お湯があれば、あったかい一杯 ―― カセットコンロと"温める"の力
今週は、水(「断水したら何が止まる?」「水のため方」)、食べもの(「非常食は買わなくていい」)と話してきたね。
読んでくれてありがとう。(きのうの食べものの話は、こっち → 「"非常食"、わざわざ買わなくていいんだよ」
で、今日は ―― その食べものを「温める」話。
断水・停電した日。冷たいおにぎり、冷たい缶詰、冷たいレトルト。。。まあ、それでも食べられる。お腹は、満たせる。
でもね ―― なんだか、気持ちまで、いっしょに冷えてこない?
実はこれ、あなただけじゃないんだ。そして、それを立て直す方法が、ちゃんとある。
あったかい一杯には、"心を戻す"力がある
防災の実務に関わっていた頃、何度も見たことがある。温かい汁物がひとつあるだけで、その場の空気が、ふっとやわらぐんだ。
想像してみて。断水した、肌寒い朝。冷たいものばかりの中に、あったかいお味噌汁が一杯あったら ―― それだけで、ちょっとホッとするよね。
温かい一杯は、体を温めるだけじゃない。「まだ大丈夫」って、心にひとつ、小さな灯りをともしてくれる。
人はね、追い詰められると、いちばん先に"考える力"を失う。でも、あったかいものを一口すすると、ふっと肩の力が抜けて、「よし、次どうしよう」って、また動けるようになる。
だから ―― 備えの中心に、「お湯を沸かせる力」を置いておく。これが、今日いちばん伝えたいこと。
電気が止まっても、"火"はひとつ残せる
停電したら、電子レンジもIHも使えない。でも、電気にもガス栓にも頼らない"火"が、ひとつだけ、手元に残せる。
それが ―― カセットコンロ。
電気・都市ガスが止まっても、これ1台で火が使える
本体は2,000〜3,000円くらいから。まずは1台あれば十分
ボンベは、スーパーでもホームセンターでも100均でも手に入る
鍋やたこ焼きでも活躍するやつだから、災害用って気張らずに、1台持っておくと安心だよ。
ライフハック①:燃料は、どれくらい持つ?
「ボンベって、何本あれば足りるの?」って、気になるよね。目安を置いておくよ。
ボンベ1本(250g)で、強火ならおよそ60分(メーカーの目安)
でもね、"お湯を沸かすだけ"なら、消費はずっと少ない。目安だと、カップ麺1回でボンベの2〜3%くらい。温かい飲み物なら、もっと少ない。つまり、お湯中心の使い方なら、1本でかなり回せるんだ
備蓄の目安は、農林水産省の例で1人あたり1週間で約6本。いきなりそろえなくていい。まずは3〜4本からでOK
「60分」だけ聞くと不安になるけど、実際は"お湯を沸かすだけ"がほとんど。だから、思ってるより、ずっと長く使えるよ。
ライフハック②:燃料を長持ちさせる、3つのワザ
同じ1本でも、使い方しだいで、持ちがまるで変わる。
フタをして沸かす ―― 早く沸くぶん、ガスが減らない。地味だけど、いちばん効く
鍋ごと、タオルや保温袋でくるんで"余熱調理" ―― 沸いたら火を止めて、くるんで置いておく。じっくり火が通って、ガスを使わずに調理が進む。パックごはんやパスタと相性◎
火は"まとめて一度に" ―― 飲み物・カップ麺・湯せんを、一度の火で片づける。バラバラに何度も火を使うと、それだけで減っちゃうからね。合言葉は「火を入れたら、いっぺんに」
ライフハック③:お湯だけで作れる、あったかいものの引き出し
お湯がひとつ沸けば、作れるものは意外とたくさん。
インスタントの味噌汁・スープ
カップ麺
パックごはんの湯せん温め
レトルト(カレー・おかゆ)の湯せん温め
白湯に、すりおろし生姜をちょっと。体の芯からあったまる
ココアやスープで、甘くて優しい一杯
そして、ちょい足しワザ。
カップ麺に、乾燥わかめや乾燥ねぎ、缶詰のツナやサバをのせると、栄養も満足感もグッとアップ
パックごはん+インスタント味噌汁+缶詰ひとつで、もう立派な一食になる
きのう話した「いつもの食べもの」たちが、お湯ひとつで、あったかいごはんに変身するんだ。バチ上がりだよね。
ライフハック④:ボンベの"保管"、ここだけは安全に
便利なぶん、置き場所だけは、ちょっと気をつけてね。
置くのは、涼しくて・暗くて・乾いた室内(押し入れの下段などが◎)
絶対NG:直射日光/40℃を超える場所(夏の車内・ベランダ)/火のそば/湿気の多いところ
使用期限は、製造日から約7年が目安(缶の底に製造日が刻印してあるよ)
しまい込むより、ふだんの鍋料理でも使って、減った分を買い足すのがいちばん。きのう話した"ローリングストック"、ボンベでも同じだね
夏の車に積みっぱなし ―― これはホントに危ないから、やめようね。今ドキッとした人は、次に車に乗ったとき、そっと降ろしてあげて。
(コンロやボンベを"どこに置くか"は、この記事にくわしく書いたよ → 「防災、結局どれからやればいいの?」
ちなみに、こう見えて僕は
お湯の話をこんなに語っといてなんだけど ―― 僕、一人ぶんのお湯を沸かすのだけは、やたら得意なんだ。
。。。うん、察してくれて、ありがとう(そういうことです)。
まあでも、一人ぶんが沸かせれば、二人ぶんも、三人ぶんも、やることは同じ。今日から一緒に"お湯マスター"になろうね。
今日できる、0円の一歩
今日できることは、ひとつ。
家にカセットコンロがある人は ―― ボンベの残りが何本あるか、そして缶の底の製造日を、のぞいてみて。「あ、これずいぶん前のだ」ってなったら、今度の鍋の日に使って、買い足そう。0円でできる、いちばん大事なチェックだよ。
まだコンロがない人は ―― 次の、余裕がある時でいい。あわてなくて大丈夫。「いつか1台」って、頭の隅に置いておくだけで、今日はもう一歩進んでる。
次は「食べられない」ときの話
水も、食べものも、温める力も、そろってきたね。
でも ―― 実はね。どんなに備えても、いざという時、"食べられない"ことがあるんだ。
不安やストレスで、食欲がなくなる。とくに、子どもは。
次は、その話をするね。「いつもの味」を、なぜ備えておくといいのか ―― たぶん、今週いちばん、あなたに寄り添える回になると思う。明日、ね。
そしてこの先、水・食べもの・お湯がそろったら ―― いざ3日間、それをどう組み合わせて回すか。朝・昼・晩の流れは、今週の終わりに、まとめてお渡しするつもり。急がなくて大丈夫。今日はまず、ボンベの残量チェックから。
今日も、ここまで読んでくれて、ありがとう。
あったかい一杯は、お腹だけじゃなく、心も、そっと温めてくれる。その力を、備えておこうね。
また明日。
防災たろう
