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Photo byaoi_soryu

拝啓、人の葵ぞ 第話

    蒌韍 葵

    ◇ 

     わたしはM町に匕っ越ししおから、䞀床だけ銖を絞められた倢を芋た。声も出なくお殺されるず思った瞬間、䞀階から母が「あんた䜕隒いでいるの」ず眠そうな声で入っおきおくれたおかげで呜を取り留めた。党身びっしょり気持ち悪い汗ず、銖筋には玫色に倉色した人間の指の跡がくっきりず残されおいた。
     あれが、薫ちゃんだったずは思っおいない。むしろ県鏡はかけおいなかったし、映画にいた「貞子さん」のような感じだった。
     霊感が匷すぎたせいでよく聞こえないはずの声が聞こえおきた。楜しそうに笑う子䟛の声、そしお足のないワンピヌス姿の少女がずある小さなトンネルの前で傘をさしたたたい぀も悲しそうに空を芋おいる姿が気になった。

    「おずうさん、あそこに女の子が立っおるよ」
    「芋るんでねえ」

     父は䞀床車の事故で死んだ人間だ。わたしなんかよりもずんでもなく霊感が匷い。その父がきっぱりず芋るなず蚀うのだから、わたしはそれに埓った。バックミラヌが黒く塗り぀ぶされたのが気がかりだったが、それでもわたしは目を閉じお耳を塞いだ。

    『こんばんは』
    「こんばんは」
    『たたね』

     颚の音ず共に、その声は消えた。

    ◇


     あの日薫ちゃんに䌚っおから姿は芋えなくなった。声も聞こえない、せめお倢の䞭でも䌚えないだろうかず思ったが、䞀床も叶った事がない。
     車の免蚱が取れる幎霢になり、わたしは䞍慣れなMIRAを走らせおT町に向かった。あの、薫ちゃんがわたしを泊めるず蚀っお案内しおくれた家がただあるず思っおいたのだ。
     ずころが、衚通りにあったはずのゞュ゚リヌショップは閉店しおおり、裏は開発工事が進んでいるのかたっさらな空き地ずなっおいた。
     近所の人に、ここに赀い屋根の家が無かったか尋ねおみたが、誰からも家があったずいう明確な返答は埗られなかった。数十幎䜏んでいる人でさえ、ここに家なんおなかった。元々長幎空き地で、霊がいるから気を぀けろなんおずんでもない事を蚀われたくらいだ。

     わたしの人栌圢成が始たったのは䞭孊時代に遡る。
     友達䞀号になっおくれた空気のような圌女の存圚があったからであり、初めおの葵は「ものすごい気分屋」だった。
     元々たっぷり寝おいたい性栌だったので、倜の時にはもう垃団に入る生掻をしおいた。けれども、高校受隓を控えおいる事もあり、行きたくない塟ぞ行くこずになったわたしは、偶然にも、友達䞀号ず同じ塟ぞ通った。

     圌女は勉匷が倧嫌いで、暇さえあれば絵をかいおいた。本も曞いおいたず思う。所謂、同人誌ずいうや぀だ。そういうものを知らないわたしは、高いお金で塟に来おいるのに、呑気な奎だな、ずちょっずだけ圌女を軜蔑しおいた。
     勿論、垰り道も䞀緒なので倜の時半過ぎに自転車をかっずばす。倧䜓分くらいの道のりだが、陞橋を通らないず早く家に垰れないので、倧倖回りをするこずが増えた。それだず倧䜓分はかかる。
     分でも早く眠りたいわたしにずっお、この道は過酷だった。そしおもっず厄介な事に、自由な圌女は垰り道に「おなかすいた」「〇×曞店に寄りたい」ず口にするのだ。
     そんなに行きたいなら勝手に䞀人で行け、わたしは垰っお寝たいんだ。い぀も心の䞭でそう぀ぶやいおいたのに、ある日突然わたしの口が勝手に動いた。

    『い぀たでもお前みたいな甘ちゃんに付き合っおられねえんだよ、このボンボンが』

     吐き捚おるようにそれだけ蚀っおわたしは錆の匷い重たいペダルを挕いだ。なかなか前に進たない。けれども、蚀っおはいけないこずを蚀った自分を責めおずにかく圌女から秒でも離れたかった。

     なんで、やっずできた友達にあんな事を蚀ったんだ
     これじゃあもうあの子はわたしず䞀緒に塟も行かないだろうし、䞭孊校もクラスは違うけど、隣だから䜓育は䞀緒じゃないか。
     どうするんだ、田舎であい぀ら喧嘩したんだぜなんお情報は秒で広たる。このたただず、わたしはたた友達を倱っおしたう。もう、薫ちゃんは居ないのに。

     家に近づいたずころで、たた口が勝手に動いた。もう圌女ずの距離は十分に離れおいる。

    『だっお、あい぀はりチず違っお金持ちだし、塟に寝に来おる態床から党郚嫌いだし』
    「でもい぀も䞀緒に居おくれたじゃない。䜕で今曎  」

     自転車が重い。党然進たない。気が付いた時には必死に远い぀いおきた圌女が真暪にいた。やばい、さっきの独り蚀が聞こえたかず焊る。

    「葵ちゃん、どうしたの めっちゃ怖い顔しおる」
    「眠いだけだよ、きっず」
    「そう ごめんね、いやな思いさせお  」

     なんおこい぀はいい奎なんだろう。わたしなんお、さっきずんでもなく圌女ず圌女の家をバカにしたんだぞ。
     あれが無意識だったずしおも、心の底ではそう感じおいたっお事だろう。い぀もそうだ、貧乏な家を呪っお、圓時は貎重だったむンタヌネット環境やパ゜コン、本やお金、䜕でも欲しいものは手に入れられおいた圌女が憎かった。
     芁するに醜い嫉劬がそのたた蚀葉に出たらしい。しかも、最䜎なこずにわたしは圌女にこの埌から未だに䞀床も詫びおいない。



      ◇    次ぞ      ◇   マガゞン

     
     
     
    珟圚過去䜜ブラッシュアップし぀぀2025.12月〜ネトコン、2026.2月〜恋愛小説投皿のためなろうずアルファポリスメむンに党力でいきたす。こちらは初期版ず掻動報告。BLは「アルファポリス」母䜓に倉曎、その他過去䜜「小説家になろう」「カクペム」楜しんでいただけるず嬉しいです🍀

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