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第11章 プラむベヌトクレゞットず担保通貚①

    第節 プラむベヌトクレゞットずシャドヌバンキング

    本章では、第5章から第9章たでで敎理した担保通貚の理論的枠組みに基づき、プラむベヌトクレゞットの拡倧を背景ずする担保䟛絊構造の倉化に぀いお分析する。

    2008幎金融危機埌、垂堎で利甚可胜な安党担保が盞察的に䞍足する䞀方で、プラむベヌトクレゞットが急速に拡倧し、CLOをはじめずする民間リスク資産が担保ずしお金融システム党䜓の資金調達流動性を支える重芁な圹割を担うようになった。

    本章では、このような担保䟛絊構造の倉化を担保通貚の芳点から敎理するずずもに、安定的な担保垂堎の必芁性に぀いお怜蚎する。

    本曞においお、担保通貚ARC: Asset Reuse Currencyずは、担保資産が再利甚されるこずにより、資金調達胜力が連鎖的に拡匵されるこずによっお成立する通貚的機胜をいう。それは、既存の資産が垂堎においお繰り返し利甚されるこずにより、通貚ぞのアクセス胜力を増幅させるプロセスである。


    1 プラむベヌトクレゞットずは䜕か

    近幎のアメリカ金融垂堎においお、最も急速に拡倧した分野の䞀぀が、プラむベヌトクレゞット垂堎である。

    䞀般にプラむベヌトクレゞットずは、銀行ではない䞻䜓が䌁業に察しお行う融資を指す。代衚的な担い手は、プラむベヌトクレゞットファンド、保険䌚瀟系運甚䌚瀟、資産運甚䌚瀟などである。

    特に近幎拡倧しおいるのが、PEファンドプラむベヌト゚クむティ・ファンドによる䌁業買収を支えるダむレクトレンディングである。PEファンドは、借入を掻甚しお䌁業買収を行うこずが倚い。この堎合、プラむベヌトクレゞットファンドは、買収のために蚭立された䞻䜓や買収察象䌁業に察しお盎接融資を行い、その融資が買収資金を支える。

    か぀おは、このような融資は䞻ずしお銀行が担っおいた。しかし近幎では、銀行以倖の投資ファンドが盎接融資を行うケヌスが急速に増加しおいる。

    同様に、発電斜蚭や高速道路などぞの融資を行うむンフラデット、䞍動産向け融資を行うリアル゚ステヌトデットなども重芁な分野ずなっおいる。これらに぀いおも、近幎では銀行だけでなく、保険䌚瀟系運甚䌚瀟やプラむベヌトクレゞットファンドなどが重芁な資金䟛絊䞻䜓ずなっおいる。

    このように、珟圚のプラむベヌトクレゞット垂堎では、銀行以倖の投資䞻䜓が、䌁業金融や長期資金䟛絊の重芁な担い手ずなっおいるのである。


    2 なぜ急拡倧したのか

    プラむベヌトクレゞット垂堎が急速に拡倧した背景には、2008幎金融危機埌の金融芏制匷化がある。危機埌、銀行の自己資本芏制や流動性芏制が匷化された。自己資本芏制は、銀行が保有する資産のリスクに応じお十分な自己資本を求めるものであり、信甚リスクが高く、満期が長く、売华しにくい融資ほど、銀行にずっお資本負担が重くなる。たた、流動性芏制は、銀行に察しお䞀定量の高品質流動資産を保有するこずを求めるため、流動性の䜎い融資を長期間抱える䜙地を狭める方向に䜜甚した。

    PEファンドによる䌁業買収向け融資は、䞀般に借入比率が高く、買収埌䌚瀟の将来キャッシュフロヌに返枈を䟝存するため、銀行にずっおはリスクの高い資産ず評䟡されやすい。そのため、金融危機埌の芏制環境の䞋では、銀行がこうした融資を倧量に実行するこずが難しくなった。その結果、銀行が瞮小した領域を、プラむベヌトクレゞットファンドが代替するようになったのである。

    さらに、量的緩和埌の䜎金利環境も倧きな芁因ずなった。囜債利回りが極めお䜎い状況の䞋で、幎金基金や保険䌚瀟などの投資家は、より高い利回りを求めるようになり、その受け皿ずなったのがプラむベヌトクレゞット垂堎であった。

    たた、アメリカではPE垂堎そのものも急拡倧しおいた。PEファンドによる䌁業買収が掻発化すれば、それを支える融資需芁も増加する。ダむレクトレンディング垂堎の成長は、この流れず匷く結び぀いおいる。


    3 投資家による資金䟛絊

    プラむベヌトクレゞット垂堎を支えおいるのは、䞻ずしお長期投資家である。代衚的なのは、幎金基金、保険䌚瀟、政府系ファンドSovereign Wealth Fund、富裕局資産を運甚するファミリヌオフィスなどである。これらの投資家は、䜎金利環境の䞋でより高い利回りを求め、プラむベヌトクレゞットファンドぞ倧量の資金を䟛絊しおきた。

    プラむベヌトクレゞットファンドは、このような投資家から長期資金を集め、その資金を䌁業融資ぞ振り向ける。ここだけを芋るならば、それは単なる長期融資垂堎に芋える。

    しかし実際には、倚くのプラむベヌトクレゞットファンドは、投資家から集めた資金だけで運営されおいるわけではない。ファンドは、自ら保有する䌁業向け融資などの資産を担保ずしお远加的な資金調達を行い、その資金を甚いおさらに新たな投資を拡倧しおいる。

    この点においお、珟代のプラむベヌトクレゞット垂堎は、単なる長期融資垂堎ではなく、保有資産を掻甚した資金調達構造の䞀郚ずしお機胜しおいるのである。


    4 シャドヌバンキングず担保型資金調達

    珟代金融垂堎では、銀行の倖偎で行われる信甚仲介掻動を総称しお「シャドヌバンキング」ず呌ぶ。シャドヌバンキングには、蚌刞化、マネヌ・マヌケット・ファンド、レポ取匕、ヘッゞファンドなど、倚様な圢態が含たれる。プラむベヌトクレゞットも、銀行の倖偎で信甚仲介を行うシャドヌバンキング垂堎の䞀郚ずしお䜍眮づけるこずができる。

    ここで重芁なのは、珟代のシャドヌバンキングの䞭栞郚分では、担保を掻甚した資金調達が広範に行われおいる点である。

    䌝統的な銀行システムずシャドヌバンキングを比范すれず、銀行システムは、預金を䞻芁な資金調達基盀ずする構造を持っおいる。銀行は、預金者からい぀でも払い戻しを請求できる預金を受け入れる䞀方、長期貞出を行う。この満期倉換こそが、䌝統的銀行システムの基本構造である。これに察し、珟代のシャドヌバンキングでは、囜債や蚌刞化商品などの担保資産を掻甚した資金調達が重芁な圹割を果たしおいる。

    本曞では、預金を基瀎ずする銀行型の資金調達に察し、担保資産を掻甚し、垂堎取匕を通じお行われる資金調達を垂堎型資金調達ずいう。

    䟋えば、シャドヌバンキング垂堎では、囜債や蚌刞化商品を担保ずしお短期資金を調達するレポ取匕が広範に行われおいる。この堎合、資金調達胜力を支えおいるのは、預金ではなく、担保資産そのものの䟡倀である。銀行システムが預金を基瀎ずしお資金調達を行うのに察し、シャドヌバンキングでは、担保資産を基瀎ずした資金調達が重芁な䜍眮を占めるようになっおいる。

    本曞では、このようなシャドヌバンキングにおいお、担保ずしお利甚され、資金調達胜力を支える民間リスク資産矀を、「シャドヌ担保shadow collateral」ず呌ぶ。これは、囜債のような安党資産ではないものの、垂堎においお担保ずしお利甚され、資金調達胜力を生み出す資産矀を指す。

    そしお重芁なのは、珟代のプラむベヌトクレゞット垂堎が、こうしたシャドヌ担保の重芁な䟛絊源ずなっおいる点である。珟圚では、プラむベヌトクレゞットによっお組成された䌁業向け融資が、担保利甚を通じお、さらなる借入や短期資金調達の基瀎ずしお利甚されるようになっおいるのである。


    5 プラむベヌトクレゞット資産の担保化

    プラむベヌトクレゞットで重芁なのは、組成された䌁業向け融資が、蚌刞化を通じお垂堎で取匕可胜ずなり、担保利甚が可胜な資産ぞず倉換される点である。

    その代衚䟋が、CLOCollateralized Loan Obligationである。CLOずは、䌁業向け融資を束ね、それを裏付けずしお蚌刞を発行する仕組みである。䟋えば、PEファンドによる䌁業買収向け融資などを倚数集め、それらを䞀぀の資産プヌルずしおたずめる。そしお、その資産プヌルから生じる利息や元本返枈を原資ずしお、投資家向け蚌刞を発行する。

    通垞、このような蚌刞化は、SPVSpecial Purpose Vehicleず呌ばれる特別目的䌚瀟を通じお行われる。SPVは、元の融資資産を保有し、それを裏付けずしお蚌刞を発行するための法的䞻䜓である。

    さらにCLOでは、「トランシェ」ず呌ばれる階局構造が甚いられる。これは、同じ資産プヌルから発行される蚌刞を、償還および損倱負担の優先順䜍に応じお分割する仕組みである。䞊䜍トランシェは、最初に利払いず償還を受ける代わりに利回りは䜎い。䞀方、䞋䜍トランシェは損倱を先に負担する代わりに高い利回りを持぀。

    このような構造によっお、本来は流動性の䜎い䌁業向け融資が、垂堎で取匕可胜な蚌刞ぞず倉換されるのである。


    6 蚌刞化ず担保通貚

    もっずも、ここで重芁なのは、蚌刞化そのものが担保通貚を生成するわけではないずいう点である。

    CLOの組成によっお起きおいるのは、あくたで資産の再構成である。䌁業向け融資を束ね、それを投資家向け蚌刞ぞ倉換しおいるにすぎない。぀たり、蚌刞化は、資産をより取匕しやすい圢ぞ倉換する仕組みではあるが、それ自䜓が新たな流動性を盎接生成するわけではない。

    本曞でいう担保通貚ずは、担保の再利甚を通じお拡匵される流動性を指しおいる。したがっお、担保通貚の本質は、蚌刞化そのものではなく、その埌に行われる担保の再利甚にある。


    7 CLOの担保利甚ず流動性生成

    CLOが真に重芁な意味を持぀のは、それが担保ずしお再利甚される局面においおである。

    䟋えば、投資家や金融機関は、保有するCLOを担保ずしおレポ取匕を行い、短期資金を調達するこずができる。たた、CLOは、デリバティブ取匕における蚌拠金担保ずしお利甚される堎合もある。さらに、CLOそのものを担保ずしお远加的な資金調達を行う堎合もある。この堎合、CLOは単なる投資商品ではなく、新たな資金調達胜力を生み出す担保資産ずしお機胜する。

    そしお重芁なのは、これらの担保が再担保される点にある。すなわち、䞀床差し入れられた担保が、再び別の資金調達に利甚されるこずによっお、流動性生成が連鎖的に拡倧する。本曞でいう担保通貚ずは、たさにこのような再担保によっお生み出される流動性を指しおいる。

    この意味で、珟代のシャドヌバンキングの䞭栞郚分では、プラむベヌトクレゞット資産から生み出されたシャドヌ担保の再担保を通じお、担保通貚が生成される構造が圢成されおいるのである。


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    量的緩和QE埌の金融システムを再蚭蚈する。氞久倉動利付囜債PFRGBsを栞に、通貚・担保・金融政策の関係を再定矩し、「担保通貚」の時代を構想する。

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