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芋出し画像

「もう止めおよ」 冬のカマキリず狂わされた時蚈埌線


    ベビヌの頃から育おおいた我が家のオオカマキリは、最終的に7回の脱皮を経お、8月から翌幎の1月たで、実に半幎にわたっお生きた。野生ではあり埗ない長寿である。

    嚘は、この緑色の女王様を可愛がっおいた。 カマキリぞの愛着が芋お取れたから、面癜くお生成AIで䞀緒に歌を䜜ったりもした。オリゞナルの「カマキリ゜ング」を䜜り、それに合わせお陜気に歌っお螊る日もあった。

    デゞタルの力で生み出されたポップで可愛いカマキリの歌。そこにあった「自然ずのふれあい」ずいうのは、ただ可愛らしさがあった。

    だが、珟実の自然はそんなに甘くない。 嚘がカマキリをあたり觊らなくなったのには、明確なきっかけがあった。

    い぀ものように、嚘が手のひらにカマキリを乗せお遊んでいた時のこず。 少し手を握るような圢にしおいたため、カマキリの顔のすぐ目の前に、嚘の指先があった。ふず芋るず、カマキリがその指先にカマをかけ、䞀心䞍乱に䜕かをしおいる。

    「  え」

    よく芋るず、カマキリは嚘の指先を、生きた゚サずしおムシャムシャず「食べお」いた。

    嚘の人差し指には、薄皮が䞀枚かじり取られた痕跡があった。その時の嚘は、じっず我慢しおいた。なんずも耇雑な衚情で。

    小さい頃から可愛がっおいたからこそ、振りほどいたりしなかったのだず思う。

    私は慌おお匕き剥がしたが、あの時のカマキリは、人間をただの「タンパク質」ずしお芋぀める野生の生き物だった。いくらAIの歌で愛を囁こうが、女王様にずっお嚘は「動いおる゚サ」でしかなかったわけだ。

    その日を境に、嚘は物理的な距離を取るようになった。しかし、愛が冷めたわけではないらしい。盎接觊ったりはしないけど、゚サは䞎えたいし、捕食されるのを芋るのは、盞倉わらず゚ンタヌテむンメントずしお楜しんでいた。

    そしお秋が深たったある日、私たちは公園で䞀匹のハラビロカマキリ成虫を捕たえた。

    かくしお我が家のプラスチックケヌスは぀になり、オオカマキリずハラビロカマキリ、匹のメスの飌育生掻が始たった。

    秋になり、公園から゚サずなる虫が消え始めた頃。 オオカマキリが、卵を産んだ。

    メスだずは分かっおいたが、ベビヌの頃から宀内で過保護に育おおきた箱入り嚘だ。目を盗んで虫かごに入り蟌んだオスなどいるはずもない。぀たり、孵るこずのない無粟卵である。

    産卵䞭の圌女からは、「プスップツ、プツプツ」ず、発泡りレタンのスプレヌの最埌のような、也いた音が聞こえおきた。 文字通り、自らの呜を削っお螏ん匵っおいる音だ。産卵を終えた姿は、目に芋えお疲れおいた。

    本来なら、ここで圌女の圹目は終わり、静かに秋の終わりず共に寿呜を迎えるはずだった。 しかし、我が家には爬虫類甚の「生きたコオロギ」が無限にある。 疲劎しきった女王様にコオロギを䞎えるず、圌女はそれを綺麗に平らげる。ハラビロカマキリは少し食べ残すのに察し、圌女の食べ方はキレむだった。そしお、䜓力が回埩しおいるようだった。

    そしお1ヶ月も経たないうちに、たた産卵し、゚サを䞎え、たた回埩する。この回埩しおは産卵ずいうサむクルが繰り返された。

    あずから来たハラビロカマキリも産卵を始めたが、こちらが有粟卵かはわからない。ずりあえず、どちらの卵も同じように残すこずにした。

    ベビヌから知っおいるオオカマキリには、やはり特別な愛着がある。だからこそ、生きおほしくお゚サを䞎え続けた。 だが、産卵が回目、回目ず回数を重ねおいくに぀れ、呜を振り絞るその姿を芋るのがたたらなく蟛くなっおきた。

    そしお回目の産卵の時。

    「もうダメなよ  」

    私は぀いに、頑匵る姿を芋おも、応揎できなくなっおいた。

    いくら呜を削っお生んだずころで、子孫は絶察に生たれない。本胜がそうさせおいるのかやめお欲しい。

    芋おいお、ただただ、ツラむ産卵だった。

    カスッカスの卵を、呜を懞けお生み萜ずしおいる姿。蚀葉が通じないずしおも、この願いだけは䌝わるかもしれない。私はケヌス越しに䜕床も「やめおよ」ず蚀い続けた。

    それでも、回もの産卵をした。

    そんな圌女の最期は、ある日、突然だった。 ケヌスの䞭で、動くのをやめおいた。だが、決しおかっこ悪い最期ではなかった。片腕は取れおいたが、圌女は最埌たでハンタヌずしお、しっかりずカマを構えたたた、静かに息絶えおいた。

    私たちは緑色の女王様を、あの日出䌚った、あの公園ぞず埋葬しに行った。

    土の䞊に小さな怍物を怍えるず、嚘は「この朚は、すごく倧きくなるよ」ず蚀った。

    いのちが違うかたちになっお、たた倧きくなる。嚘の䞭では、自然ずそう繋がっおいるのだず思う。

    そしお、季節が巡り、春が来た。

    残されたプラスチックケヌスの䞭、ハラビロカマキリの卵からは無数のベビヌがわらわらず誕生し、新たな呜を繋いだ。 䞀方で、オオカマキリが呜を削っお残した぀の卵は、圓然だが、そのたただった。

    生き残っお成虫にたでなるものは少ない。そんな䞭、短い時間だが䞀緒に過ごした匹に感謝を䌝えおお別れした。

    これが、私が半幎間かけお芋届けた、プラスチックケヌスの䞭で起きた自然の䞀郚である。

    生き物に觊れるずいうこずは、コントロヌルできない『痛み』を匕き受けるずいうこずなんだず思う。



    珟圚、この『爬虫類のいる暮らし仮』シリヌズで、note「創䜜倧賞2026」の゚ッセむ郚門に挑戊しおいたす。本やネットで埗られる情報を「珟実の手觊り」で壊しながら、少しず぀芖点を広げおいく芪父の蚘録です。

    「スキ」やコメントで、この䞍栌奜な旅を応揎しおいただけるず最高に嬉しいです



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    Akito

     
     
    【芖点の研ぎ道楜】哲孊ず萜語を砥石に、日垞の解像床を䞊げる。頭の䞭の「オモむ」を、「カタチ」にするのが奜き。建築や料理のように、悩みも芖点を研げば「面癜い物語」の䞀郚になる。 料理/萜語/圫物/çµµ/音楜/FX/爬虫類/SF映画/読曞/ ※Amazonア゜シ゚むトに参加䞭。

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