【初心者 向け】一番 簡単なファトラジーの作り方2(全5回)
〜10月27日 06:00
はじめに
今年2026年11月~来年1月末に開催予定の「第1回 綺想を競うファトラジー大会」に向け、「【初心者 向け】一番 簡単なファトラジーの作り方2(全5回)」と題して、その第2回目を行います。また、ちびたぬき先生 主催『妄想学校』の「笑芸・言語遊戯」の授業の第2回目でもあります。ちびたぬき先生や生徒の皆さん、よろしくお願いします。
前回=「1」を未読の方やファトラジーが何か分からない という方は「1」を先に ご覧ください👇
「1」では「ア出下法」という方法を紹介しましたが、今回は笑いの手法・“大喜利” によって作っていく方法を紹介します。ア出下法は一番 簡単ではあるものの偏屈な(?)方法でしたが、大喜利で作っていく方が普通の文章や詩作と近いと思います。そのため、第1回目よりは こちらの方が馴染みやすい かもしれません。
※以下のファトラジー解説記事でも大喜利で作る方法を紹介しているので、ぜひ ご覧ください👇
大喜利
最も簡素な大喜利法
~お題の語を使って面白い文章を作ってください~
笑いの世界での大喜利は、普通は「こんな ~ は嫌だ」や「もし ~ が ~ だったら?」や「新しい ~ を教えてください」といったものですが、僕が紹介するのはもっと簡単なものです。それは、お題の語を使って面白くするというものです。より大喜利風の言い方にしてみると、こうなります👇
お題の語を使って面白い文章を作ってください。
そして、そのお題の語は何でもいいです。[雪だるま]でも[歯ブラシ]でも[羽毛布団]でも[ナイアガラの滝]でも[内野フライ]でも何でもいいです。とにかくお題の語を使って面白い文章を作っていくのが今回の方法です。
実例は次の節「大喜利・1 ~お題[カブトムシ]~」以降で合計4回 挙げますが、お題の語[カブトムシ]から始めて1語ずつ面白い語を追加していきます。1語 追加する度に1回 立ち止まり、そこで再び面白い語を考えていきます。そして、追加したら立ち止まって考え、さらに追加したら立ち止まって考え、と、これを繰り返していきます。そうして、お題の語に いくつも語を加えていき、文章にします。
これは1語ごとの大喜利なのですが、最も簡素な大喜利法です。そして、そのためか(通常の笑い や大喜利は “文章化” する志向性が希薄なためか)、この方法は誰も やっていません。しかし、『笑芸』なる「笑いの文学」の基本中の基本であり根本なので、この方法で作れるように なってください。また、最初に書いておきますが、「大喜利を制す者がファトラジーを制す」ので、ぜひ大喜利を鍛えてください。
それでは、実際に やっていきます👇👇👇
大喜利・1
~お題[カブトムシ]~
最初の お題は[カブトムシ]です。これも どんな語でも良いですし、皆さんがする際は好きな言葉で構いません。今回は紹介や手本ということで、とりあえず簡単な語という理由で選びました。
なお、お題の語は[ ](角括弧)で表記します。また、各作の全体文や作中の各文・各語は〈 〉(山括弧)で表記します。
そして、「[カブトムシ]という語を使って面白い文章を作ってください」ということです。これは「カブトムシが ~ する」や「カブトムシの ~」としても良いのですが、その前に「どんなカブトムシか」を加えてみます。これは僕の経験ですが、名詞が1語だけよりも修飾語が多い方が面白くなるので、まずは[カブトムシ]の前に語を加えます。12語ほど考えたので、それを以下に載せます。皆さんは どんなカブトムシだったら面白いと思いますか? ぜひ一緒に考えながら読んでください👇
[カブトムシ]
横長の、231歳の、いじらしい、愛の無い、トイプードル型の、破壊者としての、雷に打たれた、海で産まれた、近代経済学を確立した、呪われた、忖度しかしない、冬の
こんな具合で挙げてみました。見方としては、それぞれ〈横長のカブトムシ〉〈231歳のカブトムシ〉〈いじらしいカブトムシ〉〈愛の無いカブトムシ〉〈トイプードル型のカブトムシ〉……です。
一応12語 出してみましたが、どれが面白いですか? また、皆さんは どんな語が思い付きましたか?
今回は この中から1語 選びますが、皆さんが やる時のために最初に言っておきますと、選ぶ基準は究極的には自分の好みで良いです。笑いの作品は好みで選んで良いです。もちろん客観的な評価はありますし、他人にウケたかったり商業的利益を得たいなら客の好みに合わせねば なりませんが、そうでない場合は自由に好きな言葉を選んでください。
さて、これらの中から選んでみます。もちろん これらが全て ではありませんし もっと面白い回答もあると思いますが、僕の好みだと〈近代経済学を確立したカブトムシ〉になりますが、いかがですか? 〈トイプードル型のカブトムシ〉も洒落ています(?)が、いかがですか? ウケやすいのは〈231歳のカブトムシ〉とか〈忖度しかしないカブトムシ〉とかだと思いますが、どうでしょうか? 風情のあるものでは〈冬のカブトムシ〉でしょうか。
これは皆さんの反応を見たいものですが、note では そうはいかないので、勝手に決めます。〈海で産まれたカブトムシ〉にします。理由は、あまりマニアックすぎないことです(?)。今回は【初心者 向け】ということで、なるべく多くの人に理解る(であろう)ものにします。(海に昆虫は生息していない そうです。)
と、こんな具合で やっていきます。次は この〈海で産まれたカブトムシ〉を お題にして語を考えてみます。〈海で産まれたカブトムシ〉が どうなったら面白いでしょうか? これも考えながら読んでみてください👇
[海で産まれたカブトムシ]
は歯を磨かない、を捏ねる、の論じる ~、に嫌われた ~、を揉む、の出エジプト、の大脱走、で作った氷、の悩み、の街頭演説、の評論会、の行き着いた先
これも先と同様に12語 挙げましたが、どれが面白いですか? また、皆さんは どんな語が思い付きましたか? ぜひコメント欄で教えてください。
他にも面白い回答はあると思いますが、〈海で産まれたカブトムシを揉む〉や〈海で産まれたカブトムシの街頭演説〉や〈海で産まれたカブトムシの行き着いた先〉あたりは いかがでしょうか? 少々ひねった(?)ものだと〈海で産まれたカブトムシで作った氷〉でしょうか。でも、〈海で産まれたカブトムシの大脱走〉も勢いがあって良いので、これにします。そして、これに さらに〈達〉も付けます。この手のものは1匹より大勢いた方が面白い(気持ち悪い)ので。〈海で産まれたカブトムシ達の大脱走〉。
なお、1語目の〈海で産まれたカブトムシは歯を磨かない〉は この一行だけでも成立します。その場合は「一行詩」(或いは、諺)となります。そして、次回の記事=「3」では こういったものを大量に作ります。また、その次の「4」では それらをコラージュ(切り貼り)してファトラジーを作りますが、一行詩は その基礎単位となります。もちろん僕も書いていて投稿も募集しているので、ぜひ やってみてください✨💖 1つ目の記事が『新しい諺』と称した一行詩集で、2つ目の記事が募集記事です👇
では、〈海で産まれたカブトムシ達の大脱走〉をさらに展開していきますが、時間的経過も入れたいので〈の後〉を加えておきます。〈海で産まれたカブトムシ達の大脱走の後、〉どうなったら面白いでしょうか? 考えてみてください👇
[海で産まれたカブトムシ達の大脱走の後、]
ポインセチアが ~、惑星が ~、韃靼そばを ~、花札を ~、恐慌が ~、レタスが ~、グレン・グールド(ピアニスト)が ~
どれが良いですか? それとも、皆さんは もっと面白いものが浮かびましたか?
まず、良いのだけれど除外するものを挙げます。〈恐慌が ~〉です。〈海で産まれたカブトムシ達の大脱走の後、世界恐慌が起きた。〉 これは面白いのですが、【初心者 向け】としてはキツすぎて風上に置けないので、除外します。
この中では僕は〈グレン・グールド(ピアニスト)が ~〉が良いですね。このグレン・グールドという人は20世紀の伝説的な変人ピアニストで、こんな人です(演奏曲:バッハ《ゴルドベルク変奏曲》)🎵👇
そして、〈海で産まれたカブトムシ達の大脱走の後、グレン・グールドが〉どうしたか?👇
[海で産まれたカブトムシ達の大脱走の後、グレン・グールドが]
韃靼そばを食べるようになった、キノコの研究を始めた、落ち武者になった、家政婦になった
どれが良いですか? それとも、もっと良いものが ありましたか?
これは実は、1つ前の回答で〈韃靼そばを ~〉というものがあり、それを また入れてしまいました。が、これを使ってみましょう。〈海で産まれたカブトムシ達の大脱走の後、グレン・グールドが韃靼そばを食べるようになった。〉 しかし、これは散文(形式)なので、句読点で区切って分かち書きに してみます👇
海で産まれたカブトムシ達の大脱走の後
グレン・グールドが韃靼そばを食べるようになった
しかし、これでも やや散漫なので、さらに区切って詩(形式)特有のリズムを作ってみます👇
海で産まれたカブトムシ達の大脱走の後
グレン・グールドが
韃靼そばを食べるようになった
ファトラジーの出来上がりです!
ここでは〈グレン・グールドが〉で区切りましたが、それによって次の行(〈韃靼そばを食べるようになった〉)へのタメや間が出来たと思います。タメや間は話芸での それに相当しますが、そうして最終行へのヒキを作り期待を持たせ、オトしましょう。
※「笑いの文学における「詩(形式)」と「散文」の違い」についてや「区切りの位置による読み方・語の重心の変化」の実験はファトラジー解説記事に書いてあるので、ぜひ ご覧ください👇
と、こんな具合で作ってみましたが、いかがでしょうか? お題の[カブトムシ]に1語ずつ加えていき、積み重ねました。先述しましたが、お題は何でも いいですし、回答も こんなに多く出さなくても いいです。しかし、途中途中で選択する語は色々あり、そこで選ぶ語が変わったら最終完成形も変わっていた はずです。もちろん今作が一番 良い(面白い)というわけでも ないですが、この作り方が最も基本的なものなので、ぜひ やってみてください✨💖 ご自身の記事にされる場合は本記事のリンクも貼ってください👇
大喜利・2
~お題[人騒がせな]~
この方法でもう1回やってみます。[カブトムシ]は名詞だったので、今度は形容詞にしてみます。これも何でも いいですが、[人騒がせな]にしてみます。[人騒がせな]という語を使って面白い文章を作ってください。どんな人騒がせなもの だったら面白いでしょうか? 考えてみてください👇
[人騒がせな]
虹、タルタルソース、ひよこ、正座、バックドロップ、人質、アンドロメダ、金魚すくい
とりあえず これくらい挙げてみましたが、どれが良いでしょうか? 皆さんは もっと面白いものが見つかりましたか?
この中では僕は〈人騒がせな ひよこ〉か〈人騒がせな正座〉か〈人騒がせなバックドロップ〉が良いですが、〈人騒がせな人質〉も良いので(犯人がではない ところが)、これにしましょう。そして、続けていきます👇
[人騒がせな人質]
が好きな ~、が持っている ~、の苦悩、によれば ~、の笑顔
これは もっと出せそうですが、〈人騒がせな人質によれば、〉で話が展開できそうなので、これにします。そして、続けます👇
[人騒がせな人質によれば、]
アガサ・クリスティー、古代魚、メリケンサック、風水、カピバラ、序奏、収穫祭、朝礼、ダンサー、勲章
このような単語の羅列は「1」で紹介したア出下法のようですね。これらを繋ぐだけでもファトラジーが出来そうです。
また、この回答は無数にあると思いますが、僕は どうしても〈古代魚〉に魅かれてしまうので、これにします。なお、この〈古代魚〉にも先の[カブトムシ]のように修飾語を付けられるのですが、ここでは作り方の紹介ということで省略します。そして👇
[人騒がせな人質によれば、古代魚は]
花束を、レーザー光線を放ち、燃え、稲を刈り、ジョークを言い、論理を拒み、スキップをし、
どれが良いですか? 僕は〈人騒がせな人質によれば、古代魚は論理を拒み、〉が良いですが、やや小難しいので(世界観は深まるのですが)、軽めに〈人騒がせな人質によれば、古代魚はスキップをし、〉にしましょう。そして👇
[人騒がせな人質によれば、古代魚はスキップをし、]
リーサルウェポン、抹茶、詩、のっぺらぼう、類推、ワルツ、脱脂綿、
この7語も かなりア出下法的ですが(7語を挙げるだけの選手権を開いても良いです)、主語・主体としては〈リーサルウェポン〉か〈のっぺらぼう〉か〈脱脂綿〉になるでしょうか。しかし、〈リーサルウェポン〉はキツすぎますし〈のっぺらぼう〉も狙いすぎている感じがするので、〈脱脂綿〉にします。そして👇
[人騒がせな人質によれば、古代魚はスキップをし、脱脂綿は]
穴に潜る、善行をする、瑠璃、炎上する、天地を創った
これは5語で止めたのですが、理由は、最後の〈天地を創った〉で決まったからです。〈脱脂綿は天地を創った。〉 たかが脱脂綿が なんと大仰なことをしたのか。
今回は作り方の紹介ということなので、長さは ここで終えます。3行ほどに なるでしょうか。しかし、皆さんが やる場合は もっと長くしても良いですし、あとはこの連続・繰り返しなので、延々に続けていけば良いだけです。これがファトラジーの最も基本的な作り方です。
そして、今の文章を自然な分節で詩形式にしてみます👇
人騒がせな人質によれば
古代魚はスキップをし
脱脂綿は天地を創った
ファトラジーの出来上がりです!
大喜利・3
~お題[を揚げる]~
念のため、もう1回この方法でやってみます。今度は動詞[を揚げる]です。[を揚げる]という語を使って面白い文章を作ってください。
要領は ここまでと同じで、延々に大喜利をしていくだけです。1語 選んだら また考え、1語 選んだら また考え、を繰り返していきます。文量も どの程度でもいいのですが、今回は2の[人騒がせな]より長い4行を目指していきます。その分、語を出すのが大変になりますが、元々「笑いの文学」は書くのが大変です。また、いわゆる「プロ」と呼ばれる人達も このような奇妙な(高濃度な)文章は あまり作れていない(このような本は無い)ので、頑張って作っていきましょう。
それでは、やってみます👇👇👇
[を揚げる]
輪ゴム、地雷、虹、弁当箱、駅、跳び箱、月、時計、夢、剣、日本刀、県、塔、タイムマシーン、眼鏡、電球、リモコン、タイヤ、橋、プレデター、目玉の おやじ
21語 挙げてみましたが、これも無数にありそうです。思い付いた方はコメント欄で教えてください!
そして、この中から選びますが、皆さんは どれが良いですか? 〈県〉とか〈電球〉も良さそうですが(?)、〈タイムマシーン〉にします。そして、〈タイムマシーンを揚げる ~〉という文型にしますが、〈~〉にどんな語が入ったら面白いですか?👇
[タイムマシーンを揚げる]
八咫烏、のど飴、万歩計、渓谷、乙女、前十字靭帯、辞書、スパゲッティ
どれが良いですか? 僕は1語目の〈タイムマシーンを揚げる八咫烏〉が良いですが、これは良すぎるので自分の作品=『Fatrasie ~綺想詩~』の完成版で使います。〈タイムマシーンを揚げる前十字靭帯〉も良いですが少々マニアックなので、〈タイムマシーンを揚げる乙女〉にします。そして👇
[タイムマシーンを揚げる乙女は]
武装し、コックピットに座り、ゴリラを飼い、会談し、分身し、落胆し、安心し
これも色々ありそうですが、ここでは〈落胆し〉にします。〈揚げる〉=「あげる・上げる」に対して「落ちる」という対照を取りたいからです。
そして、〈タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、〉どうしたか? これも同様に考えていけば良いのですが、今の回答に〈ゴリラを飼い〉とあり、これが なぜか〈ゴリラを吸い〉に見えたので、これを使います。〈タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、ゴリラを吸い、〉👇
[タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、ゴリラを吸い、]
カステラ、ジャック・ザ・リッパー、疑心暗鬼、梅干し、回遊魚、水族館、アンティノミー、『純粋理性批判』(哲学者イマヌエル・カント著)
これも多く出せそうですが、皆さんは良い語が思い付きましたか? 僕は最後の〈『純粋理性批判』(哲学者イマヌエル・カント著)〉が良いので、これにします。
※イマヌエル・カントの『純粋理性批判』は こちら👇
しかし、この選択は僕の趣味や好み ではなく、客観的な理由が付けられます。それは、「ゴリラ」という野性のものの後に「『純粋理性批判』」という極めて理性的な来る というおかしさです。(ゴリラは知力は高いそうですが。) 笑いの世界では「落差」や「ギャップ」や「振り幅」と言われることが ありますが、その落差・ギャップ・振り幅や2項間の距離を なるべく大きくしたいものです。そして、それを最大化したものが「対照」です。また、そのようなことを1語1語で行なったのが次の節「本気の大喜利は “構成” へ」です。
※対照や “構成” については、次の記事で1万字ほどを費やして書いています。興味のある方は ご覧ください👇
そして、続けます👇
[タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、ゴリラを吸い、『純粋理性批判』を]
舐め、埋め、生やし、泣かせ、騙し、膨らませ、倒立させ、燻り、香らせ、絞り、唆し、丸め込み、正し、牛耳り、踊らせ
これも色々ありますし皆さんがする場合は好きな言葉を選んで頂けたら良いのですが、ここでは最後の〈踊らせ〉にします。理由は先と同じもので、「『純粋理性批判』」という知的なものに対して「踊る」という肉体・身体的なものを置きたい(=対照を作りたい)からです。また、「落胆」という精神的にネガティブな状態と「踊る」というポジティブな状態の対照にも なります。
そして、〈ゴリラを吸い〉〈『純粋理性批判』を踊らせ〉と来たので、もう1回〈 ~ を ~ する〉の形で作りたいです。どんな〈~〉が面白いでしょうか?👇
[タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、ゴリラを吸い、『純粋理性批判』を踊らせ、]
隕石、古墳、ノスタルジー、エステ・サロン、脚本、出撃、調律、りんご飴、
この中では〈古墳〉か〈出撃〉が良いですが、美的なものも入れておきたいので、〈エステ・サロン〉にします。そして👇
[タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、ゴリラを吸い、『純粋理性批判』を踊らせ、エステ・サロンを]
もみ消し、脱穀し、膨らませ、罰し、降らせ、飛ばし、這わせ、宥め
〈もみ消し〉も面白いですが、〈脱穀し〉は「エステ・サロン」という西洋のものに対して日本的・土着的なものという対照になるので、これにします。本当はもう1つ対照がありますが、何か分かりますか? 知りたい方は次の記事を ご覧ください👇
そして、目標の4行に近づいてきたので、そろそろ締めに入ります。この文章は最後は〈~ が現れた〉で終わろうと思います。どんなものが現れたら面白いですか?👇
[タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、ゴリラを吸い、『純粋理性批判』を踊らせ、エステ・サロンを脱穀しているところに、~ が現れた]
勝海舟、明智光秀、毛利忠成、夜のガスパール、メン・イン・ブラック、アウン・サン・スー・チー、アンダルシアの犬(サルバドール・ダリの映画)、黙契、鹿威し、アメンホテプ4世、
これも色々挙げてみましたが、多く出している ということは決め手に欠けている ということでも あるのです。ファトラジーは笑いの詩なので、オチは大事にしたいです。皆さんが書く場合は ぜひ じっくり考えてください。
今回は この中から選びますが、最後の〈アメンホテプ4世〉にします。が、これに少々手を加えて、〈4世〉を実在しない(であろう)〈13世〉にします。即ち、〈アメンホテプ13世〉。
これで終わっても良いのですが、この〈アメンホテプ13世〉にも1語 修飾語を付けて、結語を豪華にしましょう。どんな〈アメンホテプ13世〉だったら面白いですか?👇
[タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、ゴリラを吸い、『純粋理性批判』を踊らせ、エステ・サロンを脱穀しているところに、~ アメンホテプ13世が現れた]
幼気な、高飛車な、強かな、色の無い、捻挫をしている、声変わり中の、容疑者である、忖度しかしない、悲嘆にくれた、発光している、霊長類最強の、落語家の
これも色々出した=迷っている ということ なのですが、〈発光している〉が使いたいです。が、直前に〈脱穀している〉があり、〈している〉で重複してしまうので止めます。ギリギリ使えるとしたら、〈七色に発光する〉や〈定期的に発光する〉のような形ですが、〈発光している〉だけの方が面白いと思います。
では、どの語が良いのか? この中では、最後の〈落語家の〉でしょうか。〈落語家のアメンホテプ13世〉。このおかしさの理由も先と同じで、「落語家」という日本のものに対して「アメンホテプ」という外国のものという落差・ギャップ・距離(或いは、対照)です。
そうして、〈タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して、ゴリラを吸い、『純粋理性批判』を踊らせ、エステ・サロンを脱穀しているところに、落語家のアメンホテプ13世が現れた。〉という文章が出来ました。しかし、これは散文(形式)なので、これも自然な分節で区切って分かち書き にすると👇
タイムマシーンを揚げる乙女は落胆して
ゴリラを吸い
『純粋理性批判』を踊らせ
エステ・サロンを脱穀しているところに
落語家のアメンホテプ13世が現れた
ファトラジーの出来上がりです!
*
ということで、大喜利で作っていく方法を3回 紹介しましたが、いかがでしたか?
何回か書きましたが、これがファトラジーの最も基本的な作り方です。今回は紹介や手本ということで1語1語で立ち止まって考えていきましたが、皆さんが作る場合はもっと即興的に・思い付いたものを どんどん繋げていっても良いです。また、回答の数も こんなに多く出さなくても良いですし、1語1語を選ぶのに時間を掛けても良いです(僕は じっくり・きちんと選ぶことを推奨します)。最初にも書きましたが、「大喜利を制す者がファトラジーを制す」ので、ぜひ やってみてください✨💖 そして、この記事のリンクも貼ってください👇
※今回は「大喜利」という言い方をしてきましたが、ファトラジーを発掘・評価したシュルレアリスムの言葉では “デペイズマン” です。これは簡単に言うと、「意外なものや かけ離れたもの同士の結合・組み合わせ」ですが、可能なら この「デペイズマン」という言い方も覚えてください。なお、これらはファトラジー解説記事に書いてあるので、ぜひ ご覧ください👇
そして、本記事には この後に「本気の大喜利は “構成” へ」という節があり、もう1度 大喜利で作っていくのですが、これは少々難易度が高くなって しまいました。本記事は手本となることを目指して書いたのですが、そのために本気でやってしまいました(というより、本気で やらねば ならない)。その結果、【初心者 向け】ではなくなって しまいました。
そのため、難しい話が苦手な方は この記事は ここまでにして頂いて構いません。そして、「おわりに」へ行ってください(👈リンクを踏むと飛べます)。ただ、「おわりに」も ここまでの まとめ と次回の予告(一行詩を大量に作ること)くらいなので、ひとまずは本記事は ここで締めておきます。(中~上級者は続きを ご覧ください。有料級の作品と解説・構成です。 →有料にしました。)
なお、先述しましたが、一行詩については記事にしているので、よかったら ご覧ください👇
それでは――
皆さんの投稿(&コメント)を お待ちしています✨💖
▼第3回目▼
本気の大喜利は “構成” へ
さて、ここからは中~上級者 向けとなります。手本を見せるべく本気で やったら難しくなって しまったのですが、素晴らしい作品にもなりました。そして、“構成” という言い方をします。これについては次の記事に書いてあります👇
“構成” という言い方は20世紀に抽象画を発明したW・カンディンスキーのものですが、簡単に言うと、完全に計算して完璧に構築したものです。そして、芸術や文学では これが最高峰であることは間違い ありません。
それは ここまでの言い方では「対照」です。そして、この対照は文学では「接着語法(または矛盾語法)」と呼ばれています。先にも挙げましたが、この接着語法や対照性は芸術の真理であるとして、次の記事で1万字を費やして書いています。ぜひ ご覧ください👇
そして、次から行う大喜利では、1語1語で接着語法-対照を作っていきます。
*
この大喜利の お題として使用させて頂くのは、ファトラジーを多く書いて くださっている どうどうどり さんの「【ファトラジー】A・Aメロ」です。
※どうどうどり さんは次の作品達も素晴らしいので、ぜひ ご覧ください👇
上から簡単に紹介すると、「【ファトラジー】文化的ナルシシズム」は現在100作以上になったファトラジーの中でもトップクラスの本格的なシュルレアリスム詩です。「【ファトラジー】パッチワーク・クッキング」は過去作のコラージュで、かなり出鱈目な言葉の組み合わせが作られています。僕は とても好きです。「【ファトラジー】パンプキンケーキを食べよう」は どうどうどり さんの最初のファトラジーですが、呑気でナンセンスです。どうどうどり さんは最初から面白くてファトラジーのセンスがありました。
そして、今回は「【ファトラジー】A・Aメロ」を参考にさせて頂きます。
どうどうどり さんは僕のファトラジー解説記事を よく読んでくださり、そこでは大喜利で作っていく ということを書いていたのですが、どうどうどり さんは当作について「大喜利のような形を取れていたらいいな」と言われています。そして、当作は〈尊敬すべき〉で始まるのですが、こうも言われています(コメント欄にて)👇
まず文の流れ(例えば「尊敬すべき〇〇が」)を考えてから、そこにどんな言葉が入ったら面白くなるかなと思いながら書いています。
これは今回やってきたことと全く同じです。そこで、僕も本記事を書く参考として やってみました。お題は[尊敬すべき]です。どうどうどり さんから この語を お借りして、次で やっていきます。皆さんも考えながら読んでください👇👇👇
*追記*
以下の大喜利-“構成” と解説は素晴らしすぎるため(真似して作ってくださった方が2名も現れました)、やはり有料にします。気になる方は ぜひ ご覧ください。なお、ファトラジー大会での受賞には こういった構築が必要になります。
それでは、以下で やっていきます👇
*
お題[尊敬すべき]
~[尊敬すべき]という語を使って面白い文章を作ってください~
ここから先は
9月27日 06:00 〜 10月27日 06:00
この記事が参加している募集
僕はチップなんて要りません!
![初代王天君【児童文学名:らつぁん・たすりと】👉ファトラジー[綺想詩]の投稿募集中✨💖](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/298706310/profile_536c57516f009a923027ed72551b805e.jpg?width=60)