
なぜ三浦半島で一般社団法人を立ち上げたのか。SOIL&CO.が目指す挑戦の土壌
一般社団法人三浦半島まちづくり機構SOIL&CO.を立ち上げた理由は、法人を作りたかったからではない。
地域で生まれた挑戦や関係性を、一過性のプロジェクトで終わらせたくなかった。今回は、SOIL&CO.を立ち上げるまでの経緯と、これから三浦半島で育てたい土壌について整理しておきたい。
SOIL&CO.を立ち上げた
2026年6月1日、神奈川県の三浦半島で活動する仲間たちと、
一般社団法人SOIL&CO.を設立した。
ただ、会社や法人を作ること自体が目的ではない。
設立しました。頑張ります。
だけで終わらせるのも、少し違う気がしている。
なぜこの法人を立ち上げることになったのか。
なぜ三浦半島なのか。
そして、これから何を育てていきたいのか。
せっかくなので、自分自身の整理も兼ねて、記録として残しておきたい。
SOIL&CO.は、三浦半島で活動する5人による組織である。
この5人は、もともとNPO法人ETIC.さんが実施していた地域コーディネーター養成講座や、すきまちという起業支援プロジェクトを通じて出会ったメンバーでもある。
最初から法人を作ろうとして集まったわけではない。
会社員もいれば、個人事業主もいる。地域活動に関わっている人もいる。
それぞれ立場は違うが、共通していたのは、三浦半島で何かをやりたいという感覚だった。
この何かという曖昧さは、悪いものではなかったと思っている。
むしろ、最初から正解が決まっていなかったからこそ、それぞれが現場に出て、対話しながら、自分たちなりの役割を見つけていった。
地域で何かを始める時、
最初から完璧な事業計画や明確なビジョンがあるとは限らない。
もちろん、計画は大事である。
ただ、それ以上に大事なのは、まず現場に入り、実際に人と出会い、違和感や可能性を自分の中に蓄積していくことだと思っている。
講座で終わらず、現場に出たこと(アウトプットがやはり大事)
講座を受けて終わりではなかった。
その後、実際に地域コーディネーターとして、様々なプロジェクトに関わることになった。
人をつなぎ、対話を生み出し、企画を作り、実践する。地域の現場では、机上で考えた通りに進まないことの方が多い。
相手の事情もある。
地域の文脈もある。
行政の仕組みもある。
事業者の都合もある。
住民それぞれの感情もある。
だからこそ、地域の仕事は難しい。
ただ、その難しさの中にこそ、学びがあると思っている。
振り返ると、不思議な流れだった。
起業支援プロジェクトに参加し、地域コーディネーター養成講座を受け、実際の現場で経験を積み、最後は自分たちで組織を立ち上げる。
流れだけ見ると、綺麗に設計された一本道のようにも見える。
ただ実際には、そんなに整った話ではない。
声が掛かった時に手を挙げ、面白そうだと思ったことに関わり、失敗もしながら現場に出続けてきた。その積み重ねが、結果として今回の設立に繋がった。
最近、よく思うことがある。
チャンスは平等に存在しているように見えて、実は枠数に限りがある。
誰にでも情報は届く。
誰にでも参加する機会はある。
誰にでも手を挙げる余地はある。
ただ、実際にその場に入れる人数は限られている。
そのタイミングで動けるか。
声が掛かった時に手を挙げられるか。
挑戦する準備ができているか。
一緒に走れる仲間と出会えるか。
結局は、そこなのだと思う。
運とタイミングって大事。
自分たちも、何か特別な資格があったわけではない。
面白そうだから参加した。
声が掛かったからやってみた。
失敗しながらも現場に出続けた。
その一つひとつは小さな選択だったが、後から振り返ると、その選択の積み重ねが大きな分岐になっていた。
共通していた問い
独立してからの1年は、地域、企業、行政、教育現場を行き来する時間だった。
一見すると、ローカルブランディング、AI活用、人材育成、コミュニティづくり、要件定義、思考整理など、バラバラなことをしているように見えるかもしれない。
ただ、自分の中ではすべて繋がっている。
共通しているのは、人が主体的に動ける状態をどう作るか、という問いだった。
最近はAIの話題が多い。
ただ、本質的にはAIそのものではなく、それを使って何を考え、何を実践するかの方が重要だと思っている。
地域課題も同じである。
誰かが正解を持っていて、それを教えてもらえば解決する時代ではなくなっている。
人口減少や少子高齢化、働き方の変化、価値観の多様化、そしてAIによる産業構造の変化。これまで当たり前だと思われていた前提が、あらゆる場所で揺れ始めている。
だからこそ必要なのは、正解を探す人ではなく、問いを立てられる人だと思う。
自分で考える。
仲間と対話する。
小さく実践する。
失敗しながら修正する。
そういう人や場を増やしていきたい。
SOIL&CO.としても、挑戦が特別なことではなく、日常として根付くまちへ、という考え方を大事にして活動していきたいと思っている。
行政予算だけでは続かない
活動を続ける中で、ずっと気になっていたことがある。
これまで関わってきた事業の多くは、行政予算を活用したプロジェクトだった。
もちろん、行政事業には大きな意義がある。
地域に新しい挑戦を生み出すきっかけにもなる。普段なら出会わない人同士が繋がることもある。新しいプレイヤーが地域に関わる入口にもなる。
自分自身も、そこから多くの機会を得てきた。
ただ、予算には必ず終わりがある。
どれだけ良い取り組みでも、制度変更や予算終了によって終わってしまうことは珍しくない。
そのたびに、積み上げてきた知見や関係性が途切れてしまう。
それが、あまりにも勿体ないと感じていた。
せっかく地域にプレイヤーが増えた。
挑戦する人も生まれた。
関係性もできた。
実践知も蓄積された。
それなのに、事業が終わると全てがゼロに戻ってしまう。
これは地域づくりにおける大きな課題だと思う。
もちろん、行政に頼ることが悪いわけではないし
将来の自走化を簡単に言うが、そんな簡単な事ではない。
行政だからできることもある。
公共性があるから開ける場もある。
予算があるから生まれる機会もある。
ただ、それだけに依存してしまうと、事業が終わった瞬間に活動も終わってしまう。
だからこそ、自分たちで受け皿を持ちたいと思った。
行政とも連携する。
地域企業や事業者とも連携する。
必要であれば自主事業も行う。
地域の中で、少しずつ自走していける仕組みを作る。
今回の法人設立には、そんな意図も含まれている。
法人設立で大事だったこと
設立までの流れを振り返ると、手続きそのものは意外と難しくなかった。
もちろん、定款や登記、役割分担など、細かな準備は必要だった。
ただ、それ以上に大事だったのは、誰とやるかだった。
法人は、作ることより続けることの方が圧倒的に難しい。
だから、スキルや肩書きだけではなく、価値観を重視した。
ありがたいことに、設立メンバーとは既に複数のプロジェクトを一緒に走ってきた。
お互いの得意不得意も知っている。考え方の癖も、動き方の違いも、ある程度わかっている。何より、一緒に現場を経験してきた。
これは大きい。
会議室で理念だけを話している関係性ではない。
現場でうまくいかなかったことも、想定通りに進まなかったことも、地味な調整が必要なことも、それぞれが体験している。
だからこそ、法人を作るという判断にも現実感があった。
そして全員が兼業型でもある。
この法人だけで生活しているわけではないからこそ、短期的なお金やポジション争いが起きにくい。
まず地域にとって必要か。
面白いか。
意味があるか。
新しい挑戦になるか。
そこから議論を始められる。
これは小さいようで、大きな強みだと思っている。
なぜ三浦半島なのか
理由はシンプルで、この地域に可能性を感じているからである。
メンバーそれぞれが、すでに三浦半島で活動してきた。実際にこのエリアに住んでいるメンバーが多い。地域の人や事業者との関係性も、少しずつ生まれてきた。
ただ、それだけではない。
三浦半島には、都市とローカルの間にある独特の距離感がある。
東京ほど大きすぎず、地方ほど閉じてもいない。都市部からも近い一方で、海や山、農業、漁業、暮らしの手触りが残っている。
この中途半端さが、むしろ面白い。
人口減少もある。
空き家もある。
高齢化もある。
担い手不足もある。
課題は山ほどある。
一方で、面白いプレイヤーも多い。挑戦する人もいる。
まだ完成されていない地域でもある。
だからこそ、余白がある。
この余白こそが、可能性だと思っている。
完成された場所、閉ざされた場所では、
新しい挑戦が入り込む隙間は少ない。
でも、未完成だからこそ、関われる。
未完成だからこそ、つくれる。
未完成だからこそ、自分たちの手で少しずつ変えていける。
そこに、三浦半島の面白さがある。
SOILという名前に込めたこと
SOILには、土壌という意味がある。
良い植物は、良い土壌からしか育たない。
それは人も同じだと思う。
地域も同じだと思う。
組織も同じだと思う。
いきなり大きな成果を求めても、土壌がなければ続かない。
人が出会うこと。
対話が生まれること。
小さく試せること。
失敗しても、またやり直せること。
誰かの挑戦を、別の誰かが応援できること。
そういう土壌があって、初めて挑戦は育つ。
派手なことをやりたいわけではない。
だが、綺麗ごとで終わらせたくもない。
競争によって誰かが勝つ地域ではなく、共創によってみんなが前に進める地域へ。
まずは足元の地域で、人が出会い、学び、挑戦できる土壌を育てること。
その積み重ねが、次の世代や地域の可能性に繋がっていくと信じている。
最後に
SOIL&CO.は、そのための小さなスタートである。
地域の課題を、誰かが解決してくれるのを待つのではなく、自分たちの足元から問いを立て、仲間と対話し、小さく実践していく。
その動きを、三浦半島から少しずつ育てていきたい。
挑戦は、特別な人だけのものではない。
でも、挑戦が生まれ続けるには、土壌がいる。
人が出会い、学び、実践し、また地域に還元していく。
そんな循環を、これからSOIL&CO.としてつくっていきたい。
まずは三浦半島から。
ここからまた、新しい実験と挑戦を始めていこうと思う。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
このnoteでは、ローカルブランディング、AI活用と教育、地域での実践、要件定義と思考整理をテーマに、現場で得た一次情報を中心に発信しています。
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