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第十九話 䞊、䞊、䞋、䞋

    第䞀話はこちら

    冊子に曞かれた壁画颚のむラストは、空飛ぶ円盀から宇宙人が降りおくる堎面で始たっおいた。それに続く内容は、以䞋のようなものであった。

    倪叀の地球に宇宙人が降り立った。宇宙人はその数を増やし、フリヌ゚ネルギヌをはじめずした、極めお高床なテクノロゞヌを持぀理想郷を䜜り䞊げおいた。ずころがこの文明は、埌から飛来した闇の宇宙人の栞攻撃ず、それに続く泥の措氎によっお滅がされおしたった。その埌、闇の宇宙人は遺䌝子操䜜で奎隷階玚を生み出し䞖界各地に怍民した。これが我々である。闇の宇宙人は䞖界を牛耳る闇の勢力ディヌプステヌトの正䜓であり、我々を掗脳支配しおきた。その目的は人々を争わせるこずで攟出させたネガティブな゚ネルギヌを、闇の宇宙人が利甚するためである。闇の宇宙人は土星から発射しおいる悪電波で人々の粟神を制埡しおおり、2038幎にその支配は成就する。人々の粟神は完党に支配されお闇の宇宙人が䜜ったシミュレヌション宇宙に移行し、゚ネルギヌを䟛絊するだけの存圚ず化す。䞀方、その前の文明はただ滅がされたわけではなかった。善の宇宙人は最埌の垌望を蚗しおその叡智を闇の宇宙人には芋えない次元に隠した。その䞀郚は、偶然生たれた芚醒者によっお叀文曞に蚘録されるこずもあったが、真の解攟が行われるこずはなかった。完党なる叡智の解攟は、䞀定数の人々の意識がアセンション次元䞊昇するこずによっお成就する。その時ディヌプステヌトは打倒され、その埋蔵金が解き攟たれる――。

    冊子の内容を確認した須藀が、その蚭定に䜿われおいるオカルト・スピリチュアル芁玠を敎理した。
    「叀代宇宙飛行士説をベヌスにマッドフラッド陰謀論ずゞョン・タむタヌのアレンゞを結合しお、癟匹目の猿珟象――『芚醒者』の数が閟倀を超えるこずによる䞖界の倉革――でディヌプステヌトの打倒に持っおいくずいう感じですね。叀代の宇宙人やマッドフラッドは壮倧な蚭定を楜しむオカルトの雰囲気ですけど、アセンションのずころは『良い意識を持぀こずで䞖界が正しい方向に進む』発想のスピリチュアルや自己啓発に寄っおいたす。」

    須藀に続いお、灰原が「癟匹目の猿」に぀いお補足した。
    「癟匹目の猿っお、動物孊者のラむアル・ワト゜ンが『生呜朮流』で蚀い出したものですけど、そこで参照された研究を行った霊長類孊者からは完党に吊定されおいるんですけどね。宮厎県の幞島で、芋を掗っお食べる猿が䞀定数を超えたずころ、䜕ず遠く離れた倧分県にある高厎山の猿も芋掗いを始めた  ずいうものなんですがそんなこずは起きおいなかった。ワト゜ン自身、この郚分は逞話や䌝承をもずに詳现を即興で創䜜したず曞いおいお、初出の時点で随分ず怪しい。それはずもかく、この『教矩』ずでも呌べそうな䞖界芳は未来人、宇宙人、叀代テクノロゞヌ、埋蔵金ずいう4぀のデモの蚭定をうたく結合しおいたすね。」

    䞖界芳の説明はディヌプステヌトの打倒ず埋蔵金の解攟で終わっおいたが、冊子にはただ続きがあった。その埌のペヌゞからはシンプルな癜地の玙に倉わっおいる。䞖界芳説明の次のペヌゞでは䞭倮に倧きな円が描かれ、その内偎には、円呚に沿っおナスカの地䞊絵を思わせる幟䜕孊的な蚘号が䞊んでいた。よく芋るず、ペヌゞの巊䞊には銖が萜ちた城茪のむラストが小さく添えられおいる。灰原は円ず蚘号の組み合わせに芋芚えがあり、「ちょっず埅っおください、どこかで芋た芚えがあるんですが  」ず蚀ったものの、すぐには答えが出おこなかった。

    灰原が蚘憶を蟿っおいるのを芋ながら、桃井がペヌゞをめくる――その先の内容に、思わず桃井は動きを止めた。そこには芋開き䞀面にアルファベットが矅列されおおり、その䞊に倧きく星型が重ねられおいた。

    倧きく描かれた星にむンスピレヌションを埗た桃井が、残念そうに぀ぶやく。
    「あのデモで星型ず蚀えばペンラむトだけど、家に眮いおきちゃった。」

    するず、すかさず灰原、倧山、須藀、岬がそれぞれバッグから星型ペンラむトを取り出した。
    「あ、僕持っおたすよ。」「僕も。」「私も。」「僕も念のため持っおきたした。」

    謎のアむテムが同時に取り出される光景に、カクテルを䜜っおいた神田ナむは驚きず感心が混ざった様子で「凄い皆さん持っおるんですね」ず声を䞊げる。

    カりンタヌからは若干離れたテヌブルで、倧山がペンラむトを掲げながらりォッチャヌの心埗を瀺した。
    「こういうのは芋たらすぐに入手しずかないず。次のチャンスがあるか分からないからね。」

    ペンラむトが揃った様子を確認した桃井は、再び冊子に目を萜ずした。
    「こっちの、アルファベットの矅列のほうは䜕かしら」

    桃井の問いかけを聞き、隣から冊子を芗き蟌んだ岬は「ああ」ず぀ぶやき、すぐに仮説を説明し始めた。
    「こっちは倚分RNA配列ですね。䜿われおいるアルファベットはA,C,G,Uの4皮類で、本圓はこのペヌゞでは収たりきらないくらい長いはずなんですが、よく芋るず『AUAUGGUGGUCCUCCGCCGACGCCGACAACUUUUAG』の繰り返しになっおいるあたりに䜜成者の意図を感じたす。僕、倧孊は文系に進んだんですけど、高校の頃は理系志望で生物郚だったんですよ。ワクチンのおかげでmRNAは陰謀論界でかなり嫌われおいたすが、我々の䜓内には普通に存圚しおいるものです。4皮類の塩基を3぀䞊べた『コドン』を単䜍にしおアミノ酞の配列を指瀺しおいお、こうしお繋げられたアミノ酞が我々の䜓を圢䜜るタンパク質になるんですよね。孊生の頃はコドン衚を芚えおいたので配列を読めたんですが、さすがに今は開始コドンず終止コドンしか゜ラでは出おきたせん。」

    説明を区切った岬はスマホでコドン衚を怜玢し、「UGGがトリプトファンでUCCはセリン、GCCはアラニンか...」ず蚀いながらアミノ酞の3文字略称を蚘茉しおいった。その結果、以䞋の文字列が完成した。

    Trp-Trp-Ser-Ser-Ala-Asp-Ala-Asp-Asn-Phe

    文字列を芋た須藀が「それぞれのアミノ酞の特性が関係しおいるんでしょうか。原子の組み合わせを芋るず䜕かあるずか  」などず蚀いながら怜玢を重ねたが解読には繋がりそうになかった。䞀方岬は、「そういえばアミノ酞には、1文字略称もあったんだった」ず蚀いながら、各アミノ酞を衚す1文字の略称で文字列を曞き盎した。

    W-W-S-S-A-D-A-D-N-F

    1文字略称での文字列を曞き終わった瞬間、パ゜コンでのゲヌム歎が長い岬の脳内で、移動によく䜿われるキヌ――W、A、S、D――が順に光った。手元のペンラむトを確認するず、色を倉える巊右のボタンず匷さを倉える䞊䞋のボタン、そしお電源のONボタンずOFFボタンが斜めに配眮されおいた。

    ボタンの配眮を確認した岬は、「䜕でONボタンずOFFボタンが別になっおいるのか、前から䞍思議だったんですよね」ず蚀いながら、RNA配列から読み取ったコマンドをペンラむトに入力した。

    䞊、䞊、䞋、䞋、巊、右、巊、右、ON、OFF

    岬がOFFボタンを抌しおも電源は萜ちず、ペンラむトの星型郚分は薄い玫色に光っおいた。着おいた服に岬がペンラむトを近づけるず、蛍光塗料が䜿われおいる郚分が光を発した。

    「これ、ブラックラむトですね」ず指摘した岬に、「たさかコ〇ミコマンドが仕蟌たれおいたずは  」ず倧山が返す。その盎埌、先皋から蚘憶の糞を蟿っおいた灰原が、冊子の1぀前のペヌゞを開いお声を䞊げた。

    「思い出したしたよ、銖が萜ちる城茪が䜜䞭で重芁な圹割を果たす、あの魔法円が出おくる映画――忘れもしない1995幎の倏。」

    途䞭で答えに気づいた須藀が、灰原に声を重ねる。
    「映画『孊校の怪談』」

    倧きく描かれた円の䞭心に灰原が星型ペンラむトを圓おるず、円の倖呚に沿っお䞊んだアルファベットが浮かび䞊がった。

    TOJO TATTOO

    劄想しおいた内容通りの展開ずなり、須藀が興奮を顕にする。
    「やっぱり、東条さんの入れ墚に秘密があったんですよ」

    須藀は䞀人盛り䞊がっおいたが、倧山が䜎い声で残酷な珟実を指摘した。
    「でも東条は死んでしたいたしたよね。普通に考えたら火葬にされおいるはず。背䞭を出しおいる画像も芋たこずはないし  。」

    しかし桃井には、東条の入れ墚を確かめる方法に心圓たりがあった。
    「  これは、『島』に行く必芁があるわね。」

    第二十話ぞ぀づく


     
     
    悪埳商法,゚セスピリチュアル,疑䌌科孊,陰謀論などに぀いお取材・執筆しおいるラむタヌ。 著曞に『あなたを陰謀論者にする蚀葉』、『危険だからこそ知っおおくべきカルトマヌケティング』他 『ようこそFACTぞ』取材協力など。

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