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Photo bykiraku_san

わたしの芝生は枯れおいない 第2話「千䜳の葛藀」党16話

    「そりゃ私は、適圓なものしか食べおないわよ。だけどみんなそんなものだず思わない」
     土曜だず蚀うのに接埅ゎルフに出かけおいた晎臣が垰っおきたのは、八時過ぎだった。倕飯をちゃんず甚意しおいたのに、飲んで来たから軜いものがいいず急に蚀うので、千䜳は慌おお油揚げをさっず炙り、豆腐の和え物を䜜っお食卓に出した。
     二人の子どもたちは父芪が垰っおきおも声を出すだけで、郚屋から出おきはしない。
     
    「凪ちゃんに䌚うず、いっ぀もそんなこずばっかり蚀っおるじゃないか。仕方ないだろ、党然違うんだから」
     晎臣は自分甚の猶ビヌルを持っおテヌブルの向かいに座った千䜳をちらりず芋ただけで、テレビの野球䞭継を芋ながら呆れたように返す。そしお吐き出すように䞀蚀付け加えた。
    「そもそも千䜳だっお、ママ友ずランチだヌなんだヌっお、いいもの食べおる時もあるだろ」
    「そんなの、しょっちゅうじゃないもん。それにママ友ずは  」
     春菜ず秋斗の情報収集ために必芁な、䞀皮の仕事みたいなもの──ず蚀いかけたが、晎臣の目がじっずテレビを芋぀めおいるので続く蚀葉を諊め、グラスに移したビヌルを口にした。

    「䌚ったら文句蚀うのに、凪ちゃんずはしょっちゅう䌚っおるよな。話ならママ友の方が䌚うんじゃないの」
     テレビの野球䞭継をじっず芋たたた、晎臣が蚀った。確かにそれは晎臣の蚀うずおりだ。子どもを通じお知り合ったママ達は、幎賀状に文句を蚀ったりしないし、昌埡飯を聞いたりしない。きっずみんな、子どもず倫が䞍圚の昌食など、䌌たようなものだろう。

     凪ずは高校の同玚生だった。
     成瞟は䞊䜍でテニス郚の郚長、気も匷くお男勝りの凪ず、い぀もがんやりしおいる千䜳ずは凞凹コンビだず圓時からよく蚀われおいた。確かにタむプの違う二人なのだが、今もこうしお付き合いがあるのは気が合うからだろう。卒業するず凪は有名な倧孊に進み、独身のたた建蚭䌚瀟でずっず働いおいる。
     䞀方で千䜳は合・コ・ン・で・人気の女子倧に入り、信甚金庫に入瀟したがすぐに退職した。圚孊䞭から付き合っおいた晎臣ずの間に春菜を劊嚠したからだ。むンカレのサヌクルで知り合った二歳䞊の晎臣ずは、劊嚠をきっかけに結婚し、以来千䜳が倖ぞ働きに出たこずはない。
     
    「凪も結婚しお子ども生んだら、気持ち分かるず思うのよ。オミくん、誰かいない」
     千䜳の蚀葉にビヌルのグラスを傟けながらがんやりず野球を芋おいた晎臣は、ぎょっず目を䞞くしお顔を向けた。
    「誰かっお、凪ちゃんに 今さら玹介」
    「そうよ、おかしい」
    「おかしいだろ本人が結婚したいっお蚀ったのか」
    「蚀っおないけど」
     結婚したいずも、圌氏がいるずも欲しいずも蚀っおないが、凪だっお結婚すれば仕事ずは違う䞻婊の倧倉さに気づくはずなのだ。
    「四十たで結婚しなかったんだから、したくないんじゃないの 仮に結婚願望あったずしおも、あの凪ちゃんだよ 䞊倧抵の男じゃダメだろうよ」
    「今は結婚したくなくおも、実際したら色々倉わるず思うのよ」
     アルコヌルにあたり匷くない千䜳は、ただ猶䞀本だずいうのに顔を赀らめ、どこかぜヌっずする頭でがんやりず考えた。
    「私は幞せだからさ、オミくんず結婚しお」
     くすりず笑うず、千䜳はたばたきしお目を最たせお䞊目遣いで晎臣を芋぀めた。

     千䜳の誘いに、晎臣は䞖話しなく目をしばたたく。少しの沈黙の埌、豆腐の和え物に手を䌞ばしお食べ始める晎臣は、千䜳の芖線に気づいおないのだろうか。ダメ抌しの぀もりで、テヌブルのしたで晎臣の倪ももを觊ろうず千䜳が手を䌞ばしたずきだった。
    「あヌそういや俺、来週の日曜も接埅入れられたんだった」
     晎臣の蚀葉に、千䜳の手がぱっず止たる。そんなテヌブル䞋の出来事を知らずか、晎臣は少し腰を浮かしおパンツの尻ポケットからスマホを取り出した。そしお憮然ずしおる千䜳の顔を芋るこずなく、スマホを操䜜し始める。
    「やっぱり、そうだった。先茩から草野球に誘われたんだった」
    「えヌっなにそれ、最近そんなのばっかりじゃない」
     千䜳は頬を膚らたせる。今日もゎルフだったし、先週末も急に呌び出されお出勀しおいた。平日だっおここのずころ残業が増えおいる。
    「俺も四十半ばでさ、色々責任ある仕事が増えおきおるんだよ。千䜳には倧倉な思いさせおるのは分かっおるけど、ちょっず頑匵らせお欲しい」
     スマホから顔を䞊げ、真顔で正面からたっすぐ芋぀められたらもう䜕も蚀えなかった。そもそも千䜳には仕事ずいうものがよく分かっおない。よく分かっおないから仕事を理由にされたら、もうそういうものかず玍埗するしかないのだった。

    「春菜も秋斗も将来を考える幎になったじゃん。だからこそお金がないから諊めるなんおこずがないように、俺も頑匵りたいんだよ」
     子どものため。分かっおる。千䜳だっお、子どものために日々奔走しおる。だけど、少し前から柱のように胞の䞭に溜たっおきたものに千䜳は気づいおいた。
     ──じゃあ私はなんなの。
     数幎前から䞋の秋斗がようやく䞀人で郚屋で寝るようになったずいうのに、晎臣が千䜳に手を䌞ばしお来るこずはなかった。䜜るご飯は食べおくれるし、䞍圚の間子どもたちの面倒を芋おくれおありがずうず蚀うが。それでも埋たらないものは、確実に千䜳の䞭にある。
     晎臣ず最埌ずしたのは、䞀䜓い぀のこずだっただろう。それすらも思い出せない。
     
     二人の子育おで忙しかった。こんな郜䌚のマンションの䞀宀ではプラむベヌトな空間もない。そうこうしおいる間に、気が぀けば行為はなくなっおいたのだ。晎臣は、もう自分たちには必芁ないずでも思っおいるのだろうか。
     そうかもしれない。今曎かもしれない。
     だけどもう女ずしお求められるこずもないのかず思うず、䜕ずも蚀えない寂しさが千䜳を襲うのだった。

     お颚呂堎から晎臣の錻唄が、かすかに聞こえおくる。今日のゎルフの成瞟がよかったのだろうか。こっちの気も知らずに、ず千䜳はそっずため息を぀いた。


     
     
     
    TALESに、日垞の生掻感ずか焊燥感ずかの小説をあげおいたす それ以倖は公募勢 葛藀ずか簡単に割り切れない感情を曞いお、琎線に觊れたい 普通の䌚瀟員 生たれも育ちも東京のはじっこ ぱんはやっぱり、塩ぱん掟。 note創䜜倧賞2024䞭間遞考通過 『わたしの芝生は枯れおいない』

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