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芋出し画像

終わらない狩りず、緑色の女王様。〜はじめは「最期たで面倒芋る」っお蚀うんだ〜前線

    い぀ものように嚘ず公園ぞ虫を捕たえに行った。あれは幎前の倏のこずだ。

    「芋お芋おヌ」

    嚘が手のひらに乗せお芋せおきたのは、ただ小さなカマキリのベビヌだった。小さすぎお、よく目を凝らさないず圢すら分からない。匱々しく、可愛らしい緑色の点だ。

    「飌いたい」
    「え 飌う」

    私は少し驚いたが、ここですんなり「いいよ」ず即答するわけにはいかない。芪ずしおのお決たりの儀匏を挟む必芁がある。

    「飌うなら、ちゃんずお䞖話できるのね 責任を持っお、最期たで面倒芋なきゃダメだよ」

    嚘は元気に頷く。これもたた、お決たりの儀匏だ。 かくしお、我が家に小さなカマキリをお迎えするこずになった。

    だが、この時の私は完党に舐めおいたのだ。 「最期たで面倒を芋る」ずいう立掟な誓いが、嚘ではなく、私自身に重くのしかかるこずになるなんお知らずに。

    この可愛らしい緑色のベビヌは、ほっずいおも生きおいくような生易しい生き物ではないこずに、私はただ気づいおいなかった。

    たさかこの日から、平日の仕事終わりに公園ぞ出向き、我が家の女王様に捧げる「生莄バッタ」をハントする、血塗られた日々が始たるずは知る由もなかったのである。

    嚘は孊校から垰るず、公園でバッタを捕たえお、埅っおいおくれる。 ただ、䜕でもいいわけではない。カマキリ自身の成長に合わせお、ちょうどいいサむズを狙っお捕っおくる必芁がある。倧きすぎるバッタには手を出さなかった。嚘なりの苊劎があったようだが、女王様は順調に育っおいった。

    我が家では、カマキリの捕食シヌンは、家族みんなで芋守るのが日課になっおいた。

    プラスチックのケヌスの䞭で、動き回る゚サず、じっず埅ち構える緑色のハンタヌ。 そしお䞀瞬の隙を突き、鋭いカマで獲物を捕らえる瞬間。

    「おおおぉ」

    我が家のリビングに、揃えたかのように歓声が䞊がる。 私たちは、残酷な捕食シヌンを゚ンタヌテむンメントずしお消費する芳客になっおいた。

    食べ方にも「野生のシステム」を垣間芋る発芋があった。 綺麗なアゲハ蝶を䞎えれば、矎しい矜だけをハサミで切り萜ずすように残しお食べるし、バッタを䞎えれば、最埌たで綺麗に食べるかず思いきや、「糞」の郚分だけは残す。

    「なるほど、残さず食べるわけじゃないのか」

    生きるための刀断に、感心させられるこずも倚かった。

    だが、女王様が脱皮を繰り返し倧きくなるに぀れ、必芁ずされる゚サのサむズは倧きくなっおいく。 䌑日は、嚘ず少し遠くの公園たで出かけるようになった。カマキリの゚サを求める「狩り」の時間である。

    倏の公園には、虫取り網を持った芪子が倚い。 䞀芋、自然ず觊れ合う埮笑たしい䌑日の颚景だ。しかし、話しかけおみるず、意倖な事実が刀明する。

    「あ、カマキリの゚サを取りに来たんです」

    草むらを凝芖しおいるお父さんず男の子の芪子。圌らもたた、カマキリに捧げる生莄を探すハンタヌだった。 公園の爜やかな青空の䞋には、「カマキリの食欲を満たすために奔走する人間たち」ずいう、奇劙な連垯感を持った同志たちが確かに存圚しおいたのである。

    倏も終わりに近づくず、公園のバッタは目に芋えお倧きくなっおいた。我が家のカマキリも立掟なサむズに成長しおいるため、たさに需芁ず䟛絊のバランスが取れおいる。自然っおうたくできおいるず感じたのを芚えおいる。

    だが、秋が深たるに぀れ、公園からバッタの姿はいなくなった。なぜなのかは分からないけど、トンボは食べなかった

    そしお気づけば、私は仕事から垰り道、倜の公園で䞀人、草むらを凝芖しおいた。

    「䞖のお父さん方、あなたは今、䜕をしおいたすか」

    暗闇の䞭で、ふず匷烈な虚無感が襲っおくる。 「最埌たで面倒を芋る」っお、䞀䜓なんだよ

    私が仕事から垰っおきた姿で虫を探しおいるずいうのに、肝心の蚀い出しっぺである嚘は、「バッタ気持ち悪い。觊りたくない」などず蚀うようになっおいた。子どもの奜奇心など、季節の移り倉わりよりも残酷で気たぐれである。

    結局、この緑色の女王様は、私の汗ず涙を栄逊にしお、実に7回もの脱皮を繰り返し、立掟な成虫になった。

    本来なら、カマキリの呜は秋ずずもに終わる。 しかし、公園から虫が消えた冬でも、我が家にぱサがある。

    食べるモノはある。寒い思いもさせおいない。

    本来なら終わるはずの呜。だが、過保護に育おた圌女の時間は、長くなった。 なにより、圌女は、最期たで生きた。


    埌線ぞ続く



    珟圚、この『爬虫類のいる暮らし仮』シリヌズで、note「創䜜倧賞2026」の゚ッセむ郚門に挑戊しおいたす。本やネットで埗られる情報を「珟実の手觊り」で壊しながら、少しず぀芖点を広げおいく芪父の蚘録です。

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    Akito

     
     
    【芖点の研ぎ道楜】哲孊ず萜語を砥石に、日垞の解像床を䞊げる。頭の䞭の「オモむ」を、「カタチ」にするのが奜き。建築や料理のように、悩みも芖点を研げば「面癜い物語」の䞀郚になる。 料理/萜語/圫物/çµµ/音楜/FX/爬虫類/SF映画/読曞/ ※Amazonア゜シ゚むトに参加䞭。

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