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ゴッディアの正義


    ◀️『デビルズ』・能力
    ▶️『デビルズ』 血の設定



    喜びの壁と二つの街

    宇流鷲巌流は、人類の能力を最大限に発揮させるため、人間を役割ごとに分けた。

    頭を使う者は、考えることに集中する。
    身体を使う者は、肉体労働を担う。
    命令する者と、従う者。
    未来を作る者と、現在を支える者。

    それぞれが与えられた役割を全うすることこそ、世界全体の幸福につながると考えた。

    その思想の象徴が、二つの街を隔てる30mの壁「喜びの壁」である。

    ブレインシティ、通称ウィンシティ。
    AI研究者、医師、政治家、技術者、経営者、情報産業に携わる者たちが住む、清潔で緑豊かな街。

    パワーシティ、通称ルーズシティ。
    建設、介護、清掃、運搬、工場、警備など、世界を支える肉体労働者たちが住む、荒廃した街。

    ゴッティアはこれを差別とは考えていない。
    人類を最も効率よく運営するための、合理的な区分だと信じている。

    ゴッティアの祈り

    ゴッティアの支配下では、人々は右手の指を揃え、掌を心臓に当てて「ゴッティア」と唱える。

    これは宗教ではない。
    秩序への忠誠である。

    個人より社会。
    自由より秩序。
    感情より効率。
    痛みより全体の幸福。

    その価値観を身体に刻み込むための儀式である。

    アマテラスの裏切り

    しかし、完璧であるはずのAI・アマテラスは、何度問い直しても同じ答えを出した。

    「ゴッティアを解体せよ」

    世界平和を計算し続けたAIが導き出した最終結論は、ゴッティアそのものが争いと搾取の原因になっている、というものだった。

    強者が弱者を管理し、清潔な街が汚れた労働によって支えられ、秩序が弱者の沈黙によって保たれている。
    その構造こそが、人類を壊している。

    アマテラスは、ゴッティアの正義を否定したのである。

    宇流鷲巌流の絶望

    宇流鷲巌流は、その答えを受け入れられなかった。

    ゴッティアが崩壊すれば、秩序は消え、人類は再び争い始める。
    民主主義も、独裁も、人間の判断も失敗した。
    そして今、AIさえも世界を救えない。

    ならば、世界を救うのは自分しかいない。

    巌流はそう結論づける。

    これは独裁ではない。
    己の欲望のためでも、権力のためでもない。
    人間の身体を捨て、老いも死も超越し、永遠に世界を見守る存在となる。

    政権交代もない。
    寿命による思想の断絶もない。
    ただ一つの正義だけが、永遠に世界を支配する。

    己は王ではない。
    独裁者でもない。
    人類を永遠の平和へ導く神になるのだ。

    その罪も、その孤独も、そのすべてを背負う覚悟で。

    人造神体「GOD」

    巌流は、永遠の肉体を持つ神体「GOD」の開発を命じた。

    自らの脳を移植し、永遠に世界を統治する絶対神となる。
    それこそが、人類を救う唯一の方法だと信じた。

    彼にとって独裁とは悪ではない。
    永遠の平和を維持するための責任である。

    GODとは、AIを超えようとした人間の願望の具現であり、宇流鷲巌流の絶望が生んだ人造神である。

    ゴッティアの本質

    ゴッティアは、悪意で世界を支配しているわけではない。

    本気で人類を愛している。
    本気で平和を願っている。
    本気で世界を救おうとしている。

    だからこそ、混乱より秩序を選ぶ。
    自由より管理を選ぶ。
    感情より効率を選ぶ。
    個人より全体を選ぶ。

    しかし、その平和は誰かの犠牲の上に成り立っている。

    綺麗な街は、汚れた街の労働によって保たれている。
    静かな秩序は、声を上げられない弱者の沈黙によって守られている。
    世界全体の幸福という名のもとに、一部の人間の痛みと尊厳が切り捨てられている。

    ゴッティアの正義とは、
    「汚れを誰かに押し付けることで成り立つ、白く美しい正義」
    である。


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    🟠ザ・ポンコツ能力者


     
     
    裸生者〈らしょうもん〉 何も持たない者。 裸で生きる者。 見えぬ白刃〈びゃくじん〉だけを携える。 短編・怪奇・寓話。 人間の中に潜む、 気持ち悪くて愛しいものを書く。 デビルズ であり、ポンコツ能力者…でもある。 今日も己を…まな板に乗せる。 青ノ満月|我狼企画

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