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【創䜜倧賞2024応募䜜・恋愛小説郚門】砂の城 第話 忍sideヌ 葛藀

    蒌韍 葵



     退院した埌のリハビリで俺が日課にしおいる事がある。人間は倪陜の光を䞀日に分くらい济びるずいいらしい。
     ボケ防止にもなるし、それで刺激になれば俺の欠けた蚘憶がぜっず埩掻するかもしれない。
     そんな淡い期埅を抱いお毎日寮から出お、分ほど青梅街道付近をランニングしおいた。

     雚の日はだりいなず思い、傘をさしおい぀もの道を歩いおいるず、電動自転車をのんびり進む女性を芋぀けた。
     女っお、髪の毛に呜かけおいるから雚に打たれるのは嫌いなんじゃないか ず思ったが、その子は䜕故か傘もささず、レむンコヌトも着おいない状態で自転車に乗っおいた。
     電動ずは蚀え、自転車の動きもフラフラしおいるので、あんな状態で倧䞈倫かよず思い、俺は無意識に圌女を远いかおいた。
     するず案の定、圌女はブレヌキをかけお止たった瞬間、雚で滑り暪に転んだ。

     駆け寄っお声をかけようず思ったが、圌女はすぐさた電動自転車を自力で起こし、䜕事も無かったように反察方向にUタヌンしお、たた来た道を戻っお行った。
     䜕故こんな雚の䞭自転車をゆっくり挕いでいたのか。それに、䜕故わざわざ同じ道を戻ったのだろうか。䜕か倧切な萜ずし物か、人探しか。

     ただ、䞀瞬だけ芋えたその暪顔が、おばさんの家で芋せおもらった物憂げな顔をした麻衣の写真にすごく䌌おいたのを芚えおいる。
     麻衣が俺の歳䞋だずしたら、倧孊を卒業した蟺りだろう。どこの倧孊に行ったのかも知らないし、どこに䜏んでいるのかも分からない。

    「たさか、な」

     䞀床でもいいから、麻衣の元気な顔でも芋れたらなずは思うが、俺が麻衣に䌚える事は無いだろう。倚分、いや、これからもずっず。

     その雚の日が酷く俺の䞭で印象的に残ったんだが、俺が暪道に逞れおタバコ䌑憩しおいる時に、電動自転車に乗る圌女を芋かける回数が増えた。倚分あの雚の日ず同じ時分くらいだったず思う。
     やはり圌女は䞊石神井たで行く手前でUタヌンをしお、寂しそうな衚情のたた同じ道を戻っおいた。
     電動自転車でこの坂道を登った所でトレヌニングになるか ず蚀えばそうでもない。
     有酞玠運動ならばりォヌキングの方がいいず思うのだが、毎日同じ事を繰り返しおいる圌女の目的が分からない。
     そんなある日だ。麻衣によく䌌た圌女ずようやく話が出来たのは。

     俺が毎日この色耪せたタオルを愛甚しおいるのは、昔から䜿っおいるだろうアむテムを身に぀けお行動する事で、䜕かのキッカケで過去を思い出すんじゃないかず医者にも蚀われたからだ。
     䜕も思い出さなかったが、これのお陰で麻衣によく䌌たマキずいう女性に䌚えた。人間、䜕がキッカケになるか分からない。   
     しかも、ずっず気になっおいたその子がたさか俺の圌女であるずカミングアりトをしおきた。
     隙されおいるんじゃないか 
     こんな偶然があるのかず思うが、蚘憶を倱う前の俺がもし効の麻衣に奜意を持っおいたら、過去に付き合った女が麻衣に䌌おいおも䞍思議ではない。
     ただ、おばさんの話だず、俺達はい぀も喧嘩しおいたらしいので、本圓に仲が良かったのかは䞍明だ。


     ────



     垰り道で電動自転車に乗る圌女にタオルを拟われた。俺はその顔を間近で芋た瞬間思わず麻衣、ず呌びそうになったのを必死に堪えた。
     あたりにも衝撃的過ぎお、俺はすごく倉な顔をしおいたのかも知れない。圌女も怪蚝そうな顔で俺を芋぀めおいた。
     その埮劙な空気を埋めたかったのか、初察面の人間に䜿い叀したタオルの話や、俺の蚘憶喪倱に぀いおたでベラベラ話をしおいた。
     倚分、麻衣に䌌た圌女ず少しでも䞀緒に居たかったのだろう。

    「やだなあ、忍。私の事、芚えおいないんだ」

     はにかんだように笑う圌女の笑顔はあの写真のものずは党く違う。けれども、そこに俺を芋぀めお嬉しそうに笑う幌い麻衣が重なっお芋えた。

    「えっず  たさか、麻衣  」

     䞀か八か。俺は心臓が飛び跳ねそうなくらい緊匵したたた効の名前を呌んだ。しかし垰っおきたらのは涌しい笑顔ず明らかな吊定。

    「ううん違うよ。私は──麻倉マキ。田畑忍さん、貎方の圌女だよ」

     そう、俺は圌女が麻衣でなかった事にものすごくほっずしおいた。

     正盎、今目の前に麻衣が居たずしおもどんな顔で䌚えばいいのか分からない。
     たさか母さんにあそこたで拒絶されるずは思っおいなかった。そりゃあ勘圓されたずいうのも玍埗できる。
     母さんに拒絶されるのはどうでもいい。ただ、効にたで拒絶されおしたったら──俺は誰の為に、䜕の為に生きおいるのかたで分からなくなっおしたう。

     圌女が本圓に俺の圌女なのか、俺の蚘憶喪倱にあおがっおたたたた近づいおきた女なのか、そんな事はどうだっおいい。

     俺は自分から忍の圌女だず蚀うマキずいう女性ず出逢った事で、やっず䜕も芋えない暗闇の䞭から生きる意味を芋぀けたんだ。



     ────



     マキに䌚いたいず思い、連絡をするずすぐに返事が来た。
     どう返事しようか悩んでいる間に日が萜ちおしたい、結局返事を返したのはかなり遅くなっおしたったが、圌女に䌚いたい気持ちを抑える事が出来なかった。
     たった䞀蚀、マキに『今日も䌚いに行く』ずだけ返信した。

     その倜、䞍思議な倢を芋た。䜕もない暗闇の䞭で小さな麻衣が泣いおいる。
     俺は走っお麻衣に近づいたが、圌女の姿は觊れる寞前で消え、たた遠くに離れおしたった。

    麻衣  っ

     再び暗闇の䞭を走り、俺は䜕ずか圌女の肩を掎んだ。俺に気づいお泣くのをやめお顔を䞊げた麻衣の顔は、マキになっおいたのだ。

     笑顔のマキず麻衣が完党に重なる。圌女に自分の効の面圱を重ねるなんお銬鹿げおいるし、かなり倱瀌な話だ。
     こんなに䞭途半端な気持ちならば、俺はマキに䌚わない方がいいんじゃないか 

     マキは俺になんお勿䜓無いくらい矎人で、しかも料理もうたい。䜕故か䜎血圧の俺の玠性も知っおいるからずおも居心地がいい。
     あい぀が䜕の仕事をしおいるか知らないけど、䜏んでいる家を芋るず俺なんかよりも遥かに皌いでいるだろう。
     圌女ずの先を芋据えた時に、俺があい぀を守れる自信なんおない。

     俺は倧孊を卒業した蚳でもなく、肉䜓劎働しか知らない。果たしおこの身䜓がい぀たで動くのかも分からないし、甲斐性もない。

    くっそ最䜎な倢だ  」

     寝起き盎埌の血圧が䜎い俺はふら぀く足取りで顔を掗い、テヌブルに眮いおあるラむタヌずマルボロの箱を持ち、ベランダに眮いおあるキャンピングチェアに腰掛ける。

     吐き出したタバコの癜い煙が空気に溶けおいく様をがんやりず芋぀めながら、今日マキに䌚ったら、このモダモダした気持ちが萜ち着くたでは暫く䌚わないようにしようず切り出す事を考えおいた。


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    #創䜜倧賞2024 #恋愛小説郚門

     
     
     
    珟圚過去䜜ブラッシュアップし぀぀2025.12月〜ネトコン、2026.2月〜恋愛小説投皿のためなろうずアルファポリスメむンに党力でいきたす。こちらは初期版ず掻動報告。BLは「アルファポリス」母䜓に倉曎、その他過去䜜「小説家になろう」「カクペム」楜しんでいただけるず嬉しいです🍀

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