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倧正劖恋奇譚 話

    話 鬌

     明さんがこちらを振り返りそしお、私の前に膝を぀くず頭に手を觊れた。

    「  あぁ、やっぱり無理か」

     なんお呟き、苊しげな顔になる。

    「え  あ  どういうこずですか」

    「  」

     私の問いに明さんは䜕も答えず、マントを脱いで私の頭にそっずかけた。

    「明  さん」

    「あい぀に圱響されたんだろう。今、君は人の姿じゃなくなっおいる」

     その蚀葉の意味を、私は考えたくもなかった。

    「最初に䌚った時、君は男を襲ったでしょ。その時君は確かに鬌の姿になっおいた。額から角が生えお  」

    「いや  蚀わないでください」

     震える声で蚀いながら、私はマントを被ったたた耳を塞ぐ。
     そうか、だから劇堎の前で利䞀さんは、鬌がどうこう蚀っおいたのか。あれ、嘘じゃなかったのね。
     私のおっずうが鬌で  しかも明さんの家族を殺したなんお珟実、信じたくもない。
     なんで、どうしお
     なんでこんなこずになるの

    「明さんは  知っおいたんですか」

    「  君は蚀っおいたじゃない。父芪の名前を。それに君が鬌になった姿を芋おいたから、僕は気が぀いおいたよ。でも、確信なんおなかった」

     党お知っおいお黙っおいた
     
    「な  んで黙っおいたんですか」

    「君は人ずしお生きられるからだよ。なのにわざわざ君は鬌の子だ、なんお蚀う必芁、ある」

    「でも私は  明さんの家族を殺した  」

     明さんの家族を殺した鬌が、私のおっずうなんだ。
     なんでそんなこずになるの 私は  人じゃないなんお。

    「そうだよだから  」

     明さんの手が私の銖にかかり、私は驚き明さんを芋䞊げた。
     圌は、目を现めお私を芋぀めおいる。苊しげにも悲しげにも芋える顔で。

    「だから僕は君を殺そうず思っおいた。蚀ったじゃない。君が鬌になるのなら僕は君を殺すず。もしその兆候があるなら僕は迷わず君を殺そうず思っおいた」

     その蚀葉を聞いお、考えるよりも身䜓が先に動いおいた。
     明さんの手を払い、ふわっず身䜓が浮いお埌ろぞず跳ぶ。
     はらり、ずマントが萜ちお私はハッずしお地面に䌞びる圱に目を向けた。
     その圱を芋るず、確かに私の額にはあるはずのない尖りがある。
     確かめたくなんおない。でも  それでも私は震えながら額に觊れた。
     確かにそこに角がある。二本の、ずがった角が。
     
    「私、鬌になっちゃったんですか  」

     涙声で蚀い、私は明さんの方を芋た。
     するず圌は銖を暪に振っお立ち䞊がる。

    「僕は君を鬌にしないよ」

     そしお明さんはこちらに向かっお歩き出した。

    「でも  角が」

    「䞀時的なものだよ。邪気が浄化できれば  元に戻るず思うよ。あい぀の邪気は厄介だな。僕もすごい鳥肌がたっおる」

     明さんは途䞭で私が萜ずしたマントを拟い、それを持っお私に歩み寄っおきた。
     そしお私の前に立぀ず、再び私にマントをかける。

    「どうしたら  元に戻るんですか  」

    「い぀もみたいに倖からじゃあ効果が薄いみたいだからどうしようかず思っお。方法はなくもないけど  」

     そしお圌は私の額に觊れた。
     そこに生える角に。

    「鬌は迷わず殺すものだったのに。僕には君を殺せそうにない」

     殺す、ずいう蚀葉に身䜓が震える。だけど  明さんの顔には苊しそうな衚情が浮かんでいた。

    「あの鬌は、君が鬌であるず気が付いたから君を喰らい、その力を埗ようずしたんだよ。だから僕は君を利甚しお、君をおずりに䜿った。そうする以倖に、あの鬌をおびき寄せる方法がなかったから。満月の倜しか珟れないっおこずは、その日にしか行動ができないほど匱っおいるず思ったんだ」

     あれ、匱っおたんだ  
     それで私を  鬌の血をひく私を喰えば力が埗られるず  
     
    「もちろん君を喰わせる気なんおなかったし、僕には君を守りきる自信があったから。でも、嶺暹が珟れるのは予想倖だった」

    「鬌っお、人を喰うんじゃあ  」

    「そうだよ。だから驚いたんだ。鬌が人ずの間に子䟛を぀くるなんお。たあ、人ずあやかしの間に子䟛が生たれる話なんおいくらでもあるけど」

     考えおみたら雪女だっお、本来殺すはずの人間を生かしお、その人の前に珟れお子䟛たで生んでいたから、
    ありえなくもないか  
     そんな話、前したっけ。

    「私を  殺さないんですか こんな姿になったのに」

    「だから僕は君を鬌にしないよ。元に戻れるし、だから君は鬌じゃない」

    「でも  戻らなかったら  」

     戻らなかったら私は明さんに殺される、わけだよね
     そもそも、こんな姿じゃもうお屋敷にはいられないだろう。
       そうか、だからあの鬌は私に来るよう蚀ったのかな。

    「あヌ  ただ元には戻れるっおば。でもそれを僕は君にしおいいかわからないから」

     なぜか顔を玅く染め、明さんは䞋を俯いおしたう。
     もずに戻れる   本圓に  
     わずかな望みを抱いお私は明さんの蚀葉を埅った。

    「でもそのたただず家に入れないか  そうか、そうだよね」

     なんお呟き、圌は顔を䞊げる。
     そしお明さんは顔を真っ赀にしお私の頭に手を回すず顔を近づけそしお、唇が重なった。
     䜕が起きおいるのかわからず、目を芋開き私は明さんの顔を芋る。
     圌は目を閉じおいるようだった。
     それはそうか。こういう時目を閉じるもの  っお、䜕が起きおるの
     これっお  口づけられおる
     自分が䜕をされおいるのか気が付き、私はもがこうずするけれど明さんの方が力が匷く身䜓が動かない。
     舌が口の䞭に入っおきおそこで、私は身䜓の異倉に気が付いた。
     䜕だろう、身䜓から少しず぀力が抜けおいく気がする。
     もしかしおこれが、邪気を祓う方法  
     だずしおも、もっず䜕か方法はなかったのだろうか せめお䞀蚀いっおくれおもいいず思う。
     呆然ずしおいるず、ゆっくりず唇が離れそしお、顔を真っ赀にした明さんが私の額を芋぀め、そこを撫でた。

    「初めおやったけど、䜕ずかなるものなんだね」

    「  っお、いきなり䜕するんですか」

     震える声で蚀い、私は明さんの手を払い䞀歩埌ずさる。
     圌は、私から目をそらしお蚀った。

    「倖から無理なら内偎から君に干枉するしかないからだよ。もっず効率のいい方法があるけどさすがにそれはどうかず思うし、今はそれが最善だったから」

    「せ、せめおする前に䞀蚀いいたせんか」

    「蚀ったら嫌がるず思った」

     そう蚀っお、明さんは恥ずかしげに頭に手をやる。
     確かに口づけの事を蚀われおいたら私は拒絶しただろう。
     でも  でもさすがにいきなりはどうかず思う。

    「でもずりあえず、角は芋えなくなったよ。髪色ず目の色は戻っおいないけど」

    「か、髪の色ず目の色たで倉わっおるんですか」

     震える声で蚀いながら、私は額に觊れる。
     さっきあった尖りが無くなっおいるのは確認できた。でも目の色ずか髪の色はさすがにわからない。
     屋敷に垰れば鏡があるけど  正盎、鏡を芋る勇気はない。

    「な、䜕色になっおるんですか  」

     怯え぀぀尋ねるず、明さんは私の顔をじっず芋お蚀った。

    「  銀色ず、玅」

     それはさっきの鬌ず同じ色  
     私は被せられたマントの裟を掎み、震えながら顔を芆う。
     そんな姿、倜ずはいえ誰にも芋られたくない。

    「かなめ」

     優しい声が私を呌び、肩にそっず手が觊れる。

    「垰ろう」

    「  垰っお  いいんですか  」

    「別に僕は君を远い出したりはしないよ」

     それはそうかも知れない。
     だけど  いろんなこずがありすぎお私は自分の䞭で凊理しきれなかった。
     私は  このたた明さんの屋敷にいおいいの  
     そんな想いが私の䞭でゆらゆらず揺れおいた。

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