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医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド!【053】最終章(2)普遍的で強力な論理的思考アルゴリズム

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    本連載で提示したメソッドは、医学分野のみならず疑似科学全般、投資詐欺、ネットのフェイクニュースや陰謀論、さらには様々なビジネスシーンにおいて正しい判断が求められるときにも力を発揮する普遍性のあるものです。
    なぜなら、このメソッドの核心が、何事においても「根拠」の提示を要求するものだからです。
    ですから、根拠のないものを軽々しく信用しない、鵜呑みにしないことを習慣にするだけで、あなたの人生で損害を被ることを激減させることができるのです。
    まったく難しいことではありません。

    たとえば、怪しい儲け話があったとします。「3ヶ月で確実に倍になる。絶対に損しない」などというものです。
    あなたは、「なぜ絶対に損をしないと言い切れるのか?」と疑問に思うことでしょう。
    相手は、「なぜなら現在、世界でもっとも注目されている海外の投資会社が、あなたの元本を保証するからだ」と言います。
    その説明で飛びつくでしょうか?
    そこは大いに疑ってかかってください。
    そして、頭を冷やして、ご自身に問うのです。
    「なぜ、そのようなことが保証できるのか? 何をもって注目されていると言うのか? その会社が信用できるという根拠は何か?」と。

    また、コロナ禍にあった頃には、こういうことを言う人がいました。
    新型コロナウイルス感染症ワクチンが、国によって異例の早期承認がされたことについてです。
    「アメリカの製薬会社に儲けさせるために、アメリカ政府からの圧力に屈した日本政府が、日本国民をモルモット代わりにしている」などという陰謀論です。
    そんなので、「国に騙されるな!」などと扇動しようとする人は、いつの時代でもいるものです。

    冷静に考えてみてください。
    政府の誰が、そのようなことが実行できるだけの強権を持っているというのでしょう?
    政府内で、本当にそのような決定が実行されようとしたなら、それに強く反対して断固、阻止しようとした議員や官僚は多くいたでしょう。
    そして、「アメリカの製薬企業を儲けさせるための早期承認だった」という、国国民には秘匿された事実を知る善良な人たちが、良心の呵責に苛まれて告発に踏み切ってもおかしくはないでしょう。
    たとえ、関係者からの自発的な告発がなくとも、鼻の利くジャーナリストなら、そのような特ダネ、火のあるところの煙を嗅ぎつけるはずです。
    ですが現実には、そのようなスキャンダルがスッパ抜かれたという事実もありません。
    このような陰謀論を耳目にしたときにも自問してください。「そのような陰謀が政府内であったと言える根拠は何なのか? その情報源はどこなのか? 信頼できる情報だという根拠は何か?」と。

    ビジネスにおいては、リスクを最小限に抑え、利益を最大化することが求められます。
    現実には、明確な根拠が得られないなかで決断を迫られることも多いと思います。
    時に直感に頼って、決断しなければならないこともあるでしょう。
    ですがビジネスは、完全に偶然に頼った丁半博打ではありません。
    データを集め、分析し、リスク要因と成功確率を見極めることは重要でしょう。
    なぜ、その選択を行うべきなのか? そう判断する根拠は何か? その根拠とされるデータに、どれほどの再現性があるのか? 根拠とされる情報ソースに、どの程度の信頼性があるのか?
    このような思考アルゴリズムは、とても単純で基本的なことでありながら、しばしば人が忘れがちなことです。

    難しい決断を迫られると、人は冷静さを失い、大きなリターンを狙って、チャンスの薄い方に賭けるという選択をしてしまうこともあるでしょう。
    時にはリスクをとって、大胆な決断も必要になるでしょう。
    ですが、どんなに困難な状況にあっても、常に冷徹なまでに冷めた心で、「で、その判断は、どれほどの客観的な根拠にもとづいているの?」と自問することです。

    「常に根拠を求める」
    この姿勢を習慣にすることによって、ビジネスシーンをはじめ、人生のあらゆる局面において物ごとの本質を見抜き、論理的で客観的な判断が下せるようになるでしょう。
    それは、あなたの一生モノの強力な武器となるのです。

    最後に、このことは強調して申し上げておきたいと思います。
    私は、「科学的根拠のないものは間違っている」と言うのではありません。
    「科学的根拠の乏しいものを鵜呑みにしてはいけない」と言うのです。
    十分な根拠がない場合でも、それが真実だということはあるでしょう。
    ですが、再現性のある結果が得られていなければ、それが正しいとは誰にも保証できないのです。
    ですから、再現性の確認されていないものを「鵜呑みにするな」と言うのです。
    本書の目的は、そのような信じる根拠のないものを見抜くことで、「安易に騙されないようにする」ことなのです。

    さあ、ここまで読まれたあなたは、すでに「科学的根拠が十分でないもの」を見抜くためのメソッドを理解されました。
    あとは、習慣にすることです。

    「疑ってかかり、根拠を問う」
    これだけです。
    これを無意識でできるようになったとき、あなたは、もう二度と、嘘と欺瞞の情報に惑わされることはなくなるでしょう。

    いよいよ次は最終回です。

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    大阪大学・医学博士 著書『真・二重らせん物語 DNAを追い求めた科学者たち、真実のストーリー』(花伝社) 巷に溢れる根拠のない健康・医学情報、それらを安易に鵜呑みにすることの危険性を憂う! 科学技術振興機構 主任専門員 専門分野:分子細胞生物学、免疫学、ウイルス学、ゲノミクスなど

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