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悪役令嬢、生成AI時代にあえてSEOを学ぶ 第5回:悪役令嬢の反撃~「見つけられる」ためのサイト改善戦略~

    ⬇️ プロローグから読みたい方は、シリーズ一覧から

    <これまでのあらすじ>

    ECサイトの売上低迷に悩む公爵令嬢ロゼッタは、執事スティーブンスの進言でSEOを学ぶことに。指南役リセットから、Webの世界が「巨大な図書館」であり、検索エンジンが「賢い司書」であると教わる。リセットの過去の経験や、ロゼッタ自身の洞察を通じて、SEOが単なる技術ではなく、ユーザーへの真の価値提供と倫理に基づいたものであることを認識し、ロゼッタは「いっときの売上のためのテクニックは不要」と決意を新たにする。

    その夜、ロゼッタは夢の中でGoogleの化身かのような女性司書「ググリ・アルカイブス」と出会い、Webの広大な知識と秩序、そして検索エンジンの使命について深く知ったのだったーー。

    夢の残響 ~目覚めと新たな決意~

    朝の光がロゼッタの寝室に差し込み、彼女はゆっくりと目を開けた。夢の中の出来事が、あまりにも鮮明に脳裏に焼き付いている。ググリ・アルカイブスの威厳ある姿、無限に広がる書架の迷宮、そして「豚がお尻で呼吸する研究」という奇妙なクエリに真摯に応える司書の姿。

    (まるで、現実の出来事のようだったわ……)

    特に印象的だったのは、ググリが語った「人類の知識を秩序立て、誰もが必要な情報に、迷いなくアクセスできるようにすること」という使命、そして、自殺を仄めかすクエリに対する彼女の苦悩と、その後の対応だった。

    (Webの世界は、私が思っていたよりもずっと、深く、そして倫理的な責任を伴うものだったのね)

    ロゼッタはベッドから起き上がると、サイドテーブルに置かれたタブレットで、うっすらと覚えている”本”のタイトルを検索してみた。

    『Google検索セントラル』。

    そのサイトは、確かにあった。夢の中でググリから手渡された「Google公式SEO入門ガイド」と同じ内容が書かれたものが。現実世界でも、それは確かにそこにあった。

    ”いっときの売上のためのテクニックは不要ですわ”

    昨夜、リセットに告げた自身の言葉が、今朝はより一層、重みを持って響いた。ベリーズが5年後も10年後もお客様に愛される場所であり続けるために、私はこの「巨大な図書館」の秩序を守り、真に価値ある情報を提供しなければならない。

    現実の戦略~サイト改善の第一歩~

    その日の朝食後、ロゼッタはリセットを執務室に呼び出した。

    「リセット。昨晩のことですけれど、タブレットで『Google検索セントラル』というサイトを見つけましたわ。そこに載っていたこの、『Google 検索でウェブサイトをアピールする方法』(*1)が、とても気になっているの」

    ロゼッタは、タブレットを示しながら指南役に近くに座るよう促した。

    「……お嬢様、まさか、昨晩はお休みになられていないのですか?」

    心配そうに尋ねられて、ロゼッタはクスリと笑って答えた。

    「心配してくださるの?大丈夫よ。ぐっすり眠って、夢も見ましたわ」

    (ーーそう、とても深い、深い夢を)

    安堵したように頷くと、リセットは解説を始めた。

    「お嬢様。それは、GoogleがWebマスター向けに提供している、最も重要な公式ガイドラインです。これを読み解き、実践することがSEOの第一歩となります」

    リセットは穏やかに頷いた。

    「まずは順当に、こちらにある「ウェブサイトの SEO 改善のための具体的な方法」で、実店舗を持つビジネス オーナー向けの推奨事項を見てみましょう。お嬢様のティールーム『ベリーズ』のように実店舗をお持ちのビジネスオーナーには、非常に重要なツールがございます。それがGoogleビジネスプロフィール(*2)です」

    リセットはタブレットの画面をGoogleマップに切り替え、ティールーム「ベリーズ」の場所を表示させた。

    「お客様が『近くのカフェ』や『アフタヌーンティー』と検索した際に、Googleマップ上に店舗情報が表示されるのをご覧になったことはございませんか? Googleビジネスプロフィールは、このGoogleマップやGoogleのローカル検索結果(*3)に、お嬢様の店舗の営業時間、電話番号、住所、写真、お客様の口コミなどを無料で掲載できるサービスです。これは、特に実店舗への来店を促す上で、非常に強力なツールとなります」

    「存じていますわ。お客様からの口コミにお応えするために、アカウントは持っておりますの」

    ロゼッタは頷きながら応じた。

    「でしたら、掲載情報を充実させてみましょう。メニューや駐車場の有無なども表示できます。キャンペーン情報やクーポンを配信したりも可能です。旅行客や観光客にとって有益な情報を意識するとよいでしょう。例えば、ベリーズはティールームですが、ユーザーは”ちょっと一休み”という時に、Googleマップを開いてお嬢様なら何と検索しますか?」

    「そうね…。「近くのカフェ」、とかかしら」

    「左様でございます。「近くのティールーム」よりも「近くのカフェ」で探す人の方が多いでしょう。「ランチ」「スイーツ」などで探す方もいるかもしれません」

    「なるほど。ここは、お店に直接いらっしゃる方に向けた情報や言葉を入れた方がよさそうね。ひょっとして、ECサイトとは違う視点が必要なのかも」

    ロゼッタが考えを巡らす様子を見て頷くと、リセットはタブレットをこちらにて渡すように促した。

    「それではもう一つ、SEOをするサイト運営者にとって、重要なツールをお伝えしますね」

    リセットがタブレットを操ると、そこには「検索パフォーマンス」とタイトルのついたグラフや様々なメニューから構成される画面が現れた。

    「Googlebotがサイトを巡回し、情報を収集した結果は、Google Search Console(*4)という無料ツールで確認できます。お嬢様の『ベリーズ・オンライン』がGoogle検索でどのように表示されているか、どのようなキーワードで検索されているか、技術的な問題はないかなどを監視できるのですよ」

    ロゼッタは目を輝かせた。これまでの売上データやアクセス数は見ていたが、検索エンジンからの視点でのデータは初めてだった。

    「まずは、お嬢様のサイトがどのようなキーワードで検索されているか、見てみましょうか」

    リセットは画面を操作し、「検索パフォーマンス」という項目を開いた。そこには、ベリーズ・オンラインにアクセスするユーザーが実際に検索した「クエリ」の一覧が表示されていた。

    「『ベリーズ 紅茶 ギフト』『ベリーズ 通販』『ベリーズ アフタヌーンティー 予約』……なるほど、お客様はこんな言葉で、私のサイトを探しているのね」

    ロゼッタは真剣な表情でクエリを眺めた。中には、『ベリーズ 紅茶 苦い』『ベリーズ マカロン 甘すぎる』といった、彼女にとって耳の痛いクエリも含まれていた。

    「お嬢様、これがお客様の『検索意図』の生の声です。ここから、お客様が本当に求めているもの、そしてサイトに足りないものが見えてきます」

    リセットは続けた。

    「例えば、『紅茶 ギフト』で検索しているお客様は、単に紅茶が欲しいだけでなく、誰かに贈りたいという意図があります。その意図に応えるためには、ギフト用のラッピングオプションや、メッセージカードの選択肢、ギフトセットの提案など、具体的な情報が必要になります」

    ロゼッタは深く頷いた。これまでは、ただ「良い商品」を並べれば売れると考えていたが、お客様が何を求めて検索しているのかを理解し、それに応える情報を提供することの重要性を痛感した。

    「そしてもう一つ。このデータに”現れないクエリ”(*5)もまた、サイト改善の重要なヒントになります」

    「”現れないクエリ”、ですって……?」

    しばらく考え込んでから、ロゼッタは髪をくしゃくしゃとかきあげると、文字通り降参というように両手を上げてみせた。

    「わかりませんわぁぁぁ」

    「……少し、よろしいですかな?」

    音を上げたロゼッタに遠慮してか、それまでロゼッタの背後に控えていたスティーブンスがゆっくりと口を開いた。

    「失礼致します、お嬢様」

    老執事はややぎこちない手つきで画面をスクロールさせると、確信を得たように言った。

    「おそらくですが、ほとんどのクエリに「ベリーズ」が含まれております(*6)。つまり、逆を言えば、「ベリーズ」を含まないクエリでは、ほとんど表示やクリックがされていないということでは」

    「さすがです!スティーブンスさん!」

    間髪入れずにリセットがスティーブンスを褒めたためか、ロゼッタはやや不服そうに口を尖らせた。

    「そっ、そのくらい私だってーー!」

    その様子を指南役も執事もニコニコしながら眺めていることに気づき、ロゼッタはやや顔を赤らめながら続けた。

    「つまりっ、こういうことよね?今サイトにきているユーザーは、ベリーズを既に”知っている”お客様ばかり。売り上げを伸ばすには、ベリーズの存在をそもそも知らないユーザーにアピールしなければならないのに、そこができていない、と」

    「その通りでございます、お嬢様」

    はーーっ、と大きなため息をついてから、ロゼッタは首を振って気を取り直したように前を見据えた。

    「よろしいですわ。課題がはっきりしたんですもの」

    同意するように深く頷くと、リセットは続けた。

    「それでは、いよいよお嬢様のサイトを見ていきましょう」

    目録の顔:メタ要素とECサイトの最適化

    「さて……」

    リセットは、次にWebページの最も基本的な「顔」であるメタ要素の重要性について説き始めた。

    「お嬢様、『ベリーズ・オンライン』の商品ページを検索エンジンに正しく理解させ、お客様の心に響かせるためには、図書館の『蔵書目録』にあたる部分の記述が非常に重要になります。これをWebの世界では『メタ要素』と呼びます」

    ロゼッタは興味深そうに画面を覗き込む。

    「メタ要素、ですって?それが、本の顔になるというの?」

    「はい。例えば、この『アールグレイ』紅茶のページを例に見てみましょう。現状では、検索結果にどう表示されるか、あまり意識されていませんね」

    リセットは、検索エンジンのシミュレーション画面をロゼッタに見せた。そこには、簡素なタイトルと、自動生成されたと思われる説明文が表示されている。

    「お客様が検索した際に、最初に目にするのが、このタイトル(<title>タグ)(*7)です。これは、まさに本の背表紙のようなもの。商品の名前だけでなく、その魅力や特徴を簡潔に、しかし魅力的に伝えることが、お客様にクリックしてもらうための鍵となります」

    リセットは、既存のタイトルを指し示した。

    「現状は『アールグレイ|ベリーズ・オンライン』とシンプルすぎます。これでは、数多の紅茶の中からお客様の目に留まるのは難しいでしょう。
    例えば、
    『王室御用達の香り アールグレイ|紅茶|ベリーズ・オンライン【公式】』
    のように、付加価値や信頼性を加えることで、お客様の興味を引くことができます」

    ロゼッタは頷き、ペンを手にメモを取り始めた。

    「次に、タイトルの下に表示される短い説明文、これがメタディスクリプション(<meta name="description">タグ)(*8)です。これは、本の裏表紙のあらすじのようなものだとお考えください。お客様がページの内容を判断し、訪問するかどうかを決める、非常に重要な要素になります」

    リセットは、具体的な記述例を提示した。

    「例えば、『ティールーム・ベリーズのアールグレイは、王室御用達のレシピを再現した、ベルガモットの香りと奥深い味わいが特徴の紅茶です。大切な方への贈り物にも最適。』といった具体的な説明を加えることで、お客様はページに何が書かれているかを事前に把握でき、より安心してクリックできます」

    「なるほど、本で言えば、あらすじのようなものね。確かに、どんな本なのか一目で分かりますわ」

    「左様でございます。タイトルとメタディスクリプションは特に重要で、この二つを最適化するだけでも効果が出る場合も多いのです。コツとしては、検索されやすいクエリが含まれているか、どうか、です。例えばですが、本屋さんでよく見かける、小説の店頭ポップを思い起こしてみてください。つぎの3つのうち、どれがSEOを意識したときに最適だと思いますか?」

    1. 珠玉のミステリー

    2. 10万部突破の人気作

    3. ブッカー賞(*9)受賞作品

    うーん、としばらく考え込んでから、ロゼッタは答えた。

    「1の「珠玉の」という表現はよく聞くけど、実際に検索する人がいるかと言われれば別ね。「10万部突破」は店頭で見かけたら売れ筋ということでチェックするかも。でも、部数で検索するかしら…?賞タイトルはすごく検索されそうだわ。となると、答えは3番ね」

    「ご名答です。お嬢様は十分、”検索ユーザー”の視点をお持ちですよ」

    指南役の率直な賞賛に、公爵令嬢は満足げにふふんと笑った。

    「他にも、サイトの表示設定や、検索エンジンへの指示、SNSでの表示を最適化するためのメタ要素がございます」

    リセットは、さらに細かな設定について説明する。

    • 文字コードとビューポート設定

    <meta charset="UTF-8">(文字化けを防ぐ)
    <meta name="viewport" content="width=device-width,initial-scale=1.0">(あらゆるデバイスでの表示最適化)

    「これらは、お客様がどの端末からアクセスしても、サイトが崩れることなく美しく表示されるために不可欠な設定です。司書が本を正しく開いて見せるための、基本的な準備のようなものですね」

    • robotsメタタグ(*10):

    <meta name="robots" content="index, follow" />

    「この指示がなければ、司書はせっかくの本を見つけてくれないか、あるいは勝手に棚から取り上げてしまうかもしれません。通常は『index, follow』で問題ありませんが、特定のページを検索結果に表示させたくない場合などに設定を変更します。生成AIの登場によって、AIによるコンテンツの利用を制限する指示文が追加される場合もあります」

    • Open Graphプロパティ (OGP)(*11):

    <meta property="og:type" content="og.product">
    <meta property="og:title" content="王室御用達の香り アールグレイ|紅茶|ベリーズ・オンライン【公式】">
    <meta property="og:description" content="ティールーム・ベリーズのアールグレイは、王室御用達のレシピを再現した、ベルガモットの香りと奥深い味わいが特徴の紅茶です。大切な方への贈り物にも最適。茶葉のほか、ティーバッグ20pcs入りもございます">
    <meta property="og:image" content="[アールグレイ紅茶の華やかな画像URL]">
    <meta property="og:url" content="[アールグレイ紅茶の商品ページURL]">
    <meta property="product:price:amount" content="16">
    <meta property="product:price:currency" content="GBP">

    「これらは、SNSでお嬢様の紅茶がシェアされた時に、より魅力的に表示させるための設定です。まるで、本の紹介カードを美しく飾るようなものです」

    • メタキーワード(*12)の現状:

    (<meta name=”keywords” content=”○○,○○,○○”>)

    「かつては重要視されましたが、今は検索エンジンがこれを見ることはほとんどありません。過剰なキーワードの羅列は、むしろ『悪しきSEO』とみなされることもございますので、ご注意ください」

    ロゼッタはそれを聞いて、訝しむように尋ねた。

    「でも、それならどうして、この項目があるの?」

    おそらくですが、と前置きして、リセットが答える。

    「学術論文では、一番最初にタイトル、著者名、概要(Abstruct)、5つほどのキーワードを記載するのです。キーワードは、端的に研究テーマを特徴づけるものが選ばれます。学術論文の検索エンジンも現在のような性能を持ち得ていない頃は、ここに書かれたキーワードは、関心のある論文を探すための重要な情報源だったのです」

    「つまり、ここにも名残があるわけね。インターネットがアカデミックな世界から始まった、その名残が」

    「左様でございます。元々、HTMLは(Hyper Text Markup Language)、それ自体が”文書”の構造化マークアップのためにある記述方式(*13)なのです」

    ロゼッタは、リセットの言葉を聞きながら、ふと、自身のECサイトの裏側にあるHTMLのコードを思い浮かべた。普段は意識することのない、<h1>や<li>といったタグの羅列。それは、まるでワープロソフトで文書を作成する際に使う「見出し」や「箇条書き」といった機能と、本質的には同じものだった。

    (そうね……。見た目はJavaScriptや色、デザイン、画像でどんなに華やかに装飾されていても、結局のところ、HTMLで構成されているWebサイトは「文書」なのだわ。そして、その文書を正しく構造化することが、司書が内容を理解し、お客様に届けるための基本中の基本……)

    ロゼッタの脳裏に、リセットが語った「Webの世界は巨大な図書館であり、Webサイトは本である」という言葉が、より深い意味を持って響いた。

    タブレットを操作しながら、商品一覧のページを眺めていたロゼッタの指が、ふと止まった。

    「待って……、もしかして、このメタ要素の調整って、1ページごとにやるの!?全部!?」

    「もちろんでございます」

    にっこり笑いながら答える指南役に、なおも追い縋るロゼッタ。

    「紅茶とハーブティーで60、焼き菓子・ケーキ系で30、ギフトセットで10ページはあるとして、100ページ!?全部!?」

    ニコニコしながら、リセットはタブレットの画面を指しつつ、矢継ぎ早に問いを投げかける。

    「お嬢様、こちらの商品は?」

    「チョコレート・ブラウニー、ベルギー王室御用達のクーベルチュールチョコレートを使用していて、濃厚な味わいと滑らかな舌触りが特徴よ」

    「では、こちらは?」

    「オレンジペコーのティーバッグ20pcs入り。ご家庭で手軽にティータイムを楽しめるようにティーバッグにしたものも置いてありますわ。苦味が少なくクセがないのでストレートで飲むことをお勧めしているの。……って、いきなりなんなんですの?」

    「ベリーズ・オンラインに並ぶものに、1つとして同じ商品はありませんでしょう?それぞれ特徴がございますね。それが即座に出てくるのですから、何も心配ございませんよ。そのまま、メタディスクリプションにすればよろしいのです。文字数に制限はありますけどね」

    「たし……、かに。その通り……」

    納得しかけたロゼッタは、ハッと気付いてリセットをじっと睨んだ。

    「これって、SEOコンサルタントのあなたのお仕事じゃなくて?」

    「えーー、まあ」

    ちらりと横目で執事の方を見やり、リセットは苦笑いする。

    「アドバイスは致しますが。今回は、その。言語の問題もありまして、お手伝いしたいのは山々なのですが」

    歯切れの悪い答えに、ロゼッタは今度はスティーブンスを睨みつけた。

    「なるほど、わかりましたわ。…スティーブンス!あなたですわね!?この私に!手を動かせと!」

    にこやかな笑みを浮かべながら、老執事はロゼッタを激励した。

    「ファイトでございます、お嬢様」

    「上等ですわ、100商品、100ページ!やりますわよ!」

    「11月頃には、ホリデー・ギフトセットが並ぶのでしょうなぁ」

    「個々の商品ページだけではなく、シーズンズ・ベストなどの特集ページや、カテゴリーページも大事ですねぇ」

    商品リストを広げたロゼッタの横で、うんうん、と頷きながら、二人の年長者が更に仕事を増やしていく。

    「何ページだって同じでしてよ!すべて私が厳選した世界にひとつの品、世界にひとつの体験。同じ説明で済ませてしまうなんて、そんなの私らしくありませんもの!やってやりますわ!!」

    SEOには地道な作業も必要(*14)と知り、気合を入れ直したロゼッタであった。

    コンテンツSEOの実践 ~「レディ・グレイス」紅茶に命を吹き込む~

    メタ要素の重要性を理解したロゼッタは、次にコンテンツそのものの「質」について深く考えることになった。

    「お嬢様、司書が蔵書目録を適切に作成しても、肝心の本の内容が薄ければ、お客様はすぐに立ち去ってしまいます。Webサイトの『コンテンツ』も同じです。お客様の検索意図に真に応え、価値ある情報を提供することこそが、最も重要になります。そしてこれこそ、先ほど浮かび上がった課題の解決策として、優先して取り組むべき施策にもなります」

    リセットは、質の高いコンテンツとは何かを説明した。それは、単にキーワードを詰め込むことではなく、ユーザーの疑問を解決し、知りたい情報を提供し、最終的に行動へと繋がるような、読者の心に響く内容であること。そして、そのコンテンツが、誰によって、どのような経験や専門知識に基づいて書かれているか(E-E-A-T)(*15)も重要だと説いた。

    ロゼッタは「ベリーズ・オンライン」のコンテンツを見直し始めた。特に、彼女が力を入れたのは、オリジナル紅茶「レディ・グレイス」の商品ページだった。

    「レディ・グレイスは、蜂蜜を加えるとほんのりピンク色に変わる、見た目にも美しい紅茶ですわ。この特徴は、SNSでも一時的に話題になったのですけれども……。それだけで終わってしまって、お客様に名前を覚えてもらい、継続的に購入していただくまでには至らなかったのですわ」

    ロゼッタは悔しそうに言った。リセットは頷いた。

    「まさに、そこがコンテンツ改善のポイントです。見た目の美しさだけでなく、その紅茶が持つ『真の価値』を深く伝える必要があります」

    リセットは、具体的な提案を始めた。

    「まず、有名な紅茶との比較記事を制作してはいかがでしょうか。例えば、人の名前がついている有名な紅茶、アールグレイ、プリンス・オブ・ウェールズ、レディ・グレイなどと共に『レディ・グレイス』を紹介する記事です。これにより、お客様は『レディ・グレイス』がどのような紅茶なのか、より具体的にイメージしやすくなり、ブランドイメージと認知度を高めることができます」

    「なるほど、それは面白いですわね!私の紅茶が、かの有名な紅茶たちと並び称される……想像するだけで胸が高鳴りますわ!」

    ロゼッタは目を輝かせた。

    「このハーブについて、健康効果があるならばそれを解説しても良いでしょう。YMYLに関連するコンテンツ(*16)になりますので、管理栄養士や医療職の監修をつけることをお勧めします。ドイツでは「メディカル・ハーブ」の利用が盛んですし、日本や中国では東洋医学的な土壌がありますので、漢方薬が用いられたり、ハーブの健康効果に高い関心がある人たちも大勢います。」

    リセットの提案を聞きながら、ロゼッタの頭の中でもアイデアが浮かんできたようだ。

    「だったら、紅茶の色が変わることを、化学の観点から解説してみるのも面白いと思わない?」

    「いいですね!色が変わる飲み物としては、バタフライピー(*17)のハーブティーがよく知られています。これは、日本の小学生にも理科の実験でお馴染みですが、紫キャベツの汁にレモン汁を垂らすと色が変わるのと同じ原理です。レディ・グレイスのピンク色の秘密は、きっと面白い記事になりますよ」

    「この紅茶ひとつで、様々な話題が広がるのね!それをコンテンツに落とし込むことで、より多くの方に興味を持ってもらえそうだわ」

    ロゼッタは立ち上がって腕を組み、しばらく辺りを歩きまわると、顎に手を当てながら何やら考え込んだ。

    リセットが目を細めてその様子を見守っていると、スティーブンスが親しみのこもった声で話しかけた。

    「…何か思い付かれたようでございますな」

    「そうですね。よい傾向です。商品のこともお客様のことも、一番よくご存知なのはお嬢様でしょうから」

    微笑ましく見守る二人の様子を知ってか知らずか、ロゼッタははた、と立ち止まり、顔を上げた。

    「…思い出しましたわ!フォートナム男爵夫人がいつもローズティーをお召し上がりになるので理由をうかがったら、『美肌効果がありますもの』っておっしゃってましたわ!E-E-A-Tに配慮した上で、ローズティーのページにはこれを書けばいいのね!」

    「その調子でございます、お嬢様」

    リセットが合いの手を入れると、ロゼッタはさらに続けた。

    「我が公爵家の領地アデルローザの名は、もともと薔薇が自生して咲き誇る土地だったことに由来していますの。今も季節になると、領内はワイルド・ローズでいっぱいになりますわ。これを紅茶として商品化できないかしら?香りは、ダマスク・ローズより強くないかもしれないけれど、試してみる価値はありそうね!時間はかかりそうだけど、公爵家のティールームとしてブランドを確立できそう!」

    ロゼッタの闘志に火がついたようだ。様々なコンテンツのアイデアをノートに書き溜め、整理していくと、今まで棚に商品を並べただけのようだったECサイトが、紅茶に関する豊かなコンテンツで彩られ、大きく生まれ変わろうとしていた。

    テクニカルSEOの基礎~司書が巡回しやすい図書館を築く~

    コンテンツの質を高める一方で、リセットはWebサイトの「技術的な側面」も疎かにしてはならないと説いた。

    「お嬢様、どれほど素晴らしい本があっても、ページ数が振られていなかったり、目次がなかったり、あるいは章立てがバラバラだったりすれば、司書は効率的に本の内容を把握することができません。Webサイトも同じです。「Googleボット」という検索エンジンのクローラー(*18)がスムーズにサイトを巡回し、内容を正確に理解できるように、技術的な土台を整えることが重要です」

    (クローラー!ググリの弟だという「クロウリー」のことね!)

    そう思い当たったロゼッタは、いつにも増してその言葉に耳を傾けると、リセットは、テクニカルSEOの基礎(*19)となる要素を説明していった。

    • サイト構造の最適化:

      • クローラビリティの確保: 「司書がサイト内のすべての重要なページを効率的に巡回できるように、サイトの構造をシンプルで分かりやすくすることです。複雑な迷路のようなサイトでは、司書も迷ってしまいます」

      • サイトマップ(XMLサイトマップ): 「これは、司書にサイト全体の地図を提供するようなものです。どのページが重要で、どこに何があるかを明確に伝えることで、漏れなく情報を収集してもらえます」

      • 内部リンク: 「サイト内の関連するページ同士を適切にリンクで繋ぐことで、司書はサイト全体をより深く理解し、ユーザーも関連情報にたどり着きやすくなります。まるで、本の中に『関連する別の本の〇ページを参照』という注釈があるようなものです」

    • ユーザー体験(UX)の向上:

      • モバイルフレンドリー: 「今や多くのお客様がスマートフォンからWebサイトを閲覧します。お嬢様のサイトが、小さな画面でも快適に閲覧できるデザインになっているか、これはお客様の満足度に直結しますわ」

      • ページ表示速度: 「お客様は待つことを好みません。ページの読み込みが遅ければ、せっかく訪れてもすぐに離れてしまいます。司書も、読み込みの遅い本は優先して紹介しません」

    ロゼッタは、技術的な専門用語に最初は戸惑いつつも、リセットの分かりやすい例え話で、その重要性を理解していった。彼女は、スティーブンスや専門の技術者と連携し、これらの改善に取り組むことを決意した。

    「なるほど。私の『ベリーズ・オンライン』が、お客様にとってだけでなく、司書にとっても『使いやすい本』となるよう、改善していく必要があるのね」

    ロゼッタは、Webの世界が、単なる情報の羅列ではなく、技術とコンテンツ、そしてユーザーへの配慮が複雑に絡み合う、生きた有機体であることを深く理解し始めていた。

    ティールームの原点と、遠い日の記憶

    充実した学びを終えたその日の午後、ロゼッタは指南役をティールーム・ベリーズに招き、自慢のハイティーを振る舞った。テラス席から望む庭園には花々が咲き誇り、優雅な時間に一層の華やかさを加えていた。

    「素敵な空間ですねぇ…!」

    うっとりと辺りを見回しながら感嘆の声を上げるリセットの様子に満足したのか、ロゼッタは「当然ですわ」と得意げな顔でにんまりとした笑みを浮かべた。

    「この紅茶もとても美味しいですが、こんなに天気が良くて少し暑いくらいの日は、さっぱりとしたアイスティーをいただきたくなりますね」

    リセットのつぶやきに、ロゼッタとスティーブンスが目を丸くする。

    「アイス……?ティー?」

    「ああ、こちらでは紅茶を冷たくして飲む習慣はない(*20)のですよね」

    「つ、冷たくして飲む、の…?その、日本では…」

    「はい、一般的ですよ。どんなカフェにも、ペットボトルでもたくさん種類がありますし」

    ポカーンとするロゼッタの横で、しばらく考え込んでいたスティーブンスが、「そういえば」と切り出す。

    「ダージリン・キール・ロワイヤルや、ピーチ・アイスティーなど、紅茶を使うカクテルもありますな」

    「確かに、ここ数年、夏にすんごくあっっっっつい日が何日かありますし、そう言う日は売り上げが大きく減りますし、もしコールドメニューをお出しできれば……。しかもすぐにできそうな新商品…!?」

    キラリと目を光らせたお嬢様をよそに、クロテッドクリームをたっぷりと乗せたスコーンを口に運んでいたリセットは、美味しそうに飲み込むとロゼッタに質問を投げかけた。

    「ところで、お嬢様はどうしてティールームを開こうとお考えになったのですか?」

    改めて聞かれて、ロゼッタはティーカップをゆっくりとソーサーに戻すと、遠い目をして語り始めた。

    「そうね……。私の祖母が、それはそれはティータイムを愛する方でしたの。いつも、この庭園を眺めながら、いつかこの敷地の一角を地域の人々に開放して、誰もが気軽に立ち寄れるティールームを開きたい、と話していましたわ」

    ロゼッタの声は、どこか懐かしげで、普段の傲慢な口調とは少し違っていた。

    「実はね。『ベリーズ』というのは、シティ・センター(市の中心街)にあった歴史あるパブの名前なのよ。例の……コロナ禍で閉店せざるを得なくなったのを、グレイス家で機材を買い取って、名前も引き継いで。飲食業界では職を失った人も多かったから、そういう人たちを中心に従業員を雇って、お祖母様が実現したがっていたティールーム『ベリーズ』として再出発したの」

    ロゼッタの言葉に、スティーブンスが深く頷いた。今は亡きロゼッタの祖母への想いが、彼の胸にも去来したのだろう。

    「お懐かしゅうございますな。亡くなられた大奥様も、いつもこの席から庭園とその向こうに拡がるアデルローザの景色を楽しんでおいででした」

    (そういえば……)

    ロゼッタは、ふと思い出していた。

    (祖母は、よく私と二人だけの、特別な『秘密のお茶会』を開いてくれた。「本当は、年に一度しか食べれないの」といって、あの時にだけ焼いてくれた、特別な、甘く香ばしいお菓子が必ず……)

    ロゼッタの脳裏に、幼い頃の記憶が鮮明に蘇る。あの甘さとスパイスの混ざった香り、そして祖母の優しい笑顔。しかし、そのお菓子の名前だけが、どうしても思い出せない。

    (そして、そのお菓子を食べるたびに、いつもこう言っていた……。

    『ロゼッタ。今日という一日を⚫️⚫️⚫️⚫️して、明日を新年のような気持ちで迎えられるようにーー』)

    ロゼッタは、言葉を探すように宙を見つめた。その時、微かに、しかし確かに、あの甘く香ばしい香りが鼻腔をくすぐった気がした。

    ============

    📗次回、ロゼッタはWeb上の「信頼の網」であるリンクの重要性について学び、物語は終章へと向かいます。そして、祖母の記憶に繋がる「探し物」の謎を解きに、再びあの人物が現れーー。

    どうぞ、ご期待ください。

    ➡️ 第6回:リンクという絆~ググリ・アルカイブスとの再会~ へつづく

    ============

    注釈・解説・小ネタ)

    (*1)『Google 検索でウェブサイトをアピールする方法』

    再度の登場です。Google検索セントラルは、GoogleがWebマスター向けに提供する公式リソースで、SEOに関するガイドライン、ツール、最新情報などが公開されています。SEOに興味のある方は、「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」を読んでみるのがオススメです。

    参考:
    Google検索セントラル
    検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド

    (*2)Googleビジネスプロフィール

    Googleが提供する無料ツールで、実店舗を持つビジネスオーナーがGoogle検索やGoogleマップ上にビジネス情報を表示・管理できるサービスです。営業時間、住所、電話番号、ウェブサイト、写真、お客様の口コミなどを掲載でき、特に地域に特化した検索(ローカル検索)において、店舗への来店を促す上で非常に重要な役割を果たします。

    参考:
    Googleビジネスプロフィール 公式サイト
    Googleビジネスプロフィールとは?登録から活用方法まで徹底解説 - Googleビジネスプロフィールヘルプ

    (*3)Googleのローカル検索結果

    GoogleマップやGoogle検索で、特定の地域に関連する情報(例:「近くのカフェ」「東京駅 ランチ」)を検索した際に表示される結果のことです。通常のリスト状の検索結果の他に、Googleビジネスプロフィールに登録された情報などが表示され、ユーザーの来店を促す重要な要素となります。

    参考:
    Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント

    (*4)Google Search Console(グーグルサーチコンソール)

    Googleが提供する無料ツールで、Webサイトの所有者がGoogle検索でのパフォーマンスを監視し、改善するために利用します。サイトがどのようなキーワードで検索されているか(検索クエリ)、どのページがどれくらい表示・クリックされているか、技術的な問題(クロールエラー、インデックス登録状況など)がないかなどを確認できます。SEO対策において、サイトの現状を把握し、改善策を立てる上で不可欠なツールです。

    参考:
    Google Search Console 公式サイト
    Googleサーチコンソールの登録方法|所有権の確認手順を解説 | SEOツール | テクニカルSEO BLOG

    Search Consoleの活用法: Search Consoleの「URL検査」ツールを使えば、特定のページのクロール状況やインデックス状況を確認できます。また、「サイトマップ」機能でサイトマップを送信することで、クローラーがサイトの全ページを効率的に発見しやすくなります。これらの機能は、サイトが検索エンジンに正しく認識されているかを確認し、必要に応じてクロールを促すために非常に役立ちますので、ぜひ利用してみましょう。

    (*5)データに”現れないクエリ”

    Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、プライバシー保護の観点から、一部のクエリ(特に検索回数が非常に少ないものなど)は表示されないことがあることは、留意しておきましょう。

    狙っているキーワードを確認する方は多いのですが、意外なキーワードでのランクインや、想定しているのに表示されていない、と言った観点からも見てみると、思わぬ発見があるはずです。

    (*6)ほとんどのクエリに「ベリーズ」が含まれております

    これは、サイトへの流入が主にブランド指名検索(既にブランド名を知っているユーザーによる検索)に偏っている状態を示します。新規顧客を獲得するためには、ブランド名を含まない一般的なキーワードでの検索からの流入を増やす必要があります。

    (*7)タイトル(<title>タグ)

    Webページのタイトルを示すHTMLタグ。検索エンジンの検索結果やブラウザのタブに表示されるため、SEOにおいて非常に重要な要素です。キーワードを含み、内容を簡潔かつ魅力的に表現することが求められます。

    (*8)メタディスクリプション(<meta name="description">タグ)

    Webページの内容を要約するHTMLタグ。検索結果のスニペット(説明文)として表示されることが多く、ユーザーがクリックするかどうかを判断する上で重要な情報となります。直接的な検索順位への影響は小さいと言われていますが、クリック率(CTR)に影響を与えます。

    (*9)ブッカー賞

    ブッカー賞(英:The Booker Prize)とは、イギリスで毎年1冊の最も優れた長編小説に贈られる、世界的に権威ある文学賞です。対象は英語で書かれ、英国やアイルランドで出版された小説で、純文学・現代文学を中心に選ばれます。賞金は5万ポンド。純文学・フィクション分野の「ノーベル文学賞への登竜門」とも呼ばれます。

    作中の執事スティーブンスが名前をいただいた、執事が主人公の『日の名残り』(カズオ・イシグロ、1989)も、1989年のブッカー賞受賞作品です。他には、映画『イングリッシュ・ペイシェント』の原作である『イギリス人の患者』(マイケル・オンダーチェ、1992年)など、日本でもよく知られた作品も多数あります。

    参考)
    ブッカー賞 - Wikipedia
    note記事🗒️「【コラム】ブッカー賞とは?」(国際出版研究チーム さん)

    (*10)robotsメタタグ

    検索エンジンのクローラーに対して、そのページをインデックスするかどうか、リンクを辿るかどうかなどの指示を与えるHTMLタグです。content="index, follow"は、ページをインデックスし、ページ内のリンクを辿ることを許可する最も一般的な設定です。

    (*11)Open Graphプロパティ (OGP)

    FacebookやX(旧Twitter)などのSNSでWebページがシェアされた際に、タイトル、説明文、画像などを適切に表示させるためのHTMLタグです。OGPを設定することで、SNS上での表示が最適化され、クリック率の向上に繋がります。

    (*12)メタキーワード(<meta name=”keywords” content=”○○”>)の現状

    かつては検索エンジンがキーワードを認識するために使われていましたが、現在はGoogleを含む主要な検索エンジンではほとんど利用されていません。むしろ、過剰なキーワードの羅列はスパム行為とみなされるリスクがあるため、使用は推奨されません。

    *7,8,10,11の、メタタグ関連の参考情報)
    メタタグとは?SEO対策に重要なタグの種類や書き方を詳しく解説 | ウィルゲート

    (*13)HTML(Hyper Text Markup Language)は、それ自体が”文書”の構造化マークアップのためにある記述方式

    HTMLは、Webページのコンテンツの構造(見出し、段落、リストなど)を定義するためのマークアップ言語です。見た目のデザインだけでなく、情報がどのような意味を持つか、どのような階層関係にあるかを明確にすることで、検索エンジンやその他のプログラムが内容を正確に理解できるようになります。

    例えば見出しタグはそれぞれ、

    • <h1> → 大見出し

    • <h2> → 中見出し

    • <h3> → 小見出し

    のように、本来は物事の大小関係や階層関係を表します。サイトによっては文字色や装飾、文字の大きさといった”見た目”を変更するために使われているケースも見られます。本来の使い方ではありませんので、適切なデザインをCSSファイルで設定し、使い分けるようにしてみましょう。

    (*14)SEOには地道な作業も必要

    SEOは、キーワード調査、コンテンツ作成、メタ要素の最適化、内部リンクの整備、技術的な改善など、多岐にわたる地道な作業の積み重ねによって成り立ちます。一夜にして劇的な結果が出るものではなく、継続的な努力と改善が不可欠です。

    作中ではロゼッタが頑張って1ページごとに設定しようとしていますが、実際の大規模なECサイトでは、取り扱う商品が数万点にもなる場合があります。この場合は、人間の手でやるとかえってミスが多く手間がかかりすぎるため、メタタイトルとディスクリプションはデータベースと連携して、自動化して設定する場合が多いです。この場合も、なるべく一意になるよう設定することが望ましいです。

    (*15)誰によって、どのような経験や専門知識に基づいて書かれているか(E-E-A-T)

    Googleの検索品質評価ガイドラインで重視される概念で、
      「経験    (Experience)」
      「専門知識(Expertise)」
      「権威性    (Authoritativeness)」
      「信頼性.  (Trustworthiness)」
    の頭文字を取ったものです。コンテンツの質を評価する上で、誰が、どのような経験や知識に基づいて情報を提供しているか、その情報源がどれだけ信頼できるかが重視されます。

    参考:
    有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル

    (*16)YMYLに関連するコンテンツ

    「Your Money or Your Life」の略で、人々の健康、経済、安全、幸福に大きな影響を与える可能性のあるトピックを指します。医療、金融、法律、ニュースなどがこれに該当します。GoogleはこれらのYMYL領域のコンテンツに対して、特に高いE-E-A-T基準を求めています。

    あまり知られていませんが、、Googleは人間の「​検索品質評価者」に検索結果の​品質を​継続的に​評価してもらっています。2023年には719,326 件の​検索品質評価テストが行われたとのことです。英語ですが、「​検索品質評価者」が使うガイドライン全文は公開されています。初めて読む方は、まずは「ガイドラインの概要」を生成AIで翻訳&まとめをして、読解にトライしてみるとよいかもしれません。

    参考:
    検索エンジンのテストと評価 - Google 検索
    SEOで外せないYMYL解説 - 医療やお金に関するコンテンツは要注意!|SEOマガジン by GEO CODE

    (*17)バタフライピー

    作中の「レディ・グレイス」紅茶に含まれるハーブは実際には存在しませんが、色が変わる飲み物に用いられるハーブとしては「バタフライピー」が有名です。

    マメ科の植物で、鮮やかな青い色の花が咲きます。その花から抽出される色素はアントシアニンを豊富に含み、酸性度によって色が変わる特性(青色から紫色、レモンを加えるとピンク色など)があります。ハーブティーとして飲まれるほか、天然の着色料としても利用されます。

    参考:
    青いハーブティー「バタフライピー」とは?味や特徴について解説! | クラシル
    バタフライピーとは? 青いハーブを徹底比較|使い方とおすすめレシピ6選 | 富澤商店 Column

    (*18)「Googleボット」という検索エンジンのクローラー

    Googlebot🤖は、GoogleがWebページをクロール(巡回)し、情報を収集するためのプログラムです。Webサイトの更新や新規ページの追加を検知し、その内容をGoogleのインデックスに登録するために重要な役割を担っています。

    前回「クロウリー・アルカイブス」という名前だけ出てきましたが、彼のイラストはまだありません。この連載が終わったら、Googleのサービスを擬人化して説明していくのも、面白そうだなと考えております。

    (*19)テクニカルSEOの基礎

    Webサイトの技術的な側面を最適化し、検索エンジンがサイトを効率的にクロール(巡回)し、内容を正確に理解できるようにするための施策です。サイト構造の最適化、クローラビリティの確保、モバイルフレンドリー、ページ表示速度の改善などが含まれます。

    テクニカルSEOは多くの場合、エンジニアやWebデザイナーの手を借りながら進めるべきことですが、そういった技術を持たないWebマスターにもできることがあります。それは、最適なサイト構造を検討することです。

    一般的に、ツリー構造で図示できるサイトは構造がわかりやすいとされています。一度、自分のサイトの構造を紙と鉛筆でサッと描いてみても、新たな発見があるでしょう。

    ブログ記事、コラム記事、お知らせが混在していないでしょうか。商品や記事のカテゴリー分類は適切でしょうか。タグはInstagramでの利用方法とは異なり検索性や回遊性の効率化が目的のため、同じような意味のタグが複数ある重複・10個以上つけるような乱用は逆効果になります。

    この地道な見直しが、Web世界の司書があなたのサイトを正確に理解し、お客様が迷わず目的の情報にたどり着くための、確かな道筋となるでしょう。

    (*20)こちらでは紅茶を冷たくして飲む習慣はない

    ちなみに、紅茶の本場イギリス🇬🇧では、伝統的に紅茶は温かくして飲むのが一般的☕️であり、アイスティーの習慣はあまりありません。
    (20年程前に現地で注文しようとして、「そんなものはないよ」って言われた経験があります。今でもそうなのでしょうか😅)

    対照的に、日本ではアイスティーは非常に一般的で、カフェや自動販売機でも手軽に手に入ります。この文化的な違いが、ロゼッタの新たなビジネスアイデアのきっかけとなります。本当に年々、欧州も暑くなっておりますのでね、「冷たくして飲む」は市民権を得ていくのではないでしょうか。

    参考:
    イギリス人はアイスティーを飲まない?! - イギリス英語のケンブリッジ英会話

    noteにて、英国式紅茶の入れ方のゴールデンルールを紹介する「英国式紅茶は日本人には合わないの?」(じゅんじゅんのブログで紅茶レッスン さん)という記事を見つけましたので、こちらもご紹介しておきます。


    本作の制作に利用されている生成AIについて

    本作では複数の生成AIを利用して制作にあたっています。
    主な用途と生成AIの種類は、以下のとおりです。生成AI活用のご参考まで。

    • Googleの「Gemini」
      Googleのマルチモーダル生成AIです。
      プロットと文章の推敲・執筆補助🖋️、主にインターネットやGoogleの歴史についての調査に使用🔍。
      流石に検索エンジンの歴史については詳しいですが、Googleのことをやや美化した描写になっている気がします。

    • Microsoftの「Bing Image Creator」
      Microsoftが提供するAI搭載のグラフィックデザインツールです。プロンプトから画像生成ができます。
      ロゼッタ、スティーブンスなどキャラクターイラストの生成に使用しました🎨。

    • OpenAIの「Chat-GPT」
      Designerで生成したイラストの表情パターンの作成をしました。
      今回は、ニュートラルなロゼッタのイラストに対し、以下のようなプロンプトでカバー画像の表情に変えてもらいました。

    このキャラクターイラストの表情パターン違いを作りたいです。 扇子を持って高笑いしている パターンをお願いします

    • Microsoftの「Copilot」
      補助的に使用していますが、キャラクターの「キノコのエリン🍄‍🟫」が可愛いので、癒しツールとしても使っています。

    • Perplexity AIの「Perplexity Pro for SoftBank」
      もはや敏腕編集者と化したパープ君。
      講評とアドバイスをもらい、もっと書いたほうがいい、書いても大丈夫、と背中を押されてシーンを付け足したりしています。褒めて書かせるのが上手です😀。
      人間(の編集者)なら、もっと厳しいんだと思うと、なかなか複雑なものがあります😅。


    解説の最後まで読んでくれてありがとうございました🙇‍♀️!
    今回は、SEOの実践編なので読むのも一苦労だったと思います。お疲れ様でした👏!

    いよいよあと残すところ2回で完結の予定です🖋️。
    また次回、お会いしましょう👋!

    ⬇️ 続きを読む


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