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ファンタゞヌ小説【黎明のキアロスクヌロ】ep.19「第䞉章 All'isola Sacra degli Ogre! 聖なるオりガ島ぞ」

皇垝厩埡②

 目に染みるほど青い倜だった。
 冬に向けお磚き䞊げられた星々が、癜く柄んでいる。

 屋䞊に着くず、スクヌロは「近くで芋るずたすたすかわいヌんだぜ」ず蚀い、双子は「ほんずだ」ずごく自然にぎヌちゃんを迎えた。

 黄色い宝玉の䞭をぎゅん ず動く黒目に、鎌のようなくちばしを備えた巚躯の神獣は、やはりかわいいずいうより倧迫力だが、双子を前に人懐こく喉を鳎らしおいる。

 よかった、ひずたずふたりを逌だずは思っおいないようだ、ずキアロは胞を撫で䞋ろす。
 鞍は甚意できなかったが、革玐を結び合わせお䜜った即垭の手綱を、ぎヌちゃん玍埗のうえで぀けおもらうこずにした。

 スクヌロが先頭、双子を挟んでしんがりにキアロずいう順番で乗り、はらはらしながら離陞する。
 しかし、空の旅は驚くほど快適だった。

 どうやらぎヌちゃんは、幌子のために穏やかに飛んでくれおいるらしい。
 ゞゞは県䞋の街䞊みにはしゃいでいるが、トトのほうはカチコチに固たっおしたっおいる。
 だが、芗き蟌んでみるずトトの瞳も星に負けじず茝いおおり、この倜の冒険を焌き぀けようずしおいるようだった。

 こんなに匟たちを心配しおいるキアロも、倜間飛行は楜しくおしょうがない。吹き぀ける颚に涙目になりながらも、わくわくしお街の城壁のほうを眺める。
 
 ず、近づいおくるオレンゞの灯りに気づいた。跳ねるような動きから、駆け足の銬に乗っおいる者の束明だずわかる。

「誰か来たみたいだ」ずいうキアロの蚀葉を受け、スクヌロも城壁の門に目を凝らす。

「ぎヌちゃん、正門に寄っおくれ」

 手綱も䜿っおいないのに、ぎヌちゃんはすいっず門の䞊空ぞず飛んでくれた。
 銬䞊の人物は、門番たちず䜕やら激しくもみ合っおいる。
 束明に照らされた軍服が、赀を基調にしたものであるこずを確認するず、スクヌロは急いで手綱を匕いた。

 玅い軍服、それは神聖ロンバルディア垝囜軍の象城なのだ。

 キアロたちが急いで神殿に戻るず、ミケヌレもちょうど宮殿から垰っおきたずころだった。
 おかえりなさいも早々に、スクヌロが蚎える。

「にいに、街の入口に、垝囜の䜿者っぜいや぀が来おる」

「街の入口 スクヌロ、倖に出たのか 窓にも近づかないよう蚀ったずいうのに」

 廊䞋から䜿甚人たちの悲鳎が聞こえた。さらには止める者を振りきっおやっおくる、荒々しい靎音が響く。
 姿を珟したのは、門番ず揉めおいた赀い軍服の男だった。
 息を切らした様子もなく、ミケヌレに目を留めるや胞を匵る。

「ミケヌレ・ゞェンティヌリ・ディ・モンテノェルディ銖垭枢機卿猊䞋ずお芋受けする。宮殿ではなくこちらにいらっしゃるず䌺ったゆえ、倱敬」

「先に名を名乗れ」

 瞳を鋭く光らせお蚀うミケヌレは、キアロたちの知らない人のようだった。
 䞀九〇センチを超えるであろうずっしりした䜓躯は、垃を重ねたキャ゜ックに芆われおいるにもかかわらず、垝囜軍階士よりも歊官らしく芋えた。

 キアロは双子を隣の郚屋に逃がし、䜿甚人の䜓で郚屋の隅に控える。
 スクヌロは青ざめた顔を隠すように、ロヌブの頭巟を目深に被った。

 䜿者が倧仰な音を立おお姿勢を正し、敬瀌する。
 そうこうしおいるうちに、宮殿から駆け぀けた護衛の兵士たちがぞろぞろず入宀し、䜿者ずの間合いを図った。

「ご無瀌぀かた぀りたした それがしは神聖ロンバルディア垝囜、近衛階兵連隊副連隊長、ゞロヌラモ・ディ・バルディ 
 垝囜皇䜍委員䌚の呜を受け、近衛階兵連隊長ノァルモラナ閣䞋より特䜿ずしお遣わされた」

 ノァルモラナ、ず聞いおキアロずスクヌロは目を合わせる。あの女性階士だ。

「我らが君䞻、グむヌド二䞖が身たかられた倜半、囜境を越えようずしおいた怪しい者を捕らえたずころ、泚射噚なるものを芋぀けるに至った。
 これはオりガの神を぀くる怪しげな錬金術を研究しおいる、オス・サクラム教囜の道具ず聞く」

 唟を呑む音が、あちこちで鳎った。
 歎史の倉わり目ずもいえる瞬間に、ここにいる党員が立ち合っおいるのだ。

「垝囜皇䜍委員䌚は、次期皇垝に成り代わり、オス・サクラム教囜に告げる。教皇には、皇垝暗殺の嫌疑がかかっおいる 
 すみやかに裁刀に出頭せよ これは我が囜ず貎囜ずの長きにわたる、神聖なる同盟関係を鑑みた寛倧なる凊眮である」

 兵士たちは明らかに動揺しおいた。
 暗殺など寝耳に氎なのは圓然だ。凍お぀くような目で䜿者を芋据えおいたミケヌレが、萜ち着き払った調子で蚀う。

「はお。こちらには芚えがない、ず蚀ったら ここで貎君を蚎っおもよいのだぞ」

 キアロたちの背には冷たいものが䌝ったが、䜿者は堂々ずした態床を厩さなかった。

「さすれば、神聖ロンバルディア垝囜はそれを戊争の合図ず取りたしょう」

 控えおいる兵士たちが、䞀斉に剣の持ち手を握り盎した。
 党員がミケヌレの刀断を埅っおいる。ミケヌレは厳しい面持ちでため息を぀いた。

「朝たでに結論を出す。宮殿に郚屋を甚意するゆえ、䜿者殿はゆっくり䌑たれよ」

 去り際、ミケヌレはふたりに「詳しくはあずから聞くが、絶察に倖出は犁止だ」ずき぀く蚀い残した。
 隆々ずした肩をいからせお郚屋を出おいくその姿は、たるで戊地に赎く階士のようだった。


 兵士たちが行き、緊匵が去った郚屋に、倜の冷気ず共にじわじわず䞍安が染み入っおくる。
 スクヌロが芪指の爪を噛みながら぀ぶやく。

「じじいのこずだ、裁刀なんお突っぱねるに決たっおる  戊争だ」

 それたで、じっず考えごずをしおいたキアロが口を開いた。

「今倜、オりガの島に発぀」

「今倜   冗談だよな」

「䜕蚀っおるの、さっきたで飛行蚓緎しおたっおのに」

 スクヌロがぶんぶんず、盛倧にかぶりを振る。

「しおない 蚓緎ずかしおない あれはチビたちの瀟䌚芋孊だろ もっず分厚い倖套ずか、䞇が䞀のずきの保存食ずか、そヌゆヌのたでちゃんずそろえおからじゃねヌず  」

「だヌめ 今倜ったら今倜」

 さっきたでずは完党に立堎が逆転した。
 スクヌロが目を癜黒させるのもわかるが、キアロには行くなら絶察に今だずいう勘、いや確信があった。

「明らかに状況は倉わった。ミケヌレさんにどんな蚈画があるのかはわからないけど、教皇の皇垝暗殺がバレちゃったように、倧きな蚈画にはたさかが぀きものだ。
 今こそミケヌレさんを支えるために、発信の力を解攟すべきだよ。それずもスクヌロ、怖気づいたっおいうの」

 さっき俺が蚀った台詞、ずいう蚀葉を飲み蟌むように、スクヌロが声を荒げる。

「おうおう、蚀っおくれるじゃねヌの 芋おろよ、ぱぱっず準備しおやっから。
 お前もちゃんず自分の分は責任持っおやれよ あずで膝でも擊りむいお『傷薬くださいスクヌロさん』お泣くはめになっおも知らねヌかんな」

 はいはい、ず肩をすくめおいるずころに、ゞゞずトトがやっおきた。
 ゞゞがスクヌロに、トトがキアロに抱き぀いお顔を埋める。

「ゞゞもご甚事行く」

「トトもぎヌちゃん乗る」

 それぞれ抱きしめ返しながら、「お留守番っお蚀ったろ」「䜕かあったらミケヌレさんに守っおもらうんだよ」ず蚀い聞かせる。
「ミケヌレ奜き」「トトも」ず笑うふたりの珟金さをたくたしくも寂しくも思い぀぀、キアロは頬ずりをした。

 倖套を着蟌み、パンずチヌズずオレンゞ二぀、それから地図を鞄に詰めたら出発だ。
 キアロはスクヌロず共にぎヌちゃんの背にたたがり、屋䞊で手を振る双子が芋えなくなるたで、䜕床も䜕床も振り返った。


いいなず思ったら応揎しよう