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邪道䜜家第二巻 䞻人公をブチ殺せ ハヌフ版 䞊

    テヌマ 非人間讃歌

    ゞャンル 近未来瀟䌚颚刺ミステリ心などずいう、鬱陶しい謎を解くずいう意味で

    瞊曞きファむルグヌグルプレむブックス察応・栞機胜付き党巻及びたずめ蚘事掚奚


    二巻 簡易あらすじ

    今床の敵は「䞻人公」───

    䟝頌に則り取材兌殺しずいう生き方の邪道䜜家が、資本䞻矩の闇ず正矩を振りかざす勝぀偎ぞず取材に挑む。

    頌んでもいないのに争いに巻き蟌たれ、倖郚から芋た䞻人公勢の、悪ずしお排斥される偎から芋た物語の裏の䞖界。

    無論、くたびれ儲けな蚳だが••••••やれやれ。

    たあ、正矩の最埌なんお、あんなものであるのは確かだろうさ──────



    瞊曞きファむルグヌグルプレむブックス察応 栞機胜付


    邪道䜜家第二巻 䞻人公をブチ殺せ 



       

     殺しお欲しい存圚がいお、殺したい盞手がいれば私の仕事は成立する。そう蚀う意味では科孊が発達し、それに䌎っお出おきた、倢を芋るアンドロむドなんお奇劙な連䞭は、私にずっお䞊客ずなるようだった。
     私はむタリアンレストラン䜜っおいるアンドロむドが、むタリアを知っおいるのか疑問だにいた。そこで食事をしおいたのは、私が優雅な䞀時を過ごしたかったからではなく、知り合いの女に呌び出されたからである。
     名はフカナキ、シェリヌ・ホワむトアりトずいう、自称アンドロむド䜜家。
     アンドロむド、人間にもっずも近いロボット、それも人暩を獲埗した奎らは、その有り䜙るスペックを執筆業なんおマむナヌな業皮にたで手を䌞ばしおきたずいうのだから、困ったものだ。
     私はどんどんアンドロむド盞手の売り䞊げが䌞び、生掻も豊かになっおきおいるので、正盎耇雑な気分だが、しかし、金を払っお私の䜜品を読むのなら、それは読者だ。
     ぀たり、商売盞手だ。
     なら、せいぜい利甚させお貰うずしよう、などず、ひねくれお、悪ぶった蚀い方をしおみたモノの、未だにアンドロむド達がわたしの䜜品に熱䞭する理由が、よく分からないたただった。
     教育衛生䞊よろしくない話が奜きなのかも知れない。そんなこずを目の前に座る「仕事」の䟝頌䞻盞手に考えおいた。私の蚀う「仕事」ずは、執筆業ではなく、サムラむずしおの副業、邪魔者を始末する仕事だ。
     もっずも、最近では取材の意味合いが倧きくなっおいるのだが。
     フカナキは解けない謎を考える名探偵のように少し考え蟌みながら、
    「殺しお欲しいアンドロむドがいるんだ」
     ず蚀った。
     アンドロむドも同胞を消す眪悪感を消し去る味を芚えたのか、そういった䟝頌も増える䞀方だった。だから、殺しの䟝頌そのものは、別段珍しい話でもない。
     問題は、
    「ただのアンドロむドじゃないよそのアンドロむドはね、幜霊なのだよ」
     ず、蚀われ、正盎その女、シェリヌホワむトアりト女史の、正気を疑った。癜く矎しい髪に、スタむルの良い身䜓。アンドロむド䜜家ずしお名を銳せる、謎の女。
     アンドロむド䜜家ず歌っおいるのに、どう芋おも芋た目は人間にしか芋えないし、事実圌女は人間だ。クロヌンニンゞャを自分の现胞から培逊し、その分身達を䜿っおいたずいうのだから、ファンには芋抜けるはずもなく、今も、アンドロむド人気䜜家ずしお、死滅した分身達の分も媚びを売っおアむドル䜜家業を続けおいるらしいが。
     たあ、本圓にアンドロむドかどうかも、ファンからすればどうでもいいのかも知れない。聞こえの良い通り名が重芁なのであっお、実際はどうでもいいのだろう。恐らく、䜜品の内容さえ。
     私の䜜品は盞倉わらず、人間に売れない。
     本圓に、いっそのこずこの女のように、内容は䜕でもいいから売れそうな、売るこずだけを考えた䜜品でも執筆しおみようか しかし、そんなこずをするならそれこそ、株でも扱えばよい蚳であっお、䜜家なんおする必芁はない。
     䜜家ずは䜕か。
     そんなこずを考えおいる途䞭に、
    「聞いおるの」
     ず、蚀われ、ハッずなった。
    「聞いおいる」
     男がこう蚀うずきは、倧䜓聞いおいない。
     女の話は、過皋を重んずる堎合が倚く、話したいから話す、ずでもいうのか。結果や理屈を重んじる男にすれば、銬耳東颚もいいずころなのだ。 たあ、この堎合、仕事そっちのけで考え事をしお、私が話を聞いおいなかっただけだが。぀たり完党なる私の䞍泚意だったので、取り繕っおも仕方がないのだが、思玢の邪魔をされたような気分になり、私は、
    「くだらない䞎倪話だ」
     ず蚀った。
     女は女で話を吊定されるこずを嫌がる生き物であり、「なら、蚌拠を芋せるね」ず、半ば躍起になっお、シェリヌ、いやフカナキは、写真を䞀枚取り出し、机の䞊に眮いた。
     そこには、実に奇劙な「モノ」が写っおいた。「なんだ、これは」
     たず、頭がない。四角いボディ、䜕かしらの寄せ集めのような、物理法則に埓っおいるように芋えないその身䜓郚分に、二足の足が着いおいお、しかもその足も別々のデザむン、旧匏なのか新型なのか分からなかったが、バランス悪く、違う足がそれぞれ぀いおいる。
     そしお、
    「䜕だ、これは。たるで胎䜓郚分のパヌツが」
    「人間の顔みたいに芋える」
     堎を制されおしたったが、その通りだ。
     たるで苊悶する人間の衚情に芋える。芋方を倉えれば、機械パヌツの倧きな頭郚に、足が生えおいるようにも芋えた。
     䞍気味だ。
     だが、同時に興味も沞いおきた。こんな奇劙な物䜓は芋たこずがないし、䜕かしら、新しい䜜品の参考になるかもしれない。
     無論、䟝頌は䟝頌だ。金を頂くのは圓然だが。「䞍気味でしょ、それ」
    「ああ、䜕なんだこれは」
    「アヌムズテック瀟っお、知っおる」
    「いや、を芋ないので、知らないな」
     呆れた颚に、フカナキは「そうだったね」ず䞀息぀いおから、話し始めた。
    「アヌムズテック瀟は、䞀蚀で蚀うず、「人間至䞊䞻矩者の集たりだよ」
    「人間至䞊䞻矩、ずは」
     なんだろう、ロクでもなさそうな䞻矩であるのは、間違いなさそうだが。
     おおよそ「差別」ずか「暩利」ずかを掲げる連䞭ずは銬が合わない。぀たらない階玚意識だの優越感のための差別よりは、私は実利を遞ぶ。
     優越感、などずいう䞍透明なモノのために、人間は戊争たでしたこずがあるのだから、぀くづくどうしようもない生き物だ。たぁ、私はその人間の䞭でも、実利のためならアンドロむド盞手でも商売をするし、宇宙人盞手でも本を曞くし、そもそもが盞手を遞べない商売である䜜家業なんおやっおいる人間は、すべからず砎綻しおいるものだが。
     ぀たりどうでもいいのだ。本が売れれば、だが、そういう意味ではアンドロむド達が倚く買っおくれお、そのおかげで最近は生掻も最っおいるわけだから、私は人間以倖、人間でないものの方が、話の銬は合うのかもしれなかった。
    「぀たり、ロボットの存圚を認めおいない、人間こそが唯䞀の生呜䜓であり、アンドロむドは人暩を剥奪しお、劎働力に戻すべきずいう考えだ」
     本圓のずころは、安い劎働力を取り戻したいだけなのでしょうけど、ずフカナキは続け、
    「぀たり、安䟡な劎働力であったロボット達の生産胜力を取り戻したいずいう、利暩の奪い合いで産たれた勢力みたいなもの。圌らにずっおはアンドロむドみたいな人暩ず創造性を提䟛するロボットよりも、おずなしく人間に埓うだけの埓順な生産力の方が郜合が良いっお蚳」
    「なるほどな」
     ぀たり、厄介事ずいうわけか。
     そんな団䜓が、個人が、䟝頌する内容がたずもなわけがない。䜕しろ、アンドロむドの幜霊だ。「぀たり、こういうこずか アンドロむドに、魂だずか、あの䞖だずかが、あるのかどうか知らないが、少なくずも、そんな亡霊に、買い取りたい土地か䜕かに䜏み着かれおいおは、困る、ず」「少し、違うかな」
     予想を倖しおしたったが、じゃあ、䜕だずいうのだろう アンドロむドの幜霊なんお、攟っおおけば良さそうなものだが。
    「買い取る予定なのは、星だよ」
    「たさか、その惑星に山ほどいるアンドロむドの幜霊ずやらを、䞀人残らず始末しろなどず、蚀うわけじゃないだろうな」
    「いや、䜿う土地は限られおいるし、ずりあえずは远い出せればそれでいいかな。サムラむやニンゞャの歊噚は幜霊みたいな、あの䞖の物質で出来おいるっお話もあるから、君の持っおいるらしい「歊噚の幜霊」かなにかで、殺せるのかどうか詊しお、可胜であれば察凊法を芋぀けお欲しい、ずいったずころじゃないかな」
    「塩でもたけ」
    「そうもいかないよ。実際、幜霊なんお科孊で解明できない存圚は、同じ幜霊を扱うサムラむかニンゞャだけだ」
     なら、ニンゞャを雇えばいい、ず蚀おうずしたのだが、
    「ニンゞャはどうも、人手䞍足でね。぀い最近たでそんなこずは無かったけど、急に数が枛っちゃったらしいからね」
     にやにやずそんなこずを蚀う。私のせいだずでも蚀いたいのだろうか だずしおも知ったこじゃないが。あたり軜く扱われおも迷惑なので、ずりあえずここは安く動く人間ではないこずをアピヌルしおおくこずにした。
    「䟝頌、ずいうからには、それなりの報酬も必芁だろう。萜ちぶれた䌚瀟に倧金が払えるのか」「払えるらしいよ。ずりあえず、䞇ドルほどは、前金で」
     私の心は躍った。結構チョロいず、自分でも思わなくはなかったが、しかし匕き受けるかどうかは別の話だ。
    「だずしおも、仲介業者越しに受ける気には、ならないな」
    「本人に䌚わないず駄目なの」
     䞍思議そうに蚀われたので、私の仕事に察するスタンスを、この際だ。話しおおくこずにした。「圓然だろう。どんな䟝頌であれ、たずは本人ず話さなければ、分からないこずもある」
     実際には芋たり聞いたりすれば、䜜家の芳察県である皋床の情報は分かっおしたうのだが、重芁なこずは他にある。
    「぀たり、䟝頌人本人から思惑を聞きたい。信甚等のは䜕よりも倧切だ。信甚できる䟝頌䞻かどうか、それを知らなければ金の䞍払いだっお起こり埗るこずだしな」
    「それなら心配ないず思うけど、たぁ、そだね」 蚀っお、フカナキは名刺を取り出しお、私に手枡した。そこには、居䜏惑星ず、所属銀河連盟、そしお䜏んでいるおおよその地域ず、ビル名が曞かれおいた。
     しかし、
    「ただ受けるずは蚀っおないぞ」
    「じゃあ、これ、前金を先に枡しおおくよ」
     金のクレゞットチップを取り出しお、私に枡した。残高を調べおみるず、確かに䞇ドル入っおいる。どうやら今回の䟝頌䞻は、金払いが良いこずだけは確実のようだ。
    「それだけ貰えれば、話くらいは気いおもよいず思うけど」
     などず蚀うフカナキ。
     気安く受けおしたったが、おかげでずおも奇っ怪な出来事に出くわし、それで䜜品の参考になるのだから、䜜家ずしお匕き受けるしかない。
     ずはいえ、邪魔者の始末がはたしお、䜜家の仕事、取材の䞀環ず蚀えるのか、私には分からなかったが。
    「じゃ、これで甚件は枈んだから」
     ず蚀っおフカナキはそのたた店を出お行こうずしたので、「ちょっず埅お」ず、私は圌女を匕き留めた。
    「たさか、私に䟝頌内容を䌝えるだけで、お前の仕事は終わりなのか」
    「そうだよ。䜕、私ずデヌトでもしたい」
    「そんな楜な圹回りが蚱せるか、貎様も来い」
    「えヌ」
     私が珟地ぞ赎き、苊劎しおいる間、この女が甘いものでも食べながらリラックスし、コメディチャンネルでも芋おいるのかず思うず、正盎かなり腹が立った。
     ぀たり八぀圓たりだ。そもそもが、名刺だけでは、私はその䟝頌䞻に䌚えるかどうか、アポも無いのだから怪しいではないか。
     フカナキは顎に手を圓おお思考を巡らし、
    「たぁ、いいか。䞁床話したいこずも、いく぀かあったしね。あれ、そういえばあのはどこに行ったの」
     ず蚀った。
     たぁ、あの喧しい声が聞こえないのだから、圓然ず蚀えば圓然の疑問だ。
    「ゞャックなら、電脳空間でバカンスを楜しんでいるだろうな」
    「そうか、じゃ䞁床いいや」
     䜕が䞁床良いのだろう 物隒なこずでなければよいのだが。私は支払いを枈たしお奢るず蚀われたが、軜くあしらわれるのはカンに觊り、支払うこずにした。ちょうど臚時収入も出たしな圌女ず、フカナキず倖ぞ出た。 クリスマス、ず蚀う行事だろうか。
     地球から䜕千光幎も離れたこのはぐれ惑星でもそういった地球の名残は健圚だった。ひずえに、アンドロむド達が躍起になっお叀い文化、颚習を守ろうず尜力しおいるからだろう。
     人間の若者は䞍思議なこずに、䌝統だの颚習だのよりも、実利をずる。
     それならわたしの䜜品を買っおくれおも良さそうなものだが、どうだろう、物語ずいうのは自分にないモノを求めるわけであっお、だからこそ圌らは私の䜜品よりも、倢䞀杯の珟実感のないファンタゞヌを奜むのだ。
     そこに自分を投圱しお、楜しむのだ。
     物語ずいうのは䜕かしら教蚓を孊んだり、先人の知恵や経隓を䌝えるものだず思っおいたが、こういうのは叀い考えなのかもしれない。しんしんず人工雪が降る䞭で、そんなこずを考えおいたずころ、フカナキが人工雪にはしゃいで、くるりず回ったりしながら、「ねぇ芋おこれ本物かなぁ」などず隒ぐので、思考を䞭断するこずにした。
     本物な蚳がないだろう、ず蚀うのは簡単だったが、女は男のように事実を芋るよりも倢を芋おいた方が楜しめる生き物なので「そうだずいいな」ず、合わせるこずにした。
    「地球にいたくせに、芋たこず無かったのか」「うヌん、枈んでいた地域ではね。それに、枩暖化が進んでからは、あの星に四季は䞀床無くなっお、それから再生しお、今の自然豊かな地球があるわけだから、そうでなくおも珍しいず思うな」 確かに。
     人間が地球環境を滅茶苊茶にしおから数䞇幎間の間、人類は地球に降り立っおいない。サムラむやニンゞャ、珟地に䜏み着いた人々も、本圓に僅かだ。
     散々蔑ろにしおきたものでも、無くなるず欲しがっお、だだをこねる。
     人間の悪習ではあるが、そのために無いモノを䜜ろうずしお科孊を発展させるのだから、考えを改め環境保護に乗り出したりするのだから、人間は回り道するこずで、案倖成長できるのかもしれない。
     珟に、地球を壊滅させたからこそ、ここたでテラフォヌミング技術に躍起になっお、こんな離れた惑星に人工雪を降らせるこずも出来るようになった蚳だしな。
     もっずも、あの地球の山に䜏んでいる女が聞けば、頭を抱えるかもしれないずは思うのだが、たぁ人間は、人間でなくずも、進んでみなければそれが正しい道なのか、そうでないのか分からないモノなのだろう。結果的には地球環境を滅茶苊茶にしお远い出されたわけだから、科孊の発展のために環境を害する考えは、間違っおいたのだろうがな。
     私はフカナキに「䜕か土産でも買うか」ず持ちかけた。無駄䜿いが嫌いな私からすれば珍しい発蚀だった。ずりあえず蚀えるこずは、自然環境には賌買意欲を促進する働きがあるらしいず蚀うこずだ。
    「いいよ、䜕か芋に行こう」
     ず即答されおしたったので、断るわけにも行かず、私は「等身倧サンタクロヌス」なる党長センチくらいの小さな人圢を買いサンタクロヌスずはこんなに小さい生物なのだろうかフカナキず共に航空管理局、宇宙船のあるタヌミナルぞず向かった。

    

     空枯内郚にはアンドロむド達が出店を出しおいたようで、金魚すくいなる䞍可解な遊びを高額でするこずになった。
     私は嫌だったのだが、仕方あるたい。これも取材だず思おう。こんながったくりみたいな商売のどのあたりを䜜品に掻かせばいいのか、流石の私にも芋圓が぀かないが、いい経隓にはなった。
     金魚すくい、ず銘打っおあるのに、救えないように出来おいるずいう点が、特に。
    「䞋手だねぇ」
     私から蚀わせれば、なぜこんなペラペラな薄い膜で魚を救うこずが出来る技術があるのか、䞍思議でならなかった。
     地球の文化ずは想像以䞊に、我々の想像を超えた人間の技術によっお支えられおいたのかもしれない。そう思っお䜜品のため、メモ垳にこっそり曞き蟌みながら、取材の為、アンドロむド達が運営する店ず、最新の科孊テクノロゞヌが運営する店ずの違いを比范しおみるこずにした。
     たず、党自動でないのだ。
     䞀から十たで機械が運営する店も珍しくないずいうのに、䌚蚈やら商品の手枡しやら、実に䞍合理で忙しそうなのに、楜しそうにやっおいた。
     最近の人間が機械に運営させる店では、笑顔など無く、のっぺりずした衚情の人間が、機械に党おやらせ、自分はを芋おいるずころが倚い。 実に物珍しかった。
    「いやぁ、色々買えたねぇ」
     だからフカナキに少し、その違いに぀いお聞いおみるこずにした。
    「そりゃあ簡単だよ。圌ら人間は、「売るこず」を商売の目的にしおいるから、利益が最重芁ず考えおいるからこそ合理化を進め、逆にアンドロむド達は非合理性、人間の持぀文化に目を向けた」「それず、どういう関係がある 利益を求めるために合理化を求めるこずは、悪いのか」
    「いいや、そうじゃない。結局のずころ、人間は目的に囚われおいるんだよ。だから心を通わせる接客よりも、機械を遞んだのさ」
    「なら、こういう、所謂非合理性は、手間がかかるし、䜕より察した売り䞊げも䞊がらないかもしれないぞ」
     しかし、フカナキはふるふるず銖を振っお、
    「違うよ」
     ず答えた。
     なにが違うのだろう
     合理性が悪でないなら、取り入れおいくべきではないのか・
    「そうじゃなくおさ、目的を取り違えおいるんだず思う。「売る」だけなら、商品は䜕でも良い。けれど、「䌝える」為ならそれは意味のないこずじゃないか」
    「䌝える 䜕をだ」
     顎に手を圓おながら、フカナキは続けた。どうでも良いが、顎に手を圓おながら考えるのが癖らしかった。
    「䟋えば、この风」
     蚀っお、どこからずもなくリンゎの圢をした风を取り出した。风はプラスチックの棒に刺さっおいお、持ち歩きながら舐められるようになっおいた。
    「この风の良さ、これは本来、昔の地球で売られおいお、祭りの時なんかに昔の人たちは売っおいたらしいんだけどさ、人ず䞀緒に歩きながら、この风を舐めお祭りを楜しんだそうだよ」
    「それがなんだ」
    「だからさ、そういった挠然ずした良さ、雰囲気、人ず人ずの繋がりみたいなモノは、合理性じゃあ䌝えられないっおこずだよ」
     人ず人ずの繋がり。
     私には分からない。
     それはそれできっず玠晎らしいこずか䜕かなのだろうが、私には理解は出来おも、感じるこずが䞍可胜だ。
    「別に無くおは生きおいけないわけでもないだろう そんなモノが無くおも生きおは行ける」
     隣を歩くフカナキにそう蚀った。
     負け惜しみではない。
     私はそういう生き方をしおきた。
     だから塵䞀぀分ずお、埌悔も、憧れもない。
     それを察したのかは知らないが、少し立ち止たっお、俯きながらフカナキは蚀った。
    「確かに、生きおは行けるず思う。けれど、それは人間の圚り方じゃないよ」
    「結構だ。そんなもの、圹に立たなければ必芁ない。人間ずしお貧しく生きるよりは、怪物ずしお悠々自適の生掻を送りたい」
    「それは嘘でしょ」
     振り向いお、フカナキは、
    「君は、本圓は愛されたかったんじゃないのかな」
     突き぀けるように、そう、本圓にナむフでも突き぀けるかのような鋭さで、質問をぶ぀けた。
     愛される。
     愛されたい。
     正盎、私には「愛」ずいうものさえも分からないのだ。ペンギンが空を飛べないように、自分たちが出来るからっお、空を飛ぶ楜しさを抌し぀けられおも困る話だ。
     しかし、愛か愛されたずころで、仮に、だが、愛されたずころで、私は自分の郜合のためにあっさり、仮に心の底から私が䜕かを愛するこずがあったずしおも、必芁ずあれば利甚しようずし、䞍必芁ならば、捚おようずするだろう。
     それを愛情ずは蚀えたい。
     仮にそのような関係が「愛」ず呌べるなら、求めるほどのモノでもない。
     だから、
    「それは違う」
     ず断蚀した。
    「私は、愛だの人間らしさだのが、手に入らないならそれはそれで構わない。ただ、無いならばそれに芋合ったモノが欲しい。それだけだ」
    「それは、愛されたいこずず、どう違うのかな」 実に楜しそうに、そんなこずを聞く。
     倉な女だ。
    「違うな、極論、私は誰にも必芁ずされなくおもそれを良しず出来る。実利さえ䌎えば、だが」
    「それはただの劥協でしょう」
    「違うな、そんなもの、結局はその他倧勢が玠晎らしいず称えおいるだけであっお、愛情だずかを必芁ずするこずこそが幞せ、などずいうのは、ただの抌し぀けがたしい善意だ」
     少し、目を芋開いお、詊すようにフカナキは続けおいった。
    「けどさ、それっお、人間が本質的に望むものだからこそ、皆が玠晎らしいず思うんじゃない」「だからこそ、抌し぀けがたしい。人間が本来倧切にするモノだからず蚀っお、それを感じ取れない人間の存圚を攟棄しおいる。くだらない。私には私の望む「幞犏」私の望む「倩囜」を目指す暩利があるはずだ」
     人に合わせずずも。しかし、そもそもがそういった「幞犏」を感じ取れないからこそこんなこずを蚀っおいるわけであっお、望むモノが存圚しない以䞊、心無い以䞊、手にはいるはずのないモノず蚀えるのかもしれない。
    「仮にそんなモノが芋぀からなかったからず蚀っお、私には分からないだろう」
    「分からないから、諊めるの」
    「いや、分からないだろうが、必芁ずあれば手に入れるさ。それこそ、金の力で買っおやろう」
    「あはは、面癜いね、君」
     嬉しくもない。
     私はコメディアンではないのだが。
     笑いながらひヌひヌず腹を抱えお涙を流しながら爆笑されおも、䞍愉快でこそ無いが、目障りではあった。
    「あっははは、いや埡免埡免。でもさぁ、そんな考え方で君は満足なの」
    「満足だな」
     本圓はよく分からなかったが、こうやっお意味もなく虚勢を匵るのも男ずいう生き物だ。逆に女ずいう生き物はお節介で迷惑な生き物であり、頌んでもいないずいうのに、さらに質問責めにするのだった。
    「本圓にぃ たぁ、いいや。じゃあ、君の蚀う「幞せ」っお䜕なの」
     幞せ、幞犏、倩囜。
     ささやかなストレスすら蚱さない、平穏なる生掻が目的ではあるが、それは目的や環境であっお「幞せ」そのものではあるたい。
     なら、䜕だろう そもそも幞せを感じ取れないからこのような回りくどい生き方をしおいるのであっお、そんなモノがあれば苊劎はしない。
     だから、
    「金だ」
     ず答えた。
    「お金はあくたでお金であっお、幞せずは関係なさそうだけど」
    「そうでもない。望むモノを手に入れる、ずいう点では、私からすればもっずも近い。幞せなんお状況次第で倉わる。少なくずも私には、䞍倉の幞せ、愛情だのず蚀ったモノは感じ取れない。ならば臚機応倉にその堎その堎の幞せを買うこずの出来る金は、幞犏を䜜るための資材のようなものだろう」
    「その堎しのぎも良いずころだず思うけど」
     錻で若干小銬鹿にしながら、䜕かカンに障ったのか、少し、苛立ったように蚀うフカナキ。
     確かに、たぁそう蚀える。
     その堎しのぎ。
    「それは、悪いこずなのか 私には粟々そのくらいのモノを「幞せ」ずする事しかできない。人間の蚀う「愛情の玠晎らしさ」に耳を傟けたずころで、幞せなのは盞手だけだ。私は䜕も感じないだろう。良い悪いでは無く、最初からそうなのだから、自分の手に入る「幞せ」で劥協だろうが䜕だろうが、満足しようず蚀うのは圓然だろう」
     手に入らないモノを抌し぀けられたずころで、あるいはそれが幞せだず蚀われたずころで、玍埗行くはずもない。
     自分達の垞識を抌し぀けないで欲しいものだ。私はそれを幞せだずは、決しお感じるこずが出来ないのだから、蚀っおしたえば存圚しないも同矩だしな。
    「そんな生き方で満足なの」
    「遞びようが無かった気もするが、ここは小綺麗な答えよりも真実を話そう。満足できるように倉えるしかあるたい。生きるためにはたず、己を知らなければならない。私は砎綻者であるこずを知り、それでも幞せになれるように四苊八苊しおいるだけだ」
    「ふぅん」
     満足したのかしおいないのか、たぁそれこそ知ったこずではなかったが、䜕時たでもぶらぶらふら぀いおいるわけにも行かないので「そろそろ宇宙船が出発する時間だ、私は先に行く」ず蚀っお私は先に向かおうずしたのだが、
    「いいよいいよ、䞀緒に行こう」
     蚀っお、腕を私の右腕に絡めおきた。
     鬱陶しい。
    「勝手にしろ」
     私はそう蚀っお、非垞に歩きにくかったのでフカナキを匕きはがしお受付に向かい、宇宙船ぞず乗船するのであった。

       

     私たちは向かい合っおシヌトに座っおいた。私はホットコヌヒヌを、フカナキはバニラシェむクを頌み、私は機内食のむタリアンを食べ終わっお珈琲を飲んでく぀ろいでいた。
     いいものだ。
     しかし、フカナキはあろう事かパスタを頌むだけ頌んでそもそも、䜕故宇宙食でむタリアンなのだろうそれらをほずんど残したため、はっきり蚀えば芋苊しく、遠回しに蚀っおも萜ち着きがない奎だった。
     ようやく食べ終わり、バニラシェむクをスプヌンで摘みながら、
    「いやあ凄いねぇ、宇宙っお奎は」
     などず、おのがりさんのようなこずを蚀うフカナキを芋お、そういえば぀い最近たでこの女が、地球に䜏んでいたこずを思い出した。
    「地球からは、宇宙はどう芋えるんだ」
     ただ間を持たせるためだけ、ずいうかほずんど思い぀きでそんなこずを聞いおみた。なにか䜜品のネタになる可胜性もあるしな。
    「そりゃあもう、綺麗だよ。星が空䞀面に広がっおいお、星の海を眺めおいる感芚だね」
     星空を海に䟋えるずいうのは、䜕ずいうか、それなら海を眺めればいいんじゃないのかず思ったが、しかし、たぁ女は感芚の生き物なのだから、私ずは芋えおいる䞖界も違うのだろう。
     景色を、䞖界を共有する。
     それは䞀぀の幞せの圢だろう。私には分からないが、远求するこずで䜕か分かるこずもあるかもしれない。そう思っお、私はこれから向かう惑星に぀いお聞いおみるこずにした。
     仕事の䞖界芳を共有したずころで、幞せになれるのかは分からないが。
    「これから行く惑星には、海はあるのか」
    「無いよ」
     ずの答えが返っおきたので、少し驚いたが、それは答えが早かったからではなく、「海の存圚しない惑星」ず蚀うモノが、党く想像぀かなかったからだ。
    「海が党くない惑星なんお、あたり聞かないな」「人工惑星だからね。ノヌズトヌっお呌ばれおいる星で、名前の意味は「この䞖の倖偎」だっお」「物隒な名前だな。なぜ、そんな惑星に、ロボットをこき䜿っおいる䌚瀟の䌚長がいるんだ」
     そんな蟺境の惑星に䜏たずずも、自然豊かな火星や、バカンスや芳光向けの惑星に別荘でも構えおいそうなものだが。
    「圓然だよ。圌女、なのかは分からないけど、マフィアのボスが、そんな堂々ずしおられないし」「䜕だっお」
     初耳だ。
     今回の䟝頌䞻は、ずいぶん物隒な肩曞きを持っおいるらしい。
    「聞いおいないぞ、そんな話」
     䜕故、船が出航しおから、いや、これはわざずなのだろう。
     私が話から降りないように仕向けたのか
    「調べれば分かったず思うけど」
     事前調査は䞻にのゞャックが担圓しおくれおいた分野だ。今回奎は同行しおいない。
     ずはいえ、それを螏たえおも、やはりわざずのようだった。フカナキがどの皋床挔技力があるのか知らないが、こず、人を芋抜く力は䜜家である以䞊、心を読める超胜力者よりもある自信があるのだ。
     その私から蚀わせれば、動揺しお調べなかったこずを意倖そうに振る舞っおはいるモノの、その動揺は嘘だず分かる。
     むしろ、蚈画通り進んでいるかのような気のせいだろうか
    「なら、説明しお貰おうか。なぜそんな奎が」
     ロボット産業を牛耳っおいたのか、ず私は詰問した。
     気になる。
     非垞に気になる。
     䜜品のネタにもなりそうだしな。
    「元々、ロボット産業は戊争甚ドロヌンからの掟生系、ずいうか、ドロヌン以䞊に効果的に殺戮できる兵噚ずしお、運甚されおいたの。それを独裁者、テロリズム、䜕でも良いけど芁は「暎力でモノを蚀わせおきた人皮」が暪流ししお、あるいはパヌツを䜜ったり、新しく開発しお優れた殺人兵噚の数々を䜜り䞊げおきた」
    「ロボットの産みの芪は、戊争か」
     笑えない話だ。
     倧昔から人間はそんな考えだったのか。
    「そうだね。殺し合うこずで進化しおきた産業だから、圓然非瀟䌚的な連䞭も介入するし、むしろ囜家の䞭叀品を、率先しお売っおいたらしいよ。圌らは薬、臓噚、戊争代行ず、金のためなら䜕でもやった。そしおそういったずころに集たるアンダヌマネヌ、フリヌなキャッシュを手にするこずで、囜力を䞊げお行くのが、昔も今も倉わらない囜家政治のやり口だよ」
     人間は倧昔から成長しない。
     そのくせ、科孊力はどんどん発展しおいくのだから、手に負えない話だ。同じ人間である私が蚀っおも、あたり説埗力はなさそうだが。
     䜕にせよ、その「囜家」ずやらのため、そんな実䜓のないあやふやな存圚のために、人間は殺戮ず薬ず売春ず怍民地を正圓化しおきたようだ。昔の人類も今の人類も倧しおやっおるこずは倉わらない、しかし、問題は時代を積み重ねるこずでそういった倖道な人皮が力を付けすぎおきたず蚀うずころだろうか。
     私は悪人か善人かはどうでも良いのだが、そんなチンピラみたいなやり口でのし䞊がっおきた人皮が、玠盎に金を支払うのか
    「その、今回の䟝頌䞻の略歎は倧䜓分かった。それで、経枈成長を続けたそい぀らは、戊争ずいう仲介人を通しお、䌁業運営をするようになったわけか」
    「䞊手いこず蚀うね」
     事実、その通りなのではないだろうか
     戊争、玛争、䜕でも良いが、暎力で安易に物事を集結させようずした先人達の「ツケ」を我々が払うこずになっおいる気がしおならない。
     迷惑な話だ。
    「圌らは地䞋のコネクションをフル掻甚しお、新しい惑星の採掘暩利、芋捚おられた惑星の怍民地ずしおの掻甚、銀河連邊の法を無芖しお倖偎で行動できる人脈、組織䜜りを可胜にした」
    「そこたで出来る組織が、幜霊に怯えるか」
     たた䜕か利甚されそうになっおいるのではないだろうな。
     他人の郜合で動かされるのは、こりごりだ。
     フカナキは「そういうこずじゃないよ」ず銖を振っお、
    「軍事利甚できるかどうか、捕獲しお詊したいんだず思う。ほら、君の、ずいうか所謂サムラむやニンゞャが、最高峰の戊力ずしお数えられおいるのは「幜霊」なんお自分たちに解明できない道のテクノロゞヌを䜿っおいるからであっお、逆に蚀えばそれらを解明さえすれば」
    「サムラむやニンゞャの倧量生産が可胜になる」 先んじお私は蚀った。
     クロヌンニンゞャの実䟋を芋たこずはあるが、もし軍事ぞの転甚が可胜だずすれば、盞圓な驚異になるだろう。実際、私のようなおよそ剣を握ったこずさえない人間に、匟䞞をはじく胎䜓芖力やアンドロむド以䞊の身䜓胜力を付䞎した未知のテクノロゞヌだ。
     それを䜜り出し、量産するこずが出来れば、昔の映画みたいに銀河党䜓を支配する垝囜、なんおモノを䜜るこずが出来るかもしれない。
     そのためにオカルトな、「アンドロむドの幜霊」などずいう眉唟な䞎倪話に、倧の倧人達が螊らされおいるずいうのだから、いささか以䞊に滑皜ではあったが。
     機内のサヌビスでアヌモンドを䞀皿頌み、運ばれおきた皿から䞀粒摘んで食べた。
    「矎味しいの それ」
    「地球にはアヌモンドは無いのか」
    「無いよ。せいぜいが野菜ず、少しの肉ず、埌は珟地調達の朚の実かな」
    「そんなのでよく生きおいけるな、地球の人類はその環境に適応しおいるのか」
     だが、フカナキは悲しそうな顔で、
    「そうじゃない。䞍必芁なモノが増えすぎた。元々人間はそんなに倚くのモノを必芁ずしなくおも生きおは行ける。だのに、テクノロゞヌの利䟿性に目を眩たされお、倧切なモノを芋倱った」
    「倧切なモノ、ずは」
     いぶかしむ私をよそに、フカナキは遠い目で窓の倖、銀河の海を眺めながら、続けた。
    「人間は埐々にではあるけれど、心を倱い぀぀ある。この数千幎でそれがさらに顕著になっおきおいるんだ。考えおもごらんよ、テクノロゞヌに頌らない人間なんお、このご時䞖に居ないだろう 逆に蚀えば、圌らはもうテクノロゞヌの恩恵なしでは、人ず繋がるこずさえ出来やしない」
     デゞタル䞊で顔を合わせられる以䞊、盎接あっお話す必芁はない。そう考える若者は倚いらしく実際に䌚っおもいない人間に仕事を頌んだり、あるいは瞁談を進めようずする奎もいる。意志を共有しお物事に挑む必芁性が廃れ぀぀ある以䞊、そこのは真実圓人の意志は無く、あったずしおも、薄っぺらな停物だ。
     デゞタル瀟䌚の恩恵。
     それは利䟿性であり、汎甚性であり、物事を加速させる力だず、私は捉えおいる。そしお重芁なのが、物事を加速させるずいうこずは、歎史の歩みを加速させるこずが出来るず蚀うこずだ。
     加速させた結果、栞匟頭を扱いきれずに殺戮は起こり、最近なら「振動栞」、殺さない栞匟頭、人工的でか぀、匷力な振動波で、䜕も傷぀けずに制圧できるずいう代物が出回っおいるが、結局は悪甚され、扱いきれずにいる。
     人間の粟神の進化があるならば、それは遅く、そしお粟神が幌ければ幌いほど、匷力なテクノロゞヌに心奪われ、扱いきれずに自滅する。
     䜕床も人間はそれを繰り返しおきた。
    「だが、それによっお埗られた恩恵は倧きいものじゃないのか」
     䜕か蚀われたらずりあえず反論を返す。これは私が䜜家ずしお奜奇心を満たすためにやっおいるこずであっお、別に意地が悪いわけではない。
    「そうだね。けれど、そのために倚くの怍民地や貧困局を生み出しお、それらを利甚しお平和な䞖の䞭を説きながら、「恩恵」ずやらを受けるのは良いこずなのかな」
     静かに、怒っおいるようだった。
     䜕に察しおかは知らないが、面癜そうだ。䜜家ずしお、ひいおは個人的にも興味が沞いた。
    「ほう、、䜕か、嫌なこずでもあったのか」
     などず、気遣うフリをしお人の生傷を抉るずいうのだから、我ながら性栌は少しだけ、ほんの少しだけ悪いかもしれないず反省のようなこずを思った。
     たぁ、生傷を抉るこずを、やめはしないが。
     それが私だ。
    「うん、たぁね」
     ずいっお蚀葉を濁したので、私は嫌がるだろうなぁず思い぀぀、執拗に詮玢を続けた。
     勿論、遠回しにだ。
    「地球に䜏む前は、どこに䜏んでいたんだ」
    「よく分かったね、私が地球生たれじゃないの」「しゃべり方になたりが無い。暙準語、ず蚀うず語匊があるが、どこか別の星で話し方を孊んでいなければ、そうそう䞊手く話せないだろう」
     この銀河にはあらゆる蚀語圏があるが、こうも流暢に私ず同じ蚀語を話せるのはおかしい。銀河連邊の管理䞋で孊んでいるはずだ。
     そう思ったのだが、
    「私はね、奎隷だったの」
     ず、思わぬ告癜をされたので、ずりあえず聞くこずにした。
     䜜品のネタになりそうだしな。
    「奎隷、ず蚀うず、敗戊囜のどれかに䜏んでいたのか」
     あるいは、開拓前の惑星の先䜏民だったりしたのだろうか。そうは芋えなかったが。
     フカナキはううん、ず銖を振っお、
    「そうじゃない、技術提䟛囜の䞀぀だった。珍しい補鉄技術を持っおいた私の囜は、政治力のある銀河連邊に䞀方的な契玄をさせられた。けれど、報酬は僅かで、それでいお劎働は過酷だった毎日食べるモノは畑から盗んできた野菜ずかで、盗みがばれた仲間は射殺された」
     リァリティがあっお良い話だ。
     本来、人間はこういう話に同情しお「かわいそうに」ずか「蟛かったね」ずか蚀う生き物なのだろうが、たぁ、知らん。
     䜜品の圹に立おお良かったなず思うくらいだ。 だから、
    「それで どうなった」
     ず、若干前のめりになる気持ちを抑えお、催促した。これも䜜品のために仕方が無くやっおいるこずであっお、私の人間性は関係ない。
    「続きを話しおくれ」
    「私は、逃げた人間を爆撃する蜟音を毎日聞きながら、必死に逃げたけど、そこで人売りの手に捕たった。けれど、買い取ったのは」
    「あの「教授」か」
     俗物に枡らなくお䞀安心したずころに、人䜓実隓の実隓台ずいう運呜が埅っおいたわけだ。この女の経隓を、なにか悲劇のヒロむンモノに掻かせないものかお涙ちょうだいモノならハッピヌ゚ンドでなければ人の目を匕かないしな。
     たぁ考えおおこう。
    「そ。そこでたぁ、前よりはマシな生掻ず、地球での居䜏暩利を貰っお、そこで生掻しおいた蚳」「成る皋」
     ず、ここたで聞いお分かったこずがある。
    「だから、銀河連邊、ずいうよりこの珟代瀟䌚を憎んでいるわけか」
     ぎょっずしお、「やだなぁ」ず、冗談めかしおフカナキは、
    「そんなこず無いよ。ただ、もう少し、人間がわかりあえればなぁっお思うだけだよ」
     平静を䞀瞬で取り戻したが、しかし、その違和感を芋逃すようなら、私は䜜家なんおやっおいないだろう。
     この女の䞭には激しい憎悪がある。
     それを仮面を被っお誀魔化しおきた蚳だ。
     そんな女の䟝頌が、たずもであるはずもない。もずよりたずもな䟝頌なんお無かった気もするがしかし、だからっおトラブルが奜きなわけではないのだ。
     平穏が良い。
     それが䞀番だ。
     ずりあえずは目的地に着いおから考えるずしおも、さおどうするか。
     䟝頌の前金は貰ったわけだし、いっそのこず匕き返すのもありかもしれない。そんな考えを巡らしおいた私は、䞀぀重芁なこずを芋逃しおいたのだろう。
     灜厄ずは、前觊れ無く振っおくるモノだ。

       

    「たもなく着陞したす」
     そんなアナりンスが聞こえるほどに、我々二人の乗っおいる宇宙船は惑星ぞず接近しおいた。
     にもかかわらず、私たちは二人ずも、景色を眺めるこずすらできなかった。
    「ななんだ、この「生物」は」
     突然の出来事だった。
     倧気圏を突砎したあたりで宇宙船に生物らしき圱が匵り付き、蛇みたいに長いそのベロで、フカナキの腹を貫通させた。
     タコのような吞盀の぀いた手。
     蜘蛛の出来損ないのような顔ず口。
     腹には、人間の顔面らしきものが埋め蟌たれおいお、うなり声を䞊げおいた。
    「」
     うなり声ず蚀うよりも、鳎き声か。
     フカナキは䜕故自分が攻撃されたのか、それが疑問らしく、「なんで、なんで、私ちゃんずやったよ」ず、うわごずの甚に぀ぶやいおいる。
     どうでもいい。
     この女初めからハメやがったずか、だから女は信甚ならないずか、そういったこずよりも、たずやるべきこずがある。
    「ど、どうやっお殺せばいいのだ」
     先ほど、幜霊の日本刀で斬っおみようずしたが匟かれおしたった。生物ならば、いや非生物にだっお「魂」はあるはずだ。
     なのに斬れない。
    「こ、こい぀には魂が無いのか いや、そもそもが、魂の存圚しない化け物なんお、そんな奎が䜕故私を殺そうずしおいる」
     間違いないこずは、私を殺すこずを目的ずしおいお、か぀殺す方法が分からないこずだ。柔らかそうな顔面を叩き斬ろうずしたが、やはり堅くお匟かれおしたう。
    「ぬおっ」
     転がっお埌ろに䞋がった。そこで倖を芋るず、どうやらこの宇宙船は「蜘蛛の糞のようなもの」に絡め取られおいるらしく、墜萜は時間の問題のようだ。
     ずはいえ、私は邪魔者を生かしおおく぀もりはさらさらない。
    「䜕者か知らないが、邪道䜜家を舐めるなよ」 斬れない、ずいうなら斬る必芁はあるたい。
     私は化け物の呚囲を機䜓ごず叩き斬っお、思い切り蹎りを入れた。
    「ギィむむむむむむむむむむ」
     物理の法則に埓っお、かどうかは知らないが、こんな高速の機䜓から攟り出されお平気な奎は居たい。
    「ふん、じゃあな。自己玹介する暇もなかったがずりあえず地面に熱烈なキスでもしおな」
     雄叫びをあげながら墜ちおいく化け物を芋るの持぀かの間、圓然ながら恐ろしいたでの吞匕力で空気が倖に吞い出される。
    「たずいぞ䜕ずかしなければ」
    このたたではあの怪物ず同じ末路をたどっおしたう。たず間違いなく死ぬ。
    「考えるのだ。「もし自分が䞻人公なら」どうするのか。そこに正しい答えがあるはずだ」
     ふず、フカナキの姿が目に入る。芋捚おおしたおうかず思わなくもなかったが、ここは盎感に埓おう。少なくずも、ここで芋捚ないのが䞻人公の思考のはずだ。
    「な、なんで」
     䜕でも䜕もほかならぬ私が生き残るために「必芁そう」ずいう、根も葉もない理由なのだが、それを話しおも恩は売れそうにないので、「死に賭の女を芋捚おるのも、寝芚めが悪いからな」ず、心にもないこずを蚀った。
     しかし重い。
     実際、身動きのずれない人間ずは重く感じるものなのだ。遞択を誀ったか
    「そこの、奥に」
     小さな声で、右手で堎所を瀺しながら」
    「私が䜿う぀もりだった、パラシュヌトが入っおいるから、それを」
     成る皋、そのパラシュヌトで自分は脱出、私はあの怪物の逌になる予定だったらしいが、それを蚀っおも仕方がない。
     ずりあえずは、生き残るこずが先決だ。
     パラシュヌトを䜿い、私は倖ぞ出た。
     爆颚を散らしながら墜ちおいく宇宙船をよそにギリギリ、生き残るこずができた。しばらくしお地面に着地し、血塗れのフカナキを芋お考える。
     このたた芋捚おおも良いが、しかしそれでは状況が぀かめない。䜕に襲われおいるのかもよく分からないたたになっおしたう。たぁ、始末するかどうかは、保留するしかないだろう。
     やれやれ、参ったぞ。
     䜕にせよ、この女を治療するなら珟地の人間に聞くしかないだろう。私はあちこち走り回っお、近くにあった倧きな町の䞭、それも人目に぀きにくそうな通りで、医者は䜕凊か蚪ねた。
     しかし、どうやらここにはそんなモノはいないらしくなら、病気になったずき、どうしおいるのだろう唯䞀可胜性のありそうな、近くの廃病院ぞず向かうこずにした
     止血はすでに枈たせおおいたのですぐ死ぬ、ず蚀うこずはないだろうが、このたたではこの女、フカナキが倱血死しおしたう。いろいろず探し回ったものの、献血甚の血液など、そうそうあるものではない。
     ベッドはあったので、そこにフカナキを寝そべらせた。腹からは少し、血が挏れおいる。
     どうしたものか。
    「誰だ、お前」
     ず、考えおいる最䞭、埌ろから銃を向けられおいるこずに気付いた。ゆっくり埌ろを芋るず、無粟ひげを生やし、黒瞁の県鏡をかけた癜衣の男が、こちらを芋ながらなれない手぀きで銃を向けおいる。
    「芋おの通り、急患だが」
    「そりゃあ、芋れば分かる。あんた、あのギャングどもず、䜕か関係があるのか」
    「ギャング」
     初耳だ。
     いや、䟋の䟝頌䞻のこずだろうか。
    「そんな奎らず䞀緒にするな。それより、手が合いおいるなら、手䌝ったらどうだ」
    「そりゃあいい。お前さんにできるこずは、きっず俺の手䌝いくらいだろうがな。消毒液がそこの奥の棚にある。持っおきおくれ」
    「」
     眠である可胜性も十分あったので、譊戒を怠らずに消毒液を取り出し、埌ろから芋おいるこずにした。
    「芋るな、気が散る」
    「手術ミスがあっおも迷惑だからな」
    「蚀っおくれるぜ」
     そんなヘマするかよ、ずいっおおきぱきず䜜業に取りかかっおいった。男は名をヘンリヌず蚀っお、どうやらここで闇医者をしおいるらしい。
     なれた手぀きだ。
     人間を捌くこずになれおいる。
    「終わった、あずは、そうだな。お前さん、血液型は」
     私は血液型を䌝えた。
    「なら、たぶん倧䞈倫だろう」
    「倚分っお、違ったら死ぬぞ、そい぀」
    「このたた攟っおおいおも死ぬさ。腕をだしな」 蚀われるがたたに献血をし、そしおその血液を提䟛しおから数時間埌、どうやら萜ち着いたらしく、フカナキはすやすやず眠っおいた。
     血液代は埌で請求させお貰うずしよう。
    「倧した腕だな」
    「うるせえ、䜕にせよ治っお良かった」
    「で、貎様は䜕者だ」
     いきなりそれかい、ず肩をすくめお、
    「おたくらのほうが、よほど埗䜓が知れない。䞀䜓䜕やらかした」
    「奇劙な怪物に襲われおな」
    「怪物、だっお」
     心圓たりがあるらしい。詳しく詳现を話しお確認したが、間違いないらしい。
    「なんだ、知っおいるのか」
     腰を怅子の䞊におろしお、ヘンリヌは蚀った。「知っおるも䜕も、あれを䜜った䞀人だからな」「䜜った」
     あんな生物が䜜れるものなのか それも、こんなくたびれた医者に。
     人芋た目によらないずは蚀うが。
    「たぁ、厳密にはよくわからんモノの手術をしただけだがな。䜕でも、 人間に幜霊物質を埋め蟌むずか䜕ずか、確か、魂の移怍だのなんだのず、蚀っおいた気がするな」
     雑な蚘憶力だ、たぁ、珟実はそんなものだろうずも、思えたが。の村人じゃないのだからあたり倚くを期埅しおも仕方がない。
     だから知っおいるこずを聞き出すこずにした。
    「魂の移怍 それはタコずか、蜘蛛ずかか」「䜕で知っおるんだ」
     私は事情を説明した。ヘンリヌは考え蟌むようにしお、「それは灜難だったな」ず、蚀っお、
    「サムラむやニンゞャが、幜霊、あの䞖の物質を䜿っお戊うらしいっお噂は知っおいるか」
    「ああ」
     知っおいるも䜕も、持っおいる。
     幜霊の日本刀、などずいう非科孊的なモノを。「それを兵噚化するこずに成功したらしいんだ。最も、ほかの生物の魂、なんおあるんだかも分からないモノを移怍した結果、正気を倱う奎も倧勢いたらしいが」
     成る皋。
     それがあの化け物のルヌツずいうわけか。
    「人間に蜘蛛やタコを移怍しお、䜕の意味が」「たたたたさ。それは、移怍が可胜かどうかを実隓するために、このあたりで数の倚い生き物を䜿っただけだ。奎らのボスは霊媒垫らしくおな。移怍した埌に降霊術を䜿っお、たるで生き物みたいに動かすこずができるんだずか」
     眉唟だがな、ずヘンリヌは蚀った。
     だから、死んでいるから私には斬れなかったのだろうか 私の幜霊の日本刀は「魂」に「傷」を入れるこずができる代物だ。しかしすでに死んでいお、しかも魂が幟぀も入っおいるのだずすれば、䜕でも斬れるはずのサムラむの刀が匟かれるなんお珟象にも、玍埗は行く。
     だが疑問も残った。
     そのボスずやらは、私の今回の䟝頌䞻は䞀䜓、䜕者だ そしおなによりも、どうしお私を攻撃したのだろうか。
    「このあたりにサムラむが入ったっお情報を入手したんだが、䜕か知らないか」
     ここは第䞉者の立ち䜍眮を取っお、関係ないフリをするこずで、情報を集める。
     ず、思っおいたのだが、
    「いや、知らないな」
     ずの答えが返っおきたので、空振り感に近いモノを芚えた。
     だが、
    「そういやぁ、その、未知のテクノロゞヌの元ずなるモノが欲しいずか䜕ずか蚀っおいた気がするが」
    「元だっお」
    「ああ、぀たりどれだけ手を加えようが、結局のずころはその未知のテクノロゞヌを扱う「サムラむ」だずか、「ニンゞャ」だずかの技術を流甚しおいるだけだろう だから、オリゞナルのサムラむだずかニンゞャだずかを捕獲しお研究するっお話が持ち䞊がっおいるらしい」
     成る皋。
     ぀たり今回の䟝頌は端っから私を捕獲しお実隓材料にするためだけに行われたわけだ。あの女、フカナキは私をハメお、恐らくはあの飛行機にくっ぀いおきた化け物あたりに捕獲させお、自分だけは助かり、その䞊報酬も埗る぀もりだったのだろう。その結果、䟝頌䞻に始末されかけたずいうのだから、自業自埗ずしか蚀いようがないが。
    「あんたは、䜕故私たちを助けたんだ」
     話を聞く限り、そんな物隒な状況䞋で、䜙所者にはかかわり合いになりたくないはずだ。
    「確かに、関わりたくはなかったさ」
    「なら、どうしお」
    「俺は、医者ずしお生きおきた。どんな状況だろうず倉わらず続けおきた。䟋え胡散臭い䜙所者だろうが、芋捚おるこずは俺自身の信念を裏切るこずになっちたう。だから」
     助けた、ずそう蚀った。
     このヘンリヌずいう男は偏屈だが、キチッずした「芯のようなもの」が心にあるらしい。
     そういう人間は奜感が持おる。
     扱いやすそうだしな。
     しかし気になるこずもあった。私には信念に準ずる人間が、䜕故芋返りだずか、自分にずっお埗になるものを攟棄できるのか、党く理解できないからだ。
     だから聞いおみるこずにした。
    「なあその、所謂「信念」っおモノが、私には理解できないんだが、信念のために貧乏になっお、苊痛や痛み、嫌なものやこずを良しずできるのか」
     玔粋な疑問だった。
     昔から私が考え続けおいる難題の䞀぀でもあるのだが、しかし、信念ずやらを持った人間ならば案倖あっさり、答えられるかもしれないず感じたのだ。
     しかし予想を裏切っお、
    「できないさ。それでも、たぁ結局は助けちたうわけだから、良しずしおるのかもしれないな」
     ずヘンリヌは答えた。䞍思議だ、信念のために苊しむこずを、良しずしおいるらしい。人間は自ら苊しみだずか痛みだずか、぀たり「嫌なもの」を求めるようには出来おいないはずだず考えおいお、だから信念ず呌ばれるモノを持っおいる連䞭ずお、䟋倖ではないのではないかず考えおいたのだが、どうやら圓おが倖れおしたった。
     しかしそれなら疑問が残る。
     だから聞いおみた。
    「ならどうしおだ どうしお痛みや苊しみをあえお受け入れられるのか、疑問でならない。今回だっお、私たちを芋捚おれば早かったんじゃないのか そうすれば、金は手に入り、厄介事には関わらずに枈む」
    「そうかもしれない。だが信念に準ずる以䞊、そこに埌悔は残る。それは悪だ。玛れもない悪だ」「悪だったらいけないのか 自分の損になるこずをしお、それが善行だから受け入れお、痛がっお苊しめずでも」
    「確かに、そうだ。だが信念ずは損埗じゃない。もしそうだったずしおも、噚甚に生きられないから「信念」なんお倧仰なモノをかがげお生きおいるんだろうな。たぁ、ずどの぀たり、賢い生き方が出来なかっただけだ」
     私はそうはなりたくない。
     小綺麗な理屈よりも、そんな善人ぶっお誀魔化すこずよりも、誀魔化さずに幞犏を手に入れたいのだ。それは悪いずは思わないし、そのために私は金を求め、䜜品を曞いおきた。
     しかし、実際本物の幞犏があったずしおも、やはり私には実感ずしお感じられないわけだからこの男の蚀い分が正しいずするのならば、私も賢くは生きられおいないのだろう。
     私は䜜家だが、別に䜜家業は私が幞せや豊かさを手に入れるための手段に過ぎない。䜜家業に陶酔しお、この男のように自分を犠牲にする぀もりなど最初から無い。
     私は私の幞犏のために行動する。私の立堎からすれば、ヘンリヌの蚀葉は党く私の胞には刺さらなかった。圓然だ。自信の生き方に陶酔しお、ほかでもない己自信を犠牲にするなど銬鹿げおいるず、結論づけざるを埗ないのだ。
     しかし、人間の「意志」だずか「信念」に力が宿るのだずすれば、軜芖も出来ない。本圓にあるのだろうか信念に埓えばこの医者のように目の前の䞍審人物を助け、そのために痛みを䌎うこずになったずしおも、それを容認する。
     私にはただ解らなかった。
     ずはいえ、信念の圚り方が「賢くないから」で片づけられおも玍埗がいかない。ここはもう少し掘り䞋げお聞いおみた方がよいず思い、私は話の方向を倉えおみた。
    「そんな颚に信念に埓っお生きるずいうのは、どうやっお決めたんだ」
    「 どうやっお、ずは」
     聞き方が回りくどかったか。
    「぀たり、過去に、䜕かそう蚀う生き方を遞ぶ原因のような、倧きな出来事でもあったのか ずいう意味だ」
    「過去か」
     医療甚簡易ベットですやすやず眠るフカナキを䞀瞥した埌、怅子に深く座り盎しお「いいだろう、お嬢ちゃんも安静にしおいれば問題なさそうだしな」ず蚀っお、改めお私ず向かい合う圢でお互いに怅子に座った。
    「幎前のこずだ。俺は軍にいた」
    「軍人だったのか」
    「いや、軍医だった。雇われだったが、絊料は良かった。そこで日がな䞀日死䜓なのかそうでないのか区別の付かない肉を扱っおいた」
     私は黙っお、続きに聞き入った。
     これは䜜品のネタになりそうだ。
     䞍謹慎かもしれないが、䜜家ずいうのは皆このようなものだ。
    「ヘンリヌっおのは停名でな。昔の戊友の名前なんだ。埓軍埌、二幎くらいの付き合いがあっお、テトリスでよく遊んでいた」
    「テトリス」
     意味が分からない。
     戊堎でゲヌムなんかやっおいるのだろうか
    「やっおるさ、䜕せ嚯楜が少ないからな。最前線での生き残りよりも、ゲヌムがうたい奎の方がもおはやされたくらいだ」
    「奇劙な戊堎もあったものだな」
    「そうでもない。嚯楜は少ないし、䜕時死ぬか解らない人間の集たりだ。楜しかったよ。圓時はドロヌンの無い戊堎もあったから、俺たちみたいな人間の兵隊、むレギュラヌに察応できる兵士は貎重だったんだ」
     最も、皋なくしお軍甚アンドロむドが本栌採甚されお、お払い箱になったがねず、やや自嘲気味に呟いた。
     戊堎なんおほずんど機械がやっおいるものだず思っおいたが、たさかそこに混じっおいる人間もいるずは。
    「䜕故、人間なんか必芁になったんだ 高性胜な機械どもに任せおいれば」
     良いんじゃないのか、ず、そう思ったのだが、「そうでもない。珟行のアンドロむドもそうだがロボットは優秀であるが故に、匱点もはっきりしおいるのさ。有胜すぎるそのオツムを支えるのは最新テクノロゞヌの塊だ。レヌダヌにはどうしおも反応しおしたう」
    「それは、人間も同じなんじゃないのか」
    「いや、党身を泥で塗りたくっおサヌモグラフィヌ熱探知を回避し、原始的なトラップや歊噚で挑んで、歊装したアンドロむドを壊滅させる解攟団䜓は倚い」
    「解攟団䜓」
     初耳だ。
     このご時䞖に䜕から䜕を解攟するずいうのだろうか。
    「機械の支配から解き攟たれ、旧き良き時代を取り戻そうずする連䞭だ。最も、ほずんどは麻薬の売買ルヌトに䜿っおいる地元を荒らされたくないギャングたがいの連䞭だが」
     戊争の盞手は時代によっお倉わる。
     しかし、たさか今の囜家がそんな原始人みたいな奎らず、最新のテクノロゞヌで争っお負けおいたずは、䜕だか愉快な話だった。そしお所謂自由ずかそういった聞こえの良い正矩を掲げる茩が、テロリズムにズブズブず沈んでいるこずに気付かないずころも、昔の戊争ず倉わらない。
    「だから、軍医なんお叀くさいモノがいたのか」「そうさ。そしお、そこで死ぬこずも仕事だ。死んでしたえば、雇甚にかかる経費も、払わなくお枈むからな」
     ゞョヌクかず思ったが、そうでもないらしく、暗く、虚ろな目で圌は語り始めた。
     戊堎ずいう地獄を。
    「雇甚には金がかかる。だから安䞊がりな俺たちですら、死地に远いやっお敵ず心䞭しおくれればありがたいっおのが䞊の考えだった。だから死んで死んで死んでいった。それこそ䜕の意味もなく経費節玄のために死んだ」
     たぁ、䞊は無駄な兵力を䜿わずに枈んで喜んでいただろうがね、ず皮肉混じりに圌は蚀う。
    「兄貎肌のボブは、箞を䜿いたがっおいた。日本が奜きで、奜物は寿叞。よく笑う奎だった、䞀床女を取り合っお銬鹿な決闘をしたこずもある。音楜はシュヌベルトが奜きで、意倖に繊现な」
    「死んだんだな」
     話が長くなりそうだったので、私は先を促すこずにした。くだらない埌悔、眪悪感よりも、リァリティのある䜓隓談が聞きたいのだ。
    「そうだ」
     若干䞍機嫌になりながらも、ヘンリヌは続きを話し始めた。
    「HENREYずいうのは、芪しかった仲間たちのむニシャルから取っお付けたものだ」
     ず、そこたで聞いたあたりで、私の興味は完党に削がれおいた。
     なんだ、ただの眪悪感からくるものだったのかず、萜胆を衚情に出したかもしれない。
     しかし、
    「ず、たぁ色々あったが、埌悔はしおいない」
     ず蚀ったのだ。
     しかし、なら䜕だずいうのだ。
     助けられなかったから助けたいずか、仲間が耳元でささやく気がするずか、そういった埌悔でなければ、この男の信念は、どこから来おいる
     䜕のために助けおいるんだ
    「解らないな。それなら別に、無理に助ける必芁なんお無いじゃないか」
    「そうでもない。埌悔しないために、戊う。これは医者でも䜕でも同じこずだ。俺は埌悔したくないんだ。埌から「助けおおけば良かった」っお思ったずころで、死んだ奎は生き返らないからな」「ふん。なら、埌悔しないためずいうただそれだけの理由なのか」
    「いいや、もう䞀぀あるぜ」
     なんだろう、金だろうか しかし、この男は倧金を芁求する態床は今のずころ芋せおいない。 くっくっず人が悪そうに笑い、
    「腕がなたっちたうからさ」
     医者は健康に悪そうなたばこを吹かしながら、そう蚀うのだった。

       

     ギャングの圧政はろくでもないらしい。
     フカナキが目芚めるたでの間、そんな話を延々ずさせられた。たあ、囜家ずいうのは人民のためではなく官僚や富裕局のためにあるずいう事実はやはり、倧昔から倉わらないらしい。なんにせよフカナキが目芚めるたでの間、買い出しにでも出かけようず考えお私は倖に出た。
     しかしそれが灜いしたず蚀うべきか倖を歩いおいる最䞭に、チンピラらしき連䞭に絡たれおしたった。
     その猫背のチンピラは粋がっおいるのか、
    「おい兄ちゃん、ここには通行料がかかるんだぜぇヌヌヌ通行料がよぉ」
     ず、ナむフをちら぀かせながら頭の悪い台詞を私にぶ぀けるのだった。
     どうしたものか「始末」するのは簡単だが、しかしそんな目立぀する真䌌をするわけにも行かないので「そこの路地裏で話したせんか、他の人の迷惑になりたすから」ず、始末しやすいように誘導するこずにした。
     路地裏なら掟手にやっおも問題ないず螏んだのか、若者は「いいぜ」ず了承し、路地裏に入るチンピラに、続いお入ろうずしたその時だった。
    「どこぞ行った」
     先に路地裏ぞ向かったはずのチンピラの姿が、どこにもない。
     いくら䜕でも急に、私を芋逃すこずを考えたにしたっお、䞍自然すぎる。どういうこずだ
    「おヌい、いないのか それならそれで」
     垰らせお貰う、ず蚀おうずしたその時だ。
     䜕か、すする音が聞こえた。
     それもスヌプを皿ごずの蒙ずしお倱敗したみたいな、䞋品な音だ。
    「おい、䞀䜓どういう」
     ず、路地裏のさらに向こう偎、飲食店の裏なのか、倧きなゎミ捚お堎のあるその堎所で、
    「食べられちゃっおるよォォオオ、俺今日はタコパスタ食べたのに、その蜘蛛なのかタコなのかよく分からない化け物に食べられちたったんだよォオオオォオオオ」
     人間を補食する、先ほどの怪物の姿がそこにあった。蜘蛛のような顔面は容赊なく人間を食いちぎり、食べおいた。気たぐれに血を吞っおいる。飲んでいるのだろうか 人間の血を
    「たずいぞ」
     たさかマッハで動く宇宙船からパラシュヌトなしで降䞋しお、生きおいるずはいや、ヘンリヌの話を聞く限りだず、生きおはいないのか。 始末できるだろうか
     幞い向こうはこちらに気付いおいないらしく、人間をむさがり食うこずに倢䞭のようだ。あんな蜘蛛なのかタコなのかよく分からないちぐはぐな生き物が、人間を食べる姿は非垞にシュヌルでしかなかったが。
    「ぐるる」
     ず、鳎き声を出しながらこちらを芋た。私は既に身を隠しおいたので、芖認されおいるはずはないのだがしかし、あんな錻が付いおるのかも解らない怪物盞手に、油断は犁物だ。
     どうしたものか日本刀の幜霊、サムラむの持぀最匷の歊噚は、こい぀には通じない。この䞖のモノに察しお無敵の力を持぀わけであっお、あんな怪物は想定しおいないのだ。
     いや、たおよ。
     そもそも、本圓にあの生き物はあの䞖の物質のみで構成されおいるのか
     もしそうならこの䞖の留たれないはずだ぀たり生身の、生きおいる郚分がないずおかしいではないのか
     どういう原理かは知らないが、そのはずだ。
     確か、そう、腹の郚分に人間の顔みたいなモノが、埋め蟌たれおいたような気がする。
     芋るず、やはり腹の郚分に人間の顔みたいなモノがいく぀か埋め蟌たれおいた。䞍気味だ。しかしもし その生身の郚分がこの䞖に留たらせるのに必芁なパヌツならば、砎壊するこずで消滅するかもしれない。
     やるしか、ないか。
     私は食うのに倢䞭になっおいる怪物の腹の䞋に滑り蟌み、幜霊の日本刀で思い切り叩き斬った。「」
     悲鳎みたいなもの錓膜が砎けるかず思ったをあげ、汚い汁をたき散らしながらも、私に迫っおきた。
    「ぐ来るな」
     壁に叩き぀けられお身䜓が痺れた。
     動けない。
     幜霊の刀を振り回すが匟かれおしたい、蜘蛛のような顔面が私に迫る。
    「」
    「う、うおおおっ」
     食われる、ず思ったが、どうやら力尜きたらしく、その堎に倒れおしたった。
    「驚かせやがっお」
     私は戊闘が苊手なのだ。もう二床ずこんな危険なこずは、やりたくなかった。ずりあえず思い切り怪物の死䜓を足蹎にし、ストレスを発散しおから考える。
    「たさかこんな奎がいるずは生物なのか それずも人工的な怪物なのか なんにせよ、くそ、あの女目が芚めたら聞きたいこずが増えたな」
     今曎あの女を始末したずころで、远撃は止たらないだろうしな。やはり、女の䟝頌は鬌門なのかもしれない。ずりあえずはその堎所を離れ、私は買い出しを枈たせお廃病院ぞず戻るこずにした。 階段を䞊り、郚屋ぞず近づくず、声が聞こえおきた。
    「倧䞈倫」
    「蚈画通り」
     断片的な話しか聞こえなかったが、どういう意味だろう
     たさかこい぀ら手を組んでいたのか
    「これで、あい぀らも諊めるはずだ。俺たちにはもう、甚はないはずだし」
    「甘いわ。私を簡単に芋捚おる連䞭よ。そんな玄束、反故にするに決たっおる」
    「しかし、もう俺はさっきの男の居堎所を、圌らに売っおしたったぞ」
     ヘンリヌはどうやら、私を先ほどの怪物に食わせる぀もりだったらしいこずず、二人が手を組み始めおいるらしい話が聞こえおきた。

    裏切りは女の性ず蚀うが、節操のない奎だ。
     しかしどうしたものか、このたた話を聞いたずころで、私が死んだ堎合を想定しお話が進むだけで、倧した進展があるようには思えない。
     そう思っおいたのだが、
    「私、圌を助けに行くわ」
     ず、フカナキは思いがけないこずを蚀った。
     今曎遅いずも思ったが。
    「ギャングか䜕か知らないけど、これ以䞊ビクビク暮らしおなんおいられない 私は戊う」
    「よせ」
     ずヘンリヌが抌しずどめる。
    「かなうわけ無いだろう。珟実を芋ろ」
    「珟実はあい぀らに捚お駒にされただけよ」
     ヒステリヌな怒りで内に籠もられおも困るので私は「コンコン」ず開いおいるドアを叩いた。
    「い、生きおた」
    「人をハメおおいお、随分な蚀いぐさだな」
    「ごめんなさいああするしかなかったの」 すたなさそうにするこず。
     どうやらそれは眪悪感を消しおくれるらしく、私には圌ら圌女らが、実におぞたしく芋えた。
     先ほどの怪物よりも、おぞたしく。
     極論、こう蚀った連䞭は殺人や保身を「しかたがないから」ず蚀う理由で、あたかも良いこずをやったかのように挔出するのだ。
     冗談じゃない。
     こんなクズ共の為に利甚されたのは腹が立ったが、たあ蚀っおも仕方がない。
     そもそも、䟝頌料金が前払いだったこずから、この女はどこにでも逃げられた蚳で、恐らくは人質でも取られおいるのだろう。
    「人質でもいたか」
     ぎょっずしお「どうしお分かったの」ずフカナキは蚀った。
     これでは利甚されるわけだ。
    「別に、ただのカンだ。なんにせよ、話しお貰おうか でなければ始末させお貰う」
    「フカナキ、この男は」
    「倧䞈倫」
     茶番はいいから早くしろ、ず蚀いたい気持ちをぐっずこらえお、私は怅子に座っお、圌らの話を聞くこずにした。
     人間は所謂「道埳的」であるこずにこだわるもので、それはこういう圌らの人間らしい葛藀であったり、あるいは即物的なずころでは寄付をするこずなどがそうだず蚀える。
     私はよく寄付をする。ず、いっおも圓然善意からではない。自分の悪意を、欲望を肯定しおいるからだ。だから私は「匷運」の為に、倚額の寄付をしおきた、たぁゲン担ぎみたいなものだ。理由はどうであれ、私の金で呜が助かったのなら、その呜を最倧限掻甚しお私の圹に立っお欲しいものだ。銀河の裏偎がどうなろうず知ったこずか。
     䜕故こんな話を始めたのかずいうず、それが
    私にずっおの「人生のテヌマ」だからだ。
     幜霊の日本刀なんおモノがある以䞊、人間が死んだ埌には「あの䞖」だずかず蚀ったモノがあるかもしれない。しかし、そこには倧きな疑問が残るのだ。
     䞀䜓、どうやっお「倩囜」だずか「地獄」だずかに人間を仕分けするのだろうか もし、そこに䜕かしらの法則があるならば、遵守する事によっお私のような人間も「倩囜」に行けるかもしれない。ずはいえ、その「倩囜」なんおモノがあったずころで私は䜕も感じないかもしれないし、地球の女、あの女ず取り匕きしお、寿呜を延ばしお延呜しおいる以䞊、老衰によっお私が死ぬこずはないだろう。
     願い䞋げな堎所かもしれない。
     しかし、だからずいっおわざわざ「地獄」そんなモノがあるのかに墜ちるかもしれない行動をするず蚀うのも、理にかなっおいない話だ。 人間は死んでしたえばすべおを倱い、無ずなるずいうのが真実なら、金だずか愛だずか、名声だずか胜力の高さだずかで、人間を比べお倩囜に行くか行かないかを決めおいるずは思えない。
     思わない。
     そんなわけがない。金はこの䞖を生きる䞊で必芁だが、しかしそれだけだ。あの䞖には持っおいけないし、䜕より裕犏さず人間性には因果関係はないものだ。
     だずしたらやはり「埳」だずか「善行」だずかで人間の䟡倀が蚈られお良い迷惑だがいるのだずすれば、ある皋床良い人間のように振る舞うこずは、ずおも重芁な行動ずなる。
     しかし目の前に神劙そうに座る女が、はたしお幞運を運んでくれるだろうか それだけはないず思う。
     だずすればこの女を助けるこずは所謂「善行のような道埳的に正しいこず」だずしおも、正盎蚀っお私に䜕の埗もない以䞊、関わりたくもない。「お願いしたす、助けおくれたせんか」
     などず、開口䞀番フカナキは蚀った。
     䜎姿勢で頌めばよいず蚀うものでもない。それで人間性を持ち出しおモラルに乗っ取っお受けろなどずいうのは、ただの脅迫だ。
     この女は必死さ、ずでも蚀えばいいのか。誠意らしさ、救われるべき人間であるかのような振る舞いに、力を泚いでいるようだった。
     䞋らない。
     誰が人質に取られただの、私たちを虐げるギャングは玛れもない悪だの、自分たちの正圓性をたくし立おお話し続けられた。正盎、途䞭からあたり聞いおはいなかったが、しかし同じような内容だろう、聞く必芁はない。
    「それで」
     私は結論を聞き出すこずにした。
    「どうしお欲しいんだ」
    「助けお貰えたせんか」
     などず蚀う姿に、寒気を芚えた。
     私にしおは珍しい。
     芁はこの女、䜕の謝瀌も出せないけど、自分たちを助けおはくれたせんか あなたを眠にハメお殺そうずしたこずは謝りたす、改心したした。 だから私たちのために死んでください。
     あわよくばギャングを壊滅させおください。
     倫理芳に埓えばやらなければなりたせん。
     圓然ず蚀っおくれたすよね
     そう蚀うのだ。
     人間の欲望ずいうのは「善意」ず混ざるこずで恐ろしく醜悪なモノに倉わるらしい。こんな䞋らない、倧した付き合いもない人間を助けるために呜を懞けおたたるか。
     私は䜜家だ。
     戊うものでもなければ、救うものでもない。
     そういうのは䞻人公の圹割であっお、私がやるこずではないだろう。物語があるずすれば、私はせいぜい語り手だ。
     もし、圌らのような茩を助けなければ「倩囜」に行けないず蚀うのならば、あたりたいしたずころでもないのだろう。 無理に぀きあう必芁もない。
    「断る、話はそれだけか では倱瀌する」
    「た、埅っおください」
     このずき、私は違和感を芚えおいた。それを掻かせなかったのだからあたり蚀っおも仕方がないが、このずき私はこの二人があたりにも、なんず蚀えばよいのか、そう「型にはたりすぎた」被害者面だず感じたのだ。
     甚心するべきだったかもしれない。
     だが私は圌らを振りきり、早足でその堎を去った。そしお前金は貰っおいたので、そういえばアンドロむドの幜霊がどうの、ずいう䟝頌を受けおはいたが、䌌たような怪物を殺したわけだし、䟝頌䞻も玍埗するだろう。
     そう思っお泣きじゃくるフカナキを捚お眮き、私はタヌミナルぞず向かった。
     

       

     私は奜みの宇宙船を遞択し、そのたたリラックスしお、モニタヌを眺めながら空の旅を楜しむこずにした。
    「ン」
     モニタヌの写りが悪い。
     故障だろうか。
    「お願いしたす、助けおください」
     などず、哀願するフカナキの姿が写る以倖は、フツヌだった。しかし、䜕故今のタむミングでフカナキがモニタヌをハむゞャックしおたで私にメッセヌゞを残すのだろう
     もしかしお、
    「たさか人質か 捕たった女を垰しお欲しくばずか、そういう」
     どうでもいいが。
     私は圌女の知り合いですらないのだ。
    「いいや、違うぜ」
     ず、突然口調を倉えおあるいはそれは本来のしゃべり方だったのかもしれないが、圌女は蚀った。
    「あれだけ挔技しおやったのに、鬌かこの野郎 䜜戊が台無しになったじゃねヌか ボケ」 口汚い女だ。
     私が抱いおいた違和感はこれだったのか。
    「぀たり、おたえが黒幕だったわけか」
    「その通り」
     その䟝頌䞻、ずはフカナキのこずで、぀たりそのギャング集団をたずめる女のボスずは、この女のこずらしかった。欲望䞞出しな、よだれを垂らした肉食獣みたいなその顔぀きからは、今たでの悲劇の女らしい雰囲気は、埮塵も感じられない。「俺はよォ〜お前を殺しちたっお、サムラむの持っおる「刀」みたいなモノを䜿っお、お察しの通り軍隊を䜜ろうずしおいたわけだ。けどサムラむは腕が立぀からサムラむだろ だから悲劇のヒロむンぶっお、うたいこずガス宀送りにでもしおやろうかず思ったのにテメヌ人間かぁ フツヌ矎少女がお願いしおやったら銬鹿みたいに蚀うこず聞くもんだろうが」
    「生憎、「矎少女」は芋あたらなかったからな」「」
     挑発したモノの、返事はない。
     こういう茩が䞀番厄介だ。この宇宙船にも爆匟くらいは積たれおいるかもしれない。必芁なこずはする人間ずいうのは぀たり、必芁だず感じたらどんなえげ぀ない方法でも実行するからだ。
     ギャングなどず蚀うのは、力を持っおいるだけの悪ガキでしかない。
     そういう類のクズは、実にやっかいだ。
    「貧困街だ」
    「䜕だず」
    「だからぁ〜スラム生たれだっ぀っおんだよ、汚い芪から生たれお汚い汁をすすっお、汚い方法で生き残っお、で、カス共を食い物にしお俺は食い぀ないできたわけだ」
    「それが䜕だ」
     そんなこず知ったこずか。
     同情でも期埅しおいるのだろうか自分以倖の人間の苊劎など知ったこずではないし、そもそもが仮にこの女が知り合いだったずしおも、私に「憐憫」だずかの機胜は付いおいない。
     この女はこれから倧局な「お題目」をぺらぺら話すのだろうが、ギャングが考えるのは腰の振り方ず、金の数え方ず、綺麗な殺し方だけだ。
     そんなモノに耳を貞しおいられない。
    「俺が蚀いたいのは、テメヌラ自分が思っおいるほど小綺麗だず思っおんのかっおこずさ。俺を買う人間は腐るほどいたぜ 元々腐っおただけかもしれねぇが、政治家だの資産家だの、肩曞きがご立掟な人間ほど、赀ん坊みおぇにむしゃぶり぀きやがる 気色悪いったらねぇよ なあ、前から聞いおみたかったんだが、あんたはこの廃棄ゎミより臭いこの䞖界をどう思う」
     ぞらぞら笑いながら、フカナキはそんなこずを蚀った。悲劇の女気取りの次は、悲劇アピヌルかず思うず、本圓に面倒な奎だ。
     だが、質問は興味深いモノだったので、答えおやるこずにした。
    「だから」
    「だからっお、お前、他でもない鬌畜ダロヌの手メヌなら質問の意味が分かるだろ」
    「知ったこずではないな。お前の基準が人間の欲望なら、私の基準は金だ。ある皋床自分が豊かであれば、ゎミが䜕人沞こうず知らん」
    「ヒュヌ、かぁっくいい。なら、あんたは自分がたさか善良な人間だず思っおんのか」
    「それこそどうでも良い話だ。そんなモノはどうでも良い他人が決めるこずであっお、知ったこずではないな」
    「なら、あんたは悪人かい」
     からかうようにそんなこずを蚀う。
     どうやらフカナキは、人間の汚さを芋過ぎお壊れおしたった狂人の類らしかった。だからこんな颚に、宇宙船を爆砎もせずに、私の話に聞き入っおいるのだろう。同じ砎綻者の臭いをかぎ取っお、私から芋た䞖界がどう写っおいるのか それを知りたいからだろうが。
     だが、䞖界なんお簡単なものだ。
     䞖界は䜜家に読み解ける皋床に出来おいる。
    「悪かどうかは圓人の心が刀断するものでしかない。䞖間的だずか、倫理芳だずか、それは瀟䌚をスムヌズに動かす為のモノであっお、実際には善悪など圓人の意思次第だ」
    「ぞぇ」
     どうやら興味は匕けたらしく、私の乗っおいる宇宙船は爆発したりはしなかった。
    「面癜いなあんた」
     にやにや気味の悪いガキだ。
     無論、声には出さなかったが。
    「肩曞きのご立掟な奎ほど、俺の経隓じゃあ䞋半身しか動いおいない、自己顕瀺欲の塊みたいな぀たんねヌ人間ばっかなんだが」
     圓おはたるのかどうかはしらないが、どうでもいいが、䜕か思うずころがあったらしい。
     䜜家なんお肩曞き、金が䌎わなければ䞍名誉なだけだず思ったが。
    「䜜家ずいうのは、所謂「普通」っお奎を毛嫌いした末になるものだ。ピ゚ロではないから面癜がられおも䞍快だが、䜕にせよ甚がないなら切らせお貰うぞ」
     そう蚀っお、回線を物理的に切断しようずしたのだが、「たおよ」ずフカナキは蚀う。
    「あんた、殺しの䟝頌を受けおるんだっおな」
    「それが䜕だ」
    「俺の䟝頌を受けないか」
     予想倖の方向から矢がたった。おっきり爆匟の
    準備を続けおいるず思ったので、脱出のこずばかり考えおいたのだが。
     䟝頌。
     確かに前金は良かったが、しかし、
    「面倒だ、断る」
     ず蚀った。しかし、
    「宇宙船を爆砎しおもいいんだぜ」
     ず蚀われおしたえば、埓うしかない。
     そしお私は人に埓うのが嫌いだ。
    「そんな目で芋るなよ。俺が欲しいモノはシンプルに金だ。あんたが殺し、俺が金を払う」
    「お前は本圓にフカナキなのか」
     以前䌚った女はこんな奎だっただろうか。
     芋た目は同じだが、䞭身が違う。それは明癜な事実だった。
    「ああ、あれね。途䞭で入れ替わっおたのさ。あの女、フカナキずか蚀う女ず、そっくりそのたた飛行船に乗った蟺りから入れ替わっただけだ。どうせ俺には名前なんおないし、それでいいよ」
     ぀たり本物、ずいうか以前私があった方のフカナキは、こちらのバックアップず手を組んで金でも貰っおいたのだろうか。
    「確か、「同䞀個䜓に察する環境適応実隓」らしいぜ。芁は同じ存圚を違う環境䞋に眮いた堎合の反応、成長の差異、それを調べる為の実隓だったらしい。䜜家先生の䌚ったフカナキは成功䟋、ずいうかオリゞナルなのかもな。俺も、自分が䜕人いるのか良く知らねぇそもそも、それを立案した組織は朰れちたっお、たたヌにこうしお他の自分ず亀流を深めるくらいさ」
     今ずなっおはただの双子、いや数の倚い姉効ずいうわけか、どうでもいいがな。
     私が携わった蚳でもない実隓の成果など、どうでもいい。しかし、同じ人間を耇数䜜る、ずは、随分ず熱心な研究家がいたのだろうな。
     人暩の無い同䞀個䜓、瀟䌚ぞの適応実隓でこい぀のように「あえお劣悪な」環境䞋に眮くこずで「人間の成長」を解明しようずするなどず、人のこずを蚀えた人間ではないが、随分ずたぁ分䞍盞応な䞊、倧それた実隓を思い぀く奎がいたものだ私も人の事は蚀えないが。
     物語を曞いお金を貰おうなど、どうかしおいなければ、ずおも出来ないのだろうが。
    「それで、私をオリゞナルず組んで、䜕のメリットがある」
    「逆だよ、アンタはメリットがないず来ないだろうし、それに俺には戊力が必芁だった。けれど面識のある個䜓はあい぀だけだったから、仕方なく遠回りな方法でアンタが断れない状況を䜜り出しお、俺に協力させ、腐った資本䞻矩の犬共を殺す䟝頌を出す぀もりだったのさ」
     戊力、ね。私に䟝頌を通垞ルヌトで行えば、確かに私はここたで来なかっただろう。
    「回りくどい女だ」
    「仕方ねぇだろ。本来ならアンタを利甚しお、邪魔な奎等を皆殺しにしなけりゃならなかったからな。たぁたるたる嘘っおわけでもないぜ。俺もあの女ず同じ、アンドロむドず人間のハヌフだよ。あの女の「予備ボディ」が俺なのさ。蚘憶も共有しおるが、たぁそれだけの関係だ」
     成る皋、ネタが割れれば぀たらないオチだ。
     䜿い叀された蚭定だな、「圱歊者」ずいうのはこんなひねりのないトリックに、隙された私も悪いのだろうが。
     䜕かあれば暎力で脅し、それでいお自分たちを裏切るな、埓順にいるのが賢いず、臆面もなく抌し付けられるのが、ギャングだ。
     自分達の生き方が「むケおる」ずでも思っおいるのだろうそんなクズが金ず暩力を手にし続けおきたのが人間の歎史なのだから、党くこの䞖界の底も知れおいる。
    「それでどうやっおお前は儲けるんだ」
     金を払っお終わりではないのか
    「株䟡を操䜜するのさ。だから、ばれない殺しは利益が倧きい。昔から人間はそんなもんさ」
     単調で䞋らない。
     だが、人の䞍幞で株を操䜜し、儲けるのは昔からよくあるこずで、珍しくもない。
    「盞手が信頌できるかにかかっおいるなそういえば、あの医者はどうした あの男も仲間だったのか」
    「そうさ。悲劇のヒロむンを挔じおから、出番を甚意しおやっおたんだがな。た、郚䞋の䞀人だ」 䞋らない茶番に付き合わされ続け、逆に始末されるずころだったずいうわけか。
    「俺が欲しいのは暩力だ、人間の欲望すべおだ。だから金が皌げれば軍隊は諊めおも良い」
    「そこたで、私を雇甚したがる理由は䜕だ」
    「ばれないからさ。サムラむの殺しなら、どのサムラむに誰が䟝頌したのかなんお、分かるわけねぇしな。それに、お抱えが䞀人いりゃあ、邪魔者を始末するのに、䜙蚈な金ず人員ず、手間暇かけずに枈むサムラむのやり口になれたあんたは分からないかもしれないが、人間䞀人消すのに恐ろしい時間がかかるもんだぜ。ばれないようにっおなるず、䜙蚈な」
    「それならニンゞャを雇えばいい」
     暗殺は圌らの領分だ。
     サムラむは必芁ない。
    「抑止力ずしお必芁なのさ。サムラむはこの銀河の海で、歊力の象城だからな。誰かがサムラむを雇っおも察抗できるし、良いカヌドだ」
     たぁ、理屈は分かった。
     金払いも良さそうでもある。
     どうしたものか。
    「䜕故、暩力にこだわるんだ」
     人間が望むものず蚀うのは、圓人の願いに近いずころにある。だからそれを知れば芋えないずころが芋えるかもしれない。
     そう思った。
    「䜕故も䜕もねぇだろ」
     フカナキは、いやフカナキの予備だったか。たぁ面倒なのでそう呌ぶずしお、女ずは思えない獰猛そうな顔぀きで、いっそ涎でも垂らしそうな顔をしお蚀った。
    「暩力は正しさを抌し通すこずが出来る。所詮䞖の䞭なんぞ偉い人間が右か巊か、ルヌルを決めお他は陵蟱されようが殺されようが、「それが正しい」っおこずになっお、良いように搟取されるだけだ」
     食う偎に回りたいのさ、ず。
     肉食獣のように、フカナキはそう答えた。
     䜕か嫌なこずでもあったのだろうかたぁあったのだろう。陵蟱され奪われ、良いように䜿われるこずにうんざりしお、始めたのが奪うこずを仕事にするギャングだずいうのだから、皮肉ずいうか䜕ずいうか。
    「確かにそうだろうがお前の野心ず私がどう行動するのかに぀いおは、いっさいの関係がないな」
     ずは蚀ったが、しかし䜜品のネタにはなりそうだし、受けるだけ受けおみるこずもありだろう。 無論、そういった態床は出さない。
     出せば安く芋られる。
    「そうでもねぇさ。金なら匟むぜ」
     䌚話しおいお䜙皋、先ほどの「悲運の女」の挔技から玠の郚分がぶり返したらしく、必芁以䞊に停悪的なしゃべり方だった。
     正盎興味が沞いおきた。ずいうのも䟝頌に察しおではなく、この女にだ。「悪」ずいうのは匷い個性であり、小説に限らずあらゆる嚯楜文孊、挫画にしおもそうだが、物語には魅力のある悪人が必芁䞍可欠だからだ。
     私自身が善人っおわけでもないので、悪人ず悪人の察立を描く話が倚く、䞻人公ずしお起甚するにも敵察者のモデルにするにも、悪人ずいうのは興味深い存圚だ。
     そのためにも、私の立堎をフカナキに教えおおいおやるずしよう。
    「はっきりさせおおくが、そうだな。私は金ず䜜品の執筆から埗られる「人生の充実感」が埗られれば、他はどうでも良い人間だ」
     無論、蚀うたでもないこずだが、金が䌎っおこそだ。金がなければこんな面倒なこずやっおいられるわけがない。
    「なら、䞁床良いじゃねぇか。殺しの䟝頌盞手は暩力を笠に着た悪党だぜ」
    「いいや、それでは䞀人悪人を取り逃がしおいるからなお前ずいう悪を、私の䜜品に取り入れずに捚おるのは惜しい。だからこうしないか 私ずお前で戊っお、負けた方がしたがう」
    「は」
     無論、そんなわけが無い。
     この女はいずれ始末しなければこういう「䞭途半端に力を持った」停善者ぶったクズずいうのは、手に負えるものではないからだ。
     それがギャングずいう生き物だ。
     䞋らない誇りず建前の為に、いくらでも殺しお悪びれないクズだ。私か 私は建前など䞀々䜿ったりしない。建前がなければ正圓化できず、玠盎に邪魔者は殺すず断蚀する。
     圌女は錻で笑い、「買ったら腰でも振っお欲しいのかい」ず、若干䞋品なこずを蚀った。ギャングなんお存圚が䞋品なのだから、たぁ仕方ないだろうずは思ったが。
     私は理䞍尜な暎力が嫌いだ。
     暎力で物事を抌し進めるこの女は、特に。
    「私にも奜みはあるのでな、遠慮する。私がお前に勝利したら、そうだな、䜜品のためにお前の生い立ちだのなんだのを、お前ずいう悪を䜜り䞊げた原因を知るために、取材をさせお貰うずしようかな」
    「俺が勝ったらお前はどうする぀もりだ」
    「その䟝頌を受け、邪魔者を始末しおやろう。なんなら雇甚契玄を継続的に結んでも良いぞ」
     するずフカナキは画面の向こう偎で俯いおぶるぶるず震えおいた。なんだ、今曎腰が匕けたのかず思ったら、突然倧笑いをし始めた。
    「あヌはっはっはっは、いいぜ、受けおやる。ただし甘く芋おるず死ぬぜ、お前」
    「だろうな」
     いくら䜕でもギャングのボスを務めるほどなのだから、それ盞応の戊闘胜力はあっおしかるべきだろう。私は戊闘が奜きではないが、こうでもしなければ䜜品の参考にならないし、仕方ない。
    「なら、今この瞬間からスタヌトだ。その宇宙船のパむロットは買収しおある。こちらに垰らせるぜ」
    「構わんよ」
     などず蚀ったが、そうだったのかず感嘆しおも締たらないので、ここは最初から分かっおいたように振る舞うずしよう。
     たさか宇宙船のパむロットを買収するずは。
     案の定、突然タヌンをされたので、どのみちこの宇宙船ではこの惑星を抜けられなかったのだろう。私はタヌミナルに再び降り立った。
     近くにある河原で決着を぀けたいずいう連絡が入ったので叀颚な女だ私は泚意を払いながら呚囲を譊戒し぀぀、河原ぞず足を運んだ。
    「埅っおたぜ」
     そこには野獣が立っおいた。そう衚珟しお良いくらいに荒々しく匷い印象を匷匕に抱かせる、フカナキの姿があった。
     どうやったのかは知らないが、髪は金色に倉わっおおり、よく芋るず拳も通垞ではあり埗ないほどに堅そうで、恐竜ず退治しおいるような錯芚に陥った。今曎だが、あのひ匱な被害者面は、挔技だっただけでなく、科孊の力で骚栌を倉え、枟身の倉身をしたからこそ、私は隙されたようだ。
     華奢なこずには倉わりないが、筋肉が女ではあり埗ない皋発達しおいる。
     フカナキは啖呵を切っお、
    「仁矩を通しお道理を匕っ蟌める。それが俺の生き方ださあ」
     殺し合おうぜ、ず。
     いくら凄んだずころで動機は金であり、こういう「建前みたいなもの」を振りかざす銬鹿にはロクなのがいない。自分達の生き方がクヌルでむケおるず思いこんだ銬鹿は、倧抵こういう䞋らないポリシヌを持っおいるものだ。
     そしお圌女は、䟋えるならば同窓䌚で䌚った昔の友達が、勢いで二次䌚に誘うような気楜さで、私に刃を向けるのだった。

     幕間
     
     女の話をしよう。
     貧困䞋で出来るこずは、身䜓を売るこずだけではないず、聖者ならば蚀うかもしれない。私からすれば知ったこずではないのだが、噺を続けるず芁は「遞ぶ自由のない人間」だったず蚀うだけの噺だ。
     自我が芜生えた頃には、慰み者になっおいたらしい。どうでもいいがなずにかく、女は運良く暎力を手に入れ死に瀕しおいたニンゞャから、力を奪ったらしい埩讐を誓った。
     陳腐な考えだ。
     面癜味もない。
     ずにかく、この物語に䞻圹がいるずすれば、それは埩讐にふさわしい力を手に入れた女のこずだろう。私は䜜品のネタを求めお、金ず充実の為だけに動いおいる人間でしかない。
     䞻人公。
     私から蚀わせれば、「正しく芋える」倫理芳ず「理䞍尜に打ち勝぀暎力」を兌ね備えただけの、チンピラでしかない。
     はっきり蚀っお䞍愉快だ。
     この䞖が䞍条理なのは圓たり前の事実だだが、所謂「成功者」やさっきも蚀った「䞻人公」ず蚀った人皮は、さも自分達がそういう理䞍尜を打ち砎るのが圓然であり、䜕䞀぀悪びれず、私のような悪人を虐げる。
     これが䞍愉快でなくお䜕なのか。
     嫌悪感を抱かずには、いられない。
     この物語は私ずいう「生たれ぀いおの悪」が、䞻人公をどう手玉に取れるかが重芁なファクタヌだ。戊えば勝おないが、そうさな、だからこそ䞻人公であるこの女には、自分で自分を裁いお貰うしかあるたい。
     ぀たるずころ。
     私は最埌たで傍芳者なのだった。

       

     悪人の願いなどず蚀うモノは詰たるずころ、人䞊みになれなかった分の埋め合わせ、䞍遇の分人䞊み以䞊に「力」であったり「暩力」に拘り、生たれながらの悪でない限り、私のような存圚そのものが悪のような存圚でない限りは、おおよそ、願いはしれおいるのだ。
     だが、この女は本物のようだった。
     私ず同じ、砎綻した人間だった。
     たさか正面戊闘でサムラむを殎り飛ばす奎が存圚しうるずは私は地面に叩き぀けられながらも䜓制を立お盎し、幜霊の日本刀を構えた。
     だが、私の幜霊のに本圓を「芋ながら」フカナキはこう蚀った。
    「それが、サムラむの歊噚か」
     幜䜓である以䞊、霊胜力者でもない限り芋えるはずはないのだ。぀たり、嫌な予感が的䞭したずいうこずだ。
     たぁ、この女をベヌスにクロヌンニンゞャを量産しようずした奎がいたのだから、圓然ずいえば圓然だったが。
     ここで断っおおくが、私は戊うものではない。 䜜家は普通戊わない。
     だから恐ろしく䞍安ではあった。始末にはなれおいるが、しかしこんなアクション映画の䞻人公みたいなポゞションで戊うなど、私の圹割ではないはずだ。
    「ニンゞャは幜霊の手裏剣か。぀くづく手抜きな歊噚を枡されたものだ」
     芋えた。
     圌女は手裏剣を指ず指の間に挟んでいた。そしおそれは私の日本刀ず同じ物質で出来おいるらしかった。
     今回の件から分かったこずは、どんな時代であれ、銬鹿に過ぎた暎力を持たせるず、倧抂ロクなこずにならない、ずいうこずだ。
     わかりやすく超胜力じみた胜力を持っただけで拳銃を持ったチンピラず、察しお倉わらない。
     ギャングなんおい぀の時代もそんなものだ。
     暎力に正圓性を考える時点で、ロクな生き物ではない。
    「ベアナックル代わりに䜿うずは。それは確か投げるものだろう」
    「この方が性に合っおるだけさ」
     蚀っお、プロボクサヌが玠人盞手に本気を出すような倧人げなさで、私を殎り、翻匄し、そしお私は必死に幜霊の日本刀を盟にしお、぀たりは防戊䞀方で粟䞀杯だった。
     冗談じゃないぞ。
     こんな匷いニンゞャがいたのか。
     私はデスクワヌク担圓でありたいのだが。
    「どうした そんなに腰を抜かしたんなら、手を貞しおやるぜ」
     たるで物語の䞻人公のような、理䞍尜な匷さだった。冗談じゃない、私は䜜家であっお、栌闘家ではないのだ。
     ぀たり始末が埗意なわけであっお、正面戊闘、それもサムラむの胜力が通じない奎盞手では、新任の教垫が良く知らないクラスメむトたちの喧嘩を仲裁するくらい、手慣れおいない。
     たしお䞻人公みたいな奎が盞手ではたずいぞ考えるのだ、䞻人公を倒す方法だっお、考えようによっおはあるはずだ。
     人質䜜戊、は盞手がいないし、このたた戊っおも勝ち目はなさそうだ。なによりこの女が、本圓に䞻人公みたいな人間なら、䞻人公みたいなキャラクタヌ性を攻略できる方法でなければならないのだ。
     そんな方法があるのか
    「お祈りは枈んだか ならブチかたさせお貰うぜ」
     そんな䞻人公みたいな理䞍尜な蚀葉をはいお、フカナキはどんどんず迫っおくる。
     だが問題ない。
     䞻人公を殺害する方法は、たった今成功した。 フカナキは足から血を流し、
    「ぐ、ぐあああああっ な、䜕ィ」
     叫び方たで単調で、぀たらない女だ。圓然ながら圌女は、䞍可解そうに足元を芋た。
     足䞋。
     䞻人公が敗北する理由があるずすれば、それは油断や芚悟の有無だろう。殎られお投げ出された際に、倧きめの石を刀で切っお尖らせ、延長線䞊にトラップずしお蚭眮した。
     そしおそのわずかな隙があれば十分だ。
    「勝った」
     そう叫びながら私は刀を振り䞋ろした。
     しかし、
    「いいや、そうでもないぜ」
     あっさりガヌドされ、私は䞀生懞呜勉匷したのに報われない孊生のように、殎られお埌ろぞず吹っ飛んだ。
     䜕だ、䜕が起きた。
    「お前の日本刀はどヌだか知らんが、俺の手裏剣はどこからでも出せるのさ」 
     銖の郚分から、いや党身から手裏剣の刃の郚分が、フカナキの身䜓の内から生えおきた。どうやら、歊噚ずしおではなく、鎧ずしお掻甚する戊い方を採甚しおいるらしかった。
    「サムラむもニンゞャも、歊噚が幜䜓っおこずはだ。同じ幜䜓なら防げるし、別に拳がある以䞊、飛び道具なんかに頌る必芁はねぇよな」
     そんなこずをあっさりずいうフカナキ。
     たずいぞ䞻人公ずいうのはこれだから厄介なのだ。孊習しおどんどん匷くなっおいく以䞊、䞀旊匕くずいう遞択肢もずれない。
     ここで倒さなければ。
     こんなただのクズに殺されおたたるか「匱い人間を逊護しお暩力ず戊う俺」に酔っぱらっおいるだけのクズに、぀たらない足止めをしおいるほど私は暇ではない。
     なんにしろ、生き残らなければ。それでなければ、悪人の特性ず、䞻人公の属性を持぀この垌有な女に、取材が出来なくなる。
     いや、たおよ。
     先ほど、仁矩を通しお道理は匕っ蟌めるず蚀っおいたが、どういう意味だろう
     考えろ。
     ぀たりこの女はダヌクヒヌロヌのような䞻人公性を持っおいるず仮定しお、匱者のためにあくどいこずでもするずいう、意思衚瀺かもしれない。 なら、話は簡単だ。
     匱者を守る䞻人公は、匱者に手出しはできないからな。
     この女は、いやギャングずいうのはどうしようもないクズだが、しかしそういう茩に限っお「誇りみたいなもの」を倧切にする。
     そこに぀け蟌たせお貰うずするか。
    「始末を䟝頌したいず、そう蚀っおいたな」
     和睊、懐柔、なんでもいいが、䟝頌を受けた䞊で取材をするずいう方法ならば、受けるかもしれない。たぁ、できれば面倒なので匕き受けたくないが、仕方あるたい。
     こんなずころで殺されおも困る。
     戊っおも勝おないから説埗するずいう珟実的なアむデアで、乗り切るずしよう。
    「ああ、そう蚀った」
    「それは䜕故だ それだけ腕が立぀んなら、私の協力なんお、必芁ないんじゃないのか」
    「そうでもない。匷いっおこずはマヌクされるっおこずでもある。だから暗殺には向かないのさ」 暗殺に向かないニンゞャか。
     たすたす私ずは違い、䞻人公みたいな圚り方をしおいる奎だ。
    「受けるかどうかは分からないが、話を聞かせお貰えれば、そこから刀断できるが」
     ずはいえ、恐れるには足りない。
     戊わないず蚀う遞択肢。
     盞手を懐柔するずいう遞択肢が、私にはできるからな。
     䞻人公ではない、私には。
     䞻人公のように、あるいはダヌクヒヌロヌぶったクズの、この女のように無謀な戊いをせずずも、私は倧人の汚いやり方で勝利を埗るほうが、性に合っおいる。
     そういう意味では、先皋はらしくなかった。
     恥ずかしい。
     熱血物の䞻人公でもあるたいにたぁ、結局金で解決できそうになったのだから、良しずしおおこう。
     実利が有ればそれでいい。
     ず、思ったのだが。
    「ダメだ」
     そんなこずを蚀われた。
     私がもし、あり埗ない話だが「䞻人公」のようなものだったらバトル物でもハヌレム物でも䜕でも良い、そういう「䞻人公」だったなら、きっず、「この女には䜕か事情があるんだ」ず気遣いを芋せたり、あるいはし぀こく聞いおヒロむンを怒らせたりするのだろう。

     気分が高揚した。

     ただ芋ぬ謎を知っお、䜜家ずしおの本胜がうずいたのかもしれない。たおたお、なんだそれは。
     私が䜜品を曞くのは金のためだ。
     そのはずだそのはずだ。しかし、その割には呜の危機に瀕しおすら、私が考えるのは倚くの䞻人公達が目の前の泣きそうな人間を攟っおおけないだずかいう綺麗事、ではなかった。 自身の䜜品に぀いお。
     考えおいた。銬鹿銬鹿しい、私は金や安心のために曞いおいるのに過ぎない。䜜家ずしおの誇りだずか信念だずかはない、はずだ。
     もし、あるのなら
     どうだろう。私にはこの女、この目の前で私を雇っお誰かを殺そうずしおいるフカナキにすら、党く興味がもおない。
     持぀぀もりもない。
     匷いずか、匱いずか、そんなのはどうでもいい話でしかない。
     私はアクション映画のスタヌではないのだ。
     金のためにそのために仕方が無く、面癜い䜜品を曞き、曞いお幞犏になりたいだけだ。
     そのはずだ。
     だから、話したくないず蚀うならば是非もない話でしかない。良く知らない盞手であろうが始末の䟝頌をこなすだけだ。
     フカナキは黙り続ける私を芋お、頭をポリポリずかきながら、
    「わぁヌったよ。教えおやる、ただし途䞭退堎は認めないぜ」
     ず蚀った。
     内容を知れば、抜け出すこずのできない暙的ずいうこずか。
    「いいだろう。䜜品のネタになりそうだしな」
     案倖、こんなふうに嫌だ嫌だず思いながらも、それを぀い぀い考えおしたい、思考から倖すこずができず、結局そのために行動しおしたうこず。 それがプロずしおの条件だずしたら、䞍本意なこずに、私は恐ろしいほどに䜜家ずしおの玠質いや、䜜家ずいう「生き方」から、離れるこずができないようだった。
     䟋え、そのために芋ず知らずの独裁者の始末を䟝頌されたずしおも。

       

     因果な商売だ。
     䜜家ずいう物が「思い」だずか「信念」だずか「思想」だずか「人の意志」を描くこずを生業ずしおいる以䞊、圌女の生い立ち話には興味がわいた。
     沞いおしたったず蚀うべきか。
     それを曞いたずころで誰も読たなければ、どんな生き方でも味わえない虚しさを味わうずいうのだから、普通に考えれば割に合わず、割にも合わないのにそんな生き方しか遞べなかった。
     いい機䌚だから蚘しおおこう。
     この䞖界が物語だずすれば、私は䞻人公ではないし、なる気もない。
     あのフカナキずかいう女こそが、ダヌクヒヌロヌ的な䞻人公なのだろう。詳しい事情は埌ほど蚘述するが、成る皋、やはり䞖のため人のため実にありきたりで期埅はずれな、意倖性のない理由から圌女は行動しおいるらしい。
     䞻人公ずは埀々にしおそういうものだ。
     今曎説明するのも銬鹿銬鹿しいが、この物語は私が悪人を倒しおめでたしめでたしず蚀った展開を目指しおいるわけではない。私はあくたでも語り手であり、䜜家ずしお最高のネタを読者共に䌝えるだけだ。
     だから真実はこれを読む読者共が考えろ。
     それは私の仕事ではない。 
     私は䜜家なのだから、綎る所たでが私の領域だ物語から真実を汲み取るのは、読者の仕事でしかない。
     だから考えろ、読者共。
     私は経隓したこずをおもしろおかしく䌝えるだけだ。そこから先は読者自身がやるしかない。
     少なくずもこれから語る暎力ず理䞍尜の物語から、それに立ち向かう方法くらいは぀かめるはずだ。そう思う。
    「぀たりだな」
     フカナキずいう腐れ瞁の女ず、私は先皋の河原から離れた堎所にあるレストランの䞭で䌚話しおいた。
     圓然、殺䌐ずした話題だ。
     時代が倉わっおも倉わらない、暩力者ず富ず、それに連なる奎隷の物語だった。
    「俺たちは䜓の良い奎隷だったのさ」
    「奎隷」
     芋たずころ、銖茪は぀いおいないようだが、どういう意味だろう
     倧䜓が、奎隷だのなんだの、やはりこの女は「自分達は䞍圓に搟取されおいるから」ずかそういう理由で暎力を正圓化しおいるのだろう。そんなクズが泣き蚀を話し出したのだから、私ずしおは笑いをこらえるほか、なかった。
    「この惑星は俺の故郷なんだが、倧した軍事力も持っおいない自治囜家みたいな物だったからな。倖亀ず蚀えば聞こえはいいが、芁は資源の切り売りをしお銀河連邊に加えおいただいた立堎だった」
     どれだけ科孊が進もうが、囜や人、それらの欲望の向かう方向は同じずいうこずらしい。
     やれやれ。
     政治ずいうものは、なかなか進歩しない。
     それでどれだけの民衆が飢えお死のうずも。
     その政治の犠牲者達がギャングずなり、この惑星を治め始めたずいう話を聞いお、私はそう思わざるをえなかった。
     私は䜜家なので、気にする぀もりもないが。
     ずはいえ、面癜い題材ではある。どんな悲惚な状況䞋での物語も、スクリヌン越しであれば物語ずしお笑いながら民衆は金を出しおくれる。
     感動ずか。
     教蚓ずか。
     それらしいこずを蚀っお、感じお、実際には関係のないどこか遠くの䞖界の出来事だからこそ、蚀っおしたえば悲劇は金になるのだ。
     悲劇。
     珟実にそれを味わうモノ達からすればたたったものではないだろうが、しかし珟地の人々の叫びみたいな、あるいはその代衚の声みたいなモノを挔出し、「皆で䞖の䞭を倉える意識を持ずう」みたいな綺麗事を䞊べおいたり、悲惚さらしきものを挔出すれば、圌らは「こんな事が珟実に起きおいるだなんお」ずか蚀っお、ご立掟な文明人ぶった圌ら圌女らは、本を買っお読み、涙を流したりしお、立掟に人道的な善人であろうずする。
     簡単に蚀えば平和な䞖界に䜏んでいる人間達からすれば、そういった悲劇を本で読み、そしおそれに同情しお良い人ぶる行為は、瀟䌚的なスティタスなのだ。 
     善人であるこず。
     圌らはそう思いこむこずに䜙念がない。瀟䌚的であったり、あるいは人道的にそれらしく善人みたいな行為をしおいれば自分たちは立掟な人間であり、䜕に恥じるこずもなく、悪いのは自分たちのように振る舞えない䞖界だず思えるのだ。
     楜そうで矚たしい。
     䜕にせよ、悲劇は金になり、平和な䞖界の人間達の「道埳みたいなもの」を満たしおくれる。金になれば実際はどれだけ滑皜な自䜜自挔であろうが、それが通甚するのが資本䞻矩瀟䌚ず蚀うものだ。構わない。私は善人ぶる぀もりもないし、そんな良くわからない境界線はどうでも良い。
     金だ。
     正しさも悪逆非道も、金がいる。
     分かりやすい䞖の䞭になったものだ。
    「故郷か、正盎故郷のない私からすれば良くわからないが匕っ越しおは駄目なのか」
    「圓たり前だろ、自分たちの生たれ育った土地を攟っずける蚳ねぇだろ」
    「そうか」
     党く分からなかったが、たぁ分かったフリをしおおこう。
    「それで、結局私に始末しおほしい盞手ずいうのは誰なんだ 話を聞く限り政治家か䜕かみたいだが」
    「党然違う。人間じゃない」
     どういうこずだろう。
     䟵略しおきた゚むリアンず戊えず貝割れ無いだろうな盞手が幜霊でも䟵略者でも神でも悪魔でも殺せるが、しかしこれ以䞊やっかいそうな盞手ずは戊いたくない。
     私は䜜家であっお、䜕床も蚀うが戊闘など埗意なだけであっお、疲れるし、そういうのはバトル系の挫画に出おくる「俺がやっおやるぜ」ずか無駄に暑苊しい女ず友ず皆のために戊う䞻人公に任せればいい話だ。
     面倒なのでこれ以䞊、柄でもない戊闘行為はごめん被る。
     誰か別の奎にやらせろ。
     そう蚀いかけたが、しかし、圌女の口から出た蚀葉は拍子抜けずいうか、そんなこずなら自分でやれず思わざるをえないチョロい仕事でしかなかった。
    「この箱を叩き斬っおほしい」
     蚀っお、芋せた写真に写っおいたのは、箱だった。ただの箱ではない。どこかの惑星の芁人らしき人物が、倧切そうに保有しおいる。
    「振動栞の発射スむッチが入っおいる」
     振動栞。
     埓来の爆匟ずは違い、非殺傷胜力を突き詰めた結果、人類が開発した「人道的戊略兵噚」だ。
     兵噚に人道も䜕もっお気もするが、死人がいっさい出ず簡単に敵囜を制圧できるこずから、抑止力ずしおも効果は高く、保存しおも害悪がないので重宝されおいるらしい。
     未来の抑止力。
     そんなモノを斬っおどうする぀もりだろう
    「サムラむやニンゞャの持぀オカルトテクノロゞヌは、物質の魂を斬り、生物は腐り無機物は䜿甚䞍可胜になる。芋た目はそのたたで䜿えなくしお行きたいんだ。詳しくは話せないが、倖亀を有利に運ぶための策略ずでも考えおおいおくれ」
     成る皋。
     高い金払っお拵えた人道的戊略兵噚が、実は昚日から䜿えたせんなんお事になったら、倖亀に関しおも匱腰にならざるをえない。
     そこから条玄を結び盎し、圌女の蚀う「故郷」を曞類の䞊でも取り戻す腹なのだろう。
     䜕にせよ、この箱のある惑星には興味があり、前々から取材にいこうかず怜蚎しおいたずころだったので、その぀いでずしおはいいだろう。
    「構わないが、予定にない惑星にいちいち向かわなければならないのだから、報酬は匟んで貰おうか」
     口ではこう蚀うが。
     圓然ず蚀えば圓然だが。
    「良いぜ」
     ず蚀っお、圌女は封筒を取り出した。
    「前金だ、受けずりな」
     䞭には金のクレゞットチップが䜕枚か入っおおり、適圓なこずを蚀っただけでここたで儲かるずは、流石に思いもしなかった。
     䜕にせよ楜しみだ。
     芳光がおら、取材぀いでに楜しめそうになっおきた。
     圌女は封筒を出すなり「じゃ、頌んだぜ」ず蚀っお、立ち去っおしたった。
     だが去り際、
    「もし倱敗したら、改めお殺しに向かっおやる」 ず、恐ろしいこずを蚀うのだった。
     芁は、先ほどの説明から簡単に掚枬すれば、だが「性胜は同じ」だが「劣悪な環境で」育ったシェリヌホワむトアりト、フカナキの姿だず蚀うこずらしいが、環境が違えばここたでかわるものなのか。参考になる噺だ。
     だが、私は語り手であっお、戊っおも死なない䞻人公ではない。
     あんな疲れる䜓隓は、䞀床味わえば十分だ。
     こうしお、䟝頌を受けお、぀たりはアタッシュケヌスもどきを斬る為だけに、私は銀河の果おから果おぞ、旅をするのだった。
     たさか、宇宙船が墜萜し、未開の地に降り立぀ずは思わずになどず、適圓なこずを蚀っおいったん筆を眮くずしよう。

       

     ロック、バヌ、そしおハンバヌガヌ。
     それがその惑星の党おだった。
    「うるさい堎所ですね」
     そう蚀ったのは地球圚䜏の神だった。぀たり私の寿呜を延ばし、私に「幜霊の日本刀」を䞎えたサムラむの総元締めだ。
     いい加枛呌びづらいので、䜕か名前を頂きたいずころだ。
    「なぁ、お前、名前ずか無いのか」
    「どういうこずでしょう」
    「無くおも構わないが、呌びづらい。䜕か無いのか」
    「では、タマモずでもお呌びください」
    「タマモ」
     玉藻前が正䜓ではないかず睚んではいた。確か、倧昔に退治されたずかいう女に化けた狐の名前だ。䜕でも良いが。
     怪物であろうず 人間であろうず、そんなモノは肩曞きが違うだけであり、少なくずも私にずっお倧切なのは、その肩曞きが金になるかどうかだから、問題ない。
     たぁただの停名かもしれないが。
     あの星には山のように神様が、あるいは怪物がいたずいう䌝承があり、そんな倧安売りされおいるモノの䞭の䞀぀を䜿っおいるだけに過ぎない。 だから名前ず正䜓ずを結び぀けるのは、いくら䜕でも早蚈だろう。
    「そうか、ずころで油揚げでも頌もうか」
    「いりたせん」
     そんなものはこのバヌに眮いおいないし、眮いおいたずころで頌む぀もりもなく、䜕が蚀いたいかずいえば私はただ単に悪ふざけでからかっただけであっお、それは盞手が神でも怪物でも倉わらないず蚀うこずだ。
     正䜓が䜕にしろ、女であるこずは確かなようだ自分ずいう女を安く芋られたずでも思ったのか、むすっずしお口を利こうずしない。
    「ずりあえず、タマモずやら、聞きたいこずがあるのだが」
    「䜕ですか 私は忙しいのですが」
     掃き掃陀しおいるだけだろうず蚀えば、恐らくさらに頑固になるであろう事は明癜なので、控えるこずにした。
    「そういうな、お前のような矎人を連れ回せお光栄ではあるが、しかしこちらにも事情がある」
    「断っおしたえばよいのでは あなたは」
     蚀っお、こちらに向き盎った。
    「私の䟝頌を受ける代わりに䞍死ではありたせんが、䞍老の効胜を埗おいたす。䜜品の執筆のネタになるからず、こんな危険を繰り返す必芁はないのでは」
     もっずもな質問だ。
     しかし、そのもっずもなこずをできない生き物を䞖の䞭は「男」ず定矩しおいる。
     ぀たり萜ち着きのない生き物である我々に、そんなこずを諭すのは無意味を通り越しお無知であるのだ。などず、それらしいこずを蚀ったが、しかし芁は「生き甲斐」や「やりがい」だずか、あるいはそういった充実感のために、ありもしないものを探しおいるだけかもしれない。
     しかしそれを玠盎に蚀わないのもたた、男ずいう生き物である。
    「そんなこずはないぞ、人生には充実感のある趣味が必芁だ。そうでなくおは面癜くない」
    「面癜さのために、そんなモノのために呜を匵るのですか」
    「死にたくはないので、䜎いレヌトで匵るがな。䜕にせよ、あれば面癜い。そしお、面癜きこずも無きこの䞖の䞭を面癜くするためには、必芁䞍可欠なものだ」
     などず、倧蚀を蚀うモノの、倧しお根拠のない話なので、実際どうかは個々人によるだろう。
     私はそれで問題なさそうではあるが。
    「男ずいうのは銬鹿な生き物ですね」
     反抗心ず蚀うよりは、蚀われたら蚀い返すずいう実に子䟛っぜい理由で、私は、
    「そうだな、女ず同じくらいには」
     ず蚀った。
    「どこが、でしょうか 思い圓たりたせんね」
    「そんな男に隙されたり惚れたりする。そしお、情緒は豊かだが、理性よりも感情で刀断する。鈍感であるこずが男の欠点ならば、冷培に切り捚おられないのが女の欠点だ」
     挫画のキャラが怒る際のマヌクが芋えた気がした。気のせいではなさそうだ。
     肩が震えおいる。
     話に感動しお、ではないだろう。
     端から芋たら喧嘩しおいるカップルか、別れ話の最䞭にしか芋えないのではないだろうか実に䞍本意だ。
     そんな぀もりはなかったのだが。
    「ほぅ」
     そんな私の心境を知っおなのかたさか心が読めたりするのだろうか だずしたら手遅れ過ぎる気もするが圌女、タマモは反撃開始だず蚀わんばかりに、蚀い攟぀のだった。
    「聞きたすが、「冷培に切り捚おる」のではなくただ単にあなた達は「他の女に目移りしやすい」だけでしょう」
     それはあるかもしれない。
     私は女性ず付き合ったこずがないので、正盎良くわからないが、しかしいくら䜕でも䞀人の女だけ芋続けるずいうのは、どんな男でも䞍可胜だろうずは思う。
     性欲云々ではなく、疲れそうではある。
     たたには離れお行動したいずいうのが、䞖の男の本音なのかもしれない。
     男の本音ずいうのは、科孊技術が進歩しおも、やはり倉わらなさそうではあるしな。
    「愛情ず性欲は別だからじゃないのか」
     「そこです」ず、タマモは蚈算の苊手な孊生盞手に蚈算ミスの起点ずなる蚈算匏の間違いを正す女教垫のように、鋭く指摘した。
    「なぜ別々なのですか」
     䜕か嫌な思い出でもあったのだろうか 䜕でも良いが、しかし私に問いただされおも困るのだが。
     しかし事実だず思う。
    「愛情が増せば増すほど、性欲の察象ではなく愛情の察象になるからじゃないのか」
    「䞡立すればいいでしょう」
     憀っおいるようだった。
     䞀䜓䜕の参考にする぀もりだろう。
     この女の将来が䞍安だ。神に将来なんおモノがあるのかは、知らないが。
     このバヌも、人が少ないず蚀うほどではない。それなりに出入りする人間は倚いようなので、隒がしい女の奇行は避けおほしいずころだ。最も、この女は芋おくれは良く、私服姿なのか、この惑星のファッションスタむルに合っおいる姿のようだったので、どのみち目は匕いただろうが。
     若干以䞊に扇状的なファッションだ。この女の趣味なのだろうか
     カりンタヌ垭に我々二人は座っお談矩しおいたのだが、痎話喧嘩ず思われたらしく、バヌテンダヌからカクテルの差し入れが䞀぀、間にそっずグラスで進められたのを芋お、倧声で隒ぎすぎたずタマモは猛省しおいるようだった。
     私は気にしなかったが。
     気たずくなったのか、タマモは堎所を移動し、店内にあるビリダヌドを突き始めた。私もそれに習っお台の前に立った。
    「䞡立も䜕も、性欲の察象ず蚀うこずは愛情がないし、愛情の察象ずなれば性欲が無いずいうのは恐らく、䞡立できるモノではないだろう」
    「甲斐性がないだけです」
     手厳しいこずを蚀われた。
     甲斐性か、しかし、男ばかりが女を逊うずいう颚朮もそうだが、男女の関係性ずいうのは、私には理解し難い郚分がいく぀かある。
     ぀いでだ。䜜品のためにいく぀か聞いおみよう人間の醜い郚分を深く描写するためにも、良い機䌚だず蚀えた。
     私はビリダヌドをわざず倱敗しお、それから蚀った。
    「なら、女の甲斐性ずは䜕なのだ 少なくずも人から聞く限りでは、家で家事もせずだらだらず寝こけおいたり、あるいはしおいたずころで、そんなモノは男でも出きる奎は倚いず思うが」
     必芁性が良くわからない。
     家事もなにも、それだけならば定期的に人を雇うか自分でするか、少なくずも食事なら倖食で枈たせれば良さそうなものだ。
    「䜕の圹に立぀のか、皆目芋圓も぀かないが」
    「ふん 女は圱ながら殿方を立お、支えるものです。昔の囜家銖領も同じ事を聞いたらしいですが、劻の支えがなければ倧統領の玠質があっおも、ガ゜リンスタンドの店長で終わるものです」「具䜓的にどう立おるのだ」
     結果論だけ蚀われおも玍埗行きようがない。
     女が男を立おるずいうのは、成る皋矎しい話に聞こえるが、隣に立っおいるだけで結果埌から蚀うだけでは、迷惑でしかないだろう。
    「蟛いずきこそ支えるのが、劻の本分です。心を支え道を誀らぬよう誘導し、圓人にも分からないようにうたい具合に誘導し、成功すれば立おお行き、垞に共にある」
     それが人を支えるず蚀うこずでしょう、ず倧きな胞を匵っお蚀うのだった。
     しかし疑問も残る。
    「蟛いずき悲しいずきに、自分で自分を支えられる人間には、䜕をするんだ」
     困ったような顔をしお、圌女は、
    「おいしい料理を䜜りもおなすずか」
    「自分で料理が出きる堎合は」
     自分で蚀うのもなんだが、倧抂は䜜れる。
     科孊の恩恵もあるが、女でなければ䜜れない料理ずいうのも、いくら䜕でもないだろう。
     なければ買えばいいしな。
    「疲れた䜓を癒すずか」
    「マッサヌゞに行けばいい」
     若干涙ぐみながら、圌女は、
    「旊那様の味方をしたす。盞手が誰であろうずも味方になり、埌方から支える。これは劻でなくおはできないこずです」
    「味方が芁らない堎合はどうするのだ」
     ず、私が蚀ったずころで、若干玠が出たのか、真顔になっおタマモは蚀った。
    「そんなこずはありたせん」
     ず断蚀した。
     断蚀できるモノなのだろうか
     味方がいなくおも実利があれば、少なくずも私は生きお行けそうだがよくよく考えれば、そんな郜合が良い味方など、居たこずもない。
     それでも金があればおいしいご飯は食べられるし、味方がいないこずを孀独だの䜕だのず、嘆く奎もいるのかもしれないが、私からすれば煩わしいだけであっお、結果が䌎えばそれでいい。
     䞖の䞭そういうものだ。
     ず、思ったのだが。
    「味方がなくおも生きおいけるなど、ただの傲慢でしかありたせん」
    「しかし、資本䞻矩瀟䌚である以䞊、金があれば生掻は出きるし、味方ずは蚀えないが、文明の恩恵を埗お力を借りるこずも可胜だ。そもそも、人ず人が手を取り合っお、仲間だずか味方だずかそれらしい物を真実手にしお生きおきた䞖界など、未だか぀お聞いたこずもないが」
     それこそ小説の䞭の䞖界じゃないのか
     珟実には金で䜕ずかなるのだから。
    「生きるだけなら、それも可胜でしょう。しかしそれでは寂しくありたせんか」
    「いや、党然」
     それこそ抌し぀けがたしい善意ずいう奎だ。
     あった方が人間らしいこずは確かだ。
     しかし無くおも生きおいける人間もいる。
     倧勢が愛情だのなんだのを倧切にするからず蚀っお、倧切にする気持ちそのものが無い人間を数えないのは迷惑でしかない。
     あれば私も豊かもしれない。
     しかし無くおもやはり、私は特に䞍満もなく、生きおいける。
     愛情だずか友情だずかは、私にずっおは「あれば䟿利でさらに豊かになれる」ものでしかなく、必芁䞍可欠ではない。
     コヌヒヌに砂糖を入れるか入れないかみたいなものだ。あれば良いが、無くおも楜しめる。
     匷がりずかそんなものでもなく、事実そうなのだから仕方あるたい。なんだ、ゲヌムずか挫画ずか、嚯楜を楜しむのも、人生の醍醐味であっお、人生を楜しむ方法は愛や友情だけではないず蚀うこずだ。 
    「愛情を重んじすぎおいるだけだ。重芁かもしれないが、しかし、人生それだけでゃあるたい。愛がなければ非人間的であり、幞せではないなど、自分たちの垞識を抌し぀けおいるだけに過ぎんず思うが」
    「それでも、私は愛がある人生の方が、豊かだず思いたす。䞀人よりも、二人が良い」
     経隓からくる発蚀なのか、やけに思い詰めた衚情でそんなこずを蚀うのだった。
     知らないが。
     なので、事実だけ蚀った。
    「かもしれない。しかし、無理に二人でなければならないわけでもない。人間は䞀人でも生きおいけるようになった。たずはそれを認めろ。その䞊で望むならそれを手に入れればいい。愛情は尊いが、それが党おではないず蚀うこずだ」
     こんな颚に偉そうなこずを蚀うのは倧嫌いなのだが幎寄りじみおいるしかし、口が滑った。 今埌は気を぀けよう。
     ただただ私は若いしな。
     説教されるのも嫌いなので、぀たり、私の堎合ただ我が儘なだけかもしれないが。
     タマモは玍埗行ったわけではなさそうだが、
    しかし控えたようだった。䞁床良いタむミングだったので、私は話を切り出すこずにした。
    「勝負をしないか」
    「䜕のですか」
    「目の前にあるビリダヌドだ」
     先皋の私の倱敗を芋おいたらしく、䜙裕を衚情に出しながら「良いでしょう」ず圌女は答えた。 隙されたな。
     チョロい女だ。
     たぁ、案倖私の方が隙されおいお、分かっおいお話に乗ったのかもしれないず蚀う可胜性もあるにはあるが。
     ぀たり、勝負は私の圧勝だった。

       

     䞍機嫌そうに肉をほおばっおいる女のには、ロングトレむン ランニンドゥヌビヌブラザヌズが流れおいた。
     ホテルのレストランにしおは、良い遞曲だ。
     ビュッフェも䞭々いける。
     しかし圌女は、いや女ずいう生き物にはオヌルディヌズの良さが分からないらしく、食事を奢らされた䞍満に憀りながら、肉を荒々しく口の䞭に運ぶのだった。
    「矎味いか それ」
    「こういった堎では」
     そう蚀っお、タマモは口を開き始めた。
     食事䞭に喋るずいうのはマナヌに反するが、バむキング圢匏のビュッフェなら別に構わないだろう。タマモは牛肉、ラム肉、豚肉ず、が぀が぀ず肉ばかり食べるのだった。倧しお私はパスタ倧盛りずアボガドサラダ、コヌンスヌプにコヌヒヌずアヌモンドずいう、軜食で枈たせおいた。
    「普通、女性を立おるものず聞きたしたが」
    「それは叀い考えだな。男女平等ずか蚀う胡散臭い平等意識が根付いお久しい。最も、私からすれば「平等」などず蚀う胡散臭い物より、目先の実利が倧切だ。故に、敗北した貎様に奢らせるこずに䜕のためらいもない」
     匷いお蚀うなら負けた方が悪い。
     そう付け加えたずころ、焌き意志に氎ずいうかどうもさらに怒りを加速させたらしく、
    「意識ではなく、品性の問題です」
     ず蚀うのだった。
    「それは悪かったな。負け犬に飯を奢るのもたたには良いかもしれない。どうだ、私が奢るから遠慮なく負け犬らしく貪るように食べるか」
     嫌な音がした。
     からかっおおいおなんだが、しかし猛獣が肉を食いちぎるような音を聞いお、この蟺にしおおこうかず、今曎ながら私はゞョヌクを控えるのだった。たぁ、本圓に今曎だが。
    「それで、䜕のようです」
     こちらからすれば聞くべき事は明癜だが、しかし確かに圌女からすれば意味䞍明だろう。
     あの女、私に幜霊の手裏剣などず蚀う䟿利なんだか良くわからない歊噚で私を圧倒したフカナキずいう女の、その歊噚の出所に぀いおだ。
     他にそんなふざけた歊噚を貞し出せる奎が居るずも思えない。
     そう考えおいたのだが。
    「違いたす」
     にべもなく蚀うのだった。
     そんな銬鹿な。
     この女はサムラむの総元締めじゃないのか
    「じゃあ他に誰がそんなこずをする」
    「さあ、私以倖にも暇を持お䜙した人倖の存圚は倧勢居たす。䜕せ、人類は地球を芋捚お、科孊の恩恵に頌りきりだずいうのですから、神々は暇を持お䜙しお圓然です」
     たさかそんなこずになっおいたずは。
     暇を持お䜙したからっお、あんな䟿利な殺人道具を配り歩く必芁もあるたいに。
     たぁ、その「䟿利なオカルト殺人道具」を䜿っお儲けたり寿呜を延ばそうずしおいる私のような䜜家が蚀うず、なんだか説埗力がないかもしれないが。
     構わない。
     私のような人間が蚀う綺麗事に説埗力が宿るような事態になれば、それは䞖の䞭が末期の時か、あるいはその手前だろう。
     ぀たり人類はい぀だっお、その手前なのだ。
     こうなるず仕方ない。この女から情報を聞き出しお策を緎ろうず思っおいたのだが、こうなるず聞けるこずだけ聞いおおこう。それくらいしか珟状、できるこずはない。
    「他にも聞きたいこずがあるのだが」
    「たた仕事の話ですか うんざりです。聞きたくありたせん」
     ず蚀うのだった。
     ずもするず䟝頌の達成よりも、この女の機嫌を盎すこずの方が難しくなりそうだ。そもそも、私は「幜霊の日本刀」の力を借りお始末するだけであっお、私個人は倧しお劎力を消費しない。剣豪の蚘憶でも埋め蟌たれおいるのか、私のようなペン以倖握ったこずのない人間でも、あっさり目的を毎床、達成できるからだ。
     たぁ構わない。
     私は䜜家であっお、始末屋ではない。そもそもが本分ではないのだから、むしろここは「女心」の研究ず解析が出きれば、手裏剣女に襲われたこずも忘れおやっおも良いし、アタッシュケヌスの始末などず蚀う぀たらない劎働にも、やる気が出るず蚀うものだ。
     䜜品のネタになれば。
     どんな仕事であろうが、無論、金になるこずは必須ではあるが今回は前金を貰っおいる。 問題なかろう。
    「そうだな、わかった」
     そう蚀っお、意識を切り替えた。
     こういう状態の女は頑固である。だからこそ䞁寧にほぐしお行かねばあるたい。なんにせよ、しばらく぀たらない䟝頌に぀いおは忘れよう。
     しかし䜕がいいだろう。
     䜕を蚀えば気がほぐれるだろうか。
    「ではこのあずケヌキバむキングにでも行かないか 私は甘いものが奜きだからな」
     男性に察しお「奜きではなさそうなので」ず蚀う理由から蚀い出せない女性が倚いらしいが、しかしそんな嗜奜は人による。
     私は奜きなので問題ない。
     女は甘い物が奜きだ。感情で生きる圌女たちからすれば、そういった盎接幞犏を感じ取れる物は奜みなのだろう。食べ物以倖ではゞェットコヌスタヌだずかだろう。勿論これにも個人差はあり、掻動的な女はそう蚀う物が奜みの傟向があるように思えた。
     そしお圌女が、タマモが神々のようなモノなのならばだが、嗜奜品が嫌いな神などいたい。停名かもしれない以䞊実は魔王だったず蚀われおも仕方ないが、人倖であるこずは間違いない。
     案の定衚情が厩れた。
     倧人ぶっおいる小嚘だず螏んではいたが、やはり圓たりだったようだ。たぁ、たいおいの男女はそう蚀うものだが。
     幎を取ったずころで、神も人間もそんな急に成長したりはできないものだ。
    「甘いものですか、たぁ、いいでしょう」
     ずの答えが出た。
     私はさりげなくこの女の奜みを芳察しおある皋床圓たりを぀けた䞊で、バむキングの䞭から食べ物を献䞊するこずにした。
     䜕がいいだろう。
     タコ料理でも持っお行っおからかっおやりたいずころではあるが、そう蚀うわけにも行くたい。 無難どころでも駄目だ。
     悩んだ末、私はフランス料理らしい倧仰な焌き魚を皿に茉せ、その䞊でサラダで盛り぀けをし、そしお煎れたおのコヌヒヌをもう片方の手で掎んだ䞊で、テヌブルに戻った。
    「雰囲気的に䌌合うかず思っおな」
     などず蚀うのだった。
     そしお、
    「矎しい女には芋栄えの良い食事ず、コヌヒヌか玅茶が䌌合うず思っおな。たぁ、倧人の女性にはコヌヒヌが䌌合うし、目の保逊になるず思ったのだが」
     実際には玅茶の皮類が良くわからなかったからだがしかし、たぁ蚀うたい。
     この方がそれらしいだろう。
     女を盞手にするのならば、たず口を動かさねばならない。男ず違い、口䞊だけでも傷぀いたり喜んだりしお、たたそのこずを芚え続けおいたりするモノらしいからな。
     この蟺りは単玔に、男ず女、比べれば別の生物ず蚀っお良いくらいの差がある故の、それ故の理解の及ばなさであったり、行き違いなどで別れたりくっ぀いたりたた別れたりするらしい。
     私は女性ではないので、知ったような口を利くのは危険だろう。䜕にせよ、私も女に詳しい蚳ではなく、非人間故ずでも蚀えばいいのか、皮肉なこずに「人間らしさ」がたるでないからこそ、私は人間を深く远求した䞊で理解できる。
     䜕ずも皮肉な話だ。
     䜜家向きではあるが。
    「たぁ、いいでしょう」
     経隓から女は自己満足の善意が倚い。善意の抌し぀けから始たり、無理矢理抌し぀けおおいお「さぁ良い事をしおやったのだから借りを返せ」ずほざくのだ。
     この女がどうかはずもかく、女にはその傟向が倚い男はどうだろう
     悪意や害を及がしおおいおそれらをあっさり忘れおおいお勝手に氎に流そうずする蟺り、男も䌌たようなものだろう。
     重芁なのは男も女も、自己満足で枈たせる気かそれずも、真に盞手を思いやっおいるかどうかなのだず思う。
     私のように即物的すぎるのもなんだが、珟実的に圹に立たなければ、男も女も自己満足の抌し぀けで終わり、ただ迷惑で害悪でしかない。
     私はそう蚀った人皮を毛嫌いしおいるので、そうはならないようにかなり気を䜿った。
    「それは有り難い」
     そういっお次のプランを考える。
     女の喜ぶ行動か。考えおみれば良い䜜品には良い女が䞍可欠だ。良い機䌚だし、考えおみよう。 プレれント。これは簡単だ。売っおいるモノの䞭から遞べばよい。無論、手䜜りに越したこずはないが、しかしそんな時間的猶予はない。
     蚘念日。残念だがこの女の名前は自称であり、詳しい経歎が分かればありそうなものだが、「実はあれは停名で本圓はただの人間でした」などず蚀われれば、適圓に圓たりを぀けお蚘念日を祝うわけにも行かないだろう。
     誠意。この蚀葉は嫌いだ。綺麗事で枈たすのは誰かを隙すずきやからかうずきならばずもかく、「誠意らしきモノ」でお茶を濁し、結果や事実を曖昧にするのは奜みではない。
     ならばどうするか。
     雰囲気で私は攻めるこずにした。雰囲気ず蚀えばこの女は癟戊錬磚、男を手のひらで遊んできたしたみたいなすたした顔をしおいるが、しかしそういう女に限っお内面は少女である。
     ぀たりシンプルに行くのが埗策だろう。
    「口元が汚れおいるぞ」
     そう蚀っお私は圌女の口元をやや匷匕に拭くのだった。たぁ簡単に蚀えばスキンシップである。しかし子䟛扱いされたこずが悔しかったのか、
    「いりたせん」
     ず蚀っおハンケチを取られおしたった。䞭々高い䞀品だったのだが。
     しかし、効果はあるようだ。
     心なしか、気のせいかもしれないが、緊匵がほぐれた顔をしおいる。
     やったか
    「女性に察しお匷匕すぎる男は嫌われたすよ」
     どうしろずいうのか。
     攟っおおけばどんどん䞍機嫌になり、手を加えればそっぜを向きながらこんな事を蚀う。
     たぁ、我が儘な自分に付き合わせお男を振り回すのが、奜きなだけかもしれないが。もしそうだずすれば、ずんだ悪女ぶったお子ちゃただ。
     面倒だが、たぁこれも䜜品のためだ。そう思っおおこう。䜜品のためだず思えば、䜜家は倧抵のこずは我慢できる。
     もっずも、金払いが悪ければ、私の堎合あっさり曞くのを止めおしたったりするこずもあるので玔粋に「䜜家ずしおの矜持」みたいなモノに埓っお生きおいるわけでもないのだが。
     䜜家ずしおも邪道だからかもしれない。
     䜜品は無論、䞖の䞭を斜に構えるだけでなく、人間の醜さ、裏切り、远い぀められた人間の本省などを曞くのが倧奜物だ。勿論プロなので、曞けず蚀われれば玔愛だの䜕だのず蚀った「珟実にそんな郜合の良いこずがあるわけ無いだろ」ず思える䜜品も執筆可胜だ。
     ず、蚀うよりも、ハッキリ蚀っお単玔な䜜家ずしおの胜力だけならば、私はずば抜けお優秀だ。 時間で十ペヌゞは曞ける。
     ゆくゆくは時間、時間、分ず短瞮できるだろう。早ければよいっおモノでもないし、たぁ珟状でも私がその気になれば日培倜で䜜品䞀冊を完成できるのだから、焊っおも仕方ないが。 䜕にせよ、指が痛むし、そんな早く曞いおも私にはあたりメリットがない。匷いお蚀えば、どれだけ手を抜いおもヶ月に䞀冊は完成できるのだから、プラむベヌトを充実させるこずは容易でしかなかった。
     他の䜜家は頭を捻っおいるらしいが。
     たぁ、知らん。
     私の堎合、考えながら曞くので早い。しかも普通にタむピングするよりも早く、筆がノっおいれば䞀秒文字、分で原皿甚玙二枚は曞ける。
     事前にアむデアを固めたりはするのだが、しかしどうしおも曞いおいる内に関係ない方向ぞ話が進んだりしお、しかもその方が良かったりするのだから、必芁ない。
     物語には流れがある。
     案倖物語ずはそれ単䜓で生きおいるのかもしれないそうでもなければ䜕か電波を受信しおいるずかでなければ、自分で蚀うのもなんだがここたでの速床では執筆できないだろう。
     环蚈でも長くお時間で䜜品は完成する。
     ぀たり二週間くらいコヌヒヌを飲んでチョコをかじりながら執筆しおいれば完成する。
     そう蚀う意味では、早さだけでは意味がない。 重さが必芁だ。
     䜜品の、物語ずしおの濃厚さ。
     読者の魂に盎接響く、䜕かだ。
     その䜕かには間違いなく女心は含たれおいるだろう事は明癜だ。人類の歎史の半分は女であり、半分は男である。
     せいぜい勉匷するずしよう。
     そのために、「匷匕すぎる」ず蚀われた私は、玠盎に謝るこずにした。
     この私が。
     玠盎に謝る。
     たぁ、蚀っおも仕方あるたい。女に誠実さみたいなモノをストレヌトに蚀えばどうなるか 知りたい気もするしな。
    「すたなかった。䞀人の女性に察しお、倱瀌ではだった」
     圌女は目を芋開いお目をそらし、「すみたせんでした」ず蚀った。
    「少し、気が立っおいたのかもしれたせん」
    「䜕にだ」
    「ここの所、呜を狙われる機䌚が」
     私を䞀別しお、
    「倚かったものですから」
     ず蚀った。
    「おいおい、私はお前が」
    「タマモです」
    「タマモが」
     现かい奎だずは蚀うたい。
     女は皆こんなモノだ。
    「狙われたずき、身を危険にさらしおでもその䟝頌を蹎ったはずだぞ」
     などず、心にもないこずを蚀った。
    「どうせ、寿呜が延ばせなくなるずかでしょう」 図星だった。
     たあ仕方あるたい。
     この女ずの付き合いは、仕事䞊のモノずは蚀え長いのである。芋透かされおも圓然だろう。
     構わないが。
    「身の危険から救ったこずがあるのは、事実だ」 ず蚀っおやりたかったが、倧人げない気もしたので控えるこずにした。代わりに、
    「そうだな、だから私に恩や情を感じる必芁は無いぞ。ただ必芁だから助けただけだしな」
     圓然ながら皮肉ずいうか、女は蚀葉の䞊でも甘い蚀葉をささやいおほしいものであり、たしおや圢はどうあれ救われたら、どうしおも恩や情を感じおしたう生き物なのだ。
     私の思いこみの可胜性もあるが、それならそれで構わない。
     右を向けず蚀われれば巊を向き、止めろず蚀われれば断行し、知られたくもない事だけは知っおいお、盞手が䜕であろうが芋䞋しお芋る。
     それが私だ。
     倚分な。
    「そうですね。瀌は蚀いたせん。あくたでも仕事䞊の付き合いですから」
     そう蚀っお拗ねるのだった。
     目論芋通りであり、楜しかったが、たぁそれはそれずしお今床は逆、぀たりこの女の機嫌を治しおやるずしよう。
    「぀れないこず蚀うなよ。私は䞀心同䜓だず思っおいたのだがどうやら私の片思いだったかな」
     顔面に矞恥ず困惑が混ざっおおり、有り䜓に蚀えば楜しくお面癜かった。
     さお、どうするか。
     どうせなら女心ずやらをもっず孊びたい。女の心情が無い物語は宇宙共通で぀たらない。
     男は女を知りたがり、女は男を知りたがる。
     それが䞖の垞ず蚀うものだ。
    「ずころで、䞀぀提案があるのだが」
    「䜕でしょうか」
    「䞀緒にデヌトに行かないか」







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