
眠れない夜のお話「夕暮れの砂浜、人の少ない海辺」
夜眠れないときに。
眠れずにスマホでここにたどり着いた方へ。
あなたが眠くなり、スマホを閉じることができるようなお話をご準備しました。
このお話は、読むのではなく、絵と文字を同時に、ゆっくりと「ながめて」ください。
そしてあなたがこの風景の中にいることを、ぼんやり思い浮かべてください。
Edited by REI / with support from ChatGPT, Image generated with Canva「夕暮れの砂浜、人の少ない海辺」

砂浜には、人影がまばらでした。広がる砂の表面は、昼の熱をゆっくり失っていて、ところどころに淡い影が落ちています。
空は西の端から少しずつ赤みを帯び、その赤はやがて橙色へと広がり、さらに紫が滲むように混ざり合っていました。
波際では光が柔らかく反射し、まるで水面そのものが空の色を吸い込んでいるようでした。
寄せては返す波の動きは変わらず、砂に薄い線を描き、その線はまた次の波に消されていきます。
遠くを歩く人の姿は小さく、影のように砂浜に伸びていました。その足跡が点々と続き、濡れた砂の上に淡く刻まれます。
足跡はしばらく形を保ちますが、ゆるやかな波がそこに届くと、輪郭がにじみ、やがて平らに溶けていきました。

残されたのは濡れた砂の滑らかな面と、そこに揺れる夕日の光だけです。足跡が消えるたびに、その存在すら最初からなかったかのように見えていきました。
浜辺の端には、流木や貝殻が集まっていました。流木は長い年月をかけて波に削られ、角が丸みを帯び、灰色がかった表面になっています。

貝殻は白や薄い桃色を帯び、欠けているものもあれば、形をそのまま保っているものもあります。
どれも波の跡に取り残されるように散らばり、濡れた砂の上で光を受けていました。人の手に拾われることもなく、ただそこにあるまま、次の波を待っているように見えました。
空には、一羽の鳥が旋回していました。大きな羽を広げ、ほとんど羽ばたくことなく、ゆっくりと円を描くように滑空していきます。

羽音は聞こえず、ただその影だけが、砂浜の上に細い線を描いては消えていきました。海辺を渡る風は穏やかで、頬に触れる程度の弱さでした。
その風は潮の匂いを含み、どこからともなく寄せてきては、すぐに静かに遠ざかっていきました。
砂浜に座っていると、波の音と空の色とが一つに重なり合っていくのがわかります。波は寄せるたびに小さな泡を作り、その泡がはじける音はほとんど耳に届かないほど微かです。

その繰り返しが、意識の輪郭をゆるやかにほどき、心を静かに沈めていきます。
空は刻一刻と色を変え、橙から紫へ、そして群青へと移りながら、砂浜全体を包み込みます。
世界は音と光だけに満たされ、それに身を委ねているうちに、自分の存在すらその中に溶けてしまうように感じられました。
やがて、現実の輪郭は遠のき、ただ規則正しい波と色の揺らぎだけが、深く静かな流れとなって続いていきました。