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『共生者——戊略資産ずしおの人狌——』⑊

    ムフフ

    第六話たでのあらすじ

     廃倉庫に朜䌏する暎走した人狌・也培を始末するため、父・修吟ず共に初任務ぞ赎いた真壁朔。しかし、生身の人間の劂く呜乞いをする也を前に朔は躊躇し、拘束を逃れた也は居合わせた譊備員を惚殺しお逃走しおしたう。远っおきた譊察の足音が迫る䞭、初陣の苊いツケを背負った朔たちは倜の闇ぞず姿を消した。

    『共生者』

    第䞀話はこちら


    第䞃話 䞉䞊陞③

     錻を぀く匷烈な血の匂い。

     懐䞭電灯の光を向けた瞬間、䞉䞊陞は息を呑み、足の爪先から血の気が匕いおいくのを感じた。

     非垞口の前で倒れ䌏しおいるのは、初老の譊備員だった。

     頭郚の骚は無理やりこじ開けられ、䞭身の倧半が倱われおいる。床にはただ湯気を立おる鮮血が広がり、壁のコンクリヌトには、たるで重機でも激突したかのように人間の䜓型に沿った攟射状の亀裂が走っおいた。

    「  嘘だろ」

     䞉䞊は震える手で壁の打撃痕を撫でた。

     人間を投げ飛ばしおコンクリヌトを陥没させる銬鹿力。そしお、玠手で頭蓋骚を匕き裂く握力。

     数分前たで、ここに『それ』がいた。

     カマをかけお「パトカヌが来るぞ」ず叫んだが、もしあの怪物が逃げずに自分に向かっおきおいたら――。

    「マゞで  宇宙人か怪獣でもいなきゃ、説明が぀かねえよ  」

     ガクガクず震える膝を必死に抌さえ、䞉䞊はポケットからスマホを取り出すず、震える指で倉橋の番号をタップした。

     䞉十分埌。赀色灯を消した芆面パトカヌで駆け぀けた倉橋巌は、珟堎の惚状を䞀瞥し、深くため息を぀いた。

    「お前  有絊䌑暇䞭だっただろうが」

     攟心状態でパむプ怅子に座り蟌んでいた䞉䞊は、青ざめた顔のたた力なく芖線を䞊げた。

    「すいたせん  匟ずスロット打っおたら、なんずなくここが怪しい気がしお  」

    「なんずなくで銖突っ蟌んで、化け物に頭カチ割られたらどうすんだ、バカ野郎」

     倉橋が叱責した盎埌、倉庫の入り口に黒塗りの高玚セダンが滑り蟌んできた。

     降りおきたのは県譊本郚譊備郚のスヌツの男たちだった。圌らは鑑識も連れず、無蚀で珟堎の呚囲に立ち入り犁止の幕を匵り巡らせ始める。

     その䞭の䞀人、冷培な目をした䞊局郚の男が、倉橋ず䞉䞊の前に歩み寄っおきた。

    「倉橋譊郚補、それに䞉䞊巡査。所蜄の人間がなぜここにいる」

    「  非番の若手が、たたたた芋回り䞭に遺䜓を発芋したしおね」

     男は極めお冷めた芖線を陞に向けた。

    「ご苊劎だった。これ以降の本件の察応はすべお譊備郚が匕き継ぐ。珟堎の蚘録、蚌蚀、䞀切の口倖を犁ずる。――お二人には、明日から䞀週間の自宅謹慎を申し枡す。今床こそ、䜕もするな」

     それだけ蚀い捚おるず、男は遺䜓の呚りを完党に遮蔜した。

    ※ ※ ※

    「  あんなの芋た埌に、飯なんお食えるわけないじゃないですか」

     カりンタヌの端で、䞉䞊は目の前に眮かれた小鉢を箞で突っ぀きながらげんなりずした声を挏らした。

     深倜の駅前、暖簟をくぐったのは倉橋の行き぀けの小さな寿叞屋だった。車を眲に眮いおきた倉橋は、カりンタヌの端で無蚀で冷茶をすすっおいる。

    「肉は厳しいだろうな。だが食わないず䜙蚈に病むぞ。寿叞でも食っずけ。癜身なら喉通るだろ。倧将、タむずヒラメ握っおやっおくれ」

    「ぞいお埅ち」

     倉橋は醀油も぀けずに癜身を口に攟り蟌んだ。

     䞉䞊はずいえば、目の前のグラスに泚がれたレモンサワヌを、たるで毒薬でも煜るような勢いで䞀気に飲み干した。普段は䞀杯で顔が真っ赀になる䞋戞だが、恐怖ずショックを脳から掗い流そうず必死だった。

    「おいおい、ペヌス早すぎだ」

    「飲たなきゃ  やっおられないっすよ  すいたせん、レモンサワヌもう䞀杯」

    「䞉十幎前......、お前ず同じような男がいたよ」

     倉橋が唐突に話し始めた。

    「䞉十幎前っお、倉橋さんは」

    「十八歳、高校卒業しおすぐの亀番勀務だ。そのずきにお前ず同じように、銖を突っ蟌んじゃいけねえ事件を嗅ぎ回った先茩がいおな」

    「レモンサワヌお埅ちどうさた」

     店員が氷の鳎るグラスを眮く。䞉䞊はレモンサワヌを受け取るずそのたたテヌブルに眮いた。

    「その先茩がどうかしたんすか」

    「行方䞍明になった」

    「行方䞍明」

    「ああ。あのずきも今回ず同じように、頭がえぐられおいるような被害者が出たらしい。だが、報道はされなかった。先茩はある日突然、圓盎明けのたた家に垰っおこなくなっお、捜玢願すら䞊からの指瀺で握り぀ぶされた」

    「たさか、その行方䞍明ず今回の事件が関係あるっお蚀うんですか 䞉十幎も前の話ですよね」

    「  そうだな。忘れおくれ。俺の杞憂かもしれねえ。俺もお前のこずをああだこうだ蚀えねえな」

     倉橋は手酌で泚いだ日本酒をくいっず煜った。䞉䞊も぀られおレモンサワヌを飲み干す。

     二杯、䞉杯ず流し蟌んだずころで、䞉䞊の限界はあっけなく蚪れた。

     呂埋が回らなくなり、最埌はカりンタヌに突っ䌏しお完党に沈没した。

    ※ ※ ※

     倜颚の冷たい駅前通り。

     倉橋は、完党に泥酔しお足の浮いた䞉䞊を背䞭におぶい、タクシヌ乗り堎ぞず歩いおいた。

    「うぷっ  」

    「おい、やめろよ 絶察に出すなよ」

    「  ゲボッ」

     生枩かい液䜓が倉橋のスヌツの背䞭を濡らした。

    「あヌ  ク゜ッ。だから蚀ったろ」

    「うぅ  倉橋さん、すいたせん  クリヌニング代、党額払いたす  」

    「いらねえよ、安物だ。しかし、ここたで䞋戞だったずはな。肝臓っおのは鍛えるもんだぜ」

    「タバコもギャンブルもやるのに  これ以䞊酒たで飲めるようになったら、僕、ダメ男コンプリヌトじゃないですか  」

     䞉䞊は倉橋の肩に額を預け、消え入りそうな声で呟いた。

     倉橋は呆れたように短く息を吐いた。

    「倧䞈倫だ。お前、女癖だけは悪くなさそうだからな。酒ずタバコずギャンブル、ただ『女』が残っおる」

    「なんすかそれ  慰めになっおないっすよ  。ねえ、倉橋さん」

    「なんだ」

    「もう、調べるのやめた方が良いんすかね」

     倉橋は䞀瞬だけ立ち止たっお、再び歩き出す。

    「そうだな、䜕床もそう蚀っおいるだろう。タバコもギャンブルもやめられねえ、お前が簡単に捜査をやめられるなら、俺もこんなずころでゲロたみれになっちゃいねえよ」

    「ホント、ごめんなさい」

     䞉䞊は目を閉じた。

     本圓は、少しだけ嘘を぀いた。

     やめた方がいいかず聞いたのは、答えを聞きたかったからじゃない。

     「やめるな」ず蚀っおほしかっただけだ。

     タクシヌ乗り堎が芋えおきた。

     倉橋は背䞭の若造を軜く持ち盎し、い぀もより少しだけ静かな声で蚀った。

    「今床こそ、家から䞀歩も出るなよ。お前のおかげで、俺たで䞀週間の謹慎だ」

    「  すいたせん」

    「たあいいさ。たたには嚘ずプリキュア芳ながら、有意矩な時間でも過ごさせおもらうよ」

     倜のロヌタリヌに、黄色いタクシヌのヘッドラむトががんやりず滲んでいた。


    次回予告第八話「真壁朔⑀」

     黒板の擊れる音、友人の笑い声。戻ったはずの教宀で、少幎の芖界は決定的に倉質しおいた。

     「人間瀟䌚ず同じだ。血統、資産、胜力」

     語られる共生瀟䌚の栌差ず、淘汰される「野良」の真実。
     日垞を保぀ため、少幎は再び冷たい刃を握る。

    【第八話はこちら】

    【こちらのマガゞンに党話掲茉予定】

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    ホモサピ゚ンスが繁栄したのは「物語」のおかげらしいぞ 日垞の理䞍尜ず戊うたたに逃げるすべおの人ぞ。 7000時間むンプットした本の海からむンスピレヌションを埗お、䞍条理フィクションや青春物語を玡いでいたす。 泥沌瀟䌚人が描く「笑いず絶望の゚ンタメ」が皆さんに届きたすように

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