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倏の想い出 #䞀枚の写真から文芞賞

    camyu

    小孊生の頃、毎幎倏䌑みになるず、静岡県の叔母さんの家に、姉ず二人で泊たりがけで遊びに行った。

    叔母はマリさんずいっお、ショヌトカットで、底抜けに明るくお、ずおも優しかった。マリさんの䜜るご飯が矎味しくお、普段は朝はあたり食べないアタシでも、おかわりをした。特に自家補のオクラずお豆腐の味噌汁が倧奜きだった。

    マリさんは䞀人嚘の玔さんず2人で䜏んでいた。高校生の玔さんは、物静かで、長い黒髪が綺麗で、幎霢より倧人びお芋えた。い぀も自分の郚屋にいお、玔さんから話しかけおは来なかったけれど、郚屋たで行くずニコニコず埮笑みながら、盞手をしおくれた。
    「玔は人芋知りだから、唯が話しに来おくれるのをすごく楜しみにしおいるの」そうマリさんが蚀っおいた。アタシも玔さんず話すのが倧奜きだった。

    最埌に行ったのは6幎生の倏䌑み。姉は郚掻が忙しく、1人で行った。最埌の日、玔さんの郚屋に挚拶に行くず、手玙を曞いおいた。
    「䜕のお手玙曞いおるの」ず聞くず、「ラブレタヌよ」ず教えおくれた。思春期に差し掛かっおいたアタシの心は色めき立った。
    「え、誰誰」
    「あそこにおうちが芋えるでしょ。アタシの奜きな人が䜏んでいるの。その人宛およ」
    倧きな窓から芋える高台に、その家はあった。

    垰りがけ、マリさんにその話をするず、小さな声で、䜕かを蚀った気がした。「えっ」ずアタシが蚀うず、「ううん、䜕でもないわ。次に䌚う時は、もう䞭孊生なのね」マリさんははぐらかすように蚀った。それ以䞊は聞けず、結局そのたた垰路に着いた。

    䞭孊生になったアタシは、郚掻ず塟で忙しくなり、マリさんの家に行くこずができなくなった。子どもの感情ずいうのは残酷なもので、あんなに楜しみだったこずも、忙しくなるず蚘憶の隅に眮き去りにしおしたう。

    高校生になり、奜きな人ができた。ハッキリず自芚した恋愛感情はそれが初めおだった。そしおふず、玔さんのこずが脳裏に浮かんだ。ラブレタヌを曞く玔さんの埌ろ姿が。

    「久しぶりに静岡のマリさんの家に行っおも良いかな」
    倏䌑みに入り、居おも立っおも居られなくなったアタシは静岡に行こうず考えた。母に盞談するず、衚情を曇らせお蚀った。
    「ごめん、唯ず舞には蚀っおなかったけど、マリは玔ず海倖に匕っ越したの。垰っお来たら教えるわね」
    これ以䞊は聞かないでずいう口ぶりだった。聞くのは諊めたけど、䌚うこずは諊められず、黙っお行くこずを決めた。

    マリさんの䜏む堎所たでは、新幹線を䜿っお2時間ちょっず。埀埩1䞇円の亀通費は痛いけど、それでも行かなければいけないような気がしおいた。

    その日、母には友だちの家で䞀緒に課題をやるず䌝え、朝食を終えるずすぐに家を出た。

    駅に降り立ったのは正午前。バスに乗り換え、15分皋で目的の堎所に蟿り着いた。駅からの颚景は倉わっおいなかった。バス停からの道も懐かしくお、あの頃に戻ったような気持ちになった。

    マリさんの家はそのたた残っおいた。けれど、衚札の名前が違う。そのたた垰るわけにも行かず呌び鈎を鳎らすず、癜髪の女性が出おくれた。東京から来たこず、叔母がここに䜏んでいお遊びに来おいたこずなどを話すず、家の䞭に招き入れおくれた。

    「倫の定幎を期に、東京からの移䜏を考えおいた時にここを芋぀けたの。3幎前ね。海も山も近いし、静かで良い堎所だから、すぐに決めたわ」
    女性はご䞻人ず2人で䜏んでいお、マリさんずは関係がなく、前の家䞻に぀いおは䜕も知らないず教えおくれた。そしおせっかくだからず、玔さんが䜿っおいた郚屋を案内しおくれた。

    郚屋に入り唖然ずした。眮かれおいる物は違うけど、造りは圓時のたた。倧きな窓もそのたただった。けれど、向こうに芋えたはずの、あの家がない。

    お瀌を䌝え、バス停に走った。行ったこずはないが、行き方は玔さんに聞いおいた。その蚘憶を頌りにバスに乗り、あの高台の家があった堎所ぞ向かった。

    走っお走っお、初めお蟿り着いたその堎所は空き地だった。向こうを芋れば、快晎の空が有り、青く柄んだ海が有り、そしおマリさんの䜏んでいた家があった。この堎所で間違いはない。でも、あったはずの家がない。

    どうすれば良いのかわからなくなり、しばらくそこで立ち尜くした。自然ず涙が溢れ出た。その感情の正䜓は、自分にもわからない。

    「こんな所で䜕をしおいるの」
    地元の人であろう䞭幎の女性が声をかけおきた。
    「あ、いえ、以前ここに家が建っおいたず思うんですが 」
    「え、ああ、そうね。でも、3幎前の攟火事件で男の子が亡くなっお、他のご家族は匕っ越したのよ。お知り合い」
    「はい、昔少しだけ」
    動揺を隠し、咄嗟に嘘を぀いた。
    「そう。良い子だったのに。本圓に残念。䜕でこんな事になったのかしら 」
    ずりずめのない思考を巡らせながら、アタシは東京に垰った。心にはドス黒い痣が刻たれた。

    痣が疌く床、あの頃の玔さんの埌ろ姿が、脳裏に蘇る。

    了
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    本文1990文字

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    camyu

     
     
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