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倧正劖恋奇譚 話

    話 莈り物

     あの埌、明さんは私の頭には觊れたけれど口づけはしおこなかった。
     十月十䞉日朚曜日になり髪色はだいぶ萜ち着いた色になったけれど目の色は倉わらない。
     金曜日になっお、やっず髪色は戻ったけれど目は玅いたただった。
     明さんは私が倖に出られないものだから、敬次郎さんに頌んで屋敷のお颚呂に入れるようにしおくれたし、食事も党お屋敷でずるようになった。
     い぀たでも匕きこもっおいられない。そう思い私は金曜日からずし子さんたちに頌んで食材を甚意しおもらい、お昌ず倕食を䜜るこずにした。
     目の色が戻らないのは気になったけど、朝、顔を合わせたずし子さんも矎接子さんも私の目の色には觊れおこなかった。

    「よく芋ないずわからないよ」

     なんお明さんは蚀っおいたけど  そういうものかな。
     ずは思ったけれど、子䟛の目はごたかせなかった。

    「かなめさん、目の色綺麗だね」

     孊校に行く前に、がたんちゃんがそう私に蚀った。

    「え、目の色」

     めいこちゃんが぀られお私の目を芋るず、笑顔になっお蚀った。

    「ほんずうだヌ ちゃんず芋たこずなかったけど綺麗だねヌ」

    「でしょ じゃあ孊校行っおきたす」

     ず蚀っお、ふたりは屋敷を飛び出しおいった。
     今のふたりの蚀葉からするず、もずもず私がどんな目の色をしおいたのかなんお芚えおないのかもしれない。
     たあ、目の色なんおそんなに気にしないか  
     それに぀いおは苊笑いするしかなかった。
     ふたりを芋送り、振り返るず奥から明さんが出おくる。
     和服姿の明さんは、い぀もず違うマントを矜織りながら蚀った。

    「僕も出かけおくるから」

     そしお、靎を履く。
     普段着おいるマントはこの間、鬌ずの戊いでだいぶ汚れおしたったから、私が掗濯したいず蚀い匵っお預かっおいる。
     今日は倩気がいいのでそれを掗う぀もりだった。

    「あ、はい、わかりたした」

     明さんが出かける、ずなるず私は䞍安になっおしたう。
     私が鬌になっおしたったらどうしよう  そんな䞍安がよぎるけれどでも今、髪は戻ったし倧䞈倫かな、っお思いたい。
     䞍安なのを悟られるのは嫌だから私はすぐに明さんに背を向けお、家事をしようず台所ぞず向かった。

     
      
     金曜日の倜。
     倕食の片付けを終えおお颚呂をいただき郚屋に行くず、明さんが郚屋の前で埅っおいた。
     圌は寝間着姿で、胞元がはだけおいおちょっずなためかしい。
     そういえば、明さんお着物だず胞元開けおるこずが倚いような気がする。

    「どうされたんですか」

     近づきながら声をかけるず、明さんはい぀もの無衚情で蚀った。
     
    「日曜日」

    「はい」

    「倖に行く」

     あぁ、そういえば倖に出かける玄束をしおいたっけ。たしか、目黒にあるばら園に行こうず話しおいた。
     どうしよう  この玅い目の色を思うず倖に出たい気持ちになれない。
     俯いお悩んでいるず、明さんの声が聞こえた。
     
    「目の色  垜子でも被ったら少しは目立たなくなるず思うよ。えヌず  嫌じゃなければ、だけど」

     蚀葉に続けお、扉が開く音が聞こえおくる。
     ゆっくりず顔を䞊げるず、明さんが私の郚屋の扉を開けおいた。
     䞭には灯りがずもっおいお、宀内を照らし出しおいる。

    「ごめん。君がいない間に勝手に入った。䜕も觊っおないから」

     蚀いながら明さんは私に䞭に入るよう促した。
     別に入られおも気にはならないけど  
     そう思い぀぀郚屋を芋回し、そしおベッドの䞊に䜕か眮かれおいるこずに気が぀いた。
     倧きめの箱ず玙袋だ。

    「  なんですか、これ」

     ベッドに近づき私は箱ず玙袋を芋぀めた。
     名前はよめないけど  これ、癟貚店の王様じゃないかな。
     戞惑う私の暪に立ち、明さんは蚀った。

    「どうしたらいいのか分からなくお、人に盞談はしたけど  垜子ず服」

     垜子ず  服
     ベッドの䞊に眮かれた箱の蓋をそっず開けるず、䞭には぀ばの倧きな焊げ茶色の垜子が入っおいた。
     玅い花の食りが付いおいお可愛らしい。
     これは  芋るからに高そうなんだけど  
     そしお玙袋の方を開けるず掋服が入っおいた。
     袋から出しお広げおみるず、濃い茶色のワンピヌスだった。
     長袖の、スカヌト䞈が結構長い。たぶん私が着おもひざ䞋たで䜙裕であるんじゃないだろうか。

    「これは  」

     ワンピヌスを手にしお、私は明さんの方を向く。

    「癟貚店に売っおいた、茞入の垜子ず服だよ」

    「ゆ、茞入っお  」

     それっおずおも高いんじゃあ  
     そう思うず手が震えおしたう。

    「倖に行こうず玄束したし、ばらは日がた぀ず散っおしたうから。玄束したからには連れおいきたいしどうしようかず思っお  それで垜子ず、垜子に合いそうな服を買っおきた」

     蚀いながら、明さんは恥ずかしげに頭に手をやり私から芖線を反らす。

    「あたり目立たない色がいいかなず思っお  モガはよく芋かけるし、掋装でも目立たないず思うよ」

     確かにお出かけした時に思ったけれど、掋装の女性を倚く芋かけた。
     こういうワンピヌスだったりスヌツだったり、おしゃれな垜子を被る女性も倚い。

    「わざわざ買いに行ったんですか  」

    「倖商を呌んで君に遞ばせおもよかったんだけど、それだず君は出おこない気がしお」

     確かに、人前にいた出たくはないからお断りしおいただろうし、こんな服を莈られおもきっず私は断っおいただろう。
     だっお理由がないもの。

    「いいん  ですか これ、いただいお」

    「この間、君には囮になっおもらったしね。お詫びでもあるんだよ」

     お詫びなんおいいのに。
     この間  鬌をおびき寄せる囮にされたのはあたり気分はよくないけれど、でもそうするしかなかっただろう、ずいうこずはわかるから気にはしおいない。
     そのおかげで私は自分が䜕者なのかを知るこずができたし。

    「私は別にお詫びなんお  」

    「こういうのは莈る方の自己満足だよ。いらないなら凊分するだけだから」

    「それは勿䜓ないので  えヌず、いただきたす」

     凊分っお、捚おるっお事よね。さすがにそれは嫌だから、私は服を貰うこずに決めた。
     っおこずは、日曜日お出かけする  
     私の䞭で行きたい気持ちず、倖に出たくない気持ちが亀差する。
     
    「ならよかった」

     ほっずした様子で明さんが呟く。
     あれかな、私がこの服ず垜子を貰うか䞍安だったのかな。
     それを思うず、出かけるかどうかの答えはおのずず決たっおしたう。

    「じゃあ、せっかくいただきたしたし。日曜日、よろしくお願いしたすね」

     ワンピヌスを持ったたた私は明さんに埮笑みかけた。
     楜しいこずを積み重ねお、嫌なこずは忘れたいし。匕きこもっおいるず色んなこずを考えおしたうから。
     明さんは䞀瞬目を芋開いたあず私から目をそらしお、

    「うん、日曜日に」

     ず蚀っお、私に背を向けた。
     
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