
【読書旅スポット】読書旅のため、『リゾートしらかみ』に片道5時間乗り通して分かったこと
五能線を走る『リゾートしらかみ』は、日本海沿いを5時間かけて走り、綺麗な海が車窓から一望できる人気の観光列車です。
「乗車時間も長いし車窓もいいなら、さぞ読書旅もやりごたえがありそう」
そんな思惑から、仕事で青森に滞在した機会に、8月末の2泊3日で読書泊をしてきました。
この記事では実際に乗ってみた様子と、読書を目的とした時の率直な感想、そして知っておくといいことをお伝えします。
1.『リゾートしらかみ』の軽くおさらい

『リゾートしらかみ』は、秋田と青森を五能線経由で結ぶ観光列車で、所要時間は4時間半〜5時間半ほど。
そして概要は次のようになります。
・1日3往復(1〜6号)で、奇数が秋田発、偶数が青森・弘前発
・列車によっては運休する日もあるため、運行日の事前確認は必須
・車両は「青池」「橅(ブナ)」「くまげら」の3編成があり、どれに当たるかは列車と日によって異なります。
(「のってたのしい列車」のサイトで車両は確認できますが、突然変更になる事もあるためあしからず)
・全車指定席。快速なので、必要なのは乗車券と指定席券(特急料金は不要)
・座席は普通車のリクライニング席とボックス席の2種類
今回、僕が乗ったのは1号と2号です。
・1日目 2号:青森 8:09 → 秋田 13:29(ボックス席/途中の深浦駅で車両の入れ替えあり)
・2日目 1号:秋田 8:19 → 弘前 12:54(リクライニング席)
1日目は新青森駅から乗車し、2日目は「青荷温泉」に行くため途中の弘前駅で降りました。
(ちなみに青荷温泉を訪れた時の様子はこちらにまとめています)
この記事では、主にボックス席についての内容を中心にお送りします(2日目のリクライニングシートはシートが違う以外は区間も風景も大差ないため、軽く触れるに止めます)
なお、いずれも2026年の夏ダイヤで、時期や天候などで変更になる事があるので、乗る前に必ず最新の情報は確認してください。
2.実際に乗車してみた(体験談)
今回乗車した『リゾートしらかみ』のボックス席
1日目は『リゾートしらかみ2号』のボックス席に乗車しました。

こちらは『くまげら』編成で、2006年に登場してからまだリニューアルされていない、3編成の中では一番古い車両です。
先頭と最後尾の車両には前面展望が楽しめる展望スペース(フリースペース)があり、後述の三味線演奏など一部イベントで活用されます。

そして目的のボックス席へ。
平日だったこともあり、新青森駅から乗車した際、ボックス席は僕以外には誰もおらず独り占め。
ラッキーだなと思いながら早速本を開いていきます。
ちなみにボックス席はフルフラットにする事が可能で、足を伸ばすこともできます。



列車は弘前駅で一度スイッチバックしますが、すぐ隣の川部駅で再び元の進行方向で走ります。弘前駅近辺では雄大な岩木山が。
沿線にりんご園が広がる風景もまた、いかにも青森らしいなと思いました。


この列車ならではのイベント体験
しばらく読書を楽しんでいると、五所川原駅〜鰺ヶ沢駅の間で生の三味線演奏が行われるとのことで、見に行くことに。
『リゾートしらかみ』の特徴は、乗る以外にも楽しめるイベントがあることです。
乗る列車にもよりますが、こうした三味線演奏のほか、途中の千畳敷駅や能代駅では長めの停車時間をとり、周辺の散策やバスケットボールのシュート体験など、ほかの列車では味わえない体験を楽しめます。

多くの人で賑わっていました😳

三味線演奏は車内放送からでも聴けますが、間近だと弦を打つたび皮膚が振動するような力強さがあり、とても迫力があって驚きました。
生演奏の合間に、津軽三味線の流派などちょっとした豆知識の話も面白かったです。
乗り通す人は、思ったより少ない
演奏が終わりボックス席に戻ると、鰺ヶ沢駅から二名のお客さんが座り、相席状態に。
読書が中心なので特に気になりませんでしたが、乗車してふと思ったのが、意外と青森〜秋田の全区間を乗り通す人が少ないということ。
実際この二人も途中の深浦駅で降りていきましたが、ローカル線ゆえ普通列車を含めても本数が少ない事もあり、沿線の街へ行くのに指定席券を払ってこの快速に乗っている人をわりかし見かけました。
五能線の代名詞ともいえる海の絶景
鰺ヶ沢駅に差し掛かると、ようやく海の景色が見えてきました。

所々でトンネルや内陸を走る箇所はあるものの、だいたい鰺ヶ沢駅〜あきた白神駅までのおよそ2時間は海ががっつり見えました。
ひとえに海と言っても、ここらは岩礁地帯が多いので岩×海のコントラストが印象的でした。

沿線の車道を見ると、時折車から降りた人がこの列車を撮影していたりと、いかに『リゾートしらかみ』が多くの人から愛されているんだなというのも分かり、どこか微笑ましい気分にもなれました。
そして千畳敷駅では15分停車し、駅の間近に広がる海辺を散策しました。




ずっと座りっぱなしだったので久々に体を動かせたし、何より綺麗な海が間近に広がり、思わずひとり"ぼーっと"岩場にたたずんでいました。
深浦駅で予期せぬできごとが……
列車は千畳敷駅を出てまもなく深浦駅へ到着したのですが、ここで予期せぬ車内放送が。

どうやら乗車した数日前に大雨の影響で別の車両に不具合があったらしく、なんと深浦駅で秋田方面からやってきた『リゾートしらかみ1号』と乗客を入れ替える形で乗り換えることに。
まあ、昔から鉄道は好きなので、個人的に一度に2種類の車両に乗れて嬉しいハプニングだなと思いました。
それに深浦駅ではネット注文の「うけとりっぷ」で事前購入したオムライスを受け取ることになっていたので、全然問題ありませんでした。
「うけとりっぷ」では乗る予定の列車とほしい商品を選択し、クレカ等で事前決済を済ませることで受け取り番号が表示され、それを駅構内で待っているお店の人に見せる形です。

ちなみに深浦駅では、駅近くのお店『食べ物屋 セイリング』さんが提供する「オムレツ雪人参ビーフシチュー弁当」を購入したので、店主さんから受け取ったのち『橅』編成に乗り込みました。

オムライスはつくりたてで温かく、濃厚なシチューとふわふわ卵の組み合わせがやみつきで美味しかったです! ボリュームもそれなりなので、これ一つでお腹は満たされましたね。

(下記URLは『うけとりっぷ』のサイトです)
ハイブリッド車両にリニューアルしたこともあり、『橅』の方が新しい感じです(青池編成は乗れませんでしたが、こちらもハイブリッド車両で恐らく似たような感じかなと思います)。
ちなみに物販コーナーもありましたが、今回はイレギュラー対応ゆえか、あるいは人件費の削減からか、売っている気配はなかったです。

その代わりなのか小さな無人販売スペースがあり、飲み物や軽いおつまみやお菓子、リゾートしらかみ関連のグッズなど一通りはありました。

ちょうどコーヒーなんか飲みたいなと思っていたので、ここで飲み物を調達できたのも嬉しかったです。
その後は不老ふ死温泉へのシャトルバスが出るウェスパ椿山駅や、白神山地の玄関口である十二湖駅、日帰り入浴&宿泊施設の「ハタハタ館」を最寄りにしたあきた白神駅でそれなりの乗降客はありましたが、その後もひとり静かにボックス席で読書を満喫。


東能代駅でスイッチバックをしたあとは、八郎潟や遠くに見える男鹿半島らしき陸影、米の生産地らしい広々とした水田の風景を眺めながら、ついに秋田駅へ到着。
およそ5時間にも及ぶ長丁場でしたが、有意義な時間を過ごせて大満足でした。
3.本好きから見て”読書場”として実際どうだったか?
ここまでは旅行の様子をお伝えしましたが、ここからは実際に本好きの観点から、読書場として向いているかをお伝えします。
ボックス席:「静かに読書できる環境」といえるか微妙

ここまで書いてあれですが、ボックス席は静かに読書できるかと言われると正直微妙です。
というのも、仕切りはあるものの扉はないため、別のボックス席にいるお客さんの会話は普通に聞こえてきます。
そもそもグループ利用が前提なのでみなさん会話を弾ませており、ある意味、こじんまりとした居酒屋で読書をしているような感じかもしれません。
にぎやかなのが苦にならない人や、そもそもグループで乗る人にはいい席だと思いますが、静かに本を読みたいならリクライニング席の方がまだ落ち着くかもしれません。
リクライニング席:くつろぎながらの読書には最適!


リクライニング席はシートピッチも広く、乗り心地は特急とほぼ同じで基本的には快適です。
ただローカル線ということでクネクネしたルートを走行することや、車両後方の車輪上あたりに座っていたこともあり、新幹線や特急と比べると揺れはやや目立ちました。
普通に過ごす上では問題ありませんでしたが、時には活字を追い続けるのがしんどい場面も正直ありました。
なので揺れを少しでも軽減するなら、席を取るなら車両の中ほどがいいのかなと思います。
読書旅としてみた時の正直な感想

正直、5時間ずっと本を読み続ける旅にはなりませんでした。
それは揺れや人の声も多少はありましたが、一番に車窓の景色がきれいすぎるからです。
海沿いに出れば顔を上げてしまうし、千畳敷では降りて海を眺めるし、三味線の演奏が始まれば手も止まる。
本と車窓を行ったり来たりしながら楽しむ読書場だと捉えるといいかもしれません。
それでも「本を読む&海の景色を楽しむ」の組み合わせは読書の息抜きや気分転換にもなるため、これはこれで読書環境としてはいいなと思いました。
読書のスタイルは人それぞれですが、「読書×風景を楽しみたい!」という人にはうってつけだと思いました。
4.『リゾートしらかみ』に乗る上で知っておくと良いこと
まとめると、読書旅としてリゾートしらかみを利用するなら、この4点です。
① 海を見るなら「A席」を指定する

五能線区間で日本海が見えるのは、リクライニングシートならA席に当たります。ちなみにボックスシートはすでに海側で配置されているので、迷うことはないかと思います。
海の景色がある意味『リゾートしらかみ』の代名詞ともいえるため、初乗車ならできればA席は確保しておきたいところです。
指定席の発売は乗車日1ヶ月前の午前10時から。
やはり人気席でもあり、特に土日祝など人の多い時期は1ヶ月前でもすぐに埋まることが多いため、乗ると決めたらすぐ取りましょう。
ちなみに1ヶ月前で席が埋まっていても、しばらく時間が経つと空いている事もあり(特に乗車日数日前〜当日直前)、「えきねっと」でも予約可能なため、最後まで諦めないのも肝要です。
② ボックス席は、相席になる前提で考えておく
平日だったので独り占めできる時間は多かったですが、それでも一部区間では相席になりました。
相席が苦手、騒がしいのが得意でない場合は、迷わずリクライニングの普通車でいいかなと思います。
③ 客席にコンセントがないため、スマホなどの電池は要注意!

僕が乗った時や調べた限りでは、客席にコンセントはありませんでした。
ちらっと調べると、ハイブリッド車にリニューアルされた青池編成・橅編成では展望スペースにコンセントが設置されているみたいで、くまげら編成には設置はないようです。
ただ、あくまで共用スペースのため、長時間独り占めするのは避けた方がいいでしょう。
乗り通すと5時間以上にもなるため、スマホなど電子機器の充電が気になる方は、携帯充電器を持参するなど対策は必須です。
④ 車内販売がないため、軽食や弁当・飲み物の用意は必須!

『リゾートしらかみ』には車内販売がありません。
一応『橅』編成では無人販売所は確認できましたが、飲み物や軽食が中心で種類も少なめです。
青森〜弘前など短区間だけの利用なら問題ありませんが、全区間を乗り通すとなると数時間以上何も買えない状態になるため、準備不足だと悲惨な列車旅になりかねません。
「うけとりっぷ」で昼食を事前に手配するか、乗車前に駅弁を買うなど、楽しい旅にする上でも事前準備は必ずしておきましょう。
5.まとめ

静かに読み耽りたいだけなら、正直もっと向いている場所はあるかもしれません。
それでも本を持ってこの列車に乗る価値は個人的にはあるのかなと思いました。
今回は読書旅の観点から記事を書きましたが、読書場に限らず純粋に列車旅を楽しみたい方にもオススメなので、まだ乗ったことのない方はぜひ一度は乗ってみてください。
何かを消化するためではなく、何もしない時間のために乗る。
そういう使い方が、いちばん合っている列車なのかなと思います。