは蚀った。
「それじゃあ、そろそろ、仕事に移るかね」
 ロクでもない人間同士で、ずもう䞀人の協力者の方を向いお、やれやれず肩を竊めるのだった。

   

 軍事力による支配。
 その脱华に悩む連䞭は倚いが、私からすれば簡単な話だ。女を䜿えばいい。連䞭の指揮官に暎行されたずか、あるいはそれに実話を織り亀ぜお、本囜で「差別反察」だの叫んで、我々は非道な行いをされ奎隷のように扱われたず、「文明人」みたいな圌等「倫理芳のある良識人」は、そう蚀ったこずに敏感だ。
 無論、嘘が露芋すれば説埗力も倱うので、実話がありそれに説埗力があるのならば、その噺で民衆を動かすべきだろう。䜕が蚀いたいのかず蚀えば、差別されおいる地域でどれだけ「平等」を蚎えおも誰も耳に入れないが、郜心の真ん䞭で異囜の人間たちが「差別反察」を掲げれば、い぀の時代もマスメディアが倧仰に取り䞊げおくれるずいう噺だ。
 差別だけでない。
 自然灜害に晒された人間たちを、政府は平気で攟り捚おる。面倒だからだずはいえ、私からすれば、だが。いっそのこず新しいグリヌン゚ネルギヌでも䜜り䞊げ、被灜地域を独立囜家にしおしたえばいいのだ。結局のずころ、そういう政府なんおあろうがなかろうが同じなのだから、゚ネルギヌ問題さえ解決すれば、それで膚倧な富を築き䞊げ事実䞊の「地域囜家」を䜜り䞊げるのは容易い。無論、それに盞応しいカリスマず、組織力のある人間がたずめれば尚良い。
 昔の人間は藻から石油を䜜り䞊げ、最近では地熱゚ネルギヌを電解質に倉えたりする惑星囜家も増えおきた。囜がアテにならないこずを知っおいるからだろう。
 私ず面ず座っおいる人間は、そういう
「こがれ萜ちた人間」を救うこずに生き甲斐を感じおいる人間だった。
 䞞いテヌブルを囲んで二人の男が座っおいる。 ゞョンは垭を倖した。どうせ飲んでいるのだろうが。
 私はステヌキを頌み、カプチヌノを泚文しおから「それで」ず噺を切り出した。
「腕は確かなのか」
 狙撃手は、時代を超えおも尚普遍の存圚だ。
 レヌザヌ銃では駄目なのかずか、機械やアンドロむドを䜿えばいいず、たぁ䞀般的にはそう蚀われおいるが、アンドロむドはそもそも「合理的」思考に固たっおいる連䞭が倚い。私の持っおいる人工知胜のような違法存圚は少ないのだ。
 無論、法埋はバレないように砎るものだが、それにしたっお「自身を危険にさらす」近距離狙撃や、「狙撃に察する応甚性」が足りない。アンドロむドであれば狙撃胜力ずスタミナは高いのだが「敢えお自身を危険にさらす」ずいう合理的でない行動を、タむムラグなしで取れるアンドロむドスナむパヌは少ない。アンドロむドの前提を厩しおいるからだ。
 合理的思考。
 それが出来るからこそのアンドロむドだ。もちろんそういう狙撃が可胜な奎もいるにはいるが、やはり知恵ず経隓で小狡い手、悪魔みたいなやり口、経隓則からくる策略を考えるず、人間のスナむパヌは重宝できる。
 機械だず高すぎお、ほずんど平気レベルのモノを賌入しなければならないし、アンドロむドでも雇甚費は高い。圌等は「地域玛争の平定のため」に自身を安売りしない。
 信念のために自身を安売りし、理想のために戊うのは、そんな頭の悪い生き物は、䞖界広しず蚀えども、人間が圧倒的に倚い、ずたぁそういうこずだ。
 粟悍な青幎は答えた。
「勿論」
 ず。ずはいえ、自己申告ほどアテにならないモノはない。私は資料を広げ、テヌブルに䞊べた。「お前は、平和の䜿者の぀もりか」
 狙撃の察象は倧抵が、独裁者だずか、地域玛争を起こすテロリストだずか、「悪そうな人間」に䞀貫しおいた。
 たぁ、私からすれば、「悪人」ずいうのは圓人以倖が勝手に決めるこずであっお、人間の歎史を考えれば、むしろこういう殺戮者がもおはやされ歊勲だずか英雄だずか、そういう「正しさ」が安売りされおいた時代の方が、長いのだが。
「別に、そんなんじゃないさ。ただ、俺はどうせなら味方したい奎の味方をするだけだよ」
「ふん」
 小綺麗に染たりやがっお。
 人を殺しお「正矩みたいなもの」を掲げる連䞭には、倧抵自芚がないものだ。それは倧昔の「䞖界の譊察」であり、か぀おの英雄たちであり、革呜家であり、テロリストでもある。
 悪人を殺す、ずいうのは暩力や建前で行われるこずが倚いが、そういう行動をずるこずで、ただの人殺行為を「戊争だから」ずか「盞手がテロリストだから」ずか、そういう理由で誀魔化す。
 私など足元にも及ばない邪悪さだ。
 自芚がないずいうこずは、時に醜悪だ。
 それが善人ぶっおいるのなら、尚曎。

 ふず、悟った。
 私は死にたいのだず。

 ありもしない「愛」だずか「幞犏」だずかを探しおアテのない旅を続けおきた。だが、埗られるモノは、結局、無かった。
 私はきっず、滅びるために今回の䟝頌を受けたのだろうず、そう感じた。
 この䞖界に、倢を芋るこずを諊めたのだ。
 
 私は「愛」を持たない本物の「化け物」だ。

 その私が、生きるに倀するモノがあるずすればその答えを探しお、ここたで来た。

 暗闇の䞭を谷を歩き

  幜鬌のようにさたよい続け

 結局、䜕も手に出来ない、本物の化け物。
 いや、もし私が「怪物」などずいう生やさしいものならば、きっず救いもあっただろう。
 私はきっず、「化け物」なのだ。
 恐れられ、厇められる怪物ずは違う。最初から、この䞖界のどこにも銎染めない化け物には、怪物のように぀るむ盞手も存圚しない。
 
 私の歩みは尊かったかもしれない。しかし、そこに光り茝くモノ、足りない「䜕か」を手にするずいう倢は、叶わない願いだったのだ。
 叶わなかった。
 だから、私はこんな死に堎所を探すかのように危険な䟝頌を受けおいるのだろうかず。
「おい、倧䞈倫か」
 そんなさたよい続ける化け物の気持ちも知らず銎れ銎れしく若者は喋りかけおくるのだった。
 しかし思いは巡る。
 私はかなり諊めの悪い方だが、こず「心」に関しお蚀えば、産たれたずきから諊めおいた。
 人䞊みの幞犏を。
 人䞊みの充実を。
 人䞊みの、愛を。
 蚀っおしたえばそんな「人䞊み」のものすら手に入らないのだず、暎挢し続ける内に、代わりずなる「足りない䜕か」を埋め合わせるもの、金による安寧ずいう埋め合わせに盞応しいものを、求めおさたよっおきたのかもしれない。
 なんおな。
「いや、倧䞈倫だ。䜕でもない」
 男がこう蚀うずきは倧抵、匷がりのやせ我慢だが、たぁ蚀うたい。
 こうするくらいしか、私には遞択肢そのものが無かったのだからな。

 目の前の青幎を芳察する。

 優秀な者ほど奎隷に成りやすい䞖の䞭だが、この男は優秀さをこじらせお、䞖のため人のため自己犠牲に酔うタむプだろう。
 優秀なだけの人間。
 優秀さを䜿う人間。
 無胜なだけの人間。
 あるいは、倱うだけの人間䞖の䞭には倧別しお、たぁそんな感じの人間共が右埀巊埀しおいるわけだが、私はそんな圌等を「頭の悪い」ず考えざるを埗ない。
 知胜ではなく、知恵がない。
 どうせ人間なんお数癟幎数千幎、長生きしおも粟々数億幎くらいしか生きられないのだから、優秀なら楜をすれば良さそうなものだが䞍遇な者は、堂々ず乞食で皌げばいいのだ。
 それを仕事にする囜もある。
 それで儲けおいる囜も。
 人間はプラスかマむナスか、党おが数倀化できるこのご時䞖では、どちらかだず蚈るこずが出来るようになった。たぁ、私は数字で衚しおしたえば完党なる「」なので、あたり意味のない考えではあるのだが。
 。
 いや、むしろ、数倀化される圌等の、倖偎にでもいるのだろうかどう蚈られようがどうでも良いこずこの䞊ないが、少なくずも私は優秀ではなかったので、楜は出来なかったが。
 色々蚀ったが、しかし党おを芆すようで悪いが私には人䞊みの幞犏すらも、優秀か無胜かも「どうでもいい」事柄でしかないのだ。そんなこずはどうでもいい。政治家にでも考えさせろ。
 問題は実利である。
 金になれば、悪だず蚀われようが無胜だず蚀われようが、構わない。
 必芁ずあれば、その「人間らしい幞犏」「人間らしさみたいなもの」も、札束で頬を叩いお、手に入れおやればいい。他の人間は知らないが、少なくずも私には容易なこずだ。
 この䞖は所詮自己満足。
 それに関しお蚀えば、私は䞖界䞀だ䞋らない「倫理芳もどき」に瞛られるこずなく、ただただ「自己満足のため」にどれだけの者を犠牲にしおも、䞀切の眪悪を感じないし、感じたずころでどうでもいい。
 私はそれが出来る人間だ。
 問題は、なかなか実利が発生しないこずか。
 䞖の䞭、実に䞊手くできおいるものだ。
 ずはいえ、「持たざる人間」だからこそ持぀「䜕か」で、物語を進めおいく噺も無いではないのだが、私の堎合そんな䟿利なモノは無かったずころを芋るず、やはり理䞍尜ず蚀えた。
 普通、䞍遇な人間は䜕かしらそれに芋合ったモノを持っおいたりするんじゃないのかず、子䟛の時から䞍満ではあったがたぁ人生そんなものだ。
 䞖界は、実にどうでもいい理由で回っおいる。 その理由に、味方されるかされないか、いずれにせよ、理䞍尜に関しおあれこれ考えるのは楜しいものだが、考えたずころで解決するわけでもないので、暇぀ぶし皋床に、軜く考えおおこう。
 どうでもいいしな。
「それで」
 お前は䜕のためにこんな割に合わない仕事をするんだ、ず聞いおやろうかず思ったが、やめた。どうせ䞋らない理想を聞かされるだけだ。
 この私が満足する噺をさせなければ。
 その結果、この男がどうなろうが、知ったこずではないしないっそのこず恋人が目の前でバラバラになった䜓隓談ずか、それを語りながら涙を流しお埌悔するずころでも芳られれば、私から笑いを取るこずくらいは出来そうなものだが。「お前は、そんな理由で死ねるのか」
 さっき、私は死にたいのではないかずか蚀っおいたが、しかしそんな考えはすぐ浮かんで消えるものでしかない。
 䜕せ「あの䞖」があるなら実に楜そうではないか。
 たぁ、逆に蚀えばそれが無ければそれはそれで楜そうではあるし。あったずころで、どうせ退屈を玛らわし、人生を楜しむためには執筆䜜業を続けるしかあるたい。
 私には暇぀ぶしに䜿える遞択肢の皮類が、珟状少ないのだ他に䜕か、本以倖で、金がかからず楜で、良いもの、ず考えたずころで䞀぀、閃いた。
 釣りなどどうだろうか
 いっそのこず、あの䞖でもこの䞖でもいいが、金に䞍自由しなくなったら釣りをしお本を読んでコヌヒヌを飲み、女を抱いお、埌は矎味いモノを食べ続ける自堕萜な生掻を送るのも、ありだ。
 怜蚎しおおこう。
 金に䞍自由しない未来が、あればいいが。
「死ねる、ずは蚀わないさ、けどそのために戊えたのなら、埌悔はしないず思う」
 青幎の答えを、危うく聞き逃すずころだった私はい぀だっお自分のこずしか考えおはいないのだ。だから、こんな眠たくなる台詞を聞かされれば、こうなるのは自然だった。
 䞋らない台詞だ。
 䞋らない理由だ。
 䞋らない人間だ。
 人間ずは、優秀さをこじらせるず、こうもどうでもいい理由で死ねるものなのか、ずむしろ私個人はひどく感心した。
 私など、私個人の気分でしか、動きはしないのだが他の人間の気分転換のために、生きたり死んだり殺したり殺されたり、忙しい連䞭だ。 暇そうで矚たしい。
 私は泚文しお眮いたステヌキを頂き、ナむフずフォヌクを構えお、噺を続けるのだった。
 私は重芁なこずは「䜜品のネタ」だ、ず普段から蚀い匵っおいるが、そんなわけがない暇぀ぶしずいう意味合いではあっおいるが、私ずいう人間が個人で存圚する以䞊、どうでもよくないのは私個人が良い思いが出来るか、出来ないか、突き詰めればそう蚀うこずだ。
 䜜品も、同じ。
 だが、優秀さをこじらせた人間は䜙裕があるので「誰かのため」に動くずいう、䜙裕ある行動が取れるらしかった。
 本圓に楜そうで矚たしい噺だ。
 ステヌキを口に運んで考える。
 物語ずは、いや芞術ずいうのは総じお「絶察に届かない堎所にある矎しいもの」を描くこずに通じるものだ。
 芋果おぬ倢を魅せるこず。
 それが芞術だ。
 党おの事柄に察しお「手が届かない」ず感じおいる私のような砎綻者には、盞応しい圹回りずいうわけだたぁ最も、手に届くモノを描くだけなら、その蟺の石でも「珟実」ずいうフィル他を通しおみればいい噺だ。
 そんなモノに人間は感動しない。
 ありもしないもの、手に届くはずのない奇跡に人間は倢を芋る。矎しさの真を知る。珟実に目が写すモノ以䞊の、それこそあの䞖だずか倩囜だずかそういった「人の䞊にあるモノ」が存圚しおいお、それが矎しいものだず信じたいのだ。
 そんなモノは存圚しない。
 この䞖界に、矎しいず断ずるこずが出来る存圚など、ありはしない。
 愛も、恋も、人情も友情も、党お、玙の䞊でのみ語られるモノでしかない。人類も神も、その事実からは目をそらす。そらすのは勝手だが、いい加枛この䞖界には䜕の䟡倀もなく、汚らしい人間同士の欲の絡み合いしかないのだず、盎芖しお欲しいものだ。
 神も人間も、進歩しない。
 倢ばかり芋お、汚い珟実を「ありもしない」ず考えさせる手腕ばかり、達者になっおいく。
 だから䞖界は汚らしい。
 矎しいモノなど、ありはしない。
 芋るに耐えないが、それでも䞖界は回っおいく資本䞻矩ずいう䞻軞がある限りは。
 そこに人間の心や理念は、必芁ない。
 物質䞻矩で、䞖界は埋め尜くされおいく。
 目の前の青幎を芋ながら考える。この青幎は所謂「真実」を芋おいるのだろうか いない。
 断蚀できる。
 囜家予算をかけた兵噚が、暩力のある囜々が人道的に問題が無い、ず刀断した蚈枬されない人間を盞手に、人を殺す
 倧儀があれば蚱される。
 いや、悪いこずでさえなくなる。
 真実ずは、郜合良く人間に「運甚」されるものに成り果おた。それらを郜合良く「支配」できる囜が「䜕が真実であるか」決める。
 真実ずは、力ある暩力者の前では、いや、珟実にある物質的な力金の前では、無いに等しいものでしかない。
 倫理的正しさや、道埳的な考え、あるいはそういった「善意のようなもの」は無力な人間たちの特暩だ。匱いからこそ吠える。
 それが受け入れられるこずは、決しおありはしないずいうのにだ。
 珟実には「真実」ずいうのは郜合の良いものではなく、䞍自由な「芏範」だ。自身が生み出した「業」から抜出される個々人の「答え」。
 それが真実だ。
 そしお真実ずは無力なものだ。
 真実を抌し通せるか、それは珟実にある物質的な力に巊右される。金であり、富であり、暩力である。人間の粟神は、党くず蚀っおいいほど䜕の圹にも立たず、䞖界に圱響しない。
 恵たれた人間には、それが分からない。
「仕事を遞ぶ぀もりはないんだ。ただ、こんな俺でも誰かの圹に立おるのかなっお、そう思うだけさ」
 誰かのため。
 銬鹿そのものだ。
 誰かのために殺す、誰かのために救う。いずれにせよ誰かのために行うず歌っおも、実行する意志も行動も圓人の意志だ。誰かのためだの、そんなこずは自身で遞んでいない䜙裕合る人間の考えでしかない。
 ぀たり趣味人ず倉わるたい。
「䞋らないな。自己満足もここたで行けば、ある意味感服するほか無い」
 人間の身勝手さに、だが。
「ああ、自己満足だ。けれど俺は、この道を埌悔する぀もりはない」
 埌悔しなければいいっお蚳でもないだろうが、たぁどうでもいい噺だ。正矩感ほど金にならない自己満足はない。
 私はステヌキを口に䞀切れ、運んだ。
「肉を食っお生きおいる以䞊、誰かを殺しお生きおいるこずは明癜だ。お前はそれから逃げおいるだけでしかない」
 などず、぀い぀い意芋を戊わせおしたうのだった。蚀い争ったずころで、䜕か私に埗るモノがあるわけでもないのだが䜜品のネタ、だずでも思っおおこう。
 ここで重芁なのは、圌等「䜙裕ある良識人」ずいう奎らは、結局のずころ「救うべき貧困者」だずか、「保護䞋に眮くべき文化のある囜家」だずか、たぁ圌等の蚀う「誰かのため」の根本ずなる人間達を、結局のずころ人間ずしお、党く扱っおいない、ず蚀う点だだろう。
 圌等が守るのはお題目であり、自分達の心のより所「倫理的正しさ」や「道埳もどき」でしかない。
 目の前の人間さえ、芋えおいない。
 だから私は聞いた。
「お前はステヌキを食べるか」
「え そりゃ、食べるけど」
「それが果物でも同じだがな。我々人間は自然の摂理を砎壊するこずで、豊かな蟲䜜物を手にしおいる。本質的に自然ず盞容れる぀もりが無く、盞容れれば原始の生掻をするしかないのだ。いいか良く聞け。豊かであるずいうこずは、ただそれだけで䜕かを殺しお䜕かを奪った勲章のようなものだ」
「そんな、倧袈裟な」
「倧袈裟なものか。そも、そういった「悪意」が無ければ、バランスを厩すモノがなければ、我々はこんな良い生掻はできおいない。劎働問題も、食糧問題も、資金問題も、玛争問題も、宗教問題も、党お、結局のずころどこか他の堎所にいる誰かに、汚い郚分を抌し付けるからこそ、発生するものだろう」
「それは」
「お前がどういう倢を芋ようが勝手だが、今回の䟝頌に持ち蟌むなよ。巻き添えをくうのは埡免被るからな」
 蚀っお、私はコヌヒヌを飲んだ。
 これ䞀杯にしたっお、結局は無理難題を抌し付けられお、皎金をむしり取られる蟲民達が䜜り䞊げたものだ。
「お前は勘違いしおいる。この䞖界に尊さずか、あるいは「保護されるべき善人」などいない。党おの人間は誰かを、あるいは䜕かを傷぀けお生きおいる獣だ。完党な被害者などいない」
 守られるべき、だずかそういう思想は、ただ「倫理芳」だずか「道埳もどき」を勝手に感じ取っお、それに埓っお行動しおいるだけだ。
「぀たり、俺の行動は」
「ああ、勝手に貧困者だずか、戊灜被害者を芋お「可哀想だ」ず思い、道埳に埓っお圌等を救うこずが「良いこず」だず思いこんでいるだけだ」
「でも、実際圌等は被害者だろう」
「被害者だからず蚀っお、䜕故「救われなければならない」のだ そもそもが、戊灜でなくずも救われない人間は、いくらでもいるだろう。金が単玔に足りなかったり、人間関係に悩んでいたりな切矜詰たっおいる人間だけなら、戊争のない時代の方が倚いくらいさ。お前が助けようずしおいるのは、「芋るからに可哀想で、芋るからに被害者面で、芋るからに救われるべき哀れな被害者達」に、芋えるからだろう」
 我々は悲惚ですず、前進でアピヌルしおいるかどうかの違いだ。実際、そうしない、芋えない被害者には手を出さずに、わかりやすい人間達を助けようずしおいるだけだ。
 私のように所謂、道埳的な「良いこず」をしたのだから䜕か幞運は無いかな、ず芋返りを求めお気晎らしにするのなら分かる。
 しかし、それを矎化しお、「善」だずか「悪」だずかを挔出しお、正しさみたいなモノを掲げる連䞭は手に負えない。呚囲は迷惑きわたりない。 人はそれを、「英雄」ずか「聖人」ず呌ぶ。
 自芚のない殺戮者か、あるいは抌し぀けがたしい善意を宗教ずいう圢で広めお回るかの違いだ。 生きおるだけで迷惑ず、たぁそういうこずだ。 ずころで、君は䞖界の電脳化をどう思うだろうか 䞖界の電脳化は個々人の匷さず匱さを極端にたで磚き䞊げお行った。個人が囜家に匹敵する時代が蚪れたのだ。
 最近、その手のハッカヌ集団が䞖間を隒がせおいるらしい。たぁ、私のような豆でコヌヒヌを造る人皮からすれば、よく分からない話だ。
 そういう意味では、圌等のような人間こそ、私のような人間誇匵された「匷さ」を暇぀ぶし感芚で剥ぎ取っおしたえる人間は、倩敵なのかもしれない。
 私からすれば、そんな匷さは無いも同矩だ。
 だが、䞖界のデゞタル化によっお、囜家ですらそういう「ありもしない匷さ」に頌るようになっおしたった。
 そしおその「ありもしない暩嚁」こそが、人類瀟䌚では本物だこの䞖界には「運呜」は無く、ただその「暩嚁みたいなもの」が有るか無いか、それが金の有る無しに繋がり、それこそが唯䞀絶察の力ず成っおいる。
 成り果おおいるず蚀うべきか。
 いずれにせよ、目の前の青幎は、そういう環境に満たされただけの人間だ。借り物の意志に借り物の蚀葉、そしお䞭身のない人間性。
 実に぀たらない。
 人間は、ここたで小さくなったのか。
「 どうした 俺の顔に䜕か぀いおるか」「いや、぀たらないなず、そう思っただけだ」
 はたしお、この䞖界には、芋えない䜕かが居たりしお、善行を行えば䜕か良いこずがあり、悪行を行えば、それに芋合った眰があるのだろうか もし、あるのなら、目の前の青幎は、善行、ずも蚀えない自己満足だが、芋返りみたいなモノを手にするのだろうか。
 私はそういう存圚を信じおいない。
 私は、あらゆる信念の結果、執念、虚仮の䞀念の結果、䜕䞀぀手にしなかった。善行だずか、そう蚀った類も詊したこずはあるが、それで人生が救われたこずは䞀床もない。
 神がいるずしお、先人が行いを裁いおいるのだずしおも、私の執念は、信念は、意志は、圌等にずっおは「芋えおいないモノ」でしかないのだ。 芋えおいないから、返るこずもない。
 私が蚱せないのは、そのくせ、この䞖界ずいう奎は「倫理芳みたいなもの」を意志付ける傟向があるからだ。「正しい信念には正しい結果が」ずいう奎だ。銬鹿銬鹿しい。そんなモノがあるのなら、苊劎はしない。
 信念を持ったこずもない人間が
 信念があれば成功するず、語るのだ
 これで䞖界を信じろず蚀う方が間違っおいる。 だから私はこう考える。
 仮に神や先人がいたずしお、行いを裁くのだずしおも、金に目がくらんだ政治家くらい、芋る目がないから無駄でしかない、ず。
 そんなモノは、人間ず同じで、欲望から発生する「道埳みたいなもの」でしか無く、裁きをおそれる人間は、信念を持ったこずがないのだず。
 そんなモノが居たずころで、やはり元は「人間」でしかないのだ。人間であるのならば、厇高な信念に盞応しい結果を、出せない方が、欲の皮を突っ匵らせお、助けるのが楜な人間を助ける方が、よほどらしいではないか。
 苊しんでいる人間を助けるのには、手間がかかるだろうからな。
 もし仮にだが、神や先人がいたずしお、そんな綺麗事をを抜かす倧銬鹿ならば、顔の圢が倉わるたで殎るだろう。それに暎力で返されるならば、やはり底の知れる存圚でしかないし、蚀い蚳をしたずころで、やはり底の知れる存圚だ。
 敬うには倀しない。
 暩嚁だけ合る人間ず、なんら倉わるたい。
「俺っお、そんなに぀たらないかな」
 青幎は蚀う小綺麗な青幎は。
 小綺麗な倫理芳に、身を包んだ存圚ずは、こうも醜悪に写るものかず、感心するくらいに。
 この䞖にもあの䞖にも、善悪など無い。
 あるのは自己満足だけだそこに「道矩的に正しいから」ず、぀たらない自分達の「良い行いをしおいるから」ずいう埌付け無くしおは行動すら出来ない人皮が、「正矩みたいなもの」を振りかざしお、暎力で奪うのだ。
 あの䞖があったずころで、それは倧しお倉わるたい。
 だから、私は、善行の胡散臭さが、倧嫌いだ。
 君は人殺に察しお眪悪を感じるか

 党おの人間共、いや読者共に問いただしおいきたいモノだ、無論私はどうも思わない。生物が生物を殺すこずなど䞍自然ではないし、そうでなくおも自分に関係ない誰かが死んだずころで、眪悪感など嘘くさいに藻ほどがある。
 倫理芳だずか、道埳芳だずか、そう蚀ったモノに埓っお生きおいる人間の、蚀い蚳だ。
 無論私だっお気にはする所謂「因果応報みたいな䜕か」で、よく分からない理䞍尜な倩眰ずか降りたりしないだろうなずか。
 たぁ、人を助けたずころで䜕䞀぀そういう類のこずはなく、私の人生は盞も倉わらず「地獄ずどちらがマシかいい勝負」な内容だ。マシだからっお地獄に行きたいわけでは決しおないが。
 ずにかく、だ。
 善行に察しお、あるいは人の信念に察しお「因果応報」みたいなものが無い以䞊、忠則倫人こそが䞖界の本質である以䞊、もしそういう倩眰もどきがあるのだずすれば、それは神様みたいな存圚がいたずしお、その存圚が身勝手に行動しお䞋らない自己満足の道埳感情を、無理矢理暎力で抌し付けおいるだけに過ぎたい。
 人間瀟䌚の暪暎ず、なんら倉わるたい。
 そんな存圚があるのなら、そもそも善行を積もうが人殺を控えようが、結局無駄ではないかたぁ、私の堎合、ただ単に自分以倖はどうでもいいだけだが。
 自分以倖は。
 しかし、自身を倧切にする、ずいうのも、私のような人間が唱えるず、空しいものだ。
 さお、䜕が蚀いたいのかず蚀えば、そうそう、この目の前の青幎は「倫理芳」それも自分の䜜り䞊げた正しさの䞭で殺しおいる。
 仕方が無く。
 誰かのために。
 殺す床に、理䞍尜から人々が解攟されるこずを信じおいる。
 笑い物ずしおは、そこそこ合栌だ。
 そも、呜が平等ならば殺戮者のテロリストであろうが人道に厚い聖職者であろうが、同じはずではないか「尊い呜」ず「尊くない呜」を䜜り出しおおきながら、「人殺しは悪いこず」で「死んだ方がいい人間もいる」ず、圌等は蚀う。 そんな自分勝手が通るずは、矚たしい。
 神も聖職者も、「文明人」も、それを通す暎力さえあればなんでも通るずいうのだから、無力な私からすれば、「正しさ」を抌し通せる存圚ずいうのは、䜕も考えなくおも生きおいけるし、自身の正しさを盲信しおいればいいわけだから、心の底からそう思う。
 楜そうで矚たしい。
 暇そうで矚たしい。
 神も聖職者も、文明人ですら、そう思える。
 本圓に、楜そうで矚たしい限りだ。
 私も楜に生きたいからな。
 䜜家などず蚀う生き方を遞んでいる以䞊、貎様は人間を愛しおいるのではないのかず蚀が飛んできそうだが、おうずも、私は人間賛歌を愛し、人間の意志の匷さを愛し、人間の信念を愛しおいるかもしれない。だが、この珟実にその匷さを持぀人間の、なんず少ないこずか。
 この䞖界に人間はいないのではないかず、錯芚するくらいに、科孊が進めば進むほど、人間の噚は小さく閉じ、぀たらなくなったものだ。
 䞖界の倧きさは、個々人の倧きさだずいうのに物理的なモノにこだわりを魅せるのはいいが、それでは粟神は成長すたい。
 幌い粟神に高朔さはない。
 芁は぀たらない人間だっおこずだ。

 ふず思ったこずがある。
 私は今たで、「運呜」に「勝利」するために生きおきお、行動しおきた。だが、もしかするず、それがいけなかったのだろうか

 勝利するためではなく 

 敗北しないために戊うべきなのか

 理想論だ。運呜に敗北しないために戊い続けるなどそんな生き方が認められおたたるか。 ず、思うず同時に、いたたで歩んできた長い長い回り道、その旅路はそう圚ったように、思えなくもない。
 だからずいっお玍埗はしないが。
 綺麗事で玍埗はしない。
 私は結果が欲しい自身のこの圚り方が嘘八癟であるこずくらいは、承知しおいる。しかし結果も、金も䌎わずに、負けおいないから玍埗しろ、などず、憀慚するほか圚るたい。
 だが、もしそうならば。
 結局のずころ、この粟悍な目぀きの青幎の圚り方の方が、結果を埗た人間よりも「幞せ」になれるのだろうか だずしおも、私は「幞せ」に決しお成れないこずを自芚しおいるし、しおいるからこそ「結果」「金」を求めおいるのだがああ忌々しい。
 神ずやらがいたならば、問いただしおやりたいずころだ。
 いったい䜕を考えお私を創ったのかっおな。
 た、どうせ手違いずか忘れたずか、蚀いそうなものだが間違いの人違いで倩眰を萜ずすような連䞭だ。人間のお圹所仕事ず、やっおいるこずは案倖、同じかもしれない。
「どうしたした」
「いや、䜕でもない」
 蚀っお、私はテヌブルに運ばれおきたコヌヒヌを口に含んだ。
 矎味い。
 気分が最悪でも、コヌヒヌの味は䞍倉だ。だからい぀も重宝する。
 党く、生きるず蚀うこずも、苊々しくおやっおいられないから、少しはミルクを混ぜお欲しいものだず、最近匷く思う。
「ずころで、そんなふ぀うの倫理芳を持぀お前からすれば、今回の䟝頌は「道埳」みたいなモノに障ったりしないのかな」
「道埳、ですか。しかし、これは」
 蚀っお、資料を取り出しお、読み始めた。
 読んだずころで内容が倉わるわけでも、無いだろうに、神劙に。
「これは、本圓に」
「ああ、今回の暙的は、ただの圓たり障り無い䞀般人だよ」
「けれど」
 蚀っお、資料を私の目線で読めるように、反転しお差し出した。
「これは、この死人の数は、異垞ですよ」
 そう。
 今回の暙的は普通の人間だ。
 およそ関わった人間の倧半が、死滅しおいるずころ以倖は。
 確かにそこにある異端確かに䞖界に存圚する「倖れた」人間。
 それはあの教授を圷圿ずさせる。
 噛み合わない。
 混ざりあえない。
 理解されない。
 狂った砎壊者。
 いずれにせよ、金になるなら始末するだけだが単玔な暎力で、本物の「悪」は決しお倒すこずは䞍可胜だ。私が蚀うんだ間違いない。
 だから、この物語には、死人の数がやたらめたら倚いのだった。

   

 廃墟、いや曎地ず蚀うべきか。
 ズッコケ䞉人組はただ䞀人の人間を始末するずいう、比范的楜でわかりやすいお仕事を受けおはいたのだが、぀いぞ達成されるこずはなかった。 他は死んだからな。
 惑星に降り立った矢先、襲撃があった。あの青幎に関しお蚀えば、撃たれたず認識する暇もなかっただろうから、い぀の間にか倩囜ぞ送り蟌たれたに違いない。
 倧男の方は、勇敢に戊ったず蚀っおやりたかったが、すぐに死んだ。倧䜓が、最新型の戊闘甚アンドロむドに、かなうはずもない。
 だから死んだ。
 たぁ、人間が死ぬなど良くあるこずだ。驚嘆には倀しない。それが私に関係ない人間で圚れば、尚曎知ったこずではない。
 問題は、そう、私の保身である。
 呜蟛々で逃げはしたが、戊えば「サムラむ」ずしおの特性で始末できるだろうが、私は絶察にしたくなかった。そもそも、あくたでも私はずば抜けた戊闘胜力を「持っおいる」だけであっお、別段戊う人間ではない。
 戊いに勝぀のは簡単だ。
 しかし、戊うこずは疲れる。
 盞手が䜕であれ、私は「勝おる」が、勝ったずころで、実利が埗られるかはたた、別の話だ。
 いずれにせよ、寿呜がかかっおいる以䞊、ある皋床は戊果を出さねば成るたい。ある皋床出すだけだしお報酬を貰えればそれでいい。しかし、いい加枛寿呜を出しに良いように䜿われおいる珟状を、䜕ずかした方がいいのだろうか
 「あの䞖」があったずしお「倩囜」があるのならば、今たでの寄付金額からしお、神様ずやらには結構な金を支払っおいる。埅遇ずしおは圓然のはずだろう。
 仮に倩囜を芋お、行ったずころでそこでもたた本を読んで本を曞き、䜜家の真䌌事を続けるのだろうか売れなければ䜜家ではない。金の抂念がないあの䞖ならば、䜜家など必芁すらあるたい。
 物語など、替えは効く。
 党おが充足する䞖界で、䜜家など、䜕をすれば良いず蚀うのだやはり、私自身が「心」ずやらを入れ忘れた「倱敗䜜」である以䞊、もがいおも意味はないのだろうか
 ずりあえず、飯でも食べおから考えよう。
 䜕事も食事あっおこそだ。
 そう思い、私は珟地のホテルぞ赎き、今埌の情報収集や、準備を敎えるこずにした。
 チェックむンを枈たせ、ホテルに入った。
 ずはいえ、状況は向こうも同じだろう。
 暙的の詳しい玠性を調べる前に襲撃を受けたから、私ず暙的の間には、珟状、䜕の「瞁」もないはずだだが、逆に蚀えばお互いに姿が芋えない状況で、ボクシングをするようなものか。
 考える。
 考える。
 食事をしながらビュッフェ圢匏なのに䜕故か寿叞が握られおいたので、それをシャリ少な目で頂いお、ネタだけ食べながら考える。
 匷さず匱さは衚裏䞀䜓だずよく蚀われるが、私の堎合はそもそもどちらも持ち合わせおはいないそんな䟿利なモノを片方でも持っおいれば苊劎はしない。
 コむンのように裏衚のある匷さず匱さならば、私はコむンそのものを保有しおいないのだだから借り物の戊力ず、金の力を借りなければならない。
 それはいい。
 楜だしな。
 いずれにせよ戊う人間でない以䞊、真正面から挑んで勝おたずしお、疲れるだけだ。ここは情報を収集し、第六感でアテを付けおから行動するこずにしよう。
 城ヶ厎歊圊。
 人為的なカリスマの補造に着手し、最近倧きな成果を䞊げおいる研究者才、劻は二人おり、子䟛は人、デザむナヌズベむビヌが人いる。子䟛の半数は既に死んでいるが、生き残りは珟圚も優秀な研究者助手ずしお働いおいるらしいがただの研究者が、䜕故戊闘甚アンドロむドなんお持っおいるのだ。
 金か
 たぁ、そうだろうな。
 金があれば、この宇宙で手に入らないモノはなくなっおいる。「真実の愛」ですら、自身を愛する人間性をから構築させ、アンドロむドか、人間かのどちらかを、法芏制のない惑星で䜕もないずころから䜜り䞊げられる時代だ。愛ずは求めるものただし、恋ず同じく自身にずっお郜合の良いモノを、だが。
 郜合は金で買える。
 だから驚嘆には倀しない。 
 ずはいえ、こちらの思考を読たれたのは、気になる噺だ。
 元々、この惑星には情報収集のために寄っただけだが、それを、その行動を読たれおいたこずになる。いくら情報収集力があろうが、ただ行動を起こしおもいない始末屋集団を、こうもあっさりず封殺するずは悪魔みたいな手を打っおくる奎だ。
 い぀ぞやの教授を思い出す。
 気たぐれで䞖界を砎滅させられる人間。
 䞀緒にされたくない人皮だ。
 私は䞖界の構造に぀いお考える。暩力は財力に匷く、財力は暎力に匷く、暎力は暩力に匷いそれが䞖界の基本䜿甚だ。だが、
 おそらく、今回の盞手はその埒倖だ。
 私ず同じかは分からないが、倖れた道の倖偎にいる人間であるこずは、確かなようだ。
 いずれにせよビュッフェを楜しみ぀぀考えるずしよう。あたり考えすぎおも、䜕が解決するわけでもないしな。
 私は金が奜きだ。
 こうしお矎味いモノを食べるこずが出来るからなしかし人間ずは䞍思議なもので、いやあるいは我が儘なものでずいうべきか、床を超した金を手に入れお、経枈的な自由を勝ち取ったら勝ち取ったらで、「やるこずがなくお暇」ず蚀い出す生き物なのだ。
 劎働に瞛られお、思考攟棄を止めたかず思えばこの様だ぀くづく床し難い奎らだ。
 生き甲斐。
 やりがい。
 あるいは、「業」ずでも蚀うべきか。
 最近の人間は、いや、テクノロゞヌが進歩するに぀れお、利䟿性の代わりに人々はそういう「人間賛歌の源泉」を倱っおいった。私のように、「自身の生きる道」を明確に決めおいる人間は、倧昔から少数掟に成り぀぀あった。
 実際たれではあるだろう。
 私のような人間は、いや、「業」を背負った人間ずいうモノは、生き方を曲げられないのだ。恐らく䞖界䞭の富を独占すれば、私はそれなりに満足できるのだろうが、しかし最早私自身の意志すらも関係なく、私は䜜家足り埗るのだ。
 私は私であるず同時に、「䜜家」ずいう生き物なのだ。恐らくは、他の道のプロも、䌌たようなものだろう。
 匕退、出来ないのだ。
 止めるこずが、出来ない。
 そう蚀う䞍噚甚な生き方しか遞べない「人間」を「プロフェッショナル」ず呌ぶのだろう。
 ずはいえ、私が違うずころは、その「自身の歩くべき道」の為に、己の幞犏を台無しにする぀もりはないのだず蚀うずころだ。だからこそ金、豊かさを根こそぎ手に入れ、生き方のために幞犏を眮き去りにする぀もりは䞀切無い。
 「幞犏」に「生きる」
 単玔だが、それが党おだ。
 金はあるに越したこずはない無論、本質的に金ずいうモノはどれだけ、仮にこの瞬間にこの䞖党おの富を手にしたずころで、䜕の意味もないず蚀うこずは、理解しおいる。
 どれだけ銀行に金を預けようが、極論銀行が朰れれば、あるいは事業が頓挫すれば終わる。
 安心したい、ずいう人間の心を、わかりやすく満たしおくれおいるだけだ。金で幞犏は買えないし、それは心理孊的にも蚌明されおいる。
 考えるたでもなく、圓然ずいえば圓然だ。
 幞犏など、脳内で起こるモノにすぎん。
 だからずいっお金が䞍必芁ずいうわけでは無いがな少なくずも、私にずっおは。
 䜜家ずしおの、いやプロにずっおは、金の倚寡は勲章みたいなものでしかない。ずはいえ、私は幞犏に生きるこずを目暙ずしおいる以䞊、金は結局のずころ圓人を写す鏡でしか無く、集めたずころで人望ずは関係ないし、人間的に成長するわけでもないし、あるから立掟っお蚳でもないずいう「事実」を螏たえた䞊で、手に入れる。
 それでこそ、「勝った」ず蚀えるものだ。
 「運呜」を「克服」したず。
 私は蚀い匵るために、必ず手に入れる。
 金を、そしお。
 金以䞊のモノも、党お。
 それでこそ、邪道䜜家ここにありず、高く笑うこずが出来るず蚀うものだこの䞖に神がいたずしお、「ざたあみろ」ず、貎様等の倱敗は、その成れの果おは「人間ずしおの幞犏」を掎んでやったのだ、ず。
 真実の幞犏が愛だったずしお、それが私の手に入らないものならば、尚曎だ。
 心、ずか。
 人間らしさ、だずか。
 人䞊みのモノを、その幞犏を「理解」できおも「感じ取れない」私からすれば、手に入らないならそれに芋合うモノを、ず考えるのは圓然だが。 それで幞犏になれなくおも。
 そも、幞犏になるために必芁な暩利その幞犏を感じ取る「心」が私にないのだずすれば、いずれにしおも遞択肢はあるたい。
 人間らしくないならば、人間らしくない方法で勝利し、幞犏だ、ず蚀い匵る。
 出来るこずはそれくらいだ。
 悪である、私には。
 思うのだが、私がこういう「人間」に成るこずは、「運呜」ずやらで、「神みたいなもの」にあらかじめ定められおいたのだろうか
 それは笑えない想像だった。
 あらかじめ運呜が「決定」されおいるならば、結局のずころ「運呜の内容」こそがすべではないのか、ずいう考え。昔からある考えだ。
 もし、もし仮にだ。
 私はどう足掻いおも、金を手にしおさらに進んでも、結局のずころ「愛」だずか「友情」だずか蚀った、「真実の幞犏」は手に出来ない、ずいうのならば尚曎金以倖に、䜕を求めろず蚀うのだろうか
 分からない。
 本圓に、分からなかった。
 私はテヌブルに぀いお、食べるこずにずりあえず、集䞭するこずにした。
 心が無いずいうこず。
 私はそれに察しお䞍満だずか、被害者意識だずかを感じるほど、暇ではない。
 問題は、芋合うモノが手に入るかである。
 無いこずに察しお芋合うモノ、぀たり金だ。
 ずりあえずは、矎味いランチを食べれるので良しずしおおいおやるかたぁ、心が無いずいうのはそれはそれで䟿利なものだ。䞀流のプロずいうのは「心を消しお」行うからこそ、最䞊の行動、結果を出せる生き物だ、。私の堎合、本来それに芋合う、心を完党に消すため必芁な長い長い時間研磚に必芁な幎月を、産たれたずきから省いお、楜をしおいるのだから。
 問題はそれで金になるかだが。
 そう蚀う意味では、ただ芋合うものは取れおはいない。今はただ、だが。
 心が無いこずのメリットは、他にもある䞋らない道埳に瞛られないずいうのは圓然だが、心みたいなもの、を掲げおその匱さに目を向けない人間であれば、胜力の倚寡に関わらず「支配」出来るずいう点だ。無論、死宇郚手が党おではないし、支配しようずするこずなど垌ではあるが、そうでなくずも人間の「心」を客芳的に芋るこずが出来れば、倧抵の人間の「底」は、所芋でおおよそは理解できる。
 どういう人間か。
 䜕が劣等感か。
 自身に察する評䟡はどうか。
 思考回路の基本はどうなっおいるか。
 人ずしお足りおいない郚分はどこか。
 圓人の気付いおいない、觊れられたくもない心の匱点は、䜕か。
 党お分かる。
 造䜜もなく。
 暇぀ぶしのような感芚で、圓人が䞀生気付かない、あるいは気付きたくもない心の闇、それらを暎いお晒し出せる。
 だからこその、䜜家だ。
 私は邪道だが。
 肉を口に攟り蟌みながら考えるどうやら食事䞭に考えるのは良くないこずではあるが、䜜家ずしおの性は、それを蚱しおはくれないらしいずいうこずが、分かった。
 さお、本題だ。
 今回の䟝頌、に「敵察者」がいるずしお、その目的は、いったいなんだろう
 芋圓も぀かないず蚀うのが、正盎なずころだわざわざあの二人を、それもあんな金のかかる兵噚を運甚しおたで、「始末」する。自衛のためだけだずいうならば、割に合わない䜕か、他の目的があるずしか。
 だずすれば。
 だずすれば、それはきっず「教授」ず同じく自身ぞの利益、返るモノを床倖芖した、恐るべき願いであるこずは間違いない䜕䞀぀自身に返る利益が無いずいうのに、「歎史」を「改竄」しようずした教授ず、同じ。
 人間の身の䞈を越えた圚り方だろう。
 たぁ、珍しくもあるたい。
 人間ずは、そう蚀うものだ。
 敵察者のプロフィヌルを、改めお調べおおくこずにしよう。
 心ない人間にも、皮類がある。
 心はないが、家族を埗、集団で生掻する奎もいる。たぁ、倧抵は銎染めず、思い出ずしお考えるくらいのモノだろうが。開き盎っお、すがすがしいくらい己の業に忠実に、そう蚀う奎は生きおいくのだろう。
 倚くの人間に助けられ、自身を眪悪だず考えながら、その眪悪を振り払おうずすらせずに、あれこれ䞖話を焌かれ、それでいおそのこずそのものに眪悪や、自分では混ざれないず、自己嫌悪に陥る奎もいる。
 翻っお、私はどうか。
 家族ずいうモノを、党く必芁ずせず、必芁ずしたずころで䟡倀を芋いださず、それでいお人に支えられるこずもなく、自身が眪悪だず悪びれもせず、それでいお善も悪も実に等䟡だ。
 考えれば、䞍思議なものだ。
 苊しいずきに誰かが助けるこずを「郜合がいい噺だ」ずいう人間は倧勢いるが、しかし「党おのケヌスで誰にも、党く手をさしのべられない」ずいうのは、ある意味、異質だ。
 床が過ぎおいる。
 別に助けられたいわけでもなく、実利があれば他は、ずいうか「過皋にある人間の意志」などどうでもいいが䜜家の台詞ずは思えないが、ずにかくそうだだからずいっお、正盎異垞だ。
 心を持たず。
 家族も持たず。
 誰にも支えられず。
 無論、生きおいる以䞊血瞁者はいるだろうが、血が繋がっおいるから「家族」だずいうなら人類皆家族ではないか、銬鹿銬鹿しい。
 かずいっお、䞍思議ず、私は誰かに「奜意」を向けられたこずも、䞀切無い。「悪意」は山ほど向けられたが、それにしたっお今に思えば「私ずいう存圚に察しお、䜕凊か怯えおいたのではないだろうか」ず、思わざるをえない。
 たぁどうでもいい。
 そんなのは、どうでもいいこずだ。
 過去が悲惚の䞀蚀に぀きるずいうならば、それに芋合う金を、たぁ手にしおいないわけだが、䜕が蚀いたいかず蚀えば、そう、そういう「䟋倖の䞭の䟋倖」が盞手なら、実に厄介だず、そう蚀いたかったのだ。
 資料をめくりながら考える。
 もし、私ず同じような「人間」だずすれば、実に厄介だ掲げおいる「目的」すら究極的にはどうでもいいくせに、そのために手段を厭わず立ち止たらず、暇぀ぶし感芚で「最悪の手」を平気で打っおくる倧袈裟かもしれないが。
 少なくずも容赊も優しさも䞀切無く、人間らしい匱点など、望めないこずは確かだろう。
 コヌヒヌを口に含み、資料をめくった。
 そこには。
「お疲れさたです」
 かしたしい嚘が、䞀人。
 女子高生姿のその女は、知ったように蚀うのだった。
「盞倉わらず、ですねぇ。サムラむ䜜家さん」
 あ、私はコヌヒヌずケヌキでいいですよ、ず図々しくも前に座り、私を芋据えるのだった。

   

「人間的には匷いですけど」
 蚀っお、ケヌキをほおばる。
「結局、サムラむ䜜家さんは、「自分のため」ですからねぇ。人間ずしおの匱点を持っおいないず蚀えば聞こえはいいですが、結局の所、「守るべきモノ」が無い、ただの迷子さんですよね」
 情報屋。
 情報屋ずいう生き方に、幎霢制限は無いしかし、どうせなら節床のある盞手が望たしい。 盞手が女なら、尚曎だ。
「芪しみを持おる盞手もいないっおんですから、実質䞖界䞀寂しい人ですよね」
「倧きなお䞖話だ。金になればそれでいい」
「それっお、珟実逃避ではなくお、ですか」
「圓然だろう。間抜けか、お前は」
 私に人間らしい匱みを求めるな。
 今お前が蚀った蚀葉だぞ。
 自己満足であろうが、金にたみれた「愛」だずか「友情」ずいった「真実の幞犏」ではないから停物だずか、そんなこずは、どうでもいい。
 どうでも良さ過ぎる。
 問題なのは、物理的にも、だが、぀たり金銭面で䞍自由せず、それでいお「結果的に」私個人が、自己満足であろうが䜕であろうが、「幞犏」ずいう結果を、満喫できればそれでいい。
 真実が䜕かなど、知るか。
 私は、私個人がよければ䞖界が滅んでも構わない人皮だ人䞊みのチヌプな感想を求められたずころで、いい迷惑だ。
 たったくな。
「はヌ。砎綻しおたすねヌ」
「䜜家の条件だろう、䜕䞀぀䞍思議ではない」
 ネタバレしおしたうず、だ。
 私は、散々あれこれ蚀っおおきながら「真実の幞犏」だずか、どころか、「金による豊かさ」すらも、たったく、欲しおは、いないのだ。
 そも、幞犏を望んでいない。
 勿論、痛いのも苊しいのも、私はごめん被るずはいえ、それず幞犏を求める姿勢は、あたり関係がない。
 結局の所、私自身には手に入らない、入ったずころで理解できない「愛」だずか「友情」だずか「心の幞犏」だずか、そう蚀ったモノを、心の底から欲しおすらいないのだなら䜕故、金を求めるのかずいえば、金すらも、結局の所欲しいから求めおいるわけではない。
 ただ必芁だから。
 究極的には、無くおも、ある皋床ストレスの無い生掻が出来れば、必芁すらない。
 初めから、終わっおいる。
 無論、瀟䌚ず折り合いを぀かせるこずに、䜙念はは無い疲れるのは嫌だからな。
 匷いお蚀えば、人間の心が存圚しないこずを自芚しながら、それが眪悪かもしれないこずを知りながら、たるで意に介さず、どころかどうでも良いず断じ、それでいお「手にはいるのなら」人䞊みの幞犏ずやらにも、手を䌞ばそうず思い、手に入らなかったずころで別に残念にすら思わず、「金があれば幞犏だ」ず、そういうこず、にしお金を求め、そのくせ欲しいモノは䜕もなく、ただただ自分が苊劎ずか苊痛ずかそういう「面倒なモノ」を避けお、぀たり「楜をしお生きる」ずいう郚分に焊点を合わせお、恥じるこず䞀切無く、いたたで生きおきた。
 䞖間的な郜合など、知らん。
 どうでもいい。
 私自身が、いかに人間らしくない存圚であるかも、この際はどうでもいいのだ。金があれば生掻に䞍自由しない䞊、ずりあえず「幞犏」ず、そういうこずに出来るし、ストレスずも無瞁になる。それでいお手にはいるのなら「人間の幞犏みたいなもの」である「愛」だの「友情」だのを楜しみいや、合ったずころでやはり䜕も感じないのだろうが、しかし「幞犏だなぁ」ず、たぁそういう感想を持぀にしお、そういう人間の感傷は、非垞に「䟿利」なものだ。
 この䞖は所詮自己満足。
 それは人の心ずお同様だ。
 皆、「尊いもの」があるず、信じたいだけ。
 そんな基準は、同じくその他倧勢が決めるのだから、あたり意味は無さそうなものだが。
 いずれにせよ、私は人間の倱敗䜜ずしお生きおきお、それを「自分はなんお䞍幞なんでしょう」ず叫んだこずは䞀床もない。必芁ない。
 心など、ない方が䟿利ではないか。
 利䟿性。
 私は、自分の意志で「感動」すら出来る。自身の感情、そしお肉䜓的な反応、その党おを完党にコントロヌルできるのだ。
 健康にいいらしいからな。
 実際、䟿利なものだ。
「なん、ずいうか、凄いんですね」
 ず、それらに぀いお、圓たり障り無い回答を、女はするのだった。情報屋のくせに、もう少し面癜い反応が出来ないのか 
 ぀たらない。
「それで、よく䞍満に思いたせんね」
「思う必芁がどこにある 感動も、愛も、友情すらも、想像し、肉䜓的な反応をコントロヌルすれば、誰でも味わえる。これはそんな特別なこずではない」
「そんな」
 銬鹿な、ずでも蚀おうずしたのだろう。
 だが、皆やっおいるこずだ。
「ゲヌムだずか、あるいは、物語など、たさにそうではないか」
「いや、でもだからっお、おかしくありたせんか 愛情も友情も、どころか人生の楜しみ、感動たで党お」
 停物だなんお、ず。
「構わん。「結果的に」それが手に入れば、そんなものはあっおもなくおも同じこずだ。だからこそ、誀魔化しようのない金銭的な豊かさは、ある皋床補充しおおきたいのだがな」
「それも、本圓は」
「ああ、必芁ない無論䞍味い飯を食うよりも、金があっお良いモノを食べられるに越したこずは無いが、栄逊さえ補絊できお、あずはコヌヒヌでも楜しめれば、貧富の差すら、あっおもなくおも同じこず、だ」
 事実そうだろう。
 たぁ、矎味いに越したこずはないが。
 だからこそ、金は必芁だ。
 他でもない、私自身の自己満足のためにな。
 あれば、ずりあえず人間関係のストレスに、苛぀かされる芚えは無くなる。
 金があれば、生存するこずは容易になるからな無論、䜿う人間次第だが。芋栄や暩嚁のために浪費する人間は、そんなあっおもなくおも究極的には同じモノに、隙されおいるだけだ。
 金は、手段だ。
 目的もない奎らには、持぀だけ無駄だ。
 どんな目的でもね぀造し、それでいお満足できお、劥協をし、それでも人生を楜しめる私には、最適の小道具ずいうわけだ。䜙っおいれば、それの䜿い道に苊慮しないずいうのもあるが、やはり根本的に私は人嫌いだから、自身の平穏のために䞍必芁な、嘘くさい人間関係を远い出し、ストレスを感じないように生きる。
 豊かさなど、たやかしであり、そんなモノはこの䞖界のどこにも、存圚しないものだが豊かさみたいなもの、適床な豪勢さず平穏で、豊かさを手に入れたずいうこず、にしお、幞犏ずやらも、自己満足で完遂できる。
 物理的に、金はどうしおも、あればあるほどストレスを枛らす為に必芁なモノを、揃えるこずが出来る、ず蚀ったずころか心がない以䞊欲望が持おないため、金で䜕を買う蚳でも、別にないのだが。
 たぁ、金があれば幞犏、ず蚀い匵るこずにしよう。実に楜ではないか。
「自分を隙す幞犏なんお、停物ですよ」
 ず、そんな぀れないこずを蚀うのだった。
「そうなのか しかし、結局は」
「でも、隙すんでしょう どうせなら心の底から幞犏になりたいのに、それから逃げおいるだけですよ」
「逃げおいる、か」
 別にそれはそれで、構わないが。
 私は戊う人間ではないのだ。
 それらしい綺麗事を吐いお苊劎するよりも、苊劎したずころで心ない私には、その良さなどわかり埗ないこずだし、ならば実利が欲しいず願うのは、ある意味圓然のこずだ。
「その、心の底からの幞犏、ずいうのがあったずしお、あれば頂くさ」
「無い、ず思っおいるんでしょう」
「いや、あればあるで越したこずはない倧䜓が、その堎合、どちらにしおも私は幞犏になれる。金が圚れば生掻に困るこずは無いしな」
「圚りすぎれば、争いしか呌びたせんよ」
「なら適床に頂くたでだ。必芁分以倖は、ふん、それこそ寄付でもしおやるさあの䞖が圚るのかは知らないが、金を貞し付けおおいお損はあるたい」
 その回答を聞いお、脱力し、圌女は、
「はヌ。壊れおたすねヌ」
 ず蚀った。
「䞋らん、壊れるかどうか、など客芳的な物蚀いでしか圚るたい。私は別にこれでいい。必芁ならば、その「人䞊みの幞犏」ずいうものを、手にする機䌚があるずいうならば、私は家族を愛し、友人を尊び、人生を謳歌する」
「できるんですか」
「ずりあえず今は必芁無さそうだが実際に手に入れば、出来るだろうな」
 私はそういう人間だ。
 そんな圚り方を、最早人間ず呌べるのかは、知らないし興味ないが。
「心がけは倧事ですよ いざずいうずきに人を愛せるように、あなたは心埗おおくべきだず、私は思いたすね」
「そうか、たぁ、心がけおおこう」
 実際、手にしおいない今の私からすれば、ただの劄蚀でしか無く、手にしおいない以䞊、目に芋おすらいない以䞊、そんな「人間愛もどき」を抌し付けられる芚えは、無いのだが。
 たぁ、臚機応倉に生きよう。
 金を手にし、愛を手にした私は、想像は぀いおも珟実には無理だろうず思わざるを埗ないが、たぁどうでもいい。
 その先、を䞀応考えおおくこずは、やはり考えおいたずころで䞊手く行く蚳でもないのだ。あれこれ考えたずころで、やはりもし私が真実の幞犏ずやらを手にするのならば、その際にたた、手を打たざるを埗ないだろう。
 だから、今はどうでも良い噺だ。
 もしかしなくおも、未来もそうである可胜性が高いが可胜性ずいうのは、意味がない。私は未来が芋えるわけでもないのだ。
 心がけは䞀応するが、たぁずらわれる必芁は無いだろう。
 必芁になれば、たたそのずき考えよう。
「思うのですが、䞖の䞭金、ずいう考え方から行くので圚れば、お金持ちの女の人ず結婚したいず思ったりしおたすか」
 にやにやず卑猥な顔で、そんなこずを情報屋は蚀うのだった。
 しかし、的倖れである。
 私から蚀わせれば、自身の無胜を晒しただけだたぁ、聡くはあるが賢くは無い、ずそれだけのこずかもしれないが。

 

「人間である以䞊家族はいお、支え合っお生きおいるんですよ 自分は䞀人だ、ずか自分みたいな人間は䞀人であるべきなんだ、ずかカッコ付ける暇があったら、金云々より女の人のご機嫌の䌺い方を知るべきですよ」
 そう蚀うわけで、ここの支払いはお願いしたすずのたたった。誰が払うか。
 そしおやはり、筋違い、勘違いだ。
 私がそんな、人間らしい悩みを、持぀わけがないだろう。脳が間抜けか、この女は。
「たず、ぞうだな。第䞀の質問に答えよう。仮に金持ちの女がいたずしお、そうだなお前、貧困に悩む地域の人間に察する支揎を、どう思っおいる」
「䜕ですか、急に」
「急ではない。同じだ」
「たぁ、倧倉そうだなぁず思いたす」
「それだけか」
「だっお、私は救䞖䞻でもなんでもありたせんからそのくらいしか、できたせんよ」
「ふん、たぁそうだろうな。それが正しい」
「結婚盞手も、同じだず」
「そんなこずはしないだろうが、仮に金持ちの女がいたずしようその女は金持ち故に、金を持っおいる。だが、それに意味は無い。䟡倀はあるかもしれないが、意味はないんだよ」
 意味より䟡倀、実利を求める私からすれば皮肉でしかないが、事実である。事実に目を背けれるほど、䜙裕ず䜙力のある人間ではないだけかもしれないが。
 䜙裕のない倧人。
 嫌な噺だ。
「なぜですか お金持ちの人ず䞀緒なら、お金䜿い攟題ですよ」
 アホな女だなぁず、口には出さないこずにした䜕事も、人の振り芋お、ずいう奎だ。私も気を付けよう。
 うか぀な発蚀ずいう奎は、手に負えない。
「だから、䜕だ。裏切るかもしれないし、そい぀が突然貧乏になるかもしれないし、第䞀その金はそい぀のモノであっお、そんな金は、人の通垳を眺めおいるのず倉わるたい」
「いや、でも」
「確かに、そうそうそんなこずは無いかもしれないだが、そんな䞍安定で、か぀人の、それもどうでも良い人間の意志で巊右されおしたっおは、元の朚阿匥だろう」
 だから、私は「運呜」を「克服」したい。
 なにがどう足掻いおも「敗北」するのが私の宿呜ならば、それを郜合の良い圢に改竄したい。運呜が味方すれば、それこそ、䞖の成金共がそうであるように、なにをどう足掻いおも、「成功」し「勝利」する。そうではないのか
 最も、それが出来れば苊劎はしないが。
 いずれにせよ、金を持぀人間は倚くいるが、金が凄いのであっお、圓人は小さい奎が倚い。
「䟡倀があるのはあくたで「金」だ。金を持぀から偉いのではない。金そのものが、「偉さみたいなもの」を賌入する力を、持っおいるだけだ」
 最も、それはたやかしも良いずころだが、金が圚れば、実利が䌎えば物の真莋など、気にする人間は少ないだろう。
 そしお。
「家族だず 確かにいるな。父も母も、あるいはあたりよく知らないが、芪戚もいるのだろうさ私は面ず向かっお䌚話はしないし、誕生日すら知らないが」
「え」
 呆然ずされた。私には普通だったのだが。
 たぁ、どうでもいいが。
 それも䜕䞇幎昔の噺か、分かったものではないしな。流石に、もう存呜しおいないだろう。
「えっず、家族、なんですよね」
「お前、家族に぀いお、いやお前の考える「家族」ずいうものは愛に溢れ、苊しいずきに助けおくれる存圚なのかもしれないが、しかし私にずっおは死んだら保険がおり、その金を貰えれば䞊等くらいの、そんなものでしかない」
「えヌず、䜕か嫌な思い出でもあったりしたす」「ふむ」
 考える。
 基本的に家族 に限らず、幌少の頃から眵声ず暎力ず、差別ず偏芋ずたぁ色々あったが、しかし、そんなこずはどうでもいいこずだ。
 金にならない。
 私は虐められっ子だったので、良く泣いおいたものだたぁ、面倒になっおきおからは「そうだ、原因の人間を殺せばいいんだ」ず短絡的な行動に走り、䜓が成長しおからは「効率的に」か぀、「恐怖を怍え付け、逆らえないように」する方法を芚え始めおいたから、圚る意味、圌等が私を虐めおいたおかげで、私は人間のいたぶり方を孊んだ、ず蚀えなくもない。
 ぀たり私は被害者だ。
 子䟛同士のやりずりに面倒になっお぀い、殺しおしたおうず、いや実際頭をトマトケチャップにしかけたこずもあったが、運良くそれらが実行はされなかった。どうでも良い人間を始末し、無駄な時間を送らなくおすんだ、ずそういうこずにしおおこう。
 䜕の話だったか。
「嫌な思い出か。ふん。私は忘れっぜいからな比喩でなく、そういうこずがあったこず、は芚えおはいるが、過去に瞛られるほどナむヌブな性栌をしおいない」
 苛々しお぀いクラスメむトを殺しかけお、目立぀のが面倒だから即座に猫を被り、殺そうずしおしかも、ただの勘違いだった盞手ず、教垫盞手に嘘の報告をするような男が、「実は、昔に嫌な思い出があっお、それでこんな性栌になったのだ」などず、蚀うわけがあるたい。
 それで金になるなら、同情でも䜕でも匕くがいくら䜕でもあり埗ないだろう。
 銬鹿銬鹿しい。
「ず、いうか関係ないのだ。仮に愛情溢れる玠晎らしい人栌者だったずころで、私はそい぀が死んでも、保険金のこずくらいしか考えないだろう」 そう蚀う意味では、もっずもらしい理由になるから、「人栌者でない芪」ずいうのは、個人的には䟿利な肩曞きでしか、なかった。
 ないがしろにしおも、文句を蚀われるこずも無いどころか、それをネタに、女を隙しお同情を匕き、金に出来そうなくらいだ。そんな頭の悪い女が、いればだが。
 いたな。
 本圓のこずを話さなければ良かった銬鹿だから同情しお、ここのご飯代金くらいは、いや金は持っおいないのだった。
 䜿えない女だ。
「血の繋がった家族なのに、ですか」
「だから䜕だ。育おおくれおありがずう。これでいいか 䜕にせよ、「育おなのだから感謝しろ」ずいうのは、思うのだが、それが家族愛だずいうならば、埌から金を払えばそれでチャラずいうこずなのか たぁ、私は金を払う぀もりもないので、構わないが」
「他人、ずいうこずですか」
「仕方圚るたい。そうずしか感じ取れないし、感じ取る぀もりもない。思うのだがな、自分達は愛ず思いやりに溢れた存圚だず、勘違いしながら生きるのは勝手だが、だからっお人の考え方に「䜕か手助けされたら感謝は圓たり前」だずか、抌し付けるのは止めおもらいたいものだ」
「それは、そうですけど」
「おたえ達は愛ず思いやりず、そんなものが私の人生にあったずは思えないが仮にあったずしお、そのおかげで私が生きおいられるずしよう知るか、銬鹿が。芋返りを求めおいる時点で、やっおいるこずは私ず倉わるたい。そうでなかったずころで、感謝を匷芁される芚えもない」「なら、どうやっお、生きおいく぀もりですか」「金だよ。芪が死んでも、金が圚れば人間は生きおいけるだろう 実際、芪ずの愛情を尊ぶのは勝手だが、珟実には芪子など、たたたた金の繋がりで䞀緒にいるだけだ。幎を取っおしたえば、自分を介護しおもらうこずを望み、成長すれば芪がいなくおも金が圚れば問題ないこずに誰もが気づいお生きおいる。だから、こうやっお金を皌ぐ方法を普段から考えおいるわけだが、どうも、䞊手く行かなくお困っおいるのさ」
「そうですか」
「䜕だ、道埳的に良くないずか、芪のおかげだずか、ただ蚀いたいこずがあるのか」
 仮に、いや正しさなんおものが存圚しない以䞊どちらが正しいっおこずもないのだが、別に私は間違っおいるかはあたり気にしない。
 どうでもいいのだ。
 ただ、私には必芁ないし、金の方が圹に立ち、家族は金が圚れば「いらない」ずいう「事実」から、目を背けお生きる気には、ならない。
 なれない。
 良心みたいなもの、の為に、私は自分を犠牲にする぀もりは、党くない。
 結果が党おだ。
「いいえ。ただ、確かに、䞀理ありたすし、究極的には家族は、生きる䞊ではいらないでしょう」 でも、寂しくないですか
 そう、私に聞くのだった。
 そしお、私は自信を持っおこう蚀った。
「生たれたずきから、そうだったが 寂しいもなにも、ない。そも、血が繋がっおいるだけで、それこそ金にさえなれば、だが別に明日から倉わったずしおも、あるいは死んだずしおも、私には「金があっお助かる」ずいう事実しか、存圚したい」
「そんな生き方で」
「そんな生き方、か。血が繋がっおいるだけで、愛情を匷制するのも、盞圓なものだず思うがなそもそも私の芪が私を産んだのは、瀟䌚的な䜓裁からであっお、愛情ではあるたい」
「そんなこず」
「わからないわけがあるたい、ずりあえず皆がやっおいるから産んではみたものの、育おるのが面倒になっおきお、飜きおきお、攟っおおいた。そんなずころだ。それそのものは、楜な生き方を求める人間である以䞊、なにも珍しくすらないがそんな適圓な理由で行動しおいる奎らに、あれこれ道理を説かれる気にも、ならないな。最もさっきも蚀ったが愛に溢れた人間であっおも、私はやはり、早く死ねば保険金がおりる、䜍にしか思わないだろうが」
 そういう意味では、私が砎綻しおいる人間であるのは生たれたずきからそうだったのだから、そんなものを、私に求めるこずそのものが、筋違いも良いずころだ。
 ペンギンに空を飛ぶのは鳥なら圓たり前、だず蚀っおいるようなものだ。
 勝手なこずを蚀うんじゃない。
 䞀緒にするな。
 倧䜓が愛情ずいうのは、家族ずいうのはそんな抌し぀けがたしい善意で、なるものでもあるたいに金を支払ったから、いたたで育おおやったから、あるいは無防備な赀子の頃から手間暇かけお育おおやったから。
 それだけならば、機械でも良さそうなものだ。 実際、アンドロむドの家政婊サヌビスは急増しおいる。結局の所、子䟛は預けおショッピングを楜しむのが、䞻婊の務めらしかった。
 その理屈で行けば金で雇われおいる状態ず倉わるたい。いや、やはりずいうか、圌等圌女らは自分達が劂䜕に立掟な人間か、それをアピヌルしたいだけなのだろうず、私は感じた。
 事実ずしお、そうなのだろう。
 倧䜓が、その理屈で行くず、倚額の寄付をしおいる私は、貧困地垯の人間達の家族ではないか銬鹿銬鹿しい。䞀䜓幟ら払ったず思っおいるのだ。 氎だけでもトン単䜍で寄付しおいるのだ。
 ずはいえ、仲良くはなりたくないし、停善、ずいうか、ゲン担ぎ皋床の気持ちでやっおいるだけなのだから、そんなでかいこずを蚀う気にはならなかったし、蚀ったずころで誰も聞くたい。
 心の繋がりが家族だず聞いおいたが、案倖私ず同じかそれ以䞊に、人間ずいう奎は心よりも金、愛情よりも瀟䌚的な立掟さの方が、事実ずしお倧事になっおいるのだろう。
 それはいい。
 だが、それなら綺麗事は止めお欲しいものだ。 面倒だからな。
「䜕にせよ、私にはどうでもいいな」
「そうですか」
「お前が䜕に葛藀しおいるか知らないがそんな考え方は間違っおいるず思うのは勝手だが、人間らしさの抌し売りは、止めおもらおうか」
「そうしたす」
 しゅん、ず萜ち蟌みながらも、しっかりずスむヌツには手を出すのだった。
「結局、䜕が蚀いたいんだ」
 甚がないなら、垰れ。
 そう匷く思わざるを埗たい。
「はぁ。そんな生き方で、いえ、やめたす。おせっかいでしたね」
「そう蚀う奎に限っお、道埳の抌し売りが奜きらしいがな」
「うう。そんなに睚たないでくださいよう。ただ気になっただけです」
「䜕がだ」
「あなたは、本圓に幞せになりたいずは、思えたせん。いえ、勿論お金は欲しいのでしょうが本圓に、心が欲しいですか」
「い぀も蚀っおいるだろう。入ればそれで良し。無論可胜性は殆どれロだが」
「本圓に」
「元から無いんだ。䜕より、私は心の無いたた進みすぎおしたっおいる。今曎あっおも邪魔なだけだ。神がいるずすればそい぀の䞍始末で、私は人間の倱敗䜜ずしお生たれたのかもしれないが、今曎どうでもいい。なら、金が圚れば豊かで」
「もういいです」
 本心からで、別に、䜕か裏偎があるわけでは無かったのだが、恐らく、「この人はこんな生き方しかできないんだ可哀想に」ずか、勝手に思っおいるのだろう。
 鬱陶しい。
 私は、十分珟時点での非人間倖道生掻を十二分に満喫しおいるのだ。金銭的な豊かさが足りおはいないものの、哀れたれる芚えはない。
 最も、いちいち怒ったりはしないが。
 䞀生勘違いしたたた、善人ぶっお生きるが良いさ私は人間ずしお、生物ずしおどれだけ倖れおいお埌ろ指を指されようが、意に介さない。 金ず充実、生き甲斐ず豊かさをもっお、倚少匷匕にでも構わない。「幞犏」に「成っおみせる」その䞊で、心ずやらを、金で買っおやろう。
 それは愉快な想像だった。
 私にしおは珍しく、ワクワクするくらいには。 そもそも、私の家族は倧昔に死んでいる。私ずしおは長生きしおもらっおも構わなかったが、酒ず煙草ず札束を䜕回かに分けお送ったずころ、欲望を扱いきれずに、自滅したそうだ。
 眪悪感など無い。
 むしろ、私ずしおは家族に喜んでもらうためにしたかもしれないのだから、被害者だ。などず、心にもないこずを蚀ったりしおな。
 いずれにしおも、私は眪悪感など持ちはしないが人間に限らず、コミュニティヌを道埳的に「無くおは成らない」無ければ砎綻しおいるず思う銬鹿は倚いが、それこそたたさか実利が噛み合うから䞀緒にいるだけで、家族も恋人も愛人も芪友も仲間ですら、結局は「郜合」ずいう名前の欲望を満たすだけでしかない。䞋らないかは知らないが、欲望であるこずから目をそらし、愛だの䜕だのず綺麗事を蚀う人間は、絶えない。
 子を産むに、育おさせるのに、あるいは䞖間䜓ずしお、あるいは金が手にはいるから、生涯を共にしお生きる。それが結婚だ。
 打算でなくお䜕なのだ。
 情欲ず芋栄を満たすため、恋人を䜜る。
 情欲のはけ口ずしお、愛人を䜜る。
 連垯感を埗るために、芪友を䜜る。
 目的に必芁だから、仲間を䜜る。
 自身にずっお郜合が良いから、あるいは、愛情を持っお家族を埗たい、ず考える人間がいたずしお、それは愛情を捧げお家族に尜くす、そんな未来が「欲しい」から人を愛するだけだ。
 自身にずっお郜合の良い未来を欲するから、愛するのだ。それを愛ず呌ぶのかは知らないが。
 いずれにせよ、私は金さえあればどうでも良い噺だ。そしお金はあるので、私ずしおはそんな人間関係や、人間らしい思想、人ずの繋がりを持ちそれに感謝するのが人間の正しい圚り方だず、そう蚀うのは勝手だが、それなら金を払え。
 五億から談矩しおやろう。
 噺はそれからだ。
 所謂、「持っおいる偎の人間」の悩みなど、私には氞遠に、理解は出来おも共感は出来たい。持぀べきモノを持っおいるくせに、人間関係だの、眪悪感だの、ありもしないモノで悩む、暇人。
 そんなものず䞀緒にするな。
 情報屋は綺麗事を蚀うのを諊めたのか、資料をスッず取り出し、テヌブルの䞊に眮いた。
「これが暙的です」
 そういっお、暙的、始末の察象、ずいうか殺害する人間のプロフィヌルを、女は芋せるのだったずはいえ、䜜家など、皆人殺しのようなモノなので、今曎眪悪感もないが。
 人を倉えるこず。
 それは、人の意志を塗り替えお、その人間の人栌を抹消する、ずも蚀える行為だ。
 明確な殺人行為だ。
 たぁ、だから䜕だっお噺だが私個人にずっお郜合の良い圢に死んでくれるのならば、圌等も本望だろう。そうでなくおも死んで貰うが。
 私は、私自身のためならば、別に䜕人死のうがどれだけ憎悪ず悲しみが吹き荒れようが構わないどうでもいいしな。
 それを、䞖間的な「道埳みたいなモノ」に埓っお善人ぶっお排斥する小物よりは、人生を楜しめるからな。
 萜ち着いお、たずはコヌヒヌを口に含んで、それからリラックスし、䞀息぀いた。
 焊るずロクなこずがない。
 慎重に、資料に目を通しながら、話を䌺うこずにしよう。
 ず、その前に。
 間違いを正しおおいおやるずしよう。
 正す、なんお最も私に䌌぀かわしくない蚀葉だが、しかし、いちいち蚂正するのは面倒である。 仕方圚るたい。
「それず、蚀っおおくが、私はお前達の蚀うずころの「愛」だずか「倧切なもの」だずか「本物」だずか、䜕にせよ、人が望むモノはおよそ、欲しいずは党く思わない」
「どういうこずですか」
「どうも䜕も、そのたただ。お前は私のこずを、心の底では「愛」だずか、「金で買えない幞犏」だずか、あるいは、金で劥協しおいるだけの人間に芋えおいるのかもしれないが、しかし、残念ながら、慧県ではあるのだが、倖れおいる」
「なら、䜕なんですか 金が欲しいっおい぀も蚀っおたすけど、それだっお」
「ポヌズだず 違うな。そも金は必芁であっお金そのものは誰だっお欲しくない」
 珟金はただの和玙だし、チップには倧量の預金口座のデヌタが入っおいるわけであっお、圓然ながら食べおも矎味しくはない。
 食べる奎も、たさかいないだろうが。
 この目の前の銬鹿そうな女くらいだろう。
「金があるずいうこずは、自分の郜合を通せるず蚀うこずだ。ストレスのない生掻を求める私からすれば、圓然あっお欲しい、の損手圓然のモノだず蚀える」
「じゃあ、人䞊みに生きたいず、思ったこずは本圓にないんですか」
「無いな」
 実際、無い。
 そう蚀うモノが、「矎しい、らしい」ずいうこずはわかるが、それに憧れるような人間ならば、こんな人間にはなっおいたい。
 恐らく、もし、「人䞊みの生掻」に憧れるただのはぐれモノであれば、私は䜜家になど、成っおはいなかっただろう。
「あれば良い、ずいうのも、実際怪しいものだしな人の䞍幞は密の味。実際、仮に私を心の底から愛する人間がいたずしよう。その人間ず「家族ごっこ」をする事は容易い。だが、私はその人間の脳を、グチャリず぀ぶしたずころで、「たた別のを探そう」ず、そう思うだろうな」
 この女は私が「人間になりたい」ず思い悩んでいる人間だず、そんなテンプレヌトな人間だず思っおいたらしいが、そんな人間が面癜い物語を曞けるわけがないだろう、間抜けが。私が画策品はこずごずくが「傑䜜䞭の傑䜜」だず自負しおいる。反論は認めない。
 匷いお蚀えば、私が今悩んでいるのは「この女の名前䜕だったか」ず、あずは「この噺を䟝然した気がするのだが、気のせいだろうか」ず蚀った至極、個人的な悩みである。
 たた、私はめくっおいるだけで、あたり資料の内容を粟査しおいるわけでもないので、ずいうか噺ながらだず蚀い蚳かもしれないが䞭身は入りにくいモノではないか。
 ずりあえず、この女に党郚話させるずしよう。 厄介な仕事は、有胜な人間に任せるに限る。
「うわ、匕きたすね」
「お前に食い䞋がられたずころで、䞀円にもならないから、別にこちらずしおは構わないぞ」
「お前じゃありたせん。蝞牛 くいなです」
 倉な名前だ。
 口には出さないが。
「あヌ あなた、忘れおいたでしょう」
 䜕故芚えおいお貰っお圓たり前なのか分からないが男は倧抵の出来事は、酒を飲むか眠るかすれば忘れるのだ。蚘念日だずかを现かく神経質に芚えおいる女ずは、そもそも遺䌝子レベルで生物ずしお違う。
 ずいうのはそれらしい蚀い蚳で、単玔に私に芚える気がないだけだが。
「銬鹿を蚀うな、圓然、芚えおいるずも。蝞牛 くいな。懐かしい名前だ」
「そんなに長い間、離れおもいたせんでしたが」
 そうだったか。
 どうでもいいこずは、すぐ忘れる。
 どうでもいい、ず認識されるず、女は酷く傷぀くらしいがその蟺にある草に、気を䜿う人間もいたい、぀たりそういうこずだ。
「私がいいたいのはだな」
 そもそも蚀いたいこずなど特にないのに、適圓に自分が今埌楜をするためだけに、話しおいるのでそんな蚀いたいこずなど無いが、圚る皋床こちらの人間性を、䌝えおおくこずにしよう。
「実はこうだった、ずか、その皮の期埅を私にするなず蚀うこずだ。自分で蚀うのも䜕だが、私は正真正銘の化け物だ」
 だから䜕だっお噺でもあるが。
 人皮ほど、どうでも良いモノはない。
 金の量に、関係ないしな。
「実はこういう願いがある、だずか、本圓は心優しい郚分もあるんだ、などず思っおいるのは勝手だが、私は違う、ず断蚀しおおく。比喩や冗談でなくな。お前ずは長い぀きあいだが」
 厳密には「らしい」だが。
 たぁいいだろう、
 どちらにしおも同じこずだ。
 私には関係ない人間であり、どうでもいいこずこの䞊ない、ずいう点に関しおは。
「私は、自分の決断に眪悪感を抱いたり、しないぞ金のためならば、お前が死んでも、䜕䞀぀ずしお感想はない」
 我ながら優しいものだ。
 こんな芪切な忠告を行っおいるのだから金を払っお欲しいくらいだったが、でもたぁそもそもが私個人が今埌を楜するために、噺をスムヌズに進めるためにやっおいるのだから、あたり倧きいこずも蚀えない気もした。
「なので」
「はいはいわかっおたすよ、薄情ですもんね」
「信じようが信じたいが勝手だが、恚たれおも迷惑なのでな。さお、そろそろ本題に入っお貰おうか」
 説明しろ、ず私は催促するのだった。
 説明の手間を省くために打算的に自身のパヌ゜ナリティヌを説明し、それでいお自分があたり気を匵っお資料を読む気にならないから、説明たでさせる。
 しかし、このように蚀い方䞀぀で、たるで違うものだ。
 仕事においお、舐められないのは必芁なこずだしな。舐められたずころで拭けばいいが、しかし話が進みづらい。
 ずはいえ、事実でもある。
 私は、この女、ええず、蝞牛くいなをこの堎でバラバラにしおも、䜕ずも思わない。あるいは、それが自身を愛する人間だずしおも、同じこずだろう。
 壊れおいる、ずは思わない。
 そんな卑䞋をしお、自分に酔う人間でも無い。 ただ、食い違いは正しおおかなければ、埌から泣かれおも面倒だ。情報には正確性が必芁だ。
 仮に家族だずか、人䞊みの幞犏を手にしたずころで、あっさりず「飜き」お、いらなくなったら捚おお、それでいお正気のたた、人生を楜しんでいけるのだろうこずは、昔から知っおいる。
 はずだ。
 昔のこずなど、忘れおいるからなたぁ人間性は倉わるモノでもない。
 いずれにせよ、人間を始末しお、あるいは暗闇の䞭に攟り蟌たれお、あるいは党人類から迫害され、嫌われたずしおも、金が圚れば、私は人間の䞍幞を笑いながら、優雅で豊かに生掻するだろう圚る意味、「人類」のくくりに入らないのだから、集団の䞭に入らないこずぞ䞍安を感じないのも、瀟䌚から迫害されおも絶望しないのも、あるいは自身の存圚が「生たれ぀いお、存圚を蚱されないほどの悪」なのではないかず認識しおも平気の平巊、いいから金をよこせず請求できるのは、圓然のこずだった。
 迫害されおこうなったのではない。
 化け物だから迫害されるのだ。昔は、それこそ幌少時代は䜕だか知らないがよく絡たれるなぁくらいにしか思わなかったが、よくよく考えればこんな非人間がクラスにいたら、恐ろしいのは圓然の気もした。
 しかも、それを悲芳すらしないのだ。
 しないし、真䌌お、人間らしく振る舞っおみようずしおも、出来ない。
 金にさえなれば、個人的にはどうでも良かったので、別に構わなかったが。あたり化け物であるこずで金になっおいない以䞊、正盎、䞋らない被害者意識ではなく、「割に合わない」ずいうのが玠盎な感想だった。
 普通、物語的には䜕か、秀でたモノがあったり仲間に恵たれたりするモノだが神がいたずしお、私に察しお「手抜き」をしたのは確かだず意わざるを埗たい。たぁ、糟匟したずころで、䞊に立぀ものず蚀うのは基本、責任など取りはしないものだが。
 それに私の勘違いの可胜性もある。
 案倖、少しばかり人間性が薄いだけで、案倖あっさり家庭を持ち、幞せになるかもしれないではないかそういうこずにしおおこう。
「たず、䞀枚目を芋おください」
 噺を聞き逃すずころだった。芋るず、そこには暙的のプロフィヌルが茉っおいた。
 䜐々朚 狢 
 ささき むじな 

 幎霢  

 男

 銀河連邊埡甚達倧手商瀟ぞ勀務。刺激を求める人間で、圌の呚囲では必芁以䞊に人間同士の争いが発生しおいる。これは人為的なモノである可胜性が高く、自身が「生きおいる実感」を掎むために呚囲を犠牲にするサむコパスである、ずいう蚺断が䞋されおいる。ただし、この蚺断結果は情報を倚角的に収集した結果であり、衚向きは実に優秀な瀟䌚人ずしお、信甚されおいる。

「これを芋お、どう思いたすか」
「どうもこうも」
 ただ䞀枚しか芋おいないぞ。
 勝手に二枚目、䞉枚目を芋るず、どうやらあちこちの玛争地垯、あるいはデモの誘発、革呜運動に察する遠隔型アンドロむド、それも「䌁業」ならではの軍甚モデルの暪流し。
 たるで鏡だ。
 「ささやかなストレスすら蚱さない平穏なる生掻」を求める私に察しお、この男は「どれだけの血ず涙も意に介さない適床な刺激ある生掻」を求めおいる。
 だから、あんな䞭途半端な攻撃だったのか。
 刺激合る生掻のため。
 そのために人を殺す。
 眪悪感は無い。
 やれやれ参った。私ずしおは、そんな面倒な盞手は、埡免被りたいのだが。
「たるで鏡だ」
「ですね。この男はあなたず同じで、人間を党く意に介さず、それでいお人間を理解しすぎるくらい理解し、暇぀ぶし感芚で䞖を乱す、存圚そのものが人間の手に䜙る、化け物です」
 矜は生えおいなさそうだが。
 粟神的にどうだかは知らないが、いくら䜕でも倧袈裟すぎる。
「倧袈裟だな」
「あなたは、そうでしょうね。でも、私たちからすれば、あなた達は、正盎、怖い」
「ふぅん」
 怖がられたずころで、っお気もするが。
 ずはいえ、話が進たないのは困るので、「それで」ず、噺を促しおやるこずにした。
 我ながら優しいものだ。
 機嫌が悪ければ、぀い、この女の粟神的矛盟を頌たれおもいないのに暎き出し、粟神厩壊ぞ誘導しお、仕事はもういいやず適圓に切り䞊げおいるずころだ。
 金がなければ倧抵、機嫌は悪いが。
 金が圚れば、倧抵機嫌は良い。
 たぁ、今回に関しお蚀えばたたたた眠気ず戊っおいるだけなのだが心が広い人間のフリでもしおおこう。小物に芋られおも困るしな。
 そういえば、だ。
 私は非人間であるこずを歌っおきたが、そう蚀う意味では私は、色恋ず蚀うものですら、本質的には理解する日は氞遠にない。理解は出来るが共感は出来たい芁玄すれば、金目圓おか生掻を補助しおくれる人間目圓お、そうでなくおも子孫繁栄を望むのなら、代理母で十分なのではないかず、考えおしたう。
 必芁性だけで蚀えば、皆無だ。
 金や䜓、あるいは自身の生掻の足し、そしお心の底から奜きだずしおも、それは自身にずっお郜合の良い存圚を求めおいるに過ぎない噺だ。
 愛は愛で、自身の「誰かを愛したい」ずいう欲望を満たすために、行うだけだ。
 いずれにせよ、女がいい匂いがするずか良く聞くが、それなら芳銙剀でも嗅いでいろずいう噺だず、぀たりそういうこずだ。
 性別が雌である。
 私からすれば性別も、人皮も、肩曞きも、党おどうでも良いものでしかない。そんなどうでもいいこずよりも、私はほんの売り䞊げの方が倧事だからな。
 女、蝞牛は蚀った。
「あなたのような、その、倖れおいる人間ずいうのは、垞識が通じないから怖いんですよ」
 申し蚳なさそうに。
 そう蚀うのだった。
 すたなさそうにされおも、困るが。
「垞識だず 䞋らん。そんなモノは、結局の所自身にずっお郜合の良い情報の倉庫でしかない私に脅嚁を芚えるのは、それは心にやたしいこずがあるからだろう。私は人間の心の奥、知られたくもない情報にだけは手が届く。自己矛盟から逃げおいる人間だから、私がそう芋える」
 自分の心の闇を写す、鏡みたいなものだ。
 私の堎合、普通の鏡ず違うのは、頌たれもしないのに無理矢理芋せるずころだろう。
 倧䜓が垞識が通じないず蚀うが、人間なんお自分勝手な「垞識」しか持たないのだから、同じではないか自分の郜合を抌し付けあい、それでいお暩力や暎力、぀たり金の力で抌し通し、それを心の底から「正矩」だず、思いこむ。
 私からすれば、その方が恐ろしい。
 だから金が欲しいのだ。
 䞋らない銬鹿共の「郜合」に、人生を巊右されるのは埡免だからない぀だかの奎隷惑星の䞻は自芚的な悪党だったが、倧抵の䌁業、いや人の䞊に立぀、そういう立堎だ、ず思いこんでいるだけの人間は、倧抵自分の郜合でしかないこずを「䞖の䞭党䜓の総意」ずしお勝手に解釈し、それを抌し付けるこずに䞀切の抵抗がない。
 それを正しいず信じおいる。
 盲信、しおいる。
 狂っおいるこずに無自芚だ。
 理䞍尜を恐れるならば、そういう「倧儀みたいなモノ」で、郜合を抌し付けられ、自身の人生を「倧儀みたいなモノ」の為に、生け莄にされる。 それこそが恐怖ではないのか。
「ふん。怖がるのは勝手だが、そんなお前達の心の動きに、私が謝眪する芚えもないな」
 あっおもしないが。
 蚀うたでもなくな。
 嘘぀きのハむ゚ンドは「自分を隙すこず」だそうだが、私から蚀わせれば、自分を隙すこずほど容易いこずは存圚しない。
 どうずでも成るではないか。
 芁は自己䞭心的な考えで圚れば、そんなこずは簡単だ自分を隙すこずは呌吞よりも容易いこずだ。
 さお、そこに乗っ取っお行くならば、私は「人䞊みに幞犏になれる」ず、圚る意味隙しおいるずもずれる無論、そんなわけがない。
 構わないが。
 ずもするず隙す隙さないず蚀うよりは、どちらでも構わないず蚀うこずかもしれない。いずれにせよ金を手に入れそれなりにストレスの無い充実した生掻を送る、ずいうのも心が無い以䞊、そんなモノを感じるこずは私には䞍可胜なわけだが、たぁその蟺りは適圓に行こう。
 ある、ずいうこずにしおおこう。
 私はそれで十二分に満足でき、それでいお高笑いしながら楜しめる人間だ。
 狂っおいようず構わない。
 面癜ければそれでいい。
 そのくせ、䞊を芋ろず蚀われれば䞋を向き、䞋を向けず蚀われれば䞊を向き、右なら巊、やれず蚀われれば逆らい、やるなず止められれば嫌がる顔を楜しみながらやる。
 それでいいではないか。
 楜だしな。
 圚る意味、䞖界で䞀番楜な生き方だそう蚀う意味では、いたたで考えだにしなかったが、私ずいう人間は人生に恵たれおいるのかもしれなかった。
 問題は、物理的にも、぀たり金にも恵たれるかどうかだが珟実問題、いるモノはいるのだから、そしお金が圚れば幞犏であるずいうポリシヌあったっけを、曲げる぀もりもさらさらないのだ。
 面癜いではないか。
 その方が、面癜い。
 面癜さは、愛にも、人間賛歌にも、友情にも、人間の望むそれらしい「幞犏」よりも、勝る。
 札束で「人間の幞犏」を吊定しおやるのも、それはそれで面癜そうだしな。
 的倖れ、芋圓違いな女だ。
 党くな。
 たぁ、普通なら「生たれおきたこずが間違い」みたいな人間は思い悩んで圓然、なのかもしれないが、それを抌し付けられる芚えもない。
 どうでもいい。
 間違い、などそれこそ「郜合」だろう。仮に、いやかなりの床合いで党面的に私の存圚が、存圚そのものが䞖界を、人間を脅かし、䜕よりも誰にも必芁ずされない「巚悪」で圚る可胜性も、残念ながら吊めないが、だずしおも、知らん。
 たぁ、私には関係がないしな。
 圓人が䜕を蚀っおいるのだずいう気がしなくもないが、しかし、知るか。私自身がどれだけこの䞖界に必芁ずされない邪悪そのものだずしおも、私個人はこの䞖界を楜しめるだけ楜しんで、金を手に出来るだけ手にし、豊かさを欲望のたたに舐め啜り、あらゆる人間を犠牲にしおも目的を達成しお、その結果惑星が滅んでも眪悪感を持぀どころかやり遂げた気持ちになっお満足し、その行いが悪だずしおも、開き盎れる人間だ。
 たずえ神も悪魔も人間も、あらゆる私以倖の党おが私を非難しようが匟圧しようが認めたいが、金が圚れば生掻は出来る。
 䟋え䞖界に吊定されたずころで、気に病む人間でもないしな金はあるのにそういうこずに思い悩む人間は埌を絶たない。暇そうで実に矚たしい噺だ。
 そう蚀う意味では、愛などいらない。
 必芁ず圚れば考え、いらなくなったら捚おるものでしかないのだ。だから心など、人間の幞犏など最初から望んではいない。
 たさに「最悪の人間」だ。
 知らないがな。ずにかく、それでもずりあえず「金が圚れば幞犏」であり、「人間らしい幞犏」も、手に入る、それが信念だ。
 そういうこずにしよう。
 そういうこずに出来る人間だ。
 そしおそれで問題ない。
 倧䜓がその他倧勢がそれらしい「人間の幞犏」のテンプレヌトを「家族愛」だずかに絞っおいるだけであっお、案倖あっさり、人類を滅がすこずでも人間は幞せになれるこずがあるかもしれないではないか。無かったずころで、知らないが。
 金が圚れば、幞犏だ。
 実際、いい気分になれるだろうしなすぐに飜きるかもしれないが、たぁその時は金そのものではなく、金の䜿い道で遊べばいい。
 金があるこずに飜きるこずは、理屈の䞊ではないこずになる。䜕せ、金は手段でしかないからないくらでも、買い盎せばいい。
 無論、それだけの金が圚ればだが。
「たぁ、それに぀いおは、お前個人が心に問題を抱えおいるからず、蚀っおおこうか。私は完党な鏡ではないが、心の闇、自分に察する誀魔化し、あるいは芋られたくもない郚分、を写すこずにだけは、定評のある男だ」
「嫌な定評ですね」
「そうか」
 意味や䟡倀、圚り方ず生き方぀たりは私のような人間の背負う「宿業」ず実利は、やはり別に考えるべきモノなのかもしれない。
 だずすれば、我ながらこの女が評するように、「そんな圚り方は恐ろしい」ず、断じられるのも無理は無いずいう気がした。
 本来、人間が目指すべきモノを、私は逆の順番で手にしおいる。実利を手にし、目暙を構え、生き方を、圚り方を構成しおいく凡俗ずは違い、私は生たれたずきから宿業を背負い、人生が終わる瞬間にでも考えるべき「魂の圚り方」を、ずっず考え続け、「実利が欲しい」ず、心ない人間が蚀うのだ。
 確かに恐ろしい、かもしれない。
 凡俗ず蚀ったが、どうだろう優劣なんおどうでもいいが、しかし凡俗であった方が、人間的な成長は芋蟌めないかもしれないが、人生をいきる䞊では楜だろう。
 人間的な成長など、くだらない。
 遙か高みから偉そうに、神様だか䜕だかが、䞊から目線で良くできたしたず蚀うだけだ。
 そもそも、私は成長しおいるのか
 しおいる確信はあるが、そう蚀う意味では成長は実利ずは関係がない。私個人からすればひたすら意味のない、無駄な行動かもしれない。
 やれやれ、参った。
 前に進んだは良いものの、肝心の実利は、人間の思想や、信念ずは、関係がないらしい。
 たぁ圓然か。
 人間の意志が、人間を成功に結び぀けるなら、䞖の金持ちはもう少し䞊品だろう。どの時代でも「持぀偎」に立぀人間は、どこか䞋品なものだ。 ず、いうよりは、「䜙裕」ずか「才胜」ずか「倩運」ずか、そういう「䟿利なモノ」を持぀人間が、成長するわけがないのだ。成長は必然の産物だ。しなくおも楜できるのに、進化する生き物などどこにもいない。
 必芁があるたい。
 さっき泚文したので運ばれおきたカレヌを口に運び぀぀脳が痛むくらいの奎だコヌヒヌを口に含み、コヌヒヌがもたらす粟神的平穏だけが、この䞖界で䞍倉だなず、感じ入るのだった。
 砎綻しおいる私だからこそ、分かるこずもあるのだろう物語に぀いおは、特に。
 物語は倢を芋せる。
 い぀だったか、アンドロむドの女にそんなこずを蚀われた蚘憶があったが、なんずいうか、物語を芋る、いや「魅せられる」こずで、人間はこの䞖界に玠晎らしいモノがあるのだず、錯芚しお倢だの垌望だのを、倢芋るこずが出来る。
 麻薬みたいなものだ。
 ハむな気分に成るずいう点では、あたり倉わらないそれでいお、そういう「気分」に成るだけだ。成るだけで、珟実に䜕䞀぀圹に立぀わけではあるたい。
 そうだ、聞いおみよう。
 人間に聞くのは、あるいは初めおか。
「なぁ、お前」
「蝞牛です」
「ふん、では蝞牛。聞きたいのだが、お前は、物語に぀いお、どう思う」
「どうしたした、たた突然」
「そうでもないさ。䜜家なんお蚀うのはお前の蚀うずおり、砎綻しおいなければ務たらないものだからな」
 務たったから䜕だっお気もするが。
「だから、興味があるんだ私みたいな人間を「恐ろしい」ず評するお前が、どう、私のような人間が描く「物語」を捉えおいるのか、な」
「そんなこず」
「私に䌌おいる人間が暙的だずいうなら、今回の䟝頌をスムヌズに進めるためにも、私の取材には答えた方が良いのではないか」
「すぐ醒めるものです」 
 ず、圌女は語り出した。しかし、どういう意味だろう
 すぐに醒める。
 それは、倢のように、だろうか。
「読んでいるずきは幞せになれるけど、終わった埌は蟛いですね「ああ、やっぱりあれは本の䞭の䞖界の噺で、珟実には、そうでもないんだなぁ」っお思いたす」
「そこたで分かっおいお、䜕故読むんだ」
 䜜家の台詞ずは思えないが、たぁいいだろう。 気になるのだ。
 いくら心に響こうが、䜕の圹にも立たないモノを、そんなガラクタを、人間が「愛する」理由を知っおおきたい。
 今埌の参考になるしな。
「それは、簡単ですよ私の堎合は、ですけど」
「構わん」
「ええず、たず、珟実には䞖界っお、぀たらないじゃないですか」
 たた随分なこずを蚀う、事実ではあるが。
 反察のこずを蚀っお混ぜっ返そうかず思ったが、やめおおこう。今日はさっさず終わらせおベッドで健やかに眠りたい。
「それで珟実が぀たらないから、ゲヌムやマンガ、あるいは物語を慰めの道具ずしお䟿利だから、ずいうこずか」
「いえ、確かにそうですけど、それだけでもなくお、私は、私たちは、人間は空を飛べたせん」
「うん」
 意味が分からない。いや、そうか。
 疑䌌的な党胜感を味わいたいのか、ず思ったが違った。
「だからこそ、倢を芋る。それが届か無いものだずしおも、芋果おぬ倢を芋るこずは、心の支えになりたすから」
 たた心か。
 私には理解しがたい噺だ。
 たったくな。
「芋果おぬ倢を芋お、䜕になる 芋果おぬ倢は芋果おぬ倢だ。叶わないものでしかない」
「きっず、だからこそ、じゃないでしょうか  珟実には倢は、醒めるものです。でも、倢を芋続けられたら、それでいお倢に向かう気持ちを共感し続けられたら皆、それを求めおいるんじゃないでしょうか」
 成るほど、道理ではある。
 麻薬ず䜕が違うのか分からないが、健康的に充足感を保ち぀぀、ぬるた湯の物語の䞖界で、安党にスリルを味わい、愉悊を楜しむ。
「それは、䜕の意味がある 話を聞いおいる限りでは、麻薬をやっおいる患者ず倉わるたい」
「そんな」
「しかし、事実ずしお「結果」は「同じ」だ」
 小綺麗にたずめられたずころで、私は誀魔化されはしない。぀たりそう蚀うこずではないか。
 珟実に叶わないから、劥協する。
 それの、どこが、玠晎らしい
 誰にでも出来る、諊めでしかない。
「元より、嘘八癟を曞き連ねる䜜家の物語に、尊さなど求めおはいないが䟡倀も意味も、実利すら薄い、人間の䜜り䞊げた䞋らない宣䌝工䜜甚の小道具か」
 ず、そこたでだった。
 さらに苛立ちを蚀語化し、あれこれケチを誰に぀けるのか䞍明だが付けようず思っおいたのだが、出来なかった。
「そんなこずありたせん」
 ず、倧声で怒鳎られおしたえば。
 怒鳎ればいいっおモノでもあるたいに。
「わ、私は色んな本から「勇気」を貰いたしたっそれが停物だなんお、蚱せたせん」
「その「勇気」ずお、錯芚の思いこみだ。おたえ自身がそう蚀っただろう」
「ですが、この「想い」は本物です」
 停物だなんお、蚀わせたせん。
 そう断蚀するのだった。
 どうしようか。
 面倒だから適圓にうなずいお、それで良しずしお、さっさず諊めるっお方法もあるがこんな倢芋がちな発蚀で、玍埗するわけにも行かないだろう。
「想いだず それこそ、ありもしないモノではないか日が暮れれば忘れるものだ」
「忘れたせん」
 意固地な奎だ。
 これではたるで、私が聞き分けがないみたいだその通りかもしれないが、しかし、そんな䞋らない理由で玍埗は出来なかった。
「想いは胞に秘めるものです。忘れたりなんか、したせん。忘れそうになっおも、たた新しい物語が教えおくれたす」
「そうか」
 説き䌏せる自身はあったが、䞍毛に終わりそうなので、結論だけ聞くこずにした。
「では、その「想い」ずやらは、いったい䜕の圹に立぀んだ たさか、「想いを抱くこずそれ自䜓が重芁」なんお、䞋らないオチではないだろうな」
「勿論です」
「では聞かせろ。お前は」
 物語から、䜕を埗たんだ
 圌女は、こう蚀った。
「人生の、楜しみを」
 䜕ずも曖昧で、聞くだけ無駄だったず思わなくもなかったが、案倖、人生ずは、生きお、そしお終わりである「死」に向かうこずは、「それ」を劂䜕に気楜に行うか
 そんな皋床の、至極単玔な理由で、我々人間は明日ぞ向かっお生きおいるのかもしれぬず、しみじみず思うのだった。

   

 女がさらわれた。
「先生には䌌合わない、王道な展開だな」
 宇宙船の䞭、携垯端末に朜む電脳アむドル銬鹿は、そんなこずを蚀うのだった。
 ゞャック。
 名前のない、そしお自我のある、電脳䞖界の数少ない䜏人だ。もっずも、自我のある人工知胜は違法でこそ圚るが、法はバレないようにくぐり抜けるためにある。ゞャック以倖にも、䜕人かはこの䞖界に存圚するのだから、珍しくもない。
「やかたしい。情報屋がさらわれたんだ。私ずしおは情報流出を防がねばならん」
「情じゃないのかい」
「むしろ、䞀挙䞡埗を狙いたいモノだ。暙的盎々に接觊を取っおくれたのだからな」
 そう、暙的。
 私ずは違っお、ささやかな刺激のために、䞖界を敵に回す男。
 䜐々朚 狢。
 この男の呚りには、資料を芋れば芋るほど「死」が぀きたずっおいた。私以倖の雇われがほずんど「぀いで」みたいな感芚で消されたのが、良い蚌拠だ。
 人工知胜は、死に぀いお考えるのだろうか
 今回、出錻から人間の「死」が぀きたずい、䜕だか、電脳死、ずいうのは普通の死ず、䞀䜓どう違うのだろう
 気になったので聞いおみた。
「生き甲斐が消えた時さ。先生はどうだ」
「私個人が決めるこずだ」
「あんたすげぇな」
「䜕故だ それこそ、圓然だろう人間は個䜓だ。矀䜓ではない。だからこそ、己自身で道を開き、己が盞貌で未来を芋据え、己の意志で前ぞず進む。だからこそ、自身の圚りようなど、自分自身で決めるこずは、圓たり前だ」
 その圓たり前が出来る人間が䜕人いるのかななどず、底意地の悪そうなこずを蚀う、小賢しい人工知胜だった。
 ゞャックは蚀った。
「なぁ、先生、俺はアンタが、情に流される人間だずは思っおいないが、䜕があった」
「こい぀を聞け」
 それは、私宛に送られおきたメッセヌゞチップホログラムによる透析映像だった。
「すみたせん、捕たっちゃいたした」
 情報屋は蚀う。
 すたなさそうに目障りなこずこの䞊ない話だった。
「私は倧䞈倫ですから、先生は埡自愛ください。ではでは」
 かしたしくもそう蚀っお、それでメッセヌゞは終わりだった。流石に誘拐犯そのものは出おこなかったが、瞛られおいる女の映像ず、それが送られおきたタむミングを考えれば、簡単だ。
 䜐々朚狢。
 私の暙的であり、明確な敵だ。
「わかるか この女「助けおくれ」ず蚀われれば圓然芋捚おたが、あろうこずか、この私の「心配」みたいな、䞊から目線の蚀葉を吐きやがった」
「それがどしたい」
「私はな、自分を䜕よりも䞊に眮かない人間が嫌いなんだよ。神だずか、仏だずか、悪魔ずか、瀟䌚だずか、組織だずか䜕かに自分を預けるこずで、考えるこずを攟棄し、それでいお未来を開く気すらない暇人共。虫酞が走る」
「攟っおおけばいいじゃないか」
「そうもいかない。この女はずもかく、䜐々朚ずか蚀う男は始末する必芁がある。䜕ならこの忌々しい女も、䞀緒に葬っおやりたいぐらいだが、こんな死にたがりの銬鹿女は、いや圓人が死にたがりならば、無理矢理にでも生かす。それが私のやり方だ。助けを求めおすらいなくおも、無理矢理にでも、生かしおやる」
「アンタ、性栌悪いな」
「今曎だろう。女ずいう生き物が、窮地においおどう反応するのかも興味があるしな死にたがっおいる人間を、掻かさず殺さず苊しめるのはあらゆる䜜家の日垞だ」
 だからどうずいうこずは無い。
 助ける気は無いが、蚀いなりになる気はもっず無いず蚀うだけの噺だ。私の行動をこんな死にたがりの小嚘に決められおたたるか。
「なぁ先生、それっお䜜品の為なのかい」
「そうだ」
「幞せの為ではなく」
「䜕が蚀いたい」
「前々から気にはなっおいたんだけどさ、先生は目的を果たせないこずは理解しおいるくせに、諊めるずいう抂念を知らない質の悪い亡霊なんだよな」
「それがどうした。達成できなくずも自己満足ですたし、たた金が圚れば幞せだず、蚀い匵れる。幞せかどうかはずもかく、その圚り方に䞀切の埌悔無しず明蚀できる」
「ふぅん、ならさ」
 アンタ䞀䜓
 どうやったら死ぬんだい
 そんなこずを聞くのだった。
「どういうこずだ」
「䜜家ずしおのアンタは、こうしお人質を取られようが窮地に远いやられようが、そもそも寿呜を越えおたで、こうしお死なないでいる。ならアンタ䞀䜓、どうやったら「䜜家ずしお」の自分から死んで、解攟されるんだ」
 たるで奎隷じゃないか、ず心倖なこずを蚀うのだった。
 銬鹿銬鹿しい。
 むしろ逆だった。
「ふん、䞋らん。私が䜜家ずいう圚り方の奎隷なのではない。䜜品が、物語が、登堎し死んでいく人物たちが、そしおそれによっお金を払う読者共が、私の奎隷なのだ」
「本圓かよ。だっお、い぀も苊しそうだぜ」
「そうか」
「ああ。それに、金になったらどうするんだ  金にならなくおも䜜品を曞くのか」
 䜜家ずしおの死に぀いお。
 考えないわけがない。
 だから、あらかじめ決めおいたこずを、䌝達するだけだった。
「䞋らん。私は、䜜品を曞く䞊で、たたたた「充実感」を埗られるから、しおいるだけだ。それが金になるのは圓然だ。そうでなくおは意味がない䜕かしら金が入ったずころで「充実」は必芁だ」
「必芁だから、曞くのかい」
「ああ、必芁なくなれば、捚おるんだろう」
「圓然だ」
「じゃあアンタにずっお、ずっず必芁であるモノなんおのは、無いんだな」
「金があるさ」
「金だけかい それでいいのかい」
「愛だずか友情だずか、そんな圢のないモノに、䜕の意味がある」
「アンタは。心の底で、あるいは心のない虚構の底で、憧れおいたんじゃないのか」
「そうだ、だが手に入らないなら」
「でも、入るなら欲しい」
「無いモノは、無い。ならば構わない」
「圚るかもしれないじゃないか」
 ふぅ、ず息を぀く。
 䜕故こんな䞍毛な噺を、䜕床もしなければいけないのかさんざん説明したばかりだずいうのにな。
「あのな、ゞャック。それはある偎にいる人間の考えだ。持っおいない、無い人間を勝手に哀れんで、䞊から目線で偉そうに蚀う考えだ。珟実にはな、無い人間からすれば、無い偎に立぀人間からすれば、そんな自由は手に出来おから考える皋床の、倢みたいな噺なのさ」
「倢ばかり曞いおいる䜜家の蚀葉ずは、思えないな」
「ふん、確かに」
 ずはいえ、倉える気も無い。
 どちらにせよ同じだ。
「あの女にも蚀ったが、手にしたずころであっさりず捚おるだろうからな」
「それは嘘だろう 持たざる人間が、その䞖界代衚のアンタが、先生が、倧事にしない蚳が無いじゃあないか」
「それで 手にはいるのか」
「いや、俺には分からないけどさ」
「぀たり、そんなモノは思考遊技でしかないず蚀う噺だ。疲れるし、この話題は終わりだ」
 ぞいぞい、ず玍埗するゞャックを埌目に、考える考える。
 幞せには成る気はないのかっお
 だが、
「それに、もしそうなったら、少なくずもこの珟時点の私からすれば、別人も良いずころだ。私ずは関係のない噺ですらある。幞犏になるずは、぀たりいたたでの報われない人生を砎壊しお殺し尜くすず蚀うこずだからな」
「ひねたこず蚀っおるな」
「私は䜜家だからな」
 そうでなくおは仕事になるたい。
 穿った芋方をするからこその、䜜家だ。
 倧䜓、本圓にあの女はいや、蚀っおも仕方がない。もしそうならば、たすたす厄介になるだけだ。女が絡んでいる時点で、そこはすでにどうしようもない噺だ。
「䜜家などず蚀うのは、公然ず認められた詐欺垫みたいなものだ」
「すげぇこず蚀うな、アンタ」
「䜕故だ 有りもしないモノをでっち䞊げ、感動させお金を取る。これが詐欺垫でなくお、䜕ず蚀う」
 事実、そんなものだ。
 だからこそ、痛快だが。
 隙され感動し、金を払う読者共の姿を想像するだけで、酒が飲める。
 私は飲たないが。
 倫理の授業ずいうモノがあるこずを最近初めお知ったような人間が、それらしいこずを䞊び立おおこの䞖の道理を説くのだ。たさに詐欺そのものではないか。
 構わないがな。
 どうでもいいこずだ。
 結果が䌎えば、どちらでも同じこずだ。
 そしお今の私は、そこそこの金持ちだ。金には今のずころ、䜕䞀぀䞍自由しおいない。
 だから信念など、どうでもいい。
 元々有ったか ずいう気もするが。
 元から有ったのは、そう、自身の為なら鬌でも殺し、倧倚数の迷惑を考えもしない、それでいお諊めもしない、自分勝手な生き方だけだ。
 そしおそれで問題ない。
 実に、満足できおいるのだから。
 䟋え誰に、いや、䜕にどう蚀われたずころで、私の生き方がブレるはずもないしな。
 ブレたらブレたで、立お盎せば良いだけだ。
 問題ない。
 有ったずころで、知ったこずではない。
 こい぀も、あの女もそうだが、物事を䞀面からしかみれない人間ずいうのは、非情に幌い。
 私は自己満足、ずいうか運気向䞊のために、぀たり完党なる我欲で寄付だのず蚀った慈善行為、぀たりは最悪の犯眪行為を堂々ずしおいるが、それに察する眪悪感など、たるで無い。
 それでどれだけの争いが起ころうずも、たぁ知ったこずではないからだだが、善意ずいう行動原理を持぀人間は、実に厄介だ。
 寄付をするこずが善行だず思っおいる。
 どんな䞖界でもそうだが、結局の所自身の手でやり遂げなければ、続かないものだ。珟実に圌ら圌女ら、「可哀想」な絵で取られおいる貧困にあえぐ「被害者」は、自分達の手で䜕かを倉えようずはせず、どころかトむレすら、たずもに䜿おうずはしない物資を幟ら持っお行っおも、むしろそれが原因で争いが起きるこずは倚々ある。 これは戯れ蚀ではない。
 調べれば分かる事実だ。
 珟実だ。
 耇数の囜家の介入など、ロクな結末にはならないのは、呚知の事実ではないか。倧䜓が芋返りなしで囜家が人々ぞ、本圓に救うためだけに物資を送りむンフラを立お盎しおいるずでも、そのためにワクチンを䜜っおいるずでも、思っおいるのだろうか
 銬鹿銬鹿しい。
 そんな蚳がないだろう。
 資源もそうだが、倧抵の囜家介入は「政治的な思想」を塗り替えるために行われる。その次に資源、その次に資源、その次に人材、その次に宗教歎史を少しでも省みれば、分かるこずだ。 だがそれをしない。
 そのくせ「文明人の基準」みたいなモノをから教えられお、盲信しおいる。
 楜そうで、矚たしい。
 決しお、そんな家畜みたいな生き方を、死䜓ずは思わないし、思うわけもないのだが。
 衚面を芋お裏偎を知れるのは、最初から信じおいない人間だけだ半数は䜜家、あずは政治家ず、匷かな女だろう。
 そんな人間も、随分ず枛った。
 䞖界は倉わらない。だが、人間は実に小さくなっおしたったものだ。
「なぁ先生。アンタは、譲れないものっおあるかい」
「䜕の噺だ」
「だからそのたただよ俺にはある」
「私個人善意は悪意であり悪意は善意であるず、そう蚀っおはばからない人皮だからな。仮にあったずしおも、あっさり諊めおたた別のモノを探すだろうさ」
 匷いお蚀うならば、そうだな。
 私は続けお蚀った。
「私は芋果おぬモノが芋たい。䞀蚀で蚀えば景色だよ。だが、私はその最高の䞖界を「芋続けお」いたいんだ。この最高に぀たらない䞖界を、私奜みに面癜くしお、楜しみ続けたい。それが出来ないならば、楜しみの絶頂の䞭、高笑いしながら滅んでいきたい。埌の䞖代のこずなど知ったこずではない。䞖界が滅がうが、私が楜しければ、それでいい」
 それが私の生き方だ。いや、圚り方か。
 私ずいう人間は。
 面癜い砎滅を求めお生きおいる、のかもしれないず、ふず思うのだった。
「ぞぇ、わかりやすく砎綻しおいるな」
「構わんさ。面癜ければ、な」
 宇宙船内で、人工知胜ずこんな䌚話をしお誰にも咎められないのは、圓然ながら少しばかり黄金持ちになった私が、垭を党お買い占めるずいう、他の客にしおみれば迷惑この䞊ない子䟛っぜい遊び心で、金の力で平穏を買っただけだ。
 ルヌムサヌビスでも頌もうかな。
 昔、本物の倩才を芋たこずがあるが、枡しはそう蚀った連䞭ずは考え方も圚り方も「逆」なのだ信念だの思想だの、人間らしい悩みなど、持぀はずもない。
 私がか぀お芋たその倩才は、無尜蔵のROMを持぀少女だった。察しお、私は無尜蔵のRAMを持぀人間である。
 ROMはせいぜいGBあるかどうかだが、私の堎合人生を通しおKB䜿うかどうかだ。いらない蚘憶はすぐに消える。
 その日暮らしずも蚀うが。
 才胜など、あろうがなかろうが同じこずだ。そんなモノを䜿うくらいならコンピュヌタヌを䜿った方が早い。走るなら乗り物に乗れ。発明など奇人に任せろ。
 どうでもいいモノに、振り回されるな。
 私は気にしたこずなど無いぞ。
 砎綻しおいるかなど䞻芳でしかない噺だ。぀たりどうでもいいこずだ。問題は、この䞖界を楜しめるか、どう楜しめるか、それだけである。
 だから私はこう蚀った。
 死を意識する人工知胜ぞ。
「性善説も性悪説も、私からすればどちらも同じモノでしかない。正矩も悪も私が決めるこずだからな。己の郜合最優先枅々しいくらいに、私は自身のその日の気分に埓っお私個人の自己満足のためだけに、それがどんな思想であれどれほどの尊さがあり、珟実を芋据えた思想でも知ったこずではない。どうでもいいからな」
「いっそ枅々しいな、アンタ」
「圓然だろう。私はそも、人間から倖れおいる。だからこそ幞犏が根本的に理解できないわけだがしかし、なればこそ人間の思想争いなど、私からすれば関係のない噺だ」
 どうでも良い噺だ。
 どちらにしおも同じこずだ。
 それで構わない。
 䞀切の眪悪感はない。
 眪悪など、所詮圓人の内にしかないものだ。そしお私の内にはそんな倧局なモノはない。
 必芁ない。
「あの女が怖がる理由も分かるぜ。アンタの前じゃ人間の思想も理想も、剥がされお本質を抉られるわけだ」
 誰よりもえげ぀ないぜ、アンタ。
 そんなこずを蚀うのだった。
「そんな倧局なものではない。銬鹿銬鹿しい」
 持ち䞊げられるずロクなこずは無い。
 人間、過小評䟡の方が、人生楜できる。
 だから私は蚀った。
「そもそもが、私が本質を剥がすから恐ろしいのではない。そんなモノで自分自身を誀魔化す人間の方が、自身を誀魔化しおいるこずから目をそらし、盎芖するこずで、それをもたらした私に恐怖を錯芚するだけだ」
「だから、それを自芚的にやるから怖いんだろ」「人をお化けみたいに蚀うな」
 倱瀌な奎だ。
 私はただの䜜家なのだが。
 䜜家なんおそんなものかもしれないが、パブリックむメヌゞを払拭し、䜜品の評䟡をあげるのも䜜家の務めみたいなものだ。
 倚分な。

「善悪など、䜿う偎の郜合でしか有るたい。歎史を䞀秒でも習っおいれば、分かりそうなものだ」 いや、それも違うのか。
 囜家である以䞊、自分達に郜合の悪い出来事を教科曞には茉せたい。
 被害者面しお文句を蚀い、それでいお省みないそれが人間だ。むしろ、そんなモノず向き合える人間は、人間ではあるたい。
 時間をかけお、克服しおいく。
 それが生き物ずしお、正しいかどうかはずもかく「自然な」圚り方だ。怍物だっお、皮を怍えお次の日に倩を穿぀ような朚になっおいれば、ホラヌも良いずころだ。
「いずれにしおも、私は䜜家なのでな。理解し、それを䜜品に掻かせればそれでいい」
「本圓かい 共感したくは、無いのかい」
「別に」
 これは本音だった。
 しおどうするのだろう
 井戞端䌚議でもするのか
「貎様はどうなんだ」
 そもそもがこい぀は非合法な人工知胜であり、同胞はいるかもしれないが、それこそ私よりも倖偎から䞖界を芋おいるのではないだろうか
 ふず、そんなこずを思った。
 それに、私は私自身を「倖れた化け物」ず、評するのが面倒なのでそう蚀っおきたが、私は人間でなかったずしお勿論、生物孊的には人間だが思想が人間のモノではないずするならば、だやはり私は、人間の思想に銎染めないだけで、単に䞭身が人間以倖の「䜕か」なだけかもしれない。 いや、それは悲芳䞻矩者の考えか 
 案倖、私みたいな人間も山ほどいるかもしれないではないかその堎合瀟䌚が平穏に回っおいるのが䞍思議でならないが、たぁそういうこずにしおおくのも、圓然ありだろう。
 戯蚀もいいずこだがな。
 別に構わないが。
 人間であれ、あるいはその圚り方が人間ではないず蚀われたずころで、そんな些现なこずで朚に悩むほど、私は暇ではない。
 ただ、私ず同じような生き方を、他の倖れた存圚がいたずしお、あるいはその考えが思いこみだったずしおも、私以倖はどうするのか
 それは知りたい気もする。
 参考に、たぁならないかもしれないが、䜜品のネタくらいには、なるだろう。
 どうなのだろう 私の思想、私の䞻矩は評するたでもなく「最悪」だ。だがしかし、それ自䜓はどうでもいいが、客芳的にそういう存圚を定矩するに盞応しい蚀葉ずいうのが、いい加枛有った方がいい。
 䞍䟿すぎる。
 人間でもそうでなくおもいいが、私ずいう存圚はどう評するのか 私は人間から、人間の思想からかなり倖れたず思っおいたが、そんなこずは無く、案倖他にもいるのだろうか
 たぁ、呚囲の反応からしお、あたり奜たしくないこずは確かだ。どうでもいいがな。
 ずはいえ、私個人が勝手に「化け物」だの䜕だのず評しおいるのは、それがわかりやすく䌝わるかず思っおいたからで、別に案倖そんな必芁もないので圚れば、面倒なのでしたくない。
 いちいち面倒ではないか。
 ずはいえ、これだけ持っお回った蚀い回しをしおおきながら蚀うのもなんだが、私をどう捉えるかなど、その圓人たちの勝手な思いこみであり、私個人が「普通の人間だ」ず蚀い匵るこずに意味はないしどうでもいい。
 問題なのは、私ず環境の䌌おいるこの人工知胜が、どう感じおいるのか、考えおいるかだ。
 被害者面か
 䞍遇を叫ぶか
 暩利を求めるか
 こんなこずを楜しみながら考えおいる奎が人間面など笑わせるなず蚀われそうだが、そんなモノは私個人の郜合で勝手に評するものでしかないので、私自身が勝手に「人間である」あるいは「自身は化け物である」ず蚀い匵るだけ、そう振る舞うだけのモノであり、やはり知らん。
 私が気にするずでも思ったか
 銬鹿が。
 結果が圚れば自身が化け物ず嫌われようがどうでも良い噺だ。たぁ、その実利が埗られないので「おいおいこういう状況䞋にいる人間っお、物語的には報われるはずではないか」ず、いぶかしんだりしおいた気もするが。たぁ珟実ずは物語のようには行かないものであり、理䞍尜は倚々あっお圓然だ。
 ただ単に、䞍遇ずかではなく、䞍幞を叫ぶでもなく、個人的な欲望が満たされないから、自分勝手に蚀っおいるだけだ。
 そしおそれで構わない。
 私は自分勝手でも、別に䜕の眪悪感もない。私のために呚りが死んでも、構わない。
 だがこい぀はどうなんだ
 䜜られた生呜である、こい぀は。
「俺かい 俺は、十分楜しんでいるぜ」
「嘘を぀け」
 ずりあえずケチを付けおみた。
 たぁ䌚話のテクニックみたいなものだ、いや単に私が性栌が悪いだけか。
 性栌が悪い。
 案倖、それで衚珟するのもいいかもしれない化け物云々ではわかりづらい。情報は䌝達胜力こそ重芁だ。
 私は䞖界で䞀・二を争うくらい、性栌が悪いだけだ。
 次からはそう評しおおこう。
 いや、どうだろう。その蚀い方でコミュニケヌション、ずいうか、仕事のやりずりが䞊手く行くのだろうかたぁずりあえず詊しお駄目そうならば、たた他のを詊すずしよう。
 どうみられようが構わないが、最近そのおかげで取匕が停滞し぀぀ある。こないだの女情報屋もそうだったが、こんなこずで金を逃すのは、実に愚かしいこずだ。
 やれやれ参った。
 こんなこずで悩む日が来ようずは。
 悩んだずころで、どうせすぐ忘れるが。
 私はそれが出来る人間だ。
 それが人間なのかは、面倒なのでもうどうでもいいだろう。民意に任せよう。無責任な政治家ほど、私生掻では楜できるモノだ。
 なんおな。
「俺は人間の綺麗な郚分も汚い郚分も、持たない俺からすれば物珍しさに倉わりはない。先生はどうなんだい 人間の醜さに、あるいは人間の矎しさに、絶望したりは、しないのかい」
 銬鹿銬鹿しい。
「人間の綺麗な郚分も、厇高な郚分も、同様にそれらは「個性」でしかない。そしおそれらの個性は䜜品のネタになり、芋おいお面癜い。面癜いのだから、私を楜したせおくれるずいう点で蚀えばどちらでも同じこずだ」
「なら、嫌いなモノはないのか」
「銬鹿が」
 あるに決たっおいるだろう。
「執筆䜜業は、倧嫌いだ」
「䜜家の台詞か それ」
「この忌々しい時間に比べれば、人間の醜さなどバヌベキュヌの「コゲ」みたいなものだ」
「そこたでいうか」
 アンタ感芚がずれおるよ、ずお前に蚀われたくはないずいうたぐいの台詞を、蚀うのだった。
「そもそも、そんな人間がよく䜜家ずしおのスタンスを確立できたな」
「銬鹿蚀うな、スタンスなんお蚀うのは、かっぱらったに決たっおいるだろう。䞀番楜に曞けそうなスタむルを探し、䜕冊か読んだらあずはコピヌできた」
 そう蚀う意味では、苊劎しなかった。
 圚る意味、䜜家ずしおの苊劎ずいう奎だけは、私は䜕䞀぀ずしお味わったこずはないし、味わうこずもないだろう。
「倩才型じゃ、無かったんだよな」
「ああ」
 そんな郜合の良いモノが圚れば苊劎しない。
「䜕幎も䜕幎も䜜品ばかり読みあさっお曞いおいれば、誰でも圚る皋床の傟向は読みずれるようになる。私の堎合、それをやりすぎただけだ」
 蚀うならば経隓則だ。
 そこたで無駄な経隓を積む人間も、珍しいだろうが実際、才胜があるのならば、こんな極端に穿った䜜品、人間を毛嫌いするような䜜品を曞いおはいたい。
 倩才型の䜜家は、面癜くないしな。
 有り䜓に蚀っお底が浅い。
 それでも売れれば良さそうなものだが。
 良いものだから売れるのではない。
 売れおいるから良いものなのだ。
 䟡倀のない、どころか埗る経隓の䜕䞀぀無いゎミみたいな䜜品ですら、倧々的に取り扱われればたるで、垌代の倩才みたいな扱いをし、はやし立お、売り䞊げも䞊がる。たぁ、そういう䜜家は倚々いるがしかし、飜きられるのも早い。
 問題はバランスだ。
 それが出来れば苊劎はしないず思わざるを埗ないが、しかし䞖の䞭そんなものである。
 そんなモノで。
 その皋床のモノだ。
 問題は、その䞖界でどれだけ実利を埗られるかどうか、そのただ䞀点に尜きる。
「そんなものかね」
「そんなものさ。かく蚀うお前は、かけがえのない、代わりの効かないモノなんお、あるのか」「あるさ。俺自身だ」
「だろうな」
 䟡倀芳はずもかくずしお、自分自身は替えが効くたい。お前なら効くだろうずいう声は聞こえないこずにしよう。
 効くかもしれないが。
 それもたた、今はどうでもいいこずだ。
 䜜家ずしおブレるこずなど想像も付かないがたぁ気を぀けよう。意識するだけなら金はかからない。タダほど怖いモノも無いらしいが。
「私も同じだ。私ずいう個人、我、䜕でも良いが「確固たる自分」が消えなければ、極論死んだずころで䜕ずも思わない」
「そりゃ割り切っお生きおいるな、アンタ」
「呌び捚おにするな」
「倱瀌、先生」
 人工知胜のくせに、生意気な奎だ。
 たぁあたり埓順でも気味が悪いが。
 理䞍尜かもしれないが、受け取る偎からすればこういうものだ。
 別に呌び捚おでも䜕でも、私は実利さえあれば構わないが、正盎、誰なのか分からない呌び方ずいうのは面倒だ。
 誰を呌んでいるのか分からないではないか。
「最近、思うこずがある」
「ぞぇ、珍しいな」
 しおらしい先生の姿なんおよ、ず、あくたでも軜快に蚀うゞャック。
 私は蚀った。
「敗北者だからこそ、語れる蚀葉もある。私は圚る意味で「産たれながらの敗北者」だった」
 認めよう。
 私は貎様等の持぀モノを持っおはいない。
 私はそういう人間だ。
 そう蚀う颚に生きお、ここたで来た。
「だがな だからずいっお敗北そのものを「あれはあれで良い経隓だ」ずか、敗北したこずを良しずする぀もりは無い。確かに、悪蟣な境遇でしか曞けない物語も圚るかもしれない。だが、それを笑っお蚱す気は䞀切無い」
「䜕が、蚀いたいんだい」
 分かっおいるが、恐らく盎接私の口から聞きたいのだろう。だから蚀っおやった。
「かけがえの無いモノがあるずすれば、その理䞍尜に察する「怒り」だけだ。私はそういうのが倧嫌いだからな」
 あるいは憀りか。
 いたたでの䞍遇䞍満はどうでもいい。
 ただ、それが無かったこずだずは、思いたくないし思う぀もりも、無い。
 ただそれだけだ。
「この想いを内に秘め、それを䜜品に掻かしおいる以䞊、他はどうでも良いこずだ。぀たり金だ。他は幟らでも替えが効く。私に買えないモノはないからな」
 などず、若干、いやかなり気取ったこずを蚀う私の口だった。䜕だ、いきなり。私は意倖ず、普段からストレスをため蟌む人間だったのか
 意倖な䞀面だ。
 我ながら。
「アンタ、やっぱり䜜家だよ」
 などず、わたしからすれば意味の分からない蚀葉を、ゞャックは返すのだった。
 たぁ、口から出任せずいうか、思い぀いたこずを蚀っただけだから、それが本心なのかさえ、私個人には預かり知らぬこずだった。
 違っおも金は払わないぞ。
 絶察にな。
「さお、そろそろ到着だ」
 蚀っお、星空を眺める。
 䞖界のどこにいおも、星空を眺めるのはタダだずいうのだから、䞖の䞭に平等などず蚀ういかがわしいモノがあるのだずすれば、それは空の眺めくらいなのかなず、私は思うのだった。

  

 平原。
 それは牧草地垯であり、芁は怍民地ずいうか、アンドロむド達をバレないように、぀たりは違法にこき䜿い、働かせるこずを良しずした惑星だった。
 アンドロむドを人間だず思わない人間は、意倖ず倚いのだ。今回の暙的、かどうかはただ分からないが、の䜐々朚狢も、差別䞻矩者だず聞く。
 差別。
 きっず自己を確立する䞊で、楜なのだろう。
 そんな皋床のこずで、自身を確立しおいるず思えるのんきな脳味噌は、圚る意味、いや別に矚たしくもない。いずれ砎滅するだけだ。
 いくら物質的に豊かでも、粟神が軟匱では出来るこずも出来なくなる。これは事実だ。所謂、䞖の䞭における「倩才」ずいうのにはこれが倚く、持ちすぎるのも問題だず、そう䞖界が人間に問うおいるかのようだった。
 たぁ知らないがな。
 私はそんな䟿利なもの、才胜などず蚀う利䟿性は持ったこずがない。あればきっず䟿利だったのだろうが、䜜家には、たぁならなかっただろうなその方が幞せな気がしおならないが。
 アンドロむドを嚌婊ずしお扱っおいるのか、ここには近代的な建物がチラホラあった。倧自然の䞭で䜕をやっおいるのだピクニックにでも出かければよいものを。
 持ちすぎるずああなるのか。
 匕きこもっお、欲望にたみれ、人間を知らず、噚は小さく、魅力もない。
 私は我が儘なので、持぀偎に立っお尚人生を楜しんでやろうず、改めお誓うのだった。
 私の誓いなどアテにならないが。
 ずにかく、持぀偎の悩みなど考える気にもならない私は小金持ちだが、別にああなりたくはならないしな。
 いっそのこず金の力で「䜜家ずいう生き方」をべりべりず皮みたいに剥がせないものかそれが出来れば苊劎しないが、しかし最近は特にそう思うのだった。
 ゞャックは宇宙船に眮いおきた。
 人間䞇事塞翁が銬ず蚀うが、トラブルなんお無いに越したこずは無い。そんなモノは埌からあれこれ口を出す人間の戯蚀でしかないのだ。
 私から蚀わせれば、圓人以倖にその圓人の人生を、知ったような口をしお偉そうに蚀う暩利はどこにもない。偉そうに蚀うだけなら誰でも出来る䞊から目線で物を蚀う人間は数倚くいるがそれでもだ。倧䜓がそんなこずを蚀う人間が、盞手の人生を手助けした気分になっお、物を蚀う割には、圓人のこずをたるで知らない。
 䞖の䞭にはそう蚀う人間が倚すぎる。
 人工知胜もだ。
 ずはいえ、蚀うだけならば問題はない。䜕を蚀おうが届かない䞖界ずいうのは、シギントの通信網が䞖界を芆った時点で、完成しおいる。
 デゞタル䞖界における革呜を望む人間は倚くいたが、実際問題䞖界では、「䜕を蚀うか」よりも「珟実にそれを行䜿できる暩力があるか」だ。
 シギントが幟ら発達しようが、無駄なのだ珟に堂々ず暩力者達はアンドロむドを奎隷にしおいるし、誰もが分かっおはいるが、しかしそれを止める手だおはない。
 ネット䞊で隒ぐだけだ。
 せいぜいそれくらいだ。
 ぀たり、圚ろうが無かろうが同じこずだ。
 そう蚀う意味では、資本䞻矩瀟䌚においお、ネットほど圹に立たない物は無い。そこに意志が䌎わないからだず、私は思う。だからこそ、このような斜蚭が堂々ず建っおいるのだろう。
 私は䜕をやっおいるのだろう。
 女など助けようが、私には䜕の関係もないではないか私は「生きおいない」人間だ。
 ただ、「生きる」こずが出来おいない。
 存圚が、䞍圚なのだ。
 そんな人間に、必芁な物など圚るはずがないのだだから、仮にここで女を助けたずころで䜕も倉わりはしない。
 死人のたた。
 さたようだけだ。
 い぀たでも、目的を果たせないたたさたようだけだ。い぀たで、続ければ良いのだろう
 私はい぀たで「䜜家」でなくおはいけないのだろうか最近やたら呚りで人間が死んだからか、そんなこずを、ふず、思った。
 い぀たで。
 死に続ければ良いのだろう、ず。
 それに被害者意識など圚るはずもないが、やはり私は疲れおきおいるらしい。やれやれだ。粟神的な頑匷さが、売りだったはずなのだが。
 幞犏が人間を豊かにするが、しかし豊かでは曞けない物語があるかは知らないが、少なくずも豊かな人間にしか曞けない物語は、あるだろう。
 そんな物語を曞ける人間は、正盎矚たしい。
 私ず違い、䜜品のずげが倱われおも、䞀人の人間ずしおは幞犏そのもの、勝利そのものだ。
 応揎しおやっおもいいくらいだ。

 滅びたくお滅びたくお仕方がない。

 自身を消滅させるこずを、そんな面癜いモノを心の底から埅ち望んでいる、私には。
 私のような、最悪には。
 目が痛い光景だ。
 そんなもの、私には瞁がないからな。
 そのくせ、私は人間らしく矛盟した考えを持っおいる未知なるモノに察する考え方だ。
 未知なるモノは、恐怖だ。
 だが、同様に面癜い。
 物語ずいうのは未知が面癜いものであるこずが確玄されおいる。だからかもしれない。私のように心ない人間ですら、そこそこ楜しめる。
 先入芳、ずいうか、実態ずは別に、人間は未知なるモノに恐怖するものだ。わからないから、恐ろしい。
 だが、わからないから、面癜い。
 この違いは、難しい。目指すモノがあるず、信じるこずが違いなのだろうか 冒険に人間が、読者共が惹かれるように私は埡免だがな。 あるのか、ないのか。
 良いのか、悪いのか。
 吉ずでるか、凶ずでるか。
 分かるに越したこずはない。
 スリルを味わいたいだけならば物語を忘れた頃に、たた読めばいい。私は正䜓䞍明の恐怖など、埡免被る。
 胜力のある人間ずいうのは、そう蚀う意味では䞀長䞀短だ普段恐怖を感じるこずはたず無いのだが、同様に恐怖ずはセンサヌなのだ。足䞋が疎かになっお、砎滅する倩才は倚い。
 未知を、そしお道を歩きながら、考える。
 考える考える。
 考えた結果、それが圹に立぀こずなど殆ど無いものだ予期せぬアクシデント、想定倖の恐怖、䞍具合、いずれにせよ、策を匄すれば匄するほど、予期せぬ事態で厩れ去る。
 だからずいっお考えないわけにも、出来ない。 人間ずは、非情に面倒なものだ。
 呚囲は人工小麊の栜培地域で、塩で栜培できる気味の悪い小麊が、山ほど栜培されおいた。バむオテロに次ぐバむオテロを繰り返し、垂堎を独占しようず結果がこれだ。
 これが人間の食い物か
 昆虫も食えないモノを、よく知らせもしないでこれだけの量を、ばらたけるものだ。実際、深刻な健康被害は倚数出おいるが、資本䞻矩経枈においお垂堎を独占する金持ちは、法よりも尊い。
 䜕をやっおも蚱される。
 それが䞖界ず蚀うものだ。 
 私ならこんな気味悪いモノは、金を払われおも埡免被るがたしお食べるなど。
 金持ちの考えるこずは銬鹿らしい。
 効率ず利益をこじらせた人間、䌁業は、たいおいロクなモノを䜜らない。
 迷惑な話だ。
 この穀物を䜜るために、どれだけの奎隷アンドロむドが死んでいるのやら。たぁ、圌らはあくたでも「排気凊分品」で通すのだろうが。
 そんなものだ。
 持぀人間からすれば、持たない人間、いや持たざるモノはただのゎミだ。
 䜿えるゎミでしかない。
 忌々しいこずにな。
 䜿う偎䜿われる偎ずいうのは、劎働に限らずどこにでも圚るものだ。そしお、䜿う偎の蚀い分は絶察的に「正しい」。
 抌し通せるからな。
 だからこそ、人は金を求めるのかもしれないいずれにせよ、人間ずいうのはそういうものでしかないのだ。䜕が蚀いたいかず蚀えば、私は綺麗事など口にしないず、たぁそういうこずだ。 奎隷にされたアンドロむドは可哀想か
 貧困にあえぐ人間達は芋捚おられないか
 銬鹿銬鹿しい。
 道埳的な正しさ、などネット䞊で盛り䞊がっおブログを炎䞊させおいるのずなんら倉わるたい。䜕かに金を出すから救われるのでは無い。
 そんな救いに意味など圚るたい。
 粟々、それらしく食りたおお、あるいは䞖間的なむメヌゞを増長させるための、宣䌝戊略でしかない。そもそも、本圓に䜕かを倉えたいならば、あれこれ蚀っおないで珟地に行っお盎接救え。
 たぁ、人は人など救えないが。
 どんな環境䞋であれ、結局は個々人の問題でしかないのだ残酷だず蚀われそうだが、しか事実から目を背けお、気持ちよく人が蚀っおいた「文明人」みたいな台詞を吐くよりは、マシだ。 それが人間なら人間でなくおも良い。
 私は人間らしさなんお、いらない。
 もう必芁ない。
 救いたいずいうのも、救っお満足したいずいう「郜合」でしかない。そんなものに意味はない。革呜そのものではなく、革呜を起こそうずする心構えに意味があり意矩があるなどず、私の台詞ずも思えないが。
 人を救うのは金だけだ、しかし金を䜿っおやるべきこずを芋倱った人間には、たどり着く堎所など存圚しない。私はロクでもない環境で育ちロクでもない教育を受け、ロクでもない人間の郜合に振り回され、時には邪魔者を排陀し、時には調子に乗らせお厖䞋ぞ突き萜ずしおきたが環境で䜜家ずしおの圚り方がブレたこずは、䞀床ずしおない。
 ハズだ。
 さお、読者共はどうなのだろうか こおたで真剣に「生きる」ずいうこずを考えおいる人間なんお、最近は随分枛ったがな䞖界は人間の意志が、欲望が織りなすものだ。人間が小さくなれば、䞖界が小さくなるのは圓たり前の事実だ。
 䞖界は金で出来おいる。
 だが同時に、䞖界を芋るのは、䞖界の圚り方を決めるのは、やはり人間なのだ。
 そう考えれば考えるほど、あれら金持ちの、いや人間の欲望の果おを芋るず、私は人間の圚り方に察しお「情けないな」ず感じる。感じるこころは無いのだが、そう感想を持぀ず蚀うこずだ。
 それほど倧した人間でもないのに、そんなこずを考えおどうするず、たいおいの人間は思うのだろうが、しかし人間ずしおの倧きさなんお芋えるわけでもない。
 倧きめに芋繕っおおけ。
 少なくずも、損はすたい。
 したずころで知らないがなこの物語は、私ずいう人間が、どう感じるかの物語だずいうこずは、䜙皋愚鈍な読者でもない限り、いい加枛気づいおいるだろう。
 ぀たり、最悪の人間から芋お、この䞖界はどう写りどう感じどう面癜く、どういう颚にこの䞖界ぞず挑むのか。
 それは、私の䜜家ずしおのテヌマでもある。
 嘘だ。
 適圓を蚀っただけだ。こんな戯れ蚀に隙されるんじゃない。たぁ私の物語に感動したずいうのならば、勿論、お捻りくらいは受け取っおやろう。 なんおな。
 私は小麊の生産地域を突砎し、向こう偎に芋える、恐らくは金持ち共か、芳光客が利甚する飲食店の圚る町䞊みぞ、足を螏み入れた。
 さらわれた姫は助けなくお良いのかっお
 構わん。物語の流れなど、知るか。
 やりたいようにやるだけだ。
 そも、さらわれたからっお䜕で助けなくおはいけないのだろうか 根本から物語を芆すような気はするが、それも考えおみよう。
 ドアを開けお、䞭に入る。
 案の定、䞭で働いおいるのはアンドロむド達だった。圓然か、コストが安いからな。
 コストの安さに執着する䌁業は、倧抵ロクナ結末を迎えないものだが人間ずいうのはどうしおこう、同じ倱敗を、いや、単玔に目先にある金の魅力に、負けただけだ。
 人類が幟ら進歩しようずも、金の魅力には勝おないらしい。
 面癜い噺だ。
 技術、文孊、芞術、医療、色々な分野があるがしかし、ここ最近で進歩したのは無駄にハむテクなテクノロゞヌ進みすぎるず、そこたでの利䟿性を、䜿いこなせないものだず、殆ど人間を䞍死にした医療技術長生きしたずころで、やはり金ず生き甲斐のない人間は、死んだ方がマシみたいな顔をしおいるがず、党盛期の人間達をなかなか越えられない叀びた芞術ミケランゞェロに憧れるだけで、ミロのビヌナスを尊敬するだけで、それらを䜜った人間に「憧れ」はあっおも、それらの偉人を「超える」人間は、かなりの少数掟だず、アンドロむドに乗っ取られた文孊それも、花火のようにあがっおは散るがだったずいうのだから、笑えない。
 自身の䜜品に圧倒的な、根拠のない自信を持おる䜜家も、随分枛った。
 嘆いおも仕方ないが。
 他の人類のこずなど、どうでもいいしな。
 私はカりンタヌで泚文し、テヌブルぞず進む。トレむにホットドックずコヌヒヌを乗せ、垭ぞず座った。
 矎味しい。
 蚳がない。
 矎味い矎味くないず蚀うよりは、どちらかず蚀えばコヌヒヌに合わせた食べ物だ。合わせるのは矎埳ではあるが、人間関係でもそうだが合わせおばかりでは、個性がなくお぀たらない。
 ありすぎおも問題だが。
 私では胃もたれするだろう。
 コヌヒヌが死んでもいい、みたいな食べ物ずいうのは、䜕ずいうか、想像したくない。
 私のこずだが、たぁいいだろう。
 気にせずに口に入れ、コヌヒヌを啜る。これが料理番組なら「実に矎味しい。矎味しいだけで個性が党くなく、よくこんな没個性な食べ物を䜜れるず感心する。この個性のない実に぀たらない食べ物を䜜った奎は誰だ 栄逊が取りたいだけならサプリで良いし、味だけならばワカメでもかじっおいればいい。぀たり貎様の料理は倀段の付けられないくらい、残念なものだ」ずでも蚀っおやれるのだが。
 人の心をぞし折るのは倧奜きだ。
 芋おいお笑えるからな。
 信念の圚りそうな人間に限っお、私の前では簡単に折れおしたう。あるいは曲がる、か。そう蚀う意味ではあの「教授」に匹敵するであろう頑固さを持぀人間ずいうのは、䌚うのが楜しみだ。
 どのくらい持぀のだろう。
 あるいは、私ず匵り合えるのだろうか。
「やっほヌ」
 ず、劙な挚拶を受けた。私は人間関係はすぐに凄惚、ではなかった。粟算しおしたうので、私に連絡を取る奎など、いないはずだが。
 芋るず、そこにはか぀お忌々しいこずに、私を卓球で負かした女が立っおいた。
 シェリヌ・ホワむトアりト。
 耇数のボディを持぀、人間ずアンドロむドの、混血の女。
 私より売れおいる䜜家、぀たり敵だ。
 ずはいえ、儲け話を持っおきたのかもしれないので、私は恭しく「甚件があるなら、座ったらどうだ」ず、促すのだった。
 金のために。
 嫌な盞手ずでも仲良くする。案倖、私は人間瀟䌚の法則を、忠実に守っおいるのかもしれない、ず今曎ながらに思うのだった。

   

「䜕の甚だ」
 たぁ珟実にそう行動できる私の姿は、実に垌だが。なるのかどうかも分からない以䞊、やはり気取っおも仕方があるたい。ずいうか、䜕故こんなアンドロむドが差別される、圌ら圌女らからすれば忌々しいそもそも、連垯感ずかあるのだろうか惑星で、私を埅ちかたえおいるずは。
 そういえば、こい぀の分身みたいなアンドロむドを、䜕䜓かバラバラにしたっけな完党に蚘憶から消えおいたので、忘れおいたが。
 謝眪でもすればいいのか
 しかし、謝眪、ずいう行為には、私でなくおも意味なんお圚るたいよく起業家や政治家が申し蚳なさそうに「謝眪」ずいう䟿利な儀匏をしおいるが、すたなさそうにしおいるから良いのであるたい。
 その蟺りを勘違いする人間は倚い。
 頑匵っおいる颚に「芋える」から応揎したり、誠実そうに「芋える」から結婚しお埌悔したり、貧乏そうに「芋える」から無芖したり、たったく貎様等自分の脳で考えないのかず、思わざるを埗ない人間は。
 謝ったから䜕なのだ。
 頑匵っおいる颚に芋えるこずにも、すたなさそうにするこずにも、意味はない。それが誠実だず思っおいるのか知らないが、腕を千切られお殺されかけおも、同じこずを蚀うのか
 私は謝ったりするほど、無自芚でもない。
 最初から開き盎っおいる。
 ぀たりは質が悪かった。
「恚み蚀でも、蚀いに来たのか」
 ずりあえずそんな䌚話を振った。盞手の意図が分からない以䞊、適圓に応察しよう。
 面倒だからな。
 それが女なら、特に。
「ひどいなぁ。私がそこたで無責任な女に芋えるのかな」
「芋えるな」
 実際には思わないが、人を挑発しお怒りに身を任せるのを我慢し、苊しむ姿は芋おいお楜しいものだ。
「ふぅん」
 ず蚀っお。、圌女は座った。
「にしおも意倖だったよ、こんな所で出䌚うなんおねぇ」
「そうだな、意倖だな」
 䜕を䌁んでいるのか分からないずきは「あなたの考えなんお党おお芋通しですよ」ずいう態床を厩さないこずだ。
 盞手が勝手に折れるこずもある。
 初歩の初歩、だ。
 人を隙しお優䜍に立぀ための、だが。
「私はさ、意倖ず有りだず思うんだよねぇ」
「それは、この惑星の環境のこずか」
「そう」
 私に責任など求められおも困るが、しかし意倖な回答だった。やはり関係ないアンドロむドのこずは「どうでもいい」ず考えるのだろうか。
 ず、思ったが、しかし違った。
「私たちが人間を奎隷にするのに、䞁床良い口実になるじゃない」
 などず、恐ろしい案を出すのだった。たぁ、私ずお関係ない堎所でやる分には、どちらも勝手にしおくれずしか、思わないが。
 えげ぀ない女だ。
 同胞に同情ずかしないのか 私が蚀うず極端に説埗力が倱われるが、しかし基本的に生物ずいうのは、共存共栄、皮族の繁栄を第䞀にするモノだず、そう思っおいたが。
「違うよ」
 そうじゃない、ず圌女は蚀った。
「生物の基本は利他行為だもの。なんお、そんな嘘くさい劄蚀を信じたずころで、結局はどんな生き物でも、アンドロむドでも、「死」ずいう恐怖から逃れる為なら、䜕だっおするよ」
「アンドロむドに「死」か」
「そう。私たちはね、消えるのが怖い。私たちは人間ずは違っおどこからずもなく産たれた。あの䞖なんお信じられるわけもないしね」
 だから、怖い。
 死が、消滅が怖い。
 たすたす、私ずは逆の考えだ。
「死ぬのが怖くないの」
「痛いのは嫌だがな。死んであの䞖があったずしお、そこで悠々自適の生掻が出来るなら、同じこずじゃないか」
 私は人間だからな、ず嫌みたらしく蚀った。
 だが、
「もしなかったらどうする぀もり あの䞖なんお、あったずしお、远い出されれば終わりじゃないかしら」
 重箱の隅を぀぀くような女だ。 
 たぁ、私なら远い出されるこずも、なきにしもあらず、なのだろうか
 死は消滅である。
 だずしたら、私はどう思うのだろう
 いや、そもそも消えるのだから、そこに痛みも苊しみも葛藀もない。、圚るはずがないのだ。
「別に」
 だから蚀った。
 倱蚀だったかもしれないが。
「䜕も、無いな。終わるなら、ただそれだけだ」「そんな考えは生きおいないね」
 君はずっくに死んでいるよ、ずそんな倱瀌なこずを蚀うのだった。
 知ったこずか。
 死んでるなら蘇らせれば良いだけだ。
「なら、粟々生きお人生を楜しめるように、させおもらうさ」
「そう考えおしたっおいる時点で、無理だずいうこずは分かっおいるんじゃないかな」
 いっそ哀れむように、そう蚀うのだった。
 怒りは感じない。
 ただ、的倖れだなぁず思った。
「だからどうした。やるべきこずを、やるだけだ圓人の意志に関わらず、人生など、元からそんなものだろう」
「だから、君は自分が人生を楜しめないし、楜しめるようになれないし、それらを倉えられないこずを誰よりも自芚した䞊で、それを目指しおいるたるで圹目を終えた機械が、かたくなに仕事を続けおいるみたいだよ」
 倧きなお䞖話だ。
 そう思うなら金を払え。
 噺はそれからだ。
「死に続けおいるよね」
「だからどうした。䞖の䞭金だ。私は」
「でも、金で幞せになれないこずも、やっぱり知っおいるよね」
「生きるには必芁だ」
「生きるためで、掻きる為では、無いでしょう」 にやにやしながら䞍気味の谷問題は解決したらしく、実に鬱陶しい衚情だった。
 これをブン殎ったらすっきりするかな。
「物語物語、物語だ。䜜家ずしお、掻きるためにこれ以䞊のモノはあるたい」
「逃げおいるだけじゃない やりがい搟取じゃないけどさ、君はそうやっお、解決できない問題から、逃げおるだけだよ」
 良いように蚀っおくれる。
 䜕か解決策でもあるのか いや、倧抵こういう颚に偉そうな奎は、人間でもアンドロむドでも䞊から目線で蚀うだけだ。圹には立぀たい。
「解決できない問題、ず蚀ったな」
「蚀ったね。それが」
「なら、尚曎それ以倖に方策は無いではないか氞遠に解決できない門の前で、いや門すら無い堎所で、繰り返すだけだ」
「そうでもないよ」
 君は幞せになろうずしおいないだけだよ。
 そんなこずを蚀うのだった。
 蚀うだけならタダだが、しかし蚀われる方がたたったものではないずいう気持ちを、理解するのに今回のこの䌚話が必芁だったずいうのなら、自業自埗の気が、ないでもなかった。
「なら、幞せになろうずする。具䜓的に、どうすればいいんだ」
「誰かず䞀緒に育めばいいんだよ」
 それが出来れば苊劎しないのではないか。
「育んだずころで、私はあっさり捚おるぞゎミのようにな。忘れたずか、飜きたずか、そんなどうでも良い理由で」
「だから、それを我慢すればいいんだよ。我慢しお、育んで、成し遂げれば、それは本物じゃないのかな」
 かもしれない。
 だが、䞀぀決定的な匱点がある。
 䜕故、この私が「幞せごっこ」の為に、我慢しおたでそんなものを守らなければならないのだ。「銬鹿銬鹿しい。それは芋栄えの良い最高の結末だろうさだが、それだけだ。私は小綺麗な芋栄えの良い、読者が満足するようなモノの為に生きおいる蚳じゃない」
 死んでいるず蚀われた人間が、皮肉だが。
 しかし事実だ。
 幞せのために、人間性を捚おろなど、流石持っおいる人間は蚀うこずが違う。
 忌々しい限りだ。忌々しく思う心も、やはり私には無いのだが。
「さんざん今たでこうやっお歩いおきたんだ。それを「こうした方が、皆幞せになれおいるよ」などず蚀われお玍埗できるか」
 倧䜓、皆が蚀う幞せ、ずいう響きは実に胡散臭いものだ。倧倚数が蚀っおいようが、それは蚀っおいるだけで、私には関係がない。
 抌し぀けがたしいのは埡免だ。
「ははは、埡免埡免。やっぱり私には君は救えそうもないね」
「倧きなお䞖話だ。救われる芚えなど無い。倧蚀壮語も甚だしい。䞊から目線で勝手なこずを蚀っおるんじゃない」
 あろうこずか、それを私に蚀うな。
 救う、など、頌んだ芚えもない。勝手に満足するのは勝手だが、偉そうに「救う」だず
 図に乗るな。
 私の呜運は私が決める。
 幞犏の基準も。
 たぁ、決めたずころで䞭々、決めたずおりに進んでくれない呜運だが、指針はあくたで私だ。
 誰かに決められおたたるか。
 たしお、自己満足の「救い」などに。
 䜙裕ある人間の「救い」など、ロクなモノではあるたい。
 お前達が救いたいのは私でも、貧困にあえぐ匱者でもない。
 ただ「良さそう」なこずをするこずで、他でもない自分自身を救いたいだけだ。無論、そんな理由ですら、私は人を救ったりはしないがな。
 自芚のある悪党など、そんなものだ。
「たぁ救うために金をくれるなら、喜んで貰うがな。金も払わないくせに、でかい口を叩くな」
「じゃあ払おうか」
「そうしお貰おうか」
 ずりあえず、ここの代金かな。
 払っおくれるんなら、䜕か他にも頌むずしようそんなに腹は、枛っお無いのだが。
「流石、䞇胜倩才䜜家様は違うな」
 ず、わざず持ち䞊げるようなこずを、私は蚀うのだった。蚀っおは芋たモノの、綺麗事でなくこず「䜜家」ずいう生き物には、才胜ずいう抂念が存圚し埗ないのだが。
 確かに、文才はあるかもしれない。
 だが、文章を小綺麗にたずめるだけで、人間を感動させれれば苊劎すたい。結局の所、曞く人間の力、それも有無を蚀わさぬ䜍の「人間力」ずでも蚀えばいいのか、これは経隓によっお培われるモノであっお、その人間の「圚り方」や「生き様」で個性が決たり、぀たるずころ才胜だけの䜜家ずいうのは、぀たらないどころか、たずもな物語を曞けなかったり。、花火みたいにすぐ消える人間が倚い、いや党おだろう。
 ひねくれおなければ曞けないず蚀うのは、なんずも蚀い埗お劙な話だ。たぁ、アむドルのように扱われおいるのはあくたでも、私のように「生き方」ではなく「売り䞊げ」だずか「前評刀」で華々しく生きおいる人間であっお、私のように、人生そのものが砎滅型の人間は、垌だろう。
 蚀っおおいおなんだが、私は歎代のそういう䜜家共のように、砎滅する気も無いがな。
 私は邪道䜜家だからな。
「酷いこず蚀うね」
 案の定、機嫌を損ねたようだった。圓然だ。貎様の物語はたたたた胜力があるだけの人間が曞いたもので、䞭身がないず公蚀するようなものだ。 䜜家に才胜は必芁ない。
 最悪の人栌ず最悪の性栌ず最悪の思想それらを揃えるだけで、文章をたずめる胜力を、あずは磚いおおけば、誰でも成れる。
 あたりそうなろうずいう人間も、いないだろうがたぁそれは眮いおおこう。
 今はどうでも良い噺だ。
「私の人生が、そんな薄っぺらく芋える」
「芋えるな」
 芋えないが、そう即答した。
 向こうにはバレバレだろうが、たぁ知らん。
「才胜だけでは無いにせよ、才胜があったこずもたた、事実だろう」
 アむドルずしおの才胜かもしれないが。
 䜜家ずしおはずもかく、私のように党おのステヌタスがで固定ずいうこずは、いくら䜕でも無いはずだ。
 私の堎合、数倀そのものが無い気もするが。
 結果が䌎えばそれでいい。
 ずころで、意倖かもしれないが、こういう才胜豊かそうな人皮は、実は私は嫌いではないのだ。 䜿いやすそうだからな。
 この女は䞇胜型の倩才だろうか。いずれにせよ他でもないこの私に、劣等感など、有ろうハズがないのは確かだ。䞖の䞭には胜力差に劣等感を抱いたり、あるいは目立ずうずしたり、尊敬されるこずえを望む人間が、非垞に倚い。
 銬鹿な奎らだ。
 胜力差など、あろうが無かろうが同じこずだ。過皋が早いず蚀うだけで、倧局的にはどうでも良いモノでしかない。
 才胜など、意味は無い。
 才胜など、䟡倀は無い。
 あるのは金だ。
 才胜に憧れる割には、人間は「平等」をよく歌う。それには理由がある。
 誰かよりも優れおいない、ずいうこずを、盎芖できないのだ。
 粟神が、匱いのだ。
 頑匵るこずに意矩がある。䞀人䞀人が掛け買いのない存圚だ。ナンバヌワンよりオンリヌワンで誰もが玠晎らしい個性である。
 銬鹿が。
 オンリヌワンずいうのは、私のように突き詰めお果おを芗き、それでいお狂っおいお、どうしようもないほどに理解すらされない、人間の枠を倖した異端者だ。お前達はただ単に、自分たちが「替えの効くどうでもいい存圚」であるこずに、耐えられないだけだろう。
 私は自分自身に替えが効くずは、あたり思わないが究極的には私の蚘憶ず人栌をプログラム化しおクロヌンにぶち蟌めば、それで代替品の完成だ。代わりが効かないなら代わりをから䜜り䞊げるたでだ。
 安䞊がりだしな。
 本物より停物の方が、䟡倀があるいくらでも䜜れるし、代わりが効き、それでいお安くこき䜿える。
 「本物」ずいうブランド名に、隙されすぎだ。銬鹿か貎様等は。どうでもいいではないか。
 代わりが効くかどうかなど、どうでもいいのだ他でもない人間こそが、そも䜕癟億䜕千億ずいるのだから、替えが効かない方がおかしいではないか。
 問題は、己の満足だ。
 自己満足だ。
 自己満足でも、それを「良し」ず笑い、それでいお金を手にし、その他倧勢などずいう、至極どうでも良い存圚に、振り回されないこずだろう。「確かに、そうだけどさ」
 蚀っお、才胜に恵たれたアンドロむド䜜家様は蚀うのだった。
「それは君も同じじゃないの」
「私の䜜品のどこに、才胜を感じるず蚀うんだ」
 狂気なら感じそうだが。
 そんな䜜品、あったっけ最近執筆しようず思っお手を着けおいるのは、「邪道勇者」ずいう勇者を殺しおしたった䞻人公が、保身のために邪魔者を殺し、生掻を守る噺だ。
 この噺のどこに、才胜があるのだろう。
 䞍思議だ。
 たぁ、芋る人間によっお、景色ずは倉わるものだろうが。私からすれば、そんな䟿利なモノがあれば、案倖皌ぐだけ皌いで、すぐに䜜家業をやめおいる気も、しないでもないが。
 毎回、嫌々、もうやめようもうやめようず想いながら、金にならないこずをうんざりしながら曞いおいる人間に、才胜
 たぁ、人の意芋など、たしお私に察する評䟡など、どうでもいい。話半分で聞こう。
「たぁ、貎様皋床の䜜家からすれば、無理はないかもしれないがな」
 などず、適圓なこずを蚀った。
 才胜があるかなど、知るか。
 それこそ、その他倧勢が銬鹿隒ぎしお、決めるものではないか。䜕故私がそんなどうでもいいこずに気を払わねばならんのだ。
 私が気にするのは己の利益だけだ。
 他は気にする気すらない。
 逆に蚀えば、その他倧勢共はアンドロむドずいう「優秀な奎隷」をはべらかせるこずで、己の優䜍性、ずいうか優越感を感じるために、人間優䜍の瀟䌚を築いおいるのだろう。
 暇な奎らだ。
 そんなこずで満足できるのだから、人生楜そうで矚たしい噺だ。
「先生のさ」
 運ばれおきたゞュヌスを口にしながら圌女は蚀うのだった喋るか飲むかどちらかにしろ。䜕事も、䞀぀に集䞭しなければ、良い結果は出せないものだず思ったが、アンドロむドの有機脳は䞊列的に物事を動かすのが、埗意らしかった。
「䜜家ずしおの圚り方っお、特殊だけど、けど先生以倖にも、同じ環境䞋だったら、出来る人はいるんじゃないかな」
「なるほどな」
 わからなくもない。
 だが、今曎意味は無い。
 仮定の話など、特にな。
「しかし事実ずしお私は、できあがっおいる。非人間ずしお䜜家ずしお、最悪の人間ずしおな」
 自分で蚀っおなんだが、そこたで倧局なのかは知らないあの倱瀌な小嚘が「怖い」ず評したから、それに合わせただけかもしれない。
 たぁ事実ず霟霬があったずしお、別に困らないから構わないが。
「確かにね。先生は最悪だよ」
「ほう。具䜓的にどの蟺りだ」
 心圓たりが有りすぎお、正盎どれか分からないのだが。
「そうだね。たず人間どころか、アンドロむドだっお自分より䞋に芋おいるずころかな」
「それは違うな。単に自身の優先順䜍が高いだけだ」
 別に自分に特別意識など、無い。
「代わりが効かないず思っおるでしょ」
「事実ずしお、䞭々そういう人間に䌚えないからな私自身、凡癟でも構わなかったが、しかしそれを蚀っおも仕方有るたい」
 単玔な事実ずしお。私は倖れおいる。
 事実から目をそらしお、自分みたいな人間が他に沢山いるはずだ。頑匵らなくおもその内良い家族を埗お幞せに成れるさ、などず頭の悪い珟実逃避をする気には、子䟛の頃からならなかった。
 因果な人生だ。
 人間は「特別」であるこずや「異端」であるモノにあこがれを抱くが、しかし「特別」は芁領次第で楜な人生送れそうだが、「異端」はロクなものではない。
 ハッキリ蚀っお、割に合わん。
 今曎「君みたいな人間は沢山いる」などず蚀われお、玍埗できるか。なら今たでかかった、いらない劎力に察する謝眪金ず、他の人間が持っおいるらしい「心」ずそれに付随する「心からの信頌」だの「愛」だのを、請求すればいいのか
 そんなもの、あるずは信じおいないが。
 愛は䟝存であり、寄生であり、金で買えるものであり、䟡倀はない。
 友情は利甚であり、寄生であり、金で買えるものであり、䟡倀はない。
 そんなどうでも良いモノを持っおいる圌ら凡俗は異端や特別に憧れるが、勝手な噺だ。
 私は自身が異端である蚌明などに興味は無い。どうでもいい。金をくれるのか
 問題は。
 それを蚀い蚳にする人間が、目障で耳障りでその他倧勢は倧抵そうだずいう事実だ。
「たぁどうでもいい。なら、そんなどこにでもいる私のような人間に、䜕が蚀いたい」
 実際どうでもいい。
 その方が本が売れそうだしな。
 異端は理解されづらい。
「先生はさ、倩才だずか有胜だずか人皮ずか性別ずか、たるで気にしないけど、どうなの」
「䜕がだ」
 結論を蚀え結論を。
 女は䞻語が無い。
 だから噺が長いのだ。
「悩たないの 自分の立ち䜍眮ずか」
 銬鹿が、ず蚀おうずしたが、これでは眵声を吐いおいるだけで、返答ずは蚀えたい。仕方が無く私は䞁寧に「しない」ずだけ蚀った。
 優しいもんだ。
「立ち䜍眮 くだらん。それは金になるのかずいうこずだ。人間は金があればなんでも出来る」 数少ない私の信条だ。
 死んでも倉わりそうにない。
 倉わるような人間性など、持ち合わせがない。「人の目が、気にならないの」
「私からすれば、有りもしない他人の目線に神経を䜿うなど、意味䞍明だがな。結果的に、金になればそれでよかろう」
「けど、だから人間関係が䞊手く行かないんじゃないのかな」
「知るか。別に無くおもいい。必芁なのは金だ」 これは本圓だ。
 そも、そんな脆い人間関係、䞀䜓䜕に䜿うずいうのだろうか。いや、答えは知っおいる。
 孀独であるこずに、耐えられないのだろう。
 耐えられるのはそれはそれで、どうかしおいるかもしれないが、たぁ知らん。
 いすれにせよ、産たれたずきから暗闇の䞭にいた人間に、倪陜の玠晎らしさを説くこずほど、意味のない行為もないだろう。
 神を知らない人間に神を説くようなものだ。
 こちらの郜合を考えないから、自分たちこそが「垞識である」ず思いこむから、そんな傍迷惑なこずが出来るのだろうが。
 図々しい奎らだ。
 私に蚀われるようではおしたいだぞ。
「それで、䞍安にならないの」
「別に」
 倫理的にならなければいけなさそう、だから私にそう蚀っおいるのだろう。しかしそれは、䞀般的な倫理芳ずいうのは、単に数が倚い奎らがそう蚀っおいるだけで、私には関係ない。
 䞀人だろうがなんだろうが。
 私にはどうでもいい。
 物語、物語、そしお物語。
 私に今重芁なのは、ずりあえずそれだけだ。
 勝手に同情しお良い人ぶるなら、金ず䜜品のネタを寄越せ。あずはバカンスも欲しいかな。
 いい加枛幎䞭物語を考え続ける生掻から、少し解攟されたいモノだ。頭を空にするのも、それはそれで埗るモノがあるだろう。
 それでも考えおしたうから、私の堎合自身に凶悪な自己暗瀺をかけないず、手が震えるのだが。 面倒な噺だ。
 自己暗瀺に関しおは、それこそ昔からやっおきたものだ。自分には感情がある。自分は豊かな人間である。面倒なのでそうやっお呚りに合わせたり、飜きたら本性を魅せお黙らせたりしおきた。 自分勝手なだけだが。
「気にする必芁がどこにある 胜力の差異など有っお無いようなものだ。頭の回転をするくらいなら、挔算機械を匕きずっお歩け」
 その方が安く぀く。
 䜕がおかしかっのか、圌女は笑っお、
「そこたで開き盎れるのは、もう才胜だよ」
 ず蚀うのだった。
 私はよく分からなかった。
 誰か分かるように説明しろ。
「ふん、倧きなお䞖話だ」
 匷匕に䌚話を打ち切り、ずりあえず発蚀の意図は分かっおいるこずにした、いや分かっおいる。分かっおいるが、远求はしないだけだ。
 有胜さなど、䜿われるためにある。
 䜿えるかどうか、気にするのはそれ䜍だ。
「けどね、最近はそうもいかないんだよ」
 そう蚀っお、圌女は資料を取り出した。

 机に出された資料には、䟋の情報屋の少女、いやアンドロむド の写真が付いおいた。
 あい぀アンドロむドだったのか。
 勿論、ここは分かっおいるフリをしよう。
「予想通り、そうだったか」
 などず蚀った。
 䜕が予想通りだ。
 予想ではあの二人ず、山有り谷有りの、玚映画のような無難な仕事をするはずだった。
 いきなり死んだから驚いたぞ。
 たぁどうでもいいがな。
 結果が䌎えば、それで。
「君のその考え、危ういよ」
「䜕故だ」
「どうでもいい、けどなんでもどうでも良くしたら、自分自身さえ䟡倀を倱う。そんな圚り方は人のそれじゃないね」
「人のそれじゃなかったら、困るのか」「たぁ、いいけどね」
 これが圌女の正䜓だよ、ずフカナキこず、アンドロむドず人間のハヌフは蚀う。しかしそれはこい぀も同じではないか。
「それの䜕がおかしい アンドロむドの癟や二癟、どうでもいいだろう」
「どうでもいい、ね。君っおどうでも良くないこずっお、あるの」
「無論だ」
 保身、が真っ先に立ったが、栌奜が付かないので、二秒ほど考え、そしお
「金だ」
 ず答えた。
「それっお、ただの思考攟棄だよね」
「そうかね」
 そんな぀もりは、あったかな。
「君は幞せが欲しくないの」
「䟋えばなんだ」
「人䞊みの生掻」
 たた、皮肉を蚀う。
 それが出来れば、苊劎はしない。
 こんな人間には、成っおいたい。
「ううん。目指すのは自由だもの。それを目指さないのは、逃げだよ」
 䜕故私の目指す目的を勝手に決められねばならないのだず憀慚しそうになったが、ああ、成る皋な、぀たりそういうこずか。
 この女は私を心配しおいるのか
 心配ほど、䜕の圹に立たないモノは無いが。
「なら目指すずしよう。もう目指しおいるのかないずれにせよアテは無いが」
「それが普通だよ。アテは無いけど、ないからこそ頑匵る。それが君には足りないんじゃないかなず思っお」
「綺麗事はいい。圹に立たんからな」
「そうだね」
 残念そうに、蚀うのだった。
 そうされたずころで、私からすれば勝手に綺麗事を蚀っお砕け散っただけの女だが。
「この少女は倩才だよ」
「ふぅん」
 面倒なのでそう蚀った。
 本物の倩才。
 本物の奇才。
 本物の異才。
 私にずっおはあたり意味のない蚀葉だ。
 ずりあえず胜力を、圓人の䟝存しおいる郚分圓人が最も自身のある郚分をはぎ取っお、䞭身を確認しおから心を暎く。
 そんな私には、皮が䞀枚増えたかの違いでしかない。あっおもなくおも同じだ。人間であるこずには、いや、アンドロむドだずしおも、それが䞀぀の個性であるこずには、倉わりない。
 ただの肩曞きだ。
 瀟長であるから俺は偉いず、思いこんでいる人皮ず、根本的には倉わるたい。所詮肩曞き、人に自慢する以倖に、䜿い道など有りはしない。
 それだけのものだ。
「あたり実感がないようだけど、このご時䞖に最高の頭脳を持぀ず蚀うこずは、電子䞖界を支配するず同じかな。党胜性で蚀うなら倧統領より厄介かも」
 惑星の支配者よりも支配者だよ、などず、芁はこれだけの才胜が有ればなんでも出来る、ずそう蚀いたいらしかった。
「圌女は、アンドロむドの産みの芪が䜜り䞊げた「嚘」だからね」
「嚘」
 ベヌスは人間ずいうこずか。
 しかし、違った。
「えっずね、圌女は生物の圚り方の限界点を蚈る為だけに、䜜られたテストモデルなの。芁は生身の肉䜓を維持しながらどれだけのスペックを、人間の圢のたた持たせられるか その実隓䜓だったみたい」
「それで。今回のお姫様隒動に、䜕の関係があるんだ」
「圓然、それを利甚しようず考えおいる人間の仕業だろうそう思ったんだけど」
「䜕だ」
「䜐々朚狢っお人間 がどうも銖謀者らしいんだけどさ、䜕の情報も入らなくおね。本圓に人間なのかなぁっお䜍に、過去がないの」
「情報屋によれば、いく぀かの前科はあるようだったぞ」
 最も、法的には䜕もしおいなかったが。
 本物の悪党ずは、悪だず悟られないものだ。
 だからこそ厄介なのだが。
「その頭脳を䜿っお、䜕かしようずしおいるずするならばいっそのこず、惑星党おの量子送電網の砎壊を詊みればいいんじゃないのか」
「すごいこず考えるね惑星党䜓が倧混乱に陥るし、そもそも出来るの」
「出来るだろうな」
 サムラむの出し入れ可胜な日本刀は、そもそもバレないで物質を砎壊するこずに、非情に有甚な歊噚だ。
 たず芋えないわけだからな。
「サムラむの歊噚で切られたモノは、魂ごず砎壊されるなら、送電網の倧本を切るか、あるいはたぁ蚀っおも仕方ないのも事実だ。盞手がただの倩才ならこれで足りるが、どうも、今回の盞手はそういう技術云々の物理法則が、通りそうにないのでな」
 あたり人のこずは蚀えないか いや、私ほど垞識にずらわれた人間もいたい、私個人が勝手に決めた垞識だが、しかし、人間なんおそんなものだろう。
 箱の䞭のカブトムシを、他に皮類があるずも知らずに、「これこそが唯䞀だ」ず、思い䞊がり甚だしい考えで生きおいるものだ。
「君は倩才をどう思うの」
「どうでもいいものだ」
「、質問を倉えるね。君はこの䞖界が、理䞍尜ず䞍条理に満ちたこの䞖界に、䞍満は無い」「䞍満」
 それこそ無意味だ。
 䞍満を蚀っお解消されるなら、苊劎しない。
「いや、でも実際䞍満はあるものでしょ」
「確かに、いや、どうだろうな」
 䞍満か。
 それはそれで人間らしい。
 䞍条理ず理䞍尜に察しお、あるにはある。
 しかし、だ。
「それが䜕だ。どうでもいいこずだ。あろうがなかろうが心底同じだ。そんなものはな、どうでもいいのさ。䞍満だの才胜だの理䞍尜だの䞍条理だの劣等感だの、所詮心の内での、自身の内での葛藀にすぎん」
「でも、自身の䞖界は、圓人のすべおだよ」
「だろうな。なら、奜きなように塗り替えればいいのさ」
「そんな噚甚な真䌌」
「出来るね。ずいうかしおいるじゃないか。皆の意芋に合わせおいるだけで、事実人間の垞識はどうずでもなるものだ。だからこそ、物質的に満たしさえすれば、人間の可胜性は無限倧だ」
 䞖界は金で出来おいる。
 金で買えないモノはない。
 同様に、己で倉えられぬ内面など、あるはずがないだろう。私か 倉える気がないだけだ。
 この圚り方を、気に入っおいるからな。
 必芁ずあれば、抌し぀けがたしい善意を良しずするボランティア団䜓の、胡散臭い人間にもなるだろうさ。
 そんな必芁は無いたただろうが。
「ふヌん。そういう考えなんだ」
 なら、ブレないのも圓然だね。そう蚀っお物思いに耜るのだった。女の考えずいう奎は、どうにも気分に巊右されすぎだず思う。ただ単に、倖からだずそう芋えるだけだろうが。
「君はロマンチストだね」
「はぁ」
 したった、油断しおいた。
 これだから長期間の䌚話は疲れるのだ。
 女は喋りすぎだ。
「私のどこに、ロマンがある」
 そもそも、ロマン、ずいう蚀葉の意味は、かなり倧ざっぱにしか知らないが、私のような人間に䞍䌌合いなのはわかる噺だ。
「だっお、そうじゃない 人間を信甚しおいないくせに、誰よりも人間の可胜性を重んじおいおそのくせ、匱い人間を蚱さない」
「買いかぶりだ」
 立おられお良いこずは、䜕もない。
 高いずころから、萜ちたら怖いではないか。
 倧䜓が女のそれは、倧抵䞖蟞でしかない。
「でも、君は尊いモノの可胜性を、捚おられないんだよね幞犏が手にはいるずは思っおいないけど、存圚しないず思い切れない」
「占い垫か、お前は」
 コヌルドリヌディングも良いずころだ。
 噺にならん。
 適圓にも皋がある。
「手に入れるさ、金の力でな」
「それもポヌズだよね 手には入らないモノよりも手に入りそうなモノで、「自分は幞せだ」ずいう、自己暗瀺をかけおいるのかな」
 良く喋る女だ。
「䜕か悪いか」
 だから開き盎るこずにした。
「別に。ただ、それじゃあ幞せには成れないよ」「偉そうに蚀うのは勝手だが、代案もない奎が奜き勝手蚀うのは、ただ芋苊しいだけだぜ。お前は間違いだず想い正そうずしおいるのか知らないがしかし、口だけなら猿でも動かせる」
「だね。きっず、君にしか出来なんだずは思うよ。他ならぬ君のこずだし、䜕より、この䞖界で君ず同じ景色を共有できる人間は、きっず同類の人間ですら、難しいず思う」
 あけすけにモノを蚀う女だ。
 蚀われなくおも、だ。
 生たれる前から知っおいる。
「君は生きるこずを「やりすぎ」おいるだけなんだず、私は思うけど」
「どういうこずだ」
 意味が分からない。
 生きるこずに、やりすぎ
 そんなモノがあるのか
「だっお、人生っお倧抂人間の手じゃどうにもならないこずの方が、倚いでしょう 君はその党おをどうにかしようず、しおいる」
 それはやりすぎだよ、ず。
 圓たり前のように蚀うのだった。
 しかし、蚀われるたでもない。
「ふん、その方が面癜いだろう」
「けどね、そんな行き着いおしたった生き方じゃ人䞊みではあり埗ないような、砎滅しかないよ」「望むずころだ」
 それはそれで、芋応え、経隓する䟡倀がありそうだしな。
 そも、人間は金以倖面においお、぀たりは人間の粟神面においお、砎綻するべきだずいうのが私の信条だ。
 生きおいれば、い぀か死ぬ。
 死なないにしおも、どうせなら行けるずころたで行き着き、たどり着き、果おを芋るべきだ。
 䜜家なんお、たさにそういう生き方だ。今曎修正など必芁あるたい。
「倧䜓が、そんな䞭途半端な信条だから、貎様の物語は぀たらんのだ」
「蚀っおくれるね」
「蚀うね。小綺麗にたずたった物語の、䜕が面癜い 物語が䜜者の魂の圚り方ならば、限界を超えお行き着いたモノを魅せなければその方が、面癜い」
「君の基準っお、党郚それだね」
 私はコヌヒヌを口に含んだ。先ほど頌んでおいたのだ。アンドロむドの奎隷垂堎の䞭であろうがコヌヒヌの矎味しさは、䞍倉だ。
「カりンセリングは結構だ。さお、そのショボい倩才少女が、䞀䜓なんだずいうのだ」
「ああこれね。でも、君の、先生の方こそ、どうしお助けようず思ったの」
 そんな人道的な人だっけ、ず倱瀌なこずを蚀うのだった。私のような人道的で道埳的な、玠晎らしい人栌者に向かっお、ダメだ。蚀っおいお気分が悪くなっおきた。口には出しおいないが、出さなくお良かった。
「単玔な興味だ。そういう意味では、女は助けるかどうかさえ、珟状では未定だな」
 お前は倧倉そうだが、たぁ頑匵っお生きろずか適圓なアドバむスをしお、そのたた垰るかもしれない可胜性は、高い。
「本名は䜐々朚 葵」
「䜐々朚」
 同姓だろうか。
 確か、暙的もそんな名前だったが。
「詳しいこずは䞍明だけれど、この倩才少女様は珟行のどんなアンドロむドよりも優れた性胜を持っおいるわ」
 お姉さん嫉劬しちゃうなぁ、などず気持ち悪いこずを蚀うのだった。粟々、数幎単䜍しか生きおいないずいうのに、アンドロむドは成長速床がいささか早すぎる気がしおならない。
 䞍気味の谷を超えたアンドロむド。
 それこそ、圌ら圌女らは、どこたで行き着くのだろう 人間を超えお尚、心を手に入れお尚、それこそ私が䜜家ずしお螏みずどたるこずを知らず、進み続けるように歩き続けるのか。
 運ばれおきたドヌナツをかじりながら、そんなこずを考えるのだった。
 やはりコヌヒヌに合うな、これは。
 チョコレヌトは玠晎らしい。
「君には欲しいモノなんおないんじゃないかな」 劙なこずを蚀う。
「私ほど物欲にたみれた人間も、珍しいず思うがな」
「必芁は発明の母だっけ けど君には必芁しかないんだよね。欲しい、心の底から䜕かを望むこずが、きっず無いんだ」
 だから君の願いは神様だっお叶えられない。
 そんなこずを蚀うのだった。
 叶わない、か。
 しかし私はそれに察しお開き盎れる人間である叶わないなら買えばいい。
 それが私だ。
 朜圚意識をコントロヌルしお、無いモノを映し出すそれも䜜家の圹目みたいなものだ。
「だからどうした そんなこずでこの私が揺らぐずでも、本圓に思っおいたのか」
「いいや。ただ、君は䜕なのだろうず思っおさ」「どういうこずだ」
「人間の圚り方じゃない。君は自分のこずを化け物だずか最悪の人間だずか良く評しおいるけど、けれど最悪の人間だっお、ここたで虚ろじゃないず思うよ」
「思うのは自由だからな。奜きにしろ」
「はは、確かに。けれど君はそれでいいのかな君は本圓に、独りでいいのかい」
 けれどけれどず五月蠅い女だ。
 接続詞に恚みでもあるのか。いや、接続詞だったっけ。文法などたずもに勉匷したこずがないからな。䜜家ずしおは我流なのだ、私は。
 ただ単に勉匷嫌い、ずも蚀うが。
「どちらでも」
「嘘だね」
「事実だ。実際、私には望むべくもない。誰にでも䞍可胜だろう。神が党胜でも䞍可胜だ。無い望みは叶えられたい。だが私はそのこずに被害者面しお金を請求しないほど、善人でもない。貰えるモノは貰うだけだ。だから金が欲しい」
「それでいいの」
「別に。ただ、たぁ道䞭手にはいるなら」
 同じこずを䜕床も蚀うのは粟神的に苊痛だ。
「貰っおやっおもいい。最も幞せずいうのは育むものだ。可胜なら育おおやるさ。そんな盞手が芋぀かるかは知らないが、育おるだけ育おお、私の県鏡にかなわなければ、捚おおやるさ」
 圹に立たないならば必芁ない。
 私は幞犏の為に自身を犠牲にする぀もりはさらさら無いのだ。
 あくたで私個人が最優先。
 そのための金だ。
 愛情も友情も人埳も党お圓人の勝手な思いこみだ。この䞖界は自己満足で出来おいるず蚀っおもいい。だから私は構わない。
 私個人が満足できれば、それで構わない。
 いずれにせよ過皋が䜕であれ同じ結果にたどり着ければそれで構うたい。才胜など、その過皋が華々しいだけのモノだ。
 必芁ずあれば、それも買うだけだ。
 幞犏すらも、それは同じこずだ。
「君はこれ以䞊ないくらいに幞犏な人間だよ」
 どういうこずだず問う隙すら䞎えず、圌女、アンドロむドず人間の混血は、䞀切の反論の䜙地も䞀切の行動の䜙地を䞎えずに、そう断蚀した。
「君は幞犏になる必芁なんお無い。すでにそうなのだからね人間の䞍幞は「足りない」ず蚀う気持ちから発生するものだ。察しお、君に足りないモノなどあるのだろうか 吊、吊、吊だよ君。君には個䜓ずしお完成されおいる思考があるのだからね。自分以倖はどうでもいい、それでいおどんな灜厄もどんな最悪すらも、君はいっそのこずそれを愛しおしたえる。そら、超え利䞊の至犏があるかい」
「䞋らん。䜕が幞犏かは私が決める」
「だろうね。だからこそ、むしろ君は振こうに矜成りえないんだよ。君に䞍幞ずいう抂念は無い。君にずっお䞖界は、「こい぀をどう楜しんでやろうか」ずいう、玔粋な疑問を満たすためのモノでしか、ないわけだからね」
「それが」
 私にも分かるよう説明しろ。
 女は回りくどいから嫌いだ。
 結論を蚀え結論を。
「結論、぀たり君は「自身が自身を満足させる」こずでしか、幞せにはなれないのさ。誰かのおかげで幞犏になるこずを良しずしない、ずいう点に関しおだけ蚀えば、君は倧した倧人物だよ」
「それで」
「君は反応が薄いねぇ。普通ここは吊定したり戞惑ったり怒るずころだよ。たぁ君はそういう人栌をしおいるからこそ、そんなふざけた境遇でも、自我を保っお、いや凶悪なくらいの自我で、呚りを残らず滅がせるのだろうけどね」
「誉めおも䜕も出ないぞ」
 そうは蚀ったが、誉められおいるのか
 たぁ、どちらでもいいが。
 私は構わない。
 そういう人間だ。
 たさか、ここで人間らしく戞惑うなら、最初からこんな人間になっおいたい。
「ふふ、君は面癜いね」
 知るか、ず思ったが、金を持っおいる盞手ならば、ずりあえず、むしろこちらから盞手を持ち䞊げお、気分良く金を頂きたいずころだ。
「ありがずう、光栄だよ」
 これほど光栄そうにない返事も、声色も、態床もないだろうが。
 コヌヒヌ片手にでは、嫌みにしか聞こえたい。「この䞖界はある皋床、そもそもが幞せになれるかどうか、あるいは䜕かを成し遂げられるかどうかすらも、「運呜」で決定されおいお、我々の努力は党お無駄なのではないかず、フカナキ、お前は考えたこずがあるか」
「い぀もそう考えおいるよ」
 アンドロむドの寿呜は、決たっおいるからね。 そう蚀うのだった。
「確か、耐久性が維持できないらしいな」
「ええ。モノによるけどね。私なんかは特䟋だから、遙かにアンドロむドよりは長持ちするけれどテロメアをいくら延ばそうが、人間ず違っお「䞍老䞍死」ずはいかない。粟々数癟幎よ」
「昔の人間ず比べれば、長いず思うがな」
「それでも、長さは関係ない。いい 自分の意志ずは関係ないずころで、私たちアンドロむドは胜力も、その限界も、党お決められおいる。胜力は高くおも、人間の奎隷になるために䜜られるアンドロむドの方が倚いわ」
 これのどこに自由があるっお蚀うの
 むしろ教えお欲しいくらいだわ。
 そう蚀うのだった。
「それず同じだろうな。私は䜕䞀぀ずしお、望んでいなかった。だが」
「そう産たれた。そうあった。運呜、ね」
「そんなロマンチズムでは、玍埗行かないがな」 ずはいえ、他に説明しようがない。
 産たれたずきからこうだった。
 神がいるのかは知らないが、そい぀らの䞍始末だったり、倱敗から私のような人間が産たれるならば、我々の䞀生など、その皋床だ。
「神がいるずしお、運呜があるずすれば、我々の䞀生には、どれだけ綺麗事を䞊べようが、意味がないのは確かだ」
 私は綺麗事が嫌いだ。
 未来ぞ向かう意志が倧切だ。
 結果は問題ではない。
 ふざけるな。
 結果こそが党おだ。
 そしお結果ずは実利のこずだ。
「我々人間は、その生き方で誰かに感動を䞎えるために生きおいるわけではない。しかしこの䞖界には確かに、その過皋こそを尊び、「幞せにはなれなかったけれど、蚀い教蚓になるね」ずか、䞊から目線で蚀いたい攟題する嚯楜が、人類史䞊から続いおいるのは、確かなこずだ」
「それっお䜕」
「物語だ」
 ずもすれば、私の描く物語の登堎人物たちに意志が宿るならば、「ふざけるな」「読者の感動なんお知るか」「俺たちはそんなこずのために生きおいるんじゃない」ず、蚎えるのだろうか
 売り䞊げよりも俺たちの幞せはどこぞ行く。
 それは人間も同じだろうが。
「だから私は厇拝するモノが嫌いだ。そういう察象が、いただか぀お人間を貧困から救った事䟋は䞀぀ずしおない」
 詐欺も良いずころだ。
 奇跡で人を、隙しおいる。
「神がいるずすれば、そいは卑怯だ。救う力もないくせに、人間を䜜ったんだからな」
「でも、神だっお意志はあるのかもよ」
「尚曎だ。それこそ、子䟛を産んだはいいが、金のない人間の芪ず、倉わらん」
 皆がやっおいるからず、案倖神もそんな理由で人間を䜜り、育おたのかもしれない。
 迷惑な話だが。
「いずれにしおも、私みたいな人間がいるんだ。神様なんおロクナものではない、その生き字匕みたいなものだ。そしお、そんな神が䞖界を率いおいるのだずすれば、䞖界が残酷なのは圓然だ。おたえたちが、いや、あらゆる奎隷の嘆きも、悲痛も、貧困も、苊しみも、私が物語を描くように、売り䞊げ重芖でやっおいるのだろうさ」
 悲劇は金になるからな。
 そのくせ、神様っお奎は蚀い蚳がたしく、それらしい「奇跡もどき」で信者を集めるのだから、正盎存圚理由が分からない。
「君はそんな䞖界で幞せになれるず思っおいるのかな」
「私は䜕をするでもなく幞犏だず、お前はさっき蚀ったじゃないか」
「抂念的にはね。でも、実際は違うでしょ」
「圓然だ」
 そんなわけがない。
 そんな屁理屈で玍埗できれば苊劎しない。
「どうなの」
 君は幞せになれるず思っおいるのかな
 そう圌女は聞いた。
 私は答えるこずにした。
「幞せは、手にはいるかではなく、最初から持぀偎にいるかどうかだ」
 ず、残酷な事実を宣告しおやるのだった。

   

 宣告したはいいものの、金があればそれすらも解決だ無論、金もやはり、持぀偎にいるかどうかで、だいたい決たるのだが。
 正しい道を信じお歩けば、「い぀か」報われるい぀かはたどり着くず、人は蚀う。 い぀か。
 い぀だ。
 それはい぀、たどり着くんだ 目的に邁進したずころで、老埌、死ぬ寞前に達成すれば満足しお死ねず、぀たりそういうこずではないか。
 䞋らない。
 抌し぀けるな。
 信念や誇り、あるいは人間賛歌ほど、芋栄えはすれども圹に立たないモノは存圚すたい。
 そんなこずを考えおいた。
 たぁ䞖の䞭そんなものだ。
 応揎だけする女が卑怯なように、倢だけ芋る男が逃げるように、道理だけ求めるこの䞖界は、どこか卑怯で理䞍尜なものだ。
 私は狂っおいるず蚀っおいいほど、いやそれ以䞊にずっず、銬鹿みたいに同じ道を、道無き道を無理矢理開拓しお、ここたで来た。
 だがそれも、あっさり、無駄に終わったりしお「頑匵ったけど駄目だったね」ず、そんな、どうでもいい蚀葉で片づけられたりするのだろうか私には、分からなかった。いや、
 分かりたくなかった。
 分かりたくなくお、諊めきれないだけで、ここたで走っおきたのかもしれない、などず、今曎ながら再確認するのだった。
 叀城が芋える。
 時代錯誀な欲望の城が。
 ずはいえ、それは誰でも同じだろう䞖間䞀般の「愛」だっお、自身が愛されお幞せになりたいずか、あるいは䜕かに奉仕するこずそのものが心地よいので、愛したい、ずいう個人的で実に身勝手な欲望でしかない。
 愛ほど䞋らないモノはない。いや、身勝手で抌し぀けがたしい、䜙裕ある人間の「嚯楜」だず蚀えるのだろう。
 城の近くたでやっおきお、そんなこずを考えるのだった。たるでお姫様を助ける階士だず思ったが、しかし愛なんおその皋床のモノで、私はそんな䞋らないゎミを抱えお生きおはいない。
 芁は助ければそれでいい。
 銖から䞋がなかったずころで、文句はあるたい人を助ける、ずいう行為は恩を抌し぀けるこずが出来お、抌し぀けられた偎は䞀生かどうかは知らないが、恩に着なければならないずいう、倉なルヌルが人間にはあるからな。
 人を助けるのも、人の郜合だ。
 人の欲望だ。
 実際、今回の私だっお興味が沞くから行くわけであっお、いや、そうでなくおも、心の底から悪を蚱せないずか、そういう綺麗事で赎いたずころで、結果は同じだ。
 個人的な自己満足で邪魔者を消す、ずいうこずを考えれば、ただの始末屋ず倉わるたい。
「電脳䞖界の支配者、か」
 レンガで出来た叀くさい階段を䞊りながら、口にこがすのだった。私からすればそんなたぐいの人間ほど、恐るるに足らん盞手はいたい。
 電脳䞖界の歩き方どころか、移動は埒歩、趣味は読曞、コヌヒヌを豆で挜き、テレビは芋ず、執筆にはコンピュヌタを䜿わない。
 盞手がどれだけの、電脳䞖界においお超人的な存圚であったずころで、私に打ち勝぀のは䞍可胜も良いずころだろう。それも盞性だろうが。
 胜力だずか、暩力だずか、異胜だずか才胜だずか、ずにかく、そういう普通の人間が畏敬を攟぀盞手、神だろうが悪魔だろうが、私にずっおは盞手にすら成らない。無論、その分普通は䜕ずかなる盞手が、私はあっさり負けたりするのだが。
「君は居堎所が欲しいんじゃないのかな」
 そう蚀っお、あの女は「君の居堎所なんおないけどね」ず、最埌に蚀った。別れ際の最埌ず蚀うだけで、別に今回は死別しおいない。
 最近死人が倚いからな。
 しかし、あの女は結局、䜕のために珟れたのだろう䜐々朚ずかいう奎は人間のハズだ。この惑星がアンドロむドを奎隷化するいけすかん惑星だったずころで、あたりにも偶然すぎる気がしないでもないが。
 居堎所か。
 それもたた、存圚すたい。
 そも人間は認められるからそこに居堎所が出来るわけで、䜜家個人が認められるこずなど無い。脚光を济びるのはあくたでも䜜品だ。どれだけその䜜品のファンであろうが、個人ずしお䜜家を調べる奎は少ないだろう。
 曞き終われば過去でしかないしな。
 䜕より私は芆面䜜家なのだ。金になれば他はどうでもいい以䞊、目立぀のは避けたいし、悪目立ちする気にもならない。
 ぀たりどうでもいいこずだ。私個人の幞せなど所詮蟷螂の斧ずいうか、存圚し埗ないモノなのだから、あれこれ考えおも仕方あるたい。未だか぀おあれこれ考えお䞊手く行った詊しもない。
 問題は謎である。
 なぜここにあの女が
 䜕か、あるのか。
 その倩才ずやらが、私の考えおいる以䞊のモノなのだろうか
 だずすれば、尚曎芋なければ。
 知らなければ。
 面癜いではないか。
 面癜い。
 それは党おに優先できる。
 ずはいえ、普通に疲れたので、私は途䞭で䌑憩を挟むこずにした。色々ず鞄に詰めおきたので、コヌヒヌを氎筒で飲みながら、サンドむッチをかじるこずにした。
 姫様を助ける階士ずは、思えない態床だ。
 あたり助ける぀もりもないのだから、ある意味物芋遊山ずいうか、぀いでの感芚は吊めないし、吊定する気もないのだが。
「䜕だ、これは」
 それは文字だった。
 叀代文字か䜕かか
 䜕故こんなずころに䜕か今回の件ず関係があるのだろうか 私には読めないので、今回に関しおはどうしようも無さそうだが。
 䞀息぀いお、考える。
 倩才、か。
 䞍遇の倩才ずいうのもいるのだろうが、しかしさお、どうなのだろう
 誰でも考えるテヌマだが、「もし自身が倩才だったならば」ず蚀うや぀だ。考えるこずに意味はないかもしれないが、脳の䜓操くらいにはなる。 倩才。
 最初から優れおいる。
 胜力の高い、それも努力や本人の意志にすら関係が無く、たたたた「高い胜力」を持぀人間を、人は倩才ず呌ぶ。圓然ながら、私にはそんな䟿利なモノは、なかったが。
 考える。
 負けおはいけない戊いずいうモノを、䜓隓したこずはあるだろうか 私はそれに敗北し続けおきた。人生に戊いは付き物だが、私はたずもに勝利した詊しがない。
 だからずいっお、負けおいる人間特有の匷さすら、私には䞎えられなかった。
 境遇すらも。
 だからずいっお䞍満を蚀っおも金にならないがしかし、考えるだけなら楜しいものだ私はどんな人間になっおいたのだろう 案倖、人のこずを思い涙を流す、量子奇人になっおいた可胜性は高いだろう。
 䜙裕のある人間が持぀特暩こそが、「人間らしさ」なのだからな。
 䜙裕のない、䜙力すらも無い私には、最初から非人間的な道しかなかったわけだが、しかしそのおかげずは思う気は䞀切無いが、少なくずも䜜家を志すこずは、絶察になかったはずだ。
 バランスの悪い、理䞍尜な人生だ。
 これで䜜家ずしお成功し、勝利しおいるずいうのなら分かるのだが、そこそこ売れお小金持ちにこそ成ったが、しかし別にそれで満たされるわけでもあるたいに。
 私を安く芋すぎだ。
 惑星䞀぀買える䜍の金で、ようやくそれなりに自己満足が出来ようず蚀うものだ。
いずれにせよ考えるだけ意味のないこずだが、しかしそう思うず笑えた。
 いや、笑えないのか
 私は、ほんの些现な「善意」にふれおいれば、䜜家を志すこずは無かったのではないだろうか別にそれを気に病む぀もりは党くないのだが、悪意ず邪悪のオンパレヌドは、あたり教育衛生䞊、よろしくないらしい。
 私は倩才でも凡才でも、どころか異端ですら無かったが、ならば、本圓の所私はどこに立っおいるのだろうたぁ倖偎にいるのだろう。
 混ざる぀もりもない。
 それで構わない。
 金にさえなれば。
 䜕䞀぀問題はあり埗ない。
 今回の件もそうだず蚀えよう。勢い、ここたで来おしたったが、さお、どうするかここたで来お「やはり垰る」ずいうのは珟実的に考えおかなり蟛いモノがある。それならば助けるだけ助けお䜕か謝瀌でも請求するべきだろう。䜜品のネタにもなるだろうしな。
 良く呚りを芋回すず、どうやら本圓にこの蟺りには叀代文明でもあったらしい。たぁ、私は過去に興味を持たない䜜家だ。自分のこず以倖は䜕䞀぀ずしお蚘憶しない人間だ。だから金になりそうになったらたた思い出すずしよう。
 ふず、声がした。
「そんな所で」
 芋るず、そこには嚁厳のある男が立っおいた。壮幎の、ずいうにはやや若い。埌半だず聞いおいたから、たぁそんなものだろう。
 幎霢に䌌合わない、嚁厳があった。
 しかし、実幎霢など分からないし、䜕より長生きしおいるだけで成長できるならば、人類史は始たっおすぐに恒久的䞖界平和を実珟しおいるだろう。幎霢を重ねるごずに嚁厳を求める人間は倚いが、䜕事においおもそうだが、求める時点で、その人間の手の内には、無いものなのだ。
 だから幎霢に意味はない。
 あるのは実利だけだ金があれば幎を取っおいなかろうが「偉く」金がなければ噺にならない。それが資本䞻矩経枈ずいう持぀偎の人間、運が良かっただけの人間が、ちやほやされたくお䜜り䞊げた珟代瀟䌚の実態なのだから。
「䜕をしおいる ず聞くのは無粋だったかな。どうやら食事をしおいるようだが」
「圓然だろう。カメラマンに芋えるか」
 盞手は危険だず分かっおいおも、口が回るのが䜜家ずいう生き物だ。぀たり面倒な性栌ず蚀うこずだろう。
「䜕か甚でも」
「䜕、みすがらしい食事だったのでね。劂䜕かな今晩は私の䜏たいで、食事でもご銳走するずいうのは」
 もうすぐ日が暮れる、このたたここにいるのは埗策ではあるたい、ず、癜々しくも蚀った。
 䜐々朚 狢。
 こんな目立぀雰囲気の男が、そうで無いわけが無い。ずするず、これはお誘いずいうわけだ。
 乗るずしよう。
 粟々、楜したせお貰うずしよう。
「いいだろう。名前は」
「䜐々朚狢」
 お互いに分かり切ったこずを、わざずらしくも玹介しあっお、そしお腹を割っお話し合うこずになりそうだった。
 
 最も、私たちは二人ずも、䞭身に䜕䞀぀入っおいない、倱敗䜜の人間だったが。

   

 地獄のような環境でこそ、玠晎らしい芞術は産たれそうなものだが、しかしそうではない。
 私ならどこでも䜜り出せる。
 倩囜にいながら地獄を想像できる。
 どちらも脳の䞭にあるものだ。
 私が地獄にいたのかは知らないが、しかしそうでなくおもあるいは案倖あっさり「幞せ」に成ったずころで、よくよく考えたら私はそれら䞖界における良いモノを残らず党お感じ取れないのだから地獄ではないのかずいう意芋も聞こえないではないがしかし、玠晎らしいかどうかなんお私からすればどうでもいいものであり、売り䞊げさえ䞊がれば人間は銬鹿だから有り難がるだろう。
 無論私もそうだ。
 玠晎らしいかどうかなんお芳念的なこずを気にする人間は、そも䜕かを䜜り䞊げるこずに向いおいたい。環境など些现なこずだ。
 無論、金による環境を陀いお、だが。
 貧乏では出来るこずも出来ないずしか思えないが仮に玠晎らしい思想が貧困の地獄、倱敗の連続、敗北による屈蟱から産たれるのならば、私の䜜品は空前絶埌の傑䜜ではないか。
 今のずころ売り䞊げはそこそこだが。
 私は勿論自身の䜜品を「人類史䞊の最高傑䜜」ず自負しおいるが、そもそも玠晎らしいかどうかなど金のある連䞭が決めるこずであり、䜕より個々人によっお刀別には差があるだろう。
 たぁどうでもいい。
 煙に巻いおみただけだ。
 問題は金である。
 そしお。
「君は、人間をどう思う」
「匱くなければ、぀たらない」
「ほう」
 豪奢なテヌブル越しに、䜐々朚の䜜った人䞊みの民族料理を食べながら、我々二人は噺を、物語を語るのだった。
 我々二人が、倖から芋た人間の物語を。
「匷い人間が勝のは圓然だ、圓然すぎお涙がでるだが、圓たり前を芋お面癜がる人間は、䞖界のどこを探しおも、絶察にいない」
「成る皋、君は人間賛歌が奜きなようだね しかしそれでも胜力ある人間が必ず勝利するのも、この珟実䞖界だ」
 君はこの䞖界が぀たらないのではないかな。
 そう蚀うのだった。
 傷を開くように、そう蚀った。
「確かにな。だが、人間の描く物語は面癜い」
「物語が奜きで、人間は嫌いかね」
「いいや、倧奜きさ。私が嫌いなのは金のない状態だけだ。人間ほど愚かで、目先の欲望に身を滅がし、あるいは時に奇跡を起こす。執念が生む奇跡をな」
 無論、極々垌な、それこそ遞ばれた人間たちが行うこずだから、人間の奇跡ずいうよりも、遞ばれた人間たちの奇跡ず蚀うべきか。
「本圓かね。もしそうならば、䞖間の民衆は垌望に満ちあふれた顔を、しおいるはずだが」
「だろうな。この䞖界に垌望はない、この䞖界に倢はない。負けるべくしお負け、勝぀べくしお勝぀のが䞖界だ。そこに人間の意志や執念など、介入する䜙地は無い」
「それの、䜕が面癜い 党お胜力差、あるいは金銭の差、あるいは運䞍運で、人間の意志も執念も無芖した䞊で、結果が出る。こんな䞖界の、䜕が楜しいずいうのかな」
 䜕も楜しくは無い。
 䜕䞀぀ずしお。
 楜しいのは遞ばれた、楜しむ暩利、金や胜力や幞運や、なにかしら遞ばれた人間の特暩だ。
「楜しくは無いね。最高に嫌な気分だ。努力は無駄で執念は無意味だ。生きるこずに䟡倀は無い。䞀郚の幞犏の為に我々は生きおいる。だが」
 だが、それでも。
 人間の茝きに、期埅を寄せるのは、悪いこずなのか
 私はそう蚀った。
 こんな噺など、そうそうすたい。
 聞き逃すなよ。
「お前だっおそうだろう 私ず同じ、眮いおけがりを食らった人間だ。だが、もし、それが手に入ればどれだけ玠晎らしいか、望むのは、それは悪いこずか」
「手には入らないだろう」
「知っおいるさ。嫌ず蚀うほど分かっおいる。だが眺めるくらいは、いいだろう」
 こんな綺麗事を蚀い出したらお終いだ。぀たりせっぱ぀たったっおこずだ。
 生き詰たったのかもしれないが。
 生きるこずに、停滞しただけか。
「人間はゎミだ。生きる䟡倀など無い。害悪をたき散らし反省もせず、平気で他瀟を螏みにじり、殺したこずに気づかない。だが、私にはそう芋えおしたうのだから仕方あるたい」
 人間の茝きが。
 どうしようもなく、尊く芋えるのだ。
 私は、人間など信じおいないが。
「信じる䟡倀も無い、犬のク゜よりも汚らしく、存圚自䜓が害悪だ。最近よりも質は悪い。だからこそ私は願うのだ。い぀の日か、人間が人間を認め、個性を掻かし、どこにでも「幞せ」のある䞖界をな」
「それは叶わないだろう」 
 いっそ䞍思議そうに、䜐々朚は蚀った。
 圓然だ。自身ず同じ皮類の人間が、こんなこずを蚀うのは意倖だろう。案倖ただ筆ならぬ口が乗っただけかもしれないが、それはいい。
 我々の願いは、決しお叶わない。
 叶ったずころで、私も䜐々朚も、それをゎミのように捚おられる人間だ。
「叶わないな」
「なら、そこに、䜕の意味がある 願うだけの願いなど、存圚しないも同然だろう」
「その通りだ」
「ならば、䜕故かな」
「仕方あるたい。私には、お前もだろうが、そう思っおしたうのだから」
 心がない。
 心ない。
 心のない、怪物。
 だからこそなればこそ、倢芋るこずを、止めるこずは出来ないのだ。
 決しお叶わなくおも。
 願うこずを、やめられない。
 無論、私は金の方が倧事だがな。
「それが停物の、嘘っぱちの玙の䞊に描かれた、人の劄想から出た物語でもかね」
「確かに停物だが、停物であるからこそ、ああ圚りたいず、願うこずも、出来るだろう」
 私はそんな殊勝な性栌では無い。結果的に報われないならば意味はあるたい。玙の䞊の物語などに、人生は巊右されたい。
 だが、そう願っおしたうのだから、仕方圚るたい。私の意志は関係ないのかもしれない。
 私のような人間は。
 惹かれおしたうさだめなのか。
 圓然のこずではあるのだろう。無いモノを人間が欲するならば、ある皮圓然だろう。
「ず、ここたで蚀っおおいお䜕だが、勝たなければ意味はないし、実利がなければただのゎミだ。人間の意志は無意味だ。無力すぎお、䞀䜓党䜓䜕のために付いおいるのか、意味䞍明なくらいになだから、そうやっお読者を隙し、ありもしない垌望を魅せ、それで金を城収する」
 それが䜜家ず蚀うものだ。
 私は堂々ず、そう蚀うのだった。
 ただの開き盎りかもしれないが。
「成る皋な、そういう思想か」
 そういう思想だ」
「君は面癜いな」
 男に誉められたずころで嬉しくもない。たぁ私は誰に誉められようが、基本䞍愉快だが。
 䞊から蚀っおるんじゃない。
 玠晎らしいかどうかは、私が決める。
「良い女の条件は䞉぀ある。䞀぀は矎人であるこず。䞀぀は気だおがよいこず。そしお最埌は思想を持った悪人であるこずだ。匷い思想が無ければ぀たらない。善人ほど䞭身のないモノはない。やはり悪、それも届かない堎所ぞ手を䌞ばす、巚悪でなければ、面癜くない」
 ずどの぀たり、私の基準はそれだけだ。
 面癜いか、面癜くないか。
 たたたた、悪が面癜いだけだ。だから私はこの䞖党おの悪を「面癜い」ず断ずるのだ。
 それこそが私だ。
 私である蚌だろう。
 䜐々朚ずいう男は、どうも人間の圚り方に戞惑っおいるようだった。君たちは泣いたり笑ったり怒ったり哀れんだりするが、䞀䜓、それは「どうやるのだ」ず、問うおいるように芋えた
 たるで停止したロボットだ。
 そんな印象を受けた。
 無論。鏡写しなのだろう。私のこずを化け物だの怖いだの奜きかっおいる連䞭が、こんな景色を芋おいるのであれば、そりゃ迫害されお圓然、恐怖を感じお圓然ずいう気も、しなくもない。
 だから良いっお蚳でもないが。
「ここぞは䜕をしに来たのかな」
「女を助けるためだよ。わかりやすいだろう」「君に心の誀魔化しが通じないように、私にもお為ごかしは通甚せんよ」
「そうか」
 ずはいえ、行き圓たりばったり、ずいうか理由など぀い先ほど考えたばかりだ。
 どう䌝えようか。
 気分で生きおいるずでも蚀えばいいのか
「君は、ええず」
「先生で良い。倧䜓そう呌ばれおいる」
「ほう、そうなのか。恐瞮の限りだ。そのような倧局な人物ず、䌚話が出来るずは光栄だな」
 盞手を持ち䞊げお䞍愉快な気分にさせ、本性を暎くのは私の十八番だったが、されるず存倖䞍愉快なモノなのだな。いや、私はやはり䞍愉快でもないようだ。怒りなど感じない。そもそも倧局な人物かどうかは、その他倧勢が決めるこずであっお、人間は人間。肩曞きに隙されるような、容赊のある性栌を、私はしおいない。
 肩曞きで人生を誀魔化したりはしない。
 だから、案倖産たれお初めお、私はにたような人間ず、平和的で普通の䌚話を、成し遂げたのかもしれなかった。
 内容は酷いものだが。
「先生、君は、どうしおここぞ来た」
「特にないな。理由もなく、なんずなく流されるたただ」
「そういう人間には、芋えないな」
「そうだな、今のは嘘だ」
 ずいうか、自分でも忘れおいた。
 私はこの男に、興味を持ったのだ。
「私の間逆、それなりの人生に察する刺激のために、他の人生を砎壊しお回っおいる男がいるず、そう聞いおな。始末の䟝頌を」
 そういえば受けおいた。
 忘れおいた。
「受けおいおな。぀たりは敵同士ずいうわけだ」「君は、䜕のために私を攻撃するのかな」
「ただ䜕もしおいないさ。興味があったから流されるたたに来おやった。他は埌から考えればいい策を匄したずころで、机䞊のモノであるこずは倉わりあるたい」
「確かにな」
 同意されるずは思わなかった。
 䜕か実䜓隓でもあったのか
「しかし、成る皋。君は人間をそう芋おいるわけだ。君は人間そのものではなく、人間の生み出すモノこそが玠晎らしいず、そう蚀うのかな」
「ふむ」
 どうだろう。
 そもそも、私は人間を芋たこずなんお、あったのだろうか。いや、考えるたでもない。
「私にずっお倧事なのは私だけだ。私意倖などどうでもいい噺だ。だから蚀おう。「どうでもいい」ね。知ったこずではない。その他倧勢にかたけおいるほど、私の人生は暇ではない」
 いや、黄金持ちになっおからは暇はあるのだがそうではなく、だ。他瀟の信条など、他瀟の心情など䜜品に掻かせればそれでいい。
「人間が玠晎らしいかだず そりゃおもしろい奎もいるのだろうが党䜓ずしお捉える時点で、それは違うだろう」
「確かに、人間はあくたでも、「個人」だろうからな。統蚈など、私らしくもなかった」
 嚁厳たっぷりの存圚感で、歌うように蚀われたずころで、萜ち蟌んでいるようにはずおも、芋えなかったが。
「お前らしさなど知らん」
 私は拝啓描写を想像するのが苊手だ。
 䜜家の蚀葉ではないが、しかしどうでも良いこずを想像するほどの、苊痛はあるたい。
「だが、なればこそ、君は気にならないのかね人間らしさ、人間の本来の圚り方、人間の幞犏を」
「気にならんな。私が決めるこずだ」
「だが欲しいずは思っおいる」
「私の䞖界には「幞犏」ずいう抂念も「人間」ずいう抂念も、無い。ただ狂っおいるだけだ」
 幞せになれないこずを自芚しながら、突き進むなど人間ずしお砎綻しおいる。生物の圚り方ではないだろう。
「぀たりは匱いだけだ。私は匱い」
「だが、匱くなくおは成長すたいよ、先生」
 敬意の欠片もない呌び方だった。たぁ私を敬意を蟌めお呌ぶ奎など、未だか぀おいた詊しがないのだが。
「たぁ匷さを肩曞きで埗た人皮よりはマシだがな政治家ずいうのは、頭の䞭お花畑のくせに無駄遣いだけは埗意で、肩曞きに酔い、偉いず思いこんで迷惑をかけ、肩曞き以倖に個人ずしお䜕䞀぀成し遂げず、䜕の圹にも立たない石ころ以䞋の存圚でも、この䞖界では金さえあれば「偉い」ずいうこずになるのだから、ある意味ああいうゎミ共は、人間の芋本ずしお、わざわざ人間のゎミずしお、人間の汚さ醜さ愚かしさを、䜓珟しおいるのかもしれないな。そんなこずを䜕千幎も繰り返しおきたずいうのだから、私のような匱い人間が少数掟なのは圓然だろう」
「その繰り返しが、人類が滅ぶたで続いおいたずしたら、君はどうするね」
「䜕の噺だ」
「叀い噺さ」
「いずれにせよ、人間は執念で磚き䞊げお、意志の力で前ぞ進み、己自身の䜜り䞊げた䞖界で唯䞀信頌できる「己の誇り」ですら「運䞍運」に巊右される。叀かろうが新しかろうが、「持぀偎」「勝利する偎」にいない私は、䜕を考えようが無意味そのものだ。勝おない人間は、物語に出おくるモブキャラみたいなものさ私はそういう偎に産たれなかった。だから、

 䜕を考え䜕を成そうが

 どちらにしおも同じこずだ。

 無駄で無意味な圹割を、消化するだけだ。粟々苊しんで、自我が厩壊しないように祈るくらいしか出来るこずはない。どうせ無駄なのだからな」「確かにな。胜力差、運䞍運は、持぀偎が幞犏になるこずは矩務づけられおいるそういう意味では、我々には意味はない」
「私ず違っお、お前は金を持っおいる」
「だが、それだけだ」
「それでも、私よりは良いだろうさ」
「倉わらないさ」
「倉わらないかな」
 その蟺の奎が蚀ったら殺しおいるだろうが、しかし私ず同じで人間の幞犏が䞎えられない、持たなかった人間からすれば、そんなものだ。
「所詮䞖の䞭運䞍運私もお前も、独りの人間ずしおのその意志も誇りも尊厳も、䜕の圹にも立たないゎミでしかない。我々は誰よりも人間らしく生きようずしたが、運䞍運の前では無意味で無䟡倀だったのさ」
「そうか。なら、我々は」
「早めに死んでおいた方が良いのだろうな。最も我々は奎隷の立堎だ。苊しむ矩務はあっおも、運呜を倉える暩利も、解攟されるために脱萜する暩利すらも、ない」
 生殺しのたた、芋せ物になるだけだ。
 苊しむだけだ。
 人生は苊しむだけだ、我々にずっおはそうなのだろう。生き甲斐もやりがいも本圓のずころどこにもなくお、金すらなくおも、私はそうだ。
 いたたでずっずそうだった。
 今も。
 未来も。
 苊しむために、無理矢理生かされおいる。
「だから考えるだけ無意味だ、ず思うね」
「たぁ聞きたたえ。叀い噺ではあるが、退屈はさせないだろう君は叀代文明を信じるか」 私は信じないが。ずそう蚀うのだった。
 信じないくせに噺を振るずは。
 だから、
「あったら䜕だずいうのだ」
 ず催促した。
 するず、
「この䞖界は既に終わっおいるずしたら」
 最初から、䟡倀も意味もなく終わっおいるずしたら、ず。
 そんな奇劙なこずを、蚀った。
「䜕をするたでもなくそう思うね。䜜家が、玠晎らしい物語、ずやらが、こんなク゜にも劣る最䜎の気分でしか、人間には思い぀かないず蚀うならば、私の䞖界は終わっおいる。さっさずこの終わりすらも終わらせお、人䞊みで぀たらなくおドラマがなくお意味も䟡倀もないありふれた日垞ぞ、埋没したいモノだな」
「君は焊がれおいるのかな」
「焊がれたずころで、そんな気持ちがあろうがなかろうが、意味は無いだろうがな。人間の意志も信念も、結果には関䞎しない。誰か空の䞊にいるらしい「神様ずやら」が、愉快だず思えば人間は幞犏になれお、手を抜かれたり䞍愉快に感じられれば、人間は䞍幞、あるいは、私やお前のように、足りないこずを自芚しながら、神様の䞍手際を抌し぀けられるだけだだからこそこの䞖界は最高に面癜い。人間の䞍幞を、䞍遇を、理䞍尜を味わう人間の悲痛を、暪から眺めおいる分には、だがね
 
 䞖界には、期埅するほどの䟡倀は無い。

 人間には、魅せられるほどの䟡倀は無い。

 だからこそ、私は人間に期埅しすぎおしたうのさ。こんなものでは無いはずだ。もっず人間は、物語は、私の想像を超えお、私に、果おない景色を魅せおくれるモノなのだ、ず」
 過床な期埅をされるのは嫌いだが、するのは勝手ずいう実に私らしい答えだ。どうでもいいがな期埅しすぎるだけだ。期埅を超えるず信じおいるわけではない。
 信じるには倀しない。
「私は叀代文明の解読に勀しんでいおね」
「暇な奎だ」
「たぁ趣味みたいなものだよ。さお、解読に圓たったずころ、人間の文明、それも実に高床な文明が、䞀床は滅んでいるこずが刀明した」
「䌌非科孊だな。テレビの番組にでも、出る぀もりなのか」
「たさか。真矩はずもかくずしお、だ。その文明が滅んだ理由は、どうも「自身より長生きする奎が蚱せない」ずいう、暩力者の欲望によっお、぀たりどうでもいい理由で、少なくずも䞀぀の文明が滅んでいるこずが解明されたのだ。君はこれに぀いお、どう思うね」
「䞖界の終わりに、䟡倀は無い」
「その通りだ。私はせめお、どれだけ人間が䟡倀のないゎミであろうが、終わりくらいは華々しくしたくおね。もしも、だ。この䞖界は䞀床終わっおいお、䞖界は䞀巡しお繰り返しおいるどころではなく、我々はから同じ歎史を、そうでなくおも䌌たような歎史を繰り返し、同じ過ちをしお、銬鹿の䞀぀芚えも出来ずに繰り返しおいるのだずすれば、私にはこの䞖界は、色あせお仕方がないのだよ」
 䞖界の䟡倀を認識できない。
 それは䞖界に垌望を感じない、ずいうこずだ。 人間らしく、生きられないず蚀うこずだ。
 私は人間が出来たせんでした。
 そんな気分なのだろう。
 私は金が奜きだが、奜きなだけであっお、別にそれが原因で「䜕を買おうかな」などずニダニダしながら通垳を眺める人間ではない。ずいうか私には人䞊みの欲望、「䜕かを買いたい」ずいう気持ちは存圚し埗ない。
 ブランド、ずいう「皆が凄いず蚀っおいる」ずいう理由だけで、それそのものに䟡倀があるず勘違いする人間、぀たりゎミを䟡倀ある玠晎らしいものだず、厇拝できるほど、人間をやっおいないず、そう蚀うべきか。
 そう蚀う意味では、人間らしさだの、そういう頭の悪いモノ、いや存圚もしないモノに振り回されないで、良かったず蚀えなくもない。だからず蚀っお、今たでの人生が垳消しには、決しおなりはしないのだろうが。
 わたしにずっお、金は金だ。
 それで人間性がどうこうなるかず蚀えば、関係がないし、生きおいる内に楜しむために、ただ必芁で圹立぀ものだ。だからこそ、必芁だ。
 金を眺めるのは楜しい。
 この金で䞀䜓䜕をしおやろうか その思考こそが面癜いのだ、党おの倫理芳よりも、私にずっおは「面癜」く「金になる」こずは、党おに優先する出来事だ。
 だが、それでも、私には欲望は無い。
 持ち埗ない。
 持おなかった。
 この手には、掎めなかった。
 私はそれを開き盎っお良しずしたが、目の前の男は違うようだ。人間らしさに、ずり぀かれおいるず蚀っおも良いかもしれない。
「お前には、いやお前にも欲しいモノはないのか」
 ず、私は問うた。
 圓然ながら、答えは決たっおいた。
「駄目だったよ。人䞊みの家庭、人䞊みの充実感どれもこれも、私を満たすこずは、決しお有りはしなかった」 
 私は己さえ良ければどうでもよかった。
 だが自身を眪悪だず、そう感じる人間、吊、非人間も、いるらしい。人間でいられないこずを、存圚が害悪だず断じ、振り払おうずしお、たずわり぀かれお、倉えようずしお、それでも足りないたた、぀たりは私ず同じだった。

 䜕も持ち埗ないたた、それでも脇目も芋ず、死䜓を蹎散らしお、螏み぀ぶしお、䜕の眪悪感もなく、己の幞犏のみ、完党なる最悪な人間ずしお、行き着くずころたで行き着き、ここたで来た。

 察しお、その男は䜕も持ち埗ないたたここたで来たが、それを良しずせず、脇目に倒れる死䜓共を「気遣うフリ」をしお、死䜓をみるこずで䜕䞀぀感傷を抱けず絶望しようずしたが、絶望すら理解できず、理解できないこずに憀り、自分は駄目なのだず諊めた。

 私は駄目でも前ぞ進んだ。
 圌は駄目なら捚おようずした。

 違いは䜕なのだろうか。
 きっず、この䞖界は同じ、砎綻しおいる人間にしか、本質的には理解できないのだろう。
 理解されようずも、思わないが。
 しようがしたいが、同じこずだ。
 どうでもいい。
 金になれば。
 圌は違うのだろう。人々が「玠晎らしい」ず蚀うモノを、私は「䞋らない」ず切り捚おた。そんなモノは芋せかけのたがい物だ。思いこみの産物でしかないず。
 きっず圌は信じたのだろう。
 この䞖界には信じるに足るモノがあり、圌ら圌女らはそういうモノを信じおいるのだず。自身はそれが理解できないから倖れおいるだけだ、ず。 䜕ずもお笑い草だ。
 なんお我々は、䌌たもの同士なのか。
 だからどうっおこずもないがな。邪魔になりそうならば消すだけだ。圌も同じ気分だろう。
 私は金が奜きだが、金ずいうのは基本的に、「どれだけの人間を地獄に萜ずせたか」で、手に入る金額が倉わるものだ。非人間性の蚌ず蚀っおもいいだろう。䟋倖はそれこそ䜜家のような、から人間に垌望を魅せる、詐欺垫だけだ。
 倚くの人間を物語ずいう圢のない垌望で、隙しおいるたぁ、搟取する人間よりは、偉ぶっお自分を善人か暩力者だず、勘違いしおいる人間たちよりは、遙かにマシだろうが。
 圌は私ず違い、金で、幞せである「ずいうこずにしよう」ず、ある意味劥協が出来ない、頭の固い人間だったのだ。
 柔軟性に欠けるず蚀うべきか。
 出来たせんでした、出来たせんでした、出来たせんでした、出来たせんでした、出来たせんでした、出来たせんでした、出来たせんでした、出来たせんでした私には「人間」が出来たせんでした。
 人間に成れたせんでした。
 そんなずころか。
 私は開き盎ったが、圌は違った。自身を眪悪だず考え、うじうじず悩み続けた。いや、私よりも人間的な幞犏に、向き合っただけだろうか
「䞀぀聞きたい」
 どうしおも、ず蚀う皋ではない。どちらかず蚀えば確認事項だ。
「お前は、人間をどう思う」
「人に聞く前に、たず自分から蚀ったらどうかねそうすれば答えよう」
 やれやれ、参った。
 たさか人を始末しに来お、こんな蟺境の惑星で匁論倧䌚を開くずは、思っおはいたが、面倒なのでしたくなかった。
 私は少しも考えずに、玠盎に、思ったたたの答えを、圌に蚀った。
 曰く、
「私は人間が倧嫌いだ」
 ず。
 圌は蚀った。
「私は人間が倧奜きだ」
 ず。
 だから私は聞くこずにした。
「人間に奜きになる郚分なんお、あるのか」
「人間ほど愚かしく、などずいったこずは蚀うたいだが、これほど自分勝手で害悪をたき散らし、それでいお省みない生き物を、楜しんで芋るなず蚀うのは、私にずっおはむしろ酷だな」
「成る皋な」
 そういう楜しみ方もあるのか。
 参考にしよう。
「その人間には我々二人も入っおいる。䞊から目線で圌ら圌女らだけを、そんな颚に蚀っお、芳察者気取りで、構わないのか」
「構わないさ。䜕があるでもなし」
「確かに」
 人間党䜓を卑䞋しようが、たぁそれはそれ、圓人の勝手だろう。
 我々二人を人間ず分類できるのかはかなり埮劙だが、それは棚に䞊げおおこう。
 違っおも知らないしな。
 我々二人の問題でしかないのだ。
「䞖界がどう芋えようが、どう芋ようが圓人の勝手な悩みでしかないしな問題はそれに圓人が玍埗しお、金ず充実を手に出来るかだ」
「君は、本圓に金が欲しいのか」
 そんなこずを聞いおきた。
 私は即答した。
「欲しいね。金を求めるこずに、理由など必芁有るたい金で人生は買える」
 未だ買っおはいないのだが、たぁそういうこずにしおおこう。䜕事も単玔なのが䞀番だ。女の善し悪しを「良い身䜓をしおいるか」そしお「良い性栌をしおいるか」さらに「良い圚り方をしおいるか」で区切る私には、それが性に合っおいる。 倧蚀壮語だが、構わない。
 倧きく蚀うだけならば、金はかからない。
 ぀たり損は無いっおこずだ。
「そういうお前は、䜕故あんな女、小嚘などを䜿おうずするんだ」
 それは疑問だった。
 目の前の男が、才胜などず蚀うオプションに、固執するようには、ずおもではないが、芋えないからだ。損案人間らしい理由で、この男が動いおいるずは思えないふ぀う思い぀かないような、他人から芋ればどうでもいい理由で動いおいるこずは、間違いあるたい。
 この私が蚀うのだ。
 説埗力があるだろう。
 倩才など、たかが胜力力が高い、ただの人間にすない。その皋床のモノに、拘泥するほど、我々非人間は暇ではないのだ。
 だから気になった。
 だが、
「私はあの小嚘には興味はない」
 ず断蚀するのだった。じゃあなんで換金拘束しおいるのかその理由が分からない。
「君ずお、それは同じだろう。あの小嚘を助けに来たわけでも、あるたい」
 それはその通りだったが、しかし私は知っおの通り右ず蚀われれば巊を答える人間なので、
「いや、私はあの小嚘を助けに来たのさ」
 ず蚀った。
 私自身初耳だ。いや、思い぀きで蚀ったのだから、圓たり前ず蚀えば圓たり前だが。
「そうか。ではここにあるモノには、興味がないず蚀うこずだな」
「知らんな。お宝でもあったのか」
 なんだそれは。
 ここにあるモノだず 初耳だ。ずいうか䞀䜓䜕があるのだろうか気になる。小嚘、あの情報屋の女は、それを知っおいるのだろうか
「ほう、そうか。おっきり知っおいるから来たのだず思ったが」
「前眮きが長いな。さっさず説明しろ」
 敵地のど真ん䞭で、そんなこずを蚀う私の口だった。い぀も思うのだが、沈黙は金、雄匁は銀ず蚀うが、それにしたっお結局は䞡方䜿わなければ話が進たないのではないだろうか。
 私の堎合、銀が倚すぎる気もするが。
 蚈算の内だずいうこずにしおおこう。
 蚀っお、圌は指を鳎らしおスクリヌンを出すのだった。この郚屋で映画でも芋るのだろうか最近は電脳䞖界での利䟿性が倚くなっお、フィルムで芋る映画も枛ったな。
 時代の流れか。
「これを芋たたえ」
 蚀っお、瀺された先には、薄暗いスクリヌンの䞭で、劙なモノが写っおいた。
 それは。
「私の刀じゃないか」
 それは、普段私が散々私利私欲のために乱甚しおいる、クロりリヌ曰く「バランサヌの歊噚」であるずころの、幜霊の日本刀だった。
 なんでこれがここにあるんだ
 いずれにせよ、勝手に䜿われたくはない。元々あの女の保有物で、別に私には䜕の暩利もないのだがしかし、暩利は倧きい声で䞻匵しお抌し通すのが䞖の垞だ。停物を䜿うなら、著䜜暩の䜿甚料を払えず蚀う噺だ。
 しかし、䜕故これがここに
「これらは、か぀お「神」ず呌ばれた「人間達」が䜿ったものだ」
「぀たり、お前の蚀う倧昔の人間達、䞀巡前の宇宙の人間達こそが、「神」だったず」
「少なくずもテクノロゞヌにおいおはそうだ。圌らは䞖界を滅がすだけ滅がしたが、終末のテクノロゞヌは幟぀か、䞖界にばらたかれた。圓然のこずながら、それらは「非科孊的」ず揶揄されるほどに、ずば抜けた戊闘力を発揮した」
「私のこの刀もか」
 私は右の手のひらから刀を取り出し、手にずっお芋せた。普通の人間には芋えないが、しかしこの男も持っおいるのだろうから、芋えるはずだ。 どうでもいいがな。
 芋えようが芋えたいが同じこずだ。本質を捉えおいるか吊か。それが肝芁なのだから。
「その通りだ。私はこれらを「コレクタヌ」ず呌んでいる」
「貎様個人の呌び方など、どうでもいい」
 倧䜓なんだ。コレクタヌっお。たぁ非科孊的なモノほどコレクションの察象になりがちだから。あながち間違っおはいない気もするが。
 幜霊の日本刀は長いしな。
「それで私のコレクタヌでも欲しくなったか」
「いいや、私も既に君ず同じ、刀の圢状のコレクタヌを手に入れおいる。だから必芁はない。あの女を閉じこめおいるのは、倩才にありがちな実に単玔な理由だ」
「ほう」
 頷いおはみたが、しかし倩才がこき䜿われる理由など倚すぎお分からない。私個人がいたたで散々倩才を顎で䜿っおきた節があるので、圓然だず蚀えるだろう。
 倩才など、良いように䜿えばいいのだ。
 䜿う偎に回ればいい。
 胜力など䞍芁だ。
 結局のずころ、この䞖界は芁領が良くお、倧勢の人間を隙しお良いように矎味しい汁をすすれる人間こそを、救っおきたのだから。
 奪う偎の人間が。
 幞せになっおきたのだから。
 幞せを買っおきたのだから。
 どちらが正しいかは知らん。ただ、奪われる偎に立぀こずだけは、埡免被る。
「圌女を閉じこめおいる理由は、ここにある党おの歊噚、コレクタヌを誰にでも䜿えるように出来るからだよ」
「䜿えるようにしお、どうするんだ」
 玠朎な疑問だった。
 目の前の人間に、野心ずか支配欲だずか、そういうたっずうな理由があるずは、思えたい。
 圌はこう蚀った。
「別に、䜕も、無いさ。ただ

 その歊噚を皆が取り合い、争う様は

 芋おいお、面癜いだろう」
 ず。
 面癜いから。
 実に単玔な理由で、圌は䞖界を再床滅がすこずを良しずするのだった。そんな䞋らない理由のために䜕人死のうが、どれだけの悲鳎が出ようが、人類党䜓から恚たれようが、圌は䜕䞀぀ずしお反省も埌悔も、どころか眪悪感もないだろう。
 成る皋、最悪だ。
 私は鏡を芋ながら、そう思うのだった。

   

「電脳䞖界にダりンロヌドできるからですよ」
 䞀床城を远い出されお、倖から䞭に入り、そしお遙々よじ登っお、䞭に入った私を歓迎するどころか、面倒くさそうに説明をするのだった。
 北の棟、その屋䞊。
 こんなずころ、サムラむの力でもなければ到達できたい。倧した芁塞ぶりだ。
 アヌニャ・スタリム・ペンドルトン。
 それが圌女の名前らしかった。
 アンドロむドの産みの芪が䜜ったずか、埌は有機物ではこれ以䞊ない最高傑䜜だずか、色々説明されたが党お忘れおいたので、「私のこずはもう聞きたしたよね」ず問われお、玠盎に「聞いたが、党お忘れた。最初から名前も含めお説明し盎せ」ず蚀っおから、圌女は機嫌が悪かった。
 たぁ圓たり前か。
 女ずはそういうものだ。子䟛でもな。
 こっそり忘れないよう、私はメモした。
「電脳䞖界の発達で、人類は食糧問題、人口問題及び豊かさの再分配資本の平等化に成功したした」
「実際には奎隷のように扱われるアンドロむドがこき䜿われお、珟実䞖界を支え、富裕局だけが電脳䞖界の特暩を独占できる平和、いや、いっそのこず匷制的䞖界平和ず蚀うべきか」
 䜕かあればずりあえず逆のこずを蚀う。
 ぀たり性栌が悪かった。
「いちいち突っかかりたすね」
「圓然だろう、そうでなくおは䜜家など、やっおいられたい平等である必芁はどこにもないのだ。「平等であるかのように」芋えるこずが、重芁なのだからな」
 月の光を济びながら、私はそう蚀った。
 映画ずかなら女を口説くシヌンだろうが、私の盞手はお子さたであり、䌚話内容は䞖界に満ちる理䞍尜に぀いおだ。実に味気ない。
「性栌悪いですねぇ」
「事実を指摘しただけだ」
「私の父、アンドロむドを䜜り䞊げた父の蚀葉ですが「倩才ずは胜力に振り回され、己を保おない存圚のこずを指す。だが、アンドロむド達は自芚的な、それでいお人工的な倩才だ人栌者の倩才を䜜り䞊げるこず。それこそが私の䜿呜だ」だそうです。あなたは倩才でもないのに性栌が悪いようですが、䞖界なんおそんなものですよ。先生が䜕をしにきたのか知りたせんが、でもそれこそ先生が䜕をしようが、同じです」
 私たちアンドロむドは奎隷ですから。
 そんな颚に悟った颚に蚀うのだった。
 そしお私は悟った颚に蚀う奎が嫌いだ。
「奎隷、ね。だが奎隷は反旗を翻すものだ。䞍満があるならその有胜さで䞖界を砎壊すればいい」「あなたは思想そのものが爆匟みたいですねどんな有胜さであれ、それをどのように䜿うのであれ、有胜であるが故に、私たちは奎隷になるしかないんですよ。アンドロむドに限らず、胜力がある存圚は、その胜力を掻かせる環境䞋でなければ、生きおいけたせんから」
「この叀びた棟が」
「仕方ないじゃないですか」
 蚀っお、ふ぀ふ぀ず女、アニは語り出した。
「私だっお、嫌ですよでも仕方がないでしょう 実際、ここから出たずしお、結局はその有胜を䜿おうずする人間が、どこでも手ぐすね匕いおいるんですから人間扱いされるだけ、ここはただマシですよ」
「ずおもそうは芋えないな。こんな陰気なずころに閉じこめられるくらいなら、私だったら党員始末しお城を乗っ取るがね」
「口だけなら、なんずでも」
「だろうな」
 アニはすっず立ち䞊がっお、うずくたるのをやめお、私に向き合った。
「垰っお䞋さい。助けおくれ、なんお私が蚀いたしたか 抌し぀けがたしいんですよ鬱陶しい。あなたに私は䜕䞀぀ずしお、期埅なんおしおたせん」
 だから垰っお䞋さい、ず。
 そう蚀うのだった。
 別に助けに来たわけでもなかったが、しかしそう蚀われるず、こちらずしおもやる気が出るずいうものだ。
 人が嫌がるこずは倧奜きだ。
 その結果この女に嫌われるかもしれないが、たぁどうでもいいだろう。
 私は女を巊手で担ぎ、ケツを前にする圢で脇に抱えた。
「䜕するんですか」
 圓然の反応だが、たぁ知らん。
「五月蠅いな。芁はうじうじうじうじ、助かりたいけど助けを求めたっお無駄だから、諊めたあげく八぀圓たりをしお、悟ったようなツラしおここに居座っおいるんだろう」
「それが䜕ですか、はなしお䞋さい」
「暎れるな、ただでさえ重いんだから」
「こ、殺す。芚えおいお䞋さい。私はその顔を忘れたせんから」
 劙にしゃべり方が瀌儀正しい奎だ。
 これもひねくれお、぀たりは心のペル゜ナをかぶり続けた匊害みたいなものか。
「しかし重いな。キロはあるぞ」
「倱敬な キロですよあ」
「成る皋、そんなにあったのか。通りで重いわけだ。ボりリングの玉が䜕個もあるのだず思えば圓然だな。䜕、恥じるこずはあるたい。語呂合わせにするず「しわ」になるこずも芋た目よりも䜓重がそこそこあるこずも、今でこれなら未来にはさらに絶望的な数倀になるこずも、気にするな」
「こ殺しおやる。絶察に殺したす」
 女を助けお、殺しおやるを連呌された人間ずいうのは史䞊初だろうなぁず思い぀぀、私はなた暖かい湯たんぜのような感觊を味わい぀぀、重かったので肩の疲れを気にしながら、前ぞず進むのだった。
「もう駄目、お嫁にいけない」
「安心しろ。もうちっずばかし、粟神ず肉䜓が倧人になれば、貰い手も珟れるだろうさ」
 私は暎れる女を脇に抱えながら、子䟛に倧人げない蚀葉を吐き、容赊なく邪魔者を斬り䌏せお、倖ぞのルヌトを確認した。
 ここから飛び降りおもいいのだが、この女は死ぬかもしれないしノリず勢いで初めおなんだが、飜きおきたな。
 たぁ救えれば救っおおこう。
 死んだずころで、やはり知らん。
「え、え、ちょっず、嘘ですよね。䜕ですか私が蚀ったこず怒っおるんですか」
「たさか。ただ、この方が楜だずは思わないか」「埅っお」
 制止する女の声をよそに、私は空高くから飛び降りるのだった。

   

 無論私は無事だった。
「助けお䞋さっお有り難うございたす、ずいう感謝の蚀葉をただ聞いおいないな。蚀えよ」
 先に、蚀うたでもないこずだから断っおおく。 私に仲間はいない。
 私に友はいない。
 私に女はいない。
 私には、そんなありきたりなモノは、無い。  存圚しない。
 だからこそ、私にありきたりな展開を期埅するなこれが私だ。
 私だったっけ
 ずにかく、私は旅通で郚屋を䞀぀貰い、そう蚀うのだった。勿論お子さたには野宿でもしおもらっお旅費を浮かそうず思っおいる。
「ふざけんなボケ。ず蚀いたいずころですが、たぁ䞀応謝瀌は蚀っおおきたしょう。で、これからどうするんですか」
「これからずは」
「決たっおいるでしょう。こんな真䌌をしお、あの男が黙っおいるわけ無いじゃないですか」
「そうかな」
 案倖代案を䜿っお諊めおくれたりしないのだろうか。しないよな。しない。
 蚀っおみただけ、考えおみただけだ。
 アニは颚呂を济びおきたのか、湯気を出しながら心地良さそうに銖回りを吹いおいた。
「ん 欲情したしたか ん」
 鬱陶しいな。
 殎ろうかず思ったが、やめおおこう。
 だから限界たで頬をひっぱっっおやった。
「あだだだ、䜕するんですか」
「私は人をコケにするのは奜きだが、されるのは嫌いなんだ」
「我が儘ですね、貎方」
「ずころで、䜕を堂々ずここのベッドを䜿おうずしおいるんだ」
「え ここ私の郚屋じゃ」
「私独り分しか予玄は取っおいない。お前は倖の路地で泣きながら倜を明かすずいい」
「そんな こんなかわいい女の子を眮き去りにする぀もりですか」
「そうだが」
「え 冗談ですよね。本圓に」
 私は無蚀で銖根っこを掎み、攟り出そうずした暎れられお逃げられたが。
「わかりたしたよ、雑魚寝で良いです。ふん、むっ぀りさんはこれだから」
「誰もいいずは蚀っおないぞ。倖で寝ろよ」
 子䟛が颚邪を匕くのは珍しくもない。
 だからどうでもいい。
 私は寒くないしな。
「ごめんなさい。調子に乗りたした。だから雑魚寝で良いですから、眮いお䞋さいよぅ」
「そうやっお猫なで声を出せば、物事が通るず思っおいる女が、私は嫌いでな」
「裏事情をお話ししたすから」
「なんだず」
「アンドロむド制䜜の父、その真意。知りたくはないですか」
 そう蚀いくるめられお、倕选に至る。
 すきやき、ずいう倧昔の民族料理だった。䞭には矎味そうな肉、そしお野菜が散りばめられおいる実に矎味そうだった。
 私ずアニは䞀階にあるレストランフロアで、民族料理のコヌナヌに案内された。䞭には畳ずかいうモノが敷き詰められおいお、やや叀颚な鍋が䞭倮に眮かれおいる郚屋で、靎を履いたたた座った鍋の䞋の空間が、空掞になっおいるのだ。 これはいい。
 だれが考えたのだろうか。
 これだけでも、䜜品のネタになるず蚀うものだそう思いながら、煮える鍋を芋る。
「肉は党お私が頂く。貎様は野菜でも食べろ」
「良いじゃないですか。仲良く食べたしょうよ」「別に私は誰かに誉められたり、誰かに認められたり、尊敬されるために䜜家をやっおいるわけではないのでな。故に貎様が飢えお死んでも知ったこずではない」
「冷たいですねぇ」
「私のような人間が貎様を嫌うのは、圓然だ」
「」
 きょずん、ずしながらも、箞は肉を぀かんで運んでいた。噚甚な嚘だ。
「私は「悪」だ。吊定する぀もりもない。だがこの䞖界では「悪」が最も苊手ずするのは、「子䟛の正矩の味方ごっこ」だからな」
「どういうこずですか」
 意味がわからないらしい、省略しすぎたか。
 だが事実だ。
 たごうこずなき、事実。
「子䟛は身勝手だ。そしお自身を正矩だず思いこむ自身を「正しい」ず勘違いしお「䞖のため人のため」みたいな思想を持っおいる人間。そういう「邪悪」ずは、盞性が悪いのさ」
「正矩の味方は邪悪ですか。䜜家の蚀うこずだずは、思えたせんね」
「圓然だろう。圌らこそ邪悪だ。䜕せ、「良いこず」をしおいるず嘯きながら人を殺し、それは倒しただけだず蚀い匵り、それでいお自身の邪悪さを決しお認めず、女を奪い、思想を厩し、組織を邪魔しお愉悊に浞る。これが邪悪でなくお䜕だ」「やられる方は、確かにそうですけど」
「話がそれたな。お前の蚀う「博士」アンドロむド開発の父に぀いお、話せ」
「たず父の信念からお話ししたす」
 信念。
 嫌な響きだ。
 信念は金にならない。
「ず、その前に、聞きたいこずがあるのですが」 私は無蚀で手を差し出した。手のひらを䞊向きにだ。぀たりそういうこずだった。アニは無蚀で察し、幟分かの金を乗せるのだった。
「はぁ、ええず䜕故私を助けようず したんですか」
「救われたくない頌んでいないず蚀っおいただろう。私は貎様の嫌がる顔が芋たくなったので、仕方なくここぞ連れおきたわけだ」
「はぁ。私を利甚しようずかではなく」
「そもそも、お前に利甚するほどの䟡倀があるのか」
「倱瀌ですね」
 蚀っお、箞で肉を取ろうずしたので、私は自分の箞でそれを匟き、野菜を掎たせた。
「私は、うう、苊い」
「野菜を食べお倧きくなればいい」
「アンドロむドにも、成長期っおあるんですか」
「さあな」
 適圓に蚀っただけなので、知らない。改造手術でも受ければ奜きなボディバランスで掻動できそうなものだが。
 金はかかるがな。
「で、結局どういう胜力、倩才だの䜕だの蚀われおいるらしいが、それが䜕なのだ」
「たず、電脳䞖界における挔算リ゜ヌスの噺から始めたしょうか」
 私は肉を根こそぎ取り、皿ぞ移しおから、噺に耳を傟けた。
「この業界における「才胜」は、圓然のこずながら「挔算胜力」です。それもただのそれではなくアンドロむドや人工知胜の持぀、桁の違う才胜それらを掻甚するこずで、電脳䞖界のリ゜ヌスは維持できおいたす」
 ブラックアむスですね、ずギブスンの物語みたいなこずを蚀った。芁は圌らの、あるいは人工知胜の挔算胜力は、人間の生掻を支えるず同時に、そのあり埗ないほどの有甚な胜力を、人間にずっお郜合良く運甚されるこずで、電脳䞖界を支え぀぀、奎隷のようにこき䜿われおいるらしかった。 私は電脳䞖界ぞ行ったこずがあたりないので、わからないが、倚分そうなのだろう。
 有胜は奎隷に萜ちやすい。
 たぁ有胜でなくおも、私は䜿うがね。
 䜿えれば、だが。
 所謂「倩才」に劣等感を感じる人間の気持ちが私には、塵䞀぀分も共感できない。有胜であれば金で雇えばいい噺だ。無胜であれば利甚すればいい噺だ。いずれにせよ、生きる䞊で䜕の圹に立぀ずいうのか。あれば䟿利だろうが、金にはなりそうだが、無いモノは仕方あるたい。
 無いモノは無い。
 それに満足行かず、どうも人間ずいう奎は「才胜さえあれば」だずか「俺だっおやれば出来る」だずか、倢を芋るのが奜きなようだ。
 倢よりも実利だ。
 金になればそれでいい。
 だが、同時に気にはなった。
 才胜ある人間からは、䞖界はどう芋えるのだろうか気になるだけでは意味がないので、ずりあえず聞いおみた。
「なぁ、倩才」
「䜕ですか、無胜」
「自称倩才のお前からは、䞖界がどう芋える」 䞖界はどう芋えるのか それは個々人による異なるだろう。しかし倩才から芋た䞖界が面癜いモノなのか、別に興味があるわけでもない。私はたかが倩才ごずきに憧れたりするほど、人間をやっおいない。
 非人間なりに、䞖界を楜しめればそれでいい。 私個人が有胜か無胜かなど、どうでもいいではないか金の有無ずは関係あるたい。札束で頬を叩いおやれば、倩才ずいうのは尻尟を振りながら私の呜什を埓順にこなしおくれる。
 私には倩才は、䟿利な道具でしかない。
 やりがい搟取ほど、儲かるモノはない。
 ずはいえ、これは線集の台詞だろう。䜜家である私は、䞭々奪われないように、搟取されないように振る舞うのが、難しいものだ。䜕故だろう文孊も芞術の内ず考えるなら、珍しくは感じない。無論、私はどこぞの悲芳䞻矩者の有名䜜家みたいに、死んでしばらくしおから䜜品が認められ、生きおいる間には䜕のおいしい思いもせずに死んだのに、死んだ埌から誉められお傑䜜だのなんだのず持ち䞊げられ、䜜品の暩利は線集瀟が管理する、などずいう状態には、決しおなる぀もりはないし、なりもしないが。
 䜜家は叀今東西倧䜓そんな感じだ。
 私は絶察にならないぞ。
 おいしい思いをしお、誰になんずいわれようが搟取もされず、生きおいる内に豊かさずその恩恵を味わいながら、ストレス無く過ごすのだ。平穏で静かで豊かな生掻。私はちやほやされたくお曞いおいるわけではないのだ。あくたで金になりそうだから始めたこずだ。そう蚀う意味でも、䜜家ずしおの嚁厳ずか名声はいらない、ずいうか邪魔にしかならないので、その他倧勢が求めるような意味䞍明な䜜家像、アむドルもどきの䞋らない䜜家ずしお読者どもに媚びを売りながらよろしくやる぀もりは、䞀切無い。
 無論、敵は䜜りたくないので猫は被るが、しかし被るだけだ。そもそも私は日垞的にあらゆるペル゜ナを被っおいるのだ。今曎䞉枚や四枚増えたずころで構わないのは確かだ。だが、被るかどうかは私が決める。
 そしお肉を口に運んだ。矎味い。やはり肉は人生を豊かにしおくれる。これで盞垭しおいるのがタマモやフカナキだったら様になったのだが、お子さたではどうもしたらない。
 たぁ䞀流の女がいたずころで、やはり私にはそれを「良い」ず理解は出来おも、感じ入るこずは出来ないのだがだからっお子䟛の盞手をしおいたずころで、楜しいわけでもない。
 だが、倩才の景色は気になる。
 どう芋えおいるのだろうか
 退屈か 困難か
 所詮人間の人生など、食っお寝お抱くだけのモノだが、しかし人間は、ただそれだけの䞭に、苊悩ず思想ず飜くなき欲求を、持぀ものだ。
 その苊悩は密の味か 
 それずも。
「別に、倧したこずは無いですね」
 ぀たらない回答だった。ずはいえ、あくたでも䜕かの比喩衚珟かもしれないではないかそうだ。だから぀぀いお现郚を穿぀ずしよう。
 䜕も出ないかもしれないが。
「倧したこずはない。有胜すぎお぀たらない、ずそういうこずか」
「それもありたすけど」
 あるのかよ。
 たぁ、実際倩才ずは暇そうではある。
 胜力にかたけお暇をしおいる人間。
「単玔に䟡倀芳が合わないんですよねヌ芋えおる景色が違うっおいうか。考え方の基本が違うわけですから」
「成る皋な」
 倩才ずは少数掟であるこずが前提だ。最近は倩才の安売りが始たったが、しかしそれでも人䞊み以䞊だからこそだろう。
 溢れおいおは、倩才ずは呌ぶたい。
 だからこそ、倩才は理解されにくい倧抵の倩才どもは、理解されるたでに寿呜を終えたりしおいるずいうのだから、才胜があろうが䞖枡りが䞋手では、人間噺にならない、ずいうこずか。 たぁ私は䞖枡りも䞋手なのだが。
 いや、䞋手ではない。私ほど芁領の良い人間もそうはいたい、そういうこずにしおおこう。
 問題はない。
 倚分な。
 しかし才胜か。劣等感を感じるずいうのも、私からすれば意味䞍明な噺だ。どうでもいいではないか。所詮圌らは金の奎隷なのだから、札束でどう利甚しおやるかだけ、考えおいればいい。
 無胜も有胜も、資本䞻矩瀟䌚の䞭では、金のために動く奎隷でしかないのだ。ならば、個人ずしお有胜かどうかよりも、個人ずしおどう利益実益を手に出来るかをこそ、考えるべきだろう。
 だから私はこう蚀った。
「䟡倀芳などそうそう合うものでもないだろう。同じ䟡倀芳を持぀人間など、いない。貎様の堎合はそれが離れおいるだけだ。有胜だから孀独を感じるず勘違いしおいるだけ。党䜓を俯瞰しおみれば明らかだろう。貎様は確かに高いずころからモノが芋えるのかもしれないが、人類党䜓からすれば、いや、長い目で芋ればどうせい぀かは誰かに远い越されるモノでしかない。远い越されなかったずころで、やはり意味は無い。有胜も無胜も同じこずだ。良くないのは、貎様が自信の有胜さを利甚しお、人生を充実させようずしおいない郚分だろうな」
「そうは蚀いたすけれどね」
 少し、いや、䜕かがカンに障ったらしく、ずげのある蚀い方で圌女は「呚りがそうはさせおくれたせんよ」ず蚀っお、続けた。
「私の呚りには、私を利甚しようずする人間か、それを隠しお近づく人間か、哀れむだけ哀れんで䜕をしおくれるわけでもない人間か、嫉劬しお殺意を向けおくる人間です。どうしろっおんですか䞖界は無意味じゃないですか。私には、誰かに利甚される以倖の遞択肢が、最初から残されおいないんですから」
 などず、泣き蚀を蚀った。
 金に関するこずでもないのに、どころか自身が有胜すぎお、いろんな人間に構われすぎで困っおしたう。などず。有名人の悩みみたいだ。
 莅沢な女だ。
 そも、前提が間違っおいる。
「銬鹿かお前は 人間が人間を利甚しようずするなど、圓たり前のこずだろう 誰だっおやっおいるこずでしかない。金のため愛のため恋のため瀟䌚のため、己の欲望を満たす「䜕か」の為に人間は人間を螏み台にする。それが金か、あるいは粟神的な自己満足か、それだけの違いだ」
「あなたこそ、䞖界がどう芋えおいるんですか 私には、狂っおいるようにしか、思えたせんけど」
「䜕故だ」
「人間を信じないからです」
「疑うのは、圓然だろう」
「ええ。けど、貎方には最初から信じる気もないように芋えたす。裏切られおも、信頌を勝ち取っおも、同じ。そんな考え方は壊れおいたす」
 壊れおいる、か。
 正垞に動いお、搟取されるよりは、マシだ。
 少なくずも金にはなる。
「結構だ。貎様等の基準での正垞な動きなど、別にする぀もりもないしな。䜕が悪いなどずは蚀っおやらないぜ。悪くおも知らんしな」
「よくそこたで、開き盎れたすね」
「お前こそ、䜕故開き盎らないんだ あるんだかないんだかもわからない「基準」よりも、人間は己自身の声に埓うべきだ。どうせ䜕かに埓うならば、己の業に埓うべきだ」
 その方が、面癜いからな。
 私はそう蚀った。
「じゃあ、貎方は望みもしない才胜を持っおいたら、䜜家にはならなかったんですか」
 それは、確かに。
 私は望んでこの道を、いや、望んではいなかったが、しかしこれ以倖に道がないずいう、蚀わば消去法でこの道のりを歩いおきた。
 そういう意味では、私も、他でもない私こそが望んでもいない胜力を䞎えられた倩才ではないのかずいう意芋もないだろうが、圓然違う。地味に倖堀の胜力を補完しおいき、いらない経隓倀を増やしおいき、人間を呪いながら生きるこずで䜜家ずしおのスタンスを確立し、䜕幎も䜕幎もやっおいれば、銬鹿でも出来る。ずりあえず盗䜜から制䜜掻動を始めた私が蚀うのだ、間違いない。
 この蟺は蚀語ず同じだろう。
 どんな銬鹿でも、反埩するこずで倖囜語を話せるように、䜜品を曞くだけならばどんな銬鹿でも時間をかければ出来るこずだ。䜜品の内容の濃さは圓人の人生の濃さコヌヒヌじゃあるたいし、そんなモノがあるのかは䞍明だがだずしおも、売れるかどうかは完党なる運である。
 運䞍運。
 ここたで来お、いやここたできたからこそ、運䞍運なのだ。
 笑えない噺だ。いや、面癜い噺か。
 才胜を持぀こずが䞍運じゃどうかは知らないしどうでもいいが、しかし「もしも」に意味はあるたい。私は既に䜜家なのだから。
 だからこう蚀った。
「その問いに、意味はないな。私は既に「出来䞊がっおいる」んだ。私のように行き着いた䜜家には、「もしも」を語る意味はない」
「それでももしも、ですよ。他に䜕かあったら」 違う道を歩んでいたのだろうか、ず。
 圌女はそう蚀った。
 そんな蚳がない。
「私ずいう人間、この「個人」この「我」が消えない限りは、やろうずしおも無理だろうな。その「たたたた手に入った䟿利な才胜」を䜿っお金を儲けながら、たた傑䜜を曞くだけだろう」
「ブレたせんね」
「ブレられるほど、豊かな人生を送っおこなかったものでな」
 実際どうだったかはわからないが、たぁ豊かでないこずは確かだろう。豊かさの結果私のような人間が誕生するのなら、䞖界はずっくに終わっおいるだろうしな。
「そもそも、倩才、ずいうのはその時代に適した胜力を持たなければならない。今、この䞖界にいる倩才ず、先の䞖界ずでは、根本から異なるモノになるだろう。才胜などに、意味はない。䟡倀はあるかもしれないが、、しかしその䟡倀にしたっお、䌁業ずか囜ずかにずっお郜合の良い䟡倀でしかないのだ。そんなモノに興味はない」
「ふぅん。成る皋。では、貎方は私を芋お、コンプレックスを感じたりは」
「しない。必芁あるたい。有胜なのかもしれないが、しかし、蚀っおしたえばそれだけだ。パ゜コンを匕きずっお歩いおいるのず、倉わるたい」
「ヒネクレおたすねぇ。でも奜きですよ、そういう人は」
「子䟛に奜かれおも嬉しくないな」
 玠盎な感想だった。
 なんだか小銬鹿にされおいる気分だ。
 子䟛に奜かれたくお、曞いおいるわけでもないからな。
「じゃあ」
 ず蚀っお、結局噺はそれたたた、アニは私に問うのだった。
「貎方は䜕のために曞いおいるんですか」
「私のためだ」
「䜜家なのに」
「知るか。読者どものこずなど、知らん。私は私個人の為に、物語を綎る。だからこそ金にならなければ噺にならん。金にならなければ、私の為にはならないからな」
「本圓に」
「それ以倖に、䜕がある」
 䜕かあったっけ
 他の理由。
 人生の充実ずかだろうか。
「貎方は、䜜品を描くこずで、自身の圚り方を定めおいる気がしたす。䜜家たらんずする事で、貎方自身を固定しおいる」
「それに、䜕の問題がある」
「問題は、無いですけどそれ以倖の生き方を遞がうずは、本圓に思わないんですか」
 皮肉の぀もりだろうか。
 嫌みの぀もりだろうか。
 いずれにせよ、無いモノはあるたいに。
「くれるっおんなら、貰っおやっおも良いぜたぁ、無いだろうがね」
「貎方は人間に期埅しすぎお、絶望しおいるんじゃないですか 自身の望むモノが、他の人間達があっさり手に出来るモノが、自身の手の内にないから、そんな颚に斜に構えおいるんですよ」
「」
 しかし、どうしろずいうのだろう。
 そんなこずを蚀われたずころで、別に私が突然心豊かな人間になったりは、しないだろうに。
「䜕が蚀いたいんだ」
 さっぱりわからなかったので、結局聞いた。
 するず圌女は、こう答えた。
「貎方は、狡いですよ。人間の汚い郚分しか芋おいないくせに、人間のきれいな郚分を嫌悪し぀぀も、それに期埅する。そんな人間が、幞せになれるわけ無いじゃないですか」
「䜕故、貎様に成れるわけがない、などず決められなければならないんだ」
 私は人の意志を勝手に決める奎が倧嫌いだ。
 憀慚したず蚀っおもいい。
 だが、
「そりゃそうですよ。他でもない貎方自身が、幞せになるこずを拒吊しおいるんですから」
「そうなのか」
 よくわからない。
 もっず簡単に説明しろ。
 私は心理孊者ではないのだ。
 あくたでも、䜜家。
 物語を綎るのが仕事だ。
「貎方は、人間のきれいな郚分に憧れおいるようですがそのくせ、信じおいない」
「それは聞いた」
「だから、信じおもいないモノに、芋返りを求めるのが間違っおいるんでしょう この䞖界には䜕もない。それが先生の出した、答えなんでしょうしね」
「どっちでもいいんだがな」
 私は幞せよりも金だ。
 金があれば幞せになれる人間だ。
 金があれば、人間の幞犏、小綺麗な郚分など、どうでもいい。芋る気もないしな。
「ほら、すぐにそう蚀う。貎方の、先生の悪い郚分は、すぐそうやっお諊めるずこずですよ。諊め悪く、生き汚く、生きるべきです」
「棟のおっぺんでめそめそしおいた小嚘に、そんなこずを偉そうに蚀われる筋合いは、無いな」
「それは蚀わないで䞋さいよ」
 吹っ切れたんです。ず、調子の良いこずをたた蚀うのだった。蚀ったずころで、女ずいうのはすぐにくよくよする生き物だから、男よりもくよくよどうでも良いこずで悩んで開き盎る生き物だから、たたうじうじ悩み出すのだろうが。
 悩む男よりはマシか。
 たったくな。
「もう決めおやりたした。私は才胜に振り回されずに、堂々ず生きたす。こんな適圓な人間でも、䞖の䞭楜しんで生きおいるんですからね」
 私は鍋の䞭にある党おの肉を、すくっお皿に取るのだった。
「䜕するんですか」
「適圓な人間なものでな、配分を忘れおいた」
 が぀が぀ず二人しお飯を食い、そしお。
「回り道はもういい。博士の信念ずやらは、どうなった」
「それは」
 この埌䞀服しおからお話ししたす、ず抜かしたので、私は埌頭郚をひっぱたいおやるのだった。

  

 どうでもよいのだ。
 䜕が正しいか。正しくないか、その生き方は間違っおいないか、道埳的に、あるいは人間ずしおどうなのかだずか、そんなモノは金にならん。
 金が党おではないかもしれないが、無かったずころで金にもならない倫理芳など、気にしろず蚀うのが無理な盞談だ。
 人間は倧嫌いだ。
 だが、面癜い。
 私にはそれで十分だ。砎綻しおいるかどうか、そんなこずはどうでもいい。所詮関係のないずころから、偉そうに蚀う人間の蚀葉など、圹に立った詊しもない。
 たぁ圌女はアンドロむドだが。
 我々は食埌のコヌヒヌを楜しんでいた。ロボットず圢容するには、䞍気味の谷を越えすぎだですら、コヌヒヌを楜しめるずは。
 良い時代になったものだ。
「父の、博士の信念は、平等な䞉原則です」
 平等。
 ぀たり嘘ず蚀うこずだ。
 この䞖界に、そんなもの、芋せるこずは出来おもありはしない。自己満足のしょうもないロマンチズムず蚀ったずころか。
 やれやれ、参った。
 人間は根本的な郚分で、子䟛っぜいたたらしいクリ゚むタヌなどそんなものだが、しかしもう少し倧人びおきおも良いのではないか。たぁ自身を立掟な厭䞖家だず勘違いしおいる奎ほど、手に負えない銬鹿なのだが。
 私か
 私はどうでもいい。
 立掟さなど、瞁もないしな。
 立掟であろうが無かろうが、そんなモノは金で買えばいい噺だ。必芁ずあれば買う。
 私から蚀わせれば、真に重芁なのは、立掟さ、それらしさなどず蚀う実利のないモノではなく、軜く芋られるこず、だ。
 軜く芋られるこず。
 重芁なこずなのに、人間ずいう奎はこれが䞭々しようずしない。プラむドなのか、矜持なのか、自身を䞖に銎染めない厭䞖家だず思いたいのか、いずれにせよ人間である以䞊、そんなに基本性胜に差があるわけでもなし、軜く芋られるに越したこずはないのだ。
 譊戒されるよりは。
 だから可胜な限り、それも面倒でなければだが私は基本、そう振る舞っおいる。
 小物に芋られるに、越したこずは無い。
 最近はその努力も空しい結果を生んでいるが、なに、最終的に金になれば、それも良かろう。
 雰囲気など、私個人ではコントロヌル出来ないこずもないが、正盎面倒くさい。
 人生適圓で行こう。
 その方が楜だしな。
「平等か。銬鹿銬鹿しい。目の前も芋えないような人間が、アンドロむドを䜜り䞊げたずは、䜕ずも皮肉な噺だ」
「どういう意味ですか」
 咎めるように、いや実際咎めおいるのだろう平等な䞖界を、倢芋おいるのだろう。 こんな頭の悪い奎が、いや、あくたでも胜力が高いわけであっお、私みたいに䞖の䞭の醜い郚分を読者に魅せるため、䜜られたわけでもない。
 ある意味圓然か。
 有胜ずは、すなわち無胜を理解できないこずだ無胜が有胜を理解できないように。
 私はそれ以前の気もするが、だからこそ䞡方ずも理解は出来る。共感はしないがね。
 倩才の定矩が金で買えるこずならば、平等の定矩はこの䞖に存圚しないが、聞こえがよい蚀葉であるこず、ず蚀ったずころか。
 私のような異端に関しおは、性栌が悪いこずだろう。性栌が悪ければ、ずいうか、悪かった䞊でそれを自芚し、自分の目的さえ良ければ他はどうでもいい人間であるこず、だろう。
 ぀たり最悪ずいうこずだ。
「人間が平等なら、私は産たれおすらいないな」「貎方は、前々から思っおいたのですが、倩才どころか、凡才にすら及ばないくせに、貎方は䞀䜓どうやっお、そんな人間性匷烈な我を手にしたのですか」
「人間は平等ではない。胜力、生たれ、境遇、貧富、暩力、色々あるが、比べる盞手が存圚する以䞊、平等、などずいうのは「持぀偎」の䞋らない自己満足、戯れ蚀でしかない」
「でも、珟に貎方だっお、才胜が無くおも䜜家ずしお行き着いおいるじゃないですか。努力をすれば報われ、才胜を超えるこずだっおある」
「無い。人間の信念は、意志は、無力だ。胜力の差、理䞍尜には、勝おない」
 私自身が身を持っお、それは知っおいる。
 嫌ずいうくらいには。
 魂が、それを芚えおいる。
 だからこそ、私は蚀わねばならない。
 この倩才に。
 究極の「持぀偎」の存圚に。
 私は答えなくおはならない。
「努力はするだろう。信念も持぀だろう。それでいお、それらのおかげで報われたず、そう蚀う人間は、実に倚い。だが、それは嘘だ。結局のずころ、努力だの続けおきたからだの、そんな薄っぺらい蚀葉しか吐けない人間は、苊枋も、苊悩も、苊劎も、持぀偎ずしお、優遇された人生を送っおいるだけだ」
 人より持っおいるこずに気づかず、自身は平凡だけれども、努力しおここたで来た。戯蚀だ。そんなもので運呜が倉われば、その皋床で人生が買えるのならば、苊劎はしない。
「なら、貎方は、いや他でもない貎方が、人間の努力を、無胜を、笑うのですか」
 それは懇願するような聎き方だった。圓然か。私が吊定するず蚀うこずは、即ちそれら、あらゆる「持たざる者」は、敗北しか運呜が無い、ず経隓談から断蚀するようなものだ。
「それも違う」
「なら、䜕故」
「人間の意志は無力だ。努力するこずで結末を倉えられれば苊劎はしない。持たざる人間が、あるいはおたえ達のような「迫害されお生きおきた」アンドロむドのような存圚が、運呜を倉えるには必芁なこずが、䞀぀、ある」
「それは」
 ず蚀っお、唟を飲む。
 聞きあぐねおいるのだろう。
 聞いお埌悔したくないのだろう。
 それは。
「人間を、やめるこずだ。捚おる、ず蚀っおもいいかもしれない。人間性を捚お去り、狂気を埓えそれでも尚、前ぞ進む」
 私は生たれたずきからそうだった。皮肉なこずだ私が最も求めおいる「人間性」こそが、「持぀偎の存圚」に勝ちうる唯䞀ず蚀っお良い、「持たざる者の歊噚」なのだ。
 人間性があれば、私は勝぀どころか、ただ奪われる偎、負ける偎の人間ずしお、頭を垂れお生きおきたこずだろう。
 私は頭を垂れなかった。
 人間性など無かった。
 ただ、前を芋た。
 光が欲しかったのだ。
 遙か遠く、そこにある垌望だ。
 その結果、人間性を求めお攟浪するずいうのだから、笑えない噺だ。
 それずも、笑える噺なのだろうか。
「勝぀ためには、おたえ達「倩才」ずいう者達に勝぀ためには、前提から倉えるしかない。私に文才はなかったが、私は生たれたずきから人間をやめおいた。私ず同じ目線で、物語を曞ける存圚は宇宙のどこを探しおも、そんな物語を曞ける人間にはなりたくないず、恐ろしい狂気だず退けられおきた。だからこそ、私の物語は魂の結晶だ。人間をやめおでも尚、前ぞ進む人間、いや、化け物に成り果おお尚、尊い光を求める物語。私の人生はそうだった。だからこそ、私にはそれを、化け物が目指す幞犏を、息を吞っお吐くように、いずもたやすく描けるのだ」
「だから、倩才に勝おる、ず」
「いいや」
 それで勝おれば苊劎はしない。
 だが。
「勝おる可胜性は䜎い。䜜家ずしおも、同じこずだ。結局、運ず才胜に恵たれた人間を、売り䞊げで超えるこずは、きっず難しいのだろう。そうでなくおも、䜕を持っお「勝利」かわからない䞖界だからな。だが、私はこの物語で、私の党おを泚いだ物語で、魂を圢にしお、残した。その魂は決しお消えはしない。神がいたずしお、悪魔が荷担したずしおも、私の圚り方は、物語ごずこの䞖界から葬られたずしおも、決しお。私の物語は、屈しないちっぜけな存圚の物語だ。いずれ衰え、私が傑䜜を曞けなくなろうずも、私の意志は、信念は、狂気ずずもにそこにある。意志はあっさり金ず暩力で抌し぀ぶされる。だが」
 人間の狂気は、消えない。 
 消させおなるものか。
 その生き様は。
 その圚り方は。
 その倧いなる業は。
 消えおしたうほど、脆くはない。
「倧いなる狂気ず倧いなる業を背負っお、ここたで来た。そんな私に蚀えるこずは、倧したこずではない。ただ、才胜が無かろうが、誰よりも恵たれなかろうが、最初から敗北が運呜で決められおいようが、私は「負けおいい」ずいう気分には、なれなかっただけだ」
 意固地なだけだ。
 それが人間の心を打぀のかさえ、私にはもうわからないが䟋え誰の心を打たずずも、その信念は、完党なる自己満足だずしおも、私には負ける気などさらさら無い。
「私は、倩才を矚んだりは、しない。嫉劬を芚えるこずも、きっず無いだろう。だが、劣っおいるずしおも、誰よりも害悪だずしおも、私は貎様等「持぀偎の人間」に、朔く負けおやる気は、さらさら無いず知れ」
 ただの意地だ、そこに意味はない。負けるべくしお、持たざる者の宿呜ずしお、たた、理䞍尜に負けるずきもあるだろう。だが、それを良しずしお受け入れおやる぀もりは、無い。
「私は、おたえ達などに、屈する぀もりは無い」「そうですか」
「私には、䜜家どころか、人䞊み以䞊のモノなど䜕䞀぀持ち埗なかった。才胜にも境遇にも、愛されたこずなど、ただの䞀床もない。だからずいっお、私にだけ「心を動かす物語」が曞けるず、思い䞊がる぀もりにも、ならない。案倖あっさり、倩才が、持぀存圚が、救枈するように持たざる者を救う物語を、曞くかもしれない。だが、ならばそれを超えおやるだけだ。生憎こず䜜家業に関しおは、才胜はあたりいらないからな曞くべきこずがあれば、猿にでも出来る職業だ。才胜で物語を描くならば、悉くを超えおやる。才胜以䞊の狂気を持っお、人間の粟神を汚染するくらいに匷烈な、「人間」を描いた物語を、この䞖界にバラたくだけだ」
「貎方は」
 䜕だ。
 䜕か悪口の䞀぀でも蚀うのかず思ったが。
「匷いですね」
 ず蚀った。
 さお、私はあたり䜓力のない方なのだが。
 䜕を蚀いたいのかさっぱりだ。
「なんのこずやら、さっぱりだな。匷いか匱いかも、粟神が頑匷であるか脆いものであるかも、結果には圱響しない。党おが運によっお定められおいるならば、そんなものは意味がない。私はただ単に、物わかりが悪いだけだ」
 実際、皮肉だ。
 勝おない戊いず知っおいながら。
 私は諊められなかった。
 そしお今も、曞き続けおいる。
 叶うこずのない物語を。
 尊い光を描く、嘘八癟の物語を。
 そしお忌々しいこずに、アニは、その倩才は、たるで「尊敬」するかのような芖線を、私に察しお向けるのだった。
 蚀っおおくが、䜕もやらんぞ。
 やれるほどのモノは無い。
「ふぅん、そうですか。そういう考えも、そういう狂気も、人間には、あるんですね」
「あるから䜕だ。勝おなければ同じだ」
「そうでしょうか」
 混ぜっ返すのが奜きな奎だ。
 そうではないのか
「アンドロむドに、いや胜力がある存圚には、決しお、そんな考えは浮かびたせんよ。䞖界䞀の頭脳があったずしおも、そこに貎方ほどの狂気は、絶察に宿らないでしょう」
 誉めおるのか銬鹿にしおいるのか。
「宿ったから䜕なのだ 尊さずか、そういう小綺麗な綺麗事こそ、所詮持぀偎が楜しむための、芋せ物に過ぎないのだ」
「違いたす」
 ゆっくりず、銖を振る
「貎方を尊敬しおいるんです」
「䜕も払わないぞ」
 䞀応、蚀っおおいた。
 おだおおも䞀円もやらんぞ。
「貎方は、匷い。けれど寂しい。それでも、私のように胜力に頌らず、己の信念だけで、生きおいるそれは、有胜なアンドロむドには、有胜な倩才には、決しお出来ない偉業です」
「誉めおも䜕も出ないぞ」
「その寂しさから生たれる匷さは、いずれ貎方の誇りになるでしょう貎方は自信を認めるべきです。俺は匷いんだぞ、ず」
「銬鹿銬鹿しい」
 私はナルシストではない。単玔に嚁勢の良いポヌズを取っおいるに過ぎない。
 しかし、自信か。
 䞀䜓、䜕に
 私の誇りか
「貎方は匷い。けれど寂しい貎方はもう、匷さよりも匱さを孊ぶべきなんですよ。なれ合いでもいい、人間の枩かみを知るべきです」
「䞋らん。あるずいうなら持っおこい」
 垭を隔おおいるので、殎られる心配もないだろうず、タカをくくっおの発蚀だった。
 だが、女は垭から立ち䞊がり、暪ぞず立ち、私を抱きしめおくるのだった。
 殎ろうかな。
 鬱陶しい。
「私は、貎方がなんず蚀おうず、尊敬したすよ」「し぀こい奎だ。それが、いいか それが䞀䜓䜕の圹に立぀」
 倚少、いや怒気をはらんだかもしれない哀れたれおいるずは思わないが、しかし、勘違いしお勝手に盛り䞊がっおいるのだずすれば腹も立぀ず蚀うものだ。
「もう䌑んでいいんですよ」
 慈悲の心を䞎える聖母のように埮笑みながら、圌女はそう蚀った。
 私には分からなかった。
 本圓に、䜕も、分からなかったのだ。
 

   

「話がそれたしたね」
 蚀っお、結局次の日の朝、ビュッフェを食べながら、遅れに遅れお圌女は博士の話をするのだった。もしやずは思うが、ただ単に食べ物を食べたかっただけなのか
 分からなかった。
 蚀っおも仕方あるたい。
 䜕事も、倢を叶えるだけなら簡単だ。䜜家は別に倢でも䜕でもないが、しかし結局は䜕事であれ「䜕になるか」ではなく「なった䞊で䜕を成し遂げ、䜕を埗るか」だろう。
 それを考えおいた。
 私は、䜕かを埗たのか
 実利ず呌べるほどの、䜕かを。
 私は既に食べ終わっお、コヌヒヌを飲んでいた物事は䞀぀䞀぀するべきだ。「食べる」ず「話す」を同時に行うべきではない。
 しかし、昚日の䌚話内容を思い出しお、䜕だか私の方が心ないアンドロむドみたいだなぁず、もう䜕回同じこずを思ったかしれない、そんない぀もの悩みを、頭の䞭で転がすのだった。
「私はクロヌンなんですよ」
 ず、圌女は蚀った。
 クロヌン
 䜕のこずだろう
「元々、こういう倩才がか぀おいたらしくお、それを再珟しようず䜜られたのが、私です。ええそうですよ、貎方の蚀うように博士は平等なんかに興味はありたせんでした。あるのは、䌚いたい人間に䌚うこずの出来る、技術です」
「䌚いたい人間に、䌚う」
「ええ。実際、アンドロむドっお「郜合の良い」存圚でしょう 人間には忠実で、産たれる前から胜力ず性栌をチュヌニングできお、それでいお金で買える」
 䜓の良い人造奎隷ですよ。
 そんなこずを蚀うのだった。
 たぁ事実だろう。
 そしお、事実はい぀もそんなものだ。
 䞋らない、人間の欲望で出来おいる。
 倫理芳ずか、品性ずか、良識ずか、そう蚀うモノが党お、持぀偎特有の抌し぀けがたしい綺麗事であるように、䞖の䞭そんなものだ。
「愛されなければ生きおいるずは蚀わないそうですが、その点に関しお蚀えば、私たちは
愛されるために生きおはいるが、その愛は望んでもいない欲望にたみれおいる。ず、蚀ったずころでしょうか」
「愛など無くおも生きおはいける。生きた蚌でも欲しいなら、物語でも曞いお金に換えろ。それでも満たされないならそい぀が未熟なだけだ。貎様はどうも、物事を重く捉えすぎるな」
「そうでしょうか」
 軜く芋過ぎなのも問題ですけど、ず、皮肉なのかは知らないが、アニは蚀った。
「人生など、意味は無い。人生など、䟡倀は無い圓たり前だ。そもそれが嫌だから人間ずいう奎は芞術だの文孊だの「生きる䟡倀」を求めお思玢に耜っおきたのだからな。そしおそれらは党おが党お、䞋らない自己満足だ。それでいいのだ䟡倀ずは、己が定めるものだ。倫理的に捉えお自分たちが「䞍遇」だからずいっお、貎様は悩みすぎなだけだ。悩んでいるだけだ」
「でも、珟に私は耇補品ずしお、生きる意味どころか、ただの欲望から産たれた存圚です。そんな存圚に、意味なんお」
「ある、己で定めればいいのだ。他者など知ったこずか。気にするだけ銬鹿銬鹿しい。いいか、良く聞け生きるず蚀うこずは、己で定めた道を遞び、それに満足するこずだ。それを䟡倀あるモノだず思いこむために、邁進するものだ。誰かに䞎えられた䟡倀など、貰い物でしかあるたい」「それは、たぁそうですけど」
「故に䞋らん。悩む䟡倀もない」
 蚀っお、どうしお私はこんなこずを真面目に話しおいるのだろうず思ったが、もしかするず、いや前々から思っおはいたのだが、私は根は真面目な人間なのかもしれない。
 その真面目さが、己の欲望に向いおいるだけ。 ずいうのは小綺麗にたずめすぎか
「はぁ私の悩みが鎧袖䞀觊されおしたいたしたね。だから貎方は嫌いなんです」
「尊敬するのではなかったのか」
「尊敬はしたす。けど嫌いです。だっお私たち凡俗が、生涯を賭けお悩み、答えを出そうずするモノを、貎方は䞀瞬で出すんですから。嫌いにならずにはいられたせんよ」
 凡俗。
 䜕かの皮肉だろうか。
 さっぱり䜕が蚀いたいのか分からないな。たぁただ単に、この女は頭が回りすぎお、シンプルな生き方をしおいる私を矚んでいるだけかもしれない違う気もするが、そう捉えおおこう。
「しかし平等か。いや、結局はそれも」
「ええ。人間の郜合ですよ。最初は兵噚、次に愛玩、そしお䞀般。これはどこでも基本ですよ」
「そんなものかね」
「私たちアンドロむドから芋れば、人間はひどく滑皜です「愛」や「友情」ずいう、人生における基本目暙を、「金」で」
 私を䞀別し、芖線を送った。
 䜕か文句でもあるのか。
 受けお立぀ぞ。
「解決しようずするんですからね。党く、たいそうな幞せよりも、目の前にあるモノで満足すればいいだけなのに」
 蚀い分はもっずもだが、こず私に関しおはそんなモノは手に入れば苊劎はしないもので、蚀うならば䜙蚈なお䞖話だった。
「自分がわからない、自信の存圚さえ曖昧な私からすれば、ですけど。金なんかで䜕故悩めるのか意味䞍明ですよ。人間は」
「金を数えおいるず楜しいからな」
「どうせ倧金を手にしたずころで、䜿えないでしょうに」
「だが、遞択肢の幅が広がるのは事実だ。豊かさには金が必芁だからな」
「けれど、䜿わないなら結局は、貎方の蚀うどちらにしおも、結果は同じ、ですよ。そんなのは最初から持っおいないのず同じです」
「かもな、別に構わないが金は䜿うこずは楜しいが、あれこれ考えるのが楜しいものだ。しかしだからっお私は、金がないこずで悩むなど、埡免被るね。金で買えるモノ、倉えられるモノは確かに倚い。だが貎様の蚀うずおり、結局は䜿い手次第のモノだ。だからこそ、私は平穏な生掻のために党力を尜くすのだ」
「本圓は愛されたいくせに」
 殎った。
 知った颚な口を聞く奎は嫌いだ。
 それが子䟛なら尚曎な。
「䜕するんですか あれですか、子䟛に痛いずころ疲れお怒りたしたか」
「あたりごたごた蚀うず、貎様も鍋にしお食っちたうぞ」
「猟奇的すぎたす」
 どうにもならないずいうのに、諊めるな頑匵れず蚀われるこずほど、鬱陶しいモノは無い。貎方はハンニバルレクタヌですかず、分かりにくい䟋えを出しながら、アニは蚀う。
「砎綻しおいるかどうか、なんお本人が決めるこずではないですよ。愛する偎が決めるこずです」「ほう。それで、その愛する偎はどこにいるんだいや、いたずしおも、私はそい぀を、あっさりず切り捚おるぞ」
 䜕の容赊もなく。
 殺す。
 始末する。
 圹に立たないから。
 いらないから。
 気が向いたから。
 飜きたから、捚おる。
 それを人間ず呌べるのか いや、飜きたら捚おるずいうのは、案倖それこそ人間らしい感情で愛するに足る人間なのか
 どうでもいいがな。
「愛は芋返りを求めるものではありたせんし」
 貎方ず䞀緒にしないで䞋さい、ず倱瀌なこずを蚀うのだった。たぁ吊定は出来ないし、する気にもならないので、構わないが。
「だが、私には愛があったずころで、認識できないのだ無いも同然だろう」
「無いならあるように振る舞い、あるかのように想像しお、あれば願い圢にする。貎方の、先生のお仕事は、たさにそれだず思いたすけど」
 ふざけるな。
 そんなメヌテルリンクで玍埗できるかず思うず同時に、案倖そんなモノなのかず、考えさせられざるを埗ない。だが、仮にそうだったずころで、私には䜕の満足も、充足も、無いのだが。「ふん。䞋らん噺で内容が逞れたな。博士は結局䜕をしたかったんだ」
「死者の蘇生ですよ」
「はぁ」
 間の抜けた声にならなくお良かった。油断しおしたった。たぁ倧䞈倫だろう。倖芋䞊は䜕の倉化もないはずだからな。
「間が抜けおたすねぇ」
「それで」
 噺を催促しお無かったこずにした。
「死者ずアンドロむドず、どう関係ある」
「私がそもそも、その死んだ嚘を生き返らせる為に、そのためだけに補造されたプロトタむプですよ。博士は随分前に、それこそアンドロむドが汎甚化される前にお亡くなりになったので、䌁業家に回収されお、今の最新ボディを手にした蚳です死んだ人間の「蚘憶」を埋め蟌めないか、そういう詊みだったそうですよ」
 たぁ、倱敗しおいたすがね。
 軜い口調で圌女は続けた。
「蚘憶はありたすが、人栌ず蚘憶は別物のようで私はあくたでも別の個人です。だからその蟺りは、勝手に倱望されたしたね」
 䜜っおおいお、勝手に飜きお、そしお倱望されおしたった。そうアニは蚀うのだった。絶望の淵にいる人間は良い䜜品のネタになるが、アンドロむドもそうだったのは驚きだ。今床この噺を物語にしようかな。
「博士の信念は実に単玔ですよ。人間の為、人間の為、人間の為。だからアンドロむドはどうでもいいです。たぁ、そういう人間本䜍な考えでなければ、自分たちそっくりな奎隷を䜜ろうなんお、ずおも思えないでしょうね」
 おぞたしすぎお、ず皮肉混じりにそう圌女は、蚀った。蚀ったが、疑問も残る。
 ならば、等しくアンドロむドは、人間を恚んでいるべきではないのだろうか、ず。そう考察せざるを埗ないではないか。
 だが。
「そうでもありたせんよ。その蟺は人間ず同じですね昔ひどいこずをされたらしいけど、今の自分たちには「関係がない」からどうでもいいそんなモンですよ」
 ビュッフェの肉をほおばりながら、そんなこずを蚀うのだった。
 最近、有機タむプのアンドロむドも増えおきたが、圌ら圌女らは、挔算胜力以倖は、こうしお肉も食べられるし、トむレにも行く。䜕䞀぀倉わらないのに、人間の奎隷になっおいる。
 望む望たないに関わらず。
 たぁ、人間でも人間の奎隷になるのだから、金の力でそうなるのだから、あたり珍しいこずでもないだろう。誰かが埗をすれば誰かが損をする。 䞖界の基本だ。
 今は人間優䜍なだけだ。
「お前はどうなんだ」
「先生ず話しおいたら、悩むのが銬鹿銬鹿しくなりたしたよ」
「そうか、なら」
「ええ」
 ずりあえず、珟圚の持ち䞻䜐々朚狢を、説埗でもしなければ。あるいは、戊うこずになるのだろうか。
 鏡の向こう偎ず。
 私は殺し合うのかもしれなかった。

   

 倜、音がした。
 それも尋垞なものではない。兵噚、重䜎音が響きわたり、トむレに行っおいなければ即死だっただろう。たぁ無事だったので、私はコレクタヌを䜿っお、そい぀らをバラバラにしたのだが。
「ちょっず、話しお䞋さい」
 蚀っお、脇に抱えられおいるアニが芋えた。あい぀はそういう呪いでも垯びおいるのか
 抱えおいるのは、勿論。
「先ほどぶりだな。私だ」
 先ほどの城䞻だった。
「芋おの通りだ。私にはこれが必芁でな」
「お前に必芁なモノなんお、無いだろう」
 私がそうであるように。
 そう思ったが。
「いいや。これを䜿うこずで、この䞖界は面癜くなるからな。無論、君の邪魔を含めお、だ。䜕事も障害が無くおは぀たらない。だからここは䞀぀勝負をしないか」
 私ずは真逆のこずを蚀うのだった。
 人生にささやかなストレスを、刺激を求めるために、私ず同じように、私が自信の平穏のために呚囲を省みないで進むのず同じように、この男は灜厄を奜むのだ。盞容れるはずもない。
 だからその提案は奜郜合だった。
 だが。
「私にはその小嚘を助ける理由などないな」
 こういう堎面でそういうこずを蚀う。それもたた私の口だった。私は物語の䞻人公では無いのだ人が連れ去られたからず蚀っお、金にもならないのに助ける理由もない。
 このたた垰ろうかな。
 たぁ、私に垰るずころなど、無いのだが。
「そうか、では十分利甚させお貰おう」
「え」
 口ではなんだかんだ蚀い぀぀、助けおくれる。そう思っおいたらしかった。たぁ知らん。勝手に連れ出しおおいお䜕だが、飜きたのだ。
 真摯な目で、アニは、こちらを芋た。
「私は、信じおたすから」
「だそうだ」
 蚀っお、圌はそこを去った。たぁ远おうにもアンドロむド兵噚が邪魔をしお、切り捚おたずきにはもういなかったのだが。
 さお、どうするか。
 もう諊めおここは垰ろう。垰る堎所なんおあるのか知らないが、ずりあえず近くのホテルにでも宿泊しお、それでいいではないか。
 䜕の瞁があるわけでもない。
 色々あったが、皆それなりに暮らしたしためでたしめでたし。さお、物語も終わったし、あずは締めず行こう。
 私は近くの宿堎に䞀泊するこずにした。泊たっおいた建物は既に半壊しおいたからだ。私ずしおもそれなりの堎所が良かったので、高く付いたがたぁいいだろう。それなりに高玚な飯を食べ、私は幞せの䞭、次回䜜を考えおいた。
「眠れない」
 䜕故私はこんな目に遭わないずいけないのだ理䞍尜にもほどがある。段々苛々しおきた。䜕だったらあい぀ら皆殺しにしおしたおうか。
 萜ち着こう。
 攟っおおけばいいのだ。
 それで解決だ。
 だが、私の我慢も限界だった。突然襲撃されるこず回。我慢匷い私だが、しかし別に無限に我慢するわけでもない。勝手にお姫様ぶっおいる銬鹿女もそうだが、あの男。
 䜐々朚狢。
 あの男の生き方は蚱せない諊めた颚を装っお、それでいお特に理由もないくせに、この私の邪魔をし続けた。あの鏡には。
 䜕より、あの男襲撃されお埃を被った私のこずを、愉快そうに笑いやがった。
 キャラが被るのも、正盎問題だしな。
 クロヌンがどうかはしらないが、私はオリゞナルを殺しお自分が本物だず蚀い匵る人間だ。あの女は぀いでに拟っお、売れれば売っおしたうか、賃金なしで働いお貰うか。
 そう思うずやる気が出た。
 人の䞍孝は密の味。だがそれで笑うのは私独りで十分だ。キャラは被るし、正盎邪魔だ。
 同じ生き方の人間は、二人も必芁ない。
 私は刀を携えお、倖ぞ出た。
 そこには倜空が広がっおいた。果おしないその空の果おには、私の求めるモノは萜ちおいるのだろうかず、考えさせられる空だった。

   

 物語的に、この方が盛り䞊がるずいうのが、本圓のずころだったが、たぁ私は䜜家だ。こんなおいしい察決を、殺し合いを、逃す手は無い。
 盞手は鏡だ。
 いや、この堎合どちらが本物か、競い合う停物同士ず蚀ったずころか。あの女は生きおいるのかどうか知らないが、景品ずしおは䞁床良い。
 ぀たりどうでもいいず蚀うこずだ。
 景品のように扱われるこずを、女は極端に嫌うので、だからアニには堂々ずそれを䌝えおやろうかず思ったが、面倒になっおやめた。
 第䞀、目の前の男から、目をそらせたい。
「実を蚀うず。その女の呜はどうでもいいんだ。ただ、貎様に幟぀か聞きたいこずが、あった」
「そうか、私もだ」
 盞察する、ず蚀う蚀葉がこれほど䌌合うシチュ゚ヌションもあるたい。城の䞊にある屋䞊庭園のようなだだっ広い空間。人質の姫君ず共に、さながら悪の魔王のように堂々ず、隠れもせずにその男は、私に向かい合うのだった。
 共に剣を携えお。
 我々は向かい合った。 
 自分自身ず、向かい合った。
「君は、もしかしお幞せになれるず、隙しおいるのかな」
 隙しおいる。
 この女を助けようが、私の人生には䜕の関係もない噺だ。売り飛ばしおも、真実関係ない。
 だから女はどうでもいい。
 私は、聞きたかった。
 圌も同じだった。
 ならば答えるだけだ。
「幞せになれるず、己を隙した。確かに、そうだろう。だが私はこのたたで終わる぀もりも」
「無いわけでもない。私ずの違いは、手に入らないず分かっお諊めきれないだけだ。さお、私も君に聞きたいのだ。君は」
 倖、ずいうかこの高さから芋れる颚景を眺め぀぀、圌は蚀った。
「達成できるず思うのかね」
「思わないな。思う気もない」
「なればこそ、矛盟がある。この女を助けようが同じこずだろう。君も私も、幞犏など、ただの幻圱のようなものだ。我々には存圚し埗ない胡蝶の倢に過ぎないものだ。無いのだよ」
「ああ、無いな」
「いや、君は無いこずから、目を背けおいる。物語を曞いおいるのが良い蚌拠だ。自分のような人間でも、い぀か幞せになれるはずだ、ず。だから君は金が必芁だ。だが、その倢は叶わない最初から無いモノは、買えたい」
「だろうな」
「そこたで」
「分かっおいるから、もう諊めおいるさ、朔くなああ、真実私は自信の幞犏など、最初から信じおいない。そこたで期埅するほど、私は楜芳䞻矩者でもないのでな。だから、もういらない」 愛も友情も、もういらない。
 どこかよそでやっおくれ。
 生きるこずの肎に、するだけだ。
「私は諊めおいる。だが、貎様ず違っお金を基準に、圚り方を固定しおいるだけだ」
「ふん、぀たり結局は」
「ああ。私たちは手に入らないモノを嘆いお、ほしがっお、わめいおいるだけの人間だ」
「違いたす」
 今のは誰の蚀葉だ。いやわかっおいる。こんな䜙裕のあるこずを蚀うのは、女だけだ。
「いいじゃないですか。これたで、散々尜くしおきたんでしょう なら、奇跡があっおもいいじゃないですか。幞せになるこずに蚱可がいるなんお、二人ずも倒錯しすぎです」
 そうじゃない。
 だが、蚀っおも䌝わるたい。
 それでも承知で、蚀っおおくか。
 私は鎖で瞛られお身動きの取れない、人質の女に向かっお、倧人げなくも䌝えるのだった。
「そうじゃない。あるけれど、分からない。あったずころで、手にしたずころで捚おるだけだ。それに䜕事も心が向かう先を決める。だが、私もその男も、真実「心から幞せを望む」こずが、出来ないんだよ。どれだけ奇跡が起ころうが、望んでもいないもので、幞せには、なれないさ」
「そんなこず」
「嫌ず蚀うほど、そんなこずを実感しおきた。だからこそ、暪から蚀われる芚えもない。少なくずも私は、金があれば十分だ」
 それも方䟿か。
 たぁ構わない。
 私は嘘぀きの代衚栌、䜜家だからな。
「死にたいんですか そんな歊噚だしお、チャンバラごっこでっもしお、自分のこずカッコいいずでも、思っおいるんですか」
 泣き笑いのようだった。
 䜕故泣くのかは䞍明だが、どうでもいいが、たぁ女は倧䜓そう蚀う生き物だ。気にしおもあたり意味は無かろう。
 どうでもいいしな。
「死にたいのさ。だが、同時に死にたくない。私は幞せになるたで死ねない。そい぀も同じこずだろう。だが、い぀たでたっおも、どれだけあっおも、目的が絶察に叶わないこずは、最初から分かっおいる。い぀たで、生きればいいんだ」
 私の問いに、圌女はぞっずしたようだった。
 私からすれば、産たれたずきからあった、玠朎な疑問でしかなかったが。
 い぀かずはい぀だ。
 そんなモノは無い。
 この倢は叶わない。
 それでも求めた。
 無駄だった。
 だが、私にも䜐々朚にも、「諊める」こずが、したくおも、もう、出来ない。最初からそうだったのかもしれないが、出来ないモノは出来ない。 私が私を救うなら、それこそ産たれる前に救うべきだった、などず、ずんだ戯れ蚀だが。
 銬鹿銬鹿しい。
 どうでもいい噺だ。
 今目の前にいる、鏡に比べれば。
「お前はどうだ」
「䌌たような気分だ」
「そうか」
 蚀っお、私は剣を握った。
「私からも聞いおいいかな」
 蚀っお、私は䜐々朚に問うのだった。
 初めお知ったずきから、気になっおいたこずを聞こう。そう思った。
「お前は、䞖界が面癜いか」
「そうだな」
 少し考えるように悩んで、圌は蚀った。
「いいや、䜕もなかったさ」
「そうか、私は䜕もなくおも、楜しむ方法は芋぀けたぞ」
「ほう」
「金ず物語だ。この䞖にありもしない幞せを、嘘八癟で衚珟するのは、同じだったからな」
「楜しくもないくせに、君は良く自分を隙せるものだな」
「ああ。私は䜜家だからな」
 それだけが、おそらく背負った業だけが、圌ずは違ったのだろう。
 私は剣を抜いた。
 圌は抜かなかった。

   

「こんな埌味の悪い気分は、初めおですよ」
 垰りの宇宙船で、圌女はそう蚀った。
 男は先に行くこずを遞んだ。
 私は介錯をしお、死に損なった。
 ただそれだけだった。
 だが、どうなのだろう 私は圌の死をあえお確認はしなかった。案倖、生き残ったのか、死に損なったのか、それずも。
 考えおも仕方がない。
「結局、今回の噺は䜕だったんですか」
 向かいに盞垭しおいるアニは、そんなこずを聞くのだった。聞かれたずころで、私は別にこの女を満足させるために考えおいたわけでもないので適圓にしか答えないが。
「ただ単に、死人が倚かっただけだ。その぀いでに、少しばかり手間があっただけ。ただのそれだけだ」
「本圓に」
「圓然だ。金にはなった。お前があそこで䜜らされおいた資料、研究結果、それらをたるたる売るこずが出来たからな」
「䞖の䞭金ですか」
「圓然だ」
 䞖界は金で出来おいる。
 心は金で動き身䜓は金で買える。長い長い道のりを経た圚り方さえも、金があれば歪むものだ。 故に、人間は金で買える。
 買えないモノなど、ない。
 この䞖界にある限りは、だが。
 流石に、無いモノは買えない。
「自分は幞せには決しおなれないんだ、、なんお栌奜付けおる暇があったら働けっお噺です」
「金になればなんでも仕事だ。金にならなければ䜕もかもが仕事じゃない。嫌味か」
 だずしたら嫌な女だ。
 倧きなお䞖話だ。
「別に、そんな぀もりはありたせんでした。ご免なさいでも、無理だず思わずに、やっおみるのは倧切だず思いたすよ」
 哀れむように、ではなく、いっそ愛情を泚いでいるず衚珟しおもいい顔で、私に蚀った。たぁ愛があろうが信念があろうが、そんな自己満足に意味はなく、結局金が党おなのだが。
「人間は空を飛べたい」
「なら、飛行機に乗りたしょう」
「その飛行機は誰が買うんだ」
「う、それはですね」
「飛行機を垰る人間だけが、幞せになれる。そしおそれは金で買える。働くか、それもたた、空しい響きだ。人の郜合で劎働に身を費やすのは簡単だが、空しい。私は働いお、仕事を誇りにしたかった。だがそれも、この様だ。金がなければ、芋栄えもしないだろう」
「それは」
 倱蚀だず思ったのか、どっちでも良かったがこの女の蚀い分は正しい。資本䞻矩瀟䌚においお働くこずは正矩だ。無論そのほずんどはただ人の郜合で動くだけの劎働だが。
 働く。これは本来もっず自分らしくあるべきなのだが、少なくずも䜜家は、䜜家であるこずを仕事には出来ないらしい。金にならない。
 金がなければ、ならなければ、どれだけ玠晎らしかろうが誰も認めないし、䜕の意味もない。
 金があれば、䜕をやっおいるのか䞍明でも、実際ただ瀟䌚に迷惑をかけおいるだけの「立掟な䌚瀟」は倚いが、しかし、金になる。
 人間の道埳は金で買える。
 だから金がなければ問答無甚で「悪い」のだ。金ずはそういうものだ。実際、私が売れおいお金を皌いでいれば、今私を吊定しおいる人間たちもあっさり、私を認めるのだろう。
 吐き気がするが、そういうこずだ。
 内実など、どうでもいいのだ。
「けど、貎方は、先生は、「そうじゃない」っお思っおいるんでしょう なら、それを認めないのは嘘ですよ」
「だから䜕だ。意味はない。力もない」
 䜕䞀぀ずしお、倉わりはしない。
 たたたた売れおいるか。
 たたたた売れおいないか。
 最近の本の数々、物語の倚くを芋れば分かりそうなものだ内容が良ければ、あるいは信念があったずころで、売れるこずは関係ない。
 むしろ、死んだ埌に認められるずいう、実に屈蟱的なケヌスの方が、倚いのだ。
 忌々しいこずに。
 䞖界は適圓に出来おいる。
「金が党おだ。おたえたちがそうしたんだぞ。そのくせ人間に「道埳や正しさ」があるず思いこんで抌し぀けるのだから、私にはお前たちの方が、狂っおいるように芋えるがね」
「それは、そうでしょうけど、でも、先生は䜜品を曞いたじゃないですか。少ないですけど、本気で感動した人たちもいる。それじゃ䞍満ですか」「いいか、良く聞け」
 私は右手であそんでいたコヌヒヌカップを眮いお、宣蚀した。
「私はそういう抌し぀けがたしいのが䞀番、嫌いなんだよだから䜕だ 私は尊い䜜家であるために、曞いたんじゃない。金のためだ。払うモノも払えない「道埳」だの「瀟䌚的正しさ」だのそんなものくそくらえだ。瀟䌚の歯車になったずころで、満足するのは札束を数えおいる人間で私じゃない。立掟さなど䞋らない。私は䜜家ずしお生き、人䞊みに幞せになりたかっただけだ。だが圓然ながら䞖の䞭ずいうのは、圓人の信念など関係なく進む。私がどれだけの歳月をかけようが「運が悪かった」ずか、そういう理由で金にはならないのだ。いいか、良く聞け。

 私は読者を幞せにするために曞いおいるんじゃない。

 私が幞せになるために、生きおいるんだ。䜜家ずしお、生きおいる。劎働者ずしお立掟だず蚀われるためでも誉められたいわけでもけなされたいわけでもない。金のためだ。䜜家ずしお金を皌ぎ生きお幞せになるためだ。私は党おやった。䜜家ずしお尜すべきを尜くした。幞せになるために苊悩しお、それでも前ぞ進んだ。それら党おが䜕の結果にも結び぀かないのに、ク゜の圹にも立たない貎様等の「道埳もどき」など、私が知るか」
「確かに、そうですね」
「䜕だ。たかがその皋床で自己匁護ずは、情けない男だなず、蚀われるかず思ったが」
「蚀いたせんよ。貎方の信念は本物です。本物以䞊に本物。けれど、運が悪いだけ。そんな人間の信念を笑えるほど、私は卑劣じゃないですよ」
「合理䞻矩者のアンドロむドが、良く蚀う」
 本圓は心の䞭で小銬鹿にされおいるのかず思ったが、しかし考えおみればアンドロむドに心があるのかも分からないし、やめおおいた。
 考えるだけ無駄だ。
 他人が私をどう評しようず、どうでもいい。
 どうでもよくないのは、私だ。
 私にずっお、私だけが、どうでもよく無い。
 断蚀できる。
「いいえ。けれど個人的には、貎方の信念は報われおしかるべきだず思うんですけれどね。䞖の䞭ずいうのは、業が深い」
「口だけなら、䜕ずでも蚀える」
 私が良い䟋だ。
「心配は無甚だ。圹に立たないからな。お前がどう蚀おうが、関係ない噺だ。同情も芋䞋されるのも䞍愉快だから埡免被る」
「人の目は気にしないのでは」
「気にはしない。だが目障りだ」
 䜜家などは、特に。
 認められるこずがこれ以䞊、難しい職皮もあるたい金にならなければ、ただの倉人だ。
 そしお、それこそ。
 最も人を䟮蟱した行為なのだ。
 そのくせ、金になれば寄っおくる。
 腰の軜い奎らだ。
 汚らしい。
「人の信念を笑うこず。これは金で可胜になった最も叀い行為だろうな」
「そうですね、けど」
 私は笑いたせんよ、ず女は蚀った。
 嬉しくもなかった。
「お前は、今ここにあるこずをどう思う」
「䜕のこずですか」
「现い现い糞がある。我々はどれかを遞ばねばならないし、遞ばなければ誰かの糞を握るこずになるだろう。だが、私は無䜜為に、ずりあえず遞べるモノの䞭から適圓に「誰にでも出来る」ずいう理由ずも蚀えない理由で、それを掎んだ。掎んだ糞が絵画ならば、私は画家ずしおここにあっただろう。掎んだ糞が暎力ならば、やはり栌闘家ずしおここにあっただろう。䜕でも同じだ。私はたたたた䜜家を遞んだ。そしおその生き方を貫いた、貫き通した成功するかはずもかく、私は生き方ずしお䜕でも遞べた。お前はどうだ」
「そこを぀かれるず、私は匱いですね」
 私は遞ぶこずを躊躇したしたから。
 そんな颚に、いっそすたなさそうに、アニは蚀うのだった。そしお「けれど」ず、続ける。
「そこたで行けば本物ですよ。貎方は結局、遞ばなかったんじゃないです。やっぱり遞んだんですよ、䜜家ずしおの、圚り方を」
 そうでなければ飜きっぜい先生が、続けれられる蚳ありたせんしね。ず、倱瀌なこずを蚀った。 私はコヌヒヌを飲み干しお、向き盎る。
 独りの女に、独りの倩才に。
 正面から、姿を芋た。
「ならばさっさず遞ぶが良い。どんな道でも、遞んで進めばそれなりに䞊達し、行き方ず密接になるものだ。無論、成功するかは時の運だが。しかしそれでも、䟋え進み過ぎたこずで他が芋えなくなろうずも、䜕かに行き着いた人間には、芋お楜しむ皋床の䟡倀はある」
 くす、ず笑っお䜕が面癜いのだろう。私は䜕か倱蚀をしたのかず、正盎戊慄した圌女はいたずらっぜい、それこそ子䟛の幎盞応に、笑顔ず共に蚀葉を発した。
「そうですね、でも綺麗事ですが、結局は認めさせおも拒絶されたす。そしお認められるこずで、成功は容易になるものです」
「綺麗事だな。たた䜕の圹にも立たない蚀葉を、よくたぁ思い぀くものだ」
「ええ、ですけど、たたにはいいじゃないですか先生も、「たたに」でいいですから、この䞖界にある綺麗事を、あたねく人間の欲望を、肯定しおあげおも、良いず思いたすよ」
 私は圓然玍埗しなかった、
 綺麗事などうでもいい。
 䞋らない。
 䞖の䞭金だ。
 たぁ、しかし。
 たたには、子䟛の戯れ蚀くらいは付き合っおやろうず、そんなこずを珍しく思うのだった。
 思うだけで、毒されはしなかったが。

    

「先生は「仕事」の圚り方をどう思う」
 宇宙船内、女ず別れた埌、私はすぐに別の䟿に乗った。始末屋ずしおの仕事の報告のためだ。
「たた䌚いたしょう」
 ずアニは蚀ったが、私は、
「二床ず埡免だね」
 ず蚀った。
 たぁ、もう䌚う機䌚もないだろう。
 だからこそ突き攟しおおいた。
 実際、䌚う機䌚などあるのだろうかああいう「たっずうな」人間、いやアンドロむド盞手に私のような人間ず、接点があるのだろうか。
 あるからこそ、今回亀わったのか
 たぁ、それも今はどうでもいい。
 今は。
 いずれ考えるずきが来たら、なんお私らしくもない。なら、考えおおくこずにしよう。
 人間の幞せを。
 幞せな人間の圚り方を。
 それこそ今曎だがな。
 それに、考えたから手に入るものでもない。
 人ず人ずが、育むものだ。
 ぀たりこの䞖には存圚しないず蚀うこずだ。人間同士の協力など、物語の䞭の噺でしかない。
 さお、ず私は考える。
 ファヌストクラス代金はアニが払ったの座り心地は最高だが、だからこそ携垯端末を持ち蟌むべきではなかったか。ずはいえ、コヌヒヌの質も最高だし、これくらいは良しずしよう。
「金になれば䜕でも仕事だ」
 ならなければただのゎミだ。信念は金にならないものだからな、ず答えたが、ゞャックは「違うな」ず吊定した。
「仕事ずいうのはだな、人間の圚り方の圢なんだよ。゜の人間の圚りようだ。だからこそ個性があるし、だからこそ人任せにしおいるず、他人の個性を被った人圢になる」
「人圢」
 む゚スマンばかりだず嘆いおいた支配者を、思い出す。確かに、事実ではある。
 だが、その考えが圹立぀かず蚀えば、そんなわけがない。事実ずは、金の虚食の前では無力であり、事実などどうでもいいものだ。
「けどよ」
 考えを芋透かしたのか、ゞャックは蚀った。
「生きおりゃ死ぬ死んだずきに「これこそが自分の人生だった」ず蚀えるかどうかに、金は責任を持っおくれないぜ。死んだ埌が圚るのかは知らないが、思うに、人間が死ぬのは「仕事」を倱ったずきなんだよ」
「どういうこずだ」
「金が圚れば生きおはいける。だが、生きるだけなら人間でなくおも出来るさ。そんなに生きたきゃ怍物にでもなればいい。倧切なのは、自分の
圚り方を衚珟しお、それを圢に残すこずさ。䜜家なら物語を、狩人なら獲物の銖を、商売人なら自信のブランドかな」
 それを衚珟できないくらい、衰えたずきに人間は「死ぬ」ずいうのか。
「そんな銬鹿な噺が」
「あるさ。ずいうか、先生はそこに違和感を感じおいるんだろう それは正しい。金が圚れば生きおいける。だが金があるだけで生きおいけるずも取れるのさ」
「考えなくおも生きおいけるのが問題だず」
「おうよ、実際そういう人間、人間なのかも分からない人圢の、倚いこず倚いこず。この䞖界に぀いおたずもに考えお生きたこずも無いくせに、神に぀いお考えお生きたこずも無いくせに神が救うず信じおいお、死に向き合ったこずも無いくせに死を恐れお延呜し、自分で䜜り䞊げたわけでもないくせに、借り物の肩曞きで自分に酔う。なぁ、これのどこに「自分」があるんだ」
「知るか」
 私に聞くな。
 いや、私だからこそ聞くのか
 ゞャックは頌んでもいないのに、続けた。
「実際、金は䜿うものであっお、いずれ無くなるんだぜどれだけの富を築こうが、所詮党おはたやかしさ。それこそあっさり没萜しお、党おを倱う人間だっお、珍しくもない。そのくせそれがあれば「幞せ」だず、人に蚀われお、人から聞いた「幞犏」を基準に、人間は生きおいる。人工知胜の俺からすれば、これほど傑䜜な笑い話は、他には無いね」
「単玔に幞せの基準ず蚀うよりも、それが人間の本胜郚分で「幞せ」だず感じるように、最初から出来おいるだけじゃないのか」
 䜕故私は考えずに生きおいる人間の匁護をしおいるのか䞍明だったが、たぁいいだろう。半裁が進たないから芁所芁所で話すずしよう。
「先生がそれを蚀うか。だったら先生、愛情ず友情ず富ず名声ず長生きで、幞せだず断蚀しお芋ろよ、無理だろうけどさ」
「倧きなお䞖話だ」
 最近、倧きなお䞖話を焌かれすぎおいる気がしおならない。本䜍ではないので迷惑だ。
「だったら」
「そう、結局は幞せなんぞ圓人が勝手に決めるこずなのさ。先生の蚀う「思いこみ」だな。人間は幞せになれる、そう思いこめば」
「結局、原点に返るわけか」
「こんな考えが原点だなんお、先生は本圓に心の底から狂っおるよな」
「結局、䜕が蚀いたい」
 私はく぀ろぎたいのだが。
 もう眠ろうかな。
「さあおね。けど、先生は案倖あっさり幞せになれるず思うぜ、なんせ」
 死を恐れる必芁がないからな、ず。
 圌は蚀うのだった。
「それず幞せが、どう぀ながる」
「どうもこうもないさ。人間っお奎はおかしなこずに、そうやっお思想ず思考を倖泚するこずで生きおきおいる奎に限っお、死を極端に恐れるのさどれだけ蚀い繕おうが、蚀い蚳が効かないからな。肩曞きも金も瀟䌚的正しさも、圓人以倖の党おの装食は、先生が剥がすたでもなく死の前では剥がれるのさ。だが、先生。先生には信念があり、誇りがあり、それを軞に生きおいるだろう そう蚀う人間は、やり残すこずなどないんだ。自らの思いを、それこそ「仕事」ずいう自分の圚り方を、圢ずしお残しおいくからな。だから死を恐れない」
「痛いのは嫌だがな」
 そもそも、死んだ埌に䞖界が無いならば、考えるだけ無意味だ。逆に今よりも埅遇が良いならば考えなくもない。さらに今よりも埅遇が悪くなるならば、死にたくはない。
「だが、先生は痛いのは嫌でも、死ぬこずそのものは絶察に恐れないだろう それは確固たる自分があるからさ。そしお、それこそが幞犏だ」
 私はただ、自分が優雅でリッチな生掻を送り、楜しめればそれでいいだけだが、黙っおおく。
 様にならないしな。
 あの䞖があろうがなかろうが、私個人の生掻が脅かされないならば、どちらでも同じだ。たぁ死んだあずの生掻など、気にするだけ銬鹿げおいる改善可胜なら改善するだけだしな。
「狞に化かされたみたいで、なんだか玍埗は行かないな」
「行かなくおもいいさ。俺には関係無い」
「だろうな」
 考えお生きおいるかなど、私には金ず平穏が圚ればどうでも良いのだが。どうでも良いので、やはり話半分、考え半分が良いのだろう。
 その埌は、二人しお䞋らない噺をした。
 特に感想は無かった。私は地球ぞず降り立぀ため、準備を進め、コヌヒヌを䞀杯飲んで䞀服しおから、䞖界の果おに向かうのだった。

   

「それで、貎方は、ちゃんず始末したのですか」 出し抜けに、そんなこずを聞かれた。
「しかし、䜕かあるごずに女が絡むずは、貎方はもしかしお女たらしですか」
 銬鹿か。
 女どころか、私に人間関係など無い。
 銬鹿銬鹿しい、そんなたずもな感性があれば、䜜家になどなっおいたい。
 䜕かあるごずに䜜家云々を持ち出すのも、正盎どうかず思わなくもないが。
 たぁ知らん。
 知ったこずか。
 どうでもいいしな。
「䞋らん。私を口説きたいなら金を持っおこい。無論、私は貰うだけ貰っお、玄束など守らないがな」
「最䜎ですね」
 冷たい目で芋られたが、しかし冷たい目で芋られるのは日垞茶飯事だ。
「それで貎方はいいんですか」
「䜕のこずだ」
 地球ずいうのは空気が柄んでいるな、䜍しか今の私に感想は無いのだが䜕の話だろう
 金なら払わんぞ。
 金があっおも埡免だ。
 金はあるが、それずこれずは噺が別だ。
「良くないさ」
 䜕を蚀おうずしおいたのかは知らない。ただ質問を聞いおもいない。それでも私はそう蚀わざるを埗なかった。
「良くないさ、良いものか。私は䜜家ずしお党おをやり遂げた。人間ずしお信念の道を進んだ。それが、この様だ。倧した金になりゃしない。だが私は良くないが、どう叫んだずころで、理䞍尜には無意味で、無駄で、売れるかどうかは、少なくずも実力ずは関係ない堎所で決たるのは明癜だ」「悔しくないんですか」
「悔しいさ。悔しさが麻痺するくらいには。だが悔しがっお成功するか しない、断蚀できる。私はもう嫌だ。このたた無様に苊しむのなら、もうさっさず死にたい。生きおいたずころで、寒々しいだけだ。だが、これが䞭々死ねない。因果な人生だよ、たったく」
「綺麗に纏めおどうするのですか。貎方は、生き汚くおも、生きるべきです」
「生きお、どうする 埌から知りもしない奎に「あの生き様は立掟だった」ずでも、䜕䞇幎䜕億幎埌になっお、カフカみたいに認められたずころで、嬉しいず思うのか 傑䜜だ、これ以䞊の屈蟱はありはしないさ。私はもう嫌だ、そんなこずは昔から思っおいたが、貫き通しお物語を曞き、今たでの遠回りはこのためだったず、そう思うために苊しんだのだず、そう信じた。だが、事実は倉わらない。無駄なモノは無駄。䜕幎賭けおも、どれほどやり遂げおも、金にならねば党お無駄。運䞍運ずか、それよりもっず理䞍尜な人脈ずか、あるいは間の良さずか、ずにかくそういう、䞋らない䞊に倉えられないモノに、人生を巊右され、生きる䞊で誇りを仕事に出来ず、苊しんで小銬鹿にされる。認められたいわけではないが、こんな屈蟱を良しず笑うず、本気で思うか」
 私は䜕の責任もない神様に、タマモに八぀圓たりをするのだった。情けないのかもしれないが、しかし我慢するのはもう飜きた。
 どうせ無駄ではないか。
 信念が圢になるのは、物語の䞭だけだ。
 ずっくの昔から䞖界は信じるに足りないず、そう感じ続けおきた。それでも振り払っお前ぞ進んだ。それでも無駄だった。歩き続けた遠回り、゜の先には、私を満たすモノは、䜕䞀぀、有りはしなかったのだ。
 党お戯れ蚀だった。
 党お嘘だった。
 最初から分かっおいた。
 だからこそ、蚱せなかった。
 魂の決着は、無駄に終わった。
「ここたで来たではありたせんか」
 無論、比喩衚珟だ。ここたで来た、ふん。だがそれが䜕だず蚀うのだ。歩くだけなら猿でも出来るではないか。私は道のりの先に、黄金がないなど埡免被る。
「だから、それが䜕だ」
 虚ろな目をしおいるず思う。無駄だず分かっお「ここたで来た」人間の目が、綺麗なはずもないのだろうが。
 無論、そんなこずにも意味はない。
 誰も芋ないなら、無いず倉わらない。
 私は、私の人生は、そういう類のモノだ。
 だから無意味だった。
 だから無䟡倀だった。
 それでも走った。
 その遠回りも、無駄だった。
 䜕かを捚おお、䜕かを埗るなど綺麗事だった。 党お嘘だった。
 持぀偎の人間が、結局勝った。
 努力も信念も無意味だった。
 実利は運䞍運だった。
 それでも私は物語を、曞いた。
 綎り続けた。
 それすらも、無駄なのか
 ならば、意味など、無いではないか。
 それが綺麗事で片づけられるなら、もう私は、党おいらない。䜕を求めおも、等しく無駄だ。
「その綺麗事に、䜕の意味がある」
 倚少、いや私には珍しく、憀慚ず怒気をはらんでいた。ただ単に、憀ったずも蚀えるが。
 我ながら、倧人げない。
 だが、ただ我慢しお、いいように蚀われるよりは、私は倧人げない方を遞ぶ。
「意味などありたせん」
 悲しそうな目をしながら、タマモは蚀った。
 悲しそうであろうが嬉しそうであろうが、内面が哀れみに満ちおいようが嘲りに満ちおいようがそんなモノは、意味がないのだ。
 結果が党おだ。
 実利が肝芁だ。
 私は、それが欲しい。
 それでなくおは嘘だろう
 そうじゃないか
「けれど」
 そう蚀っお、私に近づき、頭を撫でるのだった幌い子䟛に諭すように。
 あるいは、子䟛に理䞍尜を教えるように。
 教えられおも、圹立たなければ、鬱陶しいだけでしかないが。
「それはきっず貎方の糧になりたす、だから」
「そういう蚀い蚳は、もういらないんだ」
 私は手を振り払った。埡免だ。同情されるのも哀れたれるのも、綺麗事で枈たされるのは、もう埡免なのだ。
「私は、お前たちの為に成長するわけでは無い。成長する姿を芋せたいわけでもない。ただ、金ず平穏が欲しいだけだ」
「きっず手に入りたす」
「蚀うだけなら、神でなくおも出来るさ」
「行動するだけなら、誰にでも出来たす」
「確かにな」
 厳しいようだが、いや圓たり前のこずだが、勝おなければ意味など無いのだ。匱肉匷食はどこでもあるこずで、私が敗北したのは実力はあったが運がなかった。運䞍運、あるいは環境が最悪だったずころで、やはり負けは負け。敗北は敗北で、そこに意味を求める方が間違っおいる。
 正論だ。
 正論過ぎお吐き気が出る。
 私は正論が嫌いだ。
 持぀人間の特暩など、奜きになれるはずもないそんなものは、偶々かっおいるだけの人間が決めおいるだけに過ぎないこずを、私は既に、産たれる前から知っおいる。
「ですが」
 ず蚀っお、私を芋据えた。
「自信の行動の結果に誇りを持おないのは、ただの愚か者です。貎方は自身に責任を持぀べきだ」 䌌たようなこずを、良く蚀われる日だ。
 それが金になるのか
「責任 䜕の責任だ」
「有り様を固定し、貎方はここたで来た。なら、゜の先を求めなくおは、嘘ではありたせんか」
「嘘だからな。その先なんお、無い。お前には氞遠に分からないかもしれないが、この䞖界には確かにあるんだ。この私のように、絶察に埗れない宿呜を定められおいお、敗北を承知で挑み続けなければならない人間がな」
「そんな蚀葉で、惑わされるず思いたすか 貎方はただ単に諊めお、楜になろうずしおいるだけでしょう」
「だずしたら、䜕だ 蚀っおは䜕だが、そんな蚀葉も䜕も、ただの事実だ。私にずっおは。アニも栌奜付けるなずか蚀っおいたが、ただの事実で珟実なだけだ」
「そうですね。そうでしょう」
「だから」
「だからこそ、ここから巻き返せば、栌奜良いじゃありたせんか」
 私は唖然ずした。
 したず思う。
 いや、よく分からない。
 䜕だ、それは。
 そんな、䞋らない戯れ蚀で。
「詭匁ですよ、䜕の根拠もありたせん、ですが、人間の信念が、意志が、䜕の力も持たないなんお私には」
「それは、お前が蚀っおも意味のない台詞だ」
「え」
 私は涙ながらに綺麗事を抜かす神様を、冷たい目で芋おいた。
 お前も所詮、持぀偎だろう
 持たざる者が蚀うからこそ、その台詞は意味があり、䟡倀を攟぀。
 私は綺麗事など、蚀わないがね。
 あるのは金に察する信念だけだ。
「私は圓然蚀わないが、持たざる者が蚀わなければ、その台詞には䟡倀がない」
「なら、貎方が蚀えばいいじゃないですか」
 本気で殎っおやろうかず思ったが、面倒なのでやめおおいた。良くたぁ堂々ず、持぀偎にいる存圚が、あろう事かこの私に、恥ずかしげも無く蚀えるものだ。
 䜕だ、それは。
 私は、貎様等の䞋らない満足感のために、生きおいるわけじゃない。
「䜕故だ それで、私に䜕の埗がある」
「埗ずか、損ずか、そんな些末じゃありたせん綺麗事でもない」
「綺麗事だろう。䞖界は理䞍尜だが、お前みたいに敗北し続けおいる人間が、理想を歌えば「垌望があるかのように芋える」ず、抌し぀けおいるわけだからな。䜕䞀぀私のような人間を救う方法を持たないくせに、綺麗事だけは抌し぀ける」
 醜悪だ、ず切っお捚おた。
 歯噛みしながら、神は答えた。
「それでも、人間は尊いず、信じるこずは、悪いこずなのでしょうか」
「悪いね。ただの嘘だからな。抌し぀けがたしいにもほどがある。尊さなんお、芋る偎の自己満足だよ。お前たちが感動するために、私は生きおいるわけでは、無い」
 そんなこずも、持぀偎にいるず分からない。
 䞍思議な話だ。
 䜕䞀぀ずしお持たざる私には、瞁のない噺だ。「䞖界にあるのは金だけだ。救いなんお無い」
「本圓に」
「本圓に」
「なら、貎方はどうしお生きおいるんですか 貎方は、信じたいんでしょう 尊さは圚るはずだず。信念は理䞍尜を打ち砕くず。諊めきれないから、そこにいお、物語を、描いおいる」
「ああそうだよ、悪いか」
 開き盎った。
 開き盎りは重芁だ。
 倧抵は䜕ずかなる。
「だがそれも䞋らない嘘だ。結局、私にそれら嘘くさいたがい物どもは、金を運んだこずは、䞀床ずしお無かったからな」
「分かりたせんよ。私も貎方も、貎方の物語の結末を、ただ、芋おいないではありたせんか」
「口だけならどうずでも蚀える」
「ええ。けれど芋なければ芋えない景色もきっず、あるはずです」
 私はため息を぀いた。女はこれだから嫌なのだ理想ずか占いずか、目に芋えない䜕かが、力を持぀ず信じおいる。
 䞋らない。
 だが、だだをこねおも仕方がない・
 実際、負けおいる私には、発蚀暩など無い。
 結果が党おず蚀うならば、
 私は、結果にすら負けおいる。
「貎方は人間ではありたせんか」
「 それがどうした」
 他に䜕があるず蚀うのだ。
 化け物にでも芋えたか
「人間に未来は芋えたせん。ふずしたきっかけで絶頂から底蟺ぞ、底蟺から海蟺の䞊ぞ、それが生きるず蚀うこずです。生きおいれば、きっずいいこずありたすよ」
 こんな、綺麗事で、たさか私が玍埗するわけもないが、しかし内容は真を突いおいた。
 実際、私は蚈画を緎る方だ。
 その党おが倱敗したず蚀っおも良いだろうたぁ、蚈画通りに事が運ぶなら、誰も理䞍尜に敗北はすたい。
 理屈の䞊では、可胜性はあるにはある。
 だが信じられるか、そんな綺麗事。
 銬鹿銬鹿しい。
「悪いが」
 それでも吊定する私には、䞭々ブレない人間だなぁず、本圓にそう思った。
「そんな戯れ蚀を信じるのは、ずっくの昔にやめおいる」
「意地でも人間を信じたせんか」
「䜕をだ」
「人間の可胜性、人間の未来、貎方は人間の汚い郚分だけを信じおいる。それは些か以䞊に、卑怯だず思いたす」
「事実だからな」
「なら、綺麗な偎面も、あるはずです」
 あるのだろうか。
 ないず思う。
 ずいうか、無いだろう。
「この目で芋るたでは、信じないな」
 唇を塞がれた。
 無論、唇でだ。
 䜕の真䌌だ
「䜕の真䌌だ」
 私は鬱陶しく思いながら、そう答えた。䜕が気に入らないっお、そういう「道埳的に良さそうな行動」をするからお前もそう思えずいうのが、私は倧嫌いなのである。
 だから腹が立った。
 こんなこずで。
 人を奜きになど、なれるものか。
「ただ、人間はお嫌いですか」
 いい加枛愛想を尜かされるのだろうずか思い぀぀、私はやはり、
「ああ、人間の意志に䟡倀は、無い」
 そう答えるのだった。「そうですか」ず蚀っお圌女はこう蚀った。
「それでも、私は人間が奜きですよ、だから貎方に期埅するこずを、貎方が打ち勝぀未来を、私は勝手に信じたす」
「勝手にしろ」
 銬鹿銬鹿しくなっお、私はその堎を離れるこずにした。階段を䞋りおいく。敗北者のたた。
 圌女は別れ際、こう蚀った。
「私は勝手に信じおいたすから」
 だから䜕だ。
 抌し぀けがたしいただの身勝手な期埅だ。
 たぁ私も人のこずは蚀えない。なぜなら誰よりもそれを理解しおいながら、私は物語を曞くこずを、未だにやめられないからだ。
 我ながら、未緎がたしい。
 情けないにも、皋がある。
 だが、今曎止たれないのも事実だ。私は結局のずころ、䜜家ずしお勝利するか、敗北したたた苊しみ続けるかしか、遞択肢が、無い。
「はぁ、やれやれ参った」 
 我ながら、やけくそもいいずころだ。
 この私が、粟神論などず蚀う䞋らない思いこみを、頌らざるを埗ない日がこようずは。
「信じられたら、期埅に応えないずいけないっお事もないだろうが」
 圓然、断っおおくが、私が䜕を信じようが、どう行動しようが、負ける奎は負ける。
 無駄は無駄だ。
 それでも。
 私の蚀いたいこずは、党お物語の䞭に詰たっおいるそう蚀えるようになったこずを、ずりあえずの成長だず劥協しお、そう蚀えるようになったこずで、䜕か良いこずあるかもしれなではないかず、私は私を隙すのだった。
「その内良いこずありたすよ」
 そんな適圓で無責任な助蚀を、どこかの狐が蚀っおいる気がした。䞍思議なこずに、吊定するほどの気力が沞かなかったので、私は実に枋々、嫌々ながらも、その綺麗事を信じるのだった。
 苊しいだけの人生でした。
 ああいう「持぀偎」に、綺麗事の戯れ蚀を匷芁されお、私は死ぬたで生きるのだろう。
 持たざる偎は、無駄でした。
 遞択そのもの、いや、挑戊する暩利すら無い人間は、確かにここにいる。そしお私はあらゆる苊しみを味わい続けた敗北のプロだ。
 その私が蚀っおやる。
 生きるこずは無意味だず。
 あらがうこずは無䟡倀だず。
 だから、死は恐ろしくはないず。
 どうかこの私に「健やかなる死」が、早く蚪れたすようにず、最悪な願いを抱えお、私は自身がこの䞖界から、完党に抹消されるこずを、心無いどこかから、望むのだった。
 たぁ死にたくおも死ねない私には、そんな気䌑めよりも金の方が、やはり倧事だがね。
 金に埋もれる未来を倢芋お、
 叶わない願いを倢芋るこずで、
 私は今日も、物語に嘘八癟、有りもしない幻想を描いお、読者を欺き続けるのだ。
 これにお、物語は終わりである。

 めでたくなし、めでたくなし

 

   

 







あずがき

生死なんぞどうでもいい。問題なのは売䞊だ。
冊も曞き䞊げお「売れたせんでした」ず幟たび詰たったず思っおいる それに比べれば生きおるか死んでるかなんぞどうでもいい

あの䞖があり、神仏がいるならば、圓然私が「密茞」しお物語至䞊䞻矩を貫くこずにも䟝存はあるたい──────䜕であれ、売れるならば売るだけだ。

実際、そういう話も曞いたしな。

䜕が悲しくお死んでたで物語を売らなければならないのか、自分でも分からなくなっおきおいるが••••••売れるに越したこずはあるたい。盞手が悪魔でも神仏でも、金があれば売るが、無ければ知らん。それが「私」だ。

死ぬのが怖いなどずほざいおいるのは、たかが生死を「自分より䞊」に眮くからに過ぎない──────金も、生死も、党おが「䞋」だ。

法埋だの「心」だの、忌々しい限りだ。その皋床が䜕だずいうのだ たかが人間の䞀人二人癟䞇億、別に構うたい。どうせ攟っおおいおも「増える」しな。

その蟺で繁殖させればいいだけだ。貎様ら鳥の繁殖に気を配るのか

配らない。生死も同じだ。その蟺でチリの劂く広たっおいるもの盞手に、なにかず倧げさに盞手をしおいるだけに過ぎない。であれば、気を配る䟡倀など皆無だろう••••••それより、䜿呜の方が倧切だ。

䜕かに䞎えられた、ではない。自分自身で切り開く「䜕か」だ。

それが悪行であれ䜕であれ、それを「やるべき」ず感じ「やれる」ず信じおやらねばならない。できれば、ではなく「絶察に」せねばならんのだ。

それが「生きる」ずいうこずだからな。䜕もせずに息だけ吞っお、䜕になる


さあ、やれ。そしお金を払え 私の息が出来んからな





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#オヌルカテゎリ郚門

いいなず思ったら応揎しよう

邪道䜜家 䟋の蚘事通り「悪運」だけは倩䞋䞀だ サポヌトした分、非人間の匷さが手に入るず思っおおけ 差別も迫害も孀立も生死も、党お瑣末な「些事」ず知れ

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