【原理原則】「相手のため」の我慢が、関係を壊す理由
本当は嫌なのに、「いいよ」と言う。疲れていても、会いたいと言われたら会いに行く。言いたいことを飲み込む。笑ってやり過ごす。
ぜんぶ、相手のため。そう思ってる。
なのに、なぜか満たされない。胸の奥に「こんなにしてあげてるのに」が、少しずつたまっていく。
その「相手のため」、たぶん相手のためじゃないよ。
恋愛の行動は、For You か For Me のどちらか
恋愛でやることは、ほとんどがこの2つに分けられる。
For You は、相手のためになるからやること。
For Me は、自分のためになるからやること。安心したい、嫌われたくない、好かれたい。
見分けるのは、行動じゃない。動機のほう。同じ「相手に合わせる」でも、相手を喜ばせたくて合わせるならFor You。嫌われるのが怖くて合わせるならFor Me。外から見たら、まったく同じ行動なんだよ。
我慢は、For Me
いちばん勘違いしやすいのが、我慢。
相手のために我慢している。そう思っている人は多い。でも我慢の中身を開けてみると、出てくるのは「嫌われたくない」「揉めるのがめんどくさい」。守っているのは、自分のほうなんだよ。
しかも我慢は、ちゃんと関係を傷める。揉めないため、がっかりさせないために相手に合わせた日は、気持ちも、関係への満足度も下がる。相手を喜ばせたくて合わせた日は、逆に上がる(注1)。
気持ちを押し殺して合わせた日は、本人だけでなく、相手のほうでも関係のよさが下がる(注2)。我慢している顔は、隠しているつもりでも、ちゃんと相手に伝わってるんだよ。
「わがまま」に見えるほうが、For You
じゃあ、For You って何か。
自分が何を考えているかを伝えること。困ったときに、助けを求めること。
一見、わがままに見える。でも、これが相手のためなんだよ。相手は、あなたの本音を知らないまま付き合っている。言われないことには、応えようがない。黙って合わせているあいだ、相手はあなたを大事にするチャンスを、ずっと取り上げられてる。
たとえば、毎週末会うのが少ししんどいなら。
「毎週会えるの、嬉しいんだけど、実は少し疲れちゃってて。月に2〜3回くらいがちょうどいいんだけど、どうかな」
相手を遠ざける一言に見えるかもしれない。でもこれは、長く一緒にいるための相談なんだよ。
For You は、言いなりじゃない
ここで勘違いしないでほしいんだけどさ、「相手のためになることをする」は、「相手の言うとおりにする」とは違う。
頼まれたことを全部引き受けるのは、嫌われたくないから。それはFor Meのほう。相手の望みに「それはできない」と返すことが、For Youになることもある。できないことを引き受けたあとで不機嫌になるより、ずっと相手のためなんだよ。
見分ける問いは、ひとつだけ
やる前に、自分に聞いてみる。
それ、相手のため? それとも、自分が安心したいだけ?
やったあとにも、サインは出る。やってくれないことばかりに目がいくなら、それはFor Meだったってこと。見返りを待っているんだよ。For Youでやったことは、返ってこなくても気にならない。やってくれたことのほうに、目がいく。
この問いは、恋愛のあらゆる場面で使える。「相手のため」の顔をしたFor Meは、そこらじゅうにある。
LINEなら、「どう思われるかな」と考えて打つのがFor Me。「なんて返したら喜んでくれるかな」と考えるのがFor You。
デートもそう。自分の行きたい場所を出す。プランは相手任せ。奢られて当然。告白は待つ。これがFor Me。相手の行きたい場所を聞く。プランは自分で考える。ごちそうになったら、ありがとうを言葉にする。付き合いたいなら、自分から告白するリスクを取る。これがFor You。
尽くす。返信時間を計算する。スマホを確かめる。束縛する。察してほしがる。どれも相手の顔をしているけど、主語は自分なんだよ。
選ぶときも、For You か For Me か
付き合う前にも、同じ分かれ道がある。
多くの人は、自分にぴったりな人を探す。自分を幸せにしてくれる人。自分にとってプラスになる人。これがFor Me。
For Youで探す人は、自分が支えたいと思える人を探す。
相手を「自分を幸せにしてくれるか」で値踏みする目線は、口に出さなくても相手に伝わる。そして、For Meの人のところには、For Meの人が集まる。愛されたい人と、愛されたい人が出会う。
あなたが良い人に出会えないのは、あなたが良い人ではないから。厳しく聞こえるけど、これは希望の話なんだよ。自分がFor Youに変われば、出会う人も変わる。
相手が先、自分が後
For Meをゼロにしろ、とは言わない。目安は、For Meが3、For Youが7。原則は、相手が先、自分が後。
それに、For Youは自分にも向けていい。大切にしてくれない人に、愛情を注ぎ続けなくていいんだよ。愛情は有限だから。
問題は、For Meを「相手のため」と呼んでしまうこと。そう呼んでいるかぎり、「してあげたのに」は増え続ける。相手は何も頼んでいないのに、あなたの中でだけ、貸しがたまっていく。
大事にされることを願う前に、大事にすることから。
次に「いいよ」と言いそうになったら、一度だけ立ち止まってみて。その「いいよ」は、相手のため? それとも、自分のため?
人間界の参照データ
(注1)交際中の大学生が2週間、毎日の出来事を記録した研究で、相手を喜ばせたい、親密になりたいという理由で自分を犠牲にした日は、前向きな気持ちや関係の満足度が上がり、1か月後も関係が続いていやすかった。一方、揉めごとや罪悪感を避けるために犠牲にした日は、否定的な気持ちが増え、満足度が下がり、別れやすかった。
(注2)交際中のカップル80組を対象にした研究で、相手のために何かを我慢した日に気持ちを押し殺すと、本人とその相手の両方で、その日の気分と関係の質が下がった。気持ちを押し殺す傾向は、3か月後の満足度の低下と、別れを考えることの増加も予測した。
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