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Photo bylucky_dunlin2021

第二十二話 背䞭に浮かんだ鬌の䞊に

    第䞀話はこちら

    「わヌっしょいわヌっしょい」
    灰原が韍岩穎ぞ球を投げ入れた瞬間から始たった熱狂の枊は激しさを増し、ごく自然に投手の胎䞊げが始たった。苊笑いした灰原が䜕床か胎䞊げされたずころで、西の空から聞き慣れない音が響いおきた。

    ババババババババ  。

    その音の正䜓は、真っ黒に塗装されたヘリコプタヌのロヌタヌ音であった。ヘリが灰原たちから離れたずころで高床を䞋げるず、䞭から瞄梯子が降りおきた。瞄梯子が䌞びきり、それを䌝っお陞軍ず同じ緑地の迷圩を着た人圱が降りおくる。地面に降り立ち、灰原たちのほうに向かっおきたその人物は......子宮曞蚘長リンであった。

    リンの姿を認めるや吊や、興奮の真っ只䞭にいた子宮解攟軍が䞀斉に敎列し始め、敬瀌をしお埅機する。それたでの雰囲気ずは打っお倉わり、呚囲を静寂が包み蟌んだ。瞄梯子を降りおから静かに歩みを進め、敎列した女性たちの前に立ったリンは、呚囲を芋枡した埌に口を開いた。

    「皆、随分心配させちゃったわね。皆が頑匵っおくれおいる䞭、匕きこもっちゃっお申し蚳なかった。私たちが䜜り䞊げおきた事業が今日もうたく回っおいるのは、ひずえに子宮解攟軍の皆がしっかり働いおくれるおかげ。改めお瀌を蚀うわ。最近はあたりスピっぜいこずを蚀わないようにしおいたけど、今日、この日に球投げが成功したこずは、島に眠る韍が目芚めた蚌。蟛いこずもあったけど、これからは必ず皆の掻動がうたくいっお、理想の䞖界が実珟するはずよ。今日はその『予祝』に盞応しい日。今倜の打ち䞊げは私の奢りよ」

    リンが子宮解攟軍の女性たちを劎い぀぀打ち䞊げ費甚の負担を宣蚀するず、列からは歓声が匟けた。女性たちはその列を維持したたた匐岐神瀟の駐車堎ぞ向かい、控えおいたバスぞず乗り蟌む。韍岩からするず島の逆偎にあたる、西郚の海沿いに䜍眮しおいるホテル「匐岐りェルネスステむ海韍」に移動するためだ。このホテルは、子宮曞蚘長リンが䞻催するプログラムを卒業した者の間では忘れられない堎所ずしお共有されおいた。参加者が地獄の蚓緎をやり遂げるず同時に花束ず劎いの蚀葉をかけられ、その埌匐岐りェルネスステむ海韍に移動しお盛倧な祝宎に参加するのである。参加者は号泣し、新しい自分に生たれ倉わったこずを自芚する。

    「予祝パヌティヌ」には芳客も招埅され、桃井、灰原、須藀の䞉名もバスに乗り蟌んで移動した。ツアヌチケットで指定されおいたのもこのホテルであり、䞉人は元々同じ堎所ぞ移動する予定ではあった。球入れに成功した䞻圹ずしお呚囲からの接觊が止たらない灰原は、䞍枬の事態を避けるために桃井、須藀ずは別のバスに乗り蟌み、以降も極力別行動を取るこずにした。

    桃井たちが乗るバスが匐岐りェルネスステむ海韍に到着した時には、子宮解攟軍の女性たちを乗せたバス矀が既に停車しおおり、そこから迷圩服を着た女性たちが次々ずホテルの入口ぞ吞い蟌たれおいくのが芋えた。ホテル入り口の䞊では、巚倧な韍の胞郚が客を出迎えおいる。匐岐島西郚にある湯䞋湟の呚囲には、その名の通り倚くの枩泉宿が䞊ぶ。その䞭でもひずきわ倧きなホテルが匐岐りェルネスステむ海韍であり、10階立おの宿泊棟がいく぀も䞊んでいた。桃井たちが向かった宎䌚堎「逆鱗」は500名以䞊を収容できる倧広間で、畳の䞊に乗った座卓には、既に前菜が準備されおいた。

    桃井ず䞊んで腰を䞋ろした須藀が、座卓に茉っおいた品曞きに目を通しながら「予祝ずいうず、先に祝っおおくこずで結果を匕き寄せるっおいうスピリチュアル甚語ですよね。自分を鍛える路線に移っお久しい子宮曞蚘長から出おくるのは意倖でした。」ず話すず、桃井が「リンも根はスピリチュアル奜きだからね。テンションが䞊がった時に぀い出ちゃうのよ。」ず長幎の友人に぀いお語るような口調で解説した。二人が話しおいる間にも宎䌚堎には続々ず人が流れ蟌み、空いた座卓を埋めおいく。ほが党垭が埋たっおから15分ほど経った頃、真っ赀な着物に韍の柄の垯を締めたリンが入堎し、䌚堎の前でマむクを握った。

    「皆、い぀も本圓にありがずう。今日は久しぶりにスピっぜくいかせおもらうね。理想瀟䌚の実珟を祝っお、匥栄いやさかヌ」

    リンは「『完敗』に通じる『也杯』は戊埌に䜜られた蚀葉で、戊前は『匥栄』ず蚀っおいた。この蚀葉は匷力なため、戊埌GHQによっお封印された」ずいう陰謀論ず結合されおスピリチュアル業界で流行した「匥栄」を䜿っお也杯の号什をかけ、それに応じた掛け声が宎䌚堎党䜓に蜟き枡った。その埌は地元の食材を䜿った料理ず共に匐岐島名産の麊焌酎やクラフトビヌル、日本酒などが振舞われ、蚓緎プログラムの思い出や匐岐島のこれからに぀いお語る声で倧広間が埋め尜くされた。喧隒の䞭で桃井は食事を進め、リンの様子をうかがう。

    リンの呚囲には子宮解攟軍の女性たちで黒山ができおおり、その䞭心には困った様子の灰原が座っおいた。奇跡を成し遂げた人物ずしお、圓然ながらリンず匕き合わせられたのだ。灰原は「どこかで芋た顔ね」ずリンに話しかけられ、「いえ、たたたた来おみようず思った日が祭りだっただけで  」などず誀魔化しおいた。その埌も灰原は䌚話や腕盞撲に応じおいたが、い぀の間にか䌚堎から姿を消し、須藀ず桃井のLINEに「根掘り葉掘り聞かれるず困るのでここで退散したす。あずはよろしく」ずメッセヌゞが飛んできた。

    食事の提䟛が終わった埌も宎は続いたが、倜が曎けるに぀れ䞀人二人ず䌚堎を去っおいった。午埌十時を過ぎ、倧広間に残っおいる人も少なくなった頃合いでリンが立ち䞊がった。幹郚ず思われる女性を数人匕き連れたリンは、そのたた䌚堎の倖ぞず移動しおいく。桃井ず須藀は顔を芋合わせ、やや距離を空けおリンの埌を远った。リンず数人の女性は特に寄り道するこずもなく゚レベヌタヌに向かい、スむヌトルヌムのある最䞊階ぞず䞊がっおいった。倉わっおいく階数衚瀺を芋ながら桃井がこの埌の方針を瀺す。

    「スむヌトず蚀っおも、ここのはそんなに济宀が広くないのよね。気心の知れた仲間ず入るなら倧济堎に来るはず。ここにいおも仕方がないから、お颚呂に入っちゃおう。」

    はやる気持ちを抑えお二人はホテルの郚屋ぞず戻り、入济の準備をしお济堎ぞず移動する。この時間垯は宿泊者限定のためか、宎䌚堎にいた人数に比べるず入济者はさほど倚くなかった。須藀が䜓を掗いながら济堎内を芋枡すず、遠目ながらも露倩颚呂に入っおいるリンの姿を確認した。桃井に小声で「桃井さん、あれ」ず知らせ、心臓の錓動が早くなるのを感じながら窓際の济槜ぞず移動する。暪目で露倩颚呂の様子を芋ながらも、䜕くわぬ顔で枩泉に挬かる。緊匵は解けないながらも䜓が枩たったのを感じた頃、呚囲の女性ず談笑しおいたリンが突然立ち䞊がった。匕き籠もっおいる間も鍛錬を怠っおいなかったず瀺したいのか、䞊半身に力を蟌めおいる。リンが䞡腕を暪に突き出すず背䞭の筋肉が膚匵し、たるで鬌の顔のような圢盞を芋せた。

    その背䞭の䞭倮に、䞡手の芪指ず人差し指で䜜った䞉角圢の䞭に「極」ず曞かれた入れ墚が入っおいた。

    須藀が桃井ず目を合わせお頷く。須藀はその図柄を目に焌き付けるず怪したれないようにゆっくりず济堎を脱出し、その埌は急いで郚屋に戻った。iPadを起動し、むラストツヌルぞ蚘憶を移し蟌んでいく。桃井が猶ビヌルを飲みながら芋守る䞭、完成したむラストをDiscordぞずアップロヌドした。

    「リンのタトゥヌ確認したしたこんな゚ンブレムです。」

    須藀がアップロヌドした画像に、早速「芋事ですね」「さすが矎倧」「䜕かの秘密結瀟のや぀」ずいったリプラむが付いおいく。

    りォッチャヌが怜玢ず掚理を始める䞭、蔵田から「あヌやっぱり  」ずいう返信が付いた。

    蔵田の脳裏に、教祖の「極䞊ですかヌ」ずいう呌びかけに応じお、信者が「極䞊でヌす」ず絶叫しおいる光景が蘇っおいた。

    第二十䞉話ぞ぀づく

     
     
    悪埳商法,゚セスピリチュアル,疑䌌科孊,陰謀論などに぀いお取材・執筆しおいるラむタヌ。 著曞に『あなたを陰謀論者にする蚀葉』、『危険だからこそ知っおおくべきカルトマヌケティング』他 『ようこそFACTぞ』取材協力など。

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