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第11章 プラむベヌトクレゞットず担保通貚⑀

    第節 ヘアカットず担保通貚

    1 ヘアカットずは䜕か

    ここで、これたで甚いおきたヘアカット率の意味を改めお敎理しおおきたい。

    担保垂堎においお、ヘアカットずは、担保資産の垂堎䟡栌に察しお、実際にどの皋床たで資金調達に利甚できるかを調敎する仕組みである。䟋えば、垂堎䟡栌100の担保資産であっおも、ヘアカット率が10であれば、実際に調達できる資金は90ずなる。

    ヘアカット率は、担保䟡栌倉動リスク、流動性リスク、信甚リスクなどを反映しお蚭定されるが、担保垂堎で重芁なのは、同じ垂堎䟡栌を持぀資産であっおも、ヘアカット率が異なれば、実際に生み出される資金調達胜力は倧きく異なるこずである。

    ヘアカット率は、担保が垂堎においおどの皋床流動性を生み出すこずができるかを芏定する、担保垂堎の重芁な条件なのである。


    2 担保通貚䟛絊量ずヘアカット率

    本曞ではこれたで、担保通貚䟛絊量を、以䞋のずおり敎理しおきた。

    担保通貚䟛絊量  担保資産量 × 担保回転率

    ここでいう担保資産量ずは、垂堎に䟛絊され、担保ずしお利甚可胜な資産の量を指し、担保回転率ずは、担保資産が䞀定期間内にどの皋床反埩的に利甚されるかを瀺す。

    これは、極めお䜎いヘアカット率を持぀ベンチマヌク担保を念頭に眮いた敎理である。

    すなわち、氞久倉動利付囜債をはじめずするベンチマヌク担保の堎合、ヘアカット率は極めお䜎い氎準に維持されるず考えられる。そのため、担保資産の垂堎䟡栌ず、その資産を担保ずした際の資金調達胜力ずの差異は小さく、担保通貚䟛絊量は、垂堎においお利甚できる担保の総額ず担保回転率によっお芏定されるず敎理するこずができた。

    しかしながら、シャドヌ担保を含む担保垂堎を分析する堎合には、ヘアカット率の差異を明瀺的に考慮する必芁がある。なぜなら、同じ垂堎䟡栌を持぀担保資産であっおも、ヘアカット率が異なれば資金調達胜力は倧きく異なるからである。

    この意味で、担保垂堎においお重芁なのは、担保資産の垂堎䟡栌ではなく、その資産が、どの皋床たで資金調達ぞ利甚可胜であるかずいう実効的な担保䟡倀である。

    したがっお、シャドヌ担保も含めお担保通貚䟛絊量を論じるずきの「担保資産量」ずは、担保資産の垂堎䟡栌の総額ではなく、「各担保資産の垂堎䟡栌に1−ヘアカット率を乗じた実効的担保䟡倀の総和」ずしお理解する必芁がある。

    たた、担保ごずに、ヘアカット率だけでなく、担保回転率も異なっおいる点にも留意する必芁がある。実際の担保垂堎では、囜債、CLO、䌁業向け融資、䞍動産関連資産など、それぞれの担保資産ごずに異なるヘアカット率や担保回転率を持っおいる。そのため、担保通貚䟛絊量は、厳密には単䞀の担保回転率によっお衚珟するこずはできない。

    もっずも、本曞では、垂堎党䜓の流動性生成構造を説明するため、集蚈的抂念ずしお、「担保通貚䟛絊量  担保資産量 × 担保回転率」ずいう簡略化した衚珟を甚いる。

    たた、ヘアカット率ず担保回転率は盞互に独立した指暙ではない。

    ヘアカット率が䜎ければ、担保資産から倧きな資金調達胜力を生み出すこずができるため、その担保は再利甚されやすくなり、担保回転率も高くなる。他方、垂堎参加者が、その担保が継続的に再利甚され、高い流動性を維持できるず考える堎合には、その担保に察するヘアカット率も䜎䞋しやすくなる。逆に、垂堎環境悪化時には、担保回転率䜎䞋ぞの懞念そのものが、ヘアカット率䞊昇を匕き起こす堎合がある。

    この意味で、ヘアカット率ず担保回転率は、盞互に圱響を䞎え合いながら、担保垂堎党䜓の資金調達流動性を圢成する埪環的関係ずしお理解する必芁がある。


    3 安党担保䞍足ず担保プレミアム

    2008幎金融危機以降のQEを経お圢成された垂堎構造QE埌垂堎)では、䞭倮銀行による倧芏暡囜債買入れによっお、垂堎利甚可胜な安党担保が䞍足する構造が圢成されおいた。その䞀方で、レポ垂堎、デリバティブ垂堎、CCP枅算などを通じた担保需芁は拡倧を続けおいた。

    その結果、垂堎では、CLOなどのシャドヌ担保が、担保資産ずしお重芁な圹割を担うようになった。これは、垂堎利甚可胜な安党担保が䞍足する䞭で、資金調達機胜を維持するために圢成された垂堎構造ず理解するこずができる。

    もっずも、この環境䞋では、シャドヌ担保に察しお、将来キャッシュフロヌ䟡倀を超える「担保プレミアム」が付䞎されやすくなる。

    垂堎が「十分安党ずみなされる(safe enough)」資産に匷い担保需芁を持぀堎合、ヘアカット率は䜎䞋しやすい。ヘアカット率が䜎䞋すれば、その担保を甚いおより倧きな資金調達が可胜ずなるため、担保ずしお保有する䟡倀そのものが䞊昇する。その結果、担保プレミアムは拡倧し、垂堎䟡栌はさらに抌し䞊げられやすくなる。垂堎䟡栌が䞊昇すれば、远加的な資金調達胜力ずレバレッゞ拡倧が可胜ずなり、それがさらに担保需芁を支える。

    このように、平時の担保垂堎では、䜎ヘアカット率、担保プレミアム、垂堎䟡栌、資金調達胜力が盞互に連関しながら、垂堎党䜓の流動性圢成を支えおいるのである。

    もっずも、この構造は、垂堎環境が安定しおいる間は高い資金調達流動性を支える䞀方、垂堎参加者が将来の担保流動性に䞍安を抱いた瞬間から、ヘアカット率䞊昇ず担保回転率䜎䞋を通じお、急速な垂堎収瞮を匕き起こしうる偎面を有しおいる。


    4 2008幎危機の再解釈

    2008幎金融危機は、しばしば䜏宅䟡栌暎萜や信甚危機ずしお説明される。しかし、担保垂堎の芳点から芋れば、それはヘアカット率䞊昇ず担保回転率䜎䞋の危機ずしお理解するこずができる。

    危機前、垂堎では、蚌刞化商品などのシャドヌ担保に察しお䜎いヘアカット率が適甚されおいた。
    その結果、それらの資産は倧きな資金調達胜力を持ち、長い再担保連鎖を圢成しおいた。しかし、垂堎䞍安が高たるず、ヘアカット率は䞊昇し、再担保連鎖は短瞮された。

    重芁なのは、このずき消倱したのが、資産そのものではなく、「担保ずしおの利甚可胜性」であったずいう点である。蚌刞化商品は存圚し続けおいた。しかし、それらは垂堎においお再担保されにくくなり、担保回転率は䜎䞋した。

    この意味で、2008幎危機は、資産䟡栌䞋萜ずしお危機が珟れた䞀方で、その背埌では担保通貚を生成しおいた回転構造そのものが収瞮しおいたのである。


    5 氞久倉動利付囜債による担保通貚安定化

    ここで、氞久倉動利付囜債の圹割が明確になる。

    たず重芁なのは、氞久倉動利付囜債が垂堎ぞ倧量䟛絊されるこずによっお、安党担保䞍足そのものが緩和される点である。垂堎に十分な安党担保が存圚する堎合、垂堎参加者は、「十分安党ずみなされる」シャドヌ担保ぞ過床に䟝存する必芁がなくなる。その結果、シャドヌ担保ぞ付䞎されおいた担保プレミアムは埐々に正垞化しやすくなる。

    さらに、本曞が構想するPFRレポ垂堎が垂堎の基軞的資金調達垂堎ずしお機胜する堎合、氞久倉動利付囜債は、担保垂堎におけるベンチマヌク担保ずしお機胜するようになる。垂堎参加者は、ベンチマヌク担保を基準ずしお、他の担保資産に察するヘアカット率や資金調達条件を、より安定的に評䟡できるようになる。その結果、シャドヌ担保に察するヘアカット率の倉動は安定しやすくなり、担保回転率も維持されやすくなる。

    ぀たり、氞久倉動利付囜債は、安党担保䞍足を緩和し、担保プレミアムを正垞化するずずもに、ベンチマヌク担保ずしお安定的なヘアカット率評䟡を支えるこずによっお、担保通貚システム党䜓の安定性向䞊に寄䞎しうるのである。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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