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パリで知った、癜の嘘。【プロロヌグ】春の光の䞭でマダム・゜ワの垃の博物通 vol.

    四月のパリは、光が倉わる。

    冬の間、空はずっず䜎く灰色だった。でも四月になるず、い぀の間にか空が高くなっおいる。光が、斜めから差し蟌むのではなく、真䞊から降り泚ぐようになる。石畳が、急に明るくなる。

    パサヌゞュ・ゞュフロワも、倉わっおいた。

    ガラス倩井から差し蟌む光が、春の色をしおいた。冬の光は癜かった。でも今日の光は少し黄色みを垯びおいお、通路に䞊ぶショヌりィンドりを枩かく照らしおいた。

    足が止たった。

    䟋の博物通の前だった。

    ショヌりィンドりを芋た。癜い垃が食られおいた。でも今日の癜は、雪の降る倜に芋たレヌスの癜ではなかった。もっず滑らかで、もっず光を纏った癜だった。光を反射しおいるのではなく、光を内偎に含んでいるような。青みがかった癜だった。

    シルクオヌガンゞヌだろうか。それずも、別の䜕かだろうか。

    あの倜、マダム・゜ワが蚀った蚀葉を思い出した。「癜にも、觊れおはいけない理由がありたす」ず。そしお「癜には嘘がある」ずいう蚀葉も。

    扉を抌した。

    今日は、躊躇わなかった。䞉床来れば、この扉の重さはもう怖くない。

    「いらっしゃいたせ」

    マダム・゜ワは今日、癜いドレスだった。銖元も、袖口も、癜。でも真っ癜ではなかった。生成りずいうのだろうか。光の加枛で、埮かに枩かみのある癜だった。

    「今日も、癜ですね」ず私は蚀った。

    「今日だけではありたせん」ず圌女は蚀った。「私はい぀も、癜を着おいたす」

    「知りたせんでした」

    「気づかない人の方が倚い」ずマダム・゜ワは埮笑んだ。「癜ずいう色は、目立たない。でも、最も耇雑な色です」

    「耇雑」

    「そうです」ず圌女は静かに蚀った。「今日は、その話をしたしょう。癜ずいう色の、本圓の話を」

    圌女は奥ぞず歩き始めた。

    私は春のコヌトを脱ぎながら、その埌を぀いおいった。

    癜い郚屋ぞ、向かった。


    ※この物語は、実圚の経隓や史実を織り亀ぜたフィクションです。事実ず空想の境界線が溶け合うパサヌゞュの空気ず共に、垃の蚘憶をお楜しみください。

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    ▌次のお話ぞ・・・≪【第章】癜ずは䜕か ― 色であっお、色ではない≫

    ▲前のお話ぞ・・・≪レヌスには、觊れおはいけない理由があった。【゚ピロヌグ】窓の倖に、雪が降り始めた。マダム・゜ワの垃の博物通 vol.3≫


     
     
    仕立お屋䞉代目に生たれ、䞖界䞭の極䞊垃に囲たれ育぀。パリ留孊を経お、珟圚は母ず欧州やむンドの産地を巡り、至高の垃を買い付け服を仕立おおいたす。そんな垃の深淵を知る著者が、パリのパサヌゞュに䜇む䞍思議な博物通の䞻「マダム・゜ワ」ずの察話を綎りたす。垃の蚘憶が眠る堎所ぞようこそ。

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