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Photo bykuromin_n

『なんとなく食べたい』で予約を入れる父に学んだこと

    私の実家には、特別な時にだけ食べに行く洋食屋さんがある。
    小さな洋食屋さんだけど、家族で行くと1万は超えてしまうから、誰かのお祝いの時にだけ行く。

    実家がとても近いこともあり、週末はよく帰るようになり、ある日帰省すると「今日はあのお店に行こう」と父が言った。

    誰かの誕生日でもないのに、なんで?!
    と思った。

    「なんか、たまには食べに行きたいなって思って」

    答えるや否や、電話をかけて予約を入れていた。

    「お久しぶりです。今日予約行けますか?」

    行動が早い。

    食べに行こう→なんか食べたいなと思って→予約…までの流れが早かった。


    特別な日じゃなくても、
    なんとなく行きたくなったから、って理由で行っていいんだなと思った。

    60代の父は、結構ある日突然、
    今しかない!と思い立って、何かすることがある。

    突然、温泉に行ったり、茨城の御岩神社に行ったり、今回、少し高い洋食屋さんに行こうとしたり。


    「今回は、ステーキかなぁ?ピザもいいね…いや、久々にオムライスかなぁ」

    行く前から、楽しそうにメニューを挙げている。
    馴染みの店だ、ゆっくり選んでも、店主も気にしないだろう。


    *****

    店に到着すると、
    ハンバーグやステーキ、オムライスと他の家族が選ぶ中、父は、候補には挙げていなかったビーフカツレツを頼んだ。

    いつになく、嬉しそうな父。

    いつも盛りだくさんな料理なので、だいたい少しは父に味見と称して、家族が頼んだ料理が回ってくるのをわかっているのだろう。

    ビーフカツレツが届くと、
    「これこれ」と、待ってましたと言わんばかりに頬張る。

    付け合わせのベークドポテトを、デミグラスソースに絡める。

    主役のビーフカツレツを切りながら、
    「こうして、みんなで食べるからいいんだよな」

    この笑みである。

    特別な日じゃなくてもいい。
    行きたくなった時に行くのが、1番良い。

     
     
    30代、一児の母。東京都生まれ。 不妊治療、ハンドメイド販売の手伝い、娘との日々。 重いテーマも、軽い日常も、正直に書いています。 誰かの心に小さな光がともるような文章を目指しています。

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