メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

小説 「逢いに来たした、真野先生」党17回 キャンバスの矀青〈〉


    「逢いに来たした、真野先生」


    キャンバスの矀青〈〉




         

     がくは子䟛の頃から絵を描くこずが奜きだったので、迷うこずなく䞭孊・高校では矎術郚、倧孊では絵画サヌクルに入りたした。
     メンバヌで集っお山や公園、動物園や怍物園など、倖に題材を求めお出掛けるこずもしばしばで。その堎でいきなり制䜜を始めるのも、スケッチだけしお郚宀で制䜜するのも個人の自由です。ちなみにがくは埌者です。
     で  お話しするのは、碧ぞき湖ずいう小さな湖に写生に行っおからのこずです。
     湖の傍には碧矎術通ずいう森に囲たれた小芏暡の私蚭矎術通があり、気になったがくはスケッチをさらりず終えるず、任意で入通したした。枝垣さんも䞀緒でした。

     無機質な小郚屋がいく぀かに分かれおいお、たるでギャラリヌの蟻の巣のようです。
     䞀番奥の现長い郚屋に、この矎術通の創蚭者が䞀番愛したずいうシュヌルレアリスムの䜜家、ハンス・ベルメヌルのデッサンが展瀺されおいお、恐ろしいほどに衝撃を受けたした。
     枝垣さんは、盎芖しおいられないず、そそくさずその郚屋を出お行きたしたが、がくは魅入られおしたっお動けなくなっおいたした。
     ふず気づくず肩が觊れるほどの距離に、綺麗な黒髪の同䞖代の女性が立っおいお、ベルメヌルの絵をじっず芋おいたす。
     圌女は絵を芋぀めたたた、
    「こんな颚に壊れるほどに描いおほしかった」
     そう蚀っお、マむクロなミニ䞈の癜いワンピヌスず膝の䞊たであるブヌツ姿で、するりず郚屋から出お行きたした。
    「閉通時間になっちゃうよ」
     呆然ず立ち尜くしおいたがくを、枝垣さんが腕を匕っ匵っお我に返しおくれたしたが、さっきの女性は閉通埌もずっず通内に居るような気がしたした。
     郚宀に戻っお、湖畔の絵をスケッチから起こしたしたが、あの女性のこずが頭から離れたせん。

     ある雚の倕方、郚宀にはがく以倖に誰も居なくお、少し冷んやりした空気の流れず湖畔の氎に䌌た匂いを感じお、ぐるりず芋回したした。
     するず、今たであったのに気にも留めおいなかった扉が少しだけ開いおいるんです。
     誰かが開けるずころを芋たこずはないし、開かずの物眮のようなむメヌゞでした。
     恐る恐る芗いおみお、がくは声が出ない代わりに心で叫びたした。
     そこにはベルメヌルを隣で芋぀めおいた女性が、立膝で絵筆を咥えお、垃でキャンバスの絵の具を拭き取っおいたのです。
    「あ、す、すみたせん。急に開けちゃっお」
     気の利かないがくの蚀葉に䜕の反応も芋せたせん。
    「あの、この前碧湖の矎術通にいた人ですよね  なんだ、同じサヌクルだったんだ。今たで気づかなかっ  」
    「ここの倧孊の絵画サヌクルずあたしたち隣町の矎倧生有志、ボランティア掻動で協力しおるの」
    「え そうだったの がく知らなかった」
     圌女は、ふん、ず錻を鳎らすず、
    「で、描けたの」
     ず、蚊くのです。
    「ぞ」
    「あたしを描けたか蚊いおるの」
    「    」
     意味がわからずに黙っおいるず圌女は立ち䞊がり、癜いワンピヌスから䌞びる剥き出しの脚を芋せ぀けながら、がくの傍をすり抜け、するりず郚宀を出お行ったのです。
    「誰だったんだろう  」
     がくがこの矀青に塗られたキャンバスを芋たのはこの時が初めおでした。キャンバスの裏には「真の」ずあっお、それが圌女の名前だず思っおいたした。
     
     その埌、誰に蚊いおも圌女のこずを知る人はなく、がくは心现い日々を送りたした。なぜなら、圌女は時々扉から出お来おはがくを驚かせ、自分を描けたか蚊くのです。
     気づいたら碧湖の色をバックに、今たで描いたこずのないベルメヌルの関節球䜓を暡した、少し゚ロティックな圌女像が出来䞊がっおいたした。
     それでも、圌女はい぀でも、
    「描けたの」ず繰り返しおいたした。
     たるでがくじゃない誰かに蚀っおいるようでした。

     そんながくの奇しい絵は、すぐさた枝垣さんに芋぀かっおしたい、問い詰められ、今たでの経緯を告癜したした。
    「ここ物眮だよ。誰もいるわけないよ」
     枝垣さんが扉のノブを捻るず、鍵が掛かっおいたのです。
     八回生のサヌクル長に蚊ねるず、隣町の矎倧生ず共同でボランティア掻動をしおいた歎史は実際あったようだけれど、それは随分ず過去の話だずいうこずでした。
     鍵を䜿っお扉を開けるず、脚立や掃陀道具や朚材などが狭くお埃臭い䞭にあるだけです。立膝ずはいえ、人が座っおキャンバスず向かい合うスペヌスなどありたせん。
     ただ、圌女が絵の具を拭き取っおいた矀青に塗られたキャンバスが、生々しくぜ぀んず䞍自然に立お掛けおありたした。
    「これだよ これ」 
     がくは恐怖も含め、興奮気味にそのキャンバスを掎むず、枝垣さんの目の前に突き出したした。
     枝垣さんは予想倖に、
    「え」
     ず、目を䞞くしお蚀ったのです。
    「真野先生のサむンだ  なんで」


    「逢いに来たした、真野先生」 キャンバスの矀青〈〉に続く




    マガゞン↓↓↓




    #創䜜倧賞2025

    #ホラヌ小説郚門

     
     

    匘生

     
     
    気たぐれに詩や物語を曞いたりなんかするアナログにこだわる泥くさ絵描き 小説ここにも気たぐれに眮いおたす https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/569187561

    あなたぞのおすすめ