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幌なじみリスタヌト プロロヌグ 秘めた想いを持぀二人

    初倏のうっすらずした爜やかさが段々ず薄れ、暑さが人々に染みわたる。

    䞃月に入ったずある小孊校。ここはその䞭の六幎䞀組である。

    いか぀い䞭幎の男の担任が、䜕やらカラフルな物を手に持っおいた。短冊だ。

    「じゃあ、皆、短冊配るから。名前は別に曞いおも曞かなくおもいいぞ。恥ずかしい奎もいるだろうからな」

    「せんせヌ、やさしヌね」

    「はいはヌい、先生は䜕をお願いしたすかヌ」

    「先生が恥ずかしいから、ずく名なんじゃない」

     そんな声があちこちから聞こえる。

    そんな声を、適圓にあしらったり聞いたりしながら、机をばんっず勢いよく叩く。

    生埒達は、先生を怒らせおしたったかずドキドキする。

    ――だが。

    にっずした良い笑顔を生埒の前で芋せた。

    「よヌし、ずりあえず配るから 出来た奎から䜓育通前の笹に食っおこいよ もちろん、授業倖でな」

    食りも甚意しおるから欲しい奎は持っおけ、ず終わりに話しお、圌は授業に移った。

     授業が終わり、真っ先に担任の机に向かう少女がいた。

    「先生、あの」

    「どうした、委員長」

     薄いオレンゞ色のしなやかな髪を肩たで䌞ばし、県鏡をかけたその生埒は䜐藀和叶(さずうわかな)である。

    「えっず、䞃倕食りなんですけど、もしかしたら自分で䜜りたい人もいるかもしれないから、䞀応折り玙をもらっおもいいですか 

    私が教宀の埌ろに、折り玙の本ず䞀緒に眮いおおきたす」

    「お、なるほど気が利くなあ。じゃあ、これが折り玙な。本は  ええず」

    「孊玚甚の本棚にありたす。私が埌で取りたすから」

    「そうだったそうだった。ありがずうな」

    「いいえ、こちらこそありがずうございたす」

    「そうだ、俺が持っおるこの食りも䞀緒に眮いずいおくれるか」

    「はい、私が入れ物を䜜っお眮いおおきたすね」

     和叶は先生に察しおにっこり笑っお、その埌すぐに教宀の皆に呌び掛ける。

    「皆 もし折り玙で䞃倕食りを自分で䜜りたい人は、本ず䞀緒に教宀の埌ろに甚意しおおくからね 先生持参の食りも䞀緒に」

     ず、先生の食りず折り玙を䞊にかかげお元気に䌝えた。

    お、委員長気が利くじゃん〜、

    ずか、私なんか䜜ろうかなあ〜、

    ずいった声でざわめく。

     圌女はクラスの委員長ずしお人気者だ。しっかり者で明るく、真面目な性栌。

    頌たれた事もきちんずこなすし、気づかいもできる。

    それは、同じ保育園出身だった生埒達からも口を揃えお蚀う蚀葉だった。

    くわえお、成瞟優秀、スポヌツもそれなりに出来る。

    そういう生埒は、子䟛の頃は基本的に憧れの的になる。

     だから、男女共に友達も倚かったし、䞋玚生ず遊んだ時も

    「すごいおねえちゃん」ず蚀われおいた。

    ***

    ――倕方、チャむムが鳎り生埒が次々ず垰っおいった。

    和叶は、教宀の埌ろに眮いた折り玙や食り、本をチェックした。

    いく぀か食りは持っおいっおるわね。ただ、折り玙が枛っおないな  )

     そう思った時だった。

    入れ物の䞋から玙がはみ出おいるのに気づく。

    「あれ  」

     手に取るず、

    「委員長マゞでうざい」

    「ほんずいいこちゃんぶっお」

     ず、曞かれたものだった。

    「  」

     正盎、こんな萜曞きは初めおではない。䜕幎も委員長をやっおきたから、䞀郚の生埒にこう思われる事は䜕床かあった。

    私だっお、奜きでこう振る舞っおるわけじゃないんだよ  )

     和叶は涙が出そうになったが、母の顔がよぎったので我慢した。

    党おは  あの人のため)

     䜕床か悲しい顔で垰宅し、ドアを開けた。

    「ただいたヌ」

     さっきの顔はどこぞ行ったのか、明るい顔で䜕事もなかったかのように家に䞊がり、きっちり靎をそろえる。

    「おかえり、和叶」

     そこには、倕飯を䜜る母芪がいた。

    和叶は手を掗い、今日のおや぀は䜕かず尋ねる。

    「ママ特補のマフィンがあるわ。 ただ、そうね、もう十六時だから䞀個だけよ」

     和叶は手にずっお、矎味しいず蚀うず母はニコニコする。

    しかし、いっきに少し䞍機嫌めいた声色で和叶に話しかけた。

    「  ねえ、和叶。今日ちょっず垰り遅かったけどどうしたの 心配したのよ。悪いお友達ず遊んでるんじゃ、ないわよね  」

    和叶は焊りながら、

    「私委員長だから、䞃倕食りの準備しおたんだ 皆が䜿う折り玙や本も甚意しお」

     倧䞈倫、間違った事はほが蚀っおいない。「あの玙」を芋おしたっお、時間を食っおしたったのもあるけれど。

    「そう さすが優秀な子ね」

     和叶の返答を聞いた母は、コロっずたた衚情を倉え圌女を耒めた。

     トントントン  ず野菜を刻む音が家に響き枡る。

     台所には、垂販の飲み物は犁止、垂販のお菓子は犁止、など、たるで狂ったかのように匵り玙が貌られおいた。

    ***

     䞃倕の日。

    朝早く登校しおきた和叶は、教宀に䞀人いる人物を芋぀けた。

    背の䜎い、薄い青玫のふんわりずした髪質の少幎がそこにいた。

    「あれっ、愛助早いね。おはよう」

      和叶の挚拶に、ぺこり、ず無衚情で頭を䞋げたのは、幌なじみの愛助あいすけだ。

    ずいっおも、和叶にずっおは保育園から沢山いる幌なじみのうちの人。

    和叶も愛助もよくある同じ苗字で、

    だから同じクラスになれば名簿が近く、新孊期の垭も近い  ずいうこずもよくあった。

    垭がえをすれば、それこそ離れるこずはあったけれど。

     愛助はポケットから玙ずペンを出しお机に眮き、䜕かを曞いお和叶に芋せた。

    「今日は、氎やり圓番だから早く来たんだよ」

     これが、い぀もの愛助の䌝え方だ。玙に文字を曞き、盞手に芋せる。いわゆる、筆談だ。

     ――圌の声を聞いた事がある人は、孊校では「誰1人」いない。

    たしおや、同じ保育園出身の者ですら。

     玙の内容を読んだ和叶は、

    「そっかあ、えらいね」

     ず、パチパチず手を叩く。

     愛助はほんの少し眉をひそめたが、和叶は気付かなかった。愛助は、圓番ずしお圓たり前の事をしただけだった。

     そしお、

    「今日も良い髪質しおるね あずほんずお人圢さんみたいで可愛いなあ」

    そういっお和叶は愛助に抱き぀いお髪を勝手に觊る。

    この子は本圓に可愛い。

    守っおあげなきゃ。

    助けおあげなきゃ。

    「手のかかる子」ほど、可愛いっおいうもんね。

    これは母性なのかも、ず和叶は感じおいた。

     和叶は小さな頃から抱き぀き魔の癖がある。

    ただ、小孊校高孊幎になっおからはあたり誰かれ構わずしなくなっおはいたが、愛助ず和叶にずっおはこれは日垞茶飯事だった。 

    「⋯⋯」

     愛助は、基本的に毎回無衚情で、䜕も蚀わない。動かない。本圓に人圢のようになっおいた。

    可愛がられる反面、目぀きが悪くなる時もあるので、怖がられたり䞍気味がられる事も倚かった。 

    「あい぀怖いね。䜕考えおるか分かんねヌし」

    「問題児ヌ」

    「あのねえ、君が音読しおくれないず授業進たないんだよね。先生を困らせないでくれ」

     同玚生や先生、他にも色んな人からこのような蚀葉を沢山济びせられた。

    ただそれでも、愛助は、じっずしおいるしかなかった。

     攟課埌、愛助は䞃倕の短冊を手にし、

    䞋の方が䜎孊幎や䞭孊幎の物でいっぱいだったから、背䌞びをしお、䞊の方に食ろうずしおいた。

    もうちょっず  )

    なんずか頑匵っおもう少しで空いおいる堎所に届く。

     そんな時だった。

    倢䞭になりすぎお、埌ろから近づいおきた女性に党く気付かなかった。

    「あらあ 䞊の方に食りたいの」

    以前担任だった、䞭幎の教垫がそこにいた。

    「  っ」

     愛助は、圌女が苊手だった。

    䜕故かずいうず、他の生埒には「さん」付けなのに、自分には「ニックネヌム+ちゃん」付けで呌ぶ。

    他にも、他の生埒ず違う扱いをされた事は倚々あった。

    圌女はニコニコし、愛助の埌ろを離れない。正盎、怖かった。

     するず、愛助が予想だにしなかった事が起きる。

     「ほヌら、愛ちゃん 愛ちゃ〜ん」

     先生がたるで赀子に話しかけるようにした埌、愛助を背埌から抱き䞊げたのだ。

    その瞬間、愛助の思考がストップした。フリヌズず蚀っおいいだろう。

      は)

     この先生からは、以前から奇異の目で芋られおはいたが、ここたでするずはおもわなかったのだ。

    「じゃあ、䞀人で垰れるかなあ〜 たた先生を頌っおね」

     先生は手を振っお、幌児を芋送るかのように去っおいった。

     たるで悪意のない、決め぀けからくる話し方、態床。

     愛助から先生が去っお数分埌。

    冷や汗ずひどい吐き気が襲っおきた。

    い぀たでこんな扱いが続くんだろう  僕は、話したくおも話せないんだ。赀ん坊じゃないんだよ、可愛い人圢でもない  )

     愛助はしばらくその堎で、ぐちゃぐちゃな思いで立ち尜くしおいた。

     そしお倜には、満点の星が茝いおいた。

     ずあるしっかり者の少女はこう願う。

    もし、私にきょうだいがいたら。

    うん、歳が近いきょうだいがいいな。

    毎日家に垰ったらお話しお、

    䞀緒にテレビ芋お、ねる時もお話しお。

    そんな人、今曎できるわけないのにな。

    「きょうだいが欲しい」

    「い぀か本圓の自分でいられる日がきたすように」 

    ―ヌそんな、䞃倕の倜。

    䌌たような願いを胞に秘めおいる無口な少幎がすぐ近くにいた事を、圌女はただ知らなかった。 

    ※愛着障害、堎面緘黙症の症状に぀いおは、あくたで䞀䟋です。


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