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第11章 プラむベヌトクレゞットず担保通貚⑊

    第節 QE埌垂堎ず流動性機胜の分化

    1 流動性䟛絊構造の倉化

    2008幎金融危機以前の金融システムでは、銀行バランスシヌトの拡倧を通じた信甚創造が流動性䟛絊の䞭心的圹割を担っおいた。銀行は貞出を行うこずによっお預金通貚を創造し、䌁業掻動や資産垂堎を支える通貚を䟛絊しおいた。

    しかし、2008幎金融危機は、この構造が倧きな䞍安定性を抱えおいるこずを明らかにした。危機埌には、バヌれルIIIをはじめずする自己資本芏制や流動性芏制が導入され、銀行に察しお、より厚い自己資本ず流動性耐性が求められるようになった。

    これらの芏制は、金融システム安定化のためには䞍可欠であったが、それは同時に、銀行が危機前のように倧芏暡なバランスシヌト拡倧を通じお流動性䟛絊を行うこずを難しくした。

    ここで重芁なのは、経枈党䜓に必芁な流動性需芁そのものが消滅したわけではないずいう点である。䌁業金融、蚌刞垂堎、デリバティブ垂堎、資産運甚垂堎などでは、䟝然ずしお巚倧な資金調達需芁が存圚しおいた。

    その結果、金融システムは、銀行の信甚創造のみを基瀎ずする流動性䟛絊構造から、新たな構造ぞず埐々に移行しおいくこずになる。


    2 QE埌垂堎ず流動性機胜の分化

    金融危機埌、䞭倮銀行は量的緩和政策QEを通じお、倧量の䞭倮銀行負債を䟛絊した。準備預金は急増し、決枈システム党䜓には最沢な決枈流動性が䟛絊されるようになった。

    しかし、QE埌垂堎では流動性䟛絊構造そのものが倉化し、決枈流動性だけでは流動性を捉えられなくなっおいった。

    埓来の金融システムでは、銀行の信甚創造によっお生成された預金通貚が、決枈機胜ず資金調達機胜の双方を担っおいた。しかし、QE埌垂堎では、この二぀の機胜が次第に分化しおいった。

    第䞀に、䞭倮銀行負債を基瀎ずする決枈流動性である。これは、準備預金や銀行預金を通じお、決枈システム党䜓の安定性を支える。

    第二に、レポ垂堎や担保垂堎を通じお䟛絊される資金調達流動性である。これは、担保を利甚するこずによっお短期資金ぞアクセスする胜力を意味する。

    珟代金融垂堎においおは、倧口金融取匕の倚くが担保を通じた資金アクセスによっお支えられおいる。レポ垂堎や蚌刞金融垂堎などでは、担保ずしお利甚可胜な資産が、流動性䟛絊構造を芏定するようになっおいる。

    この意味で、QE埌垂堎ずは、決枈流動性ず資金調達流動性が制床的に分化した垂堎ずしお理解するこずができる。


    3 QEず担保䞍足

    QE埌垂堎においお問題ずなったのは、決枈流動性が倧量䟛絊される䞀方で、資金調達機胜を支える安党担保が盞察的に䞍足した点にある。

    QEの䞋では、䞭倮銀行が倧量の囜債を賌入し、それを自らのバランスシヌトぞ吞収した。その結果、垂堎で担保ずしお利甚可胜な囜債は枛少し、安党担保の垌少化が進行した。これは、レポ垂堎に倧きな圱響を䞎えた。特定銘柄ぞの需芁集䞭、SC垂堎の逌迫、GC垂堎の歪みなどは、その兞型的な衚れである。

    もっずも、QEそのものの効果は認めなければならない。QEは、金融危機埌に決枈流動性を安定的に䟛絊するために重芁な圹割を果たした。

    しかし同時に、QEは、金融システムにおける流動性問題の重心を、通貚䟛絊䞍足から担保䞍足ぞ移行させる偎面も持っおいた。぀たり、QE埌垂堎では、「どれだけ通貚が存圚するか」だけではなく、「どのような担保を利甚しお資金ぞアクセスできるか」が、金融システムの安定性を巊右するようになったのである。


    4 シャドヌ担保ぞの䟝存

    安党担保䞍足の䞋で、垂堎は、CLO、プラむベヌトクレゞット、蚌刞化商品などを担保利甚する方向ぞ拡倧しおいった。

    これは、垂堎がQE埌の経枈環境ぞ適応する䞭で圢成した合理的構造である。実際、プラむベヌトクレゞット垂堎や蚌刞化垂堎は、䌁業買収、䞍動産投資、むンフラ投資など、倚様なリスクマネヌ䟛絊を支えおいる。

    本曞の問題意識は、シャドヌ担保やリスク投資垂堎そのものを吊定するこずにはない。

    問題は、本来はリスクマネヌ䟛絊のために存圚する資産矀が、同時に金融システム党䜓の資金調達流動性の基盀たで兌ねるようになっおいる点にある。この構造の䞋では、リスク資産䟡栌の倉動や信甚䞍安が、担保垂堎党䜓ぞ盎接波及しやすくなる。担保プレミアムやヘアカット率などの倉化が、資金調達胜力そのものを倧きく倉動させるためである。

    ぀たり、QE埌垂堎では、資金調達流動性が、その基盀を過倧な担保プレミアムを䌎うシャドヌ担保ぞ䟝存したたた拡倧しおいたのである。


    5  資金調達流動性の制床的基盀

    QE埌垂堎では、決枈流動性は䞭倮銀行の金融政策を通じお䟛絊される䞀方、資金調達流動性は、民間担保垂堎ぞ倧きく䟝存したたた拡倧しおきた。

    資金調達流動性は、金融システム党䜓の安定性にずっお極めお重芁であるにもかかわらず、その制床的基盀は十分に敎備されず、安党担保䞍足の䞋で、CLOやプラむベヌトクレゞットなどのシャドヌ担保が金融システム党䜓の担保基盀ずしお機胜するようになった。このため、担保プレミアムやヘアカット率の倉動が、資金調達流動性党䜓ぞ波及しやすい構造が圢成された。

    埓来の金融政策論では、流動性問題は䞻ずしお信甚通貚の䟛絊問題ずしお理解されおきた。しかし、レポ垂堎や蚌刞金融垂堎が金融システムの䞭心的重芁性を持぀ようになった珟代垂堎においおは、流動性ずは、信甚通貚が存圚するこずだけではなく、担保を利甚しお継続的に通貚ぞアクセスできる状態を意味するようになっおいる。

    したがっお、QE埌垂堎では、「信甚通貚を䟛絊するこず」ず「資金調達流動性を支える安定的な担保を垂堎に䟛絊するこず」を区別しお理解する必芁がある。

    信甚通貚は䞭倮銀行の金融政策によっお盎接䟛絊される。他方、安定的な担保の䟛絊は、担保垂堎の構造、担保資産の質、垂堎参加者の信認などによっお芏定される。すなわち、決枈流動性が䞭倮銀行によっお支えられるのに察し、資金調達流動性は、垂堎が安定的に利甚できる担保基盀の存圚によっお支えられるのである。

    このように、QE埌垂堎では、資金調達流動性を支える制床的基盀そのものが、新たな政策課題ずしお浮䞊しおいるのである。


    6 ベンチマヌク担保垂堎の構築

    本曞が提案する氞久倉動利付囜債およびPFRレポ垂堎は、この課題に察応するための制床的基盀ずしお構想されおいる。

    ここで重芁なのは、資金調達流動性の制床的基盀を支える䞻䜓ずしお、囜家の圹割が重芁になるずいう点である。QE埌垂堎においお、囜家に求められるのは、第䞀に、垂堎が安定的に利甚できるベンチマヌク担保を䟛絊するこずである。第二に、その担保が継続的に回転し、危機時にも垂堎機胜が維持されやすい垂堎構造を敎備するこずである。さらに第䞉に、その担保に察する信甚を維持し、垂堎が継続的に受容できる状態を支えるこずである。

    本曞が提案する最適担保ずしおの氞久倉動利付囜債は、この䞉぀の条件を前提ずしお構想されおいる。たた、本曞が構想するPFRレポ垂堎は、氞久倉動利付囜債を基瀎ずしお、担保の継続的再利甚を通じた資金調達流動性を圢成する垂堎ずしお䜍眮づけられる。

    氞久倉動利付囜債ずPFRレポ垂堎の創蚭は単なる囜債制床の改革ではない。本曞が構想するのは、QE埌垂堎においお重芁性を増した資金調達流動性に察しお、それを安定的に支えるベンチマヌク担保垂堎を構築するこずである。

    QE埌垂堎では、決枈流動性は䞭倮銀行によっお倧量に䟛絊されるようになった。しかしその䞀方で、資金調達流動性は、安党担保䞍足の䞋で、シャドヌ担保ぞの䟝存を匷めながら拡倧しおきた。その結果、リスク資産䟡栌の倉動や信甚䞍安が、資金調達流動性そのものを䞍安定化させやすい構造が圢成されたのである。

    氞久倉動利付囜債ずPFRレポ垂堎は、この構造を再線するための制床的基盀ずしお䜍眮づけられる。すなわち、金融システム党䜓に必芁な資金調達流動性を、シャドヌ担保ぞの䟝存ではなく、囜家信甚に基づくベンチマヌク担保垂堎によっお支える構造ぞ移行させるのである。

    これは、シャドヌ担保を排陀する構想ではない。むしろ、金融システム党䜓に必芁な資金調達流動性の確保をベンチマヌク担保垂堎によっお支えるこずによっお、プラむベヌトクレゞットやCLOなどのリスク投資垂堎を、本来のリスクマネヌ䟛絊機胜ぞ䜍眮づけ盎す詊みである。

    このように、QE埌垂堎における䞭心課題ずは、決枈流動性ず資金調達流動性が分化した金融システムの䞋で、資金調達流動性を支える制床的基盀をいかに構築するかにある。そしお、本曞が提案する氞久倉動利付囜債ずPFRレポ垂堎は、そのための䞀぀の制床蚭蚈を提瀺するものなのである。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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