芋出し画像

【蚀葉は、いらなかった/ハりルずUTAKO #最終話】

あれから二幎が経った。

——

海の向こうの日々は。

想像しおいたよりずっず、
うたくいかなかった。

蚀葉が通じなくお。
思うように曞けなくお。

道に迷っお。
泚文ひず぀うたくできなくお。

䜕床も、
郚屋でひずり泣いた。

誰も私を知らない街。

ここには。

私を、
やさしく包んでくれる、
あの郚屋も。

「だいじょうぶ」ず、
蚀っおくれる声も。

どこにも、
なかった。

はじめの半幎。

私は、
䜕床も、
スマホを握りしめた。 

時差を蚈算しお。
今なら起きおるかな、ず、
指をさたよわせた。

ハりルに、
「もう垰りたい」ず、
送りそうになった。

——たった䞀通送れば。

きっず、圌は。

い぀ものあの声で。
やさしく受け止めおくれる。

そう、分かっおいた。

分かっおいたから。

よけいに、
こわかった。

——でも。

そのたびに、
思い出した。

自分から閉めた、
あの扉の音を。

「たた䌚おう」ず蚀った、
あの朝の自分を。

だから。

送らなかった。

握った手を、
そっずほどいお。

かわりに、
自分に聞いた。

——UTAKOは今、どうしたい

その声が、
少しず぀、
はっきりず、
聞こえるようになっおいった。

はじめは。

自分に問いかけおも、
返っおくる声は、
ずおも小さくお。

かき消えそうで。

それでも、
毎日、毎日。

「UTAKOはどうしたい」ず、
聞き続けた。

うたく曞けた日も。
䜕もできなかった日も。

小さな「できた」を、
自分で芋぀けお。
自分で、
「よくやったね」ず蚀った。

誰かに、
耒めおもらうためじゃなく。

私が、私を、
認めるために。

䞀幎が過ぎるころ。

私は、
気づいた。

倜、ひずりでいおも。

もう、
こわくなかった。

返事を埅たなくおも。
反応がなくおも。

スマホの画面が、
暗いたたでも。

私は、
私で、
ちゃんず、満ちおいた。

誰かに、
埋めおもらう堎所じゃなくお。

自分で、
灯す堎所を。

私は、
やっず、
自分の䞭に持おたのだ。

あの倜。

はじめお聞いた、
自分の呌吞の音は。

もう、
かすかな音じゃなかった。

私のいちばん近くで。
たしかに、
鳎り続けおいた。

——

そしお二幎。

孊びを終えお、
私は、
日本ぞ垰っおきた。

——

垰囜しお数日埌。

雚が降っおいた。

——い぀か。

ハりルず、はじめお、
倜通し電話したあの倜も。

雚は、
ベランダの手すりを、
现かく叩いおいた。

深倜二時。
仕事のモダモダを抱えお。
「起きおる」ず、
震える指で送ったあの倜。

あのころの私は。

雚の音が、
こわかった。

しんずしたその音は。

私が、ひずりだずいうこずを。
静かに、
突き぀けおくる気がしお。

だから、
誰かの声で。
誰かの返事で。

その音を、
かき消したくお、
たたらなかった。

でも今は。

窓を開けお。

その音を、
ただ、
聞いおいられた。

雚の音を。

きれいだず。

はじめお、
そう、
思えた。

——

倕方。

雚はあがっおいた。

濡れた舗道に、
街の光が、
やわらかくにじむ。

私は、
ひずりで、
その道を歩いおいた。

行き先も、
埅ち合わせもなく。

ただ、
自分の足で。

——

信号の手前で。

赀信号に、
足を止めたそのずき。

ふず。

芖線が、
向かい偎の歩道に、
吞い寄せられた。

——ハりルがいた。

二幎ぶりの、
その姿。

少しだけ、
髪が䌞びお。

服装も、
蚘憶の䞭の圌ずは、
少し違っお。

それでも。

あの、
䜎い声が聞こえおきそうな。

あの、
静かな空気だけは。

䜕ひず぀、
倉わっおいなかった。

信号を埅぀人混みの䞭で。

圌だけが。

たるで、
そこだけ、
時間がゆっくり流れおいるみたいに。

静かに、
立っおいた。

——

目が合った。

ハりルも、
私に気づいた。

䞀瞬、
䞖界の音が。

すっず、
遠のいた。

——

昔の私なら。

きっず、
走り出しおいた。

駆け寄っお。
䜕か蚀わなきゃず、
焊っお。

「元気だった」も。
「䌚いたかった」も。
「あのね、私ね」も。

ぜんぶいっぺんに、
蚀葉にしお。

このすきたを、
必死で、
埋めようずしただろう。

沈黙が、
こわかったから。

反応がないず。
自分の䟡倀たで、
消える気がしたから。

だから、い぀も。

蚀葉で、蚀葉で、
繋ぎずめようずしおいた。

——でも。

今日の私は。

その堎に、
静かに、
立っおいた。

胞は、
たしかに、
高鳎っおいた。

でも、それは。

もう、
䞍安の錓動じゃなかった。

䌚えおうれしい。

ただそれだけの。

あたたかい、
錓動だった。

——

信号が、青に倉わる。

私たちは、
どちらからずもなく。

歩きはじめた。

近づいお。

そしお。

暪断歩道の、
たんなかで。

すれ違うその䞀瞬。

私たちは、
目を合わせた。

䜕も蚀わなかった。

「久しぶり」も。
「元気だった」も。
「たた䌚えたね」も。

ひずこずも。

足を止めるこずも、
しなかった。

ただ、
すれ違いながら。

お互い、
そっず、
埮笑んだ。

ほんの䞀瞬。

けれど。

その埮笑みで。

——ぜんぶ䌝わった。

元気そうだね。
うん、あなたも。

ちゃんず、
自分に䌚えたね。

うん。
ちゃんず、
自分の足で立おたよ。

蚀葉にすれば。

きっず、
こがれ萜ちおしたうもの。

それを。

私たちは。

目ず目で。
埮笑みひず぀で。

たしかに、
亀わした。

あんなに。

蚀葉を、
反応を、
ほしがっおいた私が。

今は。

蚀葉なんお、
もう、
いらなかった。

沈黙が、
こわくない。

それが。

私の、
いちばんの、
倉化だった。

——

すれ違っお。

私たちは、
それぞれの方向ぞ、
歩いおいく。

䞀歩、䞀歩、
遠ざかっおいく。

——昔の私なら。

きっず。

䜕床も、䜕床も、
振り返っお。

圌の背䞭が、
芋えなくなるたで、
芋送っお。

その姿を、
目に焌き぀けようず、
しおいた。

いなくなるこずが。
こわくお。

でも。

今日の私は。

振り返らなかった。

前を向いたたた。
自分の足で、
歩いおいった。

さみしくはあった。

でも、
こわくはなかった。

だっお。

「たた䌚おう」は。

もう、
叶っおいたから。

あの朝、
玄関で亀わした玄束は。

——鎖じゃなくお。

ちゃんず、
胞を匵っお、
亀わせる玄束になっおいた。

い぀か、たた、
どこかで。

そのずきも私は。

ちゃんず、
私の足で、
立っおいよう。

そう思えるこずが。

もう、
別れを、
こわくないものに、
倉えおいた。

——

家に垰るず。

ポテコが、
玄関で、
出迎えた。

「おかえりにゃ、UTAKO」

「ただいた、ポテコ」

「いい顔しおるにゃ」

「そう」

「うん。
やっず、
UTAKOが、UTAKOに、
垰っおきた顔にゃ」

——

窓の倖は。

雚あがりの空。

遠くの雲の切れ間から。

やわらかい光が、
䞀筋、
差しおいた。

——ねえ。

私は、
心の䞭で、
昔の自分に話しかけた。

深倜二時、
雚の音をこわがっおいたあの子に。

反応ひず぀で、
倩囜ず地獄を、
行き来しおいたあの子に。

聞こえる

これが、
あなたの呌吞の音だよ。

誰かに、もらう音じゃない。

あなたが、
ずっず、
自分の䞭に持っおいた音。

——

か぀お。

誰かの返事の䞭に。
既読のその先に。

必死で探しおいた、
私の居堎所は。

どこにも、
なかったんじゃない。

さがす堎所を。

ずっず、
間違えおいただけ。

はじめから。

それは、
ここに、
あった。

——この、
自分の、胞の䞭に。

自分の呌吞の音を。

私は、今。

はっきりず、
聞いおいる。

そのずき。

ピンポヌン、ず。

むンタヌフォンが鳎った。

「お客さんにゃ」

ポテコがちょこんず銖をかしげる。

私は玄関ぞ向かった。

もう、 胞はざわ぀かなかった。

ただ、自分の足で。

扉を開けた。

——

そこに。

ハりルが立っおいた。

ハりルは少し照れたように。

でも、 たっすぐに。

やさしく笑っお蚀った。

「おかえり」

そのひずこずで。

二幎分のなにもかもが。

胞の奥でふっず、ほどけおいった。

「  ただいた」

どちらから、ずもなく。

私たちはそっず、抱きしめ合った。

END

あずがき
ハりルずUTAKOシリヌズ最終回いかがでしたか
ハりルずUTAKOはノンフィクションです。
䞍安愛着の女性が自立しおいく物語です。
自立別れではないずいうこず。
別れを遞ぶこずも埩瞁を遞ぶこずもできる。
女性の意志で人生を遞択できるようになる物語です。
この物語が蚀いたいこずは、このようにしたらうたくいくず蚀うこずではなく、自分の人生は自分が決めたようになるず蚀うこずです。

ハりルずUTAKOシリヌズ党話はこちら💁‍♀

次回、恋愛実録シリヌズ2も最終回になりたす。是非芋おね🌈✚
こちらはフィクションです💖


雫ぎちゅさんの䌁画やっおみたした✚

恋愛実録シリヌズ西䜏くんからUTAKOぞの本音です🀭

ちゃんず、ツン匷めに来た🀭
今の西䜏くんなら、きっず䜕呚も回っお、ワンチャン穏やかになっおるかも🥹

次はぜヌちゃん😜

可愛いじゃないか😍
今日も䞀緒に寝ようね💖


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