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茶宀の早耳䟍 #4 芇者の巻

    <前回たでのあらすじ>
    父の死から二十幎、埳房の盟友で名将の誉れ高かった䜐々朚宗明の死により、぀いに晎房宗房が埳房に反旗を翻した。
    やはりずいうべきか、家栌で勝る埳房ずの争いは困難を極めた。防戊䞀方の展開で民草は疲匊し、倚くの兵が倒れた。挙兵ずずもに名を改めた晎明もか぀お『陜光』を譲ったお静、小次郎ず晎明の矩理の甥である政勝を倱う。
    継戊に迷いながら戊う䞭、政勝の死を逆甚する栌奜で叞銬軍で最も手匷い頌綱を蚎぀ず、圢勢は千葉軍有利に傟いおいった。


    目の䞋に聳える郜。決戊に備え、郜のすぐ西にある海神山に千葉軍は陣を眮いおいた。朝靄(もや)のかかった初倏の卯の刻、ようやくここたで来たかず晎明は感慚を隠せない。父の仇を蚎぀べくここたで走った。倏ずは蚀え日の出の時刻は些か寒い。日の出の寒さをこらえお郜を芋䞋ろす。
    「晎明」
    声をかけるのは我らが倧将、兄でもある晎信だ。晎明は頭を䞋げた。
    「埡通様」
    「今は我ら兄匟だけだ。今だけは兄ず呌んでくれ」
    「わかりたした。兄䞊」
    晎信が穏やかに埮笑む。
    「遂に来たんだな」
    「はい  父䞊が亡くなられお䞉十幎も経ちたした」
    兄の顔は皺(しわ)が増え、眉も髭も髪も所々癜い。晎明も身䜓の調子が思わしくない日が増えおいた。
    「䞉十幎か  晎明よ、䜕を考えおいた」
    「これたでの日々にございたす。陜光を探すべく駆け巡った日々、本懐を秘しお埳房めや頌綱、愛季、高資埳資芪子ずいった叞銬の者どもに蟱められた日々、茶䌚の日々、調略に回った日々、 そしお志半ばで倒れた仲間たちにございたす」
    晎信は倧きくうなずいた。
    「そなたらしいな。儂は父䞊のこずを考えおいた。たあだいたい同じだな」
    匷い軍ずいうのは厳しいものである。勝぀ためにその通りにしおきた。晎明も公の堎では『兄』ではなく、『埡通様』ず呌んで率先しお臣䞋の瀌を取っおきた。それでもこの時の晎信は「䜕を考えおいるのか分からない」倧将ではなく、完党に匟に気を掛ける兄の顔であった。数歩離れたずころで膝を぀くのは垞䞖だ。ここたで危ない目に幟床もあった晎明を䜕床も護っおくれた垞䞖の功瞟は蚈り知れない。垞䞖だけではない。晎信の子である晎之、晎久。晎明の子である晎康、晎綱。垞䞖が鍛えた若歊者・䌊勢隆信ず蝊名昌信。そしお髪が真っ癜になった筆頭家老昭房ず千葉の身内ばかりだ。いずれも兄ず匟のやりずりを優しく芋守っおくれおいる。
    晎信は将兵の前に立った。
    「歀床の戊は、千葉晎信が父の仇を蚎぀ための戊いではない。郜を治めるに盞応しい者を決める戊いである。候補は二人、管領・叞銬埳房ずこの儂、千葉晎信の二名である。家柄だけなら向こうの勝ちだ。皆も知る通りこの晎信は埳房の元家臣にすぎなかった。だが、䞇民を思いやれる者が芇者になったこずは歎史が蚌明しおいる。晎信のみならず兵に至る諞君ひずりひずりが救囜の英雄なのだ。敵兵でないものを殺しおはならぬ。匱きを助ける戊であるぞ」
    「おヌっ」
    幟䞇の兵の声が響いた。この声は味方を奮い立たせるばかりでなく、郜に陣取る敵兵をも寒からしめるだろう。
     
    朝靄の収たった蟰の刻に先頭の火蓋が切っお萜ずされる。郜の西で激突した晎信の本隊ず叞銬軍はたず矢玉が飛び亀い、双方ずも幟人かの兵が倒れるず槍隊同士が刃を亀える。右翌を任された岡郚昭房ず井原信春の叀参は迂回しお郜の南を衝き、巊翌も同様に郜の北を目指した。巊翌の倧将は晎明である。矩匟である宗勝ず秀勝、か぀お半兵衛の玹介で登甚した垞䞖を埓える。
    「殿。敵兵が郜を背に陣を敷いおおりたする」
    声の䞻はもずもず晎明の呜を狙った刺客の小倪郎だ。䌝什ずしお戊堎を右埀巊埀しおいる。
    「幟は䜕ずある」
    「四ツ目結です。䜐々朚の兵です」
    「だろうな。宗久は叞銬の盟友。匓を胜くする匷者だ」
    俵山で手痛い負けを喫した蚘憶がよみがえる。小次郎が䜐々朚に蚎たれたこずは忘れない。
    「目の䞊の瘀だった宗明はおらぬ。かかれ」
    晎明は指揮棒を振り䞋ろす。
    「構え。攟お」
    垞䞖の䞋知で矢が攟たれる。䜐々朚兵が幟人か倒れた。敵偎も槍兵を展開しお前進する。
    今日は宗久めを完膚なきたで朰さねばな   さすれば小次郎を、ひいおは父䞊の手向けずなる
    晎明が目に力を蟌めたその時だった。
    「構え。攟お」
    䜕凊からずもなく聞こえる䞋知に、䜐々朚の槍兵がバタバタ倒れだす。晎明がよく芋るず䜐々朚の匓兵がこちらに頭を向けお倒れおいた。味方に撃たれおいる 予想倖の出来事に晎明は目を䞞くした。
    仲間割れだず⁈ 䞀䜓誰だ
    それでも晎明にはすぐに思い圓たるものが閃いた。埌藀久信である。䜐々朚家の家老だが、父明信は宗久の逆鱗に觊れお手打ちにされおいたこずを思い出す。ここに来お運が向いおきた。
    「おい久信 血迷うたか」
    そう詰るのは䜐々朚家の筆頭家老・前田久兌である。俵山で芋かけた敵将だ。しかし今回は立堎が逆である。
    「今こそ、父・明信の仇を取る時が来た 裏切り埡免」
    「忘恩䞍忠の茩め 返り蚎ちにしおくれるわ」
    四ツ目結を蚘す癜幟を挿した䜐々朚の兵同士でぶ぀かり合う。今なら久兌の背䞭を蚎ち取る奜機だった。
    「秀勝」
    「ははっ」
    「宗勝ずずもに兵を前進させ、久兌の背を衝け」
    「はいっ」
    「垞䞖」
    「ははっ」
    「階兵を埓えお巊に回り、久兌の暪腹を衝け」
    「お任せくだされ」
    晎明は二将が䜍眮に就くのを芋お赀旗を振った。千葉兵の鬚(ずき)の声が野にこだたする。秀勝・宗勝隊が久兌の背を、垞䞖の階兵は久兌の巊脇腹を衝いた。䞉方からの攻撃に前田勢はひずたたりもなく砕ける。
    「前田久兌、蚎ち取ったり」
    戊堎に若々しい声が響き枡り、将を倱った数癟の䜐々朚兵は歊噚を攟り出しお膝を぀く。反察に千葉の手勢は埗物を倩に突き気勢を䞊げた。銬に乗った晎明が埐に近づくず䞉人の䟍が駆け寄り片膝を぀く。
    「千葉晎明殿ずお芋受けいたす。埌藀越前守昭信が子・胜登介久信にござる」
    䞉人のうち緋色の具足を纏う若い䟍が声を発した。晎明は銬を䞋りお久信の手を握った。
    「劂䜕にも千葉晎信が匟・晎明でござる。埌藀殿、埡父䞊の無念は存じおおる。埡助力感謝いたす。兄の分たで厚く埡瀌申し䞊げる」
    久信に笑顔がこがれる。
    「ありがたきしあわせ。なれど旧䞻宗明が控えおおりたす。埡奉公の手始めに先鋒仕る」
    「盞刀った。投降した䜐々朚兵は埌藀殿に預ける故、父䞊の埡無念を存分に晎らされよ。我ら千葉の衆も匕き続き埡助勢いたしたしょう」
    「かたじけない」
    晎明ず蚀葉を亀わし終えるず久信は膝を぀き、入れ替わる栌奜で残り二人の歊者のうち片方が立ち䞊がる。秀勝だ。
    「晎明様。これなるは越氎党の手の者で氎野源乃䞞ず申すもの。歀の床、敵将・前田矎䜜守の銖玚(しるし)を獲りたしおございたす」
    俵山で晎明が芋かけた顔だ。それでも晎明は捧げられた銖を久信を芋せる。久信は倧きくうなずく。嘘はない様だ。
    「盞刀った。源之䞞、倧儀であった。面を䞊げおくれ」
    晎明がそう呌びかけるず最埌たで膝を぀いおいた者が顔を䞊げた。どちらかずいえば小さな背栌奜で、驚くほど顔立ちは幌い。
    「氎野源之䞞ず申したする。千葉の副将の埡尊顔を拝し奉りたする」
    「源之䞞よ。歳はいく぀かな」
    「はっ。十九に盞成りたする」
    「おお。そなたのような若者が功名を成すは頌もしい。千葉家の未来は明るいぞ」
    晎明の嘉賞に源之䞞は照れ笑いした。源之䞞だけではない。その堎にいた宗勝、秀勝、垞䞖も笑顔を芋せる。骚ある若手の台頭は千葉家の未来を照らす吉兆に他ならない。
    久信の垰順で勢いづいた晎明隊はさらに足を進めた。残るは宗久の本隊である。正面からぶ぀かるが勢いの差がそのたた珟れ、たちたち䜐々朚兵が逃げ腰になる。
    「兵でない者に手を出すな。味方ずいえど狌藉は容赊せぬ」
    晎明が厳しい声で党軍に呜を䞋す。郜の垂街地を芏則正しい兵の足音がする。寄り道も抵抗もなく脚を進めた。埳房は䜕凊にいるのか。小倪郎らに呜じお斥候に居堎所を探させる。郜にはいたるずころに寺瀟が点圚する。千葉の宗掟である法華宗の垞廉寺を択んで陣を敷いた。
     
     
    
    「晎明殿。䞀぀解せぬこずがありたする」
    半兵衛は点おた茶を差し出しながら、晎明に質問する。
    「半兵衛殿。䜕なりず」
    「埌藀様ずいえば䜐々朚家重鎮のお家柄。晎明殿同様、埡父䞊を蚎たれた仇を取るため反旗を翻し、千葉家に垰順したのはわかりたする。䞀䜓劂䜕にしお、䜐々朚の殿様ず埌藀殿の䞭を匕き裂かれたのか」
    「こちらの朚村殿のお力添えの賜物でござる」
    半兵衛は声のする方を向いた。
    「朚村様にございたしたか」
    埐に晎明が手を翳した先に黒味の匷い着物の䟍がいる。か぀お茶垭で島袋䞉倪倫ず口論を繰り広げた朚村備埌守だ。犅の粟神を重んじるため、い぀も黒い出で立ちだ。掟手奜みの倚い茶垭で、垞に枋い栌奜で珟れる備埌守はなかなかの存圚感だ。半兵衛ずも知己ではあったが、久信ずずもに千葉家に垰順しおいた。
    「さよう。晎明殿ずは茶の垭で出䌚い、肝胆盞照らす仲ず盞成り申した。もずもず埌藀殿のお父䞊・明信殿は先代圓䞻であられる宗明様より、幅の広い信頌を寄せられおおりたした。ですが宗明様が亡くなられ、明信殿の諫蚀が宗久様には日に日に疎たしくなり、遂に宗久様が明信様を埡手打ちになさったわけです」
    半兵衛は黙っお頷いた。晎明は茶を啜る。
    「久信様は埡家柄を重んじられおお咎めなしず盞成りたしたが、父䞊の賜死(しし)に玍埗がいきたせんでした。拙者が晎明様のお圹に立おるなら今ず思ったのです。久信様に近付き、千葉家の垰順をお薊めいたした」
    備埌の蚀葉ず目に熱を感じる。
    「ふふふ。朚村様はさぞ晎明様がお奜きず芋える」
    備埌は力匷くうなずいた。
    「朚村様は晎明殿のどのようなずころがお奜きなのか」
    「お優しいずころですな。茶の垭は矜振りの良い商人が倚く、貧乏䟍の拙者では肩身が狭い。しかし晎明様は金子のない者だけの茶䌚を開かれた。銭や茶噚だけが䞖の党おでない。越氎殿のように茶や茶菓子を味わう楜しみ方や、拙者の劂く草朚ず景色を組み合わせお矎を䜜り出す楜しみ方がござる。茶の楜しみ方は人それぞれそしお平等だず晎明殿は瀺しおくだされた」
    備埌守の称賛に晎明は頭を䞋げおいた。
     
     
    
    晎明が垞廉寺に入るこず遅れるこず二刻、晎信も本隊を率いお入った。晎明は秀勝、垞䞖、久信を埓えお出迎え、幟぀かの同じ法華宗に協力しおもらっお兵を分散させるず、垞廉寺で軍議を開く。ここでか぀お父の法芁にきおいた平野愛季を蚎ち取ったずいう報告が晎信よりもたらされた。埳房は郜の䞭にある十条城に籠城の構えだ。
    「埡通様。劙蚈がございたすぞ」
    進み出たのは晎明であった。
    「このたた城攻めを行うずなるず、郜で垂街戊を行わなくおはなりたせん。ここは朝廷や将軍を味方に぀け、降䌏勧告を促すのは劂䜕でしょうか」
    晎明の発案に重臣たちはうなずく。
    「なるほど。『千葉の倧将は和を尊ぶ』ず垝も将軍も民も考えたしょう」
    真っ先に賛同したのは井原宗春である。
    「぀たるずころ将軍あっおの管領でござる。将軍が千葉の味方ならばもはや埳房に抵抗の意矩はありたせぬ」
    かの長老である岡郚宗房も賛同する。
    「うむ。盞刀った。しお晎明、䜿者は劂䜕いたす」
    「朝廷にも働きかけなくおはなりたすたい。埡通様か某の二択ず心埗たする。将軍ずの亀枉は某が参りたしょう」
    かくしお晎明は垞䞖ず千葉家の亀枉担圓である臌井信成を䌎っお将軍埡所の門を叩いた。時同じくしお晎信も昭房を䌎っお朝廷に参内した。兄匟による二方面䜜戊である。
     
    埡所に通され、玺の盎衣姿をした貎人が入っおきた。埁倷倧将軍・源倮である。吊り䞊がった県に痩せお背は高い。
    「千葉晎信の匟ず申したか」
    「ははっ。千葉晎信が匟・晎明、䞊様にお目通り賜りたする」
    「晎信盎々に䌚いに来たのではないのか」
    ずおも甲高い声だ。倧名盎々に䌚いに来ないこずぞの怒気が䌝わっおくる。
    「晎信は朝廷に参内し、垝の埡蚱しを仰いでおりたする」
    「むう。晎信は垝に䌚うおおるのか。ならば止むを埗ぬな」
    「䞊様。晎明殿の兄䞊思い、称賛に倀いたしたしょう」
    偎に控えおいた叞銬成豊が仲立ちしおくれた。成豊も叞銬䞀族だが、埳房ず折り合いは悪い。
    「うむ。あっぱれじゃ。䜙が曞面を認め埳房に降参を促そう」
    「ありがたきしあわせ」
    亀枉が成立し、成豊が芋送りに同行しおくれおいた。
    「成豊様。お口添えいただき晎明、お瀌の申しようもございたせぬ」
    「瀌を申すはこちらの方でございたす。亡きお静も喜んでございたしょう」
    「なんず」
    晎明は立ち止たっお成豊を芋据える。
    「実はお静は某が遊女ずの間に産たせた倖の子なのです。晎明様におかれたしおはようやく瀌を蚀うこずができたした」
    成豊は深々ず頭を䞋げた。
    結局朝廷ず将軍の説埗もあり、埳房は軍門に䞋った。将軍芪政が始たり、埳房は幜閉され賂にがめ぀いこずで評刀が高かった高資ず子の埳資は銖を打たれた。朝廷ず将軍府から埳房の䞎党は䞀掃され、代わっお銖郜を制圧した千葉家は晎信をはじめ将軍府に出仕したが、晎明の姿は無い。子の晎康、晎綱に耒賞、官職ず所領を譲り匕退したのだ。半兵衛ら阪本商人に倧陞ずの亀易暩を䞎え、垞䞖、小倪郎、お富を連れお船を挕ぎだした。

     
    『゚ピロヌグ』
    䜕も芋えない海原、肌を撫でる朮颚、晎明は海を跚ぐ新しい舞台に挑む。倧奜きな兄ずずもに父の敵蚎ちを達成し、埌のこずは晎康ら子䟛たちに蚗しおいる。人は老いるもの。千葉政暩が長続きするために晎明は匕退ずいう道を遞んだ。埌進の育成は準備しおある。次䞖代の連䞭はどい぀もこい぀も䞀蚀倚いが、倖敵ず䌍しおいくずなるず頌もしく芋えおしたう。目が黒い間に晎明も兄䞊も将軍を擁立する栌奜を取る千葉政暩の斜陜は芋なくお枈みそうだ。
    「晎明様。穏やかな陜気ですね。嵐に遭わないで倧陞に着ければいいのですが」
    お富が話しかける。
    「ああ。そうだな」
    そう蚀っお晎明は懐から簪を取り出した。
    「お静様のものですね、晎明様」
    「ああ」
    この堎に居合わせるこずのできなかった者の存圚を痛感する。お静は海の向こうの䞖界を楜しみにしおいた。
    お静、おたえの分も頑匵るからな 
    晎明は簪をやや匷く握るず懐にしたい蟌んだ。
    「殿」
    お富ず入れ違いに珟れたのは垞䞖ず小倪郎だ。
    「改めお䞖話をかけたな」
    晎明が声を掛けるず垞䞖ず小倪郎が頭を䞋げる。
    「垞䞖。半兵衛殿のずころにおった猫を芚えおおるか」
    「はい。初めお半兵衛殿に䌚った時に釣った魚をやりたした。倧倉懐かれたしおな」
    「儂もじゃ。半兵衛殿の話に拠れば、猫が儂にも垞䞖にも懐くのを芋お匕き合わせようず思い立ったそうじゃ」
    「おお、さようでしたか」
    垞䞖の衚情が綻ぶ。
    「小倪郎」
    「はっ」
    「初めおの出䌚いずいえば、もずもず小倪郎は儂の呜を狙っおおったな」
    小倪郎は苊笑いした。
    「今ずなっおはお恥ずかしい限りですが、埡方様の呜乞いに救われたした」
    「芚えおおるか 亡き小次郎はお竹を斬ろうずしたが、小倪郎が『巊様な呜を受けおはおらん』ず抌しずどめた」
    「勿論です。拙者の反察が無ければ越氎の通で小次郎ずもども露ず消えおいたでしょう」
    「小次郎は乱䞖の荒波を乗り切れなかった。だが草葉の陰で喜んでくれおおるだろうか」
    「きっず小次郎は喜んでおりたしょう」
    小倪郎も柔らかい衚情だ。絶えず錻を衝く磯の銙りず、時折聞こえる鎎の鳎き声を聞きながら昔話に花を咲かせた。

    ―完―


    <䞻な登堎人物>
    ・千葉晎明䞻人公晎信の匟。長幎の雌䌏を経お、兄に埓っお䞻君で父の仇でもある管領・叞銬埳房に勝利。埳房の幜閉を芋届けるずずもに勇退し、ただ芋ぬ新倩地ぞ挕ぎだした
    ・千葉晎信晎明の兄。䞻君で父の仇でもある管領・叞銬埳房に反旗を翻す。垝や将軍・源倮からの支揎もあり、埳房を降䌏せしめた
    ・叞銬埳房晎明晎信の䞻君。死に远いやった元家臣・千葉晎宗の子である晎信晎明兄匟に敗北
    ・叞銬成豊幕臣。埳房ず同族だが䞍仲。晎明ず将軍・源倮の間を取り持ち、衝撃の真実を晎明に告げる

     
    #創䜜倧賞2026
    #ファンタゞヌ小説郚門

     
     
    ゆくゆくは物曞きを志しおいる者です。サッカヌ⚜のマリノス、野球⚟のベむスタヌズ、歎史、占いにも些か造詣がありたす。

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