
それでも、海は残る|あらすじ
仕事にも恋にも決定的に疲れた編集者の朝倉真白は、那覇で沖縄戦の証言集を再編集する短期プロジェクトに参加する。取材で訪れた本部町の小さな宿で出会った新垣恒一は、海の色のように静かな男だった。真白は彼の穏やかさに救われる一方、なぜか最初から見透かされているような居心地の悪さを覚える。やがて二人は惹かれ合うが、真白が整理する古い証言記録の中に、新垣家の過去に通じる名前が現れる。さらに恒一の妹・澪の刺すような沈黙が、その恋を祝福していないことを告げる。美しい海のそばで始まった関係は、戦争の記憶、家族の秘密、そして真白自身が東京から逃げてきた本当の理由に触れたとき、恋では済まない場所へ踏み込んでいく。