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Photo bypasteltime

最埌の車で旅に出よう

    圩生透

     友人らに芋栄を匵るべく買ったブランドバッグが、䜿わないたたボロボロになる。
     通販サむトのセヌルでいざ手に入れたはいいが、郚屋に食り、幎半経っおみるず、どうだ。

     換気の颚にさらされ、職業柄珟圚は介護関係ランチや飲み䌚を控えお過ごせば段々ず疎遠に、寧ろバッグ云々より高校時代からの友情が長幎、続いたこずの方がすごかった。


     ワタシには息子ず嚘がひずりず぀いる。
     やっずそれぞれ巣立っおいき、結婚には興味がないようで、圓然ただ〈おばあちゃん〉ではなく、神経質な倫ずふたりの生掻は、窮屈だった。
     時折、どうしおおよそ30幎前に圌を遞んだのだろうず思う。

    「こっちの台詞だよ」
    ず蚀っおせせら笑う姿が目に浮かぶ。
     そう、昔は同じビルの違うオフィスで、あなただけが茝いお芋えた。近頃は広い額おでこがキラキラしお、庭の草むしりに午埌を費やす。

     誰かが憧れるような暮らしではなくずも、幟らかロヌンが残ったこの家には、ワタシたち家族の物語がある。
     勿論、駐車堎にずめた車にも。


     急な雷が眠気を吹き飛ばし、怯えながら慌おお掗濯物を取り蟌む際、ベランダから愛くるしいクラシックカヌがちらり。
     䞀目惚れの茜色、倫に話しおも「いたいち分からん」ず返された。

     あれがワタシにずっお、最埌の車かも知れない。
    「お父さん 雚降るでしょ、もう。終わらせお」
    そこで远想には耜らず、裏庭に向かっお呌び掛ける。あの人は躍起になりやすいので、取扱泚意、私が傍に居なければ。


     掗濯物を畳んで抱え、ゆっくりず階段をおりるず、土の臭いが廊䞋の突き圓たりたで挂い、手を掗う぀いでにシャワヌを济びおいるらしかった。
     倕飯は䜕にしようか。子䟛の劂く奜き嫌いが倚い〈お父さん〉だが、きんぎらごがうなら喜んで食べおくれる。


     こうしお代わり映えのしない毎日ができあがる、これもたた幞せず自分に蚀い聞かせお。


    「もしも願い事がひず぀叶うずしたら、お母さんは」
     以前、嚘に問われたこずがあった。
     若返る、海倖旅行、などが頭の䞭を駆け巡った結果、嚘ず違っお「別人になりたい」ずは考えず、玔粋に「どこかぞ行きたい」ず答える。
     最近その気持ちが再び湧き䞊がっおきた。


     ずいう蚳で県内の枩泉をタブレットで探しおいるず、颚呂䞊がりの倫が芗き蟌んで
    「日垰りじゃなく、玅葉狩りを兌ねお、近堎の旅通に泊たらないか。こっから予玄すれば䞁床いいだろ」
    ず蚀い出す。来月の話をされおも、こちらは来週の蚈画を立おおおり、埮劙なすれ違いに頭痛を感じる。


    「或いは  芳芧車に乗っお、やや高めのカゞュアルなレストランでディナヌ、倜景を眺めながらたったりドラむブ、ずか」
    「若い人のデヌトみたいなコヌスね」
    「真面目な話だぞ。たたには〈お母さん〉を䌑んで。お互いに圹割から離れお、ただのオレずキミでいよう」

     軜く受け流した぀もりが倉化球にずきめく。
     䞀瞬で亀際したおの蚘憶を呌び起こす、圌はさながら魔法䜿い、しかし、ワむンが奜きなので十䞭八九、車の運転はワタシ、ロマンチックが半枛した。
    「ふヌん。楜しそうだこず」
    「前向きに怜蚎しおくれ」


     懐かしの歌謡曲を聎いお、思い出話に花を咲かせる。あくたで理想の光景であり、実際は運転に文句を぀けられ、些现な蚀い争いの道䞭、にも拘らず、ワタシはたんすを匕いお真っ癜なブラりスずセンタヌプレスパンツを䜓に圓おた。

     姿芋を確認するず、悪くはない。
     昚幎、息子が母の日に送っおくれた倧刀のストヌルは秋でもさっず矜織れる。


     ここたで生きおきお、最も蟛かったのは息子が小孊生の頃から原因䞍明の䞍登校に陥り、せっかく合栌した高校にさえ通えず、閉め切ったドアの向こう偎に話し掛けた日々。
     通信制高校のスクヌリングで「友達ができた」ず笑顔で報告された時は感極たっお泣きじゃくった。
     そんな過去を持぀息子も、趣味が高じお今は劇堎支配人を目指しおいる。


     曎に、嚘は生たれ぀き䜓が匱く、しょっちゅう熱を出し、その床、病院に連れお行き、殆ど成長せず倧人になった。
     か现い手足ず小さなパヌツが少女のたたで、か぀おクラスメむトに散々「倪らなくお矚たしい」ず皮肉られ、食べるず腹を壊しおしたう䜓質だずは敢えお蚀い返さないでリビングにお悔しさを爆発させる。
     倫は未だに嚘にはずびきり甘い。


     家族で歩んだ道の党おが、ハッピヌ゚ンドに繋がれば良い。「お疲れさた」ず自分を劎っお、明日もワタシの人生は続く。
     蚘念日でもない倫ずの倖出を、いずれ゚ンドロヌルで流れる〈おたけ映像〉に加えよう。


    「さっきの話、来週の土曜でよければ」
    ダむニングテヌブルに向かい合わせで座った倕食時にさりげなく切り出す。
    「了解。色々ず調べおおくよ、枩泉も行こう」
    䜕ずたあ、テレビを芳぀぀無衚情でにんじんをぜりぜり噛んでいたずころが、ワタシの返事でパアっず嬉しげな顔に倉わっお眩しかった。


     18歳で〈普通免蚱〉を取り、無事故・無違反の継続、なんだかんだで台目恐らく。
     そうやっお、最埌の車で旅に出る。



     
     
     
    「アダキ/トオル」です。 フィクションをあなたに届ける ただの音楜奜き(投皿は少しず぀) はじめたしお__い぀もありがずう。 芳る:聎く:読む:玡ぐ、もっず noteで倚皮倚様な感性に觊れたい。 無色透明の僕から極圩色ぞ 毎回姿を倉えるかも知れたせん。

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