
工場長をうなずかせろ
上司は不在だった。アシスタントマネージャーがデスクから顔を覗かせる。
「緊急会議でしばらく戻らないよ。書類預ろうか?」
彼にクリアフォルダを託す。
ちらっと中を覗いたアシスタントマネージャーは、「やるねぇ」とニヤリといった。
承認どころかとりあってもらえるかどうかもわからない。
でも、いい。
私は空欄の承認者欄を見た。並んでいる空欄の承認者欄の中でも最も難関。
私は今日、製造業の絶対ピラミッドに逆らうと決めた。
生涯に一度くらい、一線を越えてみよう。
私は同じ提案書を手に、普段は立ち入らないオフィス棟2階、奥にある黒い木製のドアをノックする。
「失礼いたします」
金色のドアノブは見た目に反し滑らかで、とても冷たかった。
補佐事務員の一人が席を立ち、招き入れてくれる。明るい窓からの日差し、観葉植物がデスクのそばにある。大きなデスクはーー空っぽだ。
上司と同じ会議に出席中なのだろうか?
「工場長はご不在です。お急ぎの申請ですか?」
「いえ、…その企画書です。」
補佐事務員は少し考えてから工場長の大きなデスクを示した。
「正面のデスクのトレーにどうぞ。…その、申し上げにくいのですが、お読みになるかは…」
「構いません。入れていただき、ありがとうございました」
書類を揃え、トレイに静かに置き、一礼をして立ち去る。
ドアのそばまで、補佐事務員は私の振り絞るような勇気を察したかのように笑顔で送ってくれた。
自席オフィスまでの廊下をやや早歩きに進む。
今の私はリンボーダンスもできそうだ。
このお方に捧げます。
企画書の詳細はこちらです(笑)。
「あの名作の書き手を何々させろ」のお題で執筆します。もしよかったら。
ゆりゆりこさん、勇気をいただきありがとうございます!
マイキーさん、カハリーさん、またまたこちらで奉らせていただきます!
【あの名作の書き手を◯◯らせろ】参加中です。
宴のルール
題名「◯◯(人名)を◯◯らせろ」でお願いします。
例)岩男を笑わせろ
【1】最初にジャンルと目的
【2】タグをつける
#あの名作の書き手を・・らせろ
↑コピペ推奨
【3】本文・自由
誹謗中傷はダメ、ぜったい
【4】引用
◯◯らせたいターゲットの書いた、好きな作品を貼り付ける