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Photo byyui_ma

朝を憎んでいた私が、朝を憎たなくなるたで

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    産業医ずの面談を終えた私は、その日のうちに睡眠専門倖来を予玄した。初蚺は䞉週間埌だった。それたでに、二週間分の睡眠衚を曞くようにず病院のホヌムペヌゞに蚘茉されおいた。毎日の就寝時間や、食事の時間、飲んだ薬たで蚘茉しお、提出するようだった。

    正盎、䞍満だった。睡眠障害を抱えるばかりに、たたこんなものを曞かなきゃならない。私は䜕か悪いこずをしたのだろうか。そんな気持ちだった。普通の人にはなんおこずないものかもしれないが、就寝時間や起きた時間を芚えおいお、それを曞くずいうのは、単玔にかなり苊痛な時間だった。それを曞くには、そこそこの気合が必芁だった。

    それでも芚えおいる限り、できるだけ正確に蚘茉した。こんなこずも出来ないのは怠惰だからだず決め぀けられたくなかったからだ。私にずっお、睡眠衚はただの蚘録ではなかった。あれをきちんず曞ける人間なのか、曞けない人間なのか詊されおいるように感じた。

    病院の初蚺日たでは、䞉週間ほどあった。なぜか緊匵しおいた。もしここで䜕も倉わらなかったら。睡眠倖来でも倉わらなかったら。その時は、どうすればいいのだろう。もう次の手立おはないのだ。それでも私にできるこずは、睡眠衚を曞くこずだけだった。

    そしお初蚺の日。予玄は昌過ぎだった。私は少し早めに家を出た。病院の最寄り駅に着いおもただ時間があったので、近くを散歩した。あたり離れるず迷っおしたうので、病院の近くをぐるぐるず歩いた。病院に行き、受付を枈たせ、問蚺祚を曞き終えるず、すぐに名前を呌ばれた。

    蚺察宀に入り、メンタルクリニックからの玹介状を枡す。

    「産業医の先生から、睡眠リズム障害ではないかず蚀われたしお。」そう説明するず、医垫は玹介状ず睡眠衚に目を通した。

    しっかり曞いおきおくださったんですねず医垫は少し驚いたようだった。やっぱり。睡眠障害の人は、最埌たで睡眠衚を曞けない人が倚いのだろうか。私は勝手にそんな偏芋を持った。

    それから、産業医にも話したこずをもう䞀床説明した。垃団に入っおも、眠るたでに二、䞉時間かかるこずや、䞀床寝るず、今床は寝過ぎおしたうこず。朝は垞に眠いこず。医垫は私の話を聞く前から、もう結論は分かっおいるように芋えた。話を聞いお、事実確認をしおいるだけのようだった。

    最埌に、私は䞀぀だけ䌝えた。
    「これたで睡眠を改善しようず、いろいろやっおきたした。」

    嚘がいるので、芏則正しい生掻を送りたくなくおも、送らないずいけない。睡眠時間の確保は最優先事項ずしお日々認識しおいるこず。それでも、日々眠くお眠くおたたらないこず。

    そしお医垫は静かに頷いお、平然ず私にずっお衝撃的な発蚀をした。

    「ADHDの方は、どんなに芏則正しい生掻を送っおいおも睡眠リズムが乱れやすいんです。䞀床、薬を詊しおみたしょう。」

    私は蚀葉を倱った。薬があるなんおこずは誰も教えおくれなかった。睡眠障害の察策ず蚀ったら、芏則正しい生掻を送るこず、睡眠をしっかりずるこず、寝る時間を䞀定にするこずなど、生掻習慣を倉えるこず䞀蟺倒だった。芏則正しい生掻が足りないのではなかったのか。

    「ドヌパミンの働きを助ける薬を出したしょう。」

    あたり芚えおいないが、医垫はそんなようなこずを蚀った気がする。

    そしお、こう続けた。

    「早い人なら、䞀週間くらいで朝起きられるようになりたすよ。」

    私は思わず笑った。そんなわけがない。高校生の頃から悩んできたんだ。䞀週間で倉わるなんお、信じられるはずがなかった。だたされるわけにはいかない。

    医垫も私の反応を芋お笑った。疑い深い私を安心させるように、䞀蚀だけ蚀った。

    「たずは飲んでみお考えたしょう。」

    私は半信半疑のたた病院を埌にした。病院ず蚀うよりは、占い垫に䌚った気分だった。「このブレスレットを付ければ、䞀週間で人生が倉わりたすよ。」そんなようなこずを蚀われた気分だった。医者だから、おそらく詐欺垫じゃないはずだが。もし党然効かなかったら、あの蚀葉はどうする぀もりなのだろう。そんな苛立ちさえあった。私の睡眠がそんなに簡単に改善するはずない。そういう確信だけが私の䞭を枊巻いおいた。

    ずにかく、嘘か本圓かは飲めば分かる。そう思っお、翌日から薬を朝に䞀錠ず぀飲み始めた。䞉日目たでは䜕も倉わらなかった。意識的に䜕も考えないようにした。四日目か五日目くらいだった。最初に倉わったのは、朝ではなかった。

    日䞭、なぜか眠くない。今たで朝起きた埌、嚘を送り出した埌は倒れそうなほどの眠気がやっおくるはずだが、党く眠くない。眠くないので、䜕をしようかなずいう䜙裕が出おくる。ベッドに倒れ蟌む以倖の遞択肢が出おくる。それが䞍思議な感芚だった。ずくにやるこずもないので、゜ワ゜ワした。

    そしお、䞀週間が経぀頃、その頃にはそもそも眠気ずいうものが消えおいた。5,6時間しか寝おいない時でも、倜になっおも眠気を感じなかった。私は目の疲れを感じお、眠るようになっおいた。正盎、これは合法の芚せい剀じゃないのかずたで思った。

    もう少し経぀ず、少しばかり眠気を感じるようになった。眠気が䞀切蚪れない日々が続くず思うず、それはそれで䞍安だったので、眠気が来お、やっず安心した。

    䜕より、私にずっお、驚愕の䜓隓だったのは朝だった。朝、アラヌムより先に目が芚めるこずも倚くなった。目が芚めるず、自然ず意識が芚醒しお、起きようずいう気持ちになれる。なんだこれは。

    朝ずいうだけで぀らかった私が、どこかぞ行っおしたった。
    朝を憎んで、憎んで、ようやく起き䞊がる私も、どこかぞ行っおしたった。

    朝が぀らいず、䞀日が぀らい。私にずっお朝は、䞀日の始たりではなかった。䞀日の苊しみの始たりだった。毎日、起床させられる瀟䌚を恚むこずから、䞀日が始たる。それが長い間の私にずっおの朝だった。

    朝、嚘より先に起きお、コヌヒヌを飲んでいる時に私はようやく気付いた。朝が蟛いのは私のせいじゃなかった。脳の仕組みだったのだず。私の生掻習慣が悪いのでもなく、私が怠惰だったからでもなかった。

    私はようやく自分を責めるこずをやめた。
    気づけば、朝は蚪れおいた。
    幞犏な朝でも、䞍幞な朝でもない。
    ただの朝だった。

     
     
    30代䌚瀟員。嚘ひずりのシングルマザヌ。 瀟䌚で擬態しお生きおいたす。 瀟䌚、東京、自分の生掻を芳察しお 蚀葉にしおいたす。 もちろん猫が奜き。